Walking de Music

2007年12月のすべてのエントリーです。新しいエントリーから古いエントリーへと順番に並んでいます。

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2007年12月Archives

2007年12月31日

今年も終りです・・・【Column】

今年もあと少しで終りです。
今年一番売れたオリコンのJ-POPが千の風になって
日本の音楽シーンは今は若い層の方たちがけん引していると想います。CDの購買層が若い方が多く、ある意味組織票的にCDが売れていく時代だと想っています。

そんな中に時々、この千の風になってのような
いわゆる昭和歌謡的な香りと言うか、曲を聴かせると言うか・・・。
人ではなくて曲が支持される・・・そんな曲がヒットしたり
古くはおよげたいやきくんだんご3兄弟などの子供向け音楽がヒットしたり・・・
それが数年間隔で起こると言う面白い現象がありますね。

このような曲がヒットするたびに、組織票的なものではなくて、年齢層の幅広いところから、音楽好きが組織に謀反を起こしているような感じがしてけっこう好きだったたりします。

ことジャズ・フュージョンシーンではどうかと言うと
実は新譜ってあまり聴かないので良く解らないと言うのが現実です。
そんな中でも、マイケル・ブレッカーさんや年末のオスカー・ピーターソンさんの逝去は、個人的に大好きだっただけに、かなりショックな出来事でした。

このWalking de Musicも始めてから約1年。
walkingと共にたくさんの音楽を聴いてきました。

walkingをする気分が沸かないときも、レビューをするためにwalkingを何とかしました。
ブログなんだから、walkingしたことにして部屋で聴いてレビューすれば・・・とも言えますが、それは、しないと心に決めた・・・と言えばカッコつけ過ぎなんですが、必ず自分の中で守ってきたことがwalkingで聴いたもの意外はレビューしない!と言うことなんです。

ざっとwalking消費カロリーを計算すると
大体1作品160kcalとすると約100作品で16000ckal。
ご飯茶碗に軽めに一杯で約240kcal。すると大体67杯くらい消費したことになります。

また、1枚あたり大体50分くらいとすると
約100作品で5000分。つまり83時間。3日半くらいぶっ続けで聴いたことになります。

多分、こんなにカロリーを消費したもの
音楽をたくさん聴いたのも
今まで無かったことではないかと想います。

もともとがwalkingをする時の時間を有効に使用しようと想って始めたのがきっかけです。ところが、最近はレビューにもつい力が入って、長文になってしまい読んでいただく皆様にご苦労をおかけしています。

walkingをするためのモチベーション継続の為のレビューと
レビューをするためのwalking
相乗効果で続けてくることが出来たと想っています。

そもそも、音楽を純粋に聴く、ピュアに聴くって最近の忙しい世の中ではなかなか時間が取れないのが実際ですね。
ですから、どうしても『ながら』になったりするわけですが。
私もwalkingをしながらと言うことではありますが、それでもかなりピュアに聴くことができます。

その為、今までCDラックの隅に置いてあったり
車を運転しながらや何かをしながら聴いていたのでは気が付かなかったことを発見したりします。
これは、まさにラックにお宝!
何でこんな良い作品をラックの隅にずっと置いておいたのか!って想うこともしばしば・・・。

ですから、出来るだけピュアに音楽を聴く機会を設けていければと想っています。

さらに、ひとつの作品を何回か聴くと
その時々で感じることや想うことが違うと言うことにも気がつきました。
音楽はまさに生もの。

それは、リスナーのパーソナルな部分に直結している・・・。
その時の気分や感情でいろいろな捉え方が出来る・・・。

ある日のレビューで駄作と言ったとしても、後日聴いて、感じたものが大きければそれは名作。
朝令暮改もあり!だと・・・。
まさに、感じたもの勝ち!
だから、音楽は面白い!ってことですね。

来年は、もう少し簡潔にまとめることが出来るようにしたいと想っています。
そして、そのCDの歴史や背景などは別のブログやサイトにお任せするとして
私は、アマチュアミュージシャンのつたない知識をフルに生かして
演奏をすると言う視点を中心にして
作品を感じるままにレビューしていければと想います。

このブログをいつもご覧いただいている方。
たまたま通りすがりの方。
皆さん、ありがとうございました。
来年もよろしくお願い致します。

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あとがき
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2007年12月28日

ナイジェリアン・マーケットプレイス/オスカー・ピーターソン・トリオ 
Nigerian Marketplace/OSCAR PETERSON TRIO

Nigerian Marketplace


今日は晴天。少し風は冷たいですが陽射しは暖かでした。と言うことでオスカー・ピーターソン・トリオナイジェリアン・マーケットプレイスでwalkingです・・・。


この年末になっての訃報・・・。とても残念ですがオスカー・ピーターソンさんが82年の生涯を閉じました・・・。
私が4ビートの世界にハマっていったきっかけはギタリストのジョー・パスさん。そして、そのジョー・パスさんのセッションワークの中でも大きいウェイトを締めていたのがオスカー・ピーターソンさん。ですからジャズ・ピアノと言う面においてはオスカー・ピーターソンさんが4ビートの世界へハマるきっかけを創ってくれたと言うことになります。
また、一番最初にライヴで観た、いわゆる外国のジャズメンの『本物のジャズ』・・・これはオスカー・ピーターソン・ビッグ4のステージでした。この日のライヴは、DVDオスカー・ピーターソン・ザ・クインテッド・ライヴ(*)としてリリースされていますが、忘れもしない1987年東京・簡易保険ホール。2月終りの冬でした・・・。

オスカー・ピーターソンさんの作品はいろいろありますが、どの作品を聴こうか?・・・と。名盤のプリーズ・リクエスト(*)やナイト・トレイン(*)、またジョー・パスさんの参加しているもの・・・。
結局選んだのは、ソロ・ピアノでのスタンダードの名曲、ミスティワルツ・フォー・デビー、またケイク・ウォークユー・ルック・グッド・トゥ・ミーが収録されているこのライヴ作品にしました・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

01:ナイジェリアン・マーケットプレイス
オスカー・ピーターソンさんのトリオはベースのレイ・ブラウンさん、ドラムのエド・シグペンさんと言う黄金トリオがありますが、このライヴはベースがニールス・ペデルセンさん、ドラムがテリー・クラークさんです。1981年のモントゥルー・ジャズ・フェスティバルでのライブ録音になります。

オスカー・ピーターソンさんのピアニシモでのマイナーラインが厳かに流れ始め、テーマをニールス・ペデルセンさんが奏でます。情緒的で静かな雰囲気のスタート。マイナーを基調としているので、オスカー・ピーターソンさんの明るいグルーヴ感を聴くと言うよりはナイーブで繊細な面を聴くことが出来ます。

オスカー・ピーターソンさんのソロは、そのマイナーなコード進行にノッてテーマのモチーフを生かしながらスタートします。そうは言ってもワンコーラス目の終り位からはやはり怒涛の速いパッセージが連続します。それでも、どちらかと言うと和音を使用したフレーズが多いので、そのヴォイシングの妙と左手のカウンターの入れ方の技を味わうことが出来ます。CD Time=4:26からの左手のアクセントなどを聴くと、ひとりインタープレイ!と言う感じで見事なグルーヴを生み出しています。

2コーラス目に入ると、ベースのニールス・ペデルセンさんがまるでジャコ・パストリアスさんのような歯切れの良いラインを8ビートに乗せて奏でます。そうです、この曲は8ビートの曲です。ですから、オスカー・ピーターソンさんのソロも少し雰囲気が違っていてかなりポピュラーな感じのするソロになっている訳ですね。

2コーラス目のサビのパターンの終り、CD Time=6:03からは、いつものコロコロと節の回るラインでは無くて和音を中心にしたクラシカルで壮大なプレイで締めくくります。それに反応してニールス・ペデルセンさんとテリー・クラークさんも大きなノリで全体を盛り上げます。

大きなグルーヴが生まれたところで、今度はCD Time=6:19でニールス・ペデルセンさんのバッキングがミュートを上手く使用して細かいノリに変化し、それによってビート感とスピード感が増します。その『しかけ』にノッたオスカー・ピーターソンさんが、6連符で細かく流れるラインと和音でのラインで追従していきます。

この曲はオスカー・ピーターソンさんのオリジナル。非常に幻想的で、情緒的で・・・いいですね。マイナーな曲調の中でも、サビの部分に若干メジャーな響きがあるとアレンジが効いています。

02:オー・プリヴァーヴ
複雑なタイミングのユニゾンでテーマが進むチャーリー・パーカーさんの曲。テーマが終わると、今までの複雑さをスーッと持って行くように4ビートにスムーズに変わるところはけっこう肝!です。

ソロの部分はブルース進行。もちろんオスカー・ピーターソンさんはブルースも大得意。
それにしても明るいブルース。ニコニコしながら『唸って』弾いている姿が目に浮かぶような、楽しさのあるフレーズを展開しています。レガートでコロコロと転がるように流れるラインと和音でアクセントをつけるラインを上手くミックスしています。特に和音でアクセントをつける時の、左手のカウンターの入れ方と右手とのコンビネーションが絶妙です。

CD Time=0:50からのラインに続いて、CD Time=:0:57の絶妙な左手の低音。その後ブルースフィーリングの溢れるメロディから、CD Time=1:03には右手が少しリズムを崩し、そして、それに左手を追従させて音程を下げていきCD Time=1:08の低音で完結。この部分があってこそ、続くCD Time=1:09の3連符の速い節回しが生きてきます。

CD Time=1:31は少しフレーズの入りをずらしてポリリズム的なフレーズです。瞬時に反応してニールス・ペデルセンさんが今までのコードであるFを、F♯にするところがカッコいいです。

CD Time=1;43からは、少し不協和音と左手の細かいトレモロを入れた、実にファニーなラインで遊び心を感じます。
CD Time=2:26はニールス・ペデルセンさんが、レガートでルーズなラインで『しかけ』ます。それに反応して、テリー・クラークさんが、やや8ビートのような雰囲気に持っていきます。一瞬、突き抜けた感じになるところが、実にいい感じです。

続いてはニールス・ペデルセンさんのソロ。
普通ウッド・ベースの右手は、主に人差し指と中指を使用して弾きますが、ニールス・ペデルセンさんは薬指も使用しているようです。3本指で奏でているため、超絶な速いパッセージが非常にクリアにそして、レガートに聴こえるのが特徴でしょうか。ここでも連続した速いパッセージを聴かせてくれます。

ドラムのテリー・クラークさんのソロに続いてオスカー・ピーターソンさんのカデンツァです。
右手のアドリブラインは、もちろん心地よいスピード感がありますが、もうひとつの聴き所は左手。何とも言えないベース音のルーズさ。そして時々右手とユニゾンになる絶妙なタイミング。また、CD Time=5:41からのラグ風の部分での左手の歯切れの良いバッキングなどは、いつ聴いてもワクワクします。

03:メドレー:ミスティ~ワルツ・フォー・デビー
2曲とも超スタンダードなナンバーで、ミスティエロール・ガーナーさん、そしてワルツ・フォー・デビーがご存知ビル・エヴァンスさんの曲。2人のピアニストへのリスペクトを込めたソロ・ピアノ演奏です。

オスカー・ピーターソンさんらしい速いパッセージからスタートします。
特にCD Time=0:13からの右手、左手のユニゾンでのフーレズは、かなり速いのですが見事な切れ味で奏でています。曲はバラードですが、このような速いパッセージが違和感無く奏でられて、バラード化しているところがオスカー・ピーターソンさんの凄いところです。
実際にCD Time=0:41からのテーマは非常に静かに、綺麗に、リリカルに奏でているのですが、速いパッセージの部分との違和感を感じませんね。

テーマ部分はメロディを静かに丁寧に奏で、その合い間に速いパッセージを組み込んでいくと言うパターンで進みます。さらにサビの部分ではもっと静かに、まるで、ささやく様に奏でます。
高い音を、鈴かベルのように静かに奏でるさまは、オスカー・ピーターソンさんの外見からは想像もできない程の、可愛らしさと繊細さのある部分です。

ミスティのエンディングを壮大にまとめてから、段々トーンを落としていって静かにワルツ・フォー・デビーに繋ぎます。

ビル・エヴァンスさんの元曲があまりにも完成されたコード進行のために、テーマの部分は基本的にあまりフェイクしていません。
テーマのエンド部分では得意の速いパッセージから4/4拍子に変えてソロをスタートします。

ゆったりとした流れを左手で刻みながらも、右手は速いラインを中心に奏でていきます。
CD Time=6:39からは再びルバートになりますが、ここはもうオスカー・ピーターソンさんのオンリーワンの世界へ突入します。

さらにCD Time=7:09からは再びインテンポになって、ラグ風に跳ねるようなリズムでブルージーに奏でていき、完全に独壇場になります。
この瞬間、ビル・エヴァンスさんの印象が強烈なワルツ・フォー・デビーが見事なオスカー・ピーターソン味に料理されます。

エンディングは、それぞれのピアノの巨匠へのリスペクトの意味を込めて、ただ静かに奏でていき、最後にピアノの弦をハープのように鳴らして幕を閉じます・・・。

その直後のオーディエンスの歓声と拍手が、その演奏の素晴らしさを物語っています。このソロはまさに肝!この作品のハイライトと言える名演だと想います。

04:ナンシー
フランクシナトラさんの愛娘、ナンシーさんに捧げられた曲。もちろんフランクシナトラさんが歌ってヒットしました。
ここは、最初ソロでゆったりと奏でていきますが、オスカー・ピーターソンさんのピアノのリフをきっかけにドラムとベースが入り、アップテンポで奏でられていきます。

オスカー・ピーターソンさんのソロは、バックの演奏が前半は、サンバ調のリズムと4ビートが交互に演奏される中でフレーズを奏でていくのですが、後半になると怒涛の4ビートにノッて軽快にフレーズを重ねます。特に、バックの2人の生み出すビートが物凄いスウィング感。ただそのリズムに囲まれて聴いていたい!って想うほどの軽快感と爽快感があります。

05:ケイク・ウォーク
オスカー・ピーターソンさんのオリジナル。いかにも『らしい』明るさとスウィング感のあるテーマをもった曲です。とにかく明るく楽しい曲調がいいですね。

軽快なリズムにノッてオスカー・ピーターソンさんはノリノリのソロを展開します。特に楽しかったのでしょうか、その他の曲よりも、特徴である『フレーズを一緒に歌う唸り声』が良く聴こえるような気がします。

何と言ってもオスカー・ピーターソンさんの魅力はこの明るさにあると想います。もともとが楽しい方なのかどうかは解りませんが、カナダ出身と言うことで、あまり黒人であるが故の人種差別などは受けていないと言うことが起因しているのでは?とライナーノーツに記載されていました。

06:ユー・ルック・グッド・トゥ・ミー
お馴染みの、綺麗で親しみ易いテーマからスタートします。

ファーストソロはニールス・ペデルセンさん。
今までの曲はかなりの超絶速弾きで奏でられていたソロが多かったのですが、このソロはかなりメロディアス。曲調の持っている優しさを出したプレイになっています。それでも、後半の部分は段々と強烈なフレーズが連発してきます。
速いパッセージももちろん良いのですが、CD Time=1:51からのミュートフレーズからコード進行に合わせたラインなどを聴くとただの速弾きベーシストではないことが良く解ります。

続いてオスカー・ピーターソンさんのソロ。
スタートは、ニールス・ペデルセンさんの優しいバッキングに合わせて、かなりリリカルに静かに奏でていきます。

それは4ビートのランニングが始まってからもその雰囲気を維持していくのですが、オスカー・ピーターソンさんのフレーズが段々と盛り上がって来るに従って全体のグルーヴも盛り上がってきます。それはまるで波のようで、トリオ全体の抑揚が見事な演奏です。

CD Time=4:38からのフレーズは超絶な速弾きを封印して軽快にメロディアスに奏でています。バックのビートも軽快ですので、ここでもトリオ全体の大きなスウィング感が溢れています。

CD Time=4:56からは、拍打ちのファニーなフレーズで楽しさを演出しています。その後のCD Time=5:14から、今までのスイング感を突き抜けるような速いパッセージを我慢し切れず爆発させます。それでもそのまま突っ走るのではなくて再び軽快なメロディに戻って、静かにテーマに戻ります・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

大きな体の割りには繊細な指をしていて、楽しげに歌いながらスウィングする姿が目に焼き付いています。また、時々サイドマンにキッとした目つきでコンタクトをとる姿も魅力的です。曲を弾き終わった後に、タオルで汗をぬぐう姿も全力疾走!と言う感じでいいです。
このように、演奏はもちろんなんですが、映像的に観ていても実に楽しめるのがオスカー・ピーターソンさん。

とにかく聴いていてハッピーになれるような気がいつもします。
いろいろな名作を残してくれましたが
これがまた歴史の1ページとして綴じられていくのは・・・淋しい限りです・・・。

それでも、その演奏や映像から解る『音を楽しむ姿』に
音楽の原点を見る想いがします・・・合掌。

(CD TOTALTIME:45:51 / Walking消費カロリー:184.32kcal)

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Nigerian MarketplaceNigerian Marketplace
Oscar Peterson

曲名リスト
1. Nigerian Marketplace
2. Privave
3. Misty/Waltz for Debbie [Medley]
4. Nancy (With the Laughing Face)
5. Cakewalk
6. You Look Good to Me

Amazonで詳しく見る
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(*)本文に登場したCD・DVD

オスカー・ピーターソン WITH ジョー・パス・ライブオスカー・ピーターソン with ジョー・パス ライヴ
オスカー・ピーターソンwithジョー・パス
by G-Tools

We Get RequestsWe Get Requests
Oscar Peterson
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Night TrainNight Train
Oscar Peterson Trio
by G-Tools

あとがき
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2007年12月26日

マイケル・ブレッカー/マイケル・ブレッカー 
MICHAEL BRECKER/MICHAEL BRECKER

Michael Brecker


クリスマスも終り後は年末になだれ込んで行くだけですね。この時期になると必ず今年を振り返って・・・と言うことになりますがこれも恒例。と言うことで今年を振り返る意味も込めつつ、今日はマイケル・ブレッカーさんのマイケル・ブレッカーwalkingです・・・。


今年のジャズ・フュージョン界で一番大きかった出来事と言えば、個人的にはマイケル・ブレッカーさんのこと・・・。
ですから、どうしても年内に一度は聴きたかったと言う訳です。そこで、どの作品にしようか?と考えましたが、約1年前にレビューさせていただきましたこの作品を再度聴いてみることにしました。
その時は細かいレビューではありませんでしたので、今回はじっくりと聴いてみました・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

01:シー・グラス
シンセのまるで賛美歌の様なコードが響く中、マイケル・ブレッカーさんのテーマがゆったりと始まります。
ドラムのジャック・ディジョネットさんのサイドシンバルが3/4拍子のリズムを刻み始めて、そこに絶妙なタイミングでスネアが絡み、さらに3連4分音符でポリリズム的なフレーズを刻むと、待っていたかのようにマイケル・ブレッカーさんが低い音のブロウからソロを奏でます。

曲はあくまでもスロー。そのテンポにノッて朗々と歌い上げていきます。
そのゆったりとしたフレーズの合い間を繋いでいる速いパッセージが、滑らかでよりスローなフレーズを引き立てています。
CD Time=3:22からの独特な奇数音列のフレーズから、CD Time=3:28の駆け上がりフレーズに続くタイムを少しずらした様なスタッカートなライン、CD Time=3:34のフラジオを使った雄叫びフレーズで登りつめ、低い音から駆け上がってフラジオを叫ぶフレーズを2連続。この流れは肝!です。
特に、駆け上がり2連続フレーズは、どこかで聴いたことがあるようなフレーズ・・・。そう、パット・メセニーさんが名曲ついておいででも使っていたギター・シンセで良く使用するフレーズです。
想わぬ2人の共通フレーズを聴いて、何か嬉しくなりました。

その後は、マイケル爆発!と言う感じで速いパッセージを中心としたフレーズで攻め込んできます。
CD Time=3:55からやCD Time=4:06からのポリリズム的なフレーズは、繰り返しのシーケンスなんですが、まさにマイケル節!CD Time=4:00の息切れしているような高音のひと吹きは、完全にイってしまった!と言う感じさえします。
また、このマイケル・ブレッカーさんの攻めに対して、シンセは悠々と奏でられていて、さらにピアノのケニー・カークランドさんも綺麗に、冷静に絡んでいますが、ドラムのジャック・ディジョネットさんはかなり応戦しています。これが絶妙なコントラストを描いていて、この曲の持っている『マイナーな感じですが綺麗な響き』の中に聴こえる『熱いもの』を醸し出しています。

02:シズィジー
一転してアップテンポの4ビートの曲。マイケル・ブレッカーさんの怒涛のジャズラインに絡むのはジャック・ディジョネットさん。最初の部分は2人のデュオで曲が進んでいきます。
ここでの2人のプレイは驚愕のものがあって凄いです!基本的にはマイケル・ブレッカーさんの『しかけ』にジャック・ディジョネットさんが応戦すると言う形に聴こえます。しかしその応戦フレーズの中に忍ばせている『次なるフレーズ』を、ジャック・ディジョネットさんが『しかけている』のも事実で、このあたりのインタープレイの妙はまさに肝!です。

マイケル・ブレッカーさんがテーマに入ると、ベースのチャーリー・ヘイデンさんがややファニーなベースラインを刻み始めます。
しかし、テーマが少し始まると、間には相変わらずマイケル・ブレッカーさんがソロを続ける・・・この感じを繰り返しながらも曲のメロディーは進んで行くと言う展開。まるで波の様にスーッと戻されるようなこの感覚が実にいいですね。

そして、そこから抜け出すようにケニー・カークランドさんのソロがスタートします。
このソロ部分の4ビートのグルーヴは物凄いスウィング感。これは今まで『波の様な感じ』があったから、より感じると言うアレンジの仕掛け。見事ですね。

そのスウィング感を引きずりつつ、マイケル・ブレッカーさんのEWIでのソロがスタートします。
ここでは微妙ながらも良く考えられている音の重なりで、独特の浮遊感と不安定さをもったソロラインを奏でていきます。

そして曲はベースのチャーリー・ヘイデンさんが2分音符のラインに切り替わり、さらにシンセも白球で2分音符のラインに。ドラムのジャック・ディジョネットさんが押さえ気味に4ビートを刻んでいき、少し静かな中にも先ほどのグルーヴがまだ継続しているような感じのパータンへ・・・。パット・メセニーさんのソロがスタートします。

ここでのパット・メセニーさんのソロは、この部分のテーマのモチーフを上手く使用しながらも得意のメセニーフレーズを連発しています。しかしあくまでも冷静に、必要以上に熱くならずに、と言う感じ。いつも以上に正確なピッキングとタイム感が溢れています。テーマとテーマが持っている雰囲気を完全に意識した奏で方で、淡々と綺麗な中にも、『らしさ』が出ている見事なソロだと想います。

03:チョイセズ
ダークな曲調のスローなナンバーです。
ここでのマイケル・ブレッカーさんは、曲調に合わせてかなりダークなフレーズを奏でていきます。速いパッセージはもちろん魅力があって凄いと想うのですが、この曲のソロのように強いタンギングでのフレーズと朗々と歌うメロディや絶妙なアーティキュレーションのニュアンスを聴かせてくれるソロもなかなか良い味を感じます。逆に速いだけではない上手さを聴くことができます。まあ後半のソロ・エンド近くからは、かなり速いパッセージが炸裂してはいるのですが。

04:ナッシング・パーソナル
軽快な4ビートにノッてケニー・カークランドさんのちょっとしたソロからスタートします。ユニゾンのテーマとテーマの間のピアノのフレーズが良いアクセントになっていますね。

ファーストソロはパット・メセニーさん。
ここでのコード進行はブルース進行。チャーリー・ヘイデンさんとジャック・ディジョネットさんの軽快な4ビートにノッてブルースラインを奏でていきます。
CD Time=1:59からはひとつの音、D=「レ」のみで8小節弾き切ってしまうと言う得意技のフレーズ。特にブルースを弾く時には良く出てきますね。
これは1弦と2弦で同じ音、D=「レ」の音を使って奏でます。同じ音を別のポジションでも奏でることが出来ると言うギターならではの奏法ですね。特にアクセントをつけるときに2弦をスライドさせてDの音を出します。フレーズ的には簡単に弾く事が出来るのですが、誰が弾いても『さまになる』と言うものではない、絶妙なアーティキュレーションの技を聴かせてくれます。

続いてマイケル・ブレッカーさんのソロ。
同じくブルース進行なんですが、あまりブルースらしさを感じない洗練されたソロラインを奏でていきます。
CD Time=3:45からの歯切れの良いスタッカートな8分音符の下降していく機械的なフレーズから、CD Time=3:52から始まる16分音符での繰り返しフレーズへ。この繰り返しのフレーズの始まりが小節の頭からではなくて、実に微妙な拍からスタートしているために、ポリリズム的に聴こえる感じが肝!ですね。また、このフレーズに対するジャック・ディジョネットさんの反応も流石です。

05:ザ・コスト・オヴ・リヴィング
マイナーなテーマを持つスローバラードです。哀愁の漂うメロディラインは演歌的とは言いませんが、けっこう日本人好みの感じがするラインですね。パット・メセニーさんのナイロン弦のギターが所々で際立って聴こえて、いい感じを演出しています。

ファーストソロはチャーリー・ヘイデンさん。
スローなテンポに合わせたリリカルなラインでメロディアスに奏でていきます。このような感じは一聴地味なソロなんですが、速いだけではないと言う典型的な円熟のラインだと想います。

そのチャーリー・ヘイデンさんの気を受けてマイケル・ブレッカーさんも前半はリリカルに奏でていくのですが、後半は効果的に速いパッセージを入れたソロを奏でます。

06:オリジナル・レイズ
EWIの多重奏法からスタートします。それにしても何とも言えない音の重なりです。合っていないようで、聴いていても違和感の無いと言う不思議な感覚のラインです。

インテンポになってからはステップス・アヘッドの曲の様な感じで進んでいきます。ずっとEWIでの多重奏法で奏でられていたメロディが途中からサックスに変わります。この部分になると個人的にはホッとします。やはりサックスの方がいいですね。急にヒューマンな感じが漂ってきます。

ファーストソロはパット・メセニーさん。
曲調がおおらかで、ややカントリー的な感じもあるので、パット・メセニーさんの世界にマッチしています。ソロラインもそれに準じたフレーズで、おおらかに歌います。

続くマイケル・ブレッカーさんのソロも前半は同じように、カントリフレーバーの少しあるラインをおおらかに奏でていきます。途中から段々と激しさを増していき、CD Time=5:22では再び16分音符の繰り返しフレーズ。それにジャック・ディジョネットさんが素早い反応で絡んでいきます。盛り上がったところでマイケル・ブレッカーさんの怒涛のパッセージ。CD Time=5:31からの明るいコード進行の部分でのメジャーなラインからラウドなフラジオで次のコーラスへ。見事な流れを持ったラインでいい感じです。
その後も激しさとメロディアスな部分を上手くミックスしながらソロを奏で、悟ったかのように静かにテーマに戻っていきます・・・。

07:マイ・ワン・アンド・オンリー・ラヴ
マイケル・ブレッカーさんのカデンツァでスタートする超有名なスタンダードナンバー。
速いパッセージの連続からお馴染みのテーマへ。それでも絶妙なフェイクと時折挟む速いパッセージが見事です。
CD Time=1:00からの速いダウンフレーズからスタッカートで上昇していってテーマへ。そしてCD Time=1:09のラウドなフラジオのロングトーンに続いて、すかさずピアニシモのひと吹き・・・。このメリハリは凄い!のひと言です。
この後に続く、ラインの強弱を含めたアーティキュレーション、テーマとインプロヴィゼーションラインの融合は、言葉にならないくらい美しいラインです。

ドラムとベース、そしてギターでのバッキングでインテンポに。
この部分はカデンツァの部分と同じように、テーマなのか、アドリブなのか良く解らないくらいに、テーマのメロディとソロラインをミックスして奏でていきます。
テーマとして聴くならば、その絶妙なフェイクとアーティキュレーションにため息が出ます。
ソロとして聴くならば、そのテーマラインの使い方と全体の曲調を損なわない見事なラインに感動します。
まあどちらにしても凄い言うことで、まさに肝!です。

CD Time=3:28のサビ前の、コードトーンを的確に捉えたラインから、いわゆる艶のあるメロディを奏で、そして、CD Time=3:48の気だるく息を抜いた感じのダウンブロウから、CD Time=3:51からの少し詰まったような音を効果的に織り込んだラインを奏で、CD Time=3:59からの絶妙な音運びのラインで繋いでテーマに再び戻るところは、まさにサックスの色気を感じるプレイだと想います。

マイケル・ブレッカーさんの色気を感じるソロに続いてパット・メセニーさんのソロです。
なかなかこの様な『超』が付くスタンダードでのパット・メセニーさんのプレイを聴くことは少ないのですが、そのオーソドックスなコード進行に対してのアプローチに際立つものを感じ取れる演奏です。
ギターの場合、この様なスタンダードなコード進行に対してはどちらかと言うと、ギターの上下方向、つまり1弦から6弦に向かって、あるいは逆のパターンを使用したようなラインが弾きやすいラインと言えます。
これはコードを押さえた時に、それを分散してメロディを弾くことが出来ますし、コードトーンも捉えやすいと言えるからです。
しかし、パット・メセニーさんのこのソロはどちらかと言うと左右、つまりフレット間の横の動きでメロディを組み立てている感じがします。
この場合には、横方向でのコードトーンを理解していないと弾けないのは前提ですが、メロディが自由に選択できる分、よりメロディアスに弾けると言うことになります。

CD Time=4:51から連続するメロディは、まさにメロディが縦横無尽の特に横の動きに連動した音の移動のバリエーションを感じる演奏ですし、その反面CD Time=5:49の同じパターンを繰り返してグルーヴしていくと言う、ある意味ノンコード的なラインまで見事な演奏です。またソロエンド部分のコード奏法などは、完全に横の動きと言える珠玉のフレーズです。この演奏はまさに肝!個人的には名演と言いたい演奏です。

ソロの後のテーマは、解りやすくシンプルにメロディを奏でます。
そして、再びマイケル・ブレッカーさんの短いカデンツァがあって静かにエンディングを迎えます・・・。

この演奏がベストテイクだと想います。前回レビューしたジョン・スコフィールドさんの作品で電気が走ったと言う感覚を覚えたことを書きました。しかしこの演奏はその上をいきました。何回も聴いている演奏なんですが多分『今の私』に相当マッチしたのだと想います。
綺麗な言葉を選んで書くよりも、ストレートの方が伝わり易いでしょうか・・・体の中心から下のほうにかけて震えが来る感覚・・・。言葉にはし難いのですが、男性諸氏ならばお解かりいただけるであろう感覚と言いますか・・・。

いい演奏です。本当に・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

それにしても凄い作品です。今までに何回も聴いていますが、今回改めてじっくりと聴いてみて、まさに名盤と言うのに相応しい作品だと想いました。
マイケル・ブレッカーさんのプレイは近作の方がテクニック的なことに加えて、『極めたオーラ』の様なものがバンバン出ていて円熟の域に達していると想うのですが、熱さとエネルギーと言う点においては、この作品の方に軍配をあげます。

それにしても、聴くたびに新しい感動を与えてくれるマイケル・ブレッカーさんはまさに恐るべし!です。
この作品に対して本人曰く
「5年経っても新鮮さの感じられる上質なジャズレコードを作りたかった・・・」
と言っていますが5年どころではありませんね。多分いつまでたっても新鮮さは失われない作品だと想います。

この作品に限らず、マイケル・ブレッカーさんの作品は
『現実にはありえない新作』がリリースされるのと同じように
聴くたびにニュー・リリース作品として自分の中では聴いていくことができる・・・
この作品を聴いてそんな風に想ったのです・・・。

まだまだ聴いたことの無い作品も沢山ありますので
私の中のマイケル・ブレッカーさんのニュー・リリースは多分永遠に続くのだろうと想います・・・。

(CD TOTALTIME:54:29 / Walking消費カロリー:219.02kcal)

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Michael BreckerMichael Brecker
Michael Brecker

曲名リスト
1. Sea Glass
2. Syzygy
3. Choices
4. Nothing Personal
5. Cost of Living
6. Original Rays
7. My One and Only Love [*]

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あとがき
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2007年12月21日

ブルー・マター/ジョン・スコフィールド 
BLUE MATTER/JOHN SCOFIELD

Blue Matter


今年もあと10日となりました。年末になるとオリコンなどの年間の売上NO.1などの発表がありますが、今年は『千の風になって』だそうですね。まあ、それはまた後日にするとして、今日は、ジョン・スコフィールドさんのブルー・マターでwalkingです・・・。


これは1987年リリースの作品です。先日、パット・メセニーさんとのアルバムをレビューさせていただきました。その時に感じた今までとは違う感じ・・・。ジョン・スコフィールドさんにハマルかも?と言う感じ・・・。それを確かめる意味もあって今日はこの作品を選んでみました。本当にご無沙汰の作品ですが、すっかり内容も曖昧で覚えていなくて・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

01:ブルー・マター
ドラムのスネアが16分音符喰って先行、続けてジョン・スコフィールドさんのハンマリングが絶妙なニュアンスのテーマへ。
さらに重々しいベースの重低音。始まった瞬間に『これか!』って想い出しました。この曲の持っている、何とも言いがたいダークな感じと重々しい感じ、これが私の持っているジョン・スコフィールドさんの世界観の代表的なサウンド・・・。

怪しげでダークなムードで曲は進みます。
CD Time=0:06のパーカッションのフレーズが更にその怪しげな雰囲気を盛り立てます。パーカッションはドン・アライアスさん。

更に曲は進み、CD Time=0:25のこの曲の最も肝!の部分とも言えるフレーズへ・・・。
ドラムのデニス・チェンバースさんのバスドラとゲイリー・グレインジャーさんのスラップのベースライン。この2つが織り成す重厚なビート。特にCD Time=0:35からの波状攻撃的な連続の6連符のユニゾンから、ジョン・スコフィールドさんのギターカッティングが入るところはまさに肝!かなりカッコ良いです。

さらにこの部分があるが故に、可憐に、そして厳かに聴こえるCD Time=0:50からのサビのメロディ。更に追い討ちをかける様なミッシェル・フォアマンさんのオルガンの響き・・・。
背中に電気が走る!ってこのような感じのことでしょうか。

その電流はそのままジョン・スコフィールドさんのソロの間も流れ続けます。
ここでのソロはチョーキングや和音を使用したかなりブルージーな雰囲気。さらにクネクネとしたフレージングがよりブルース的です。
CD Time=1:15からは絶妙なインターバルの和音から、スタッカートのラインを刻み、CD Time=1:21の1音半チョーキングを”クネッ”と決めるところは見事です。さらにこのバックでのデニス・チェンバースさんのバスドラの連続攻撃にベースのゲイリー・グレンジャーさんが反応するも、更に長くバスドラ攻撃を続けてそれを”かわす”ところもいい感じです。

CD Time=2:04からは後半のキャッチーな部分と言えるユニゾン的リズムリックに入ります。さらにこのリズムリックの間にあるCD Time=2:12からのユニゾンがカッコ良いフレーズで肝!です。特にこの部分に入る直前のジョン・スコフィールドさんの”クネッ”と入るチョーキングが何とも言えない”味”ですね。

特に後半はこのパターンにノッてジョン・スコフィールドさんのソロがあります。
始めはBmなんですが、Dm→Gm→Emと転調を繰り返して、それに合わせてファンキーなソロを奏でていきます。このアレンジもいいですね。

転調を繰り返して元に戻って、さらに静かにテーマに戻ります。
そして今までのパワーの源の電池が段々切れていくかの様に、静かにチャイムの様なフレーズで終わります。そして、リスナーの背中に走った電流も消えていきます・・・。

02:トリム
細かい16分音符でのキメなどが沢山ある中にも、強力なビート感がある曲。雰囲気はまさにフュージョン!
ジョン・スコフィールドさんのテーマには生っぽさがあります。言い換えるとライヴ的と言うか、即興的と言うか・・・。例えばCD Time=0:11などはロングトーンなんですが、少しピッキングが弱くて十分に音が延び切っていない感じです。さらにテーマ全体を聴いても音の強弱が激しくて、テーマがはっきりととしたリズムになっていないところがあります。
でも、これこそがジョン・スコフィールドさんのタイム感なんですね。このメリハリのある弾き方、そしてポイントの音をハンマリングなどで強く引っ掛ける様に弾くのがスタイルであり、魅力であり、”クネッ”と言う絶妙なニュアンスの元であると想います。

ジョン・スコフィールドさんのソロはテーマ部分では、スケールの変化とリズムのキメを多用している部分を上手く捉えながら弾き抜けていきます。
その後はベースとドラムの細かいリズムをバックに、逆にスケールに準じたようなフレーズで16分音符の速いパッセージで奏でます。そして、CD Time=2:33からは、微妙なスケールアウトを使ったフレーズで、解りやすく、メロディアスでありながら独特のアーティキュレーションのあるラインを奏でます。

全体的にリズム隊の強力なビートが際立っています。特にデニス・チェンバースさんが前の曲とは違って、軽やかな中にも重さがあり、細かい小技が沢山詰まったプレイは凄いです!特にエンディング部分でのドラムソロや終りのスネア・タムなどを使ったロールなどは超強力ですね。

03:へヴン・ヒル
スローテンポの壮大なブルース風の曲。単にジャズやロックをルーツとしたギタリストとは違う、BBキングさんなどのブルースがルーツになっていることが良く解る演奏です。同じルーツを持つラリー・カールトンさんと似たフレーズがあるのが面白いですね。

CD Time=1:15のブルースの典型的なフレーズからCD Time=1:19のチョーキングニュアンス、そしてCD Time=1:22からのチョーキングのフレーズのニュアンスとピッキング、その他にもチョーキングからのスライドダウンや独特のタメもかなりブルージーです。

04:ソー・ユー・セイ
この曲は一転してメジャーなコード進行を持った明るいメロディラインの曲。イントロの部分のドラムのカウベルワークがファンキーでいい感じです。

テーマは和音を上手く取り入れたジョン・スコフィールドさんらしいフレーズで奏でられます。サビの部分がちょっと渡辺香津美さんの曲に似た雰囲気があり、ここでも和音でメロディを刻んでいきます。

ファーストソロのミッシェル・フォアマンさんのシンセソロは、音質的にもライン的にも曲調に良くあったファニーで明るいソロです。

それを受けてジョン・スコフィールドさんのソロは、ラインの基本は変わらないのですがここではナチュラルにギターを歪ませて、さらにオクターバーでエフェクトをかけてオクターブ下の音を重ねています。それが明るい感じを良く出していますね

05:ナウ・シーズ・ブロンド
ミディアムテンポで綺麗なメロディとコード進行の曲です。この曲のテーマ部分ではジョン・スコフィールドさんのハンマリングとその音をやや強めに弾いてアクセントを出す、と言う感じが良く解ります。

ソロは前半はアウトフレーズや”クネッ”としたフレーズは無くて、いたってメロディアスに奏でていきます。後半に入ると、CD Time=2:25でのダブルチョーキングをタメて入るタイミングの妙や、CD Time=2:48からのコードが綺麗に流れていく進行の部分でのメロディアスなラインを聴かせてくれます。特にソロの入り部分のスケールチェンジの見事さやCD Time=3:07のフレーズなどは本当に良く歌っています。

06:メイク・ミー
重いビートを持っているファンキーな曲です。この曲ではバッキングのギターが入っています。このカッティングがなかなかいいんです。これはハイラム・ブロックさん。こうやってカッティングが入るだけで随分とダンサブルになりますね。

ジョン・スコフィールドさんのソロはかなりファンキーで熱いソロを奏でています。
CD Time=1:54の切れのあるチョーキングからCD Time=1:59の16分音符の3連のダウンフレーズ、唸っているようなスライドを使用したフレーズから、さらにロック的なラインで締めるソロエンドの部分はかなり熱い!

07:ザ・ナグ
激しいドラムのビートとベースのスラップ。そしてブレイクを上手く使用してテーマが奏でられます。
サビの部分でその激しいリズムにギターとシンセのユニゾンが次第に激しく重なってきてサビの爽やかな感じのラインに突入します。この2つの部分のコントラストが面白いです。マイナーな部分とメジャーな部分のメリハリが効いています。

ジョン・スコフィールドさんのソロはクロマティックなラインを上手く使用して、スタートのフレーズからリズムにノッて速いパッセージを奏でます。基本的にワンコードの部分ですので、かなりいろいろなスケールなどを多用していてギターコピーをするには、アウトフレーズ&速いパッセージの参考にかなりなります。さらに付け加えると”カッコ良いはずし方”の格好の例になりますね。

また、ここはマイナーな部分とメジャーの部分が交互に出てくるコード進行です。ポイントは明るい部分をどうやって一貫したイメージで連続させてマイナーからメジャーへフレーズを繋げるか?と言う部分。言うまでもなく見事にジョン・スコフィールドさんは弾き抜けていきます。
1,2コーラス目では比較的マイナーとメジャーを解りやすく弾き分けていますが、3コーラス目からはマイナーな部分でもメジャーなラインを入れていきます。4コーラス目のドラムがサンバ的なリズムに換わる部分ではマイナーですが完全にメジャーフレーズで奏でて、逆にメジャーなコードに換わったところでマイナー的なフレーズを奏でます。
ワンコードと言う自由度があるのですが、それを発展させたユーモアとインスパイアの鋭さを感じるソロです。

08:タイム・マーチズ・オン
落ち着きのある曲調でコード進行も綺麗な流れを持っている曲です。
テーマらしいテーマと言うよりはジョン・スコフィールドさんがソロを奏でながら進行していきます。メロディアスに良く歌っているラインです。

CD Time=2:02からは珍しくオクターブ奏法を聴かせてくれます。また、CD Time=2:44の和音のタイミングが実にいいです。それに続いて再びオクターブ奏法。CD Time=3:10の和音もかなりアウトな音使いなんですが、これがまたいいタイミングで肝!だったりします。

ゲイリー・グレインジャーさんの今までイメージとは違うメロディアスで良く歌っているベースソロを挟んで盛り上がり、スネアの拍打ちのリズムと言うかなり意外な感じでスローダウンしていき、本当に電池が切れたように終わっていきます・・・。完全燃焼!と言う感じです・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

この作品の魅力のひとつに何と言って上げたいのがリズム隊。
特にデニス・チェンバースさんの強力で重く、かといって単に”荒くれ者”ではない繊細さも持っているプレイ。そしてその相棒としてスラップを中心に追従していくゲイリー・グレンジャーさんのプレイ。
この強力なリズム隊が生み出すビート感が実に凄いです。

そしてそのリズムにきっちりと乗って行くと言うよりは、”あくまでも俺流!”見たいな我の強さを感じる
ジョン・スコフィールドさんのプレイが良く合っています。

もっとダークで捉えどころのない作品と言うイメージがあったのですが、まったくそんな感じではなくて、逆にしっかりとしたコンセプトを感じた作品でした。

同時にジョン・スコフィールドさんのプレイも捉えどころのない・・・って想っていた部分がありましたが、メロディアスな部分、そしてブルージーな部分、さらにロック的な部分やジャズラインなど実に多用なプレイで、印象派は逆でした。

それらの、しっかりとしたフレーズを繋ぐ部分のアウトフレーズやチョーキングニュアンス、タイミングの絶妙な和音などが実に魅力的で、さらに何とも言えない独特の浮遊感を生み出しています。

この世界にハマルと多分抜け出せなくなる、言うなら媚薬の様なプレイ。
これはやばい!と想いました。
久しぶりに、CDラックの隅に忘れていた名盤を見つけた想いがしました。

(CD TOTALTIME:43:03 / Walking消費カロリー:173.61kcal)

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Blue MatterBlue Matter
John Scofield

曲名リスト
1. Blue Matter
2. Trim
3. Heaven Hill
4. So You Say
5. Now She's Blonde
6. Make Me
7. Nag
8. Time Marches On

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2007年12月18日

アズール/天野清継

今日は薄曇で時々薄日がさしてくるのですが、時々雨とも雪とも言えない冷たいものが降ってくる一日・・・。今日は、天野清継さんのアズールでwalkingです・・・。


これは1991年リリースの作品です。天野清継さんのファーストアルバムになります。私が天野清継さんを始めて知ったのが、神崎オン・ザ・ロードと言うバンド。当時大学生だった天野清継さんの実質のデビューバンドでした。また、この作品にはタバコのCMで自らも出演してかなりいい感じのパフォーマンスをしていたアズールが収録されています。久しぶりに聴きますが・・・。
 
☆★☆★☆★☆★☆★☆★

01:アズール
アレクサンドル・ボロディンさん作曲、オペラ『イーゴリ公』第2幕ダッタン人の踊りを基にした曲です。
先ほども書きましたが『ピースライト』と言うタバコのCMとして良くTVで流れていました。その時に持っていたギターがオベーションのクラシック。これがいい音なんです。この作品でもジャケットにこのギターが沢山映っています。CMの影響でヒットした作品なので、その世界観がそのままのジャケットになっています。

ピアノと同時にスタートする天野清継さんのナイロン弦の音が、ややピッキングが強い為か少しビビリがあるのですが、それでも綺麗な音です。少しボサノバ調のピアノは後に、天国コンビを組みアルバムへヴン(*)をリリースする国府弘子さん。

メロディの繰り返しの部分からスライドで参入してくるベースがグレッグ・リーさん。同時にドラムの外山明さんもハイハットワークで入ってきます。
世界は・・・どう聴いてもタバコ。そしてブルー。『ピースライト』と言うタバコのメインカラーが深いブルー。CMでもそれをベースに作品が創られていましたのでやはり脳裏に焼きついていると言う訳です。映像と音楽が一体化して脳裏に焼きつくとそれを払拭することは難しいですね。

サビから綺麗なストリングスが奏でられます。それにメロディがノッて透明感の中に深いブルーが溶けていく感じ・・・。このオーケストレーション・アレンジは天野清継さん。なかなかのアレンジだと想います。現在もCMや音楽製作と言う部分でギタリストを超えた活動をしている要素を垣間見ることができますね。

ファーストソロはフルート。これはゲイリー・ハービッグさん。バックの流れるようなボサノバ調のリズムに合わせたメロディラインを奏でています。外山明さんのフォルテシモのスネア一発で天野清継さんのソロにチェンジです。
レガートなラインを奏でつつも、音の骨格がはっきりしているラインです。8分音符のクロマティックなラインを中心にして、エンディングの6連符のラインにスムーズに繋ぎます。

サビに戻り、CD Time=4:43からドラムの外山明さんが2拍3連の様なリズムでシンバルを入れます。ここは静かな部分ですのでどうでしょうか・・・。ベースやピアノなどがそれなりに絡んで来ると面白かったと想うのですが・・・。

エンディングは国府弘子さんのソロ。
煌びやかで可憐な感じのソロです。曲調もあるのですが、非常に透明感が合っていいですね。ストリングスの絡み方や、天野清継さんのバッキングの絡み方もいい感じなので、ますます、深いブルーが淡く透明になっていきます・・・。

02:マウント・フッド
ドラムのロールが印象的な明るい曲です。雰囲気的にはシンセで参加しているドン・グルーシンさんの世界。そう想って聴くとちょっとリー・リトナーさんが弾いている様な感じのプレイです。
ファーストソロの国府弘子さんのプレイもGRPと言う感じですね。でも1曲目と同じく透明感があって優しいタッチのラインです。2コーラス目の8小節過ぎからベースのグレッグ・リーさんがスラップに切り替えます。もう少しそれにあわせてワイルドに奏でると良かったと想うのですがそれでも、女性らしさのあるリリカルなプレイを聴くと許してしまいますね。

イントロのロールの部分に合わせて天野清継さんのナイロン弦のソロでフェードアウトしていきます。

03:ソー・ロング
今度はスチール弦のアコギでのテーマです。シャッフルのリズムを持ったバラード調で曲は進んでいきますが、段々と盛り上がっていき、サビの部分はややファンキーなテイストです。そして更に盛り上がるかと想うと、イントロのパターンがそれを奪って再びバラード調になります。
曲のいろいろな展開がスムーズで、それが折り重なって規則正しく順番に繋がっていると言う感じのする曲です。

04:オキナワ
タイトルのオキナワの意味は沖縄と言うことでしょうか?それにしてはあまりらしくない感じです。南の海と言うよりはヨーロッパ的な香りを個人的には感じます。

ここでの天野清継さんのソロはノーマルトーンのエレクトリック。
音色、フレーズ、チョーキングニュアンス、そしてコードチェンジに対するラインの動かしかたなどまさにリー・リトナーさんの雰囲気。CD Time=1:56のスケールチェンジの時のチョーキングの入り方、CD Time=2:15からのチョーキングラインなどは似ていますね。

05:フット・ステップス
ラテンの香りがするファニーな曲です。パーカッションが効いています。これはアレックス・アクーニャさん。この曲での天野清継さんはエレクトリックを歪ませてテーマを奏でます。1曲目に感じた透明感が段々となくなってきた感じがするのが、ちょっと気になりますが・・・。

そんな感じの中でも国府弘子さんのソロはこの曲でも透明感があります。
面白いインターバルで和音を鳴らして曲調に合ったファニーな感じから、速めのパッセージで少々ラグタイム風にソロを奏でます。

06:パシフィック・オーシャン・スイート
再びナイロン弦の美しい音でスタートします。テーマはゲイリー・ハービッグさんのソプラノサックス。フレーズ自体はやや激しめに吹いています。曲調が静かな感じなのにちょっと・・・と想ったら続くサビの部分のナイロン弦の美しいこと。さらにバックのストリングシンセも綺麗で・・・。これを際立たせる為と言うことで納得です。

その静かなサビを受けてのソプラノサックスのソロ。
見事な節回しで奏でていきます。時に速い駆け上がりフレーズなどを挟みながらも朗々と歌い上げています。

天野清継さんのソロは一転ビートアップしてサンバ調。
そのリズムにノッて速いパッセージを連続します。またそのラインに時々絡むグレッグ・リーさんのベースがいいですね。でもCD Time=4:55のように少し出すぎのところもありますが・・・。天野清継さんのソロラインはひとことで言うと優等生と言ったら良いでしょうか。確かにテクニック的にも上手いですし、フレーズもかなりいいのですが、インパクトが欲しいかな・・・と言う感じです。

07:ピース・アンド・ラヴ
この曲はクラシックのドビュシーさんの喜びの島をモチーフにしている曲です。
スタートは天野清継さんのナイロン弦。それに国府弘子さんのピアノが歯切れ良く加わり次第にパーカッション、ストリングスが絡んできて3/4拍子の流れるようなリズムに入ります。このあたりの天野清継さんのアレンジは見事ですね。

3/4拍子の流れるようなリズムをバックに、渓流の中にも少し流れが緩やかな部分があるように、優しさのある国府弘子さんのソロでフェードアウトします。

08:ウインター・ソング
天野清継さんのナイロン弦のソロでスタートする国府弘子さんの曲です。3/4拍子のワルツ調のバラードです。サビの部分のメロディとコード進行が冬らしい中にも暖かさのある感じでいい曲だと想います。

ファーストソロはグレッグリーさんのフレットレス・ベース。短いのですが出すぎず、さり気無さを持ったソロです。
そして再び綺麗なサビへ・・・。重なるように天野清継さんのソロです。始めは少し引っ掛けるような和音での奏法を中心にして、後半からはメロディアスに奏でていきます。
何とも今日の寒さに良く合う曲ですが、美しい曲だと想います。

09:ダンス・ドン・フォー・アモ
ダンスビートのソウルフルなナンバーです。前の曲がリリカルだったので突然このビートが始まると少し違和感を言うか驚いてしまいました。でも、激しいダンスか?と言うと、この作品の中では確かに激しい曲ですがスッキリとした感じで、腰が想わず動いてしまう!と言うビートではありません。
特に国府弘子さんのピアノが入ってくると洗練された感じにサッと切り替わるのが不思議です。

10:フラッグ・スタッフ
国府弘子さんのソロピアノが最初のモチーフを奏でていきます。リズムが入ってからのテーマは天野清継さんのナイロン弦とサックス。そしてサックスは、サビでシンセブラスと交代します。この曲もひとことで言うと、イメージはGRPと言う感じでしょうか・・・。

11:エル・トロ
マイナーなギターのアルペジオソロから、ピアノが重なって、さらに重厚なストリングが重なると、かなりクラシカルな世界が広がります。
曲はギターのアルペジオをモチーフにしてストリングを絡めながら様々に展開していきます。
国府弘子さんのソロの最後の部分で天野清継さんのソロが重なってスタートします。曲の持っているややスパニッシュなムードを持ったソロラインを展開、かなりダークなムードで曲はフェードアウトしていきます・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

1曲目のアズールのイメージがやはり強烈で、それをベースにした雰囲気を出そうと言う意図は感じるのですが、途中の曲にはちょっと違う感じのものも多くあると言うのが個人的な印象です。

ですから、ナイロン弦のアコギを使用した曲はそれなりに統一感があって良いのですが、それ以外の特にエレクトリックを使用した、しかも歪み系の音でテーマを奏でるような曲は違和感を感じます。
また、国府弘子さんのプレイが実に透明感とリリカルさがあってアズールの持っている雰囲気にピッタリマッチしているだけに、もっとその世界を推し進めた形にした方がより良かったのかな、と想います。

最初のアズールを聴いた時に想い浮かんだ
『深いブルーが透明になっていく感じ』が、聴き終わった時には
すっかり違う色でいろいろが混ざってやや濁った色になってしまったと言う感じでしょうか・・・。
それでも、そのいろいろな色の間に少し見えるのは『綺麗で透明感のあるブルー』
そうです!これは国府弘子さんが一貫して奏でていた『色』なんです。

(CD TOTALTIME:56:28 / Walking消費カロリー:227.00kcal)

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天野清継 篠崎正嗣ストリング・セクション グレッグ・リー

曲名リスト
1. アズール
2. マウント・フッド
3. ソー・ロング
4. オキナワ
5. フット・ステップス
6. パシフィック・オーシャン・スイート
7. ピース・アンド・ラヴ
8. ウインター・ソング
9. ダンス・ドン・フォー・アモ
10. フラッグ・スタッフ
11. エル・トロ

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(*)本文に登場したCD・DVD

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国府弘子 天野清継 天野清継 国府弘子
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2007年12月16日

アイ・キャン・シー・ユア・ハウス・フロム・ヒア【2】/ジョン・スコフィールド&パット・メセニー  
I CAN SEE YOUR HOUSE FROM HEAR/JOHN SCOFIELD-PAT METHENY

I Can See Your House from Here


先日の続きです。ジョン・スコフィールド&パット・メセニーアイ・キャン・シー・ユア・ハウス・フロム・ヒアの7曲目から11曲目です。
 
☆★☆★☆★☆★☆★☆★

07:セイ・ザ・ブラザーズ・ネーム
パット・メセニー さんの曲。軽いボッサ・リズムの、フォークテイストと言うかカントリーテイストと言うか・・・。とても懐かしいその感じはECM時代の パット・メセニー さんの世界かと。
ここでは、パット・メセニー さんがナチュラル・トーンのフルアコで ジョン・スコフィールド さんがスチール弦のアコギでのプレイです。

ファーストソロは ジョン・スコフィールド さん。
ボッサのリズムに乗って余裕のあるフレーズを展開しています。5曲目も同じくスチール弦のアコギでのプレイでしたがアコギだと全く別人の様なプレイですね。エレクトリックでのプレイは、私の様な凡人には理解不能なアウトフレーズやスケールが特徴的で耳が向くのですが、その部分のみではなくて、このアコギでのプレイのようにリリカルでメロディアスな部分こそを聴くべきミュージシャンなのかなと想いました。それくらい良いプレイです。そう言えば ジョン・スコフィールド さんが以前リリースしたアコギの作品は聴いていないのですが、この感じからするとかなり良さそうです。

続いて パット・メセニー さんのソロ。
このような曲調の場合には前半はリリカルに弾いて後半は得意のフレーズでやや速いパッセージを弾きそうなんですが、ここでの演奏はけっこう速いフレーズを押さえてあくまでもメロディアスに奏でています。これは想うに ジョン・スコフィールド さんのソロを受けてのことだと想います。それでも、我慢できずと言うか、ここぞ!と言うところでCD Time=4:00のカウンター的なフレーズ。リフレインのフレーズですが、そのアーティキュレーションの妙で印象的な部分になっています。

このトラックは曲も良いのですが演奏もかなり良いです。特に ジョン・スコフィールド さんのプレイは、ソロは先ほど書いた通りですが、バッキングにおいても一聴の価値があると想います。

08:S.C.O
複雑に変化していくコード進行に、複雑でリズムのとり難いメロディが乗っている パット・メセニー さんの曲です。

ファーストソロは ジョン・スコフィールド さん。
3/4拍子にのって時にアウトしながらも、メロディアスなフレーズを奏でています。複雑なコード進行のコード特徴を捉えたソロになっています。コードごとにフレーズを組み立てて、そのジョイントをアウトフレーズで繋ぐようなイメージでしょうか。それでも全体の雰囲気と香りに一貫したものがあるのは流石だと想います。

そしてドラムの スティーヴ・スワロウ さんのソロを挟んで パット・メセニー さんのソロ。
ジョン・スコフィールド さんのソロとは若干違って、全体を大きな流れで捉えているようで、フレーズも、コード進行の複雑を全く感じさせないラインです。速いパッセージが連続していて見事な流れを創り出しています。
このような複雑なコード進行でのソロは、やはり創った人の方が弾きやすいはずですよね。

09:クワイエット・ライジング
マイナーバラードです。2人がテーマをクリアなトーンで奏でていきますが、それぞれのアーティキュレーションの微妙な違いがショート・ディレイのように呼応していて雰囲気を盛り上げると同時に、メロディに広がりを与えています。

2人ともマイナーな雰囲気を捉えたダークなソロを展開しています。
このユニットはギター2台とドラム、ベースですので、当然1人がソロをしているときには、キーボードが入っているユニットと比べると広がりとコード感が弱くなりがちです。
でも、ソロのバックはまるでそれを感じさせない広がり感と抜群のコード感が漂っています。まるでシンセが鳴っているような錯覚さえ感じて、逆に2人のソロラインに集中できます。これはバッキングのギターが共に絶妙なコードワークを奏でているためだと想います。

10:クワイエット・ライジング
この曲は軽快な4ビート。曲調的には丁度2人の中間のような感じ。どちらが創ったとも言える様な世界観が広がっていますが、これは ジョン・スコフィールド さんの曲。2人の音楽的バックボーンの共通性を聴く想いがしますね。また4ビートの曲ですので、ソロでの2人の共通性も良く解ります。今まで何度となく書きましたが本当に良く似ています。特にこの曲で顕著にそれが解りますね。

このソロでの ジョン・スコフィールド さんは、上昇フレーズに際立つものを感じます。
CD Time=044でまずは軽く上昇フレーズを”かまし”ます。CD Time=0:58では上昇フレーズの頂点から少し高い音にアクセントをつけて引っ掛けるようなフレーズ、CD Time=1:22は絶妙なアウトトーンを選択しながらも上昇していき、そして静かに下降するフレーズ、CD Time=1:36からは上昇フレーズではないのですが、絶妙で良く理解出来ない音の選択から、CD Time=1:43の音があちらこちら、高低に飛ぶフレーズ。これは肝!です。CD Time=2:10からがまさに ジョン・スコ節 で、上昇フレーズから派生したアウトフレーズを組み込みながらも、鋭い流れのパフォーマンスを展開しています。

続くのは パット・メセニー さんのソロです。
パット・メセニー さんは特徴的であるクロマティックに下降するフレーズを中心に奏でます。
CD Time=2:53はいきなりのメセニー流、アウト音飛びフレーズでかなりトリッキーに聴かせてくれます。CD Time=3:00はいつものクロマッティクに下降していくライン。そしてそのまま少し上昇ラインを奏でるのですが、この上がり方を聴くと、ジョン・スコフィールド さんとの違いが良く解ります。
CD Time=3:11からの下降ラインはクロマッティクでは無くて独特のプリングと言うテクニックを使用してそれを連続しながらアウトな音を時々挟んで下降していくフレーズ。CD Time=3:26でもクロマティックな下降フレーズは冴えています。
CD Time=3:40からは上がったり下がったりしながらの浮遊感のあるフレーズから、CD Time=3:44の同じ音を16分音符で2回づつ繰り返しながら上がっていくフレーズに繋いでいます。これは肝!です。

4ビートだからこそ、2人の共通性を聴くことが出来ると同時に、その違いも感じることが出来るトラックになっています。2人のフレーズに共通している”大きな浮遊感”を堪能できます。

11:ユー・スピーク・マイ・ランゲージ
この曲は ジョン・スコフィールド さんの書いた4ビート・ブルース。かなりストレートなブルースですので、コード進行はもちろんブルース進行。

2人のソロは パット・メセニー さんが比較的と言うか、ストレートに メセニー節 で攻めます。
ライン的には流れるようなラインで、先ほどのクロマティックな下降フレーズも連発しています。良く聴いている メセニー節 で、流れといい、フレーズといい実に見事ですね。

そして ジョン・スコフィールド さんは、私が今まで聴いたことがある中で感じている ジョン・スコ節
合っているか合っていないか、微妙な中にも抜群にいい雰囲気の和音を挟みながらフレーズを展開しています。前の曲とは全く違うフレーズと雰囲気。まさにジョン・スコ・ワールド炸裂と言う感じがします。

その後 ビル・スチュワート さんのソロがありますが、ソロの最後CD Time=4:55から重なって始まる パット・メセニー さんのラインから ジョン・スコフィールド さんとの掛け合いが始まります。

2小節づつの掛け合いなんですが、主導は パット・メセニー さん。先にフレーズを奏でてそれを追うように ジョン・スコフィールド さんが奏でます。
CD Time=5:35から1小節づつに替わり、そして最後の方は音が重なって波のようにうねっていきます。その盛り上がったままテーマに戻ってストレートなブルースのエンディングと共に作品もエンディングです・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

何回も書きましたが、とにかく似ている2人。
パット・メセニー さんは歪み系の音を、特にジョン・スコ・ワールドの香りがする曲で積極的に使用しています。
これは、曲の持っている雰囲気を出す為、言うならば ジョン・スコフィールド さんへのリスペクト・・・。
フレーズとしてはお馴染みのメセニー節の中に、ジョン・スコフィールド さんにインスパイアされたようなフレーズを挟みながら展開しています。

ジョン・スコフィールド さんは、私が聴いたことのある数少ない作品でのイメージが
作曲した曲調には良く出ているのですが、プレイに表れているのがけっこう少ないと言う印象です。
しかし、ジョン・スコフィールドさんを良く聴く方にとっては多分そのものと言うフレーズが連発しているのでしょう。逆に、あまり聴かないために、こんなプレイが出来るのか!と言う部分が多かったのが実際です。
何故にそんなに聴いていないかと言うと、特別な意味や理由は無いんです。
あえて言うならばタイミングと言うか・・・。買ったりする機会がいつも外れてしまうと言うか・・・。
これだけ似ているのであれば、多分聴き込むとパット・メセニー さんと同じくらいにのめり込みそうな気がします。
まあ、演奏する曲調の好き嫌いはあると想いますが、少なくても、4ビートでのプレイやアコギでのプレイに関しては相当いいのではないかと想います。

パット・メセニー さんはお馴染みでいつも通りの感動を
ジョン・スコフィールド さんは持っている作品を聴き直して見たいと言う興味が沸いた・・・
そんな作品でした。

だた、作品をトータルとして聴いてみると、淡々と皆がプレイをしていて、例えばジャズコンボやグループ、ライヴ盤などにある緊張感みたいなものをあまり感じることが出来ませんでした。
2人のギターの絡みやインタープレイなどはほとんどなくて、
その意味では大人しい作品で優等生的。
ジャズ的なテンションに期待して聴くと肩透かしを食らう感じがします。

しかしギターが好きで、なお且つ2人のどちらかでも好きな方にとっては
2人が織り成す浮遊感のあるフレーズの嵐にノックアウトされることは確かです。

(CD TOTALTIME:69:44 / Walking消費カロリー:280.33kcal)

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I Can See Your House from HereI Can See Your House from Here
John Scofield Pat Metheny

曲名リスト
1. I Can See Your House from Here
2. Red One
3. No Matter What
4. Everybody's Party
5. Message to a Friend
6. No Way Jose
7. Say the Brother's Name
8. S.C.O.
9. Quiet Rising
10. One Way to Be
11. You Speak My Language

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あとがき
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2007年12月15日

アイ・キャン・シー・ユア・ハウス・フロム・ヒア【1】/ジョン・スコフィールド&パット・メセニー 
I CAN SEE YOUR HOUSE FROM HEAR/JOHN SCOFIELD-PAT METHENY

I Can See Your House from Here

そろそろ街では、クリスマスやお正月のムー