今日は中秋の名月と言うことで、秋も半ば・・・でもついこの前までは本当に暑かったですね。名月にちなんで宇宙よりの使者を感じる・・・かどうか解りませんが布川俊樹プロジェクトのウルトラマンジャズでwalkingしました。
簡単に言うと、ウルトラシリーズのいろいろな曲をジャズにアレンジして演奏するという企画物です。コテコテのジャズファンであればあまり手を出さない、いわゆる色物とも言われているこの手の企画はたくさんありますが、この作品は果たして色物なのか・・・ジャズなのか・・・。
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1曲目はウルトラマンの歌。
布川俊樹さんはギタリストなんですが、いろいろなジャズの教則本や連載などがあって理論などにも強い方です。また、ソロギターのアレンジなどもたくさんしていて、実は個人的に大好きなギタリストなんです。その布川俊樹さんが全ての曲をアレンジしたプロジェクトが本作と言うわけです。
この曲は鳴く子も黙る!TVの前で固まる!懐かしさに涙が出る!言わずと知れた空想特撮シリーズ・ウルトラマンのオープニングテーマ。
イントロのブラスが段々に重なって行くところは、布川俊樹さんのギターと小池修さんのサックスを重ねながら他の楽器が絡むという構成。そしてボサノバのリズムへ。布川俊樹さんのオクターブ奏法でテーマが奏でられます。
もともとの曲がいわゆる”どメジャー”ですので、この明るさは聴いていても少し恥ずかしい感じもします。このままの雰囲気でソロに入ったら、そのまま”どメジャー?”と想いきや、ソロはアドリブ用にコード進行を変えてありましたので、この部分は普通のジャズボッサ。
ソロは布川俊樹さん、小池修さんの順。両人とももちろん日本のジャズ界では実力者ですので良いラインを展開しています。特に後半の2人の掛け合いは聴き応えがあります。
2曲目はウルトラセブンの歌。
香取良彦さんのヴァイブラフォンと布川俊樹さんのギターから静かに始ります。この曲で一番と言っても良いキャッチーな部分はご存知「セブン・セブン・セブン!」と3回連呼する部分。この部分はヴァイブラフォンで実にさりげなく織り込んでいます。上手いアレンジだと想います。
テンポが良くてややダークなイメージで曲は進みます。テーマは布川俊樹さん。時折オクターブ奏法をはさみつつ絶妙なアーティキュレーションで奏でます。そして2コーラス目は香取良彦さんのヴァイブでのテーマ。こちらもなかなかお洒落な感じに仕上がっています。
ファーストソロは布川俊樹さん。ナチュラルに歪んだ音で、スケールを重視した教則の様なソロです。
次ぎは香取良彦さん。ヴァイブの音はそれ自体ですでにお洒落な感じがします。もちろんそこに絶妙なジャズラインが絡むので高級感も漂っています。
3曲目は特捜隊の歌。
果たしてどんな曲?と想ってしまったのですが、曲が始ってもなかなか原曲を想いだせずにいました。ヴァイブの実に綺麗なメロディからスタートするジャズワルツに仕上がっています。サビ過ぎにやっと聴いたことのあるメロディ・・・想い出しました。ほぼ原曲のイメージは消えています・・・。そう想って今一度初めから聴きなおしてみると確かにあの勇壮な科学特捜隊の出陣などに使われていた曲でした。
ファーストソロはベースの納浩一さん。ワルツの3拍子に上手く乗って曲のイメージを損なわないようにリリカルに奏でています。
次ぎの布川俊樹さんのソロを受けてピアノの福田重男さんのソロです。決して派手では無いのですが、和音を上手く使用した存在感のあるソロです。
4曲目はウルトラマンレオ。
実は私、大の自称ウルトラフリークなんです・・・。でもこだわりがあって、あくまでもウルトラQから帰ってきたウルトラマンのブレスレッドを受け取る前まで・・・なんです。理由はいろいろありますが、多分ウルトラネタでブログをひとつ開設できるくらい話し始めたら止まらない恐れがあるので、これはまたの機会にします。と言うことでウルトラマンレオは全くと言って良いほど知りませんので当然この原曲も全く解りません。
雰囲気は少しパット・メセニー・グループが入っている?ようなアレンジです。テーマもなかなかカッコ良いです。
聴き所は福田重男さんのソロ。最初はテンポダウンしたところで静かに、静かに入って行きます。雰囲気はライル・メイズさん的と言えば言いすぎかも知れませんが・・・。中盤から後半納浩一さんの怒涛のランニングベースが始るとかなりヒートアップして行きます。
エンディンソロの小池修さんがソプラノサックスで今までの疾走感を爽やかな感じに変えるように奏でてエンディングです。
5曲目はウルトラQのテーマ。
あのおどろおどろしいギターとベースのユニゾンで著名な曲。イントロは各人の楽器で可能なおどろおどろしさを演出しています。その中でも一番それらしいのが小池修さんのバリトンサックス。「バゥ!」とひと吹きするだけでウルトラQの世界が蘇ってきます。
イントロダクションが終わってドラムの岩瀬立飛さんのリズムがスタート。そしてベースとギターのあのライン。これはもうほとんど原曲のまま。でも考えて見たらもともとジャズ的な曲ですよね。
テーマはバリトンサックスです。原曲も確かサックスでしたね。
ソロはマイナーのブルース進行。ファーストソロは布川俊樹さん。
マイナーですので想いっきりアウトフレーズを連発していて、ジョン・スコフィールドさんのようです。音色も似た音を使用しています。
続いて香取良彦さんのヴァイブ。このソロのバックからかなり岩瀬立飛さんのスネアワークが暴れ出します。そこに納浩一さんも果敢に絡んできて、ちょっと聴くとドラムのソロの様子。その後で本当のドラムソロが入りますが・・・。かなり細かいスネアワークが実に技巧的ですね。
6曲目はMATチームのテーマ。
福田重男さんのソロから始まるブラシワークのリリカルなピアノトリオのバラードです。この曲も原曲のイメージは無く、ごく普通のジャズバラードに仕上がっています。
テーマは納浩一さん。そしてサビ部分の福田重男さんのピアノが綺麗です。作品全体の中ではかなり異質な感じ、似合うのは少なくてもウルトラではなくてお酒・・・と言う感じ。
7曲目は進めウルトラマン。
この曲もタイトルだけでは良く解りませんでしたが、聴けば”アレか!”と想い出します。ベースとピアノの低音がユニゾンで短いフレーズを奏でる中、かなりアップテンポで演奏されます。
テーマは小池修さんのサックス。メロディはまさにそのままなんですが、先のユニゾンとコードがカッコ良いのであの”どメジャー”な明るさは全くありません。むしろ鬼気迫る感じです。
ファーストソロは福田重男さん。このバックの納浩一さんのランニングベースがものすごいビート感で全体を強烈に牽引していきます。つられて福田重男さんも熱いソロを展開しています。
次ぎの小池修さんのソロはドラムとの対戦。デュオになります。なかなか激しいインタープレイを繰り広げます。小池修さんはそんなに聴いたことは無いのですが、実に上手いミュージシャンです。このソロでもかなりメロディアスで抑揚のあるジャズラインを奏でています。
この曲がこの作品でベストテイクだと想います。布川俊樹さんは未参加の曲なんですが・・・。でも原曲のメロディをほとんど変えないにも関わらず、この様にカッコ良くアレンジされているのは布川俊樹さんの力ですね。
8曲目は帰ってきたウルトラマン。
布川俊樹さんのソロギターです。さすがにソロギターアレンジをたくさん手がけているだけあって実に見事にアレンジされています。あの曲がこんなにムーディーでリリカルなソロギターに生まれ変わると言うのは恐るべし!です。
9曲目はウルトラマンの歌(リプライズ)。
こちらのテイクは1曲目のボサノバとは違ってスウィングジャズ的なアレンジになっています。
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今月このプロジェクトのライヴ作品(*)がリリースされました。その前には帰ってきたウルトラマンジャズ(*)と言う作品もリリースされていますので、この作品と合わせて全部で3作品になったわけです。
今回私が聴いたのはもちろん初回プレス盤。ですからアマゾンで紹介されている別テイクは入っていません。これもどうかと想いますけど・・・。
このCDの録音はジャズらしく、マイク2本だての一発録りだそうです。
ギターの布川俊樹さんとベースの納浩一さん、そしてピアノの福田重男さんは実は最近の日本のジャズミュージシャンの中では好きな3人で、3人ともアレンジや理論に精通していると言うミュージシャンです。
この3人だけではなくメンバー全員そうなんですが、実に上手いんです。テクニックもインタープレイも。またアレンジも含めて。
でもそれはどうしても、模倣的と言うか教則的と言うか・・・。日本人の手先の器用さが滲み出ていると言うか・・・。
ワンフレーズを聴いてもまさにジャズの教科書的なフレーズで一聴素晴らしいのですが、例えばセロニアスモンクさんの”いち打”だったり、マイルス・デイビスさんの”ひと吹き”だったり・・・そう言った巨匠のオリジナリティの方が、たった1音でも妙に説得力があったりしますよね。まあ比較するのもどうかと想いましたが・・・。
もっと強烈な個性が出てくるともっと楽しみなミュージシャンのプロジェクトだと想います。
と言うことで、この作品は色物だったのか・・・ジャズだったのか・・・。
結論は、普通にジャズ作品として十分聴くに耐えることができる作品です。
でも、コテコテのジャズファンの方々は私も含めて、頑固な方が多い?ので
ウルトラマンの曲ゥ、色物か?
って想われるかも知れませんが、ここは機会がありましたら、黙って聴いて見てくださいませ。
多分
普通のジャズ作品じゃん!
って想っていただけると想いますが・・・。
でも逆にここがポイントで、あくまで”普通のジャズ”なんです・・・。
このニュアンス、お解かりいただけますか?
(CD TOTALTIME:54:52 / Walking消費カロリー:220.56kcal)
![]() | ウルトラマンジャズ 布川俊樹プロジェクト 布川俊樹 小池修 曲名リスト 1. ウルトラマンの歌 2. ウルトラセブンの歌 3. 特捜隊の歌 4. ウルトラマンレオ 5. 「ウルトラQ」のテーマ 6. MATチームの歌 7. 進め!ウルトラマン 8. 帰ってきたウルトラマン 9. ウルトラマンの歌(リプライズ) 10. ウルトラセブンの歌(別テイク) 11. 特捜隊の歌(別テイク) Amazonで詳しく見る by G-Tools |
(*)本文に登場したCD・DVD
![]() | ウルトラマンJAZZ~LIVE~ 布川俊樹UJQ(ウルトラマンジャズ・クァルテット) 布川俊樹 福田重男 by G-Tools |
![]() | 帰ってきたウルトラマンジャズ 布川俊樹プロジェクト 布川俊樹 新澤健一郎 by G-Tools |
![ジェイ・グレイドン・オール・スターズ・ライヴ・イン・ジャパン 1994.1.19 エアプレイ・フォー・ザ・プラネット[限定盤]](http://images-jp.amazon.com/images/P/B000XAMCA8.09.TZZZZZZZ.jpg)










コメント (4)
こんばんは。
ウルトラマンジャズシリーズって3枚も出てるんですね。ここまで続編がリリースされているということは、色物ではなさそうですね。
布川さんのファンかどうかは別にして、こういう企画物を抵抗なく手に取ることが出来る心の余裕(金銭の余裕?)は大切だと思いました。
この秋、聴いてみようかなウルトラマンジャズを。
投稿者: milkybar | 2007年09月25日 22:19
milkybarさん
コメントありがとうございます。
ついCDを買うときに、保険ではないですがなるべく失敗の無いように買ってしまう事があります・・・。でもいろいろな作品を冒険的に買って聴いて見るのは本当に大切かも知れませんね。
投稿者: ayuki | 2007年09月26日 09:32
私はルパンジャズは結構聴きますが、こちらは未聴です。
このレビューで是非聴いてみたいと思いました。
ルパンはもともとジャズがBGMだったといってもいいかもしれませんが、、、
投稿者: bonejive | 2007年09月28日 23:02
bonejiveさん
コメントありがとうございます。
このようなコンセプトの作品って実はまだ結構持っているんです。また機会がありましたらレビューしたいと想っています。
投稿者: ayuki | 2007年09月29日 19:25