Walking de Music

2007年09月22日 16:02にアップしたエントリーです。

ひとつ前のエントリーは夜の彷徨/ラリー・カールトン PART1LARRY CARLTON/LARRY CARLTONです。

次のエントリーはルーム335・ラリーが噛んだ小指が痛い!/Columnです。



夜の彷徨/ラリー・カールトン PART2
LARRY CARLTON/LARRY CARLTON

夜の彷徨(さまよい)

昨日はあまりにも長くなってしまったので
続きを本日アップします。まさに懐かしいレコードで言うところのA面、B面と言う感じですね。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

5曲目はリオのサンバ
イントロのグレッグ・マティソンさんのエレピのフレーズが印象的な曲です。このイントロの部分ではラリー・カールトンさんのフェードアウトするかのように音量をコントロールしたバッキングの妙技を聴くことができます。
テーマは今までの曲とは少し違った感じの音色です。今まではテーマ部分とソロ部分の音質が明らかに違うと言う演出をしていますが、どちらかと言うとそのソロの音色に近い音色でのテーマです。実際にその後のソロも繋がって弾いているような感じですので、もしかしたら一発録り?とも想えるライヴ感を感じます。さらに今まであまり目立っていなかったのですが、ポウリ―ニョ・ダ・コスタさんのパーカッションプレイが更にそれを感じさせてくれます。
ソロは前半はラテンフレーバーを感じさせてくれるリズムやフレーズで展開して行きます。途中でコードが展開するところのフレーズの繋ぎ方が見事ですね。
そしてCD Time=2:24からのサビのコード進行に入るとアウトな音を使ったフレーズに耳が固まります。CD Time=2:30での音使いはグッ!とくるものがあります。さらにそれを受けてすぐさまエイブラハム・ラボリエルさんのおかずが、たった3音なんですが実に効果的でまさに肝!です。
ソロのエンディング部分ではロックの代表的なチョーキングフレーズが飛び出しますが、そのフレーズのまとめ方がジャズ的で次ぎのグレッグ・マティソンさんのソロへ繋げています。
またソロに耳が集中するのですが、このソロでのギターのバッキングは左がオーソドックスなバッキングで右が単音を使ったミュート奏法。よく聴いていると実に細かくまたそれ自体がメロディアスだったりしていて感動します。
ゲレッグ・マティソンさんのソロの後はエイブラハム・ラボリエルさんのスラップと言うかギターのように掻き鳴らし、叩きまくるお得意のソロを聴くことが出来ます。このノリはエイブラハム・ラボリエルさんならではですね。
テーマへ戻ってからエンディングは静かにイントロのテーマを繰り返して行きます。ここで左右のギターのロングトーンがあります。しかも極静かに、消えるか消えないかのような音で・・・。これは音に揺れを創るビブラートと言うテクニックを繰り返しています。コツを掴むとある程度はずっと音を出していることが出来るのですが、この様な小技を使うところは心にくいテクニックです。

6曲目は恋のあやまち
この曲もラリー・カールトンさんのヴォーカルもの。かなりハードな展開を予想させる前半に対してサビ部分の綺麗で優しい感じの対比が面白い曲です。
ギターは所々でロック・ブルース調のやや激しいプレイを聴かせてくれます。エンディング部分でのギターソロはチョーキングオンパレード!です。特にCD Time=3:40のフレーズはトレモロアームを使用しているような感じのアーティキュレーションの絶妙さがあります。
そう言えば、ジャケットのスペシャル・サンクスの部分に一時ラリー・カールトンさんがメインにしていたバレー・アーツギターのクレジットがあります。もしかしたらこの曲はES-335ではなくてトレモロ・アームの付いたヴァレー・アーツのギターでの演奏でしょうか?そう言えば音が違うような違わないような・・・。

7曲目は希望の光
ライヴで御馴染みのシャッフル・ナンバーです。コード進行がそのままブルース進行ですのでまさにラリー・カールトンさんは水を得た魚のようにイキイキとフレーズを奏でます。続くグレッグ・マティソンさんのオルガンのソロもファンキーで良いですね。このソロに左チャンネルでしかも極小さな音でラリー・カールトンさんがフレーズを絡めてソロを弾いている所はちょっと可愛い感じがします。後半もノリノリの展開でそのままエンディングになだれ込みます。そしてギター3本が残るところはカッコ良い演出ですね。

8曲目は昨日の夢
優しいけど切ない感じのエレピのイントロからスタート。テーマはクリアなトーン。リリカルに奏でます。でもクリアなトーンとは言っても実はナチュラルに歪んだ音。それを絶妙なピッキングテクニックなどでコントロールをしているわけです。また、これはエフェクト的な歪みでは出来ないギターアンプ、しかも真空管アンプのなせる技でもあります。真空管アンプは小さい音だとクリアな音で大きくすると強烈に歪ませることが出来ます。
バラードでのラリー・カールトンさんのプレイは本当に歌っていると言う感じがします。実にリリカルで身悶えしそうな絶妙なニュアンスが本当に肝!です。もうこうなってくると多くは語れません。ただ黙って聴くのみ・・・と言う心境になってきます。
そして静かな中で名盤がエンディングを向かえます・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

久しぶりに聴き終えた感想はやっぱりいい!
やや興奮気味に書き綴りましたので少々あちらこちらに話が飛んでいたりしますのでお許しください。
またこれ以上の細かいレビューはやはり今更ですね。この作品の時代における重要性は、私が言うまでもありませんし・・・。

jazzLife別冊のJAZZ GUITAR 2003の中にラリー・カールトンさんのインタビューがあります。その中でこの作品に関する記事を少しご紹介させて頂きます。実に興味深い、いろいろな出来事が重なっているんです。

ひとつはルーム335が当初ミシェル・コロンビエさんのミシェル・コロンビエ・フューチャーリング・ジャコ・パストリアス(*)と言うアルバムの為の書き下ろしだったと言うこと。
さらにその作品がラリー・カールトンさんとのデュエット作品(共同名義)の予定だったこと。
でもそのレコーディング中にワーナーとソロ契約をして急遽、共同名義を取りやめてギタリストとして参加することにして、ついでにルーム335もその作品には提供しないで引き上げたこと。

そしてクルセイダーズを脱退したのがギターを弾くことに疲れてプロデューサーとして音楽活動をしたかった理由だと言うこと。
さらにそのギター浪人時代にあくまでも遊びで、ジェフ・ポーカロさん、ジョー・サンプルさん、ロバート”ポップス”ポップウェルさん、グレッグ・マティソンさんなどとクラブで演奏をしていた時にCBSの人が聴きに来てソロ作品の製作を持ち出されたこと。
さらにさらに、CBSが、プロデューサーになりたくてセッションギタリストをやめたラリー・カールトンさんにセルフプロデュースをさせなかったために契約が白紙になったこと。
そしてラリー・カールトンさんが自らワーナーにデモテープを持って行ってセルフプロデュースのOKとともに契約してリリースに至ったこと・・・。

もしそのままミシェル・コロンビエさんの作品に入っていたら、セルフプロデュースではないので全く違う楽曲になっていたかも知れませんね。
さらに名演は生まれたかも知れませんが
名盤は生まれなかったかも知れません。

いくつもの出来事とタイミングが重なって生まれた名盤。
もしフュージョンの神様が居るとすれば実に劇的で憎い演出!
でもその演出に感謝!感謝!です。

(CD TOTALTIME:41:37 / Walking消費カロリー:167.3kcal)

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夜の彷徨(さまよい)夜の彷徨(さまよい)
ラリー・カールトン グレッグ・マティソン ポーリニョ・ダ・コスタ

曲名リスト
1. ルーム335
2. 彼女はミステリー
3. ナイト・クロウラー
4. ポイント・イット・アップ
5. リオのサンバ
6. 恋のあやまち
7. 希望の光
8. 昨日の夢

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ミシェル・コロンビエ・フューチューリング・ジャコ・パストリアス
ミシェル・コロンビエ・フューチューリング・ジャコ・パストリアス
ミシェル・コロンビエ・フィーチャリング・ジャコ・パストリアス ミシェル・コロンビエ ジャコ・パストリアス

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コメント (6)

FUSION:

お邪魔します。
2回に渡るレヴュー、実に興味深く拝見致しました。実に素晴らしく、読んでいると音が聴こえてきそうです。私もこのアルバムには相当にお世話になりました。カールトンの作品中でも特に好きなアルバムの一つです。彼のプレイヤーとしては勿論、ライティング、アレンジ、そしてプロデュース全てにおいても素晴らしい、フュージョンにおける歴史的作品ですね。ただ一つこのアルバムで気に入らない点は・・・曲の邦題です(笑)
今からもう一度聴いてみます。余談ですが、本文にもありましたミシェル・コロンビエのアルバムを探しているのですがなかなか・・・是非聴いてみたいのですが・・・。

A面B面批評,堪能させていただきました。ここまで宣言されるとは ayukiさんの,ラリー・カールトン愛は相当なものです。私も今後ラリー・カールトン批評を書きたいところですが, ayukiほどのものは書けそうにないので躊躇してしまいます。
このレビューを読みながら『夜の彷徨』をあと100回聴いてから書かせていただこうと思います。

【リオのサンバ】でのエイブラハム・ラボリエルはまさに肝!ですよね。趣味が合いました。うれしく思います。

FUSIONさん
コメントありがとうございます。
「フュージョンにおける歴史的作品」仰る通りですね。
「アルバムで気に入らない点は・・・曲の邦題」私もそう想います。「夜の彷徨」と言うタイトルは、3曲目の「ナイト・クロウラー」からのタイトルでしょうか?でも「クロウラー」は確かに「彷徨い」と言う意味があるようですが、「ナイト」は「NITE」でこれは「夜」ではないし、また「騎士」(Knight)とも違うようで・・・「NITE」は西洋に多い人名のようですが・・・。発音だけ聴いて「夜」にしていまったのでしょうか。英語に詳しくないので解りませんが・・・。

セラピーさん
コメントありがとうございます。
「ラリー・カールトン愛は相当なものです」
確かに好きですが、自分のCDをみるとリー・リトナーさんの作品の方が多いことに先日気がつきました。この作品は特に想いいれが深い作品なので長文になってしまったのです。出来ましたら近いうちにセラピーさんのラリー・カールトンさんのレビュー是非読ませてください!
エイブラハム・ラボリエルさん良いですよね!ツボが共鳴出来て私も嬉しいです!

WESING:

初めて聞いたラリー・カールトンのアルバム、というか演奏で、見事にはまってしまいました。
 数日後にはFMで放送されたライブをブログにUPする予定です。

WESINGさん
コメントありがとうございます。
もちろん私も、ものの見事にはまりました。FMでライブが放送されたのですか・・・知りませんでした。記事楽しみにしています。

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