10月に入りました。時の流れは早いものだとつくづく想います。と言うことで今日は
ビル・エヴァンスさんのアフィニティでwalkingです。
ビル・エヴァンスさんが亡くなる2年前にリリースされた作品です。名義はビル・エヴァンスさんの作品なんですが、実質的にはハーモニカのトゥーツ・シールマンスさんの名前もジャケットに記されていますので共作と言う感じでしょうか。
この作品と前作ニュー・カンヴァセーションズ(*)ではビル・エヴァンスさんがエレピを使用していて賛否両論あったようですが・・・。
たまに聴きたくなる不思議な魅力を持った作品です。その魅力って?
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1曲目はきみの愛のために。
ビル・エヴァンスさんのピアノのアルペジオからスタートです。実に音の組み合わせが見事なためにこの最初の部分を聴くとあらためて、ピアノが弦を叩いて奏でられている楽器だと言うことを感じます。実に弦楽器的な響きでしかも美しい。そして静かにトゥーツ・シールマンスさんのハーモニカが入ってくると、言葉を失うくらい圧倒的な美と静寂が迫ってきます。
ここでは2人がデュオの様に、時に絡みながら、時に距離をおいて、あくまでも静かに、おごそかに曲が進んで行きます。
CD Time=2:57で突然ベースが聴こえてきます。とは言っても最初からベースは一緒に演奏しているので突然と言うことではないんですが、今まではあくまでも2人の影となっていたベースが一瞬演奏を引っぱります。しかも2人の美しさに割って入っても違和感の無い美しさで・・・。ベースはビル・エヴァンス・トリオ最後のベーシスト、マーク・ジョンソンさん。
ここからは3人で更に美しい世界へトリップさせてくれます。
ビル・エヴァンスさんのソロは基本的に左手はごく単純に和音を奏でていて、右手は高い音を中心にしてリリカルなフレーズを奏でています。その間をマーク・ジョンソンさんは埋めるようにメロディアスなバッキングをしています。
トゥーツ・シールマンスさんのソロは独特のフレーズ回しで、ヒューマンで温かい感じのするメロディラインです。ビル・エヴァンスさんのバッキングの絡みが更に美しさを増幅しています。
2曲目はスノ・ピーズ。
ドラムのエリオット・ジグモンドさんのブラシワークが入った3/4拍子の曲。テーマはハーモニカとテナーサックス。テナー・サックスはラリー・シュナイダーさん。ツインのリードが実にアダルトな雰囲気。
ファーストソロはトゥーツ・シールマンスさん。
ハーモニカは独特の人間らしさがあって好きですが、特にこのソロはジャズ的なラインの中にもサックスなどでは決して出せない微妙なニュアンスがあります。特にCD Time=1:29からの速いフレーズからCD Time=1:34のベンドのフレーズは絶妙なアーティキュレーションです。
3曲目は願いのすべて。
ビル・エヴァンスさんのソロからスタートです。トゥーツ・シールマンスさんのハーモニカが入ると一気に美しい世界へ突入します。何とも言えない世界で、何も考えずに聴き入ってしまう・・・そんな感じです。
4曲目は酒とバラの日々。
スタンダードの中では好きな曲です。トゥーツ・シールマンスさんのテーマにあわせてビル・エヴァンスさんが絡みながらノーテンポで始まります。
ワンコーラスが終わるとドラムとベースが入りそのままトゥーツ・シールマンスさんのソロです。
特にCD Time=2:00からのトゥーツ・シールマンスさんのポリリズム的なフレーズに、ビル・エヴァンスさんがバッキングで合わせて奏でる・・・ちょっとしたところなんですが、付かず、離れずと言う男女間の様な微妙な雰囲気が実に良いですね。
5曲目はジーザス・ラスト・バラード。
都会の裏側を覗き見るような独特の揺れをもったエレピでスタートです。
都会のざわめきから、一歩裏通りに入って、そこで青白く霞んだ光を放つ場末のネオン・・・。そんな感じです。
6曲目はトマト・キッス。
かなりフュージョンっぽい曲です。ここでもビル・エヴァンスさんはエレピです。
テーマはフルートとソプラノサックスのユニゾン。オーバーダビングでラリー・シュナイダーさんが奏でます。マーク・ジョンソンさんの地味だけれども耐え忍ぶような反復フレーズが実に良いグルーヴを出しています。
ビル・エヴァンスさんのバッキングはピアノの時とは違ったエレピの音の伸びやその逆の音の切れを上手く使ったバッキングワークです。またソロでもエレピと言うことを十分意識したようなソロになっています。
7曲目は真夜中の向こう側(メイン・テーマ)。
この曲もエレピからスタートします。やはりトゥーツ・シールマンスさんのハーモニカが入ると雰囲気的には5曲目と同じ雰囲気です。
ビル・エヴァンスさんのエレピですが、これは録音のためだと想うのですがノイズが少し入っています。アンプのノイズかなにか解りませんが一定の高さで終始聴こえます。まあ時代的なこともあるので何とも言えませんが、一度気になると、ずっとノイズを追いかけてしまうんですよね。個人的にはかなり気になります。
8曲目はブルー・アンド・グリーン。
静かにリリカルにスタートします。ビル・エヴァンスさんのソロから3/4拍子でスイングして行きます。ここでのマーク・ジョンソンさんはなかなかのベースラインです。当時マーク・ジョンソンさんは20歳半ば。この作品がビル・エヴァンスさんの作品への最初の参加と言うことです。まだまだ歴代のビル・エヴァンス・トリオの巨匠のベーシストたちと比べるとやや劣りますが・・・。
ビル・エヴァンスさんの演奏には絶対的に良いベーシストが必要なんだと言うことを改めて感じるプレイです。と同時にビル・エヴァンスさんのベーシスト選択の目利きにも感心します。
9曲目は身も心も。
最後の最後まで綺麗に、美しく聴かせてくれます。もう言葉はありません・・・。
身も心も解けてしまいそう・・・まさにそんな感覚になります。
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ビル・エヴァンスさんの作品には数々の名盤があります。
その作品の中ではけっこう異質な作品として紹介されることが多いようです。エレピと言うエレクトリックな楽器を使用して、更にややフュージョンサウンド的な楽曲もあり、その雰囲気は過去の作品とは別の雰囲気を漂わせています。
確かにジャズ的な醍醐味、例えはアドリブやインタープレイなどは物足りません。
それを期待して聴くと非常に退屈な作品です。
しかし私が時々この作品を聴きたくなる理由は、この作品全体を通して感じる美と静寂を求めているんです。
しかも、その美は涙が出るような美、とは言っても目から出るのではなく心が泣くと言う感じ・・・。
そして静寂・・・人のわずかな息遣いしか聴こえないような静寂・・・。
しかし、けして無機質で緊張感の漂うものではなく、圧倒的な美と静寂の中にも実に温かみのある演奏・・・。
だからこの作品はただただ聴くだけが似合います。
そこにはエレピが云々とかソロが云々と言う理屈は本当はいらないのかも知れません。
無防備にただ耳を傾けると、逆にこの作品をBGMにしていろいろな出来事が想い出されます。
でも、聴き終える頃には、いろいろな心のしがらみがすっかり洗い流されている感じになります。
そしてその美と静寂に心の涙が一滴こぼれ落ちてきます・・・。
(CD TOTALTIME:54:52 / Walking消費カロリー:220.56kcal
walkingには・・・全く合いませんね。想わず足をとめてたたずんでしまいます・・・。)
![]() | Affinity Bill Evans 曲名リスト 1. I Do It for Your Love 2. Sno' Peas 3. This Is All I Ask 4. Days of Wine and Roses 5. Jesus' Last Ballad 6. Tomato Kiss 7. Other Side of Midnight (Noelle's Theme) 8. Blue and Green 9. Body & Soul Amazonで詳しく見る by G-Tools |
(*)本文に登場したCD・DVD
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