今日は良い天気で快晴。穏やかな雰囲気の中でのwalkingです。そのお供の作品は、前回のつながりでイエロージャケッツのブルー・ハッツです・・・。
ロベン・フォードさんの1979年の作品ギターに愛をがきっかけで結成されたフュージョン界では確固たる地位を築いているバンド。と、私が言うまでもありませんが、実は、あまり馴染みが無くと言うか聴いていないのが真相。
歴史あるバンドなので、変遷や移り変わりなどを絡めて語ることは恐れ多くて出来ないのですが、唯一持っているとも言えるこの作品を、音楽と言う観点で純粋に聴いて見ることにしました・・・。
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01:ケープタウン
ドラムのウィリアムズ・ケネディーさんの、かなり締めてあるスネアの高音の響きでスタートします。6/8拍子なんですが、スネアの位置が2小節パターンの1小節目の3拍裏で入っているのでポリリズム的で捉え難いテンポです。それに反してテーマは非常に綺麗なメロディをサックスのボブ・ミンツァーさんが奏でていきます。
ファーストソロはボブ・ミンツァーさん。
スタートはいたってシンプルなドラムとベースとのトリオで進んでいきます。CD Time=2:24からベースのジミー・ハスリップさんの流れるような“おかず”を合図にラッセル・フェランテさんのアコースティック・ピアノが入ってきます。当然それに触発されるようにボブ・ミンツァーさんもファンキーなラインを奏でていきます。
CD Time=3:10あたりから少し様子が変わってきます。リズムが今までの6/8拍子をテンポアップしたノリから6/8拍子の1小節を1拍にした4/4拍子的なノリに段々と変わっていきます。そして中サビに突入していくわけです。この仕掛けはもちろんドラムのウィリアムズ・ケネディーなんですが、それに直ぐ反応していくラッセルフェランテさんやジミー・ハスリップさんには熟練の技を感じます。
複雑なリズムで展開していく曲ですが、メロディやコード進行などは実に綺麗で、つい引き込まれてしまう楽曲ですね。
02:ウィズ・ディーズ・ハンズ
ラッセル・フェランテさんのアコースティック・ピアノに優しいストリングシンセの絡んだ旋律でスタートします。それに反して曲調はけっこうブルージーなミディアムテンポ。テーマのボブ・ミンツァーさんのサックスが優しい旋律を奏でていきます。
ファーストソロはボブ・ミンツァーさん。
かなり歌っているソロラインです。強引なフレーズは全く無くて、曲調にあった流れるようなオーソドックスなプレイです。
それを受けて次ぎはジミー・ハスリップさんのソロ。
フレットレス・ベースなんですが、音程が見事なので、レガートなラインなんですが歯切れ良く聴こえます。それにしても良い音ですね。高音はもちろんなんですが、特に低音については骨格がしっかりしていないような感じにも聴こえるのですが、実はかなりはっきりしていて、さらには独特の生っぽさのある音です。少し浮遊感があるのですが、存在感を十分感じる魅惑の音ですね。
03:平和への祈り
サックスとピアノのデュオでスタートするまさにジャズ。クラブなどでお酒が合うタイプの曲です。それもそのはずでこの曲はボブ・ミンツァーさんがビッグバンド用に書き下ろした曲だそうです。
ここでのボブ・ミンツァーさんはまさにジャズテイスト。ムーディーな4ビートフレーズを連発していきます。艶のあるテナーサックスが実にいいですね。
続いてはラッセル・フェランテさんのソロ。
右手は高音を解りやすいフレーズでリリカルに奏でていますが、それ以上に良いのは左手のコードワーク。実にヴォイシングやタイミングが良くて見事です。ちょっとビル・エヴァンスさんのプレイを想いだしました。
04:スタチュ―・オブ・リバティ
ドラムの4ビートラインが心地よいアップテンポのジャズチューン。ピアノの左手での低音とベースが難しいリズムにも関わらず完璧に合ったフレーズで流れていき、それに重なるようにボブ・ミンツァーさんのバスクラリネットと、今度はピアノの右手が速いメロディを奏でていきます。このスクランブル状態はかなりカッコ良いです!ピアノはかなり難しいと想うのですが、さらりと弾き切っているところは見事です。
また、ラッセルフェランテさんの左手のラインとジミー・ハスリップさんのベースが、全くと言って良いほどズレを感じないのは、まさに長年に渡るコンビネーションのたまもの、熟練夫婦の“あうんの呼吸”と言う感じです。
ソロは4ビートのブルース進行。
最初はボブ・ミンツァーさんのバスクラリネット。高音でのラインよりも低めの音のラインがやはり“らしく”て良いですね。ラインは文句なしのジャズライン。軽快にスウィングしています。
次ぎはラッセル・フェランテさん。ソロ頭から右チャンネルのマイクがフレーズに合わせて歌うラッセル・フェランテさんの声を捕らえています。すでにノリノリのフレーズ前回ですね。細かいラインはもちろんジャズラインで見事ですが、やはり左手のバッキングワークの絶妙さに聴き入ってしまいます。
05:コール・マイナー・ブルース
ミディアムテンポでややダークな色彩のあるジャズ的ナンバー。しかしいわゆる“ど・ジャズ”にはなっていなくて非常に洗練された感じがするのは、多分ベースのジミー・ハスリップさんのラインの力だと・・・。単純な4つ刻みではなくて、バリエーションが豊富なプレイで匠の味わいを感じます。
06:サヴァンナ
ストリンスシンセとソプラノサックスのフリーランスなラインが、綺麗で映像的な雰囲気を出します。すると、それを裂くようにインテンポになり、ベースとシンセのギター的バッキングが入ってきます。すかさず、印象的で抜群なグルーヴ感のジミー・ハスリップさんの繰り返しフレーズのベースラインが流れを創り、そして綺麗なストリングシンセをバックにソプラノサックスでテーマが奏でられていきます。今までの中では一番フュージョン的な曲です。でもこのイントロからテーマの展開はかなり良いですね。
6/8拍子に乗って最初は静かにスタートするボブ・ミンツァーさんのソロ。
ここでは次第にクレッシェンドしていくバンド全体の強烈なグルーヴを目の当たりにできます。当然、ボブ・ミンツァーさんも熱さを増していって、CD Time=3:45からの雄叫びフレーズで最高潮に達します。
もうこうなるとバッキングで誰が上手いとかそう言ったことではなくて、ひとつの塊としての弾丸ライナー的な凄まじさを感じますね。この部分肝!です。
テーマを挟んで続くラッセル・フェランテさんのソロは、逆にリリカルで綺麗なメロディと抜群なヴォイシングの左手コードワークで奏でます。CD Time=5:28からソロエンドに向けての盛り上げ方とラインは鳥肌ものです。
07:ニュー・ロッシェル
ジミー・ハスリップさんのベースとピアノのデュオでスタートする曲。インテンポに入るとボブ・ミンツァーさんのEWIがその独特な音でポップなテーマを奏でていきます。今日の晴天の様な爽やかさのある曲です。
サビではEWIとサックスでのひとりユニゾン。EWIとサックスって同時に奏でられることは少ないと想うのですが、同じ人が吹いているのでアーティキュレーションもバッチリ合っていて、これがけっこうグッとくる演奏になっています。メロディも優しさとカッコ良さのある旋律ですね。
ラッセル・フェランテさんの歯切れの良いエレピのソロに続いてEWIのソロ。
今度はEWIによるハーモナイザーを使ったユニゾンでのフレーズ。まさにマイケル・ブレッカーさん的。CD Time=3:48からのフレーズなどは、音はもちろんですが、アーティキュレーションやフレーズも含めてマイケル節!です。それにしても、ボブ・ミンツァーさんのフレーズや音使いはマイケル・ブレッカーさんに似ていますね。ブレッカー・ブラザーズの後釜としてボブ・ミンツァーさんの名前が出ることがありますがそれもよく解る気がします。
しかし、あえてマイケル・ブレッカーファンとしては、その違いをこのように想うのです。
マイケル・ブレッカーさんの場合はソロを聴いていくと
「ふむ・・・なるほど・・・ふむふむ・・・と!・・・そこまでいくか!」と言う感じ。
それに対してボブ・ミンツァーさんの場合は
「ふむ・・・なるほど・・・ふむふむ・・・と!・・・終り?」って言う感じ。
つまり、もうひとフレーズ欲しいのです。この感じ解りますでしょうか?あくまでも個人的な想い入れですのであしからず・・・。
08:コキンボ
ベースのラインとコード進行がダークな曲。でも流れるような16ビートが良い感じです。4曲目のスタチュ―・オブ・リバティでは見事に合ったリズムを聴かせてくれたラッセル・フェランテさんとジミー・ハスリップさんですが、この曲のイントロでは流れるようなベースラインにつかず離れずのピアノラインを重ねていきます。このバランスも、やはり熟練夫婦の“あうんの呼吸”的フレーズ。見事ですね。
09:アンジェリーナ
ドラムのブラシでスタートするダークなムードのバラード。ボブ・ミンツァーさんのテーマに絡むストリングスシンセがよりダークな雰囲気を出しています。
CD Time=1:38ではその雰囲気を切り裂くようにラッセル・フェランテさんのコード一発から上昇していくフレーズ。そして静かにメロディを奏でていきます。高音で綺麗なラインですが、それを小節頭で牽引していく左手のコードがやっぱりダークなイメージ。非常に幾何学的な組み立ての中に、逆にヒューマンな部分を感じてしまいます。
陰鬱な感じで繰り返す2つのコードの間を埋めるように、ボブ・ミンツァーさんのブロウで静かにフェードアウトしていきます。
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この作品はかなりアコースティックな作品で、基本的にはゲストなし、さらにオーバーダビングも最小限と言う感じの創りです。非常にすっきりとした印象で音数が少ない分、クリアな音と細かいテクニックを味わうことができます。
また全曲がオリジナルでアレンジがイエロージャケッツとなっています。
曲創りをメンバーがアイデアをだしながらセッションを重ねていく中で、そのモチーフを発展させたと言う経緯があるそうです。
その為かどうか解りませんが、演奏自体は非常にジャズ的でまた即興的な感じがします。スタジオライヴ的とまではいきませんが、かなりセッション的。
でもそこは熟練のバンド。セッション的というのはあくまでもライヴ的な意味合いでのこと。その、グルーヴや細かいところでの“あうんの呼吸”的なアンサンブルは、単に長くやっているバンドと言うことだけではない“まとまり”を感じます。
ライナーノーツのインタビューで、ラッセル・フェランテさんが「自分がリーダーなんて言ったら皆に袋叩きにあうよ」と言い、ボブ・ミンツァーさんが「希に見る民主的なバンド」と言っているところからも、風通しの良さそうな人間関係やそのまとまりの良さを感じることができますね。
やはり、グループをまとめていくには、風通しが良くないとダメなんですね。どこぞの政党のように誰かが突っ走りだしたらこのグループの魅力は無くなってしまうのかも知れません・・・。
(CD TOTALTIME:56:37 / Walking消費カロリー:227.6kcal
walkingには・・・ダークな曲やテンポの取り難い曲もありますが、全体的にすっきりとしていてけっこう合います・・・。)
![]() | ブルーハッツ イエロージャケッツ 曲名リスト 1. ケープタウン 2. ウィズ・ディーズ・ハンズ 3. 平和への祈り 4. スタチュー・オブ・リバティ 5. コール・マイナー・ブルース 6. サヴァンナ 7. ニュー・ロッシェル 8. コキンボ 9. アンジェリーナ Amazonで詳しく見る by G-Tools |
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コメント (3)
確かayukiさんは,ウェザー・リポートも聞き込んでいなかったですよね。
これは私の持論ですが,イエジャケはWRの後継バンドです。
実にクリエィティブで,新作を聴くとまずは感嘆詞しか出てきません。フュージョンであってジャズ・バンド。
ayukiさんの批評とは真逆かもしれませんが(申し訳ありません)イエジャケは個性大のバンドですよっ。
ただし『ブルー・ハッツ』は,普通の出来なので個性全開が感じにくいのは事実です。でもその辺のバランス感覚がWRっぽくと好きなんです。
乱文を陳謝。
投稿者: セラビー | 2007年11月08日 21:59
おじゃまします。
ボブとマイケルの共作でTWO T'Sという4ビートのアルバムがありますが、
このレビューを読んでいてそれを思い出しました。
このCDは結構好きで良く聴いていました。
マイケルの怒濤のソロプレイを聴いてしまい、それが基準になると物足りなさを感じることも多々あります。
最近トムスコットを聴いているのですが、ソロという点ではEWIは満足できません。
やはりマイケルのプレイの印象が強烈ということ以外では説明できないものを感じます。
投稿者: bonejive | 2007年11月08日 22:00
セラピーさん
コメントありがとうございます。
私の個人的なジャズ・フュージョンなな不思議?のひとつが、ウェザー・リポート、イエロージャケッツと言う超老舗をあまり聴かないと言うことがあり、音楽テリトリーの巾の狭さを実感しているんです・・・。この作品はバンドとしての個性は強力で協力なものがあると想いますが、個人の個性全開と言う面では弱い作品なんですね。ちなみに超老舗でもうひとつ、スパイロ・ジャイラもあまり・・・なんです。
bonejiveさん
コメントありがとうございます。
ボブ・ミンツァーさんのこの作品でのプレイはなかなかで、あらためて凄いなと想った次第です。でもマイケル・ブレッカーさんと比べると、やっぱり物足りないと・・・。でも2人ともハイレベルでの話で、それこそ料理で言ったら指先ひとつまみの塩を入れるか入れないかくらいの感覚ですので、これはもう好き嫌いの要素ですね。単に私はマイケル・ブレッカーさんが好きと言うことに落ち着いてしまいます。
投稿者: ayuki | 2007年11月10日 09:35