今年もあと10日となりました。年末になるとオリコンなどの年間の売上NO.1などの発表がありますが、今年は『千の風になって』だそうですね。まあ、それはまた後日にするとして、今日は、ジョン・スコフィールドさんのブルー・マターでwalkingです・・・。
これは1987年リリースの作品です。先日、パット・メセニーさんとのアルバムをレビューさせていただきました。その時に感じた今までとは違う感じ・・・。ジョン・スコフィールドさんにハマルかも?と言う感じ・・・。それを確かめる意味もあって今日はこの作品を選んでみました。本当にご無沙汰の作品ですが、すっかり内容も曖昧で覚えていなくて・・・。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★
01:ブルー・マター
ドラムのスネアが16分音符喰って先行、続けてジョン・スコフィールドさんのハンマリングが絶妙なニュアンスのテーマへ。
さらに重々しいベースの重低音。始まった瞬間に『これか!』って想い出しました。この曲の持っている、何とも言いがたいダークな感じと重々しい感じ、これが私の持っているジョン・スコフィールドさんの世界観の代表的なサウンド・・・。
怪しげでダークなムードで曲は進みます。
CD Time=0:06のパーカッションのフレーズが更にその怪しげな雰囲気を盛り立てます。パーカッションはドン・アライアスさん。
更に曲は進み、CD Time=0:25のこの曲の最も肝!の部分とも言えるフレーズへ・・・。
ドラムのデニス・チェンバースさんのバスドラとゲイリー・グレインジャーさんのスラップのベースライン。この2つが織り成す重厚なビート。特にCD Time=0:35からの波状攻撃的な連続の6連符のユニゾンから、ジョン・スコフィールドさんのギターカッティングが入るところはまさに肝!かなりカッコ良いです。
さらにこの部分があるが故に、可憐に、そして厳かに聴こえるCD Time=0:50からのサビのメロディ。更に追い討ちをかける様なミッシェル・フォアマンさんのオルガンの響き・・・。
背中に電気が走る!ってこのような感じのことでしょうか。
その電流はそのままジョン・スコフィールドさんのソロの間も流れ続けます。
ここでのソロはチョーキングや和音を使用したかなりブルージーな雰囲気。さらにクネクネとしたフレージングがよりブルース的です。
CD Time=1:15からは絶妙なインターバルの和音から、スタッカートのラインを刻み、CD Time=1:21の1音半チョーキングを”クネッ”と決めるところは見事です。さらにこのバックでのデニス・チェンバースさんのバスドラの連続攻撃にベースのゲイリー・グレンジャーさんが反応するも、更に長くバスドラ攻撃を続けてそれを”かわす”ところもいい感じです。
CD Time=2:04からは後半のキャッチーな部分と言えるユニゾン的リズムリックに入ります。さらにこのリズムリックの間にあるCD Time=2:12からのユニゾンがカッコ良いフレーズで肝!です。特にこの部分に入る直前のジョン・スコフィールドさんの”クネッ”と入るチョーキングが何とも言えない”味”ですね。
特に後半はこのパターンにノッてジョン・スコフィールドさんのソロがあります。
始めはBmなんですが、Dm→Gm→Emと転調を繰り返して、それに合わせてファンキーなソロを奏でていきます。このアレンジもいいですね。
転調を繰り返して元に戻って、さらに静かにテーマに戻ります。
そして今までのパワーの源の電池が段々切れていくかの様に、静かにチャイムの様なフレーズで終わります。そして、リスナーの背中に走った電流も消えていきます・・・。
02:トリム
細かい16分音符でのキメなどが沢山ある中にも、強力なビート感がある曲。雰囲気はまさにフュージョン!
ジョン・スコフィールドさんのテーマには生っぽさがあります。言い換えるとライヴ的と言うか、即興的と言うか・・・。例えばCD Time=0:11などはロングトーンなんですが、少しピッキングが弱くて十分に音が延び切っていない感じです。さらにテーマ全体を聴いても音の強弱が激しくて、テーマがはっきりととしたリズムになっていないところがあります。
でも、これこそがジョン・スコフィールドさんのタイム感なんですね。このメリハリのある弾き方、そしてポイントの音をハンマリングなどで強く引っ掛ける様に弾くのがスタイルであり、魅力であり、”クネッ”と言う絶妙なニュアンスの元であると想います。
ジョン・スコフィールドさんのソロはテーマ部分では、スケールの変化とリズムのキメを多用している部分を上手く捉えながら弾き抜けていきます。
その後はベースとドラムの細かいリズムをバックに、逆にスケールに準じたようなフレーズで16分音符の速いパッセージで奏でます。そして、CD Time=2:33からは、微妙なスケールアウトを使ったフレーズで、解りやすく、メロディアスでありながら独特のアーティキュレーションのあるラインを奏でます。
全体的にリズム隊の強力なビートが際立っています。特にデニス・チェンバースさんが前の曲とは違って、軽やかな中にも重さがあり、細かい小技が沢山詰まったプレイは凄いです!特にエンディング部分でのドラムソロや終りのスネア・タムなどを使ったロールなどは超強力ですね。
03:へヴン・ヒル
スローテンポの壮大なブルース風の曲。単にジャズやロックをルーツとしたギタリストとは違う、BBキングさんなどのブルースがルーツになっていることが良く解る演奏です。同じルーツを持つラリー・カールトンさんと似たフレーズがあるのが面白いですね。
CD Time=1:15のブルースの典型的なフレーズからCD Time=1:19のチョーキングニュアンス、そしてCD Time=1:22からのチョーキングのフレーズのニュアンスとピッキング、その他にもチョーキングからのスライドダウンや独特のタメもかなりブルージーです。
04:ソー・ユー・セイ
この曲は一転してメジャーなコード進行を持った明るいメロディラインの曲。イントロの部分のドラムのカウベルワークがファンキーでいい感じです。
テーマは和音を上手く取り入れたジョン・スコフィールドさんらしいフレーズで奏でられます。サビの部分がちょっと渡辺香津美さんの曲に似た雰囲気があり、ここでも和音でメロディを刻んでいきます。
ファーストソロのミッシェル・フォアマンさんのシンセソロは、音質的にもライン的にも曲調に良くあったファニーで明るいソロです。
それを受けてジョン・スコフィールドさんのソロは、ラインの基本は変わらないのですがここではナチュラルにギターを歪ませて、さらにオクターバーでエフェクトをかけてオクターブ下の音を重ねています。それが明るい感じを良く出していますね
05:ナウ・シーズ・ブロンド
ミディアムテンポで綺麗なメロディとコード進行の曲です。この曲のテーマ部分ではジョン・スコフィールドさんのハンマリングとその音をやや強めに弾いてアクセントを出す、と言う感じが良く解ります。
ソロは前半はアウトフレーズや”クネッ”としたフレーズは無くて、いたってメロディアスに奏でていきます。後半に入ると、CD Time=2:25でのダブルチョーキングをタメて入るタイミングの妙や、CD Time=2:48からのコードが綺麗に流れていく進行の部分でのメロディアスなラインを聴かせてくれます。特にソロの入り部分のスケールチェンジの見事さやCD Time=3:07のフレーズなどは本当に良く歌っています。
06:メイク・ミー
重いビートを持っているファンキーな曲です。この曲ではバッキングのギターが入っています。このカッティングがなかなかいいんです。これはハイラム・ブロックさん。こうやってカッティングが入るだけで随分とダンサブルになりますね。
ジョン・スコフィールドさんのソロはかなりファンキーで熱いソロを奏でています。
CD Time=1:54の切れのあるチョーキングからCD Time=1:59の16分音符の3連のダウンフレーズ、唸っているようなスライドを使用したフレーズから、さらにロック的なラインで締めるソロエンドの部分はかなり熱い!
07:ザ・ナグ
激しいドラムのビートとベースのスラップ。そしてブレイクを上手く使用してテーマが奏でられます。
サビの部分でその激しいリズムにギターとシンセのユニゾンが次第に激しく重なってきてサビの爽やかな感じのラインに突入します。この2つの部分のコントラストが面白いです。マイナーな部分とメジャーな部分のメリハリが効いています。
ジョン・スコフィールドさんのソロはクロマティックなラインを上手く使用して、スタートのフレーズからリズムにノッて速いパッセージを奏でます。基本的にワンコードの部分ですので、かなりいろいろなスケールなどを多用していてギターコピーをするには、アウトフレーズ&速いパッセージの参考にかなりなります。さらに付け加えると”カッコ良いはずし方”の格好の例になりますね。
また、ここはマイナーな部分とメジャーの部分が交互に出てくるコード進行です。ポイントは明るい部分をどうやって一貫したイメージで連続させてマイナーからメジャーへフレーズを繋げるか?と言う部分。言うまでもなく見事にジョン・スコフィールドさんは弾き抜けていきます。
1,2コーラス目では比較的マイナーとメジャーを解りやすく弾き分けていますが、3コーラス目からはマイナーな部分でもメジャーなラインを入れていきます。4コーラス目のドラムがサンバ的なリズムに換わる部分ではマイナーですが完全にメジャーフレーズで奏でて、逆にメジャーなコードに換わったところでマイナー的なフレーズを奏でます。
ワンコードと言う自由度があるのですが、それを発展させたユーモアとインスパイアの鋭さを感じるソロです。
08:タイム・マーチズ・オン
落ち着きのある曲調でコード進行も綺麗な流れを持っている曲です。
テーマらしいテーマと言うよりはジョン・スコフィールドさんがソロを奏でながら進行していきます。メロディアスに良く歌っているラインです。
CD Time=2:02からは珍しくオクターブ奏法を聴かせてくれます。また、CD Time=2:44の和音のタイミングが実にいいです。それに続いて再びオクターブ奏法。CD Time=3:10の和音もかなりアウトな音使いなんですが、これがまたいいタイミングで肝!だったりします。
ゲイリー・グレインジャーさんの今までイメージとは違うメロディアスで良く歌っているベースソロを挟んで盛り上がり、スネアの拍打ちのリズムと言うかなり意外な感じでスローダウンしていき、本当に電池が切れたように終わっていきます・・・。完全燃焼!と言う感じです・・・。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★
この作品の魅力のひとつに何と言って上げたいのがリズム隊。
特にデニス・チェンバースさんの強力で重く、かといって単に”荒くれ者”ではない繊細さも持っているプレイ。そしてその相棒としてスラップを中心に追従していくゲイリー・グレンジャーさんのプレイ。
この強力なリズム隊が生み出すビート感が実に凄いです。
そしてそのリズムにきっちりと乗って行くと言うよりは、”あくまでも俺流!”見たいな我の強さを感じる
ジョン・スコフィールドさんのプレイが良く合っています。
もっとダークで捉えどころのない作品と言うイメージがあったのですが、まったくそんな感じではなくて、逆にしっかりとしたコンセプトを感じた作品でした。
同時にジョン・スコフィールドさんのプレイも捉えどころのない・・・って想っていた部分がありましたが、メロディアスな部分、そしてブルージーな部分、さらにロック的な部分やジャズラインなど実に多用なプレイで、印象派は逆でした。
それらの、しっかりとしたフレーズを繋ぐ部分のアウトフレーズやチョーキングニュアンス、タイミングの絶妙な和音などが実に魅力的で、さらに何とも言えない独特の浮遊感を生み出しています。
この世界にハマルと多分抜け出せなくなる、言うなら媚薬の様なプレイ。
これはやばい!と想いました。
久しぶりに、CDラックの隅に忘れていた名盤を見つけた想いがしました。
(CD TOTALTIME:43:03 / Walking消費カロリー:173.61kcal)
![]() | Blue Matter John Scofield 曲名リスト 1. Blue Matter 2. Trim 3. Heaven Hill 4. So You Say 5. Now She's Blonde 6. Make Me 7. Nag 8. Time Marches On Amazonで詳しく見る by G-Tools |
![ジェイ・グレイドン・オール・スターズ・ライヴ・イン・ジャパン 1994.1.19 エアプレイ・フォー・ザ・プラネット[限定盤]](http://images-jp.amazon.com/images/P/B000XAMCA8.09.TZZZZZZZ.jpg)








コメント (4)
ジョン・スコいいですよね。後半のレビューを読む限り,ayukiさんもすでにハマッテイルような口ぶりですが,これ以上ハマルと私のように抜け出せなくなりますのでご用心!?
『ブルー・マター』に限らず,ジョン・スコ&デニス・チェンバース+ゲイリー・グレンジャーの「ジョン・スコフィールド・バンド」時代の演奏はどれも最高です。『ブルー・マター』をライブでやった『ピック・ヒッツ』などは今でも私の愛聴盤です。
投稿者: セラビー | 2007年12月21日 23:29
セラピーさん
コメントありがとうございます。
今回、『ピック・ヒッツ』を聴くかこの作品にするか悩んだのですが・・・。『ピック・ヒッツ』もいいですよね。これ以来頭の中ではずっと『ブルーマター』が鳴っています・・・すでにハマリましたね・・・。
投稿者: ayuki | 2007年12月22日 00:10
こんにちは。
リズム隊の良さは言うまでもないですが、ミッチェルフォアマンの好演も光るアルバムだと思っています。それにしても、80年代ジョンスコの輝きは異様でしたね。(今ももちろんバリバリなのは変わりないですが、あの頃のトンガリ具合はひとつ突き抜けていた気がします。)
当時デニチェンがジャズ〜フュージョンファンの前に登場した時の衝撃も、今でも忘れられません。
投稿者: 猫ケーキ | 2007年12月22日 19:33
猫ケーキさん
コメントありがとうございます。
トンガリ具合と言う言いかたは良くハマッている言葉ですね。デニス・チェンバースさんは私も衝撃でした!
投稿者: ayuki | 2007年12月23日 18:02