ノウ・ホワット・アイ・ミーン/キャノンボール・アダレイ
KNOW WHAT I MEAN?/CANNONBALL ADDERLEY
エレクトリックなフュージョンを立て続けに聴いていると、フッとストレートな4ビートが聴きたくなります。と言うわけで今日はキャノンボール・アダレイさんのノウ・ホワット・アイ・ミーンでwalkingしました。
このCDはピアノのビル・エヴァンスさんとの共作と言っても良い作品です。
キャノンボール・アダレイさんはどちらかと言うとソウルフルでファンキーな持ち味。一方ビル・エヴァンスさんはリリカルで洗練されている感じ。作品はキャノンボール・アダレイさんの名義ですので、当然そちらの方にあわせての感じかと想うのですが、どちらかと言うとビル・エヴァンスさんの雰囲気に近い、とても都会的で洗練されたジャズに仕上がっていると想います。
それでも、音がすごくデッドに録音されていて、まるでビル・エヴァンスさんの弾いているピアノの後に立って聴いているような生々しさがありますので、都会とは言っても銀座や六本木のライヴハウスの様な感じではなく、もう少し都心から離れたこじんまりした“小屋”で聴いているような感じがするんです・・・。
この作品のハイライトはなんと言っても1曲目のワルツ・フォー・デビー。
言わすと知れたビル・エヴァンスさんの名曲ですが、ここでのキャノンボール・アダレイさんのソロプレイは抜群の良さがあります。それにつられる感じでビル・エヴァンスさんのソロもオーソドックスにまとめながらもかなり良いソロだと想います。
本家本元のビル・エヴァンスさんの名盤ワルツ・フォー・デビー(*)はもちろん最高の作品なんですが、個人的にはこの作品の方が好きです。
もっとも大きな違いは4拍子になっていることです。原曲はご存知の通りワルツですから3/4拍子ですね。どちらでも抜群にスイングしてしまうと言う、曲自体の完成度の高さはもちろんですが、4拍子になっていることでより洗練されて、言うならば、かなりお洒落な感じに仕上がっています。それに追い討ちをかけるように、リズム隊がほとんどおかず無し、インタープレイ無しの本当にオーソドックスにしかも淡々とリズムを刻んでいます。このリズム隊はMJQのパーシー・ヒースさんとコニー・ケイさん。そう考えるとちょっとMJQのムードも漂っていますね。
その分原曲のスコット・ラファロさんのグイグイとアプローチしていくベースとともに醍醐味のインタープレイの盛り上りはないのですが・・・。
スタートはビル・エヴァンスさんのフリーでのテーマから始まります。そしてインテンポになって初めて4拍子であることにハッとなります。さらにキャノンボール・アダレイさんのアルトサックスが絶妙なアーティキュレーションでテーマを演奏します。先ほど書きました通り音がデッドなので、細かいタンギングやサックス独特の息使いと特に音がリアルです。
ワンコーラス目はテーマを少し崩して、しかもフレーズを少し細切れに吹きながら展開して行きます。サビ前からの教科書の様なオーソドックスなフレーズから、高音のタンギングを使用したフレーズに行って盛り上がり!かけたところでスーッとダウンフレーズで一度興奮を収めると言う感じでワンコーラス。そして2コーラス目はフラジオでのブロウしたフレーズなどを入れつつ盛り上がってきます。サビに入るとワンコーラス目と同じフレーズが出てくるんですが、ワンコーラス目はダウンフレーズでしたが、今度は細かいパッセージで盛り上げていきます。そしてビル・エヴァンスさんのソロへと続いていきます・・・。
キャノンボール・アダレイさんのソロは全体の構成、フレーズ、音色、アーティキュレーションなどどこをとっても最高のソロだと想います。
2曲目はグッドバイ。
ベニーグッドマンさんで知られたバラードです。バラードですのでよりキャノンボール・アダレイさんのサックスの息使いが聴こえてきます。特にヴィブラートのリアルな息使いはため息が出ます。
3曲目はフー・ケアーズ?
ミディアムファーストのナンバー。実にスイングしています。そのスイング感は2:30過ぎ位に4拍目にドラムのリムショットが入るフレーズが続くところで最高潮になります。ここでのキャノンボール・アダレイさんはまさに吹きまくりと言う感じです。ビル・エヴァンスさんのソロもコードを上手く使用した見事なソロです。
4曲目はベニス。
これはMJQのナンバーですね。パーシー・ヒースさんとコニー・ケイさんのリズム隊のための選曲です。作曲はMJQのジョン・ルイスさん。ファーストソロのビル・エヴァンスさんはちょっとジョン・ルイスさんを意識しているのかどうか解りませんが、雰囲気はMJQっぽいです。
5曲目はトイ。
ファンキーで明るいナンバーです。このような曲はキャノンボール・アダレイさんの魅力が良くでます。水を得た魚ではないですが、生きいきとのびのびとソロを演奏している感じがします。
6曲目はエルザ。
ビル・エヴァンスさんがテーマを奏でるバラードです。この曲はもうビル・エヴァンスさんの独壇場と言う感じでよりムーディーになっています。しかも洗練されていて都会のネオンとお酒が似合いまうす。さらに言うならば、先ほどまでは都心から離れていたのですが、急に六本木あたりのライヴハウスにスリップして来たと言う感じでしょうか・・・。
7曲目はナンシー。
今度はキャノンボール・アダレイさんの渋いバラード演奏を聴くことができます。また、ここでもビル・エヴァンスさんのピアノが情緒的で涙が出そうなくらい酔います・・・。
8曲目はタイトル曲ノウ・ホワット・アイ・ミーン?
この曲は今回のためにビル・エヴァンスさんが書いた曲のようです。バラードで始まって途中ラテンのリズムになると言うちょっと変わった感じの曲です。最後の曲としてはいまいちの感じもするのですが、コード進行のためか、やや複雑な展開の為かある意味異様な雰囲気が若干漂ってエンディングになります。
ワルツ・フォー・デビーと言う曲は名曲なんですが、ジャズの名演と言う部分でみるとこの演奏は私の中では本家を越える名演なんです。その分、1曲目のインパクトが強すぎてその他の曲はほとんど聴いていませんでした。
久しぶりに通して聴いてみて想ったのが、やっぱり名盤・名演と言うことでした。そして、都会のネオンが合う、お酒が合う、そんな感じです。でも先ほど書いた通りに少し都心から離れた感じ・・・。
これは、音がデッドの為と先ほどは書きましたが、どうもそれだけではなくて、ビル・エヴァンスさんの都会のど真ん中の様な洗練さとキャノンボール・アダレイさんの少し都会の喧騒から離れたファンキーで明るい雰囲気が絶妙なバランスとしてにじみ出ているからと言う感じがします。
さらにそれは、名盤ワルツ・フォー・デビーでのスコット・ラファロさんとビル・エヴァンスさんのインタープレイの感じを、あえてお互いを立てて表面に出さずに、内面的なインタープレイとしてせめぎ合っているところで生まれていて、結果、実に作品を味のあるものにしているのだと言う感じがするのです。
(CD TOTALTIME:40:27 / Walking消費カロリー:162.61kcal)
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![]() | ノウ・ホワット・アイ・ミーン? キャノンボール・アダレイ ビル・エヴァンス パーシー・ヒース 曲名リスト 1. ワルツ・フォー・デビイ 2. グッドバイ 3. フー・ケアーズ?(テイク5) 4. ヴェニス 5. トイ 6. エルザ 7. ナンシー 8. ノウ・ホワット・アイ・ミーン?(リテイク7) 9. フー・ケアーズ?(テイク4)* 10. ノウ・ホワット・アイ・ミーン?(テイク12)*. *ボーナス・トラック Amazonで詳しく見る by G-Tools |
(*)本文に登場したCD
![]() | ワルツ・フォー・デビイ ビル・エヴァンス スコット・ラファロ ポール・モチアン by G-Tools |
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