Walking de Music

2007年07月20日 19:10にアップしたエントリーです。

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ストライクス・トワイス/ラリー・カールトン
STRIKES TWICE/LARRY CARLTON

ストライクス・トワイス

梅雨明けが待ちどうしいのですが、明日も雨の模様。その合い間を縫ってギター作品でwalkingです。ラリー・カールトンさんのストライクス・トワイスです。

名作の夜の彷徨(*)の次ぎの作品として1980年にリリースされたラリー・カールトンさんの名盤です。今まで廃盤だったのですが、ここで再発されました。なんとも嬉しい限りなんですが、久しぶりに聴いて見ました・・・。

1曲目はタイトル曲のストライクス・トワイス
この音を聴くとまさにフュージョン!と言うようなフェンダーローズの爽やかなイントロからスタートです。これはグレッグ・マティソンさん。そしてギター少年・少女達には難しかったギターのリフ。実際にこのリフはかなり難しくて、ラリー・カールトンさん自身も、ライヴなどではけっこう危なげなこともあったり・・・。そして、チョーキングを上手く使用した歌うようなテーマからサビへ。サビ部分ではロングトーンの綺麗なフィードバックを聴かせてくれます。この部分もギター少年・少女を悩ませた部分で、ご家庭ではほぼ不可能なフィードバックでした。今はエフェクターで簡単にできますけど・・・。
ファーストソロはブライアン・マンさんのシンセソロ。2:00過ぎに「ワァ」と言う声のようなSEが入ったりして、音色自体も含めて楽しげなソロです。でもこのソロはなかなか完成度の高いソロだと想います。このソロにインスパイアされてどんどんとビートが加速して行く感じがあります。その一端をになっているのがベースのロバート・ポップス・ポップウェルさん。実に良いベースラインですね。そして、ラリー・カールトンさんのソロは前半はチョーキングとハーモニクスの、ややロングトーンを中心に朗々と歌い上げています。後半はラリー節が炸裂しています。3:55あたりのフレーズは単純なんですが実に音の選び方が良く、まさに肝!です。そしてエンディングの部分でロバート・ポップス・ポップウェルさんのリフにインスパイアされた様にラリー・カールトンさんの同じようにあわせたフレーズから、ハーモニクスを使用したエンディング。久しぶりに聴きましたが、やはり名曲ですね。

2曲目はラリー・カールトンさんのヴォーカル曲、僕のハートエイク
歌の上手さ、下手さについては・・・お世辞にも上手いとは言えないのですが・・・。この曲では、ギターの使い方が実に上手いです。左右でハモリを入れ、カッティングも左右で別々に。さらに歌に絡むようにリフを入れたり・・・。このあたりはファースト作品のシンギング・プレイング(*)や一連のスティーリー・ダンの作品から引き継いでいる『歌ものラリー・スタイル』とも言えますね。

3曲目はミッドナイト・パレード
いかにもラリー・カールトンさんらしいメロディと曲調です。シンセストリングスがかなり厚く入っています。0:50過ぎ位に突然すごい広がりで入ってくるのでハッ!とします。ギターソロは良く歌っています。また3:16くらいの終りの部分の、なんとも解釈が難しそうな音選びは、一瞬合っていない?と想ってしまうくらい見事です。

4曲目はマジシャン
この曲もラリー・カールトンさんのヴォーカル曲。でも一連のヴォーカル曲の中では一番好きです。声と曲調が合っているし、また曲自体も良い曲です。この曲でも『歌ものラリー・スタイル』は健在でかなりいろいろなギターが効果的に入っています。1:40過ぎの曲調が変わる中サビでのシンセの対旋律を聴くと、カシオペアを想い出してしまうのですが・・・。

5曲目はスプリングヴィル
ギター2本でジャズっぽいリフから始まります。この様にギターを優しく、静かに弾く時のラリー・カールトンさんの音色、音量のコントロールは実に見事です。なかなかエレキを静かに弾くと言うのは難しいんです。ヴォリュームを下げれば静かに弾けますが、ヴォリュームを下げすぎるとこのニュアンスが逆に出せないと言うことがあります。ある程度の大きさのヴォリュームでこのニュアンス、まさに名人芸だと想うのです。ソロはワウをかけた音です。ワウはいかにも!と言う音とフレーズになりがちなんですが、さりげなくかけて効果的なフレーズを使っているのでセンスの良さを感じます。

6曲目はマルベリー・ストリート
この曲はテンポも良く、ちょっとルーム335的な感じもあるので好きな曲ですが、ギターソロに関して個人的にはラリー・カールトンさんのソロベスト3に入ると想っています。このソロはギターシンセを使用していると言う話で、クレジットにもギターシンセと書いてあります。ところが、以前読んだインタヴュー記事でラリー・カールトンさん自身が『テープの回転を遅くして録音してレギュラーに戻したもの』と言っていた記憶があります。確かに聴いて見ると、1:43あたりのフレーズなどはレギュラースピードだとすれば恐ろしく粒揃いです。名手ラリー・カールトンさんでもちょっと難しそうな感じがします。さらに2:29あたりの和音のフレーズはギターシンセにしては逆に、いかにもギターの音?と言う感じがします。真偽はわかりませんが・・・。
そんな一風変わった音にかくれているのですが、フレーズを良く聴くとこれが実にメロディアスで良いフレーズの連発なんです。どこの部分をとってもまさにラリー・カールトンフレーズが爆発しています。確かにソロの完成度と言うことで観るとルーム335の方が上だと想いますが、細かくフレーズを聴くとこの曲の方がよりギタリスト好み、コピーし甲斐のあるフレーズが満載です。またその一端にコード進行がソロ向きと言うこともあります。推測ですが、テーマ部分が多少あと付けっぽいメロディであることから、コード進行を中心にして創った曲ではないかと想います。実際に後のテリー・トロッターさんのエレピソロも抜群に良いですね。

7曲目はイン・マイ・ブラッド
この曲もヴォーカル物です。先ほどのマジシャンとは変わってロック調のナンバーです。ですが、声がやはりこの曲調には合っていませんね。またやや中途半端なロックと言う感じであまり好きではありません。途中、TOTOの様な雰囲気の部分があったりして・・・そうスティーヴ・ルカサーさんが弾くと似合いそうな曲です。でも、先ほどの『歌ものラリー・スタイル』は良く出ています。

8曲目はただ愛のために
クレジットを観ると、フェンダーローズからドラム、ベースまでラリー・カールトンさんの演奏です。それよりも特筆すべきことはギターコントロールです。基本は歪み系の音なんですが、実に見事に、小さく優しい音から歪みの強い音、そしてフィードバックをコントロールしています。これはエフェクターで歪ませた音では無理で、アンプのひずみと愛器ES-335のなせる技ですね。アンプは多分ブギーのアンプだと想います。哀しげで綺麗な曲です。


どうしても前作が超名作だった為に比較されがちです。確かに全体の完成度や楽曲の良さ、そしてギターソロや音色も含めて夜の彷徨の方に軍配が上がると想います。
夜の彷徨はもう少し楽曲の構成などがクリアでテーマからソロ、そしてテーマと言う流れが基本にあるために解り易さがあります。
しかしこの作品は『歌ものラリー・スタイル』を全体的に使用している感じで、いろいろなところにギターが入っていて、さらに短いリフなども多く解り難さがあるのではないかと想います。そのあたりもセールス的に水をあけられた要因のひとつだと想うのです。

しかし、実際には比較することよりも、この作品も含めた連作として捉えた方がこの時代のラリー・カールトンさんのやりたかったことやギタープレイが良く理解できるような気がします。

また歌ものとセッションの中で培ってきたノウハウとスタイルは、ラリー・カールトンさんの原点であり、それは最終的にはブルースへと繋がっていて、その中で、夜の彷徨から引き続いた流れと雰囲気を出していくと言う難しさがあったのかな、とも想います。
その意味でも夜の彷徨とはやっぱり対になる作品だと想っています。

まあ、難しい話は抜きにして聴き終わって、walkingし終わって、爽快な気分になりました!・・・これがなんと言っても音楽の醍醐味・・・ですね!
(CD TOTALTIME:44:14 / Walking消費カロリー:177.8kcal)
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ストライクス・トワイスストライクス・トワイス
ラリー・カールトン ロバート・ポップス・ポップウエル ジョン・フェラーロ

曲名リスト
1. ストライクス・トワイス
2. 僕のハートエイク
3. ミッドナイト・パレード
4. マジシャン
5. スプリングヴィル
6. マルベリー・ストリート
7. イン・マイ・ブラッド
8. ただ愛のために

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(*)本文に登場したCD

夜の彷徨(さまよい)夜の彷徨(さまよい)
ラリー・カールトン グレッグ・マティソン ポーリニョ・ダ・コスタ
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シンギング&プレイング
シンギング&プレイング
ラリー・カールトン
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コメント (4)

お邪魔します。

>夜の彷徨とはやっぱり対になる作品だと想っています。
仰るように、この作品と「夜の彷徨」はカールトンの数ある作品の中でも実に「明快で爽快」な作品だと思います。流れるようなギターソロはやはりここでも冴え渡っていますネ。特に「マルベリー・ストリート」のソロはコメントにある様に素晴らしいの一言ですネ。また、個人的にはロバート・ポップウェルの参加が何より嬉しいプレゼントでした(笑)

余談ですが、カールトン本人はこのアルバムについて「エンジニアリングに比重を置き過ぎて、肝心な音楽面をおろそかにした」という実に興味深いコメントを残しています。参考までに・・・。

おっ再発「FUSION MASTERPIECE 1500」ですね。早速手に入れられたんですね。
私はラリー・カールトンよりリー・リトナーで育ってきましたので,この辺のCDは今だ未聴です。
ただしフォープレイでのカールトンの演奏にも惹かれました。(勿論,リトナー時代の方が愛着があるのですが)
今後『ストライクス・トワイス』を手始めに“カールトン祭り”も始めてみようかなぁ。

FUSIONさん
コメントありがとうございます。
「エンジニアリングに比重を置き過ぎて、肝心な音楽面をおろそかにした」と言う話しを聴くと、何となくこの作品の悪かった部分の原因の一端が見えるような気がしますね。いろいろなことをやり過ぎた!と言う感じなんですね。

セラピーさん
コメントありがとうございます。
私がフュージョンギター好きと言うことを知った方に聞かれて困るのが「カールトンさんとリトナーさん、どっちが好き?」更にもっと答えに困るのが「どっちが上手い?」。

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