マグネティック/ステップス・アヘッド
MAGNETIC/STEPS AHEAD
昨日は先日に引き続き、待望のこの作品でwalkingしました。
ステップス・アヘッドのマグネティックです。
この作品は以前に、少し聴いたかも知れませんが、ほとんど初めて聴いたに等しいのではないかと想います。その分期待も膨らむのですが・・・。やはり先日レビューさせていただいたライヴ・イン・トーキョー(*)の強烈なイメージがあるので比較してしまうようなレビューになりそうですが・・・。
1曲目はトレインズ。
印象的なサビのメロディからスタートです。チャック・ローブさんのアコギのカッティングとシンプルなピーター・アースキンさんのドラムの16ビートのハイハットワークが実にゆったり、堂々としたトレイン・・・決して新幹線ではないけど、かと言って蒸気機関車でもない・・・エレクトリックな近未来のトレインを目の前に広げてくれます。
テーマが重厚で一体メインのメロディにどのくらいの和音が重なっているのか?と想います。サビのちょっとしたブレイクに入るハイラム・ブロックさんのギターとビクター・ベイリーさんのベースのユニゾンがハッとさせてくれます。
ファーストソロはマイケル・ブレッカーさん。
サックスにハーモナイザーと想われるエフェクトをかけて、ひとり多重奏のパフォーマンスからスタートです。2コーラス目に入ってもかなりゆったりとしたソロで、曲のもっている雰囲気を良く出しています。このように朗々と歌い上げるソロも良いですね。しかし後半はやはり吹きまくっています。
途中にひとり多重奏がたまに出てきます。個人的にはあまり好みでは無いのですが、適所に使っているのでかなり効果的です。特にソロの終り部分の速いパッセージの後、ほんの2小節くらい入れて、そのままテーマへ戻るところの使い方は実に効果的です。丁度、ギタリストが、ソロにコード奏法を少し入れるのに似ています。このあたりはやっぱりマイケル恐るべし!と言う感じです。全体的にリヴァーブを強烈に聴かせた音で曲のイメージにもあっています。バックのビクター・ベイリーさんのベースラインやおかずとこの部分からドラムのスネアが2拍4拍で入ってきて、これまたマイケル・ブレッカーさんのソロに拍車をかけています。
さらにテーマに戻るとトレインはどんどんと加速して行きます。
そして5:40くらいでいきなりのピックスクラッチからハイラム・ブロックさんの熱いソロがスタートします。チョーキングを多用したロック調のソロです。ここでもリズム隊のビートが際立っています。ソロは再びピックスクラッチでスペーシーな感じを出してエンディング。そしてアコギのカッティングが残ってフェードアウトして行きます。トレインは亜空間に飛び立ちました・・・。
2曲目はベイルート。
いろいろSE的な音が散りばめられていて浮遊している感じのスタートです。かなりミステリアスな香り・・。御馴染みのベースラインをビクター・ベイリーさんが奏ではじめると、マイケル・ブレッカーさんのEWIでのテーマが始まります。
それにしても重い!ライヴ・イン・トーキョーの様な軽快な感じは全く無いです。これはピーター・アースキンさんのドラムの重い8ビートが効いてるから。これによって全体の重厚感とミステリアスな香りが増しています。
ファーストソロはマイケル・ブレッカーさんのEWI。
ライナーノーツによると、このEWIはまだプロトタイプだったようで、実際にマイケル・ブレッカーさんもまだ完全に使いこなしていなかったらしい・・・ですが、その後とほとんど変わらないソロを展開しているのは見事です。ここでもやはりマイケル恐るべし!ですね。
次ぎはマイク・マイニエリさんのソロです。
MIDIを繋いだヴァイブはスタジオ録音のため、ライヴよりも更に複雑になっていて実にいろいろなマテリアルが入っています。ソロのラインはさすがのジャズラインです。特に循環コードのパターンの部分では絶妙なインプロビゼーションですね。
それにしても一聴地味に感じるのですが、リズム隊はここでも強烈なビートです。ちょっと嬉しかったのが、エンディングの譜面割の複雑な部分でピーター・アースキンさんのハイハットが良く聴こえますのでどんな譜面割りか良く解ったことですね。
3曲目はケイジャン。
マイケル・ブレッカーさんのEWIのかなり速いパッセージに負けず劣らず、ピーター・シュウィマーさんのバンジョーがなかなか速いパッセージで面白いです。
今まで、曲調に合わせて強いビートを刻んでいたリズム隊がこの曲ではかなりフリーに演奏しています。やはりここでもピーター・アースキンさんのドラムが実に良いです。
4曲目はイン・ア・センチメンタル・ムード。
超有名なスタンダード。ライヴ・イン・トーキョーでのプレイはまさに絶品だと想うのですが、こちらの方は、EWIの試験的な意味合いもあったのか、音的にもニュアンスも発展途上にあるのかな?と言う印象です。バックのストリングスアレンジが実に綺麗です。
5曲目はマグネティック・ラヴ。
打ち込みを使ったヴォーカル曲。ヴォーカルはダイアン・リーブスさん。テンポが良くなかなかカッコ良い曲です。サビのメジャーに変わるコード進行が良いですね。
6曲目はスモ。
この曲も打ち込みを使った曲。複雑なコード進行といろいろなサックスやEWIでの演奏など、ちょっと捉えどころのない感じもするのですが実にそれがクセになりそうな強力な流れとビート感があります。
7曲目はオール・ザ・ティー・イン・チャイナ。
打ち込みの中でゆったりと流れる東洋風のメロディラインにからむビクター・ベイリーさんのベースが実に良いです。
8曲目はサムシング・アイ・セッド。
普通?に奏でるサックスが逆に新鮮な感じさえする綺麗なバラードです。
ファーストソロはマイク・マイニエリさん。煌びやかなソロフレーズにこれまた煌びやかなギターのアルペジオとピアノ。今までの雰囲気とは違って以前のステップス・アヘッドの様なアコな感じすら漂っています。
それを受けてのマイケル・ブレッカーさんのソロ。
しかし、スタートしたと想ったらすぐフェードアウト・・・しかしすぐフェードインしてきます。
でもこれは9曲目のリプライズ(マグネティック・ラブ)。
マイケル・ブレッカーさんの単独ソロに今度はバックの演奏がフェードイン。でもリプライズなのでまたすぐフェードアウトしてしまいます・・・。演出としてはけっこう好きなのですが、これは欲求不満になりますね。もう少しマイケル・ブレッカーさんのソロが聴きたいところでエンディングです。
ブックマークしているお気に入りブログのFavorites Labのbonejiveさんの
”BGM的に聴くにはMagnetic、ソロを堪能するにはライブ盤”
と言うこのワンセンテンスが実にあてはまる作品です。とは言ってもかなりエレクトリカルでスペーシーで神秘的で、BGMとしてはかなり熱い!感じのする作品です。
ライヴ・イン・トーキョーとの大きな違いはもちろんサウンド的にもライヴとスタジオと言う違いなんですが、リズム隊の違いがかなり大きい部分を占めていると感じます。ピーター・アースキンさんとビクター・ベイリーさんのリズム隊はかなり強力です。
特に重い8ビートを基調としたリズムは重厚さの塊です。このビートが実は重要でライヴ・イン・トーキョーで個人的にひとつだけ疑問でだったスティーヴ・スミスさんがツアーに参加した理由のひとつがわかったような気がします。ロック畑のドラマーの8ビートはひと味違いますから・・・。
全体的にはかなり実験的な要素が多く感じられて、また実にいろいろなことをしている為に、逆にやりすぎと想う部分もあるのですが、それでもトータルのコンセプトの統一感や細かなこだわりやクオリティは見事なものがあると想います。
録音も良く、左右の分離も良いので、オーディオ的にも面白いサウンドです。もちろんソロは問題なしです!
また、このサウンドカラーは唯一無二のもので、独特のものがあります。そのため、このようなカラーのバンドはなかなか無いのではないでしょうか。しかし、その先駆的なマテリアルが今のフュージョンシーンに少なからず影響していることも事実です。良く聴いていると、所々でいろいろなフュージョンの手法やノウハウが使われていたりしていますね。
実に、いろいろなマテリアルが散りばめられていますので、何回聴いても新鮮な発見や驚きを感じるのではと想われます。また聴けば聴くほど奥行きの深さも感じます。
その意味でも長く愛聴出来る作品になりそうです。
(CD TOTALTIME:47:57 / Walking消費カロリー:192.76kcal)

![]() | マグネティック ステップス・アヘッド マイケル・ブレッカー マイク・マイニエリ 曲名リスト 1. トレインズ 2. ベイルート 3. ケイジャン 4. イン・ア・センチメンタル・ムード 5. マグネティック・ラヴ 6. スモ 7. オール・ザ・ティー・イン・チャイナ 8. サムシング・アイ・セッド 9. マグネティック・ラヴ(リプライズ) Amazonで詳しく見る by G-Tools |
(*)本文に登場したCD
ステップス・アヘッド 
![ジェイ・グレイドン・オール・スターズ・ライヴ・イン・ジャパン 1994.1.19 エアプレイ・フォー・ザ・プラネット[限定盤]](http://images-jp.amazon.com/images/P/B000XAMCA8.09.TZZZZZZZ.jpg)





















