Walking de Music

2007年10月30日 23:59にアップしたエントリーです。

ひとつ前のエントリーはトラヴェルズ【DISK2】/パット・メセニー・グループ TRAVELS/PAT METHENY GROUPです。

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オン・ソリッド・グラウンド/ラリー・カールトン 
ON SOLID GROUND/LARRY CARLLTON

On Solid Ground

昨日はちょっとしたイベントがあって18kmくらいのwalkingをしました。さぞたくさんの作品を聴くことが出来た!かと想いきや、ひとりではなかったので・・・。少々お疲れなんですが、ここはたたみ掛ける様に連続でwalkingをするとより効果的!かどうか解りませんが、今日もwalkingをしました。
ラリー・カールトンさんのオン・ソリッド・グラウンドwalkingです・・・。


ラリー・カールトンさんが暴漢の凶弾に倒れたのが1988年。頚部の損傷で一時は命危険も、また命は助かっても再起不能とも言われました。その時の私のショックは相当なものでした。それからの復帰第1作がこの作品です。実際は事件の前に録音されていたものも含まれていると言うことを読んだことがあるのですが、今回いろいろ調べてみましたけど真偽は良く解りませんでした。
どちらにしても復活したことが嬉しくて、出来、不出来に関わらず非常に好きな作品なんです・・・。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★


01:ジョシー
これは超有名なスティーリー・ダン彩(エイジャ)(*)に収録されている名曲ですね。この作品での邦題は“ジョシー”と書いてあるのですが、での邦題は”ジョージー”となっています。歌の発音を聞いても”ジー”に聴こえるのですが・・・英語は難しいですね。

ハイハットの4つ叩きのリズムに少し陰鬱なギターライン。左右で奏でられるギターリフに加えて、さらにセンターでミュートで軽く入るギター。ドラムがインするとオリジナルよりいくぶん速いテンポで進む、打ち込みの16ビートが軽快な感じのジョシーです。CD Time=0:24に入るスライドダウンからのフレーズがいかにもラリー節!当時はこの一発のフレーズで完全復帰に喚起したことを想い出します。

メロディは当然ラリー・カールトンさんの少し歪んだトーンで奏でられていきます。ほぼオリジナルに忠実なメロディラインですが、そこは歌うギター・ラリー節ですので、全体的に見事に歌っています。また所々で上手さが際立つラインも聴かせてくれます。CD Time=0:52のロングトーン後のヴィブラートの何とも言えないニュアンスやサビ部分CD Time=1:07の和音の使い方などは鳥肌ものです。

2コーラス目もオリジナルに忠実にテーマを奏でますが、ただ繰り返すのでは歌詞がある場合と違って少しし退屈になります。そこで2コーラス目はギターのオーバーダビングでのユニゾンでハモります。さらにサビではカーク・ウェイラムさんのファンキーなサックスでメロディを取り、それに応えるようにギターを絡めていきます。この流れは、リスナーを飽きさせない良いアレンジですね。

ちょっとしたブレイクメロディを挟んでギターソロです。
最初の6小節は、あえてこの曲の持っているビートを消して、ややラテン風のパーカッシブなリズムに乗って、フレーズ頭にチョーキングを入れるパターンをモチーフにしたロックフレーバーのラインを奏でます。7~8小節目の様なコードの切り替わり部分のみにシンセが入るのですが、その部分でも基本的には、ワンスケールのラインで奏でています。そしてCD Time=3:03からのサビのパータンへ入る前のコード進行からサビへ入るところは、流れるようなラインで弾き抜けていきます。そしてサビではサックスがメロディを刻むバックでソロを続けていきます。
CD Time=3:13のアップラインからクロマティックに下がってきてCD Time=3:17でB=シが高音で飛ぶように入るラインは、まさに肝!です。

スティーリー・ダンのオリジナルとほとんど同じ流れのアレンジです。このオリジナルでラリー・カールトンさんはソロは弾いていなくて、バッキングのみでした。実は弾きたかったのでしょうか?そんな想いも少し感じる熱い演奏です。

02:オール・イン・グッド・タイム
名作夜の彷徨(*)の中の名曲ナイト・クロウラーに似た雰囲気を感じる曲。ミディアムなテンポに乗ってよく歌うメロディラインです。

ギターソロの出だしはチョーキングの絶妙なアーティキュレーションから優しいフレーズへ。このスタートの展開はかなりカッコ良いです。また、ラリー・カールトンさんのギターソロを受けてのサックスソロも良い味です。クレジットが何故か?ないのですが多分1曲目と同じカーク・ウェイラムさんだと想います。
また、渋いベースラインのネーサン・イーストさんやリズムギターのディーン・パークスさんのツボを心得たカッティングなど地味な曲ですが聴き所は多い曲です。

03:フィロソファー
ゆったりとした打ち込みに乗って優しいメロディが流れます。同時に時間もゆったりと流れていくような感じがして、何とも言えない魅力のある曲に仕上がっています。ソロなども派手さは無いのですが、時々ラインに紛れ込んでいる高音が煌びやかな感じを際立たせています。

04:いとしのレイラ
何故にレイラなのか?と想いましたが、これがけっこう良いテイクになっています。もちろんご存知エリック・クラプトンさんの名曲ですね。

イントロからテーマへ入るところは、ほぼエリック・クラプトンさんのオリジナルと同じ感じです。オリジナルのテーマはメロディラインがそんなにはっきりしていず、さらに少し演歌調にも聴こえるラインなんですが、エリック・クラプトンさんのハスキーな声と語るような歌とアーティキュレーションで実に味のある曲になっています。並のギタリストだったらとんでもなく陳腐な感じになってしまうと想いますが、これが実に良いんです。ラリー・カールトンさんだから出来た技ですね。やっぱり歌っているんです・・・ギターが。サビの「レイラ♪」のコード進行のバックで流れるようなソロを聴かせてくれます。

05:オン・ソリッド・グラウンド
スローバラードです。テーマが非常に綺麗ですが、あまりにもバラードにはまっているテーマの為に、“いかにもバラード”と言うようなメロディになっています。しかし、前の曲のいとしのレイラと同じで、ラリー・カールトンさんだから“いかにも”になっていないところが凄いと想います。その証拠と言ってはなんですが、途中サックスでメロディを吹く部分が少しあるのですが、そこはいかにもバラードって言う感じが個人的にはするのです・・・。

06:ワッファー
ミディアムテンポのマイナーな曲。クリアトーンでラリー・カールトンさんがメロディを奏でていきます。
ソロではクリアトーンを生かしたやや速いパッセージなどでブルージーに展開していきます。CD Time=3:05からのスライドダウンからのフレーズを繰り返しつつ変化をつけていく展開は、なかなかグッと来るものがあります。

07:バブル・シャッフル
少し跳ねたリズムにミュートギターのカッティングがバブルの雰囲気を出しています。このカッティングはディーン・パークスさん。
テーマはクリアトーンで奏でていますがソロはギターを歪ませています。CD Time=2:30からの流れるようなラインやCD Time=2:45のアウトフレーズなどはまさにカールトン節です。

08:チャプターⅡ
ストリングとエレピの綺麗な進行からスタートする綺麗なバラードです。テーマの出だし部分のスライドの使い方などが絶妙で綺麗なメロディをよりリリカルに奏でます。
ラリー・カールトンさんのソロらしいソロはない曲なんですが、メロディのフェイクやその合い間に聴かせてくれるフレーズでも十分堪能できる演奏です。コンポーザーとしてのラリー・カールトンさんの力量を聴くことが出来ます。

09:ハニー・サンバ
やや軽い感じのサンバ調の曲です。夜の彷徨の名曲リオのサンバとはだいぶ違う感じで、もっとボサノバに近いですね。
この曲ではナチュラルに歪んだギター音でテーマ、ソロを奏でているのですが、この音がかなり良い音だと想います。適度に歪んでいて、所々ギターのピッキングニュアンスに反応してクリアトーンが聴こえる感じが、実にアコースティックでいいんです。ギターのスペックが解らないのでメーカーは解りませんが・・・。もちろんラリー・カールトンさんの絶妙なピッキングが成せる技であることは言うまでもありませんね。

10:シー・スペース
プログラミングでオーケストレーション的なサウンドが入っていて、かなり映像的と言うか壮大な感じのする楽曲です。今までの9曲とはかなり違う雰囲気を漂わせています。それでもギターのテーマが聴こえると、やはりラリー・カールトンさんですね。
劇的なムードのままフェードアウトしていきます。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

当時この作品を聴いて、“完全復帰”と言う方や“やはり今一か”と言う方などいろいろありました。でも、私は完全復帰だったと想います。正確には当時そう想ったかどうかは良く覚えていませんが、今聴くとかなり良いフレーズやラインを奏でていますし、楽曲も完成度が高く、何よりテーマの絶妙なアーティキュレーションにため息がでます。

特にジョシーいとしのレイラなどは歌ものであるために、そのメロディラインをそのままギターで弾けば、いかにもBGM的で陳腐になってしまいます。
ところが、歌っているんです。ギターが。
簡単にギターが歌うって良く言いますが、ラリー・カールトンさんの場合は、本当にシンガーのように聴こえるから不思議です。

この背景にはラリー・カールトンさん自身が自分の作品で歌っていると言うこと、つまり歌うのが好きだと言うことが大きいのですが、それだけでは無く、スタジオミュージシャンとしてのシンガーのバックでの演奏キャリアがそうさせている部分も大きいと想います。

その中でもスティーリー・ダンでの役割は、ギターとしてだけではなくて、全体の橋渡し的なポジションにいたと言う経験が大きく、そのためにヴォーカルを生かすバック演奏と言う技術を身に付けたのだと想うのです。私は個人的にこれを歌ものラリーと言っていますが・・・。そのヴォーカルをこの作品では自分のギターに置き換えることによって見事なインストとして完成させたと言うことだと想うのです。
もちろんギターテクニックとして歌うと言うことが出来るのが大前提ではあるのですが・・・。

この作品は、やはり復帰作ですので、個人的には今でも想い入れが大きい作品です。
そこには演奏や楽曲などの出来や、怪我の前に録音したトラックがあるとか、そのようなことは超えている部分があって、その想い入れは、多分大変であったろうリハビリをこなして復帰したラリー・カールトンさんへの賛辞以外なにものでもありません。

私のwalkingしている公園でよく、体を悪くしてリハビリの為に歩いている方に会います。杖をついて歩いていたり、止まるくらいにゆっくりと歩いたり・・・。
そこには一生懸命な姿があります。
今日もそんな方とすれ違うたびに、ヘッドフォンをはずして
「これ聴いてください!ラリーも頑張って見事に復帰したんだ!」
って想わず声をかけたくなりました・・・。

(CD TOTALTIME:54:04 / Walking消費カロリー:217.35kcal
 walkingには・・・1曲目のジョシーは少しオリジナルよりテンポアップしているので実に良くwalkingに合いました。)

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On Solid Groundオン・ソリッド・グラウンド
ラリー・カールトン

曲名リスト
1. ジョシー
2. オール・イン・グッド・タイム
3. フィロソファー
4. いとしのレイラ
5. オン・ソリッド・グラウンド
6. ワッファー
7. バブル・シャッフル
8. チャプター2
9. ハニー・サンバ
10. シー・スペース

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夜の彷徨(さまよい)夜の彷徨(さまよい)
ラリー・カールトン
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コメント (2)

『オン・ソリッド・グラウンド』へは私もayukiさんと同じく思い入れがあります。出来・不出来をおいたところで感動があります(勿論,出来は良いわけですが)。
ラリー・カールトンの演奏では【ワッファー】が好きなのですが,リハビリの跡が見えない,見せないギターに復帰を大喜びしたことを思い出します。
『オン・ソリッド・グラウンド』があるからこそ,今でも指折りの「ギター・ヒーロー」ラリー・カールトンがいるんですよね。

セラピーさん
コメントありがとうございます。
ラリー・カールトンさんは、今では事件のことさえ忘れてしまうほど完全な立ち直りですね。生死の境を彷徨うと宗教や精神世界の思想が強くなる場合がままあるそうですが、そうならず常にブルース、ジャズ、そしてギターを愛し続けている姿、やはりギターヒーローです!

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