Walking de Music

walking de music!
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2007年11月Archives

123

2007年11月28日

サンダー・ライヴ/カシオペア

THUNDER LIVE

今日はどんよりと曇っていてはっきりしない天気でした。と言うわけで今日は、カシオペアサンダー・ライヴでwalkingです・・・。


このブログで約1年前にレビューした作品ですが、当時のレビューはどちらかと言うとwalkingに主体を置いていた感もあってそんなに深く聴いていないのが現実です。少し前にカシオペアの4枚目の作品メイク・アップ・シティ(*)をレビューしてカシオペアの作品も新しいものへと巡ってきているので、今一度この作品を聴いてみたと言う訳です。
音楽はいたってパーソナルなもの。その時の感情や精神状態でかなり感じ方が変わってくると想います。1年ぶりのこの作品はどうでしょうか・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

01:スペース・ロード
オーディエンスの拍手と歓声から向谷実さんのシンセが奏でるスペーシーなSEと野呂一生さんのコンピューター音の様なギターの音。そして桜井哲夫さんのベースのハーモニクス・・・。そんなイントロダクションから名曲スペース・ロードの始まりです。
この野呂一生さんのギターの音は、ギターのピックの縁の部分を弦に垂直に当ててピックアップの辺りを叩く、と言う奏法。叩く場所によって音程を変える事が出来るので、この後の曲でも使用しています。当時のお気に入りだったのでしょうか。

ギターとエレピのアルペジオフレーズでイントロです。ここで耳に入ったのがドラムの神保彰さんのフレーズ。オープン・ハイハットの絶妙なニュアンスで16ビートを刻み、プラスしてサイドシンバルの刻みが右チャンネルから聴こえます。ドラムに詳しくないので、すでにどうやって叩いているのか解りませんが、曲調にあっていて見事ですね。

クロマティックのスケール練習の様なユニゾンを挟んで、4度づつ上がりながら一巡して元のキーに戻ると言う御馴染みのテーマです。いつ聴いても見事なテーマだと想います。こんな展開の曲を想い付くと言うことが凄いですね。

スローな部分での野呂一生さんのヴァイオリン奏法からギターソロです。
ソロのコード進行はA(onB)→C(onD)で、これもテーマ部分と同じ4度進行。ソロのコード進行の展開としてはフュージョン系でけっこう使用される進行です。その分スケールチェンジなどが陳腐になり易いのですが・・・。CD Time=3:44の駆け上がるフレーズなど、スケールが変わるところを野呂一生さんは上手く弾き抜けています。
CD Time=3:53では、イントロに続いてピックを使用したトリッキーな奏法を聴かせてくれます。
これは、チョーキングをした次ぎの音をピックの縁で押さえて音を出しそのままスライドさせて更に次ぎの音を出すと言う奏法。テクニック的には難しいものではないのですが、さりげなく入れると言うのはかなりのセンスを要求されます。野呂一生さんのこの部分は実にさりげないと想うのですが。

続いて向谷実さんのシンセソロです。
ここでは、バックの神保彰さんのドラムがけっこう暴れていて、それに桜井哲夫さんのベースが絡んでリズムがわかり難いのですが、スペーシーなソロを上手く展開しています。この辺りのバンドのグルーヴ感はまさにライヴ!って言う感じでいいですね。

再びクロマティックのスケール練習的ユニゾンを挟んで野呂一生さんのソロです。
ここはテーマのコード進行ですので4度の進行が連続します。
最初の8小節はメロディアスな展開で、ソロの入りとして惹き付けられます。CD Time=5:09のディレイを使ったフレーズから16分音符の速いパッセージで次の4度上がったコード進行に繋いでいくのですが、この部分の終りがやや帳尻合わせのフレーズになっています。
ソロの上手さを聴くひとつの指標として私が想っているのは、ソロのフレーズが綺麗に完結してから次のフレーズに繋がっているか、と言うことです。特に私の様なアマチュアミュージシャンが一番出来ない部分と言えます。ここでの野呂一生さんもやや合わせ的になっていて、このあたりは若さでしょうか。

次の8小節は最初速いパッセージでスケール的に奏でて、CD Time=5:16のチョーキングから今度はヴォリューム奏法で息抜きとアクセントのフレーズです。そして、スタッカートのラインから今度はスムーズに次の4度進行へ繋ぎます。

次ぎの8小節では、同じように速いパッセージを奏で、CD Time=5:31のチョーキングから今度はピックの縁を使用して押さえてスライドさせる奏法で息抜きとアクセントです。そして、コードの持っているデミニッシュな雰囲気のラインを速弾きで駆け抜けて次の4度進行へ繋ぎます。

この8小節は実にスケール的。まるで練習の様なフレーズです。もう一工夫欲しい!と言う感じも今聴くとするのですが、このフレーズが出てくるところは、やはりスケール練習を相当してたと言うことが伺えます。特にCD Time=5:42からのデミニッシュの部分はまさにコンビネーションデミニッシュの典型的なフレーズ。そして、後半からは更に倍の32分音符での速弾きで次の4度進行に繋げます。

最後の16小節は怒涛の速弾きフレーズ。かなり荒い部分や帳尻合わせ的な部分もありますが、それでも弾き切ってしまう、と言う、若さとエネルギーに溢れた演奏でグッと来るものがあります。

やはりこのスペース・ロードは名曲あり名演で、特に野呂一生さんのギターテクニックの上手さを味わうと言う意味において聴き応えがあります。

02:セイリング・アローン
桜井哲夫さんのフレットレス・ベースがテーマを奏でます。
ベースがかなりデッドで生々しい感じの音です。もう少しエフェクト処理をしても良かったような気がしますがこれもライヴらしい感じと若さを感じます。

ファーストソロは野呂一生さん。
ギターの音がノーマルトーンなんですが、少し薄い感じの音に深めにリバーヴが掛っています。かなり長めのソロなんですが、サインでサイズを決めているソロかな、とも想います。またコード進行も2コードでシンプル。ですからこの部分はかなり自由にメンバーが演奏をしている感じがします。
ですから、インタープレイ的な“しかけ”などもけっこうあって、CD Time=2:14では、野呂一生さんのポリリズム的なフレーズに桜井哲夫さんが絡み始め、さらに神保彰さんがすかさず絡もうとすると野呂一生さんがスーッとかわします。続くCD Time=2:22で今度は神保彰さんが“しかけ”ます。そしてソロの終りのCD Time=3:00では、野呂一生さんのフレーズに全員が絡んで強烈なグルーヴが生まれています。
このような感じの演奏って以後のカシオペアではあまり聴くことが出来ないような気がするのですが・・・。

続いて神保彰さんのソロです。
難しいキメのラインに乗ってのドラムソロです。前半のスネアを使用した比較的大人しい感じのフレーズから後半の超絶な展開へと繋がっていきます。CD Time=3:58からのタムまわしの後、向谷実さんがエレピの和音を重ねソロへ入っていきます。

テーマのコード進行でのソロですが、実にリリカルでジャズラインです。ここでも、先ほどの野呂一生さんのソロと同じ様にインタープレイを聴くことができます。
CD Time=5:38からは向谷実さんがエレピのリズミカルなフレーズで“しかけ”ます。さらにCD Time=6:00では、神保彰さんのドラムが派手に絡んできて一瞬テンポを失いそうで、かなりかっこ良い展開!ライヴ感があって実に肝!な部分ですね。

テーマに戻ってから続けて桜井哲夫さんのソロです。
ややフレットレスの音程に不安定さもありますが、良く歌っているソロだと想います。
CD Time=7:19の想わず感情が入ってしまった!と言う感じのするスライドを使用したフレーズから最後のトレモロの部分は、流れ的には面白い感じなんですが、トレモロの最後の部分がやはり尻切れの様な感じですね。この辺りも若さと言ってしまえばそれまでなんですが。

ちなみにベースがテーマを奏でているバックで向谷実さんがシンセでフレットレス・ベースの様な音でベースラインを奏でています。これは今まで聴いていたようで聴いていなかった今回改めて気が付いた部分です。

03:アイム・ソーリー
分数コードを半音づつ下げていくイントロ。実に野呂一生さんらしいアレンジです。
この曲はカシオペアの楽曲の中ではあまり有名ではないと想うのですが、隠れた名曲として個人的に大好きな曲です。

神保彰さんの絶妙なハイハットワークで創り出している少し跳ねた16ビートに乗って
クリアトーンの野呂一生さんがテーマを奏でます。

サビの部分はいかにも野呂節!
オクターブ奏法でのテーマに向谷実さんのヴォコーダーがいかにもカシオペア!って言う感じがします。
メロディも単純な繰り返し的なものではなくて、良く練られているのがいいですね。特にCD Time=1:08からの部分は、ピアノとベースの低音でのロングトーンにギターとシンセのテーマが追いかけるようなアレンジに続いて、メロディアスなラインからデミニッシュ的なコードで終わる部分は本当に良く出来ていると想います。

ファーストソロは向谷実さんのピアノソロ。
少し跳ねたラインがジャズっぽい感じを漂わせています。バックの野呂一生さんのカッティングもいいですね。

続いて野呂一生さんのソロです。
8小節づつ交互に、跳ねたリズムと4ビート的なリズムを繰り返す進行のソロです。
跳ねた部分では単音の速いパッセージなどを中心に奏でていますが、4ビートの部分では、オクターブ奏法やコード奏法などを使ってよりジャージーに攻めてきます。野呂一生さんのボキャブラリーの多さと広さを感じるソロです。

また、この曲での野呂一生さんのギターの音は、クリアトーンなんですが、前のセイリング・アローンとは違ってフロントピックアップを甘くセットした音。いい音だと想います。この音でセイリング・アローンも演奏したらよかったのに・・・って想いました。

さらに、この曲で効いているのは桜井哲夫さんのフレットレス。音程も安定しているし、出すぎず、引っ込み過ぎずでかなりいい感じがします。セイリング・アローンの演奏とは別人の様な感じさえしますね。

ただひとつこの曲で気に入らないところがエンディング。ロールして終りそうになるのですが、何故か中途半端な野呂一生さんのコードワーク・・・。そしてそれを半ば強制的に締めた感じさえする神保彰さんのスネア・・・。ライヴ感はあるのですが、良い曲だけにエンディングもバッチリ締めて欲しかったと想うのです・・・。

04:ハヴ・ア・ナイス・ドリーム
野呂一生さんのディレイの強烈に効いたギターのヴァイオリン奏法でスタートするバラードです。この曲は野呂一生さんのワンマンステージ的な曲。テーマもかなりいろいろとフェイクがされていてヴォリューム奏法やコード奏法など、聴き応えがあります。

最初から終りまで野呂一生さんのプレイに終始しますので、テーマとソロの明確な境が解り難い曲なんですが、CD Time=3:33からの、ピックの縁を使用したフレーズなど、じっくりと野呂節を聴かせてくれる、作品の中では箸休め的な1曲です。

05:ブラック・ジョーク
言わずと知れたカシオペアの初期の代表的な曲。ファーストアルバムカシオペア(*)収録のオリジナルより、かなり速いテンポで演奏されます。神保彰さんの16ビートが心地よいですね。

ソロは16小節のパターンを野呂一生さんと向谷実さんが交互に2回つづ演奏します。

野呂一生さんのスタート部分はエフェクターの踏み変えがモロに解ります。
この辺りは、良く言えばライヴの臨場感がある、と言うことなんですが悪く言えば、踏み変えミス、と言うことになります。
エフェクターを踏むタイミングってけっこう難しくて、音を延ばしたまま踏み変えると急に音が変化するので目立つんです。これは2回目のソロではもっと顕著で、最初の3小節は歪みが全く掛っていません。意図してそうしたのかも知れませんが、そうだとしたらあまり効果的ではない様に想います。勝手に邪推すると、踏み忘れたので少しこのままで弾いてからタイミングを見て踏んだのかと・・・。それか、何かトラブル的なことがあったのかと・・・。いずれにしても、ライヴステージではあるかも知れませんが、作品としてリリースしたものではちょっと・・・と想います。
ちなみに同じ様なミストーンとして神保彰さんのカウントの時に野呂一生さんがギターの弦に触れてわずかにノイズが出ています。これはアマチュアでは良くあることで、曲頭を間違えないようにと緊張して、そこの部分を押さえていてつい音が出てしまうと言うパターン。野呂一生さんの場合は緊張してと言うことはなかったと想うのですが、少し出てしまったと言う感じでしょうか。これも含めてミックスの時に何とか処理出来なかったものかと想うのですが・・・。あまりにもライヴ感が出すぎと言うか生っぽ過ぎと言うか・・・。

キメのパターンでそれぞれが短いソロを回す展開の後、神保彰さんのドラムソロです。
粒が揃っていて、しかもテンポが実に正確で見事なソロだと想います。また音がいいですね。さらにこれも今回改めて気がついたのですが、バスドラにかなり深くゲートが掛っています。それがショートで掛っているので、ただでさえ複雑なフレーズをより複雑にしています。作品全体の強烈なビート感に一役かっている効果的なエフェクトでもありますね。

続いて桜井哲夫さんのソロです。
スラップのソロなんですが、リズム中心のソロ展開。フレーズ的にはそんなに複雑なものはなくて、あくまでもビート感とグルーヴ感をポイントにしたソロになっています。ソロのエンドでテーマに戻るラインを奏でるのですが、この部分にもうひと工夫欲しい感じでしたね。なにか唐突にテーマに戻る感じがしてしまいます・・・。

テーマの後、最後に3連16分音符のユニゾンが入りますが、この部分は良く聴くと、けっこう勢いで弾いているような感じです。

細かい部分を突付いた感じになりましたが、それでもバンドのグルーヴと勢いを感じる演奏で熱いものが飛び交っている演奏です。

06:ミッドナイト・ランデブー
曲はもう何も言うことのない名曲です。オリジナルではストリングスやいろいろな音がオーバーダビングされていますがこの演奏の様なシンプルなライヴらしいこの曲もまたいい感じです。

ファーストソロは向谷実さん。
エレピの少しトーンを絞ったような音が良いですね。ジャージーなラインと重なってミッドナイトの雰囲気が出ています。CD Time=2:33のブレイクでのコブシが回っているような速い3連のパッセージに神保彰さんがすかさず反応して応戦するところはかっこ良いですね。

続いて野呂一生さんのソロです。
曲の持っている不穏なコード進行の特徴的なトーンを効果的に選択していて、こちらもミッドナイトの雰囲気が良く出ています。CD Time=3:36のブレイクでの1弦の解放を使用した3連のフレーズをブレイク後も継続していき、チョーキングからCD Time=3:45のリー・リトナーさんの様な、音の出発点を変えてダウンフレーズを繰り返すポリリズム的なライン、までの流れは見事です。

エンディングでは、タイトなリズムを刻んでいた神保彰さんのソロです。
ソロスタートのCD Time=5:53からの見事なシンバルワークは16分音符の3連。実に速いと言うか細かいですね。それに連動していたバスドラとスネアが3小節目から1拍半のパターンになる所はけっこう肝!です。

ドラムのソロでそのままエンディングです・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

今回1年ぶりに聴いて想ったのは、やはり前回と同じで、荒さと若さ。
特に今回じっくり聴いたので、演奏自体のミスや未熟なところなどが特に耳につきました。ですから少し辛口と言うか、重箱の隅をつつく的なレビューになってしまったかな、と想っています。
でも、カシオペアが当時持っていたエネルギーと勢いは超強烈で、それが未熟さをしっかりとカバーしている名盤です。

また、音が全体的に悪いと想いました。これは、それぞれの楽器の音とか音色と言うことではなくて、ミックスダウンでの全体的な音のことです。デッドに録音されていて左右の分離はしっかり出来ているのですがあまりにも生っぽ過ぎる感じがするのです。良い意味でライヴ感があって、まさに目の前で演奏をリアルにしていると言う感じではありますが・・・。

さらに、一番感じたのはかなり“ジャズしている”って言うことです。
どちらかと言えば、カシオペアはバンドアンサンブル重視でけっこうカッチリとしたバンドと言う感覚でしたが、この作品を聴くと、荒いとか適当と言う意味ではない“ラフさ”があって、ソロのバックなどでも決まっているのはコード進行のみで、後は自由にソリストにインスパイアされながら奏でているような部分が多い気がします。
特に2曲目のセイリング・アローンでの野呂一生さんのソロの部分などは、各自がかなり自由に演奏していて、もちろんインタープレイの“しかけ”などもたくさんあり、さらにソロサイズ自体もサインで終わっているような自由さがあります。
このような“ラフさ”のあるジャズ的スタイルは以後のカシオペアではあまり聴くことが出来ない感じがします。
どちらかと言うとアンサンブル重視で、作品も即ライヴ的なものが多く、音もシンプルで、スタジオでの演奏をそのままライヴで展開している感じがするのです。それはそれでもちろん魅力的であって、私も好きなんですが、例えばこの演奏のように、インプロビゼーション重視で“ラフさ”のあるジャズ的スタイルを推し進めていったら、また違ったカシオペアになって、それはそれでけっこう面白いバンドになったかも知れない・・・って想うのです。

ミックスダウンの時にもう少し細工をすれば、荒さやミストーンなどカバーが出来てもっと洗練された作品になったと想います。
しかし、そうしなかったと言うのには、カシオペア持っている良い意味での“ラフさ”の部分と若さが生み出す強烈な勢いをプッシュすると言う意図を感じます。
勝手に邪推をすると、インプロビゼーション重視で“ラフさ”のあるジャズ的スタイルと言うバンドの方向性も、もしかしたら当時あったのかも・・・。

もしそうだとすれば、これは向かう方向性が変わったと見たほうがたぶん自然かと・・・。
そのきっかけが次の作品のメイク・アップ・シティ(*)だと想うのですが、さらにその次の作品のアイズ・オヴ・ザ・マインド(*)がやはりキーアルバムのような気がするのですが・・・。いかがでしょうか?

(CD TOTALTIME:41:57 / Walking消費カロリー:168.64kcal
 walkingには・・・勢いのある作品なのでかなり合います!)

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THUNDER LIVETHUNDER LIVE
カシオペア

曲名リスト
1. スペース・ロード
2. セイリング・アローン
3. アイム・ソーリー
4. ハヴ・ア・ナイス・ドリーム
5. ブラック・ジョーク
6. ミッドナイト・ランデブー

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(*)本文に登場したCD・DVD

CASIOPEACASIOPEA
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EYES OF THE MINDEYES OF THE MIND
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あとがき
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2007年11月24日

イン・リオ/リー・リトナー 
LEE RITENOUR IN RIO

イン・リオ

今日は久しぶりに朝早くwalkingをしました。やはり11月も終盤になればかなり寒いので、今シーズン初めてのマスクと手袋装備でwalkingです。と言うわけで今日は、リー・リトナーさんのイン・リオです・・・。


リー・リトナーさんの1979年の作品です。これはご存知ナイロン弦のアコースティック・ギターでブラジル・テイストの楽曲を奏でている作品です。プロデューサーがToshio Endoさん。良く存じ上げないのですが、日本人のようですね。また、ジャケットの写真のリー・リトナーさんもかなり若く、まさにギター王子?って言う感じの爽やかさです。
数あるリー・リトナーさんの作品の中でも好きな作品で、久しぶりに聴くのが実に楽しみです・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

01:レインボー
爽やかな虹をそのまま表現したようなクラシカルなギターのアルペジオからスタートです。左チャンネルに入るギターのハーモニクスが虹の煌びやかな感じを更に演出していますね。

この作品はベーシックリズムをブラジルで録音して、それを3つのセクションで演奏しています。この曲はそのうちのリオ・リズム・セクション。今回改めてライナーノーツを見て気がついたのですが、メンバーの中にパーカッションでパット・メセニー・グループにも参加していたアーマンド・マーサルさんが参加しています。

軽いボサノバと言うかサンバのリズムが心地よく流れていく中で、実に綺麗なテーマがこれまた美しいナイロン弦で奏でられていきます。このテーマはスラーや和音を効果的に使用してナイロン弦のアコギの特徴を生かしきったメロディです。

途中のラテン系コーラスを挟んでリー・リトナーさんのソロです。
CD Time=2:27からスタートの4小節を聴いただけで、見事な音使いと歌っているメロディラインに感動します。CD Time=2:46からは2声の和音でC♯m7→G♯m7のコード進行をリズミカルに弾き抜けて、その次のBm7→E7→Amaj7と言うジャズのⅡ-Ⅴフレーズを、そのままの2声の和音で奏でます。このメロディラインと音の重ね方は見事としか言えません。まさに肝!です。

今度は単音で16分音符が中心にやや速いパッセージに展開していきます。その中でCD Time=2:58の弦を強くはじいてから出すハンマリングのフレーズのアーティキュレージョンが効果的です。

メロディアスで流れるようなフレーズの後で曲はEm7に転調します。そのCD Time=3:09からのフレーズはその転調の予告的フレーズを介してEm7のコードトーン、G=「ソ」に解決しています。難しい理論は別にしても、次の展開へスムーズに繋がっているのが解りますね。これはかなり肝!のフレーズです。

その後もかなりメロディアス。とにかくこのソロはメロディラインが美しいし、和音やパーカッシブな奏法、そしてナイロン弦を生かすスライドやハンマリングなど、そして全体の構成。リー・リトナーさんのソロの中でも上位を争う、まさに名演だと想います。

また、この曲では脇役に徹しているのですが、これが無いとこの曲は成立しない!と言っても良いのがドン・グルーシンさんのエレピ。曲もドン・グルーシンさんが書いていて、時にメロディに絡んだり、歯切れよいバッキングを奏でながら、曲全体を締めています。

02:サン・ワン・サンセット
今度は少し都会的なムードのミディアムバラードです。このリズム隊はN.Y.C・リズム・セクション。1拍目の裏で入るドラムのスネアが印象的で全体のイメージを創っています。ドラムはバディ・ウイリアムスさん。ちなみに相棒のベースはマーカス・ミラーさん。スッキリとした感じの中にも流れるようなリズムラインを奏でています。

リー・リトナーさんのソロは華麗なパッセージとパーカッシブなラインを上手くミックスして奏でます。バックのリズムがかなり心地よいのでノッてきたのか、CD Time=2:36では想わず歌って(唸って?)いる声がマイクに拾われています。

エンディング近くのCD Time=4:09からは、先ほど書きましたドラムのスネアが奏でている1拍目の裏を強調したアレンジで曲が進みます。最初は言葉で書くと「ん~チャ♪」と言う感じ。そしてCD Time=4:29からは、その部分をあえて強調せずにリー・リトナーさんがギターの和音で2拍目の頭に16分音符で「チャチャ♪」と奏でます。ここは「ん~チャチャチャ♪」でしょうか。さらにCD Time=3:40はリー・リトナーさんのギターが1拍目の頭で「チャチャ♪」と弾きます。ですから「チャチャんチャ♪」。
3回共に1拍目の裏が強いビートになっているのですが、それのバリエーションとしての3連発は、さりげないですが見事なアレンジだと想います。

03:リオ・ファンク
2曲目と同じN.Y.C・リズム・セクションのリズム。この曲は説明不要のリー・リトナーさんの代表曲ですね。マーカス・ミラーさんのこの曲のキーになるスラップのフレーズを聴くとやはりワクワクします。それに、リズムが加わってリー・リトナーさんのブラシングでのギターが加わるともう言葉になりません・・・。また、この部分で拍打ちしているカウベルがまたいい感じですね。

テーマはリズムを中心とした歯切れの良いメロディ。それに対してサビ部分の流れるような綺麗なメロディ。サビの部分でメロディに絡むデイヴ・グルーシンさんのピアノがまた美しい!

再びイントロのパターンに戻ってから、スライド一発からスタートするリー・リトナーさんのソロ。
はじく様な弾き方で短いセンテンスを繋いでいきます。そしてCD Time=2:14は和音のフレーズなんですが、高音を同じ音で奏で、その下の音をコードトーンに従って動かすと言うフレーズで、ファンクテイストが滲み出ている効果的なラインだと想います。

CD Time=2:34から、バックのキメに合わせたリズムで音を下げて行くフレーズから、サビのコード進行でのメロディアスなラインへ繋いでいくところは、やはり肝!です。

リー・リトナーさんのソロに続いてマーカス・ミラーさんのソロ。
かなり細かいサムが入ったスラップラインです。この曲のテンポは速いと言う感じよりは、ゆったり乗っているテンポで誤魔化しが効き難いテンポだと想うのです。しかしマーカス・ミラーさんのラインはリズムに狂いが無くて、走ることももたることも無く見事にテンポに乗っています。ベーシストとしては一番大切な部分だと想うのですが、それをソロでさりげなくこなしてしまうところが流石のマーカス・ミラー節!と言う感じで、凄いと想います。

04:イット・ハプンズ・エヴリデイ
この曲のオリジナルはクルセイダーズジョー・サンプルさんの曲です。
クルセイダーズと聞くとラリー・カールトンさんと言う感じなんですが、ここでのリー・リトナーさんはギターのアルペジオを中心としたプレイで、曲を完全にリトナー・サウンドにしています。どんな曲を弾いても強烈な個性でリトナー・サウンドにしてしまう所は魅力のひとつですね。

また、この曲は3つ目のリズム隊、Calif.・リズム・セクションが登場です。綺麗なメロディやソロを聴かせてくれるのがアーニー・ワッツさんのソプラノサックス。かなり綺麗な音で、このトラックの聴き所ですね。

05:イパネマ・ソル
クラシカルなリー・リトナーさんのアルペジオからスタートします。リー・リトナーさんはクラシック・ギターにもかなり精通していると聞いたことがあります。このようなアルペジオフレーズを聴くと確かにそのような感じがしますね。これは簡単そうなんですがけっこう難しいフレーズです。もちろんピックではなくて指で弾かないと出来ませんので、その辺りからもクラシックの香りがします。

そのクラシカルなムードから一変して、アーニ-・ワッツさんのフルートがテーマを奏でるマイナー調でアップテンポのサンバになります。

リー・リトナーさんのソロは、前半は短いセンテンスを繋いでいきますが、後半からはアップテンポにノッた速いパッセージの連続になります。
CD Time=2:32のリズミカルなコードワークから続く、流れる様な16分音符の速いラインは、ややスケール練習的な部分もありますが、それでもリズムにしっかりと乗っていて、ピッキングテクニックの正確さが良く解るフレーズです。

そのソロを受けて、このリズム・セクションの要、ベースのエイブラハム・ラボリエルさんのソロです。
メロディアスと言うよりは、リズムを中心としたお得意のフレーズを聴かせてくれます。CD Time=3:36からは、ソロに絡むリー・リトナーさんのバッキングにインプロヴァイズされて、これまたお得意の三味線の様な音色、ベースをバンバン叩くスラップラインを奏でます。先の、マーカス・ミラーさんとは全く違うスタイルで、こちらこちらでまた良かったりしますね。ファンキーで楽しそうに踊りながら弾く姿が目に浮かぶようです。

06:シンプリシダ-ド
軽いボサノバのリズムにストリングスが入ったミディアムバラードです。

ドン・グルーシンさんのエレピソロに続いて、リー・リトナーさんのソロの前半は、音を丁寧に選んで奏でています。後半になると速いパッセージが出てくるのですが、先ほどの曲の様なスケール練習的な部分は全く無くて、あくまでもメロディ重視のラインを奏でています。そしてソロエンドのCD Time=4:17ではクラシックギターのブリッジ近くを1弦から6弦に向かって流す弾き方で、音に変化をつけて煌びやかな感じを演出しています。このあたりのギターコントロールもクラシック・ギターの香りがしますね。

07:ア・リトル・ビット・オヴ・ジス・アンド・リトル・ビット・オヴ・ザット
リズムはレゲエ調。楽しげな雰囲気で曲は進みます。この曲でのリー・リトナーさんは、今までは全てナイロン弦ギターでのプレイだったのですが、エレクトリクギターでメロディやソロを弾いています。リズム的にはこの作品のコンセプトに合っていると想いますが、何故にこの曲でエレキを持ち出したのでしょうか。全編アコギにした方が良かったと想うのですが。このあたりの楽器選択は少し解りませんね。
でもクレジットにはリー・リトナーさんのエレキは書いてないんです。もしかしたら、このリズム・セクションでリズム・ギターとして参加しているジェフ・ミロノフさんのソロ?。

どちらにしても、何となく最後を飾る曲にしては・・・と言うしっくりこないままにエンディングとなります。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

この作品でのナイロン弦ギターは実に美しい音を奏でていると想います。ジャケットの写真からすると、多分、普通のボディ厚を持ったクラシック・ギターだと想います。
後にリー・リトナーさんは、ソリッドボディでよりピックアップを重視した、いわゆるエレアコ、例えばギブソンのチェットアトキンスや最近ではサドウスキー、などの名器で、バンドの中でのリードギターとしてのアコギを極めていくことになります。
その先駆的な作品として、バンドの音量に埋もれていなくて、むしろ全体を牽引していて、なお且つナイロン弦の美しさを堪能することができる名作だと想うのです。

また、ソロプレイも珠玉の演奏で、レインボーリオ・ファンクなどコピーし甲斐のあるプレイを聴くことができます。

最後の曲は少し・・・と言う感じもありますが、曲の並びもバラードっぽい曲を上手く挟んでいて、メリハリがあって聴き易すく、トータルコンセプトの一貫した流れを十分感じることができます。

ですから、この作品はシャッフル再生ではなく、頭から聴いて欲しい作品だと想うのです。
そうすることで、リー・リトナーさんがこの作品で主張したいことが聴こえてくる・・・様な気がします。

それは、心地よいブラジルのリズムが生み出す爽やかでカラッとした風の様なもの・・・。
それを感じることが出来れば、身も心もゆったりとした気分になって、
癒しを求めて何度でも聴きたくなる愛聴盤にきっとなると想います・・・。

(CD TOTALTIME:49:56 / Walking消費カロリー:200.73kcal
 walkingには・・・全体の爽やかな感じが、冬のwalkingには不似合いではあります・・・。)

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イン・リオイン・リオ
リー・リトナー

曲名リスト
1. レインボー
2. サンワン・サンセット
3. リオ・ファンク
4. イット・ハプンズ・エヴリデイ
5. イパネマ・ソル
6. シンプリシダード
7. ア・リトル・ビット・オブ・ジス・アンド・リトル・ビット・オブ・ザット

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2007年11月22日

ビヨンド・ザ・インフィニット/渡辺香津美

ビヨンド・ザ・インフィニット

今日は比較的穏やかな一日だったのですが、遠くの山を見ると真っ白!雪です。冬ですね・・・いよいよ。と言うわけで今日は、渡辺香津美さんのビヨンド・ザ・インフィニットです・・・。


渡辺香津美さんの2001年の作品です。渡辺香津美さんと言えば、アコースティックな作品と同時にギタートリオを展開していますが、この作品はご本人曰く『自分のあらゆるものを投入したと言う感じ』とのこと。丁度、ソロギター作品ギタールネッサンス(*)の前にリリースされた作品になります。第一印象は、なかなか取っ付き難く、実際にはあまり聴いていない作品なんですが・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

01:MOON [月]
この作品の帯に『21世紀に贈るエスノ・プログレ・ギター組曲』とあります。この1曲目から7曲目までがギター組曲になっていると言う大作です。これはデビュー30周年の2001年にライヴで演奏したものを再度スタジオで録音したと言うことらしいです。

スタートはナイロン弦のクラシックギターとストリングスから厳かに始まります。ストリングとは言ってもオーケストラでは無くて、ヴァイオリン×2、ビオラ、チェロと言う弦楽四重奏をバックにしています。作品全部を通して、この弦楽四重奏に加えて、後はサックスとフルート、そしてドラムとパーカション、ベースと言う編成が基本。渡辺香津美さんのギターにそれらが絡みつつ曲が進んで行くと言う感じです。

ナイロン弦のアルペジオ的なフレーズにヴァイオリンが付かず離れず絡み、そしてインテンポになります。テーマはフルートとのユニゾン。少し跳ねたリズムが心地よい感じですが、途中変拍子を挟んだりして、クラシカルでありながらもプログレ的なサウンドで、繰り返しのフレーズが少なく、曲は目まぐるしく展開していきます。ややエスニックな感じの中にも、少しレトロな感じがする1曲目です。

02:MARS [火星]
ホルストさんの惑星と同じように惑星をタイトルにしているのですが、この火星ホルストさんの惑星の中の火星の様な勇壮な感じでは無くて、もっと優しげな感じがする曲です。ここではスチール弦のアコ―スティックギターです。

スタートからしばらくしてインテンポになると少し様子が変わってきて、やや激しさが出てきます。テーマを奏でるヴァイオリンの感じがTVの情熱大陸と言う感じでしょうか。そのまま、渡辺香津美さんのソロへ突入していきます。

渡辺香津美さんのソロの特徴は、メロディアスな中にも、リズムシーケンス的なフレーズやパーカッシブなフレーズが心地よく絡んでくるところでしょうか。このソロでもその特徴が爆発していて、CD Time=3:00からのクロマティックでメロディアスなフレーズからポリリズム的なフレーズへの展開やCD Time=3:27の流れるようにアップしていく速弾きフレーズから和音を使用したパーカッシブなフレーズへの展開など見事なソロラインを奏でています。

続いて中川昌三さんのフルートソロ。
かなり熱いソロです。CD Time=5:30のいかにもフルートらしい震えを使ったラインがいい感じですね。また、それに絡む渡辺香津美さんのバッキングがこれまたいい感じです。

フルートと今度はエレキのユニゾンでのメロディを挟んでCD Time=6:38からのコード進行。これはちょっとレトロな感じのするいかにもクロスオーバー的な進行。雰囲気はジェフ・ベックさんのスキャッター・ブレインと言う感じでしょうか。

その後曲が重い8ビートに展開していきます。今度はかなりプログレ的な感じになります。ヴァイオリンとサックス、そしてギターのユニゾンでメロディです。ちょっとマハヴィシュヌ・オーケストラの雰囲気と言ったら良いでしょうか。ちなみにサックスは本多俊之さんです。その重い雰囲気から、ストリングスとサックスとギターが良く計算されたアレンジでレガートに絡みながらエンディングです。

03:MERCURY [水星]
再び渡辺香津美さんのナイロン弦ギターの音色とややオドロオドロしい感じのストリングスがイントロ。途中にSE的なフレーズで入る吉野弘志さんのウッドベースが雰囲気を盛り上げます。

曲はギターとベースのフリーテンポでのインタープレイにストリングスがバックでコードトーンを奏でながら進んでいきます。テーマがなく、渡辺香津美さんのインプロビゼーションで終始します。

04:JUPITER [木星]
ここで初めて渡辺香津美さんのノーマルトーンのエレクトリクギターを聴くことができます。アルペジオにストリングスと言う展開で今までの曲の基本的な流れ通りなんですが、エレクトリックに変わるだけでもずいぶん雰囲気は違います。

CD Time=2:25からはギターがずっとラインを奏でていて、それに交互にフルートとサックスがユニゾンをしていき、最終的には一緒にユニゾンになってから4ビートに突入します。このあたりの流れはスムーズで、いきなり4ビートでは違和感があると想われるところを上手くアレンジしています。

ソロは本多俊之さんのサックスに続いて中川昌三さんのフルートへと繋いでいきます。そして渡辺香津美さんのソロです。

ここはもうさすがと言う感じのジャズラインを奏でます。コード進行がワンコードの様なので、スケールも基本的にはワンスケールなんですが、かなり自由に展開しています。マイナーコードなんですが、時々メジャーになったりするような、コード感がものすごく伝わってくるソロラインです。

そして山木秀夫さんのドラムソロに続いて、4ビートに入る前のユニゾンに戻ってエンディングです。

05:VENUS [金星]
渡辺香津美さんのナイロン弦のテーマにNORAさんの歌が乗ります。気だるい感じと陰鬱な感じを持ったメロディが何とも言いがたい独特の雰囲気を出しています。
メジャーになりそうでならない曲調は、聴いていると、どっと落ち込むと言うか、暗くなると言うか・・・。それを救ってくれるのが渡辺香津美さんのナイロン弦ギターの音の美しさ。いつ聴いても絶妙な音色です。

06:SATURN [土星]
この曲で登場するのは渡辺香津美さんの歪み系のギター。全体に重くマイナーな曲調で、14/8と言う変拍子に乗ったリズムシーケンスを繰り返しながらコードを変えていき、さらにいろいろが楽器でテーマや短いアドリブを絡めていくと言う構成。その中心でややロック系のフレーズも飛び出す渡辺香津美さんの歪み系ギターのバッキングが、意外に溶け込んでいるのが面白いです。

渡辺香津美さんのギターソロはかなりロック。この感じもけっこう得意な感じですね。ジャズに限らず、この様なロック的なギターも上手く弾き抜けることが出来るのも渡辺香津美さんのボキャブラリーの広さですね。しかも、本当にロックしているフレーズで、ジャズラインを用いたロック的フレーズではない所が見事です。

07:SUN [太陽]
イントロにマリンバらしい音でスペーシーでSE的なリフが入ります。クレジットにシンセが無いので多分パーカッションのヤヒロトモヒロさんのマリンバ(だと想います・・・)プレイにエフェクトをかけたのでは無いかと想うのですが。今までの中で一番エレクトリックな感じのする瞬間です。

その後は本多俊之さんのサックスのメロディにストリングスが今まで以上にクラシカルに絡みます。そして吉野弘志さんの弓を使ったベースのメロディの部分ではまさに弦楽四重奏の様な感じ。その雰囲気を引きずりつつNORAさんの歌が、先ほどの気だるさではなくて、もう少し希望と光を感じる様に流れます。

全体的にはのんびりとしたムード。タイトルの太陽と言うイメージもかなり合っている感じがします。今までの曲の中では個人的に一番タイトルと曲調がしっくりくるような感じがするのですが・・・。

ゆったりとメロディにのって、サックス、フルート、そしてギターが想い想いにソロを重ね、そして一瞬の静寂・・・。そしてエンディング・・・。ギター組曲の終焉です。

08:ネコビタンX-赤球
この曲は名盤おやつ(*)の中でラリー・コリエルさんとデュオをしていた曲ですね。もちろん今までと同じフォーマットでの演奏なんですが、世界観が合っていて、組曲の続きと言っても良い感じがします。
ストリングアレンジが良く出来ていて、そのハーモニーに乗って渡辺香津美さんのナイロン弦ギターが超絶なソロを展開します。弦楽四重奏対アコギと言う感じで個人的にはベストトラックだと想います。

09:ネコビタンX-青球
この曲は前の曲の赤球に対して青球と言うサブタイトルがありますが、意味は良く解りませんね。こちらはギターが入っていなくて弦楽四重奏での演奏になります。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

かなり異質な感じの作品で、一番最初に聴いた時の取っ付き難さは今回も同じでした。
ギターのソロやメロディラインなど、所々珠玉の部分があるのですが、全体を通して聴くとかなり根気が必要かと想います。

確かに帯にもあった通りにプログレ的な作品になっていますが、もう少しクラシック寄りと言うか・・・。

また全体的にマイナーな曲調で、さらにストリングスの美しさと言うよりは、弦楽器の生々しさが際立っていて、それもまた独特の雰囲気とレトリックな雰囲気を出しています。

フォーマットとしては、ギタートリオに弦楽四重奏でハーモニーをつけて、さらにフルートとサックスが所々加わりそしてパーカッションが加わると言う形。
かなり面白いフォーマットだと想いますが、やはり特殊な感じです。それでも、渡辺香津美さんのいろいろなスタイルを模索する姿勢には敬服します。また、それをさりげなく演ってしまう凄さもありますね。

作品を通してのコンセプトが首尾一貫しているので、聴き始めにハマルと、かなりハマル作品だと想いますが、スタートからくじけると、そのままくじけてしまう作品、と言う感じです。

(CD TOTALTIME:56:35 / Walking消費カロリー:227.47kcal
 walkingには・・・雰囲気が陰鬱な感じなので、爽やかな感じでwalkingは出来ませんね。)

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ビヨンド・ザ・インフィニットビヨンド・ザ・インフィニット
NORA 渡辺香津美 本多俊之

曲名リスト
1. MOON(月)
2. MARS(火星)
3. MERCURY(水星)
4. JUPITER(木星)
5. VENUS(金星)
6. SUTURN(土星)
7. SUN(太陽)
8. NEKOVITAN X-Red Pill(ネコビタンX・赤玉)
9. NEKOVITAN X-Blue Pill(ネコビタンX・青玉) ※〈HDCD〉

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(*)本文に登場したCD・DVD

GUITAR RENAISSANCE(紙ジャケット仕様)GUITAR RENAISSANCE(紙ジャケット仕様)
渡辺香津美
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おやつおやつ
渡辺香津美
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あとがき
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2007年11月17日

ライヴ!/スーパー・ギター・トリオ 
FRIDAY NIGHT IN SAN FRANCISCO/AL DiMEORA,PACO DE LUCIA,JOHN McLAUGHLIN

フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ~スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!

昨日はとっても寒かったです。いよいよwalkingにも冬の2アイテム、手袋とマスクが必要になってきました・・・。と言うことで昨日のwalking musicは、スーパー・ギター・トリオライヴ!です・・・。


アコースティック・ギターによる緊張感の高いバトル風戦闘!の先駆的な作品です。これは1981年のリリース。前年のライヴを収録したスーパー・ギター・トリオの激演が楽しめる作品です。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

01:地中海の舞踏/広い河
右チャンネル、手で拍子を取りながら囁くようなアル・ディメオラさんのカウントに続いて煌びやかなアル・ディメオラさんのスチール弦ギターとパコ・デ・ルシアさんのナイロン弦ギターのアルペジオ。それに重なるようにオーディエンスの大歓声・・・。まさにライヴ会場での臨場感がひしひしと伝わってくるオープニングです。

このアルペジオは2人と基本的には同じラインなんですが、良く聴くと左チャンネルのパコ・デ・ルシアさんが3連の16分音符を入れたアルペジオになっていて、さりげなくスピード感を演出しています。これはアル・ディメオラさんがピックで弾いているのに対して、パコ・デ・ルシアさんは指で弾いているために出来る技と言えます。当然、パコ・デ・ルシアさんはフラメンコギターの大御所ですので指弾きと言うことなんです。

速弾きのユニゾンとテーマを挟んで、CD Time=1:10での一瞬のブレイクにアル・ディメオラさんの「イエーッ」のひと言が実にカッコ良くて肝!です。

実は、地中海の舞踏のスコア譜があってそれを見ていたのですが、どうもここからのテーマが記載されていないんです。コード進行も違うようですし・・・。この曲はアル・ディメオラさんのオリジナルでエレガント・ジプシー(*)と言う作品に収録されているのですが、実は、このライヴのインパクトがかなり強かったのでオリジナルはそれほど聴き込んでいないのです。ちょっと確かめようと想って探したのですがテープが見つからなかったので、結局良く解りませんでした。
この部分は広い河と言うことになるのでしょうか?

まあ、いずれにしてもテーマらしきメロディを2コーラス弾いてからアル・ディメオラさんのソロになります。
そのテーマの2回目CD Time=1:30では、スチール弦ギターでの絶妙なチョーキングでメロディに抑揚をつけています。どうしても16分音符の超絶技巧に耳が行くのですが、このようなところが実は渋い!のです。
CD Time=1:45からは得意技のミュートした速弾きフレーズ。スケール練習の様な音使いなんですが、このフォーマットにおいてはそれも良し!と言うことですね。ひたすら正確にスピードの勝負と言う感じです。
CD Time=1:54の速弾きフレーズが、低音まで言って終焉したとたんのオーディエンスの絶叫!待ってました!と言う感じが伝わってきます。
しかしCD Time=1:59からの優しいフレーズが速弾きの反動のフレーズとしてメロディアスで実に良いです。この対比と抑揚のあるフレーズを奏でることが出来る力があるところが、アル・ディメオラさんの凄いところだと想います。

次ぎはパコ・デ・ルシアさんのソロです。
先にも書きましたが指弾きですが、実に速いパッセージを奏でます。まあフラメンコやクラシックではある意味当たり前に速く弾くことが出来るのですが、それでもCD Time=3:47からの超絶フレーズなど、アル・ディメオラさんのピックでのプレイと遜色がありませんね。
CD Time=4:06からのフレーズは音使いが面白いフレーズです。このあたりはバックボーンがフラメンコと言うところに起因している感じですね。メロディアスな中にも、スパニッシュな音の選択がエキゾティックなムードを漂わせています。

再びテーマを挟んで今度はテンポアップして2人とも弾きまくります。
CD Time=6:25からのパコ・デ・ルシアさんのソロから少し静かになるのですが、そのバックのアル・ディメオラさんのバッキングがコードを上手く分散して奏でていて上手さを感じます。このようなワンポイントが実に上手いです。
さらにこれを発展させて、上手いコードトーンの選択をしているバッキングがCD Time=8:09から。パコ・デ・ルシアさんもここでは同じようなラインでソロを奏でているために、絶妙なコンビネーションになっています。

それにしても迫力満点で、アコースティックギターのパーカッシブな部分の醍醐味を味わうことが出来る名演です。

02:ショート・テイルズ・オヴ・ザ・ブラック・フォレスト
トレモロ奏法をモチーフにした超絶な曲。テーマらしきテーマはなく、リズムで押していくアプローチです。途中、掛け合いのようになりますが、これが宇宙人の様な会話と言うか、コンピューターの信号音のようにも聞こえてくる掛け合い。とにかく速い!
この部分では遊んでいて、ライヴの面白さと、ギター2台と言うフリーで束縛のないパフォーマンスの面白みを味わうことが出来ます。
途中、ピンクパンサーのテーマを入れつつ、ブルースに移行していくところは本当に楽しそうです。でも、さりげなく演奏していますが、もしこれが全くの打ち合わせなしとすれば、力のある2人だからこそ出来る匠の技と言えます。さりげなくこの様な即興を決めるのって凄く難しいんです・・・。

03:フレボ・ラスガド
今度は、アル・ディメオラさんに変わってジョン・マクラフリンさんが左チャンネルに登場です。パコ・デ・ルシアさんは右チャンネルに移動するのですが、録音の関係でしょうか、そのまま左チャンネルに定位しておいた方が聴きやすかったと想うのですが・・・。

ファーストソロはジョン・マクラフリンさん。
2人に負けずと速いパッセージを中心に奏でます。その部分はもちろん超絶なんですが、やはり本当の渋さはCD Time=2:35からの様なコード進行にのったメロディアスなライン。アル・ディメオラさんと同じで、このようなフレーズが出来るので速いパッセージも生きてくるわけです。

続いてはパコ・デ・ルシアさんなんですが、今までと同じ様なフレーズを弾いてはいるのですが雰囲気はだいぶ違います。これは、バッキングのジョン・マクラフリンさんのギターがナイロン弦ギターであると言うことが大きいと想います。スチール弦とナイロン弦の音の煌びやかさと音圧の違いを感じることができます。
CD Time=4:36では今まであまり弾いていないラスゲヤード奏法が登場です。これはフラメンコギターの代表的な奏法で、右手の指をバラバラの動かしてジャカジャカと弾く奏法。少し年配の方には夏木マリさんの名曲絹の靴下の指のアクションを、右手で高速にしながら弾くと言うことなんですが・・・お解かりでしょうか?

その後、掛け合いを挟みながらエンディングです。演奏内容は凄いのですが、雰囲気はけっこうアダルトな感じで落ち着いた感じが良いですね。また2人ともナイロン弦なので耳ざわりが良いのが、その、落ち着いた感じとアダルトさをさらに演出しています。

04:幻想組曲
この曲はライナーノーツにクレジットが何故か書いてないのですが3人の演奏です。しかしこの曲は音が悪いです。多分、左チャンネルがパコ・デ・ルシアさんでセンターがジョン・マクラフリンさん、そして右チャンネルがアル・ディメオラさんだと想うのですが、アル・ディメオラさんの音がかなりセンターよりで、ほぼジョン・マクラフリンさんの音と重なって聴こえます。まあ私の再生機の問題もあると想いますが・・・。
この作品もリマスターとかリリースされているのでしょうか。このようなピュアな音源で左右の分離が、ある意味重要な作品こそリマスター盤をリリースして欲しいと想うし、またその違いが良く解るのではないかと想うのですが・・・。

3人が3様で速いパッセージを中心に弾きまくります。3人で弾くとかなりの迫力ですね。どの部分をとっても、そのかけ引き、そしてお互いがインプロヴァイズし合いながら更に白熱していく熱気が伝わってきます。
また、CD Time=3:00からのアル・ディメオラさんのトレモロ奏法は本当に粒が綺麗に揃っていて見事です。しかも、段々とその粒揃いのままでデクレッシェンドしていくところはかなり難しいです。正確なピッキングは神的なオーラさえ感じてしまいます。

05:ガーディアン・エンジェル
この曲のみニューヨークでのレコーディング。スタジオでの録音だと想われます。もちろんオーバーダビングをしたような感じはありませんので、多分一発録りだと想います。

複雑な拍子とアンサンブルでスタートします。まさにジョン・マクラフリンさんの曲と言う感じです。スケール感があって、ちょっと哀愁のあるメロディの秀作ですね。

テーマからソロの部分は3/4拍子。速弾きには少し弾きにくいリズムではあります。

ファーストソロはジョン・マクラフリンさん。
スタートの音使いやCD Time=0:58の速いスライドダウンなど曲の雰囲気を掴んだラインを奏でていきます。その後CD Time=1:08からは16分音符の連続で息をつくヒマも与えてくれない感じです。

続いてはアル・ディメオラさんのソロ。
音使い的にはジョン・マクラフリンさんと似ているラインを奏でていくのですが、CD Time=1:42のセクシー?なチョーキングニュアンスやCD Time=1:46のスチール弦では大変そうなチョーキングからの怒涛の速弾きはグッ!とくるものがあります。ソロエンドもチョーキングで締めます。

最後はパコ・デ・ルシアさん。
やはりフラメンコがバックボーンなので、2人とは少し違ったアプローチでよりストレートと言うか、そんな感じがします。またCD Time=2:29からの速弾きラインは、頭の部分でコード和音の分散を上手く使用して、煌びやかな音色を奏でています。これは指弾きならではの音使い。実に味ががあります。

その後は掛け合いに入ってからテーマに戻ってエンディングです。短い曲ですが、3人の弾き方やフレーズの違いが一番良くわかるプレイになっていると想います。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

どうしてもこのフォーマットの場合は、誰が一番上手い?速い?的なバトルになってしまいがちなのですが、もちろんその意図は少なからずあるにせよ、もうこの3人のレベルになるとテクニック的なことは本当に互角で、後はお好みの世界になりますね。

逆に、これだけ超絶技巧の速弾きを聴き続けると、途中で満腹感を得てしまいます。個人的には・・・。

若かりし頃はこの雰囲気が好きで、とにかく速く弾く!と言うのがリスニングポイントだったのですが、今回聴いてみると、この3人にとっては速弾きは普通、当たり前。

とすると“味”が出るのは、その速弾きと速弾きの間を埋める為のフレーズやバッキングワークではないか、と想ったのです。

その部分をポイントに聴いていくと、より3人の“味”の違いを感じることが出来て、また新しい気持ちで聴くことが出来ました。

もちろん超絶技巧を単純に味わうのもまた良しですが、秋の夜長には、その間を埋めるメロディアスな部分やバッキングワークなどの妙を探して聴くのも、また“オツ”な感じがするのです・・・。

(CD TOTALTIME:41:07/ Walking消費カロリー:165.29kcal
 walkingには・・・適度な緊張感が良いです!その迫力に想わず早足になります・・・。)

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ジョン・マクラフリン,パコ・デ・ルシア アル・ディ・メオラ

曲名リスト
1. 地中海の舞踏~広い河
2. 黒い森
3. フレボ
4. 幻想組曲
5. ガーディアン・エンジェル ※〈CDテキスト〉

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(*)本文に登場したCD・DVD

エレガント・ジプシーエレガント・ジプシー
アル・ディ・メオラ ミンゴ・ルイス バリー・マイルス
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あとがき
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2007年11月15日

ファースト・サークル【PART2】/パット・メセニー・グループ 
FIRST CIRCLE/PAT METHENY GROUP

ファースト・サークル

今日はパット・メセニー・グループファースト・サークルの続きです。
1曲目から3曲目ですでに、すっかりノックアウトされてしまった感もありますが、中盤からエンディングを聴きます・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

04:イフ・アイ・クッド
パット・メセニーさんの曲で美しいスローバラードです。静かなライル・メイズさんのシンセやスティーブ・ロドビーさんの優しいアコースティック・ベースが美しさを引き立てます。
また、ほぼ全編に流れているポール・ワーティコさんのブラシワークが、今までの曲のパワフルな感じとはうって変わった響きで、守備範囲の広さを感じます。

テーマからソロまでパットメセニーさんのナイロン弦の豊で繊細な音色を聴くことができます。このギターはたぶんオベーションのナイロン弦ギター。独特のピッキングと重なって、その音色は単なるナイロン弦やクラシックのそれとは違って完全にメセニートーン。リバーヴが強めにかかっていて、メロディラインに呼応するように響き渡っています。
また、強く弾くと大きくリバーヴがかかり、弱く弾くとほとんど響かないと言うセッティングがされていて、そのセッティングを最大に生かすように奏でているピッキングテクニックとアーティキュレーションは見事としか言いようがありませんね。

ソロのスタート部分のCD Time=3:10では、同じメロディモチーフを繰り返して繋げるラインを聴かせてくれます。この部分のニュアンスも1回ごと弾きわけていて見事です。またここではギターの低音弦のフィンガーノイズもあえて出すように弾いていて、それがまた雰囲気を盛り上げます。そしてこのラインの頭の部分を強く弾いてリヴァ―ブで響かせ、その後の音やフィンガーノイズは密やかに聴かせると言う、ここでも、リバーヴのセッティングを生かしたフレーズになっています。
CD Time=3:26からのフレーズはプリングオフした音を煌びやかに響かせると言うテクニック。簡単そうですが、一瞬の「キラッ!」を出すには、左手の力加減が難しい小技です。
CD Time=4:17の高音の1音の美しいこと!
さらには、CD Time=4:43からのリズムで聴かせるラインからCD Time=4:49からのまるで事前に創ってあったかの様な美しいメロディ!
テーマからソロまでどこの部分を取っても涙が出るくらい美しいフレーズと音の連発で優しい気持ちになります。

だた一点残念だと個人的に想っているのは、CD Time=6:27のドラム。この部分でエンディングに入るために、ブラシワークが一端止まります。しかしあまりにスパッと止めている為に一瞬の静寂で、そこだけ抜けたような感じがするのです・・・。

05:テル・イット・オール
イントロから印象的な鐘の様な音。これはアゴ―ゴー・ベルでしょうか?ライル・メイズさんが演奏をしているようですね。
これもまたリズムトラップ的な仕掛けがあって、拍の頭からこの音とリズムが入っているように聴こえますが、実はこれが拍頭ではなくて4拍目スタートなんです。
ですから、あとのペドロ・アズナールさんのヴォイステーマが入って来た時にズレを感じるわけです。さらに、そのテーマがゆったりとしている割りにはリズム隊が小刻みにテンポ良く、さらに同じシーケンスを繰り返しているために、ここでも、少しズレた様な感覚に囚われます。
このように、リズムのシーケンスとはまったく違うような綺麗でゆったりとしたメロディラインを重ねると言うアレンジもパット・メセニー・グループではたまにあるパターンで、私はけっこう肝!なんです。

今までの流れを断ち切るかの様な突然のギターコード「E7♯9」。ここからパット・メセニーさんのソロです。
コード進行はマイナーブルース進行です。もちろんパット・メセニーさんはジャズのブルース進行が得意ですのでここでもジャズ的なラインで弾きぬけていきます。
CD Time=1:01は「Am→Dm」と言うコード進行にジャズで言うところのⅡ-Ⅴと言う仮想進行を入れてフレーズを奏でます。
CD Time=1:43に入るコード奏法などは、私では良く解りません。コードはAmなんですが・・・。どうしてこのようなことが出来るんでしょうか?見事にサウンドしているのが、不思議と言うか、見事と言うか、凄いと言うか・・・。
CD Time=1:50からは怒涛の速弾きの連発です。このラインはどちらかと言うと過去のパット・メセニー・グループでのフレーズと言うよりは、今のパット・メセニーさんのフレーズに近い感じがします。音のインターバルが半音単位で、クロマティックなフレーズが多くなっていく感じででしょうか。
続くCD Time=1:58からは4音ワンパターンで機械的に上がったり下がったりする定番のシーケンスフレーズのかなり激しいヴァージョンを聴かせてくれます。
その後の展開は比較的ブルージーでCD Time=2:36の様なカントリー・テイスト、さらに続いて2声の和音でのフレーズなど。ワンコーラス目がジャズテイストだとすると、2コーラス目はブルース、ロックテイストと言ったらよいでしょうか。5曲目にして初めて弾きまくりと言うソロラインです。
また、このギターはライナー・ノーツにはギターとしか書かれていませんが、多分音からするとGRのノーマルトーンだと想います。そう言えばトレードのES-175が今だ登場していませんね・・・。

パット・メセニーさんのソロを受けてテーマです。
和音のトップノートをメロディにしたテーマで、ペドロ・アズナールさんのヴォイスがここでも効いています。

その後で登場がライル・メイズさんのピアノソロ。
コード進行はパット・メセニーさんと同じブルース進行なんですが、ちょっと聴いただけではブルース進行と想えないような感じがします。
これは、ひとえにライル・メイズさんのアドリブラインが実にメロディアスで、あまりジャズ的なフレーズを使用していないためと想います。また左手のバッキングワークでのコードヴォイシングと言うかリハーモナイズ展開が見事なために華麗な流れが生まれていることも要因だと想います。
CD Time=5:26からのポリリズム的なラインは速弾きなんですが、実にクラシカルで美しいです!さらにそのクラシカルな雰囲気と美しさはCD Time=5:32からの下降していくラインで感動を運んでくれます!

06:エンド・オヴ・ザ・ゲーム
シンセドラムの様な音でのタム回しからスタートする曲。8ビートをリズムに持つ名曲ついておいでの流れを引き継いでいる曲ですね。途中で口笛の様なシンセでのメロディがあったりするのですが、基本的にはテーマらしいテーマがあると言うよりは、シンセの和音でのバッキングモチーフをそのまま連続して、さらに展開して流れていく曲、と言う感じです。

当然と言うか必然と言うか、パット・メセニーさんのソロはギターシンセ。この8ビートのリズムには問答無用に合う音ですね。
転調を繰り返していくコード進行なんですが、当然そんなスケール変更の切れ目を感じさせないで流れるようなメロディアス・ラインです。

続いてライル・メイズさんのソロ。
と想ったのですが、実は譜面を見ると、この部分のメロディが書かれているんです。と言うことはこれはソロではなくて中サビのメロディと言うことになります。
ですが、ソロだと想ってしまうのは、もちろんそのメロディラインがピアノソロ的なラインを持っていると言うことがあるのですが、むしろ、いつもライル・メイズさんが弾いているアドリブラインが実にメロディアスだと言うことの証明にもなる部分だと想います。

その後テーマに戻りますが、テーマにギターシンセのロングトーンが重なってきます。
このフレーズは音を聴くとチョーキングで奏でているのか、それとも2曲目のヨランダ、ユー・ラーンと同じようにスライドを使用しているのか・・・。どっちにしてもペドロ・アズナールさんのヴォイスとの絡みは抜群です。

07:もっとむこうに
ライル・メイズさんの美しすぎるソロピアノからスタートします。高い音がまるで金属の様な響き。一歩間違うと耳にきつい音になってしまうのですが、それを美しい響き、ぎりぎりで止めているところが実に肝!です。

テーマはペドロ・アズナールさんの歌。歌詞も書いています。
良く通る声質でこれまた美しいですね。曲はパット・メセニーさんの作曲ですが、声質と音域を十分理解して創っていて、魅力を引き出していると想います。
また、バッキングのギターはナイロンギター。これはたぶんペドロ・アズナールさん。ボッサのバッキングが心地よいです。

ファーストソロはパット・メセニーさん。
前の曲で少し心配していたのですが、この音はまさにES-175!ここに来てやっと登場です。でもソロと言うよりはカウンターメロディ的。すぐにテーマに戻ってしまいました。ペドロ・アズナールさんの歌に絡んで味のあるメロディラインを奏でていきます。

08:賛美
ポールワーティコさんのタイトな8ビートにライル・メイズさんのオルガンがいかにも賛美歌的です。コードもパット・メセニー・グループには珍しく「D→A→G」と言ういわゆるテンションノートが付いていない進行。これが更に明るい感じを出しています。ちょっとベタな感じもしないでもないのですが・・・。

時々「シャカ、シャカ♪」と大きく聴こえる12弦ギターでのカッティングがこれまた効果的ですね。そして、ブリッジの部分ではそのギターを大きくフューチャーした展開でさらに雰囲気を盛り上げます。その後、複雑に展開してからテーマがEに転調してペドロ・アズナールさんのヴォイスがテーマを奏でます。CD Time=2:22からはオーバーダビングで対旋律がさらに加わります。このハーモニーが実に美しい。自分の声でのハーモニーですのでより共鳴しているのですが、メロディラインが良いんですね。この曲もパット・メセニーさんとライル・メイズさんの共作です。まさに高揚する気分を味わうことが出来ます。それはクリスマス気分と言ったらよいでしょうか・・・。

エンディングソロはパット・メセニーさんのシンクラビア・ギターソロです。
CD Time=3:02からのソロの入りのフレーズが実にメロディアスでカッコ良いフレーズです!これは肝!。CD Time=3:33にもう一度同じフレーズを使用しています。パット・メセニーさんも気持ちの良いフレーズだった様ですね。

そして厳かな中にも明るい楽しげなムードで幕を閉じていきます。
・・・まさにPRAISE!。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

この作品の特徴と、個人的な魅力はそれこそ書ききれないくらいありますが、大きなところで2つほど。

ひとつめは、エレクトリックなものを最大に使用しながらも、非常にヒューマンな感じでアコースティックな香りがあることです。ある意味パット・メセニーさんが、今までの作品の中で模索してきたことと言えるのではないかと想います。それをこの作品でこれまたある意味到達したのではないかと・・・。
ヒューマンな感じはヴォイスがテーマを奏でると言う部分である程度は表現できる、と言う感覚は、ナナ・ヴァスコンセロスさんのヴォイスから得ていたのだと想います。
そこでペドロ・アズナールさんと言う美声の持ち主を発掘したと・・・。
これがこの作品の第一の魅力であって、後のパット・メセニー・グループの指標的なサウンドになると言う、実に大きな成果がになったわけですね。

そしてもうひとつは、作曲やアレンジをしていく中でメロディが重要で、もちろんこの作品のメロディも珠玉の旋律なんですが、それに加えて、リズムをひとつのモチーフにしてアレンジされている曲が多いと言うことです。
例えば、ファースト・サークルのハンドクラップやテーマの頭の部分であったり、テル・イット・オールのアゴーゴー・ベルのリズムであったり、エンド・オブ・ザ・ゲームのテーマ部分のモチーフだったり・・・。ヨランダ、ユー・ラーン賛美は強い8ビートを基調にしていますし・・・。
これはパット・メセニーさんとライル・メイズさんがよりバンドアンサンブル的なことを意識した結果かと・・・。

それに一役買っているがポール・ワーティコさん。ドラム個人としてのテクニックやリズム感の部分はもちろんですが、ここではスティーブ・ロドビーさんとのコンビネーションを指摘したいところ。これが実に合っています。どの部分を聴いてもピッタリと言う感じがします。
これは、上手いもの同士が組んでも必ず上手く行くとは言えない部分で、そのバンドのグルーヴを生み出します。
ダン・ゴッドリーブさんはマーク・イーガンさんとのコンビネーションが良かったのですが、スティーブ・ロドビーさんにはやはりポール・ワーティコさんだと想うのです。ですからこのメンバーチェンジも結果的には大成功と言う感じがするのです。このコンビがパット・メセニーさんとライル・メイズさんのリズムをモチーフにしたアレンジと言う部分をインプロバイズしたのではないかと想うのです。

それから、パットメセニーさんのギターについてですが、先にも書いた通りに別の人のギターを入れると言うことは、そのままライヴ対策と言うことだと想います。
そして、シンクラビアをフルに使っているサウンドで、もちろんギターにおいてもギターシンセとともにフル可動です。その分、ES-175の出番が非常に少ないのは残念なところですが。

前の4作品とは線を引くことができるくらいに、良い意味で変貌を遂げている作品。ですから好みのも分かれますね。
今回あらてめて聴いて見るとやはり凄い作品だと想います。
でも音楽は百人百様。もちろん前4作品も好きですが、個人的にはこの作品からのパット・メセニー・グループの流れがやはり好きです。

(CD TOTALTIME:49:56 / Walking消費カロリー:200.73kcal
 walkingには・・・変拍子はちょっと歩き難い感じもありますが、全体的な雰囲気はよく合います。)

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ファースト・サークルファースト・サークル
パット・メセニー・グループ

曲名リスト
1. フォワード・マーチ
2. ヨランダ、ユー・ラーン
3. ザ・ファースト・サークル
4. イフ・アイ・クッド
5. テル・イット・オール
6. エンド・オブ・ザ・ゲーム
7. もっとむこうに
8. 賛美

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あとがき
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