Walking de Music

健康の為のWalking
何も考えずにただ自然や街を感じて歩くもの良いのですが、 せっかく集中できるので、この機会にCDを聴くことにしました。 アナログでは無いけれども、現代ではいたってアナログ的なCDウォークマンと歩き出す・・・。
ただひたすら歩くだけですが、耳はCDの音に集中する・・・。
すると、今まで”ながら聴き”では感じなかった新鮮さがあります。

Walking de Musicにアクセスしてくださいましてありがとうございます! 管理人のayukiと申します。

walking de music!
このブログは、ウォーキングをしながら聴いた
CDのレビューです。
WalkingのBGMとしてのレビューだけではなく
音楽的に想い付いたまま綴っています。
Walking de Music
・・・ベストなCDが見つかりますでしょうか?



NEW CD review

TO CHI KA 【その2】/渡辺香津美

Better Days レプリカ・コレクション-6 TO CHI KA(紙ジャケット仕様)

渡辺香津美さんのKYLYNのTrack05から細かく聴いてみます・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

05:ユニコーン
この曲は言わずと知れた渡辺香津美さんの代表的な曲。CMに使用されていたことは言うまでもありませんね。
テーマはいかにもギターがハマるメロディ。ギター以外では考えることが出来ない!と言うようなギターならではのメロディを持っています。その他にギターでなければ!と言うメロディを持った曲と言えば高中正義さんのブルー・ラグーンなどを想い出します。

頭のキメは4拍目の裏で16分休んで2発入ります。そしてマーカス・ミラーさんのベースとジョー・キャロさんのバッキングギターがユニゾンでバッキング・ラインを2拍分奏でます。その2拍目の最後の音に重なって渡辺香津美さんがスライドで食って、テーマを3拍目に奏でます。そして今度は8分休んで16分音符でのキメを4拍目に・・・。

次ぎの4小節のCD Time=0:10ではジョー・キャロさんが音をオクターヴ上げてユニゾンをします。これが結構効いていますね。

テーマ自体が短いので2コーラス目の頭のキメを渡辺香津美さんがオクターヴ音を上げて奏でたり、テーマの終りCD Time=0:43もオクターブ上げたりしてバリエーションをつけています。

このテーマをスコア譜面に起こすと、見事にそれぞれの楽器が適所に重なりながら流れているのが解ります。この複雑で計算され尽くされたアレンジはまさに肝!

CD Time=0:50から8ビートになって渡辺香津美さんのソロがスタートします。
バックのリズムが少し跳ねた8ビートになっているのを受けて、基本的には、6連符を3つに分けて3連符のフレーズをひとつのモチーフにして全体の構成を組み立てているソロになっています。

CD Time=0:59は右手の指で押さえるライトハンドでフレーズ。そしてCD Time=1:02からはエドワード・ヴァン・ヘイレンさんで市民権を得た?ライトハンド奏法でのフレーズ。その後は3拍ほどブレイクを創って次ぎのフレーズに入ります。
ちょっとライトハンド奏法のフレーズが今一発展途上と言うか、つい入れてしまったと言うか。3拍のブレイクが個人的にはちょっと間が抜けた感じを受けてしまいますが・・・。1曲目のリキッド・フィンガーズでもハーモニクスを使用しているフレーズはエドワード・ヴァン・ヘイレンさんのプレイを見て取り入れたそうです。

続けて、機械的なシーケンスラインで上昇して行くフレーズを奏でて3連符と16分音符を組み合わせた5音のフレーズで今度は下降していき、CD Time=1:13からは3連符をプリングとハンマリングで連続して行くジェフ・ベックさんなどが得意としていた奏法で弾き抜けます。
この部分なんですが、本当はライトハンド奏法で弾きたかったのかなと?そうすると最初のライト・ハンド奏法のフレーズがイントロダクションになって効いてくると想うのですが・・・。このようなフレーズでライトハンド奏法を絡めてくるのはT-スクエア安藤まさひろさんなどは上手いですね。

CD Time=1:26からは、3連符をモチーフにしてトップノートだけを変化させていくフレーズから3連符を絡めた下降フレーズで弾き抜け16分音符の機械的なアウトフレーズから32分音符の速いパッセージへ、そして6連符の連続技に入ります。
最後はオクターブをばらしながら下降していき、32分音符での怒涛で粒揃いの下降フレーズで締めます。

それにしても、このバッキングでのマーカス・ミラーさんとスティーヴ・ジョーダンさんのビートはグイグイきて良いですね。

再びテーマに入り、マイク・マイニエリさんのソロに入ります。そのソロの入り口部分でマーカス・ミラーさんが奏でるフレーズはテーマのバックのギターとのユニゾンのメロディをモチーフにしています。このアレンジもかなり良いですね。

マイク・マイニエリさんのソロのバックは跳ねていないベタな8ビート。その流れに乗ってブルージーなソロを展開しています。
そして幻想的展開から再びテーマに戻ってエンディング。

まとまりがあってコンパクトな中にもスピード感と飽きさせない絶妙なアレンジが効いている名曲です。


06:ドント・ビー・シリー
マーカス・ミラーさんとスティーヴ・ジョーダンさんが奏でるファンクビートが強烈な曲です。特にマーカス・ミラーさんのスラップのプルがアクセントになっていると同時に曲のイメージを決定づけています。

渡辺香津美さんのソロはCD Time=0:27からスタート。
2つのコードが繰り返されているバッキング・パターンですが、ボキャブラリー豊富なフレーズ展開で単調になりやすいソロを上手く組み立てています。

その後続けてギターソロがありますが、今度は音色を変えて奏でます。
聴いた感じからするとハーモナイザーでオクターブ上と下の音をエフェクトしているようですが、ライナーを見るとコルグのギター・シンセサイザーのクレジットがあります。テーマの部分でもこの一聴不思議な音が奏でられていましたのでこれはシンセと言うことだと想います。
それでも単純に音色をかえるだけではなくて、フレーズもそれにあった少しファニーで細かいフレーズ展開をしているのが見事ですね。

その後ウォーレン・バーハートさんのオーバーハイムでのソロを挟んで再びテーマに戻りフェードアウトしていきます。


07:サヨナラ
トニー・レヴィンさんのフレットレスベースのメロディが美しいスタートのバラード。それに重なるように渡辺香津美さんのクリアトーンでのメロディが奏でられていきます。漂う哀愁と美しさのある名曲だと想います。

渡辺香津美さんのソロは単音をスタッカートに奏でるフレーズからスタートします。クリアトーンでのソロはこの作品ではこの曲のみになりますので優しい音色に少しホッとします。

途中に聴かせてくれるコード奏法が綺麗で良いですね。また、速いパッセージのラインもメロディアスで且つ粒揃いで見事です。個人的には、クリアトーンの渡辺香津美さんのフレーズの方がどちらかと言うと好み。これだけ粒の揃ったフレーズを奏でるのはなかなか難しいです・・・。また全体的にとてもメロディアスなのがグッと来ます。

その後を受けるウォーレン・バーハートさんのピアノソロも美しいです。


08:マンハッタン・フルー・ダンス
シャッフル・ビートのライヴ、セッション的な乗りのある曲。テーマは再びマイケル・ブレッカーさんとのユニゾンで奏でられていきます。
以前この作品を聴いた時に、この曲だけやけにラフでライヴな感じがしたのですが、やはり今回も同じ感覚を持ちました。

それぞれがラフに演奏していて、特にトニー・レヴィンさんが結構重いビートと言うよりは浮遊感のあるようなフレーズ展開をしているのが印象的です。マイケル・ブレッカーさんのソロスタート部分のフレットレスのスラップなどは意外と言えば意外な展開。そのためかどうか解りませんが、ピーター・アースキンさんが今一歩弾けていないのが残念な感じもありますが。

渡辺香津美さんのソロは弾きまくり大会。ソロの細かい構成などはとりあえず置いておいてセッション的な乗りで弾き抜けています。

マイケル・ブレッカーさんはかなり大人しめのフレーズ展開で、ブルージーと言えばそうなんですが、もう少しこちらも暴れて欲しかったと個人的には想います。

それでもライヴな感じは最後の曲に相応しい華やかさがあります。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

walkingを終えて聴き終えたときの印象の『パワー継続のたまもの!』は、細かく聴いた後もやはり同じように想いました。
とにかく勢いとパワーを感じる作品で、言うまでも無く、それを引き出しているのがKYLYNでの活動とマイク・マイニエリさんのプロデュース力。
さらに、バックのミュージシャンの余裕を感じるような技とノリ。

でも、このメンバー選択はマイク・マイニエリさんの絶妙な選択。渡辺香津美さんが曲を創ってマイク・マイニエリさんに聴かせると、その場で電話連絡をしてオファーしたそうです。

また、実際は、最初ゆっくりとしたスピードで合わせていって30分もするとほぼ曲が出来上がっていると言う凄腕ミュージシャンたちの中で、渡辺香津美さんはかなりの緊張状態にあったようです。

その緊張を上手く取り除いてリラックスさせたのもマイク・マイニエリさんのアドヴァイス。
『もっと力を抜いて自然体でやった方がいい』と。

さらに、マーカス・ミラーさんが自転車に乗って鼻歌混じりでスタジオの中まで入ってきて、それでいてプレイすると凄い!と言うエピソードを始めに、仕事だけど音楽を楽しんでいると言う部分も凄腕ミュージシャンたちから学んだと聞きます。

リラックスした為か多少ラフなプレイもありますが、逆にそれが自然体の渡辺香津美さんのプレイになって、それは今も継続しているのだと想います。

それにしても名盤です。
これだけギターを弾きまくっているフュージョン作品って、日本のみならず海外でもあまり多くないのでは?と想います。

(CD TOTALTIME:46:03/ Walking消費カロリー:185.12kcal)

にほんブログ村 音楽ブログ ジャズ・フュージョンへ  人気ブログランキングへ
 
Better Days レプリカ・コレクション-6 TO CHI KA(紙ジャケット仕様)Better Days レプリカ・コレクション-6 TO CHI KA(紙ジャケット仕様)
渡辺香津美

曲名リスト
1. LIQUID FINGERS
2. BLACK CANAL
3. TO CHI KA
4. COKUMO ISLAND
5. UNICORN
6. DON'T BE SILLY
7. SAYONARA
8. MANHATTAN FLU DANCE

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
あとがき
★トラックバック、コメント歓迎いたします。
★ギター好き・音楽好きの為のサイトも運営しています。お暇なら遊びに来てください。
>>>ギターの響き・ソロギターを中心とした”ギター好き・音楽好き”のサイト

TO CHI KA 【その1】/渡辺香津美

Better Days レプリカ・コレクション-6 TO CHI KA(紙ジャケット仕様)

段々と夏に近づいている感じがする気候になってきました。と言うことで先日は渡辺香津美さんのTO CHI KAwalkingをしました・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

この作品は1980年の作品。前回が名盤KYLYN(*)を聴いてwalkingでしたので、ここは迷わずその続きが聴きたくなったと言う単純な選択。でも言わずと知れたJ-フュージョンの名作。
以前、一度レヴューをしましたが、再び細かく聴いてみたいと想います。KYLYNプロジェクトで得たものを渡辺香津美さんはこの作品で爆発させているのでしょうか・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

walkingを終えて聴き終えたときの印象は、ひと言で言うと『パワー継続のたまもの!』。

渡辺香津美さんのギターコピーはそんなに数多くしたと言う記憶がありません。しかし、この作品の楽曲は半分以上はしていると想います。ですから想い入れも多い作品と言えます。
今回聴く前は、もっとKYLYNで得たエッセンスをいろいろと散りばめている感じがしていたのですが、どうも少し違った感じを受けました。

この作品は、深町純さんのニューヨーク・オールスターズでマイク・マイニエリさんが来日した時に、楽屋で渡辺香津美さんがダメ元でプロデュースをお願いしたら、意外にあっさりOK。それでも社交辞令だと想っていたらしく、その後YMOのツアーでニューヨークのボトムラインに出演していた時に、ふっとマイク・マイニエリさんが楽屋に来て、「人にプロデュースを頼んでおいて、その後どうなったんだ?」と言われて急激に話しが進んで行ったと言うことです。

このエピソードが本当だとすると、渡辺香津美さんが、いきなりマイク・マイニエリさんにプロデュースをお願いしたのはまさにKYLYNを経て得た自信、そして勢い。さらにそこから派生したYMOのツアー参加。そしてニューヨークでのエピソード。全て良い方向へ、ある意味偶然が重なっていったとも言えます。
しかしこれは全てKYLYNでのパワーが継続した結果だと想うのです。モチベーションを持ち続けて積極的に動くと、事が意外に良い方向へ向いていく事ってありますよね。
でも、単純なKYLYNサウンドの延長になっていないところがマイク・マイニエリさんのプロデュースの力かと。新しいギターフュージョンサウンドを生み出したと言えると想います。

1曲つづ細かく聴いていきます・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

01:リキッド・フィンガーズ
スティーヴ・ジョーダンさんのドラムリフから、マーカス・ミラーさんの歯切れの良いスラップが印象的なスタート。さらにケニー・カークランドさんのいかにもフュージョンと言うようなエレピの音にジョー・キャロさんのバッキングギターが加わると、無条件に感情が盛り上がってしまいます。

テーマはナチュラルに歪んだギター。このギターは当時の渡辺香津美さんのトレードマークであったアレンビック・ショート・スケールと言う話もありますし、KYLYNでも使用していたレスポールのアニバーサリーと言う話もあります。音の感じからするとレスポールのような感じもしますが・・・。
ちなみに、ジャケットの裏に映っている黄色いレスポールは、レスポール・スペシャル・TVモデルと言う1950年代後半ごろのヴィンテージもの。私も最近までこの作品のメインギターだと想っていたのですが、
実際は、このレコーディングの時に買った楽器と言うことで、ライヴでは使用していたようですが、意外にも今までアルバムで使用したことが無いそうです。

デヴィット・スピノザさんがデットストックであったこの楽器をニューヨークの楽器店で試奏していて、悩んだあげく、とりあえず家に帰ったのをいいことに、すかさず銀行でお金を下ろして2,850ドルで買ったと言うエピソードがあります。当時のレートからすると・・・かなり高い!

曲はテーマ、サビそしてそのパターンでソロ。再びテーマ、サビと言う解り易いジャズ的な構成。それでもテーマ、サビともにコード進行などバリエーションに富んでいてかなり完成度の高い楽曲に仕上がっています。

渡辺香津美さんのギターソロはCD Time=1:51からスタート。
テーマと同じ4小節がワンパータンで進むコード進行で、ワンスケールで弾き抜けることも出来るんですが4小節目のコード、G/Fと言う分数コードの部分の歌い方と展開が見事です。それをアクセントにしつつ、ロックフレーバーの溢れるラインを奏でていきます。

CD Time=2:55からの展開は、ワンスケールで弾くことは出来ない難しいところ。コード進行に合わせたスケールを絶妙に繋いでいて見事に歌っています。このあたりはジャズの基本が本当に身についていると言う感じがしますね。
チョーキングでスタートしますが、これが実に気持ち良いフレーズ。そしてCD Time=2:59でスケールチェンジしたフレーズを奏でさらに続けてCD Time=3:01でさらにスケールチェンジ。でも見事に歌が繋がっています。
CD Time=3:03でスライドダウンで低いフレットへポジションチェンジをしてCD Time=3:05の少し異国のテイストのあるフレーズからチョーキングアップへ。
さり気無く弾いているようですが、この部分がコピーをしていて実は一番難しかった記憶があります。けっこう弦が飛んでいて、なかなかスムーズに弾くのは大変でした。

次ぎの展開は、ワンスケールで弾ける、コードの展開のほとんどない部分。
渡辺香津美さんはCD Time=3:11のような機械的なシーケンスラインやCD Time=3:23のような印象的な6連符のパッセージを挟みながらも、単純になりやすいこの部分をメロディアスに弾き抜けます。CD Time=3;28からのラインなどは無条件にカッコ良いラインです。
その後、明るいメジャーな展開になって決めのフレーズへソロを繋いでいきます。

これだけバリエーションに富んだ展開と難しいコード進行の中で、約2分くらいのソロを展開するのはまさに見事で、まさに肝!
以前聴いた時には少し粗さも気になったのですが、それがかえって若さとエネルギーになっていて、全体的には物凄いパワーになっている感じがします。
このギターソロは間違いなく名演です。


02:ブラック・カナル
一転してミディアム・シャッフル的なビートの重いナンバーです。スティーヴ・ジョーダンさんのハイハットが歯切れ良く、抜群のビート感を出しています。
それに対してマーカス・ミラーさんはピチカートで少しルーズな感じで弾いています。これが、サビの部分に入るスラップの歯切れの良いパターンをより効果的にしていると想います。ピチカートとスラップって切り替えが唐突になってしまうことが結構ありますが、違和感がなくスムーズに切り替わるところは流石です。それにしてもマーカス・ミラーさんはスラップはもちろんですが、ピチカートも抜群に上手いですね。

渡辺香津美さんのソロはCD Time=1:46から。
ナチュラルに歪んだ音で、前半はあえてフレーズを刻み、タメを創りながら奏でていきます。それに比べて後半はそのバックの盛り上がりとともに連続した速いパッセージを奏でます。

サビからテーマに戻り、そのテーマをスーッと持ち上げるようにケニー・カークランドさんのピアノソロがスタートします。この一瞬周りのパターンが静かになるところが何とも言えず良い感じですね。そのまま、ジャージーでクラシカルなソロでフェードアウトしていきます。


03:トチカ
マイク・マイニエリさんのヴァイヴと渡辺香津美さんのデュオ曲。いわずと知れた渡辺香津美さんの代表的なアコースティックで美しい曲です。

ここでの渡辺香津美さんは、アコギでのプレイ。ギターは名器、オベーションのアダマスと言う楽器。このときにレコーディングに使用したアダマスは現在所有していないそうです。何処へ?誰の手に?と言うのも少し気になります・・・。

テーマはマイク・マイニエリさんの綺麗なヴァイヴが語っていきます。それに答えるように渡辺香津美さんのバッキングがささやいています。まさに楽器の会話と言う感じに時を忘れそうになります・・・。

ファーストソロは渡辺香津美さん。アコギの音と打楽器的な特性を生かして綺麗なラインを奏でていきます。
CD Time=1:23の低音弦での金属的な響きと箱が鳴っている感じを正確なピッキングで表現しています。続くCD Time=1:30では、チョップと言う、ミュートしてパーカッシブに弾く奏法で、これまたアコギの特徴を生かしたフレーズです。
また、高音の弦でもアコギらしさのあるフレーズや音を奏でていて、CD Time=1:51の音などはまさにアコギならではの『情緒あるひと響き・・・』

KYLYNの時もアコギのサウンドが実に見事だったのですが、この曲でのプレイは情緒を感じてしまう絶品のプレイですね。
渡辺香津美さんは、エレキがメイン、アコギがデザートと言っていましたが、こんなデザートならメインで食べたい!って想います。まあ最近の活動はそうなっていますが・・・。

続くマイク・マイニエリさんのヴァイヴソロはコロコロと綺麗に音が移動する感じが良いですね。ヴァイヴの音も美しいです。

CD Time=2:54からは同じリズムで2人が絡みます。先に仕掛けたのが渡辺香津美さんのバッキング。しばらく会話を楽しんだ後、CD Time=2;59の渡辺香津美さんのアルペジオをきっかけに再びテーマに帰っていきます。


04:コクモ・アイランド
フレットレスベースのラインが印象的なスタートです。ここでリズム隊が替わって、ドラムがピーター・アースキンさんでベースがトニー・レヴィンさんになります。

テーマはギターとサックスのユニゾン。サックスはマイケル・ブレッカーさん。
サックスの音を少し控えめにして、ギターと同化させるようにミックスダウンしているところがマイク・マイニエリさんの技といったら良いでしょうか。
それでも、しっかりと存在感があるサックスなのはマイケル・ブレッカーさんの技と言うかオーラですね。

サビの部分で少しラテンのテイストになります。ギターのメロディが心地よい風を運んでくれる感じ。CD Time=1:36のメロディ・ブレイク部分のコードと、エレピとベースのリズムが良い感じ。さらにピーター・アースキンさんのトップシンバル・ワークが効いています。

その爽やかな風を、嵐のような風が包み込んでしまうのが次ぎの展開部分。マイナーなコード進行に渡辺香津美さんがダブルノートチョーキングでアクセントを入れます。さらにCD Time=2:22のトニー・レヴィンさんの高速トレモロが効いています。

ファーストソロは渡辺香津美さん。ここでのプレイはロックテイストを封印したジャズ・フュージョンラインで攻めてきます。
渡辺香津美さんのソロの特徴と言うか、ロックテイストのソロの場合は、少し張り切る為か粗さが目立つ部分があるように想います。でも逆に、ロックの場合はロックだぜ!見たいなこだわりを感じてけっこう好きではありますが。ジャズ的なフレーズにこだわらない部分が魅力でもあります。

それでもこのソロのようなジャズ・フュージョンテイストのラインは抜群な上手さと粒の揃ったラインを聴かせてくれます。

CD Time=2:15のスタートからいきなり少しつっかかったようなカッコ良いフレーズ。CD Time=2:31からのピーター・アースキンさんのバスドラが入るのと同時に、フーレズが段々とリズムの乗っていきCD Time=2:36のスタッカートなラインからCD Time=2:41までの速いパッセージは粒揃い。
その後は少し音数を減らしてブルージーに奏でてCD Time=3:03からのラテンフレーバーのバッキングパターンへ。メロディアスに弾き始めますが、CD Time=3:13からのスケールライクな16分音符のラインから6連符まで息つく暇もなく連続します。

その後も所々で速いパッセージなどを挟みながらも、コード進行を捉えたラインで弾き抜けます。

テーマを挟んでマイケル・ブレッカーさんのソロです。前半の静かなバッキングの部分では、少しルーズに引きずったようなフレーズ展開です。
その後のラテンフレーバーのパターンに入ると段々と歯切れの良いライン展開に変わり次第に盛り上がってきます。
CD Time=6:45からはアウトフレーズ。良く聴くと合っていない?ような感じさえする音を選択してちょっと明後日?の方へ行きかけます。すかさずCD Time=6:51で戻り、超スタッカートな上昇フレーズへ。さらにそれをひとつのモチーフにしてCD Time=6:56からリズミカルなラインを奏でます。このあたりの繋がり方と構成は流石の上手さです。
CD Time=7:11はキジが鳴くようなひと吹きフレーズをモチーフにして吹き進めます。この部分でそれに答えるように、フレットレスベースの不安定な音程を利用したやや変態チック?なフレーズをトニー・レヴィンさんが奏でます。そしてマイケル・ブレッカーさんがそれを断ち切るロングトーン。さらに、CD Time=7:26から速いパッセージの連続技に入ります。
CD Time=8:12からフェードアウトまでは、リズムを中心としたラインで渡辺香津美さんのバッキングギターと絡みます。それでもフェードアウト近くでは怒涛の速いパッセージが爆発しています。
全体的にリズム的なアプローチやひとつのモチーフを連続して組立てて展開すると言う部分が多く、セッションと言うかライヴ的なソロに仕上がっている感じがします。怒涛の速いパッセージが少ないような感じもありますが、全体のグルーヴを引き出そうと言うような一歩引いた余裕を感じるソロですね。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

続きのトラックは次回に・・・。

(CD TOTALTIME:46:03/ Walking消費カロリー:185.12kcal)

にほんブログ村 音楽ブログ ジャズ・フュージョンへ  人気ブログランキングへ
 
Better Days レプリカ・コレクション-6 TO CHI KA(紙ジャケット仕様)Better Days レプリカ・コレクション-6 TO CHI KA(紙ジャケット仕様)
渡辺香津美

曲名リスト
1. LIQUID FINGERS
2. BLACK CANAL
3. TO CHI KA
4. COKUMO ISLAND
5. UNICORN
6. DON'T BE SILLY
7. SAYONARA
8. MANHATTAN FLU DANCE

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


(*)本文に登場したCD・DVD

Better Days レプリカ・コレクション-4 KYLYN (紙ジャケット仕様)Better Days レプリカ・コレクション-4 KYLYN (紙ジャケット仕様)
渡辺香津美 矢野顕子 坂本龍一

by G-Tools

あとがき
★トラックバック、コメント歓迎いたします。
★ギター好き・音楽好きの為のサイトも運営しています。お暇なら遊びに来てください。
>>>ギターの響き・ソロギターを中心とした”ギター好き・音楽好き”のサイト

KYLYN 【その2】/渡辺香津美

Better Days レプリカ・コレクション-4 KYLYN (紙ジャケット仕様)

渡辺香津美さんのKYLYNのTrack05から
細かく聴いてみます・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

05:E-DAY-プロジェクト
渡辺香津美さんの歪んだ音のギターが印象的なスタート。雰囲気はとてもライトなフュージョン。少しポピュラーソングの香りもする坂本龍一さんの曲です。
この作品は、前半の曲とは違うテイストにこの曲から入っていきます。

ヴォコーダーでささやく様にメロディが奏でられていきます。個人的には結構好きなメロディラインやコード進行で、無条件に明るい気持ちにさせてくれるような楽曲だと想います。

テーマからサビ、そして再びテーマに戻り、展開されたサビに入ります。
その展開されたサビの部分では、歪んだ音でロングトーンの対旋律を渡辺香津美さんが奏でます。このフレーズは物凄く気持ちいいですね。多分弾いている渡辺香津美さんはかなり気持ち良かったと想います。

ファーストソロは矢野顕子さん。
速いパッセージなどはなく、少し跳ねたリズムで曲調に合った優しいラインを奏でていきます。それでもCD Time=1:59からの、今まで跳ねていたラインを3連符で平坦なラインにしてソロエンドに向かうところはいい感じです。

再びテーマに戻って、静かな部分に入り渡辺香津美さんがコード奏法でのちょっとしたソロを入れてイントロそしてまたテーマへ・・・。
このテーマの部分が何回も出てくると言うアレンジはポップス的なアレンジですね。個人的には『また?』と言う感じもするのですが。

エンディングは先ほどの気持ちの良く展開されたサビに、さらに気持ち良さそうに渡辺香津美さんがソロを重ねていきフェードアウトしていきます。

ここでの渡辺香津美さんのソロは、チョーキングをアクセントにして速いパッセージを間に挟んでいくと言う展開。
CD Time=4:43は、大きなメロディの動きではなくて、ひとつの音をポイントにしてその周りの音を動かして全体的な上昇していくラインを生み出してCD Time=4:46のチョーキングでアクセント。さらにフレーズを続けCD Time=4:50で再びアクセントのチョーキング。CD Time=4:58からなどは少しラリー・カールトンさんを彷彿とさせるものがありますね。

もう少しゆったりとしたフレーズを挟んでも良かったのかなあ、と個人的には想うのですが、それでも見事に歌っているソロラインです。

ラリー・カールトンさんで想い出しましたが、聴いていると少しスティーリー・ダンの楽曲ような感じを受けました。ちなみに、この部分のコード進行はスティーリー・ダン滅びゆく英雄のエンディングの部分と同じ流れを持った進行です。


06:アカサカ・ムーン
3曲目に続いて渡辺香津美さんのアコースティックな世界です。左右にディレイで音を振って幻想的な世界を創り上げていきます。
しばらくすると坂本龍一さんのピアノがクラシカルに入ってきます。そのピアノのラインを包むように渡辺香津美さんのアコギの世界が続きます。

途中曲はテンポを上げて、左右のチャンネルをシンセの煌びやかな音が行き交います。その中で渡辺香津美さんのソロがスタートします。

ギターソロの後はフレットレスベースが静かに登場します。このフレットレスベースは渡辺香津美さんの演奏。この雰囲気と言うかフレットレスベースの入り方などは、この後の作品であるTO CHI KA(*)に収録されているSAYONARAトニー・レヴィンさんを起用したアイデアに結びついている感じでしょうか。


07:KYLYN
渡辺香津美さんのハードなギターソロが少し入ってからリズムはレゲエ風に。そして宙を舞うように奏でられているシンセの音がYMO風?言うならば坂本龍一風レゲエと言ったら良いでしょうか。

テーマはボコーダーで奏でられていきます。この曲に集中していくと、今まで聴いてきた作品とは別の作品を聴いているかのような錯覚を覚えてしまうくらいですね。

それは楽曲やアレンジの部分が大きいのですが、演奏上もドラムが村上秀一さんから5曲目から高橋ユキヒロさんに替わったことも大きいかと想います。

もし全編村上秀一さんが叩いていれば、また違ったサウンドになっていたでしょう。これは、上手い下手と言う意味ではなくてドラマーの個性と言う意味で。

渡辺香津美さんのソロはCD Time=1:47から。
かなり歪んだ音で、さらにトレモロアームを使用した少しスペーシーな展開を聴かせてくれます。途中ブレイクするところでのフレーズが何とも言えない独特の雰囲気ですね。


08:アイル・ビー・ゼア
実はこの曲は個人的に大好きで、このKYLYNの中でもNO.1、2を争います。一番好きな部分は全体のアレンジで、構成が見事にまとまっているところでしょうか。それから、何と言っても矢野顕子さんの歌が抜群に良いですね。

イントロは、コード進行と若干のストリングス、シンセのメロディで流れていきます。そして矢野顕子さんのロングトーンでのコーラスが入ってテーマへ。

テーマは少し和風の感じもあるメロディラインを坂本龍一さんのシンセと渡辺香津美さんがユニゾンで奏でます。

サビに入ると矢野顕子さんの歌で、左右に振られてハモリます。この部分が今までの和風のテイストを一気にお洒落な感じにしてくれますね。

そしてサビの終り部分が歌で終わりでは無くて、シンコペーションのバックの演奏にシンセのラインが絡んでいき、その後で矢野顕子さんのロングトーンでのコーラス。そして渡辺香津美さんのソロがスタート・・・。この部分の流れとアレンジはいつ聴いても肝!です。

渡辺香津美さんのソロはテーマのコード進行で短いのですが、決して盛り上がり過ぎる事がなく、あくまでも歌もののアクセント的なラインが良く曲調に合っています。

ソロの後は再びサビに入り、そしてテーマに戻ります。

その後でもう一度サビに入るのが定番の作曲の流れなんだと想うのですが、確かにサビには入っているのですが、矢野顕子さんの歌の代わりにストリングスがサビのラインを奏でていきます。そしてそれはそのままエンディングの渡辺香津美さんのソロへと入っていきます。このあたりのアレンジが曲を締めていて非常にまとまりを感じます。

それでも唯一、何?って想うところはタイトルの『アイル・ビー・ゼア』とコーラスが入るところでしょうか。雰囲気は解りますが、これは矢野顕子さんを絡めて欲しかったと想います。
また、このバックでは渡辺香津美さんがソロを展開しているのですが、どうもそれが良く聴こえないと言うのもちょっと不満と言えばそう・・・。ここはソロではなく、あくまでも『ソロでのバッキングプレイ』と言う意味合いで聴くとその意図も良く解りますが、結構いいラインを奏でているので、ギター好きにはちょっと残念かと・・・。


09:マザー・テラ
スロウな8ビートの中にもスペーシーで幻想的なムードが漂っている坂本龍一さんの曲です。
テーマらしいテーマがなく、いたってBGM的に曲は進み、渡辺香津美さんのソロに入ってそのままフェードアウトしていきます。

ここでの渡辺香津美さんは、アコギでソロを奏でます。しかし途中でアコギ?って想ってしまう部分もあります。いづれにしても曲調にあった不思議な音の選択ですね。フレーズはいたってジャズ的。後半にはオクターブ奏法なども聴かせてくれます。

不思議なムードの中、この名作は幕を閉じていきます・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

『もともとが、六本木ピットインでの6日間のライヴで、前半3日は自分が仕切ってジャズを、後半3日間は坂本龍一に任せてレゲエっぽいものやポップス、テクノを演奏し、その複合体がこのKYLYNだ』

渡辺香津美さんがこの作品を回顧しています。

私が言うまでもなく、この作品はその3日づつのパフォーマンスのコンセプトがそのまま収録されている形なので、前半はジャズ、フュージョンの世界、そして後半は坂本龍一さんの世界。
CDで聴くと、あの超絶な4曲目とライトな5曲目が連続して再生されるので、個人的には物凄い違和感があり、それがwalkingをして聴き終わったあとの感想である『・・・』と言うことになったわけです。

考えてみれば、LPレコードの時代には、5曲目からB面になったので、レコードを裏返したり、その間にコーヒーを入れなおしたり、また用足しにいったり、とわずかな時間ですが現実に戻ったわけです。カセットテープでも、裏返して巻き戻したり・・・。それが違和感を薄めて、2つのコンセプトを明確にしたのだと想うのです。

ですからCD化が逆に作品全体と言う見方をすると弊害の一部にもなったかと。2つのコンセプトが入っていることは、ジャケットの赤と青がしっかりと分かれているデザインにも表れていますね。

また、渡辺香津美さんはこのようにも言っています。

『バンドアンサンブルを交えて新しいものを創りたかった。その結果がこの作品で坂本龍一のアレンジが不可欠だった。ウェザー・リポートやEW&F、スティーリー・ダンなど革新的なものが生まれた時代なので、こっちもうかうかしてられなかった・・・』

その若いエネルギーと革新の気持ちが炸裂してるのがこのプロジェクトと言うことですね。

とかく私もそうなんですが、KYLYNを語る時に、超絶なバンド、この作品で言うならはA面のコンセプトのことになってしまうことが多いです。
確かに、walkingで聴き終えたときにはその感じがありましたが、1曲づつ細かく聴いていったら、B面の世界もかなり『いけてる』かな、と想いました。YMO自体をあまり聴かなかったので良く解らないのですが、このB面のテイストってあるんですよね。

渡辺香津美さんもYMOのツアーに参加していましたし、そのままメンバーへ・・・と言うのも流れとしては面白かったかも知れません・・・。
もうひとつKYLYNをそのままレギュラー・バンドとして継続・・・と言うもの良かったかも知れません・・・。
つまり、このプロジェクトが2つの大きな音楽の流れを生んだわけで、その意味においても、今まで半分の面しか聴いていなかったことはちょっと反省です。

それでも、実際はこの経験を軸にして名作TO CHI KAが生まれるわけで、その選択はファンにとっては最高の選択だったと言うことでしょうか。

いずれにしても、歴史にいろいろな意味で絡んでいるエポックメイキング的な傑作。
そこには、『何かがしたい!』と言う若いエネルギーが炸裂しています。

しかし、この作品やライヴを聴くことが出来たリスナーはもちろんですが、ここでエネルギーを爆発させたミュージシャンたちのその後の継続した活躍を聴くと、そのミュージシャンたちの『糧』になったのがこのKYLYNプロジェクトの最も歴史的な意味だったとも言えるような気がします。

(CD TOTALTIME:45:34/ Walking消費カロリー:183.18kcal)
【参考・引用/jazzLife別冊:JAZZ GUITAR 2003・2005】

にほんブログ村 音楽ブログ ジャズ・フュージョンへ  人気ブログランキングへ
 
Better Days レプリカ・コレクション-4 KYLYN (紙ジャケット仕様)Better Days レプリカ・コレクション-4 KYLYN (紙ジャケット仕様)
渡辺香津美 矢野顕子 坂本龍一

曲名リスト
1. 199X
2. SONIC BOOM
3. WATER WAYS FLOW BACKWARD AGAIN
4. MILESTONES
5. E-DAY PROJECT
6. AKASAKA MOON
7. KYLYN
8. I’LL BE THERE
9. MOTHER TERRA

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

(*)本文に登場したCD・DVD

Better Days レプリカ・コレクション-5 KYLYN LIVE(紙ジャケット仕様)Better Days レプリカ・コレクション-5 KYLYN LIVE(紙ジャケット仕様)
渡辺香津美 G.Vannelli 矢野顕子
by G-Tools

Better Days レプリカ・コレクション-6 TO CHI KA(紙ジャケット仕様)Better Days レプリカ・コレクション-6 TO CHI KA(紙ジャケット仕様)
渡辺香津美
by G-Tools

あとがき
★トラックバック、コメント歓迎いたします。
★ギター好き・音楽好きの為のサイトも運営しています。お暇なら遊びに来てください。
>>>ギターの響き・ソロギターを中心とした”ギター好き・音楽好き”のサイト

KYLYN 【その1】/渡辺香津美

Better Days レプリカ・コレクション-4 KYLYN (紙ジャケット仕様)

昨日は良い天気でしたが、今日は雨・・・。と言うことで昨日は渡辺香津美さんのKYLYNwalkingをしました・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

この作品は1979年の作品。言わずと知れたJ-フュージョンの名作です。今更レビューも恥ずかしい気もするのですが、先日 milkybar音盤絵巻 さんのブログでその存在を知ったライヴ映像。見てはいけない禁断の世界を見てしまったような罪悪感と興奮があり、流れとしてやはり聴いてみたくなるのが真情・・・。
かなり久しぶりに聴きましたが・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

walkingを終えて聴き終えたときの印象ひと言で言うと『・・・』。

KYLYNにはご存知の通りライヴ作品KYLYN LIVE(*)がリリースされていますが当時、とは言ってもリアルタイムではありませんが、ほとんどライヴばかりを聴いていた記憶があります。
さらに今回は映像を観た後ですので、その雰囲気と強烈なインパクトが先入観になってこの作品に対する過去の記憶が、頭の中で膨張していたのだと想います。
ですから、そのギャップのために『・・・』と言う感想になったのです。

1曲つづ細かく聴いていきます・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

01:199X
2分弱と言う短い曲ながらも、ユニゾンを使用した切れのあるバッキングあり、ブラスの派手めのユニゾンあり、オーケストレーションされた部分がありと、いろいろな展開を持っています。いかにもスペシャルなオープニングに相応しい渡辺香津美さんの曲ですね。

イントロの部分から『ぶっ飛んで』いて、拍が取りにくい構造を持っています。

イントロの最初の4小節は、左チャンネルで白玉を奏でる坂本龍一さん(多分)のエレピと右チャンネルでイントロのメロディリフを奏でる益田幹夫さん(逆?)のエレピ、
そして村上秀一さんのドラム、さらに途中からエレピとユニゾンで渡辺香津美さんが入って来るという構成。

4拍目の終りの8分音符、つまり8分音符食って始まっているように聴こえるのですが、その後の2回目以降のパターンを聴く限りは食っていないと想われます。
しかし、食って聴こえてさらに拍を取りにくくしているのは村上秀一さんのドラムが全て。バスドラとスネアを入れる位置を8分音符分ずれて入れているので、結果として食っているように聴こえてしまうというマジックを使っています。
ですから、村上秀一さんのドラムだけを純粋に聴いていくと、8分音符分少なくパターンが終わっていることが解ります。まあ、実際は譜面を見ないと解らないのですが・・・。
これは、叩く方も難しいのですが、エレピとギターもなかなか合わせるのは難しいかと。

ですから、楽器を演奏したり、バンドをしていたと言う観点で言うと、どのようにカウントを取ってスタートしているのか!拍を取って演奏をしているのか!と言うのを映像で観てみたいですよね。個人的にはこのようなリズムのギミックは無条件に大好きで、特に、2回目に入ったときに感じる『ズレがぴったりと合っていく感覚』がやったり!と言う感じで実にカッコ良い!肝!です。

さらに2回目は、渡辺香津美さんがベースの小原礼さんとユニゾンで対旋律のようなリフを入れます。この展開がまた良いですね。このパターンは渡辺香津美さんのこの後の作品であるTO CHI KA(*)に収録されているユニコーンのアイデアに結びついている感じでしょうか。
また、ペッカーさんのパーカッションがさり気無く入ってくるところがビートに乗りを出しています。

次ぎの3回目、4回目は渡辺香津美さんのややワウをかけたような音でのカッティングが入り全体にスッキリと流れて次ぎのパターンへ入っていきます。4ビート風のパターンに入る前の部分での村上秀一さんのドラムが良いですね。まさにスティーブ・ガッドさんのような・・・と言うのがハマリます。

4ビート風のリズムに乗って渡辺香津美さんが奏でるテーマにブラスが重なってくるところは、かなりの盛り上がり。
でもそれを一度切るようにロングトーンのクラシカルで幻想的な展開に入っていって、次ぎの曲を導くように終わっていきます。


02:ソニック・ブーム
いかにもこの時代のフュージョンサウンドと言えるエッセンスがたくさん詰まった曲です。ただでさえジャンル分けがしにくいフュージョンなんですが、単なるインストと言うことではない、ある意味攻撃的なサウンドであるこの時代のフュージョンサウンド。
その大きな部分を占めるのが、高レベルのインプロヴィゼーション。

ファーストソロは益田幹夫さんのエレピ。
この音もいかにもフュージョンと言える音質です。耳にキンッと来るような高音を使用したフレーズと左手のバッキングを歯切れ良く使用したリズミックなフレーズはエレピソロのお手本のようです。

また、左チャンネルの渡辺香津美さんのバッキングは、単音をややミュートして、さらにフェイザ―かフランジャーをエフェクトした、これまた典型的なこの時代のバッキングパターン。
意外なのは右チャンネルの坂本龍一さんのピアノのバッキング。決してエレピのソロラインを邪魔することが無くそれでも主張をしていて、ジャズ的なバッキングではないのですが、ちょっと耳を想わず傾けてしまう、いい味を出しています。

続くソロは渡辺香津美さん。
当時の愛器、アレンビックのショートスケール・ギターのクリアトーンだと想われます。渡辺香津美さんは、スタンリー・クラークさんのような音をギターで出したいと言うことでアレンビックを使用したと読んだことがあります。
そのおかげかどうか解りませんが、ベースのアレンビックはスタンリー・クラークさんでギターは渡辺香津美さんの代名詞のようになりましたね。
それにしては、少し音質が丸く太いような気がするので、もしかしたら、この作品で使用しているギブソンのレスポールかも知れませんが・・・。どちらにしてもいい音です。

良いのは音だけでは無くてもちろんプレイも見事です。
クリアトーンなんですが、曲の雰囲気とか攻撃的な感じを出すために、あえてジャズ的なスタートでは無く、チョーキングで決めていくところがカッコ良いです。

CD Time=2:58やCD Time=3:00でさり気無く、それでいて粒揃いで切れの良い3連のアクセントはソロラインにスピード感をもたらしています。

CD Time=3:11からのコードを分散したフレーズからスケールチェンジをしてそのまま6度のインターバルにスライドを使用して上昇していくフレーズは、ギターのフレット上を横に移動していくフレーズで、ポジションを正確に押さえるのが難しいのですが、問題なし!と言う感じです。
さらに、この横方向へのアプローチはその後のCD Time=3:23のオクターブを使用したフレーズや、CD Time=3:35の解放弦の音を細かく入れて動いていくフレーズに結びついていきます。

このような一聴派手なフレーズはもちろんアクセントになるのですが、CD Time=3:20のような音の動きは少ないのですが、その選択と運びが見事で抜群にジャージーなフレーズも聴き応えがあります。

ソロのエンド部分が少し尻切れのようにまとまっているのが残念と言うか気になるのですが、それでも、途中何回かミストーンもありますので細かいことより全体的な流れとグルーヴを選んだソロテイクと言うことですね。その意図と選択は全く間違えではなくて、まさに高レベルのインプロヴィゼーションに仕上がっています。

再びテーマに戻ってから、イントロのパターンをバッキングに強力なソロを決めるのが清水靖晃さんのテナーサックス。

スタートでのいきなりのフラジオのロングトーンが既に『ぶっ飛んで』いる感じで良いですね。かなり熱いソロで、トリッキーなフレーズや叫ぶようなフレーズが多いのですが、それでも要所はジャズ的なラインで決めていきます。まさに、マイケル・ブレッカーさんのような・・・と言うのがハマリますね。
清水靖晃さんも真似ているけど物真似ではないのですが、聴いている方は勝手なもので、マイケル・ブレッカーさんだったらここは6連符の速いパッセージで下がるでしょう!などと想ってしまうのです・・・。

このソロで曲はフェードアウトしていきます。渡辺香津美さんのソロでフェードアウトではなくて清水靖晃さんのソロでフェードアウトと言うのは大正解ですね。
それくらい熱く、高レベルのインプロヴィゼーションだと言えます。


03:ウォーター・ウェイズ・フロウ・バックワード・アゲイン
渡辺香津美さんのアコギと坂本龍一さんのエレピ、そして矢野顕子さんのピアノで奏でる和風のテイストがあるアコースティックなナンバーです。この曲はずっと渡辺香津美さんの曲だと想っていましたが、今回お恥ずかしながら矢野顕子さんの曲だと言うことを始めて知りました。

渡辺香津美さんはエレキをメイン、アコギをデザート、つまり『おやつ』として名作おやつ(*)をリリースしたのですが、最近はめっきり『おやつ』がメインになりつつあります。
その世界観をこの曲で垣間聴くことができますね。その意味ではアコギ渡辺香津美さんのルーツ的な意味合いのある曲とも言えますでしょうか。

ここでのアコギはこれまた名器、オベーションのアダマスと言うギター。当時のアダマスも物凄く高い楽器でした。アレンビックと言い、アダマスと言い・・・。当時の名器のオンパレードですね。

渡辺香津美さんのギタープレイはもちろんなんですが、矢野顕子さんのピアノプレイが光っています。

曲は、ジャズ的でフリーな感じの中にもかなり計算をされたアレンジの跡が伺えます。どちらかと言うとクラシカルな側面を持っていてまとまりのある楽曲に仕上がっています。


04:マイルストーン
言わずと知れたマイルス・デイビスさんの名曲。とにかくカッコ良くて、一時期はこの演奏と言うか、KYLYN LIVEでのバージョンばかり聴いていた記憶があります。そう言えばKYLIN LIVEのバージョンはフェードインしていて全て収録されてはいなかったですね。

ギターのグリッサンドをきっかけにアップテンポでお馴染みのテーマがスタートします。小原礼さんのベースラインが歯切れ良くて、いいブルーヴを生み出しています。

テーマからサビのパターンへいくと想いきや、いきなりソロに入っていくアレンジが良いですね。ファーストソロは本多俊之さんのソプラノサックスです。

コードのベース音を使用したリズミカルなフレーズからスタートします。全体的に音の範囲を狭くして、さらに細かいフレーズのリフレインなどを多用して、どちらかと言うとメロディアスなラインで吹き抜けるのではなくて、感情高ぶるフレーズで攻めてきます。

それもそのはずで、バックの村上秀一さんのタイトなリズムと小原礼さんの絶妙なタイミングのおかずが入ったビート、さらに、左右の坂本龍一さんと益田幹夫さんのエレピのバッキングに、センターで歯切れの良い渡辺香津美さんのカッティング・・・。
この怒涛のビートの中で、感情が高ぶらない方かおかしい?とも想えるぐらいの強烈なグルーヴがあります。

続いてはサビの部分のコード進行をハーフテンポ的にして、トロンボーンの向井滋春さんのソロです。トロンボーンの音がまるで像の叫び声に聴こえるようなアフリカンテイストが漂います。
この部分が今までのアップテンポにひと呼吸を置くと言う意味で、物凄い効果的なアレンジになっていると想います。またペッカ―さんのパーカッションも効いていますね。

そして村上秀一さんのドラムのフィルを合図に再びアップテンポになり渡辺香津美さんのソロがスタートします。先ほどのハーフビート的な展開がさらにこの部分のソロのスタートにインパクトを与えていますね。

ここでの渡辺香津美さんの音は、かなり潰れたような音の歪み系です。線の細さも感じますので、ライナーノーツから拾ってみるとカスタムメイドのストラトキャスターではないかと想われますが・・・。

コード進行はワンコードなので、いろいろな仮想コード進行やいろいろなスケールを多用してバラエティに富んだフレーズを展開しています。
基本的にはチョーキングを使用したロック的フーレズとジャズのⅡ-Ⅴなどを想定したジャズラインと機械的に動いていくシーケンスラインを、これまた絶妙に組み合わせてワンコードと言う一歩間違えば陳腐になってしまうコード進行に、飽きのこない見事なソロを構成しています。

例えば、CD Time=4:18からのバップ的なフレーズからCD Time=4:21で機械的に上昇して行くシーケンスラインへ、そしてCD Time=4:25からのペンタトニックスケールを使用したロック的フレーズから、CD Time=4:28で1音半チョーキングを決める・・・見事な流れを持って迫ってきます。

多少荒削りな部分もありますが、それは全体の乗りやビートから考えると、かえって興奮状態が解って、さらにライヴ感があってよかったりします。

そしてその興奮はCD Time=5:15からのトレモロを連続するフレーズから頂点に達していきます。

CD Time=5:18では渡辺香津美さんも雑誌で言っていた『ワンコードの場合に有効な奏法』である、同じフレーズを繰り返すパターンをトレモロで奏でます。この感じはちょっとラリー・コリエルさんの影響が聴けますね。
その後のCD Time=5:26も同じパターンの繰り返しフレーズですが、今度は奇数でのポリリズムのラインを高速で連続します。このあたりはジョン・マクラフリンさんと言った感じでしょうか。
またバックでの村上秀一さんのハイハットとサイドシンバルを巧みに使用したドラミングがさらに興奮を高めていきます。

ソロの最後の部分は、コードが上昇して次ぎのパターンへのブリッジになっていきます。
この部分はスケールもどんどん変わっていく難しい部分なんですが、ここでの渡辺香津美さんのフレーズは、もう言葉にならないくらい見事で、コードの特徴的な音を捉えつつ、なお且つ興奮も持続しているような・・・感動すら覚えてしまうラインでまさに肝!です。

その後、ベースとギターのユニゾンをモチーフにしたパターンに入り再びテーマに戻ります。
そして、CD Time=6:51のテーマのフェイクとも取れる印象的な部分・・・。このアレンジは見事と言うか無条件にカッコ良い!アレンジです。また、曲中で1回しか出てこないのがさらに印象的です。

そしてテーマに戻って今度はサビに入ります。サビもここのみ一回しか出てきません。このアレンジも憎いものがあります。

さらにテーマに戻って、終りの部分ではテーマが8分音符を頭で奏でていくのに対して、バックの演奏をその裏ビートでユニゾンをさせてエンディングになります。

曲の面白さはもちろんなんですが、これだけ凝ったアレンジは実に聴き応えがあります。
それでも曲自体が単純なコード進行なので、勝負は言うまでもなくインプロヴィゼーションにかかっている部分が大きいです。

と言うことで、この勝負・・・もちろん勝ち!ですね。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★


続きのトラックは次回に・・・。


(CD TOTALTIME:45:34/ Walking消費カロリー:183.18kcal)

にほんブログ村 音楽ブログ ジャズ・フュージョンへ  人気ブログランキングへ
 
Better Days レプリカ・コレクション-4 KYLYN (紙ジャケット仕様)Better Days レプリカ・コレクション-4 KYLYN (紙ジャケット仕様)
渡辺香津美 矢野顕子 坂本龍一

曲名リスト
1. 199X
2. SONIC BOOM
3. WATER WAYS FLOW BACKWARD AGAIN
4. MILESTONES
5. E-DAY PROJECT
6. AKASAKA MOON
7. KYLYN
8. I’LL BE THERE
9. MOTHER TERRA

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

(*)本文に登場したCD・DVD

Better Days レプリカ・コレクション-5 KYLYN LIVE(紙ジャケット仕様)Better Days レプリカ・コレクション-5 KYLYN LIVE(紙ジャケット仕様)
渡辺香津美 G.Vannelli 矢野顕子
by G-Tools

Better Days レプリカ・コレクション-6 TO CHI KA(紙ジャケット仕様)Better Days レプリカ・コレクション-6 TO CHI KA(紙ジャケット仕様)
渡辺香津美
by G-Tools

おやつおやつ
渡辺香津美
by G-Tools

あとがき
★トラックバック、コメント歓迎いたします。
★ギター好き・音楽好きの為のサイトも運営しています。お暇なら遊びに来てください。
>>>ギターの響き・ソロギターを中心とした”ギター好き・音楽好き”のサイト

ライク・マインズ【その2】/ゲイリー・バートン、チック・コリア、パット・メセニー、ロイ・へインズ、デイヴ・ホランド 
LIKE MINDS/BURTON,COREA,METHENY,HAYNS,HOLLLAND

ライク・マインズ

バートン、コリア、メセニー、へインズ、ホランドさんのライク・マインズのTrack05から細かく聴いてみます・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

05:ライク・マインズ
この曲はゲイリー・バートンさんが福岡で書いたと言う曲。福岡とのイメージが全く合わないのですが、それにしても複雑なコード、そしてシンコペーション。これは難曲ですね。

ファーストソロはゲイリー・バートンさん。
細かく分析していませんが、多分コード進行を聴いた感じだと使用するスケールもコロコロ変わる曲ではないかと想います。それでも速いパッセージを中心にして、見事に連続したメロディを奏でていきます。決してフレーズがスケールによって切れ切れになっていないところがプロと言うことなんですが、それ以上にメロディアスに繋がっているところが、更に上をいくと言う感じです。
CD Time=1:25でベースのデイヴ・ホランドさんが一瞬4ビートになりそうになる感じが実にいいですね。

続いてはパット・メセニーさんです。
スタートの部分で一瞬全体が静かになるのですが、そのときにパット・メセニーさんの音が左チャンネルの方に綺麗にリバーヴが返されているのが解ります。
パット・メセニーさんのフレーズはけっこうアウトフレーズ。と言うかコード進行の複雑さを逆に捉えて、あえてアウト風にコードトーンを捉えていると言ったらよいでしょうか。ゲイリー・バートンさんのメロディアスなアプローチとはまた違った感じで、絶妙な浮遊感を醸し出しています。

続いてはチック・コリアさんのソロです。
2人のソロの中間のようなイメージでしょうか。メロディアスでありながらもアウトフレーズとリズミックなフレーズそして、クラシカルなコード和音を使用したダイナミックなフレーズを奏でていきます。

最後はベースのデイヴ・ホランドさんのソロです。
リズム的なアプローチでグルービーに奏でています。また、このバックでのロイ・へインズさんのスネアワークがデイヴ・ホランドさんのフレーズを静かに盛り上げています。


06:カントリー・ローズ
デイブ・ホランドさんのファニーな感じのソロからスタートするスローなブルースナンバーです。いわゆる4ビートのブルースではなくて、まさにカントリー的なもの。非常にまったりとしたビートの中にも、ロイ・へインズさんのリムショットが効いていてクセになりそうなナンバーです。

3人のソロは見事にブルージーに奏でているのですが、特にパット・メセニーさんのソロはかなりオーソドックスなブルースフレーズを奏でているのがけっこう意外な感じもしました。
また、お互いのバッキングはテンポがスローでまったりしていることもあって、よく遊んでいると言う感じがします。
全体にリラックスしていてよい感じのトラックに仕上がっています。


07:ティアーズ・オヴ・レイン
幻想的なイントロから始まるパット・メセニーさんのバラードです。
最初はフリーテンポで始まるのですが、インテンポになった時にシンセのような感じのロングトーンがずっと続いています。その音が段々クレッシェンドして、CD Time=1:14でこれがピアノで奏でている音だと言うことに気が付きます。このようなトリッキーな奏法もチック・コリアさんらしいアイデアですね。

前のブルースナンバーのまったりとしたスローと対比するようにマイナーで幻想的なまったりさのある中で演奏は続いていきます。

チック・コリアさんのソロは和音を上手く使用したスケール感の大きなラインを奏でています。また、パット・メセニーさんは曲調のためもありますが、パット・メセニー・グループでのソロラインのような得意技フレーズを連続しています。


08:スーン
この曲はジョージ・ガーシュインさんの曲。いわゆるスタンダードなコード進行を持ったスインギーなナンバーです。

ファーストソロはパット・メセニーさん。
かなりオーソドックスなジャズラインで弾き切ります。一瞬クロマティックを使用した得意フレーズへ行きそうになるかと想いきや、行かない!と言う、6曲目と同じで意外なアプローチを聴かせてくれます。それにしてもラインが切れ目無く繋がっていくのは見事です。

続いてはゲイリー・バートンさん。
ゲイリー・バートンさんのラインもオーソドックスなジャズラインです。目まぐるしく動くヴァイヴの音が実に心地よいです。そのフレーズの為か、全体にこのソロのバックは非常にスウィングしています。

そしてチック・コリアさんのソロ。
前の2人とは少し違って、もちろんオーソドックスなジャズラインもありますが、その中にパーカッシブなフレーズやアウトフレーズで抜群の個性を出しています。

その後はデイヴ・ホランドさんとロイ・へインズさんの掛け合いになります。

実にオーソドックスなジャズナンバーに仕上がっていて、まさに全員のルーツがジャズで、その基礎の部分がしっかりあってこその、チック・コリアさんならエレクトリック・バンドであったり、パット・メセニーさんならPMGであったりと言う、エレクトリックなアプローチがあるのだ、と言うことを今更ながら感じました。

以前ジョン・スコフィールドさんが「フュージョンだけしかできないミュージシャンには
興味が無い」と言っていましたが、まさに、ルーツ的なトラックに仕上がっています。


09:フォー・ザ・サウザンド・イヤーズ
パット・メセニーさんの3/4拍子で流れていく綺麗な曲です。
テーマが短くてすぐにソロに入っていきますが、パット・メセニーさんはPMGでの壮大な楽曲も魅力がありますが、このようないかにもセッション向きで、サラリと書いたような楽曲も魅力的ですね。

テーマはいつの間にかと言う感じでチック・コリアさんのソロに変わります。
細かいフレーズを連続して歯切れの良いメロディを奏でていきます。ちょっと弾き難そうな感じも受けるのですが、これはこの曲のコード進行の展開の速さと複雑さのためでしょうか。

続くパット・メセニーさんのソロは自分の曲と言うこともあり実にメロディアスなフレーズです。

この後、デイヴ・ホランドさんのソロからゲイリー・バートンさんのソロへと繋がりエンディングを迎えます。


10:ストレイト・アップ・サイド・ダウン
アップテンポなチック・コリアさんのナンバー。複雑なリズムをもったテーマのメロディをユニゾンで3人が奏でていきます。

複雑なテーマの雰囲気ではなくてソロのパターンは基本的にワンコード。しかもアップテンポ。今までの曲が複雑なコード進行でのソロが多かったので、このようなワンコード的に弾きまくるソロはまた違った面白さとテクニックを味わうことができますね。

ファーストソロはチック・コリアさん。
ひと言、超絶です。特に左手のコードワークが歯切れ良くてメロディラインがいきいきと響いています。CD Time=2:27では一瞬、クラシカルなコード奏法がリードするのですが、すぐに右手が再び速いパッセージを奏でていきます。このワンポイントのメリハリが良いですね。

続いてはパット・メセニーさん。
前半から飛ばしていきます。得意のクロマティックなアプローチを挟みながら軽快にフレーズを奏でていきます。
CD Time=3:50では珍しいピッキングハーモニクスを聴かせてくれます。これは、左手で16フレットを押さえて、右手の人差し指か中指でブリッジと押さえたところとの丁度半分の位置に触れてピックで弾くと同時に触れている指を離すと言うもの。たまにパット・メセニーさんは使用するのですが、ひとつのフレーズの流れな中でアクセントとして使うのは珍しいと想います。それもこのアップテンポですのでなかなかそのタイミングが難しいところ。失敗すればミストーンと言う場面。

実はこれと同じ奏法をCD Time=3:19でも弾いています。ここではやや低い音でのフレーズでしたので
そんなに際立っていませんが、おそらく、その後CD Time=3:50に向かうまでのフレーズが無意識の内に弾けるような得意技フレーズを連続しているので、このCD Time=3:50での『ひと響き』のタイミングを狙っていた!と勝手に推測するのですが・・・。

続いてはゲイリー・バートンさんのソロ。
こちらも超絶です。音がコロコロと高低を行き来するのが手にとる様に解ります。CD Time=4:28から引っ掛けるようなリズムで下がっていって再び上がるフレーズは鳥肌が立つようなラインです。

続いてデイヴ・ホランドさんのソロです。
速いパッセージとリズミカルなフレーズを融合した存在感のあるソロです。
また、ここではソロはもちろんなんですが、チック・コリアさんの静かに奏でるバッキングが何かとても可愛らしくていいです。これだけ静かに弾けて、存在感を出すと言うのはまさにテクニックですね。

さらにチック・コリアさんのバッキングの反応の良さはCD Time=6:53からのデイヴ・ホランドさんのポリリズムのパターンにあわせるところで聴くことができます。
またその後は、デイヴ・ホランドさんのメロディアスなCD Time=7:05からのフレーズに、今度はパット・メセニーさんが反応して優しくコードを奏でます。
このあたりのバッキングの妙はまさに肝!です。

短いのですが、ロイ・へインズさんのソロを挟んで再びテーマに戻り、そして怒涛のエンディングとなります。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

今回はどうもチック・コリアさんにやられた感があります。

ソロプレイはもちろんのこと、音質と録音もあると想いますが、バッキングでの絡みやフレーズは見事なものがあります。また、全体の雰囲気を司っていて、さらにバッキングを含めたトータルな曲の進行も支配してるような感じさえしました。
この作品のリーダーは?と言われたらチック・コリアさんと答えます。

それでも、それは今回聴いた印象で、ある意味、たまたまとも言えます。
次回はゲイリー・バートンさんのプレイかも知れませんし・・・。

つまり、誰のプレイを追っかけても聴き応えがあり、5人がそれぞれ持ち味を出して、超絶なプレイを繰り広げていると言うことですね。

3人のソリストがトライアングルの位置で音像の中心にあって、それぞれの奏でている音とフレーズの関係が良く解ります。
さらに、その周りで奏でているリズム隊がそれを盛り上げていると言う構図。

最初に感じたピアノの音が少し大きい?と言うマイナスイメージが、逆に楽しく聴くためのギミックだったと言うことに気がついたときには、すっかりその音の渦に巻き込まれていました。

また、物凄く難しい曲が多い中で、決してアップアップではなく、プレイの中に余裕みたいなものを垣間聴くことが出来るのが実に心憎いです!

(CD TOTALTIME:68:24/ Walking消費カロリー:274.97kcal)

にほんブログ村 音楽ブログ ジャズ・フュージョンへ  人気ブログランキングへ
 
ライク・マインズライク・マインズ
パット・メセニー,ロイ・ヘインズ,デイヴ・ホランド ゲイリー・バートン・ウィズ・チック・コリア ゲイリー・バートン チック・コリア

曲名リスト
1. クェスチョン・アンド・アンサー
2. イルシデイション
3. ウィンドウズ
4. フューチャーズ
5. ライク・マインズ
6. カントリー・ローズ
7. ティアーズ・オブ・レイン
8. スーン
9. フォー・ア・サウザンド・イヤーズ
10. ストレイト・アップ・アンド・ダウン

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
あとがき
★トラックバック、コメント歓迎いたします。
★ギター好き・音楽好きの為のサイトも運営しています。お暇なら遊びに来てください。
>>>ギターの響き・ソロギターを中心とした”ギター好き・音楽好き”のサイト


   過去にどんなCDでwalkingしたのか・・・

   ★テキストでのリストと日付アーカイブはこちらから
   >>>Archives

   ★そうは言ってもジャケットとさわりを読みたい方はこちらから
   >>>CD review

   ★このサイトってどんなサイト?と想われた方、また簡単な自己紹介は
   >>>こちらをご覧下さい。