先日の続きです。ジョン・スコフィールド&パット・メセニーのアイ・キャン・シー・ユア・ハウス・フロム・ヒアの7曲目から11曲目です。
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07:セイ・ザ・ブラザーズ・ネーム
パット・メセニー さんの曲。軽いボッサ・リズムの、フォークテイストと言うかカントリーテイストと言うか・・・。とても懐かしいその感じはECM時代の パット・メセニー さんの世界かと。
ここでは、パット・メセニー さんがナチュラル・トーンのフルアコで ジョン・スコフィールド さんがスチール弦のアコギでのプレイです。
ファーストソロは ジョン・スコフィールド さん。
ボッサのリズムに乗って余裕のあるフレーズを展開しています。5曲目も同じくスチール弦のアコギでのプレイでしたがアコギだと全く別人の様なプレイですね。エレクトリックでのプレイは、私の様な凡人には理解不能なアウトフレーズやスケールが特徴的で耳が向くのですが、その部分のみではなくて、このアコギでのプレイのようにリリカルでメロディアスな部分こそを聴くべきミュージシャンなのかなと想いました。それくらい良いプレイです。そう言えば ジョン・スコフィールド さんが以前リリースしたアコギの作品は聴いていないのですが、この感じからするとかなり良さそうです。
続いて パット・メセニー さんのソロ。
このような曲調の場合には前半はリリカルに弾いて後半は得意のフレーズでやや速いパッセージを弾きそうなんですが、ここでの演奏はけっこう速いフレーズを押さえてあくまでもメロディアスに奏でています。これは想うに ジョン・スコフィールド さんのソロを受けてのことだと想います。それでも、我慢できずと言うか、ここぞ!と言うところでCD Time=4:00のカウンター的なフレーズ。リフレインのフレーズですが、そのアーティキュレーションの妙で印象的な部分になっています。
このトラックは曲も良いのですが演奏もかなり良いです。特に ジョン・スコフィールド さんのプレイは、ソロは先ほど書いた通りですが、バッキングにおいても一聴の価値があると想います。
08:S.C.O
複雑に変化していくコード進行に、複雑でリズムのとり難いメロディが乗っている パット・メセニー さんの曲です。
ファーストソロは ジョン・スコフィールド さん。
3/4拍子にのって時にアウトしながらも、メロディアスなフレーズを奏でています。複雑なコード進行のコード特徴を捉えたソロになっています。コードごとにフレーズを組み立てて、そのジョイントをアウトフレーズで繋ぐようなイメージでしょうか。それでも全体の雰囲気と香りに一貫したものがあるのは流石だと想います。
そしてドラムの スティーヴ・スワロウ さんのソロを挟んで パット・メセニー さんのソロ。
ジョン・スコフィールド さんのソロとは若干違って、全体を大きな流れで捉えているようで、フレーズも、コード進行の複雑を全く感じさせないラインです。速いパッセージが連続していて見事な流れを創り出しています。
このような複雑なコード進行でのソロは、やはり創った人の方が弾きやすいはずですよね。
09:クワイエット・ライジング
マイナーバラードです。2人がテーマをクリアなトーンで奏でていきますが、それぞれのアーティキュレーションの微妙な違いがショート・ディレイのように呼応していて雰囲気を盛り上げると同時に、メロディに広がりを与えています。
2人ともマイナーな雰囲気を捉えたダークなソロを展開しています。
このユニットはギター2台とドラム、ベースですので、当然1人がソロをしているときには、キーボードが入っているユニットと比べると広がりとコード感が弱くなりがちです。
でも、ソロのバックはまるでそれを感じさせない広がり感と抜群のコード感が漂っています。まるでシンセが鳴っているような錯覚さえ感じて、逆に2人のソロラインに集中できます。これはバッキングのギターが共に絶妙なコードワークを奏でているためだと想います。
10:クワイエット・ライジング
この曲は軽快な4ビート。曲調的には丁度2人の中間のような感じ。どちらが創ったとも言える様な世界観が広がっていますが、これは ジョン・スコフィールド さんの曲。2人の音楽的バックボーンの共通性を聴く想いがしますね。また4ビートの曲ですので、ソロでの2人の共通性も良く解ります。今まで何度となく書きましたが本当に良く似ています。特にこの曲で顕著にそれが解りますね。
このソロでの ジョン・スコフィールド さんは、上昇フレーズに際立つものを感じます。
CD Time=044でまずは軽く上昇フレーズを”かまし”ます。CD Time=0:58では上昇フレーズの頂点から少し高い音にアクセントをつけて引っ掛けるようなフレーズ、CD Time=1:22は絶妙なアウトトーンを選択しながらも上昇していき、そして静かに下降するフレーズ、CD Time=1:36からは上昇フレーズではないのですが、絶妙で良く理解出来ない音の選択から、CD Time=1:43の音があちらこちら、高低に飛ぶフレーズ。これは肝!です。CD Time=2:10からがまさに ジョン・スコ節 で、上昇フレーズから派生したアウトフレーズを組み込みながらも、鋭い流れのパフォーマンスを展開しています。
続くのは パット・メセニー さんのソロです。
パット・メセニー さんは特徴的であるクロマティックに下降するフレーズを中心に奏でます。
CD Time=2:53はいきなりのメセニー流、アウト音飛びフレーズでかなりトリッキーに聴かせてくれます。CD Time=3:00はいつものクロマッティクに下降していくライン。そしてそのまま少し上昇ラインを奏でるのですが、この上がり方を聴くと、ジョン・スコフィールド さんとの違いが良く解ります。
CD Time=3:11からの下降ラインはクロマッティクでは無くて独特のプリングと言うテクニックを使用してそれを連続しながらアウトな音を時々挟んで下降していくフレーズ。CD Time=3:26でもクロマティックな下降フレーズは冴えています。
CD Time=3:40からは上がったり下がったりしながらの浮遊感のあるフレーズから、CD Time=3:44の同じ音を16分音符で2回づつ繰り返しながら上がっていくフレーズに繋いでいます。これは肝!です。
4ビートだからこそ、2人の共通性を聴くことが出来ると同時に、その違いも感じることが出来るトラックになっています。2人のフレーズに共通している”大きな浮遊感”を堪能できます。
11:ユー・スピーク・マイ・ランゲージ
この曲は ジョン・スコフィールド さんの書いた4ビート・ブルース。かなりストレートなブルースですので、コード進行はもちろんブルース進行。
2人のソロは パット・メセニー さんが比較的と言うか、ストレートに メセニー節 で攻めます。
ライン的には流れるようなラインで、先ほどのクロマティックな下降フレーズも連発しています。良く聴いている メセニー節 で、流れといい、フレーズといい実に見事ですね。
そして ジョン・スコフィールド さんは、私が今まで聴いたことがある中で感じている ジョン・スコ節。
合っているか合っていないか、微妙な中にも抜群にいい雰囲気の和音を挟みながらフレーズを展開しています。前の曲とは全く違うフレーズと雰囲気。まさにジョン・スコ・ワールド炸裂と言う感じがします。
その後 ビル・スチュワート さんのソロがありますが、ソロの最後CD Time=4:55から重なって始まる パット・メセニー さんのラインから ジョン・スコフィールド さんとの掛け合いが始まります。
2小節づつの掛け合いなんですが、主導は パット・メセニー さん。先にフレーズを奏でてそれを追うように ジョン・スコフィールド さんが奏でます。
CD Time=5:35から1小節づつに替わり、そして最後の方は音が重なって波のようにうねっていきます。その盛り上がったままテーマに戻ってストレートなブルースのエンディングと共に作品もエンディングです・・・。
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何回も書きましたが、とにかく似ている2人。
パット・メセニー さんは歪み系の音を、特にジョン・スコ・ワールドの香りがする曲で積極的に使用しています。
これは、曲の持っている雰囲気を出す為、言うならば ジョン・スコフィールド さんへのリスペクト・・・。
フレーズとしてはお馴染みのメセニー節の中に、ジョン・スコフィールド さんにインスパイアされたようなフレーズを挟みながら展開しています。
ジョン・スコフィールド さんは、私が聴いたことのある数少ない作品でのイメージが
作曲した曲調には良く出ているのですが、プレイに表れているのがけっこう少ないと言う印象です。
しかし、ジョン・スコフィールドさんを良く聴く方にとっては多分そのものと言うフレーズが連発しているのでしょう。逆に、あまり聴かないために、こんなプレイが出来るのか!と言う部分が多かったのが実際です。
何故にそんなに聴いていないかと言うと、特別な意味や理由は無いんです。
あえて言うならばタイミングと言うか・・・。買ったりする機会がいつも外れてしまうと言うか・・・。
これだけ似ているのであれば、多分聴き込むとパット・メセニー さんと同じくらいにのめり込みそうな気がします。
まあ、演奏する曲調の好き嫌いはあると想いますが、少なくても、4ビートでのプレイやアコギでのプレイに関しては相当いいのではないかと想います。
パット・メセニー さんはお馴染みでいつも通りの感動を
ジョン・スコフィールド さんは持っている作品を聴き直して見たいと言う興味が沸いた・・・
そんな作品でした。
だた、作品をトータルとして聴いてみると、淡々と皆がプレイをしていて、例えばジャズコンボやグループ、ライヴ盤などにある緊張感みたいなものをあまり感じることが出来ませんでした。
2人のギターの絡みやインタープレイなどはほとんどなくて、
その意味では大人しい作品で優等生的。
ジャズ的なテンションに期待して聴くと肩透かしを食らう感じがします。
しかしギターが好きで、なお且つ2人のどちらかでも好きな方にとっては
2人が織り成す浮遊感のあるフレーズの嵐にノックアウトされることは確かです。
(CD TOTALTIME:69:44 / Walking消費カロリー:280.33kcal)
![]() | I Can See Your House from Here John Scofield Pat Metheny 曲名リスト 1. I Can See Your House from Here 2. Red One 3. No Matter What 4. Everybody's Party 5. Message to a Friend 6. No Way Jose 7. Say the Brother's Name 8. S.C.O. 9. Quiet Rising 10. One Way to Be 11. You Speak My Language Amazonで詳しく見る by G-Tools |
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コメント (2)
こんにちは。
リリース時に聞いた時には、二人の大物ぶりから考えるとあまり全体の印象が強くなくて、ayukiさんの言う「淡々」という感じ、なんとなく分かります。
今だったらまた違う印象を持つのかもしれないので、久々に聞いてみたいです。
投稿者: 猫ケーキ | 2007年12月17日 16:59
猫ケーキさん
コメントありがとうございます。
私も全く同感で、お互いにある意味で遠慮をしていたのかなとも想います。よい意味で大人のバトル、競い合うと言うレベルを超えている所での展開が余計に「淡々」と聴こえるのかも知れませんね。
投稿者: ayuki | 2007年12月18日 23:48