WHAT YOU SING IS WHAT YOU GET 【2】/WYSIWYG
今日のwalking MusicはWYSIWYGのWHAT YOU SING IS WHAT YOU GETの続きです。トラックの07から総論レヴューです。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★
07:Tales of the Temple
少し跳ねたちょっとアップテンポの8ビートに
Em9というちょっとダークですがお洒落なコード。
拍頭に他の楽器がコードを流し
その間を岡田治郎さんの細かいベースラインが埋めていくイントロ。
テーマは矢掘孝一さんのギターが中心ですが
引っかけたようなメロディに合わせて
全体が喰ったりしながら進みます。
テーマは,もうひと山欲しい!
というところで短く終わっていて
そのまま矢掘孝一さんのソロに入っていきます。
コード進行は循環コード。
テーマやイントロとは違ってメジャーなコード進行で
明るめの雰囲気があるのですが
矢掘孝一さんのチョイスしているフレーズにややダークな香りがあり
全体にイントロの雰囲気が残っているのがいい感じです。
間奏部分はギターソロのコード進行でユニゾンが入ります。
その後は4ビートに展開して新澤健一郎さんのシンセソロです。
再び間奏部分から続いては岡田治郎さんのベースソロ。
そして間奏部分からイントロへ戻ります。
そしてテーマから再び間奏部分に入りエンディングです。
この曲はセッション的な曲ということのようです。
でも、イントロやテーマ部分がかなりカッコ良いので
もう少し曲を練ったらかなりいける曲になったと
個人的には想います。
08:Ariel
岡田治郎さんのベースソロ・パフォーマンス曲です。
非常に綺麗な音のフレットレスで
軽くかかっているリヴァーヴがいい空間を演出しています。
曲はフリーテンポのバラードで朗々と歌い上げています。
今まで、速いパッセージが目立っていたのですが
ここで華やかさだけではない
リリカルな岡田治郎さんのプレイを聴くことができます。
ハーモニクスや和音でのベース音の選択などは
ジャコ・パストリアスさんのような雰囲気が漂います。
09Fairyland
前の曲から切れ目なくシンセの和音と
ドラムの16ビートでのスネアがフェードインしてきます。
パット・メセニー・グループで言うと
ラスト・トレイン・ホームみたいな雰囲気が漂います。
テーマは前の曲から引き続く感じで
岡田治郎さんのフレットレスベースが奏でていきます。
ドラムの16ビートとは逆にゆったりとしたメロディと
綺麗で情緒的に展開をするコード進行。
大変美しいこのメロディとコード進行は新澤健一郎さんの曲。
2コーラスめはベースから
クリアトーンの矢掘孝一さんのギターにバトンタッチされてのメロディ。
ギターでのメロディも良いのですが
ここはフレットレスベースでのメロディの勝ち。
ちょっとしたユニゾン的なサビが入って
矢掘孝一さんのソロに入ります。
コード進行はそのままテーマ部分の進行です。
このコード進行はけっこう使用するスケールが変わっていく
ソロを取るには難しい進行。
矢掘孝一さんは、クリアなトーンで
コード進行を十分に意識した速いパッセージを奏でていきます。
たぶんバックの演奏がなくても
そのソロラインだけでもコード進行を十分感じることができると想われる
見事なラインで弾き抜けていきます。
CD Time=2:20からCD Time=2:24までの流れなどは
もうグッと来てしまうまさに肝!です。
このソロがこの作品での矢掘孝一さんのベストプレイだと想います。
続いてソロを取るのは新澤健一郎さんのシンセ・・・。
と想ったのですが、その後のソロがピアノソロになっているので
これはもしかしたら矢掘孝一さんのギターシンセかも?
そう言われて聴くと
フレーズがギターっぽいと言えばそう聴こえますが・・・。
新澤健一郎さんのピアノソロは
これまた綺麗なコード進行に乗ってリリカルに奏でていきます。
最初は、短音でのパッセージが中心ですが
CD Time=4:05からはクラシカルに左手の和音などを入れながら
雄大なプレイに変わっていきます。
バックのドラムもそれに合わせて、スネアにアクセントを入れて
ピアノのプレイを盛り上げていきます。
ユニゾン的なサビを挟んで戻ったテーマは
今度はフレットレスベースとギターのユニゾンで奏でられていきます。
そしてエンディング。
この部分はパット・メセニー・グループの
ハヴ・ユー・ハードの終わり方を少し優しくした感じ。
ちょっと無理かな?と言う感じもする唐突さが個人的にはあります。
とてもいい曲なので、このエンディングが本当に残念。
もったいないというか・・・何というか・・・。
でも、この曲がこの作品の中でも
ベストトラックになっているのは確かです。
10:カレカ
この曲は矢掘孝一さんのバンド、fragileのレパートリー。
また違った感じで楽しめます。
タイトルからもお解りだと想いますが
ジャズ・スタンダードのオレオからインスパイアされた曲のようです。
アップテンポで複雑なコード進行を持っている難しそうな曲ですが
矢掘孝一さんは、最初クリアトーンで
パット・メセニーさん風のラインをバシバシキメます。
その後ひずみをかけた音でさらに加速します。
続く新澤健一郎さんのムーグソロは
アナログ的なラインで奏でます。
そして、岡田治郎さんのソロ。
超速いパッセージを連続します。
岡田治郎さんを同じくベーシストの水野正敏さんが
「ベースの孝三(ドラムの菅沼孝三さん)」と言ったらしいですが
それが納得できるプレイです。
11:Funky Mobius
ミディアムスローにタイトなリズムの
今までとは少し雰囲気の違うドラムの嶋村一徳さんの曲。
テーマは矢掘孝一さんですが
世界はまさにジョン・スコフィールドさん。
この作品のライナーノーツは矢掘孝一さんが書いているのですが
自らが
「ジョン・スコ奏法、マグロ泳法をまねたうねりを感じることによって編み出された・・・」
と書いています。
遊び心もあって、曲調とともに少しリラックスした演奏になっています。
12:Mistic Island
ゆったりとした16ビートですが
テーマが細かいフレーズで作品のエンディングというよりは
2曲目くらいの感じがする曲です。
ここでも岡田治郎さんのソロがファーストで
いい味のラインを聴かせてくれます。
その後の新澤健一郎さんのピアノソロも
バックの盛り上がりも重なって熱いソロを展開します。
個人的にはエンディングにはあまりふさわしくない感じがする曲。
今までの流れが断ち切られるような
あっけなさを感じてしまいます・・・。
★☆WHAT YOU SING IS WHAT YOU GET・トータルレビュー★☆
walkingを終えて聴き終えたときの印象はひと言で言うと
『器用さが生み出す日本らしいフュージョンサウンド・・・』
強烈な個性があって
それを頑として貫くようなスタイルの
ミュージシャンは、特に海外に多くいます。
同時にそれが強烈な個性と世界観を生み出しています。
もっと、お洒落なコードを使った方が・・・
とか
もっと楽器の音を綺麗にした方が・・・
などと想ってしまう場面もあるのですが
それを抑えてても個性が勝!
というミュージシャンは逆に魅力的です。
しかし、特に日本のミュージシャンには
その部分がかけている人が多い感じがどうしてもしていまいます。
その分、器用さがあって
実に巧みにいろいろなエッセンスを散りばめている・・・
そんな感じがするのです。
これはこれでもちろん良いのですが
この器用さが日本のフュージョンの特徴的な色合い
という感じを実はずっと持っています。
その感覚がもろに出ているのが
この作品と言えます。
音楽的に器用と言うことは
楽器のテクニック的なことは申し分ないわけで
その部分がかえって
器用貧乏という感じになっていることもあります。
さらに、聴いていて一発で
このミュージシャンだ、よく似てる!
と解るようなことを堂々と
しかも遊び感覚でしてしまうのも
まさに器用さのなせる技。
でも、それは時に優等生的で
『危ない香り』や『危険な匂い』がなく
聴いているときのスリルが不足してしまうような感じがするのです。
その分抜群の安定感と安心感がありますが
これもまた器用さの現れ。
そんな
ある意味実に日本的なサウンドと言えるのが
この作品であるわけです。
でもけっこう好きです。
いい作品ですので機会があったらぜひ聴いてみてくださいませ。
![]() | What You Sing Is What You Get WYSIWYG 曲名リスト 1. Smile 2. Hen 3. Secret Forest 4. Ice on Fire 5. Venus in the Dusk 6. Double Black Ferther 7. Tales of the Temple 8. Ariel 9. Fairyland 10. カレカ 11. Funky Mobius 12. Mistic Islans Amazonで詳しく見る by G-Tools |


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