Walking de Music

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南から来た十字軍 【2】/クルセイダーズ

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南から来た十字軍

今日のwalking Musicはクルセイダーズ南から来た十字軍Track05からトータル・レビューです。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

05:アンド・ゼン・ゼア・ウォズ・ザ・ブルース
いきなりラリー・カールトンさんのゆったりとしたチョーキングにゆったりとしたテンポの引きずるようなアフタービートが襲いかかってきます。ビートを生み出しているのは、スティックス・フーパーさんのバスドラムとロバート・ポップス・ポップウェルさんのベースがきっちりと連動しているところ。
さらに、その上にノッているアーサー・アダムスさんの歯切れの良いギターカッティングとジョー・サンプルさんの、こちらも歯切れの良いエレピ。何とも言えない心地よいビート感がハマります。

そのグルーヴの上でラリー・カールトンさんはいきなりのチョーキングから絶妙なロングトーンを押さえた左手のビブラートのみで聴かせてくれさらに、CD Time=0:08で一音半チョーキングをビシッと決めます。この最初の部分だけですでに肝!

テーマは2管。それに絡むようにラリー・カールトンさんがカウンター・メロディーを仕掛けていきます。

ファーストソロはウィルトン・フェルダーさんのサックス。
ソロのスタートから少しルーズにフレーズに間を置いたアプローチはウィルトン・フェルダーさんの特徴。これが、アフタービートの感じに良く合います。

CD Time=2:02からの2音づつのアップフレーズでスケールチェンジ。これもお馴染みのフレーズ。ややルーズに吹いているところがまた良かったりします。

CD Time=2:42からは2コーラスめ。高音のフレーズで攻めてきます。ここは、ラリー・カールトンさんの絡みが最高です。CD Time=2:50のウィルトン・フェルダーさんのフレーズに対しての反応などは流石です。ここは肝!

CD Time=3:24で叫びのひと吹きから静かに次のソリストに引き渡していきます。


次はジョー・サンプルさんのエレピ。
静かなソロの入りにラリー・カールトンさんがヴォリューム奏法で絡みます。この反応も流石ですね。

前半は鍵盤の狭い範囲での引きずったようなグルーブを持ったフレーズまわしをしていきます。展開をしてからのCD Time=4:10で今まで鍵盤の狭い範囲から飛び出して高音へスパークしていきアウトフレーズで弾き抜けます。

CD Time=4:22で歯切れの良いリズム的なリックがロバート・ポップス・ポップウェルさんのベースと強烈に絡みあいます。そしてブルージーなフレーズからの速いパッセージで2コーラスめへ。

CD Time=4:42からの2コーラスめは、8分音符の和音に半音で細かいグリッサンドを入れてアクセントをつける典型的なブルースフレーズを2小節。その後の2小節で速いパッセージをかまします。

そして再び同じブルースフレーズを2小節奏でてCD Time=5:00で速い機械的なシーケンスでアップフレーズを奏でます。そのままフレーズは上がり続けて展開部分に突入。CD Time=5:08では、エレピの最高音で耳に少々痛いキンッとしたところまで上がっていきます。この流れはまさに肝!です。

さらにこの部分でラリー・カールトンさんのバッキング反応が見事でCD Time=5:02などはジョー・サンプルさんのアップフレーズに合わせてアップしていくバッキングで答えています。

ソロエンドに向けては、ブルージーなフレーズ展開で次のソリストに引き継いでいきます。


3番手はウェイン・ヘンダーソンさんのトロンボーン。
2小節のフレーズをモチーフにして繰り返します。わかりやすいフレーズは非常にメロディアスです。その後も丁寧なフレーズまわしでしっかりと歌っていきます。

展開後のCD Time=6:17から、歯切れの良いフレーズまわしからCD Time=6:21のブレイクダウンしたようなフレーズ。そしてCD Time=6:23のトロンボーンならではのゆったりとアップするベンドフレーズ。ものすごくいい雰囲気に包まれます。

そして、タンギングで聴かせてくれる細かいフレーズからゆったりと次のソリストに引き継ぎます。CD Time=6:39のロバート・ポップス・ポップウェルさんの細かいアクセントフレーズも引き継ぎを後押しします。


4番手はラリー・カールトンさんのギター。
SE的なチョップと言う、音をミュートして弾きおろす奏法からチョーキングをキメます。そしてブルージーにフレーズを展開していきます。CD Time=6:46のアウト1音がいかにもラリー・カールトンさんらしい一撃でこの音の選択はいつ聴いても見事。この部分ですでに肝!です。

そのアウト1音からロングトーンでのビブラートを決めて少し引っかけるようなアクセントのフレーズから、CD Time=6:53で絶妙なアーティキュレーションのフレーズまわしを決めます。ここからCD Time=6:56までのフレーズもラリー・カールトンさんの得意節で好きな私などはたまらない部分です。ここもやはり肝!

展開部分に入るとCD Time=7:09で1音半チョーキングを決め、そして、想わず一緒にタメを作って聴いてしまうアップフレーズから高音でのチョーキング一発。

あくまでもブルージーにしっかりとアフタービートの感じを出しながらソロを終えていきます。


曲はテーマに戻り心地よいビートを残してフェードアウト。

この曲でのラリー・カールトンさんのソロは1曲目のスパイラルと双璧の出来です。悩みますが・・・こちらの方が個人的にはベスト・トラックですね。

さらに、ソロプレイだけではなくてバッキングが実に見事です。TPOをわきまえて、すぐにいろいろなサウンドに反応するスタイルはラリー・カールトンのギターテクニックだけでは測れないすご技。一度、ラリー・カールトンさんのバッキングプレイだけに耳を傾けて聴いてみても面白いと想います。

全体のリズムがまったりしているので10分近い長さは飽きも出そうですが、それでもじっくりとこのビートに沈み込んで、トリップして聴くと・・・これが快感なんです。


06:セレニティー
ロバート・ポップス・ポップウェルさんの8分音符でのゆるやかなラインに、印象的なギターフレーズをアーサー・アダムスさんが繰り返して進んでいく、何とも言えない陰鬱なムードもあるバラードです。

ジョー・サンプルさんのエレピが散りばめられて星のように輝いたフレーズにラリー・カールトンさんのハーモニクス奏法が、さらにきらびやかな感じを演出しています。

テーマはウィルトン・フェルダーさんのサックス。これが、今までの曲とは全く違った綺麗な音。どちらかというと今までの曲はやや引いた音質で録音されていましたが、ここは全面に少しエフェクトを強くかけて演奏されます。

曲は印象的な繰り返しの中ウィルトンフェルダーさんのサックスがささやくように奏でられながら、そしてその周りを取り囲むバッキングがきらびやかに。さらにウェインヘンダーソンさんのトロンボーンも登場して、幻想的でやや陰鬱なムードの中エンディングを迎えます。


07:フィーリング・ファンキー
ロバート・ポップス・ポップウェルさんのスラップからスタートするノリの良いファンキーなナンバーです。想わず、あごと腰が動いてしまうグルーヴを持っています。ジョー・サンプルさんのクラビのバッキングがまたいいです。

テーマはウェイルトンフェルダーさんのサックスとラリー・カールトンさんのギターのユニゾンで奏でられていきます。

中サビ部分は、ジョー・サンプルさんのバッキング的なコードメロディでリズム重視で流れていきます。そしてCD Time=0:59のブレイクでロバート・ポップス・ポップウェルさんのスラップワンポイント。これがカッコいい。

ファーストソロは、ウェイルトンフェルダーさんのサックス。ブルージーでファンキーで丁寧なラインを聴かせてくれます。

再び中サビ、そしてテーマを経てエンディングです。

かなり短い曲なので少し欲求不満になりそうですが、このファンキーさには変えられません。

エンディングとしては、前の2曲が結構長く聴くのにも気合が必要な部分がありましたので、このさっぱりとした構成は逆に良かったりもします。

★☆南から来た十字軍・トータルレビュー★☆

walkingを終えて聴き終えたときの印象はひと言で言うと
『ご機嫌だぜ!』

・・・

細かく聴いてみた後でもやはり『ご機嫌だせ!』です。

クルセーダーズの場合は、そのキャリアが物凄く長いので、ジャズ時代を含めると、すべてを網羅して聴くのは結構大変だと想っています。

個人的には80年代の、3人のユニットの時代が実は好きでその頃のジョー・サンプル色が入った良い意味でのあかぬけた感じと、もともと持っている泥臭い感じのミックス具合が個人的にはちょうど良かったわけです。

まあ、それ以前の作品はそれほど聴きこんだ感じもないので多くは語ることができないのですが、この作品はやっぱりいいですね。

何と言っても、1曲目スパイラルの出来の良さは特筆するものがあります。この1曲を聴くためだけでもこの作品に触れる価値は十分にありますね。

さらに、ラリー・カールトンさんのソロプレイ以外のバッキングプレイも同じく特筆すべきものがあります。バッキングとは言っても、コードを刻むのはアーサー・アダムスさんにまかせているようなので、あくまでもフロントとしてのバッキングと言ったらよいでしょうか。

テーマメロディに絶妙に絡んだり、時にソリストへ仕掛けたり、また、ソリストのフレーズに素早く反応したり・・・

作品を通して、ずっとメロディを弾いているという感じもしますが、これが決して邪魔になっていないところが見事。管楽器的なフロントをギターが奏でている作品、という意味でも貴重であり、ギター弾きにとってはかなり参考になる作品と言えます。

まあ、いろいろなことを考えずにとにかくそのリズムに心と体を傾ける・・・。そうすると、何故か心も晴れて気持ちがファンキーになるから不思議。そして『ご機嫌だぜ!』と想わず叫んでしまうのです。

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1. スパイラル
2. キープ・ザット・セイム・オールド・フィーリング
3. マイ・ママ・トールド・ミー・ソー
4. 太陽の輝き
5. アンド・ゼン・ゼア・ウォズ・ザ・ブルース
6. セレニティー
7. フィーリング・ファンキー

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あとがき
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南から来た十字軍 【1】/クルセイダーズ

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南から来た十字軍

今日のwalking Musicはクルセイダーズ南から来た十字軍です。

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この作品は1976年の作品で、言うまでもなくクルセイダーズの代表作です。個人的には名作・ストリート・ライフ以降のクルセイダーズが好きでしたので、この作品の頃のものはそれほど突っ込んで聴いた記憶があまりないのです。ですから、この作品も前に聴いたのはいつだっけ?というくらい記憶がない・・・。

ということで、かなり久し振りに聴きました・・・。

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walkingを終えて聴き終えたときの印象はひと言で言うと

『ご機嫌だぜ!』

細かく聴いていくと、また違った感覚になるかも知れませんので、1曲つづ聴いていきます・・・。

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01:スパイラル
シンセの奏でるややテンション感のあるメロディに、ラリー・カールトンさんのギターが対旋律で絡んでくるともうそれだけで盛り上がってしまう大好きな曲です。クルセイダーズの楽曲の中でも1、2を争うくらいの名曲だと想います。

ドラムのスティックス・フーパーさんのタムをきっかけにファンキーなビートに突入します。少し跳ねた16ビート風の8ビートで軽快に曲が進んでいきます。ここでのビートの肝はやはりベースのロバート・ポップス・ポップウェルさんの強力なビート感。

テーマはおなじみの2管。ウェイン・ヘンダーソンさんのトロンボーンとウィルトン・フェルダーさんのサックスが奏でていきます。その合間を埋めるようにフェンダー・ローズで入るジョー・サンプルさんのバッキングが絶妙です。

2コーラスめからはラリー・カールトンさんがテーマの2管に対旋律を仕掛けてきます。この瞬間に、強力な3フロントになって、まさにこの頃のクルセイダーズの真骨頂と言えるアンサンブルに進化します。

そして、ラリー・カールトンさんのギター・ユニゾンでの短い間奏。ここで効いているのが、2コーラスめから薄らと入っていたストリングス。それが、ここで大きくなっていきギターのメロディを包むように盛り上げてソロまわしに突入していきます。

ソロのコード進行は、基本的にテーマのコード進行を元にした16小節とイントロのコード進行の8小節。そして再びテーマのコード進行を元にした8小節の合計32小節になっています。ポイントは、4小節と8小節の2拍目のコード。これは、テーマのコード進行にはなく、基本のコードB♭m7の半音上のセブンスコードになっています。ですから、印象的な部分であり、スケールチェンジの妙を聴くことができる部分になっています。

ファーストソロはCD Time=1:30からラリー・カールトンさんのギター。
ゆるやかなチョーキング・ダウンからスタートしてスタッカートで決めます。そしてブルージーなフレーズからチョーキングを絡めて、4小節・2拍め、CD Time=1:37のスケールチェンジの部分をクオーター・チョーキングの微妙な音程ニュアンスで弾き抜けます。そしてブルース・フレーズの連発でたたみかけて、再びスケールチェンジの部分、CD Time=1:54で、今度はハイノートのチョーキングをきっちりと決めます。

この2つのスケールチェンジ部分は、両方ともにチョーキングで音を上げてコード・トーンまで持っていくというアプローチですが、2つのフレーズのニュアンスの違いはそのまま多彩なチョーキング・テクニックを感じることができるよい対比になっていて面白いですね。

さらにこの部分では、イントロのコード進行に入る前のCD Time=2:00からのロング・トリルが見事です。トリルというのは、右手は弾かないで左手の指で押さえて離すときに弦を少しはじいて再び押さえる・・・これを高速で繰り返して左手だけでフレーズを奏でるテクニックです。一聴簡単そうな感じもするのですが、ここでのラリー・カールトンさんは、段々とイントロのパターンへのコード進行に向かって薬指の引っ掛かりとニュアンス、強さを換えて、音色を明るく、クリアにしていくというテクニックを聴かせてくれます。

CD Time=2:04からイントロのコード進行になります。
ここはコードがけっこう変わっていくので、当然使用するスケールも変わっていきます。ラリー・カールトンさんは、絶妙な音運びで難なくここを弾き抜けていきます。特にCD Time=2:13のチョーキング終わりのフレーズと次のCD Time=2:15のチョーキング終わりのフレーズは、まるで呼応しているかのように見事な掛け合いになっていて肝!
そして、チョーキングでブルージーなフレーズから、ラリー・カールトンさんらしいペンタトニックなフレーズ、そしてクロマティックなラインで締めて再びテーマのコード進行に戻ります。

今度は、8分音符の連続パッセージでブルース的なフレーズに時折、ジャージーな音を混ぜながらソロエンドまで弾き抜けていきます。

ソロのフレーズ自体は、もう少しジャズ的な要素が入っている方が個人的には好みなんですが、曲調やノリを考えるとまさにハマっているソロ。全体の構成も見事ですが、ブルージーでありながら、実に丁寧なラインがまさに肝!です。


続いてはジョー・サンプルさんのソロ。
いつもながらのコロコロと歯切れよく回る節が心地よいです。4小節・2拍め、CD Time=2:45のスケールチェンジの部分は、それほど大きくアウトをしていなくて左手のコード・バッキングでスケール・チェンジ感を出しています。CD Time=2:55からは、リズムをモチーフにした展開で奏で、そしてスケール・チェンジの部分を単音のジャズ的なフレーズで弾き抜けます。

CD Time=3:12からのイントロのコード進行部分では、流れるようなフレージングからバックのリズムに合わせたフレーズ展開をするというパターンで駆け抜けます。

そして、再びテーマのコード進行に戻り、CD Time=3:36のスケール・チェンジの部分を最も印象的と想われる絶妙なフレーズで決めます。このフレーズは個人的に肝!

残念なのは、ソロエンド部分。テーマに戻るCD Time=3:46で「ソ♯」の音がミストーンとして鳴ってしまっています。テーマのメロディの頭が「ラ♯」ですからぶつかっていますね。ですから、ソロの締めの部分が少し中途半端に聴こえてしまっています・・・。


テーマをワンコーラス奏でた後、ラリー・カールトンさんの、ロング・トーンでのフレーズをきっかけにロバート・ポップス・ポップウェルさんのベースがはじけ出します。
続くテーマの部分で、ソロ的なフレーズを絡めながらバッキング。そして、CD Time=4:45からソロへ突入します。
16分音符で歯切れの良いパッセージを連続していきます。しかし、メロディを弾いているという感じよりはむしろ、バッキングのリズムを派手に刻んでいるという感じのプレイです。でも、しっかりとソロとしてのラインを弾いていつつ、全体のグルーヴをキープしているのが見事。

このソロからさらに盛り上がってきて、ラリー・カールトンさんの絡みから、ウェインヘンダーソンさんとウィルトン・フェルダーさんの掛け合いに突入していきます。誰のソロとも言えない、全体がリズムの塊になったような怒涛のグルーヴが押し寄せてくるのがここです。

そして、ラリー・カールトンさんもソロラインで参加をし始めたところでフェードアウト。これは実に残念。もっと聴きたいところですね。

とにかくノリが良く、ご機嫌なナンバーです。

曲としては、いたって単純な構成になっているのですが、アレンジは単純なものを感じさせない匠さがあります。その中でもイントロのコード進行のパターンをソロの美味しい展開部分に使用しているのがかなり肝!だと想います。

ライヴなどでは、各人がこのパターンでソロまわしをするのでしょうから物凄く長い曲になると想うのですが、後半の部分はベースソロをかわきりに、掛け合いというパターンを取って盛り上げていくというアレンジも良いですね。またこれが、怒涛のグルーヴを生み出していて曲全体を上手くまとめて、コンパクトになるように長さのコントロールをしているわけです。このアレンジはまさに肝!です。

この曲を聴くだけでも、この作品を聴く価値がある!まさに、名曲であり、名演奏だと想います。


02:キープ・ザット・セイム・オールド・フィーリング
1曲目の興奮をさましてくれるかのような爽やかさのある16ビートナンバー。コーラスが入っているのですが、これはクレジットではクルセイダーズとなっているので皆で歌っているということでしょうか?スタートの爽やかさと比べると、少々いかつい感じもするのですが、これはこれでファンキーだったりします。

このコーラスのバックでのラリー・カールトンさんのヴォリューム奏法を使用したバッキングラインが実にいいですね。

コーラスに続いて、CD Time=0:40のラリー・カールトンさんのバッキングに答えるように2管が奏で、そしてCD Time=0:44でギターと共に3管のようになって、CD Time=0:46でジョー・サンプルさんのエレピがメロディを追いかける・・・。この部分のアレンジと雰囲気が肝!です。

CD Time=1:15の展開部分は、ロバート・ポップス・ポップウェルさんのベースラインが軽快さを醸し出しています。そしてCD Time=1:22の部分のリズム・ユニゾンフレーズもグッときます。

ファーストソロはウェイン・ヘンダーソンさんのトロンボーン。じっくりと聴かせてくれるソロラインで展開をしていきます。

続いてジョー・サンプルさんのソロ。感じは近年のジョー・サンプルさんに近い感じのソロ展開でメロディアスに弾き抜けています。


03:マイ・ママ・トールド・ミー・ソー
ロバート・ポップス・ポップウェルさんのスラップ・ベースが、少し跳ねたミディアムテンポのリズムにのってスタートします。良いですね、ファンキーテイストが溢れています。

テーマはラリー・カールトンさんのギター。ブルージーなメロディラインで良く歌っています。2コーラスめからはウィルトン・フェルダーさんのサックスとのユニゾンになります。サックスとギターは相性が良く、このようなユニゾンには持ってこいですね。

左チャンネルでは、このリズムにノッた軽快なギターカッティングが奏でられていますがこれは、アーサー・アダムスさんのプレイだと想います。

ファーストソロはウィルトン・フェルダーさん。
少し遅れてソロをスタートさせる感じがいかにもウィルトン・フェルダー節という感じです。かなりブルージーに奏でていきますが、いつ聴いても強力な個性で、唯一無二のフレーズという感じがして好きです。さらに、必要以上に速いパッセージなどに依存しないて、悠々と奏でる感じも好きです。

続いてはジョー・サンプルさん。ここでは、ファンキーなリズムにノッて歯切れ良いラグ的なフレーズを奏でていきます。

エンディング部分では、ラリー・カールトンさんとウィルトン・フェルダーさんが掛け合いをしながらフェードアウトしていきます。これも、もうちょっと聴きたい!という感じですね。


04:太陽の輝き
ラリー・カールトンさんの絶妙なアーティキュレーションのヴォリューム奏法を聴くことができるバラードです。
ウィルトン・フェルダーさんのリリカルなサックスに絡むように奏でられるラリー・カールトンさんのフレーズが実にいい感じです。

曲は3分弱と短いのですが、逆にこの短さが密度の高さで、印象に残るトラックに仕上がっていると想います。

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続きのTrackはまた後日・・・。

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ダブルフェイス/青木智仁

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ダブル・フェイス

今日のwalking Musicは
青木智仁
さんのダブル・フェイスです。

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この作品は1989年の作品。今は亡きベーシスト・青木智仁さんのフェースト・リーダー作品になります。

青木智仁さんの印象は非常に器用というイメージがあります。それはプレイが丁寧で、まじめな感じと言ったらよいでしょうか。さらにライナーノーツに名前が載っているだけで、勝手に期待してしまうという抜群の信頼感と安心感がありますね。ベース界のイチローさんと言ったら・・・言いすぎですね。
でも、なかなかこのようなベーシストは日本にはいないので、その意味では、新作を聴くことができないのが非常に残念です・・・。

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walkingを終えて聴き終えたときの印象はひと言で言うと
『ベースという面では印象が薄い・・・』

細かく聴いていくと、また違った感覚になるかも知れませんので
1曲つづ聴いていきます・・・。

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01:Triboro Bridge~Memories of M.K.

ドラムの打ち込みときつい音のスラップ・ベースが交互に奏でられてスタート。SE的な始まり方で、面白そうな感じをかもし出しています。

リズムがインして青木智仁さんのスラップに重なって、自身のフレットレスベースがメロディを奏でます。
この曲は、打ち込みを中心としたサウンドで、プロデュースもしている角松敏生さんの作曲になります。

ミディアムテンポに乗ったテーマは厚めにエフェクト処理された小池修さんのサックスが奏でます。サックス自体のサウンドや全体の感じ、またメロディのラインはデイヴィッド・サンボーンさんの曲のような感じでなかなかカッコ良いです。

しかし、テーマの端々を聴くと、段々と角松カラーが出てきて、それは中サビの部分を経て確信的なものに変わり、さらにCD Time=1:51からのサビに入るとまさに、「夏の角松メロディー!」という感じで全面にあふれてきます。

CD Time=2:49からはピアノソロ。たぶん小林信吾さんだと想います。そのまま続けて、ピアノの音を奪い取るようにシンセソロに入ります。

CD Time=3:30から青木智仁さんのソロです。
やや全体が静かになるアレンジですので、ここではフレットレス・ベースでメロディラインを奏でます。しかし、バックではスラップをバシバシとキメています。
CD Time=3:41からは歯切れの良いスラップをリズムカルに奏でます。そして次のCD Time=3:52からはフレットレス・ベースにひずみ系のエフェクトをかけてヘビーに奏でます。ちょっといろいろとやりすぎという感じもしますが・・・。

続いては、ギターソロです。これは今剛さん。
チョーキング・モチーフを上手く使用して華麗に弾き抜けています。ひずみ音がクリアで、空間系のエフェクトのかけ方が上手いので、非常にいい感じのソロに仕上がっていますね。

CD Time=5:18からは、小池修さんのサックスと今剛さんのギターの掛け合いです。
曲は、そのままフェードアウトしていきます。

曲が終わったときの感じは・・・角松敏生さんの作品?と錯覚をしてしまうくらいの角松ワールド全開の曲でした。でも、この曲では一応ソロなどもとっていますが、青木智仁さんの、ある意味真骨頂である安定感と信頼感のあるバッキングプレイを、あくまでも地味に堪能できるという感じに仕上がっています。


02:Mr.J.F.P
フレットレス・ベースでの速いパッセージからオーバーダビングで和音などを重ねてスタートします。曲調はまさにジャコ・パストリアスさんの感じ。それもそのはずで、これは青木智仁さんがジャコ・パストリアスさんに捧げた曲ということのようです。

個人的には、どうも青木智仁さんとジャコ・パストリアスさんってしっくりと来ない感じがします。どうしても青木智仁さんはスラップというイメージが強烈で・・・。

ここでの青木智仁さんのプレイは、いわゆるジャコ・パストリアスさんの強烈なビート感をリスペクトしているような感じです。ですから、ジャコ・パストリアスさん風なバッキング・フレーズを弾いています。

もうちょっと暴れても良かったようにも想いますが、このあたりが青木智仁さんの堅実さと言えるのでしょうか。逆に、ジャコ・パストリアスさんの場合は、派手で狂気的な部分に耳が行きがちなんですが、このようなグルーヴとビート感の部分をリスペクトしてプレイをするあたりが流石と言えますね。

ちなみにCD Time=1:30からのギターソロは布川俊樹さん。そして、バスドラがバシバシ決まっているドラムは村上“ポンタ”秀一さんのプレイです。


03:Forgive Me
エレピの綺麗なメロディがフェードインしてくるバラードです。そしてそのエレピの静寂さに、波紋を創るように本田雅人さんのサックスがハイトーンのフラジオで入ってきます。

エレピがメロディを奏でていくのですが、そのバックで心地よいリズムを生み出しているのは梶原順さんのミュートでのギター。そしてそれに絡むようにバッキングやカウンターメロディを奏でている松木恒秀さんのギター。

ファーストソロは本田雅人さん。切れの良い音で吹き抜けていきます。そして、松木恒秀さんのギターソロ。こちらは渋いトーンでジャージーに決めます。

この曲での青木智仁さんは、プルをアクセントにしながら細かいサムを決めるスラップでのプレイです。出過ぎず、かといって引っこみすぎない、バラード曲におけるスラップの教科書みたいな演奏です。

曲は一度終わる形になるのですが、続けてコーラスパートが入ってきます。これはどちらかと言うと、次の曲へのイントロダクション。このあたりの構成も角松敏生さんらしい演出と言えますね。


04:Don't Ever Hurt Me
この曲はオールド・アメリカンな雰囲気のあるヴォーカル曲。創ったのは青木智仁さんですが、歌っているのは「おかざわあきら」というクレジットですがこれはベーシストの岡沢 章さんでしょうか?

ブロードウェイでショウを観ているような雰囲気になりますが、青木智仁さんはこんな感じの音楽も好きなんだと単純に驚いた次第です。


05:Linda
とても爽やかでいかにもフュージョンという感じのこの曲は梶原順さんと今は亡き、浅野 祥之さんの2人。いかにもギタリストが好きそうな曲でテーマのメロディが心地よく、まさにギター向きの曲です。もう一人ここでは松原正樹さんがギターで参加をしています。

ギターは3台なんですが、さらに面白いのがドラム。
ドラムは村上“ポンタ”秀一さんと島村 英二さんが叩いています。左右で別れているようで、特に4拍目のアクセントが微妙にずれているのが逆に良いビートになっています。

エンディング部分は梶原順さんと浅野 祥之さんのソロの掛け合いです。もうちょっと聴きたい!という欲求不満を残しつつ、フェードアウトしていきます。

ここでの青木智仁さんは、ある意味定番とも言えるスラップベースでのプレイ。16ビートフュージョンのこれまた教科書みたいなプレイです。


06:Amboseli
ここで再び作品の最初のSE的なドラムと青木智仁さんのスラップが入ります。どう展開していくのか?と想っていると曲は一転して4ビートに突入します。この曲は村上“ポンタ”秀一さんと水野 正敏さんの作曲です。

村上“ポンタ”秀一さんのドラムを左チャンネルのみ、水野 正敏さんのアコースティック・ベースを右チャンネルのみにしてセンターでシンセが難解なメロディを奏でていきます。

青木智仁さんの登場はCD Time=2:00過ぎから。
フレットレス・ベースのソロに強烈なリヴァーヴをかけて、空間的な演出をしています。一緒に奏でられているのはトランペット。これは日野 皓正さんのプレイ。
日野 皓正さんのトランペットもかなり強いエフェクトでリバーヴをかけていて、ちょっと幻想的な雰囲気で掛け合います。

途中から青木智仁さんはスラップに移行して、その激しいスラッピングに乗せて日野 皓正さんのソロラインが加速していきます。

エンディングでは、日野 皓正さんと水野 正敏さんと村上“ポンタ”秀一さんが掛け合います。途中、ジャズスタンダードでお馴染みのメロディなども飛び出してきて、楽しげな中にもスピード感がある掛け合いでエンディングです。


07:Risa
ストリングスからスタートして軽やかなギターがメロディを奏でます。少し跳ねたリズムのバラードですが、楽しく優しげな曲調です。これは青木智仁さんの作曲。

ギターは幾見雅博さん。また、八木のぶおさんのブルースハープがいい感じですね。午後の陽だまりという感じで好感が持てる曲です。


08:砂の女
軽いボサノバのリズムからコンピューターでコントロールされたサウンドが重なり、そして角松敏生さんのヴォイスが重なってくると、もうここは角松サウンド。
さらに日本語で歌詞がついていて、さらに角松敏生さんが歌うという、まさに角松ワールドに支配されます。

ここでの青木智仁さんは、歌ものバックというスタンスで、歌を邪魔しないスラップの絶妙なバランスを聴かせてくれます。


09:Manhattan Love Affair
少し引きづるようなリズムを持ったアップテンポの曲です。この曲も角松敏生さんの曲。今度は角松インストワールドです。ギターでのメロディはもちろん角松敏生さん。

この曲での青木智仁さんは少し激しめにスラップを奏でます。前の曲でのヴォーカルと溶け込んだバランスのあるスラップとは違って、グイグイと打ち込みに対抗して攻めていくようなサウンド。多彩なスラップのアーティキュレーションが見事です。

小林信吾さんのシンセソロから角松敏生さんのギターソロの後、CD Time=2:23からは青木智仁さんの強烈なスラップでのソロ的なリズム流しが始まります。時折入れる細かいサムのアクセントが見事です。
途中で、アコースティック・ベースなどのソロも挟みながらのパフォーマンス。何と言ってもリズム感が抜群ですね。このようなスラップの切れはまさに青木智仁さんの独壇場だと想います。

エンディングではフレットレス・ベースで、ちょっとジャコ・パストリアスさんが入ったフレーズで締めくくっています。


10:With A Little Help From My Friends
ご存じ、ジョン・レノンさんとポール・マッカートニーさんの曲。歌っているのは青木智仁さん。
まあ、上手とは言えませんが、2コーラスめからサビに角松敏生さんのバックコーラスが入ると、それなりに聴こえてくるから不思議です。

そして、この曲ではベースは打ち込みで青木智仁さんはベースを弾いていません。


11:Risa Reprise
最後の曲は7曲目のRiseのリプライズ。ここではフレットレス・ベースでリリカルに青木智仁さんがメロディを奏でていきます。

バックコーラスではハイ・ファイ・セットの3人が歌い、フレットレス・ベースの音色を一層綺麗な響きにしています。


★☆ダブル・フェイス・トータルレビュー★☆★☆★☆★☆★☆★

walkingを終えて聴き終えたときの印象はひと言で言うと
『ベースという面では印象が薄い・・・』

ベーシストである青木智仁さんのソロ作品ですので、ベースが全面に出ていて、いかにも美味しいスラップのパターン!や強烈なソロ!などを期待していたのですが、それは見事に裏切られたという感じがしました。それが、walkingを終えたときの印象『ベースという面では印象が薄い・・・』になってしまったのだと想います。

でも、改めて聴いてみるとこれは、ベーシストのソロ作品なのでベースという楽器が全面に出ている!という想いこみにすぎないということを感じました。

そこには、ベースという楽器の本来の使命とも言える、バックとしてのベーシストという姿があったわけです。

つまり、リズム楽器としての本質をとらえつつ、楽曲のコードの重要なファクターであるベース音というものを正確に奏で、そして、ソリストや他のバッキング楽器が気持ち良くその上に乗る・・・という使命。

そう考えるとベースは、聴こえているけど、決して意識することなく、耳と心にしっかり届いている・・・というのが最良かと。

『ベースという面では印象が薄い・・・』というのは逆に、見事にバンドの要としてのベーシストの仕事を聴かせてくれている作品だから、とも言えるわけですね。

作品全体的にはプロデューサーである角松敏生さんの色が濃くでている作品になっていますが、角松敏生さんがあえてこのスタイルで、ベーシスト・青木智仁をプロデュースしたとすれば、やはり流石だと想うわけです。

バリエーション豊富な楽曲がある中で、一聴ソロ作品としては地味ですがしっかりとバンドの要としてのベーシストの役割を聴かせるために、あえて角松敏生さんが自分色に染めた作品にした?というのもあながち間違っていないかな、と想ったりするわけです。

その意味では、バンドの要としてのベーシスト・青木智仁さんのバックミュージシャンとしての力を感じとれる作品に仕上がっていると想います。

ベースプレイということを期待して聴くと少々コケますが、角松ワールドが好きな方には、自然に聴き心地の良い作品です。

また、不思議なことに何回か聴いているうちに、段々とハマってくるんです・・・個人的には、ちょっとハマっています。

そこには、青木智仁さんのバンドの要としてのベーシスト以外のもう一つのフェイスが見え隠れしている感じです。ダブル・フェイスのもうひとつ、隠れている顔を覗きに、また、CDプレイヤーにかけてしまう作品ですね。

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青木智仁

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starレビュー
star名ベーシストのデビュー・ソロ・アルバム!
star日本のマーカス・ミラー
starベーシストじゃなくても、「感涙」でウルウル…

曲名リスト
1. TRIBORO BRIDGE~MEMORIES OF M.R
2. MR.J.E.P
3. フォーギヴ・ミー~RISA インターリュード
4. ドント・エヴァー・ハート・ミー
5. LINDA
6. AMBOSELI
7. RISA
8. 砂の女
9. マンハッタン・ラヴ・アフェア
10. ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンド
11. RISA リプライズ

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テイルズ・フロム・ザ・ハドソン【3】/マイケル・ブレッカー

テイルズ・フロム・ザ・ハドソン

今日のwalking Musicはマイケル・ブレッカーさんのテイルズ・フロム・ザ・ハドソン・Track06からトータルレヴューです。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

06:イントロダクション・トゥ・ネイキッド・ソウル
マイケル・ブレッカーさんとデイヴ・ホランドさんのデュオで奏でられる次の曲へのイントロダクション。
約1分くらいの短い演奏ですが、情緒的に奏でるマイケル・ブレッカーさんに答えるようなベースワークのデイヴ・ホランドさんのプレイが光っています。


07:ネイキッド・ソウル
バラードですが、やはり綺麗な曲というよりは都会の片隅でしっとり奏でられるという感じの曲で、どこか陰鬱なムードが漂っています。

ファーストソロはマイケル・ブレッカーさん。ここでもプレイも壮絶なソロです。

前半は静かなアプローチなんですが、段々と盛り上がっていく感じが見事な構成。CD Time=3:40あたりから段々と速いパッセージや感情をさらけだしたフラジオなどが飛び出し始めます。それはCD Time=4:21からのポリリズムフレーズなどを頂点にして盛り上げていきます。

そしてだんだんと静かなフレーズを展開していって、次のソリスト、デイヴ・ホランドさんに渡していきます。

アフリカンズ・スカイもそうでしたが、マイケル・ブレッカーさんのソロはもちろんフレーズの巧みさもありますが、全体の構成が実にいいですね。盛り上がり部分を真ん中よりやや後半に持っていって、ソロエンド部分では少し抑え気味にフレーズを展開して次のソリストに引き渡す・・・。
プロの演奏でも、けっこう感情で演奏してしまって、ソロのエンドが唐突だったり、尻切れだったりするのは良くあることです。そう考えるとソロの終わりをきちんと終止する形にもっていくのは実はなかなか難しいことです。
その意味でもこの曲とアフリカンズ・スカイでのマイケル・ブレッカーさんのソロは見事と言えますね。アフリカンズ・スカイでのソロとともに作品中でも、双璧のベスト・プレイであると想います。


08:ウィリー・T.
イントロダクションに続いてスローミディアムでスウィングするマイナー調の曲。淡々としているジャック・ディジョネットさんのビートが心地よいです。

ファーストソロはマイケル・ブレッカーさん。
ソロ前の部分からの約8秒間くらいの長いロングトーンでスタートします。全体的には、テンポに乗ってブルージーに奏でていきます。まったりとしたテンポに最初はまったりとしたフレーズを展開しますが、後半は歯切れの良いパッセージで攻めてきます。それに伴ってバックのビートも一気に締まるのが聴いていて心地よく、引きずり込まれます。

続いてはパット・メセニーさん。
かなりブルージーなトーン選択で、ゆったりと演奏をスタートします。その後もクロマティックなラインを挟みながらも、基本的にはブルースラインを中心にして弾き抜けていきます。

そしてジョーイ・カルデラッツォさんのピアノソロ。
左手のコードワークをあまり使用しないで、右手のメロディラインで牽引していくソロです。曲調にあったムーディーな展開で上手くまとめています。


09:キャビン・フィーヴァー
アップテンポのユニゾンでのテーマ。そのバックで奏でられているジャック・ディジョネットさんのシンバルワークと細かいスネアワークが効いているスタートです。

2コーラスめはユニゾンから外れて、インテンポで同じテーマになります。ベースのデイヴ・ホランドさんのラインが今度は効いています。なかなか凝ったアレンジでいい感じですね。

ソロのコード進行は16小節のブルース進行です。ブルース進行の曲は初めての登場になります。
ブルース進行でのソロはある意味、単純なコード進行であるために、逆に難しく、ソリストの腕やセンスが顕著に現れると想っています。ですから、そのあたりが聴きどころと言えます。

一番手のマイケル・ブレッカーさんも続くパット・メセニーさんも、独自のオリジナリティあふれるソロを展開しているのですが、最後のジョーイ・カルデラッツォさんのピアノソロが抜群に良いラインを奏でていて、個人的には肝!です。
また、ピアノソロのバックでは強烈にバックがスウィングしています。もちろん、前のソリスト2人にインプロヴァイズされた結果ともいえますが・・・。特に、CD Time=5:35の一曲目のモチーフを使っているところなどは渋いですね。そしてCD Time=5:58からのコードワークは絶妙です。ブルース進行はいずこへ?という感じでアウトしています。これは肝!です。

高速で駆け抜ける曲ですが、最後のパフォーマンスにしては少しあっけなく終わってしまう感じもするのですが、それでも最後にブルースを持ってくるところがいかにもジャズメンという感じですね。


★☆テイルズ・フロム・ザ・ハドソン・トータルレビュー★☆

walkingを終えて聴き終えたときの印象はひと言で言うと
『全編に広がるテンションが快感・・・親しき中にもテンションあり!』

・・・

マイケル・ブレッカーさんのストレイト・ア・ヘッドなジャズとして注目された作品ですがやっぱりいいですね。いつ聴いても、ほぼ間違えなく感動をしてしまうという、自分にとっては稀有な作品と言えます。

今回に限らずいつも聴いて想うのが全編に漂っている緊張感。このテンションが実に快感だったりするわけです。

また、マイケル・ブレッカーさんのリーダー作にも関わらず、単にサックスを吹きまくっていないのが良いところ。
例えばテーマはほとんどパット・メセニーさんとユニゾンですし、ソロのサイズも特別多いというわけではなくて、きちんと別のソリストを立てているのが、サックス吹きまくりの場合に起こる可能性のある『聴き慣れ』を防いでいて、バリエーションに富んだ音を楽しめて、さらにジャズ作品として全体のクオリティをあげていると想います。

当然リーダーでありつつ、いちソリストですからマイケル・ブレッカーさんのソロも一発勝負的で、特に5曲目のアフリカンズ・スカイや7曲目のネイキッド・ソウルでは見事で熱いソロを展開してくれています。

ですから、この作品は、マイケル・ブレッカーさんのリーダー作ではありますが、間違いなく各人のソロまわしが最大の聴きどころ。まあ、考えてみたらこれがジャズの醍醐味の大きな部分でもあるわけですね。その意味でもマイケル・ブレッカーさんが仕掛けた、まさにストレイト・ア・ヘッドなジャズ作品と言えます。

また、ソリストとしてマイケル・ブレッカーさんと戦うためには、それなりのプレイヤーが必要ですが、この作品では、私が言うまでもない凄腕ミュージシャンを起用しています。

ともすれば、共演も多く、互いに手の内をよく知っていると想われるので、ファミリー的な雰囲気でテンションも薄くなるところ。でも、慣れ合い的なムードは一切なくて、逆に、真剣勝負的なムードがひしひしと伝わってきます。

気持ち的にはリラックスして演奏をしていると想いますが、親しい仲だからこその『かけ引き』、手の内を知っているからこその『かけ引き』・・・。そんな、眼に見えないものが作品全体の緊張感を生んでいるのだと想います。まさに、親しき仲にもテンションあり!ですね。

それぞれがスポーツで言うとアスリートだからこそ出来る、名人芸の集大成と言える作品でそのにじみ出るテンションに浸っているとやっぱり快感なんです・・・。

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曲名リスト
1. スリングス・アンド・アローズ
2. ミッドナイト・ヴォヤージ
3. ソング・フォー・ビルバオ
4. ボー・リヴァージュ
5. アフリカン・スカイズ
6. イントロダクション・トゥ・ネイキッド・ソウル
7. ネイキッド・ソウル
8. ウィリー・T.
9. キャビン・フィーヴァー

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あとがき
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テイルズ・フロム・ザ・ハドソン【2】/マイケル・ブレッカー

テイルズ・フロム・ザ・ハドソン

今日のwalking Musicはマイケル・ブレッカーさんのテイルズ・フロム・ザ・ハドソン・Track04から05です。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

04:ボー・リバージュ
基本的には綺麗なバラードなんですが、マイナー調であることと、適度な展開があるために少し陰鬱なムードの漂っている曲になっています。

ファーストソロは、パット・メセニーさん。
その曲の持っているムードをそのまま展開します。時々フレーズの合間に挟まれている、CD Time=2:52やCD Time=3:27のようにクロマティックから高速にダウンするフレーズが、ちょっとやるせなさのような気だるいムードを醸し出していて効果的だと想います。

続いてはマイケル・ブレッカーさんのソロ。
前半はロングトーンを中心として、朗々と歌い上げていきます。このようなフレーズはものすごくセクシーと言うか艶のある音色とフレーズでかなりムーディですね。そして、CD Time=5:07のような一瞬の速いパッセージからCD Time=5:12のロングトーンでのフラジオなどが入ると、これはもう感じざるを得ない!
まさに艶の極みだと想います。

バックがインテンポになり4つを刻み始めると、さらにマイケル・ブレッカーさんはブロウしていき、CD Time=6:00からを頂点にして、先ほどの艶から今度は荒々しく吹き抜けていきます。


05:アフリカンズ・スカイ
この曲では、3曲目のソング・フォー・ビルバオに続いて再びマッコイ・タイナーさんが参加しています。
マッコイ・タイナーさんの参加ということで、3曲めとこの曲がチョイスされたそうですが、ソング・フォー・ビルバオがスパニッシュなムードがあるのに対して同じ様なラテン系のリズムですが、こちらはかなりアフリカン・テイストが溢れています。
その違いは、あまり目立っていませんがドン・アライアスさんのパーカッションにあるかなと。
ソング・フォー・ビルバオでもドン・アライアスさんは参加していますが、この曲でのプレイの方が、低めの音のパーカッションを使用してよりアフリカンなムードを漂わせていると想います。

テーマははじめマイケル・ブレッカーさんが一人で奏で、次にパット・メセニーさんがユニゾンで参入してきます。

CD Time=0:45のサビはわかりやすいメロディと加速していくようなリズムが非常に心地よいです。
その後、パット・メセニーさんのギターがメロディを奏でる間奏部分に入ります。CD Time=1:25で入ってくるマイケル・ブレッカーさんのテーマメロディを奪い取るような感じがいいですね。

CD Time=1:37からはマッコイ・タイナーさんのソロがスタートします。
最初は、スタッカートなフレーズを展開してきます。そしてコードをいろいろとフェイクしながら、少し不安定な要素を盛り込んだフレーズを入れて曲の展開部分に突入していきます。

やはりここでも、コードをいろいろに変化させながらクラシカルに弾き抜けていきます。もうこの感じは止めることができなくなり、CD Time=2:20からのコーラスでは、まさにアウトなコード進行でフレーズをつなげていきますので、絶妙な浮遊感と不安定感があって、ものすごくテンションが高いプレイになっています。

そして展開部分では、細かいロールを使用したフレーズまわしからコード和音で朗々と歌い上げる感じでエンドしていきます。かなりカッコ良いソロフレーズの連発は、もちろん肝!

続いては、マイケル・ブレッカーさんのソロ。
ロングトーンを中心にしたフレーズで入ります。この部分ではバックのグルーブが際立っています。特にベースのデイブ・ホランドさんのビートが抜群ですね。これはまさしく、マッコイ・タイナーさんのソロを受けてインプロヴァイズされた結果。
ですから、マイケル・ブレッカーさんも段々と熱くなっていくという相乗効果を生み出しています。

CD Time=3:47の細かいトレモロフレーズから続くラインはアウトフレーズの連発です。どう考えても音があちらこちらに飛びまわっています。しかも、合っていないような、いるような・・・。この浮遊感がたまりませんね。その後もアウトラインをなぞって吹き続けますが、フレーズ的には8分音符をややルーズに吹き続けている感じです。

これが、CD Time=4:16の2コーラスめからはスイッチが入ったかのように激変していきます。
歯切れの良い短音を、そのタンギングの強さで聴かせて、CD Time=4;26あたりから段々と速いパッセージで攻めてきます。

CD Time=4:30のロングトーンから、ダウンフレーズを匠なアーティキュレーションと絶妙なタイミングで連続して奏で、CD Time=4:45の駆け上がりフレーズから完全にスイッチオンになります。

4音で構成されたポリリズムフレーズを高速で連続的に決めて、さらに、CD Time=4:49で今度は7音で構成されたフレーズで段々とダウンしていく・・・これがまた歯切れ良い!

そしてCD Time=4:53の速いパッセージからCD Time=4:54のひと鳴き。続けてフラジオでの、さらに高い音でのふた鳴きめ。
マイケル・ブレッカーさんのスイッチオンとともに、抜群のテンションと興奮で迫ってきて、こちらもスイッチがオンになってしまいます。この部分はまさに肝!

CD Time=5:00からはさらに追い打ちをかけるように見事なフレーズが続きます。
CD Time=5:00からCD Time=5:06までのフレーズはメロディアスでサックスが実に良く歌っていて肝!
続けて、今度は5音で構成されたポリリズムフレーズの連発。CD Time=5:12での、叫びのようなロングトーン。こちらも肝!です。

そして、CD Time=5:14のややラウドなフラジオから、8分音符で歌うアウトフレーズを奏でていき、その後は、だんだんとスイッチをオフにするかのようにサビの部分につなぐために静かなフレーズに回帰していきます。

この曲でのマイケル・ブレッカーさんのソロは作品中でもベスト・プレイだと想います。構成といい、フレーズといい、文句なしの名演です。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

続きはまた後日・・・。

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3. ソング・フォー・ビルバオ
4. ボー・リヴァージュ
5. アフリカン・スカイズ
6. イントロダクション・トゥ・ネイキッド・ソウル
7. ネイキッド・ソウル
8. ウィリー・T.
9. キャビン・フィーヴァー

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