Walking de Music

2007年11月22日 11:59にアップしたエントリーです。

ひとつ前のエントリーはライヴ!/スーパー・ギター・トリオ FRIDAY NIGHT IN SAN FRANCISCO/AL DiMEORA,PACO DE LUCIA,JOHN McLAUGHLINです。

次のエントリーはイン・リオ/リー・リトナー LEE RITENOUR IN RIOです。



ビヨンド・ザ・インフィニット/渡辺香津美

ビヨンド・ザ・インフィニット

今日は比較的穏やかな一日だったのですが、遠くの山を見ると真っ白!雪です。冬ですね・・・いよいよ。と言うわけで今日は、渡辺香津美さんのビヨンド・ザ・インフィニットです・・・。


渡辺香津美さんの2001年の作品です。渡辺香津美さんと言えば、アコースティックな作品と同時にギタートリオを展開していますが、この作品はご本人曰く『自分のあらゆるものを投入したと言う感じ』とのこと。丁度、ソロギター作品ギタールネッサンス(*)の前にリリースされた作品になります。第一印象は、なかなか取っ付き難く、実際にはあまり聴いていない作品なんですが・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

01:MOON [月]
この作品の帯に『21世紀に贈るエスノ・プログレ・ギター組曲』とあります。この1曲目から7曲目までがギター組曲になっていると言う大作です。これはデビュー30周年の2001年にライヴで演奏したものを再度スタジオで録音したと言うことらしいです。

スタートはナイロン弦のクラシックギターとストリングスから厳かに始まります。ストリングとは言ってもオーケストラでは無くて、ヴァイオリン×2、ビオラ、チェロと言う弦楽四重奏をバックにしています。作品全部を通して、この弦楽四重奏に加えて、後はサックスとフルート、そしてドラムとパーカション、ベースと言う編成が基本。渡辺香津美さんのギターにそれらが絡みつつ曲が進んで行くと言う感じです。

ナイロン弦のアルペジオ的なフレーズにヴァイオリンが付かず離れず絡み、そしてインテンポになります。テーマはフルートとのユニゾン。少し跳ねたリズムが心地よい感じですが、途中変拍子を挟んだりして、クラシカルでありながらもプログレ的なサウンドで、繰り返しのフレーズが少なく、曲は目まぐるしく展開していきます。ややエスニックな感じの中にも、少しレトロな感じがする1曲目です。

02:MARS [火星]
ホルストさんの惑星と同じように惑星をタイトルにしているのですが、この火星ホルストさんの惑星の中の火星の様な勇壮な感じでは無くて、もっと優しげな感じがする曲です。ここではスチール弦のアコ―スティックギターです。

スタートからしばらくしてインテンポになると少し様子が変わってきて、やや激しさが出てきます。テーマを奏でるヴァイオリンの感じがTVの情熱大陸と言う感じでしょうか。そのまま、渡辺香津美さんのソロへ突入していきます。

渡辺香津美さんのソロの特徴は、メロディアスな中にも、リズムシーケンス的なフレーズやパーカッシブなフレーズが心地よく絡んでくるところでしょうか。このソロでもその特徴が爆発していて、CD Time=3:00からのクロマティックでメロディアスなフレーズからポリリズム的なフレーズへの展開やCD Time=3:27の流れるようにアップしていく速弾きフレーズから和音を使用したパーカッシブなフレーズへの展開など見事なソロラインを奏でています。

続いて中川昌三さんのフルートソロ。
かなり熱いソロです。CD Time=5:30のいかにもフルートらしい震えを使ったラインがいい感じですね。また、それに絡む渡辺香津美さんのバッキングがこれまたいい感じです。

フルートと今度はエレキのユニゾンでのメロディを挟んでCD Time=6:38からのコード進行。これはちょっとレトロな感じのするいかにもクロスオーバー的な進行。雰囲気はジェフ・ベックさんのスキャッター・ブレインと言う感じでしょうか。

その後曲が重い8ビートに展開していきます。今度はかなりプログレ的な感じになります。ヴァイオリンとサックス、そしてギターのユニゾンでメロディです。ちょっとマハヴィシュヌ・オーケストラの雰囲気と言ったら良いでしょうか。ちなみにサックスは本多俊之さんです。その重い雰囲気から、ストリングスとサックスとギターが良く計算されたアレンジでレガートに絡みながらエンディングです。

03:MERCURY [水星]
再び渡辺香津美さんのナイロン弦ギターの音色とややオドロオドロしい感じのストリングスがイントロ。途中にSE的なフレーズで入る吉野弘志さんのウッドベースが雰囲気を盛り上げます。

曲はギターとベースのフリーテンポでのインタープレイにストリングスがバックでコードトーンを奏でながら進んでいきます。テーマがなく、渡辺香津美さんのインプロビゼーションで終始します。

04:JUPITER [木星]
ここで初めて渡辺香津美さんのノーマルトーンのエレクトリクギターを聴くことができます。アルペジオにストリングスと言う展開で今までの曲の基本的な流れ通りなんですが、エレクトリックに変わるだけでもずいぶん雰囲気は違います。

CD Time=2:25からはギターがずっとラインを奏でていて、それに交互にフルートとサックスがユニゾンをしていき、最終的には一緒にユニゾンになってから4ビートに突入します。このあたりの流れはスムーズで、いきなり4ビートでは違和感があると想われるところを上手くアレンジしています。

ソロは本多俊之さんのサックスに続いて中川昌三さんのフルートへと繋いでいきます。そして渡辺香津美さんのソロです。

ここはもうさすがと言う感じのジャズラインを奏でます。コード進行がワンコードの様なので、スケールも基本的にはワンスケールなんですが、かなり自由に展開しています。マイナーコードなんですが、時々メジャーになったりするような、コード感がものすごく伝わってくるソロラインです。

そして山木秀夫さんのドラムソロに続いて、4ビートに入る前のユニゾンに戻ってエンディングです。

05:VENUS [金星]
渡辺香津美さんのナイロン弦のテーマにNORAさんの歌が乗ります。気だるい感じと陰鬱な感じを持ったメロディが何とも言いがたい独特の雰囲気を出しています。
メジャーになりそうでならない曲調は、聴いていると、どっと落ち込むと言うか、暗くなると言うか・・・。それを救ってくれるのが渡辺香津美さんのナイロン弦ギターの音の美しさ。いつ聴いても絶妙な音色です。

06:SATURN [土星]
この曲で登場するのは渡辺香津美さんの歪み系のギター。全体に重くマイナーな曲調で、14/8と言う変拍子に乗ったリズムシーケンスを繰り返しながらコードを変えていき、さらにいろいろが楽器でテーマや短いアドリブを絡めていくと言う構成。その中心でややロック系のフレーズも飛び出す渡辺香津美さんの歪み系ギターのバッキングが、意外に溶け込んでいるのが面白いです。

渡辺香津美さんのギターソロはかなりロック。この感じもけっこう得意な感じですね。ジャズに限らず、この様なロック的なギターも上手く弾き抜けることが出来るのも渡辺香津美さんのボキャブラリーの広さですね。しかも、本当にロックしているフレーズで、ジャズラインを用いたロック的フレーズではない所が見事です。

07:SUN [太陽]
イントロにマリンバらしい音でスペーシーでSE的なリフが入ります。クレジットにシンセが無いので多分パーカッションのヤヒロトモヒロさんのマリンバ(だと想います・・・)プレイにエフェクトをかけたのでは無いかと想うのですが。今までの中で一番エレクトリックな感じのする瞬間です。

その後は本多俊之さんのサックスのメロディにストリングスが今まで以上にクラシカルに絡みます。そして吉野弘志さんの弓を使ったベースのメロディの部分ではまさに弦楽四重奏の様な感じ。その雰囲気を引きずりつつNORAさんの歌が、先ほどの気だるさではなくて、もう少し希望と光を感じる様に流れます。

全体的にはのんびりとしたムード。タイトルの太陽と言うイメージもかなり合っている感じがします。今までの曲の中では個人的に一番タイトルと曲調がしっくりくるような感じがするのですが・・・。

ゆったりとメロディにのって、サックス、フルート、そしてギターが想い想いにソロを重ね、そして一瞬の静寂・・・。そしてエンディング・・・。ギター組曲の終焉です。

08:ネコビタンX-赤球
この曲は名盤おやつ(*)の中でラリー・コリエルさんとデュオをしていた曲ですね。もちろん今までと同じフォーマットでの演奏なんですが、世界観が合っていて、組曲の続きと言っても良い感じがします。
ストリングアレンジが良く出来ていて、そのハーモニーに乗って渡辺香津美さんのナイロン弦ギターが超絶なソロを展開します。弦楽四重奏対アコギと言う感じで個人的にはベストトラックだと想います。

09:ネコビタンX-青球
この曲は前の曲の赤球に対して青球と言うサブタイトルがありますが、意味は良く解りませんね。こちらはギターが入っていなくて弦楽四重奏での演奏になります。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

かなり異質な感じの作品で、一番最初に聴いた時の取っ付き難さは今回も同じでした。
ギターのソロやメロディラインなど、所々珠玉の部分があるのですが、全体を通して聴くとかなり根気が必要かと想います。

確かに帯にもあった通りにプログレ的な作品になっていますが、もう少しクラシック寄りと言うか・・・。

また全体的にマイナーな曲調で、さらにストリングスの美しさと言うよりは、弦楽器の生々しさが際立っていて、それもまた独特の雰囲気とレトリックな雰囲気を出しています。

フォーマットとしては、ギタートリオに弦楽四重奏でハーモニーをつけて、さらにフルートとサックスが所々加わりそしてパーカッションが加わると言う形。
かなり面白いフォーマットだと想いますが、やはり特殊な感じです。それでも、渡辺香津美さんのいろいろなスタイルを模索する姿勢には敬服します。また、それをさりげなく演ってしまう凄さもありますね。

作品を通してのコンセプトが首尾一貫しているので、聴き始めにハマルと、かなりハマル作品だと想いますが、スタートからくじけると、そのままくじけてしまう作品、と言う感じです。

(CD TOTALTIME:56:35 / Walking消費カロリー:227.47kcal
 walkingには・・・雰囲気が陰鬱な感じなので、爽やかな感じでwalkingは出来ませんね。)

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ビヨンド・ザ・インフィニットビヨンド・ザ・インフィニット
NORA 渡辺香津美 本多俊之

曲名リスト
1. MOON(月)
2. MARS(火星)
3. MERCURY(水星)
4. JUPITER(木星)
5. VENUS(金星)
6. SUTURN(土星)
7. SUN(太陽)
8. NEKOVITAN X-Red Pill(ネコビタンX・赤玉)
9. NEKOVITAN X-Blue Pill(ネコビタンX・青玉) ※〈HDCD〉

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GUITAR RENAISSANCE(紙ジャケット仕様)GUITAR RENAISSANCE(紙ジャケット仕様)
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コメント (4)

WESING:

クラシック的で僕にはちょっと苦手なタイプの音楽でした。だから、買ったときに一度しか聞いてなくて、覚えがなかったから間違って2枚も買ってしまいました。
一枚は未開封です。(苦笑)
久し振りに聞いてみましたが、最初のうちは良いけど、だんだん聞くのが苦しくなってしまいました。(^_^ゞ

WESINGさん
コメントありがとうございます。
本文にも書きましたが、全部聴くにはけっこう根気が必要ですね。2枚あるんですね。私も同じように2枚買ってしまいそうになった作品はたまにあります。

ayukiさんの危惧通りスタートからくじけてしまった口です。凄さは感じましたが,だから何が言いたいの~と思ってしまいました。凝りまくっていて伝わりにくいのかなぁ。一音でも感動を与えてくれた方が…。辛口ですみません。

セラピーさん
コメントありがとうございます。
くじけてしまった口、ですか。確かに取っ付き難い作品ではありますよね。渡辺香津美さんの数多い作品の中でも、かなり異質ですので、何回も聴くと言う感じではないかも知れません。デビュー30周年の2001年ライヴのパフォーマンスをそのままリリースしたほうが良かったかも知れませんね。


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