今日から8月です。すっかり夏の陽射しなんですが、心なしか風が少し秋の香りもあったり・・・。と言うことでギター作品なんですが、日本のギタリストも・・・と想って今日は渡辺香津美さんのインフィニットでwalkingです。
渡辺香津美さんもかなり精力的に作品をリリースしていますので、いろいろとレビューしたいものはあるのですが、今回は1971年リリースのデビュー作品を久しぶりに聴いてみました。
1曲目はインフィニット。
渡辺香津美さんのオリジナルです。とは言ってもテーマらしきものはわずかでフリージャズ的に演奏されています。10分を越える大作です。
渡辺香津美さんのギタープレイはかなりアバンギャルドと言うか、逆に言えば少し荒め。とは言っても録音時は何と17歳!このプレイを17歳の少年の演奏と想うとすごいのですが、年齢関係なくギタリストとしてみると、いまいちと言う感じでしょうか。それでも、良く学校の同じクラスにいたちょっとギターの上手い同級生?と言うレベルは遥かに越えていて、到底及ばないすごさはあります。プロですから当たり前ですね・・・。
若さみなぎっているのですが、サポートのメンバーによってなかなか強力なテイクになっています。特に印象的なのはドラムの日野元彦さん、そしてベースの鈴木良雄さん。またドラムが右チャンネルのみに振られているのも、さらに全体的な音質も時代を感じます・・・。
2曲目はコートリィ。
この曲も渡辺香津美さんのオリジナルです。アップテンポの4ビートです。1曲目とは違ってこちらはコード進行に沿ったソロです。比較的オーソドックスな部分もあるのですが、しかし、フレーズの端々に”渡辺香津美さんらしさ”が出ています。”らしさ”と言うのは今の渡辺香津美さんに通じるようなフレーズやモチーフの展開があると言うことです。やはり速いパッセージなどはかなり荒いのですが、それでもこの頃に得たフレーズやモチーフの展開に渡辺香津美さんの原点を垣間見ることが出来る演奏です。
3曲目はアイソトープ。
植松孝夫さんのテナーサックスとのユニゾンでテーマが進みます。ファーストソロは植松孝夫さん。かなり熱演です。
そして渡辺香津美さんのソロです。この曲はコード進行が24小節のブルースなんですが、ここでも荒々しく、若々しいソロを展開しています。全体の構成やフレーズのつながりよりも、もっと感情に走った熱演!と言う感じです。その未熟な分をやはりサポートメンバーが上手くリードしている感じですね。前の2曲でも素晴らしいエレピのソロを展開していた市川秀男さんがこの曲でも良いソロを奏でています。
4曲目はブルーボッサ。
テーマは植松孝夫さんのテナーサックスですが、ここでは渡辺香津美さんのボサノバ・バッキングを聴くことができます。一生懸命と言う感じがしますが、少しエレピの市川秀男さんとヴォイシングやリズムがかぶっている部分があって、このあたりは逆に、市川秀男さんが上手くかわしている感じです。
ソロは、途中感情が先行しすぎたようなフレーズもありますが、比較的良くまとまっています。それでも速いパッセージにすぐ走ってしまうところはやっぱり若さですね。
5曲目はヒア・ザット・レイニー・デイ。
スタートはソロギターです。オーソドックスなコードヴォイシングですが丁寧です。インテンポに入ってからのテーマも丁寧で、さらにはソロもコード和音を上手く使用していたり、オクターブ奏法を使ったり、また音の選び方もオーソドックスなんですが全体的にかなり良いですね。構成やフレーズのアイディアも含め、この作品ではベストテイクだと想います。
この曲はご存知バラードです。バラードでのソロはアップテンポの曲よりテクニックを含めた、上手さが出ます。このようなバラードソロを聴くと、”やっぱり並ではない!”と想います。これは良いです。本当・・・。
17歳と言うことをあまり考え無いように聴いたのですが、そうするとやっぱり少し辛口になってしまいますね。でも並のギタリストだったら、おそらく17歳だと言うことを考えずに聴いても結局
”まあそうは言っても17歳だし・・・これからだし・・・”
みたいなことになると想うのですが、今回の作品は聴いているうちに、出来の良し悪し自体を、17歳と言うことを忘れて、ひとりの一流プロギタリストのプレイとして聴いている自分に気がつく瞬間が何度もありました。これは、渡辺香津美さんがすでに年齢的な次元を超えた”並以上のミュージシャン”であったことを物語っていますね。
さらに、聴いていると現在の渡辺香津美さんの姿が浮かんできます。と言うか容易に想像が出来るんですね。しかも違和感無く・・・。
この感覚はパット・メセニーさんやマイケル・ブレッカーさんのかなり若い頃のプレイを聴いた時にも近い感覚がありました。つまりある程度の完成度が最初からあると言うことなんです。特にパット・メセニーさんとマイケル・ブレッカーさんは若い時と現在とのプレイに若干の差はあるのですが、ほとんど異差を感じないんです。
渡辺香津美さんのこの作品は、その2人の域までは行っていなくて、かなり荒削りのところはあるのですが、それでも大物の片鱗を聴き取ることができます。
それにしても冷静に自分が17歳の時のギタープレイはどうだったかなあ・・・
と比較すること自体無謀でした・・・。
(CD TOTALTIME:32:16 / Walking消費カロリー:129.7kcal)


![]() | インフィニット 渡辺香津美(g) 植松孝夫(ts) 市川秀男(p) 曲名リスト 1. インフィニット 2. コートリィ 3. アイソトープ 4. ブルー・ボッサ 5. ヒア・ザット・レイニー・デイ Amazonで詳しく見る by G-Tools |
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