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前回は少し長くなってしまったのでその続きで上原ひろみさんの新譜タイム・コントロールについてです・・・
ジャズの演奏の形態にはいろいろなスタイルがありますが、ピアノトリオが一番「ジャズ」と言う感じがするので好きな形態です。上原ひろみさんを最初に聴いた時に、わたしが想っているジャズのピアノトリオ、例えば、オスカー・ピーターソンさんやキース・ジャレットさん、ケニー・ドリューさんまたはビル・エバンスさんのトリオ作品とは全く違うものでした。良い意味で期待を裏切られた感じでした。
硬派なジャズ好きな方が、「こんなのはジャズではない」とか「個性がない」などと言われることもあるようですが、わたしもそう想います。何回聴いてもジャズと言うよりはやっぱりフュージョンかなと・・・。でも、ジャズはもともと伝統的ではあるけれどもある意味、何でも「あり」の世界。そう考えるとやっぱりジャズなのかなとも想ったり・・・。新しい時代の新しいジャズかなとも想ったり・・・。
ピアノトリオに限らずギタートリオでも3人でシンフォニック的なことをするのには、キメやユニゾンを多用することがある意味で一番簡単な表現方法であり、音の薄さをカバーする方法としては理屈に合います。特にギタートリオの場合で4ビートではなく、もっとフュージョンに近い音楽の場合はどうしても音圧の問題が出てきてしまいます。そのためにギターシンセを使用したり・・。
上原ひろみさんもシンセを使用していますが、かなり中途半端な感じがするのですがいかがでしょうか?本来ピアノトリオの場合はそれだけでも十分シンフォニックなことを出来るはずだと想うのですが、シンセを使用する意味が良く解らないのです。シンセを使用しなくて、生ピアノだけで例えばカンフー・ワールドチャンピオンを演奏したらもっとかっこ良いと想いませんか?
例えばパット・メセニーさんのように「この音でソロを弾く為」に使用するのであればそれは必然ですし・・。でもそんな感じもしないんです・・・どうしても。
楽曲がけっこう好みで、しかも超絶テクニックだけで無くてバラードも十分に聴かせるだけの力があるのにもったいない感じがしていたんです。
そこで今回のタイム・コントロールではギターが入ると聴いて期待したわけです。しかしそのギターの使い方は先ほどのシンセを使うのと同じで、必然性が感じられないのです。
上原ひろみさんは頭の中のイメージをスコアに起こしてメンバーに渡すそうです。つまり、今回のCDのコンセプトで、ギターが必要だったと言うことですね。きっと。
でもギターはほとんどが、上原ひろみさんがシンセで弾いているような感じの音であったり、または非常にSE的な音であったり、または単なる効果音的な演奏であったり・・・。これはギターでなくても、シンセをオーバーダブすれば良いのでは?と想ってしまうんです。あえてギターで演奏する必然性がないと想うんです。
さらに聴いた感じがあくまでも前作スパイラル(*)の延長であり、ギターを入れなくてもトリオで十分な作品になったのでは?と想うんです。これで”ギターを加えた新しいプロジェクト発動!”見たいなコピーはどうにもいただけないと・・・。例えばオスカー・ピーターソンさんは基本的にピアノトリオでグイグイと自己主張していく演奏が主でしたが、ギターを入れたカルテットの編成にした時に、ギターと言うソロイストを上手く立てて、バンドとしてのクオリティを上げたと想います。
確かにこの作品はコンセプトが最後まで通っていて、最初から最後まで同じような曲で押し通すのはある意味すごいと想います。そしてこの作品においてはこのギターの使い方も解るんですが、あくまでもピアトリオを自ら完結させて、新しく始めるプロジェクトとしてはどうなんでしょうか?この新しいプロジェクトのサウンドが次回の作品にも通用するとは想えないんです。次回作はどうするんでしょうか?また、同じような路線で行くのでしょうか?それともこれは完結したので新しいプロジェクト!見たいな感じになるのでしょうか?そうすると、何か中途半端で、せっかくの力がもったいないと想うのです。
さらに今回の作品を聴いて想うのが、ピアノをもっと聴かせてください!と言うことです。実はこの点が一番不満な部分でもあります。当然ソロイストが1人増えたわけですのでその分ソロの尺が減るのは仕方がありませんが、バッキングでも光る部分はあるはずです。ソリストを立たせるようなバッキングを聴かせるのもピアノのテクニックだと想うのです。さらにソロ自体は、もう超絶に走るのは・・・。つまり1小節に16符音符で16の音でフレーズを弾くことよりも、1小節で1音でも心を打つフレーズがあるということです。とにかく、じっくりとピアノを聴きたいと想います。
そしてもうひとつ、ピアノトリオはまだまだ完結していないと言うことです。スパイラルで終りでは不満です。やっぱり。もっと奥が深いはずだと想うのです。徹底的にピアノトリオを追求して欲しいと想うのです。
と言うわけで、また生意気に書き綴りましたが、結論的にはこの作品はいまいちと言う感じなんです。でも基本的に上原ひろみさんは好きなので、次回作は本当に期待したいと想います。
![]() | タイム・コントロール 上原ひろみ~Hiromi’s Sonicbloom 曲名リスト 1タイム・ディファレンス 2タイム・アウト 3タイム・トラヴェル 4ディープ・イントゥ・ザ・ナイト 5リアル・クロックVSボディ・クロック=ジェット・ラグ 6タイム・アンド・スペース 7タイム・コントロール、オア・コントロール・バイ・タイム 8タイム・ファイルズ 9タイムズ・アップ 10ノート・フロム・バースト Amazonで詳しく見る by G-Tools |
(*)本文に登場したCD
| スパイラル(通常盤) 上原ひろみ トニー・グレイ マーティン・ヴァリホラ by G-Tools |
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コメント (2)
こんにちは、初めまして。
FUSION研究所より参りました。
このCD大変気になっておりましたので
レビューは大変参考になりました。
Kung Fu World Champion のテクに圧倒されて好きになりました。
カロリー消費とのレビューというもの非常に面白いアイデアですね。
また遊びに来ます。
投稿者: bonejive | 2007年03月12日 12:14
bonejiveさん
コメントありがとうございます。
Kung Fu World Champion は本当超絶テクですよね。特に私はベースのトニーグレイさんのテクに圧倒されました・・・。
勝手気ままに綴っているグログですが、また読みに来てください。
投稿者: ayuki | 2007年03月13日 09:41