Walking de Music

2008年01月のすべてのエントリーです。新しいエントリーから古いエントリーへと順番に並んでいます。

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2008年01月Archives

2008年01月31日

トリオ99→00【PART2】/パット・メセニー 
 TRIO 99→00/PAT METHENY

トリオ99>00

前回のブログの続きで、パット・メセニーさんのトリオ99→00のTrack07から総評です。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

07:ウィ・ハド・ア・シスター
これ以上無い!と言うような美しい音色のスチール弦のアコギでのパット・メセニーさんのソロ・パフォーマンスからスタートするバラード。
CD Time=0:43からの一秒ごとのハーモニクス。そして1弦から低い弦に向かって鳴らすストロークにアルペジオを絡めたフレーズからテーマへ。
最初はギター1本のテーマですが、CD Time=1:35からの聴こえるか聴こえないかくらい微細なシンバルロールからドラムとベースがインすると、更にリリカルさを増していきます。

パット・メセニーさんのソロはテーマのコード進行をそのままワンコーラス奏でていきます。まるで事前に創られていたかのようなソロラインで、この上なく美しい展開ですね。
特に、CD Time=3:17からのラインは、コードを頭で入れながら、本当に綺麗なメロディを奏でていきます。
しかし、終りの8小節、CD Time=3:45からは今までとは逆に、メロディを殺して、コードヴォイシングとリズムで語っていきます。
このメリハリが静かな曲の中に映像的なアクセントを生み出してますね。


08:ホワット・ドゥ・ユー・ウォント?
パット・メセニーさんの曲としては珍しく、純粋なスタンダード曲のようなコード進行をもった楽曲です。
特にソロのコード進行はジャズの演奏ではセオリーであるⅡ-Ⅴ進行が連続して表れています。
キーはBですが、それをⅡ-ⅤのCm7→F7で繋ぎます。そしてサビのパターンでは3つのⅡ-Ⅴ進行が連続して元のキーコードBに戻っていくと言う進行。
当然3つのⅡ-Ⅴ進行では3つのスケールを連続させて弾くわけで、それだけでもインプロヴィゼーションとしてはけっこう難曲と言えますね。当然ですが、見事に弾き抜けています。
パット・メセニーさんのオーソドックスなコード進行に対するアプローチを学ぶ格好な素材なんですが・・・いかんせんテンポが速すぎてギターコピーもままならないと言う感じです・・・。

ギター的にはオーソドックスな形なので、聴いた感じも少しレトリックなジャズ的な雰囲気が出ていて、ここではスウィングと言う言葉がピッタリ当てはまる演奏と言えます。


09:ア・ロット・オヴ・リヴィン・トゥ・ドゥ
楽しげなメロディを持っている曲です。これはオリジナルではなくミュージカルバイ・バイ・バーディーの中の曲。(・・・だと想います。)いわゆるスタンダードと言うことになるのでしょうけど、前の曲と同じ流れと雰囲気がありますね。

ですからパット・メセニーさんのプレイもオーソドックスなジャズラインを展開します。
それでも後半になるとやはりメセニー節が連発して、オンリーワンの世界になってしまうところが見事ですね。この曲も聴きやすくスッキリとまとまった演奏になっています。


10:ローン・ジャック
オリジナルはパット・メセニー・グループ想い出のサン・ロレンツォ(*)。
自身のグループのしかもファーストアルバムの楽曲をここで演奏すると言うのがまず凄いことだと・・・。よほど気に入っているのでしょうか。
もともとセッション向きの楽曲ではありますが、見事にギタートリオ作品として仕上がっているのがまた凄いところです。迫り来るようなサンバ調のリズムがグイグイと私たちをけん引してくれます。

お馴染みのキメ・フレーズからパット・メセニーさんのソロです。
テーマのコード進行の流れで2コーラス奏でています。

ワンコラースめのスタートはパーカッシブなラインでリズムにノッていきます。CD Time=1:10からクロマティックを使った速いパッセージを連続してCD Time=1:16の得意技フレーズに解決します。
サビの進行では、メロディ重視のラインでギターが見事に歌っています。CD Time=1:37の高い音の『ひと弾き』が効いていますね。

2コーラスめは得意フレーズの変形パターンからスタートします。
そしてクロマティックラインをはさみながら、和音でのフレーズを少し入れてきます。そのまま和音でのコード奏法へいくと想いきや、CD Time=2:00のトリッキーなラインでかわします。
サビのパターンでは、待っていましたと言う感じのコード奏法で華麗に弾き抜けてキメのパターンへ繋ぎます。

続けてベースのラリー・グレナディアさんのソロ。
前半はメロディラインと言うことを意識しながらも、リズム楽器と言うことを全面に出していく感じの展開をしています。
そして段々とリズムが中心になっていき、サビの部分でリズム的ソロラインで強烈な盛り上がりをもたらします。この部分肝!です。CD Time=3:03からのラインがひとつの伏線になっていてそれが、CD Time=3:08からのラインを効果的に聴かせていると想います。見事な構成です。
パット・メセニーさんのほとんど生音のカッティングも実にいい感じで入ってきていますね。

続くキメのパターンでドラムのビル・スチュアートさんのソロです。
リズムをキープしながらの細かいスネア、タム回しで全体のグルーヴを途切れさせることがなく、テーマへ繋いでいきます。


11:トラヴェルズ
この曲もパット・メセニー・グループの初期の代表作品トラヴェルズ(*)に収録されている名曲です。
オリジナルはエレクトリックでのプレイでしたが、ここではスチール弦のアコギです。また、いくぶんテンポを抑えて奏でます。

もともとカントリーテイストの曲で映像的な曲です。
オリジナルの方は目の前に広大なアメリカの大地が浮かんで来るようなスケール感を感じるのですが、このトリオでの演奏は、そのスケール感がもっと家庭的で、言うならば、暖炉の炎や埃っぽいテーブルの上の食べ残しのパン・・・そんなイメージが個人的には想い浮かぶのです・・・。

これは演奏の形態と言うこともありますが、一番はアコギの音色ですね。
さらにはバックのリズム隊が、実にシンプルにリズムを刻んでいることでしょうか。

パット・メセニーさんのプレイも、同じようにシンプルで、朗々と歌っていきます。

しかしギター的に良く聴いていくと、これは実に難しい演奏ですね。個人的にはエレクトリックの速いパッセージよりも難しいかも知れないと想います。
テーマでは、テーマのメロディを和音で奏でて、次のメロディとの隙間に和音やアルペジオ、ハーモニクスなど多彩なバッキングを絡めています。これが絶妙で、まるで2人ギタリストがいるような錯覚にも陥ります。下手なギタリストが2人で奏でるより遥かに凄いと想います。

当然これがソロに入ると更に驚異的で、インプロヴィゼーションであるにも関わらず美しいメロディ。しかも、その間を埋める絶妙なバッキング・・・。

そうは言っても、やはりこのトラックはそのような技術的なことは抜きにして、ただただ浸りたい・・・そんな演奏になっています。

聴き終わったときに・・・本当にため息が出た演奏で個人的にはこの作品のベストトラックで、大肝!です!

この曲が作品のエンディングと言うのも実にいいですね・・・。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★

初めて聴いたときのインパクトはかなりのものがあったのですが、今回久しぶりに通して聴いてみてそのとき以上のインパクトがありました。

ギタートリオと言うのは非常に難しいフォーマットだと想います。
演奏自体ももちろんですが、メンバーの選択のウェイトが大きいと想うからです。もちろんその他のスタイルでも同じことなんですが、シンプルな構成だけによりそこが大切と言えると想うのです。

今までのパット・メセニーさんのギタートリオ作品では、いろいろなミュージシャンが参加していて、それぞれの作品で、それぞれの良い味を出してるのですが、多分、これほど強烈にパット・メセニーさん個人が全面に出た作品はないのではないかと想うのです。

今までのトリオ作品は考えて見れば、ほとんどが大物と言われているミュージシャンとの共演。
それでも互角に渡り合ってきて強烈な個性を出しているのですが、この作品を聴いた後では、やっぱり多少なりとも食われている部分があったのかな、と想うのです。

この作品は当時フレッシュな2人を選びました。年齢的なこともありますが、リーダー的にトリオで演奏した最初の作品。

ですから弾きまくった!と言えるし、その為にジャズ・ギタリスト・パット・メセニーが全面に出たと言うことになったのだと想います。
最後の2曲に自分の個性が良く出ている古いオリジナル曲を持ってきたのも、それに輪をかけていますね。

ちょっと弾き過ぎで、フレーズも同じようなフレーズが多く登場したりしている部分も確かにありますが、パット・メセニーさんのギタースタイルを聴くのには絶好の作品で、パット・メセニー・グループだけでは感じ取ることが出来ない『プラスαのギター魂』を十分に感じ取ることができる名盤です。

(CD TOTALTIME:65:22 / Walking消費カロリー:262.77 kcal)

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トリオ99>00トリオ99>00
パット・メセニー ラリー・グレナディア ビル・スチュワート

曲名リスト
1. (ゴー)ゲット・イット
2. ジャイアント・ステップス
3. ジャスト・ライク・ザ・デイ
4. ソウル・カウボーイ
5. サン・イン・モントリオール
6. カプリコーン
7. ウィ・ハド・ア・シスター
8. ホワット・ドゥ・ユー・ウォント?
9. ア・ロット・オブ・リヴィン・トゥ・ドゥ
10. ローン・ジャック
11. トラヴェルズ

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(*)本文に登場したCD・DVD

Pat Metheny GroupPat Metheny Group
Pat Metheny Group

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トラヴェルズトラヴェルズ
パット・メセニー・グループ パット・メセニー ライル・メイズ

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あとがき
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2008年01月29日

トリオ99→00【PART1】/パット・メセニー 
 TRIO 99→00/PAT METHENY

トリオ99>00


今日はまた雪が舞っていて寒い一日です。と言うことで先日はパット・メセニーさんのトリオ99→00でwalkingをしました・・・。


この作品は2000年のリリースです。ギタートリオ作品としては、意外に少ない4枚目の作品と言うことになります。初めて聴いた時のインパクトは今でも良く覚えています。久しぶりに聴きますが、どうでしょうか・・・。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★

01:(ゴー)ゲット・イット
今回の作品でパット・メセニーさんが選んだのが、ドラムのビル・スチュアートさんとベースのラリー・グレナティアさん。
そのビル・スチュアートさんの軽快なサイド・シンバル・ワークに細かいスネアとバスドラが絡んだリフからスタートします。
この曲は譜面を見ると、テンポ指示が300とかなりアップテンポで、コード進行がセブンスコードを中心とした軽快なパット・メセニー・ブルースナンバーです。

テーマ終りのキメから、曲は4ビートのブルース進行になってパット・メセニーさんのソロに突入します。
前半からオーバードライヴがかかりまくったようなソロ展開で、CD Time=0:48のクロマティックなラインに、引っ掛ける?ようなダウンフレーズを絡めて得意のアップしていくラインになだれ込んでいく・・・得意フーレズが早くも炸裂します。

CD Time=1:38は、テーマ終りのキメのパターンをモチーフにしたライン。
その後、細かいラインで繋いで、CD Time=1:44からオクターブ奏法のラインから再度キメパターンのモチーフを。テーマやキメのパターンをモチーフにすることは、インプロヴィゼーションでは良くあるのですが、見事に決まっています。

続く、CD Time=1:48からは、単純なフレーズをタイミングの妙技で聴かせてくれます。
クロマティックラインでこのコーラスを締めくくると、次の、CD Time=1:57からアウトフレーズを連発します。特にCD Time=2:00のフレーズなどは微妙な浮遊感が迫ってくるようです。

CD Time=2:26のラインは、低音を動かす度に、高いE=「ミ」を弾いてアクセントとしています。音数は少ないフレーズなんですが、少しポリリズム的になっていて、そのニュアンスが実にグルービーで見事です。

キメを挟んで、ベースのラリー・グレナディアさんのソロです。
メロディラインを奏でて聴かせると言うよりは、メロディとベースラインをミックスした様なラインで綴る構成になっています。リズミックな展開で、ビート感の溢れるソロですね。

ベースソロの後は、ワンコーラスづつドラムのビル・スチュアートさんとパット・メセニーさんの掛け合いです。それぞれのソロはもちろん良いですが、CD Time=4:51のギターとドラムの会話が聴き所です。

1曲目からかなり『ぶっ飛んで』いて、まさに肝!です。


02:ジャイアント・ステップス
言わずと知れたジョン・コルトレーンさんの名曲です。ここではミディアムテンポのボサノバ調にアレンジして演奏しています。
パット・メセニーさんの、テーマのフェイクの仕方が絶妙ですね。この『ずれた』感じで弾くのはけっこう難しいと想います。一歩、間違うとただの『ズレ』になってしまいますので・・・。

パット・メセニーさんのソロは、コード進行に的確にノッてメロディアスなラインを奏でいます。速いパッセージや得意技も連発していますが、最大の聴き所は、CD Time=3:42からのコード奏法。この難しいコード進行の難曲を、いとも簡単そうにバリエーション豊富なコードヴォイシングで奏で、しかも、トップノートのメロディラインはしっかり歌っている、と言う見事なコードワーク。これは凄いと想います・・・本当に。

続いて、ラリー・グレナティアさんのソロ。
このソロも、基本的にはメロディアスと言うよりは、1曲目と同じようにリズムを崩さないでフレーズを連続していくライン。ブレイクもポリリズムもなし。一聴平坦で退屈なようにも想いますが、じっくり聴くと良いメロディラインなんです。また、これだけ途切れず連続してフレーズ展開をするのはかなりテクニックが必要だと想います。実際にラリー・グレナディアさんが歌っている声が聴こえますので、このフレーズが単に指癖ではなく、頭で歌っているラインだと言うことが解ります。

ブリッジを挟んで再びテーマに戻りますが、ここでは先ほどの『ずらし』をより顕著にして奏でています。また、CD Time=6:18の遊びの様なフレーズも飛び出してきて、まさに酔っているのは酒ではなくて演奏。そんな感じのするプレイですね。

エンディングの部分で再びパット・メセニーさんのソロが炸裂して段々とデクレッシェンドしていって静かに終わっていきます・・・。

このトラックも実に強力な演奏になっていますね。


03:ジャスト・ライク・ザ・デイ
一転して重々しい感じのする中にも、綺麗なメロディが奏でられる曲。この曲はキーのコードがD=「レ」。通常のギターの一番低い音がE=「ミ」なのでそれより低いD=「レ」に6弦のチューニングをあわせて弾いていると想われます。これによって、より低音重視の重々しさがでる訳ですね。

それでもメロディが綺麗で、また少し中世の響きもある展開なので、不思議なムードに包まれる楽曲に仕上がっています。

ソロ、メロディともに和音を上手く使用していて、また、スチール弦のアコギの煌びやかで、金属的な響きの中にある温かさが良く解るプレイだと想います。


04:ソウル・カウボーイ
パット・メセニー・ブルースナンバーが再び登場です。
この曲は1曲目とは違って、かなりゆったりとしたブルース。当然フレーズも違う展開になるわけで、どちらかと言うと、よりフレーズを聴き取る為には、こちらの方が聴き易いですね。
また1曲目はキーのコードがA=「ラ」でいわゆるAのブルース。それに対してこの曲はCのブルースになっています。このキーコードの違いによるインプロビゼーションの違いも楽しむことができます。

ワンコーラスめはかなりオーソドクスに、しかもブルージーにスケール展開をしていて、これぞジャズブルースと言うようなプレイです。
2コーラスめになると、コード進行から外れたアウトフレーズが最初に飛び出します。CD Time=1:00などは、アウトフレーズにベースのラリー・グレナディアさんも見事に追従していて、一瞬コード進行が違う展開に流れていくように聴こえますね。
3コーラスめは、今度はドラムのビル・スチュアートさんが、ポリリズムで『しかけ』ます。かなり取り難いリズム展開なんですが、見事につられないパット・メセニーさんと、動じないラリー・グレナディアさんが淡々と奏でていきます。このかけ引きが逆に絶妙なグルーヴを生み出している感じですね。
4コーラスめからベースが4ビートを刻んでいきます。この終りの所から4音ワンパターンで上がっていったり、下がっていったりするパット・メセニーさんのお得意なフーレズの、さらに強力盤が始まります。これは5コーラスめの前半まで怒涛の展開を持って続きます。
6コーラスめの聴き所はCD Time=2:25からの浮遊感のあるアウトフレーズ。言葉になりません・・・。
7コーラスめは、比較的オーソドックなラインで決めます。しかしこれは、CD Time=2:59からの8コーラスめの、『音の反射フレーズ』との対比の為の伏線。
一瞬コンピューター音の様にも聴こえる音の飛び散りとその反射。この音の選択はもう理解を超えていきます。かなりスペーシーな雰囲気が漂います。
その流れを、先ほどの得意技フレーズと合体させた展開が続く9コーラスめ。
さらにそれは発展していって、一瞬『踏み切り?』と想ってしまうようなフレーズを中心とした10コーラスめに続いていきます。
11コーラスめの最初の部分、CD Time=3:59はトレモロを使用した少し遊び心を感じるラインで締めくくっています。

このブルースのソロはパット・メセニーさんとしてはけっこう珍しいと想う、ワンコーラス完結型のソロ展開になっています。
それぞれのコラースが前後で上手く絡んでいて、唐突になっていず、切れ切れになっていないところが見事なソロだと想います。


05:サン・イン・モントリオール
パット・メセニーさんのクリアなソロギターからスタートするワルツです。
複雑なコード進行なんですが、メロディがそれを感じさせないほどの綺麗さがあって見事に繋がっていて、しかもメロディアスに流れています。
また、それをコード奏法で見事に弾き抜けているテーマ部分が特に聴き所です。
ソロギターの部分では比較的平坦な感じで弾いているのですが、ここにドラムとベースが少し跳ねたワルツ・リズムで入ってきます。
ここで並のギタリストだったら、あわせて跳ねたリズムで弾いていくところなんですが、パット・メセニーさんはそのままの平坦な感じのリズムで弾き続けます。
これによって、必要以上に跳ねたビートになっていなくて、インプロヴィゼーションの部分での跳ねたリズムとフレーズが物凄く生きてきてグルーヴが加速してくると言う効果を生んでいます。

もちろんインプロヴィゼーションのラインもまとまっていて文句なしですね。さらに曲の構成や長さも丁度良い感じですので、大変聴き易く、ちょっと一息と言う感じの小作品に仕上がっています。


06:カプリコーン
淡々とした4ビートが続いて、しかもノンコード的な流れをもったウェイン・ショーターさんの曲。パット・メセニーさんのソロは、テーマのモチーフを所々に出しながら展開していきます。
かなりフリーな展開になっていますので、テーマのリズムやモチーフに絡めた頭の中のフレーズが湧き出していると言う感じのプレイです。CDと言う制約が無ければ一晩中でも続いていきそうな勢いがありますね。派手な部分やコード展開がないので、聴いている方にも結構根気が必要ではありますが・・・。

続いてソロを取るビル・スチュアートさんのプレイも必要以上に派手でなく、やはり淡々としていて、いいですね。
ラリー・グレナディアさんの4ビートも同じく淡々と辛抱強く奏でていると言う感じで、けっこうクセになりそうなビート感が漂っています。

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と言うことでまたしても長くなりましたので
続きは後日に・・・。


(CD TOTALTIME:65:22 / Walking消費カロリー:262.77 kcal)

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パット・メセニー ラリー・グレナディア ビル・スチュワート

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2008年01月25日

アランフェス協奏曲/渡辺香津美、大村憲司、リー・リトナー他

だいぶ周りの雪も融けてwalkingもしやすくなりました。流石に雪が凍り付いているとちょっと危ないので・・・。と言うことで今日は渡辺香津美、大村憲司、リー・リトナー他アランフェス協奏曲walkingをしました・・・。


この作品は1978年のリリースです。演奏の中心はリー・リトナーさんとフレンドシップの面々なのですが、そこに、渡辺香津美さんと大村憲司さん、そしてアレンジとキーボードで深町純さんが参加したと言う形になっています。
アランフェス協奏曲はご存知クラシックのロドリーゴさんの作曲によるギター協奏曲。クラシックギターの協奏曲はそんなにたくさんないのですが、その中でももっとも有名な作品です。そのメロディからか、良くジャズでは取り上げられている曲ですが、ここではバリバリのフュージョンサウンドとしてアレンジされています。
久しぶりに聴きますが、どうでしょうか・・・。


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01:アランフェス協奏曲
原曲のアランフェス協奏曲はギターのスパニッシュなカッティングから、その流れを弦楽器が引き継いでテーマに入っていきます。
ここではややアップテンポでリー・リトナーさんのナイロン弦ギターが奏でます。そして、バッキングのリズムがクラシックの弦楽器の変わりに強いビートでそのリズムを引き継ぎます。
そしてストリングスが重なり、アーニー・ワッツさんのソプラノサックスと深町純さんのシンセがテーマを奏でていきます。
このスタート部分は、けっこう原曲に近いアレンジになっています。ちなみにアレンジは深町純さん。

そのままクラシカルな流れかと想いきや、CD Time=1:31から渡辺香津美さんのソロがスタートします。
スパニッシュなコード進行に対して、クリアトーンで速いパッセージを奏でていきます。粒揃いのフレーズでピッキングの正確さが良く出ているラインです。今のスタイルとは少し違う感じがするのですが、若さがあって『あの時代』の渡辺香津美さんを堪能することが出来ます。

また、バックの演奏にも注目したいところ。
ドラムのアレックス・アカーニャさんのスネアロールやベースのエイブラハム・ラボリエルさんの絶妙なトーンのベースライン、そして、デイヴ・グルーシンさん、ドン・グルーシンさんのローズとエレピのバッキング、さらにリー・リトナーさんのナイロン弦ギターでのカッティング。考えてみれば・・・考えてみなくても凄いメンバーですね。
その余裕のバッキングにノッて渡辺香津美さんが疾走します。ソロのエンディングでのアーニー・ワッツさんのサックスの絡み方もなかなかグッと来るものがあります。

続いてはアーニー・ワッツさんのソロです。
渡辺香津美さんのソロのスパニッシュな香りとは違って、かなり都会的な雰囲気の漂うバッキングに変わります。ベースとドラムのキメ・ラインの合い間を縫ってジャズラインを吹き進みます。エンディング部分の速いパッセージとラインの構成はちょっとマイケル・ブレッカーさんを彷彿とさせるラインです。

さらにパターンを変えてリー・リトナーさんのソロに引き継がれます。
バックが小刻みにブレイクするパターンに変わりましたので、リー・リトナーさんのラインも細かく速いフレーズを連続していきます。
短いソロなんですが、テーマのスパニッシュな雰囲気に戻るためのきっかけを上手く漂わせているフレーズです。

そしてイントロのパターンに戻ってデイヴ・グルーシンさんのリリカルなソロピアノから第2楽章へ入っていきます。

アランフェス協奏曲で一番著名なメロディを持っているのが第2楽章。デイヴ・グルーシンさんのソロピアノが、激しい第1楽章と哀愁のある第2楽章を繋ぐ為の見事なジョイントになっています。実に上手いフレーズ回しの為に、続けてテーマを弾くリー・リトナーさんのギターがスムーズに耳に入ってきます。

リー・リトナーさんの、曲の雰囲気を捉えた見事なアーティキュレーションのメロディにアーニー・ワッツさんのフルートが絡んで進みます。
リズムがインしてからは、少し熱さを持ったメロディ展開をしていきます。それに合わせる様にクラシカルにストリングスが絡んで、一気に雄大な流れになっていきます。

CD Time=9:33から、一瞬その流れを断ち切るようにバックのパターンがシンプルに、そしてブルージーになってリー・リトナーさんのソロがスタートします。
私はあまり馴染みがないのですが、ここではクリアトーンにオクターバーでオクターブ下の音をエフェクトしてラインを刻んでいます。ミュートを上手く使用して、歯切れが良い中にも粒揃いの速いパッセージを展開します。
オクターバーをオフにしてからは、段々と熱さを増していって、CD Time=10:33の一聴でリー・リトナーさんと解る得意の速いパッセージから、16分音符の2音ワンパターンでダウンしてくるフレーズで繋いで、トリルのトリッキーな奏法を挟んで、ロック的なフレーズを決めます。

続いてナチュラルに歪んだ音でフェードインしてくるのが大村憲司さん。
曲の持っているブルージーな感じそのままの、ブルース、ロックフレーズでたたみかけます。バックのリー・リトナーさんのミュートカッティングとパーカッションのスティーヴ・フォアマンさんが触発しあって刻む細かいビートを、ゆったりとしたグルーヴでアレックス・アカーニャさんが抑制したりしていて、バッキングのプレイも聴き所があります。
ソロエンド近くのCD Time=13:20からのラインは、今までブルース、ロック調のラインからジャズラインを奏でていき、その後のクラシカルな展開に繋いでいきます。

第2楽章の終りはストリングを中心としたクラシカルな展開。段々とリタルダントしながらエンディングロールになると、それを切るようなリー・リトナーさんのカッティングの妙技を合図に第3楽章がスタートします。

フュージョンギターにおけるカッティングはかなり重要なんですが、そうは言っても地味な部類に入りますので、実際はなかなか耳が届かないところです。個人的には、かなりリー・リトナーさんのバッキングワークで勉強をしたところがあります。

そのエッセンスがしっかりと詰まったカッティングでまさに肝!
全体的には比較的単純なコードカッティングの途中に、いろいろな小技が組み込まれています。歯切れの良いカッティングのブレイク、CD Time=14:37の俗に言う『チャカポーン』と言う奏法。そしてCD Time=14:48の少し抜いた感じのする単音のライン。CD Time=14:57の3連のリズムへの切り替え・・・。これら全てが正確無比なテンポの中に常にあって、カッティングのグルーヴが切れていないところが凄いと想います。

シンセのリフに重なって大村憲司さんと渡辺香津美さんのソロの掛け合いがスタートします。
お互いの持ち味を十分に出した聴き応えのあるギターバトルです。途中に入る『うめき』の様なエイブラハム・ラボリエルさんの『おかず』も独特でいいですね。

そのままフェードアウトしてこの曲は幕を閉じていきます。

メリハリがあって、クラシカルな展開やソロも盛りだくさんで聴き所の多いトラックになっています。全ては深町純さんのアレンジの力が生み出しているとも言える、まさに名演、フュージョン盤アランフェスです。


02:アイ・ネヴァー・ウォズ・ア・カウボーイ
タイトルからも想像出来る様に、1曲目のスパニッシュな香りに対して世界はアメリカ。ファンク色のあるミディアムテンポのナンバーです。

テーマのアーニー・ワッツさんのソプラノサックスがファニーで楽しげな感じを演出しています。それはソロでも同じで、速いパッセージの中にも楽しげなムードを漂わせています。

更にビートはファンク色を強くして、大村憲司さんと渡辺香津美さんのソロの掛け合いに入っていきます。
1曲目の掛け合いとはまた違った一面をお互いに出していて、ここでもファニーな雰囲気が溢れています。

その2人の間に割って入ってくるようなリー・リトナーさんのカッティングから、再びテーマに戻りエンディングです。


03:ラテン・スタッフ
2曲目のアメリカン・ファンク的なムードから一転して、今度はラテンです。これは大村憲司さんの曲。

ファーストソロはエイブラハム・ラボリエルさん。
あくまでもグルーヴ重視で、同じラインを繰り返すと言う展開で、自分のソロにも関わらず、次のソリストへ連続したビートを提供していると言う感じです。

そのグルーヴを引き継いでソロを奏でるのが大村憲司さん。
基本的にはロックテイストのソロラインなんですが、単純なロックフレーズではなくて所々に聴かせてくれるクロマティックラインなど、ジャズ的なフレーバーも十分に香っている見事なソロです。


04:アイ・フィール・ブリーズ
コード進行が独特で、また変拍子などを一部使用していながらも、綺麗なメロディラインのこの曲は渡辺香津美さんの曲。
テーマは渡辺香津美さんがクリアトーンで奏でます。それにアーニー・ワッツさんのアルトサックスが絡み、サビではユニゾンを聴かせてくれます。

ファーストソロはアーニー・ワッツさんがアルトサックスで奏でます。
それを引き継いでリー・リトナーさんのソロです。また続いて渡辺香津美さんのソロへと流れいくのですが、良く聴くと2人には共通するエッセンスが多いことに気が付きます。何気に聴いていると、ソリストが変わったのも気がつかないくらいですね。
ともにピッキングが正確で粒が揃っているために、特にダウンフレーズでの速いパッセージは良く似ています。


05:タイトゥン・アップ
フュージョンと言う香りが満ちているアーニー・ワッツさんの曲です。ファンキーなリズムとグルーヴにアーニー・ワッツさんがテーマを重ねます。

ファーストソロは渡辺香津美さん。
ナチュラルに歪んだ音に軽くワウをかけてファンキーな中にも、激しいラインを奏でていきます。
それを受けて大村憲司さんのソロ。
渡辺香津美さんより強くワウをかけて、こちらもファンキーでブルージーなラインで対抗しています。

後半のテーマのバッキングではりー・リトナーさんもギターに軽くワウをかけて、ファンキーでファニーなバッキングワークを聴かせてくれます。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★

後半は、可もなく不可もない、それなりに楽しむことが出来るフュージョン作品になっているのですが、ハイライトはやはり1曲目。このアランフェス協奏曲のアレンジを含めた完成度にあると想います。

実際に原曲を使用した部分は第1楽章の頭の部分と第2楽章のメロディくらいで、後はソロを展開すると言うパターンなんですが、全体に流れている、アランフェス協奏曲らしさと言うものが見事に表現されたアレンジだと想います。

また作品全体を通して、リー・リトナーさんのソロの出番がやや少ない感じもするのですが、それでも、バッキングワークでよい味を出していますし、大村憲司さんもロックテイストのソロラインで飾っていますし、渡辺香津美さんも、もちろん見事なソロラインを奏でています。
ですからギターを中心として聴いても、この時代のフュージョンサウンドが凝縮されたような演奏になっていますね。

聴き終わって想ったのが、『いい香りがする』と言うことです。
これは、この時代のフュージョンらいしと言うことです。
それは全体の録音のバランスやエフェクト、さらにはドン・グルーシンさんのローズの音など・・・。
もちろん古いと言う感じはするのですが、それでもその『香り』はまさに『その時代のもの』と言う感じがします。

特にギターは、『ギター、シールド、ギターアンプ!』みたいなストレートさがあって、クリアトーンなのにナチュラルに歪んでいるさまは、今のエフェクトがビンビンに効いているサウンドよりもギターらしさが出ていていい感じです。
このようなギターのサウンドを聴くと、昔コンパクトエフェクターを1個づつ買い揃えていって、段々といろいろなサウンドが出るようになったことを想い出します・・・。

そんなノスタルジーにも浸ることが出来る作品です・・・。

(CD TOTALTIME:38:10 / Walking消費カロリー:153.43 kcal)

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アランフェス協奏曲/渡辺香津美、大村憲司、リー・リトナー他

曲名リスト
1. アランフェス協奏曲朝焼け
2. アイ・ネヴァー・ヴォズ・ア・カウボーイ
3. ラテン・スタッフ
4. アイ・フィール・ブリーズ
5. タイトゥン・アップ

*残念ながらアマゾンにありませんので、廃盤のようです・・・。
あとがき
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2008年01月23日

アイズ・オヴ・マインド/カシオペア 
 Eyes Of The Mind/Casiopea

EYES OF THE MIND


今日は雪。ただでさえ寒いのに、より寒さを感じますね。
と言うことで昨日はカシオペアアイズ・オヴ・マインドwalkingをしました・・・。


カシオペアを巡るスーパー・フライトも5作品目に入りました。
この作品は1981年の作品で、ご存知ドラマーのハービー・メイソンさんをプロデューサーに迎えて録音された作品です。
曲はお馴染みの曲のリメイクがほとんどで、ベスト盤的な色合いも持っています。当時はリアルタイムで聴いたのですが、全体にすっきりとした印象があって曲のアレンジに驚きもありましたが、同時に不満もあったことを想い出します。物凄く久しぶりに聴きます・・・。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★

01:朝焼け
オリジナルは2作目のスーパー・フライト(*)。
大きな違いはそのビートです。これでもか!と言うくらい強い1拍ごとのバスドラムとスネアがアレンジの中心になっています。
もともと、この曲はオリジナルでも、特にサビの部分などには、このような1拍ごとの強いビートがあった曲なのでそこに目をつけたのがハービー・メイソンさんと言うことのようです。最初から最後までそのビートをキープしたまま曲は進んでいきます。

またドラムの神保彰さんのバスドラがかなりブーストされていて、その他のスネアやタム、ハイハットなどは極力抑えて録音されています。さらに、カウベルやハンドクラップ、タンバリンなども拍ビートを一緒に刻んでいるので、少しキツすぎる感じがするのですが・・・。

それに加えて、ベースの桜井哲夫さんのビートが完全に4分音を意識したプレイになっていて、切れがあると言う感じではなくて、ややルーズな感じのプレイになっているのも、拍ビートの強さに加担していきます。

ところが、ギターの野呂一生さんととキーボードの向谷実さんは、イントロの16ビートのパターンをテーマのバックでも刻むと言うアレンジになっています。

ですから、16ビートの流れを抑制するように拍で強いビートが入っていて、結果、16ビートでありながらも、忙しさがなく、スムーズで、安定感のある落ち着いた流れで、聴きやすいリズムになったと言えると想います。

曲の構成もだいぶシンプルにアレンジされています。同時に演奏もだいぶシンプルに演奏をしていて、解りやすくなっていると想います。

私はカシオペアのコピーバンドをしていたのですが、朝焼けはどちらのバージョンも演奏しました。弾いていて面白いと想ったのは、オリジナルの方です。それでも全体のシンプルさや、演奏の難易度が簡単と言うことでこちらのバージョンに切り替えたと言うことを想い出しました。

CD Time=3:45はフェードアウト直前なんですが、ベースの桜井哲夫さんのパターンが変わってこれから盛り上がる!と言うようなところで終わっています。作品全体に言えることなんですが、ちょっとフェードアウトが早い!と想うような曲が他にも何曲かありますね。


02:ア・プレイス・イン・ザ・サン
神保彰さんの跳ねたリスムのハイハットワーク。そこに裏リズムでリムショットが絡んで、さらに向谷実さんの印象的なエレピのリフでスタートするこの曲は、ハービー・メイソンさんの曲のようです。

ベースとギターがインしてからのドラムワークは、シンプルなんですが、ベースとの息がぴったり合っていて、裏ビートが強く、全体に前のめりなリズムが心地よいです。野呂一生さんのフェーザー(フランジャーかも?)をかけたカッティングも歯切れが良いですね。

非常に明るいメロディと曲調で、『カシオペアにしては珍しい部類の曲』と野呂一生さんが言っていますが、私は非常にカシオペアらしい曲だと想います。
これは、この作品以後のカシオペアを知っているからであって、当時としてはそう言われると、このタイプの曲は珍しかったのかな・・・と想います。
逆に、以後のカシオペアの楽曲の中に、この曲にインプロヴァイズされて出来たものがけっこうある、と言えるかも知れませんね。

ファーストソロは野呂一生さん。
ヴォリューム奏法からゆったりとした展開でスタートしていきます。全体的に速弾きを抑えてあくまでも曲調に合った楽しげなラインをクリアトーンでメロディアスに歌っていきます。

続いて向谷実さんのシンセソロ。
こちらも歯切れ良さやアタックの強さを抑えて、緩やかにソロを展開しています。シンセの音自体もフワッとした感じの音なので、温か味も感じますね。


03:テイク・ミー
この曲もオリジナルよりすっきりして解りやすくなったと想います。特にドラムがかなりシンプルにビートを叩くようにアレンジをされています。全体の録音も音の分離がかなりはっきりしていて、バックの音源も十分に聴き分けることが出来ますね。
その分、少しヴォリュームを落とし気味で聴くと、楽器と楽器の間にある隙間?の様な妙な空間を感じます。

ファーストソロは野呂一生さん。
オリジナルとは違って、このアレンジではクリアトーンのギターにオクターバーでオクターブ下の音を加えて奏でています。アドリブラインは丁寧でメロディアスですね。

その後のピアノのクラシカルな展開のブリッジでは、神保彰さんの細かいスネアワークを聴くことが出来るのですが、これもだいぶ音像としては奥に入ったような録音で、凄いことをしているけど、さり気無い・・・と言う感じの録音になっています。

そしてピアノソロ・・・と想いきや、このアレンジでは後テーマに戻ってエンディングとなります。

オリジナルのこの曲は、ストリングスなどが厚く入っていて、それなりに好きでなんですが、こちらのアレンジは、音の種類の多さだと負けない位の数が入っています。
それでも全体のバランスが上手い為に、いたってシンプルに聴こえると言う結果になっています。このあたりの聴き比べはかなり面白いかも知れませんね。


04:ラカイ
ハービー・メイソンさんとボブ・ジェームスさんの共作の曲。イントロのピアノのリフが心地よく、想わず海辺が映像として浮かんできそうです。

この部分の最初の4小節はピアノのみで、その後でストリングのフェードインと共に、ギターのミュートカッティングが同じリフを奏でます。このギターのレベルが少し大きく、また動いている音のバランスがやや悪いので、平坦な感じに聴こえてしまっています。

爽やかなメロディに、リフをそのままバッキングに使用して曲は進みます。落ち着いた良いアレンジですね。

ファーストソロは向谷実さんのピアノ。
シンプルなラインで、丁寧に演奏をしています。熱いものなどは無いのですが、それは逆に不要で、淡々と弾くことで曲の持っている穏やかさを醸しだしています。

続いて野呂一生さんのソロです。
まあ、ソロと言うよりはサブテーマの様な部分ですね。少し変わった音で、一聴ギターシンセかとも想ったのですがライナーノーツをみると違うようです。多分、軽く歪ませたギターにハーモナイザーの様なエフェクトをかけて音をダブらせているのではないかと想うのですが・・・。印象に残る音ですね。


05:アイズ・オヴ・ザ・マインド
オリジナルと比べると随分シンプルになったイントロです。いくぶんテンポアップがされていて軽快なアレンジです。特にパーカッションがけっこう暴れていて曲に華を添えています。パーカッションはポウリーニョ・ダ・コスタさんとハービー・メイソンさん。

テーマを奏でるシンセも琴風と言うか和風な感じ。オリジナルの少しファニーで潰れたような音に比べると透明感がある音です。これだけでもだいぶイメージが変わります。

ファーストソロは野呂一生さん。
オリジナルのソロと比べると、だいぶ抑えたソロです。ラインがかなりまとまっていてインプロヴィゼーションと言うよりは、サブテーマ的にメロディを奏でています。解り易いラインで、ギターコピーをするにも、オリジナルより遥かに弾きやすいと想います。

その後のサビの部分ですが、ギターとシンセのユニゾンと言う形はオリジナルと変わらないのですが、大きく違うのが、まずリズム。
こちらはあくまでも流れを意識していて、曲の始めから一貫してストレートな流れのまま突入していきます。オリジナルの方は、もう少しメリハリがあったように感じます。
もうひとつは、シンセ。
オリジナルでは和音でこの部分を弾いていて全体的な厚みを演出しています。それがこちらでは単音でのギターとのユニゾンになっています。非常にシンプルになって、先ほどの流れの加速を助けているラインだと想います。それでも、スポッと抜けたような感じもあって、この部分のインパクトを消してしまっているような感じもします。また、このシンセの単音はサビ前の中サビの部分でも同じで、オリジナルは和音で弾いています。

エンディングはギターとシンセのユニゾンをはさみながら野呂一生さんがソロを奏でます。これもまたフェードアウト近くでかなり速いパッセージなどで盛り上がって来ているのですが・・・。やはりフェードアウトが少し早い感じです・・・。

個人的には、壮大な感じで、少しゆったりと流れるオリジナルの方が好きなんですが・・・。これも好みが分かれるところですね。


06:ブラック・ジョーク
イントロ部分の6連符のユニゾンが印象的な曲ですが、この部分はオリジナルに比べるとかなりクリアになっているように想います。演奏のテクニックも含めて格段に成長しているカシオペアを感じることができますね。

テーマに入ると、神保彰さんのハイハットワークにパーカッションが重なった16ビートがリズムを引っぱります。もう少し切れのある演出でも良い感じがしたのですが、その分ハードな感じは出ていると想います。それでも全体的なドラムのリズムはやはりシンプルで、特にサビの部分などは淡々とリズムを刻んでいるので、ここでも一貫した『流れを意識したアレンジ』になっていると言えるでしょうか。

ファーストソロは向谷実さん。
オリジナルのキメのパターンでソロを展開します。この部分はオリジナルよりもソリストとしては盛り上がるバッキングです。ソロにこの部分のバッキングパターンを持ってくると言うのは、なかなか気がつきそうで気がつかないアレンジだと想いました。その、バッキングの合い間を縫うように、シンセがスペーシーに駆け巡ります。

そして野呂一生さんのソロです。
こちらもハードにキメています。それでもシンプルなラインで作品全体の流れを損なうことが無いように、良く考えたソロと言う感じがします。


07:ラ・コスタ・イントロ
シンセのイントロダクション。プログラムはマイケル・ボディガーさん。幻想的な雰囲気で次の曲へ繋ぎます。でも少し短めでしょうか。もう少し長くても良いと想うのですが。


08:ラ・コスタ
ラテンのリズムで進むボブ・ジェームスさんの曲。しばらくイントロからテーマを聴いてもなかなか想い出せませんでした。と言うか正直に全く解らなかったと言うのが真相です。
この作品は何回も聴いたはずなんですが・・・。だぶん当時はあまりカシオペアらしさを感じない大人しい曲調の為に飛ばしていたのだと想います。

テーマの野呂一生さんのクリアトーンでのオクターブ奏法に、ヴォイスやシンセストリングスが絡んで進みます。
サビの部分に入ると、ピアノがいきなりフューチャーされるのですが、あくまでもサビのメロディのイントロダクション。すぐにギターがサビを引き継ぎます。
そして、この曲の一番キャッチーな部分であるCD Time=1:02からの部分。ここは、シンセとギターのユニゾンでメロディを奏で、すぐ今度はギターとベースの印象的なユニゾンへ。
すかさずBmaj7での一発和音。この和音の部分はパット・メセニー・グループ想い出のサン・ロレンツォを想い出します。
そして、さらに複雑に拍子を変えたり、その間をユニゾンが変化しながら繋いだりして進みます。
流石のボブ・ジェームスさん、と言う感じの見事な楽曲だと想います。

その流れを受けての野呂一生さんのソロ。
クリアトーンでジャージーに奏でていきます。前半はたくさんの音を使用しないで流れを創ります。CD Time=1:34からはコード展開しますが、ここのスケールチェンジ後のフレーズが流れるようで見事です。CD Time=1:44のダウンフレーズは粒揃いで、リー・リトナーさんを想わせるラインです。もっと聴きたい!と言うところで向谷実さんのピアノソロへチェンジします。

ここでは、高い音を使用して、リリカルに奏でています。ちょっとライル・メイズさんぽさもあったり・・・。CD Time=2:03からの和音でのラインが非常に優しい音質で綺麗な流れを創っています。こちらも、もう少し・・・と言うところでテーマへ戻っていきます。

この2人のソロは、かなり良いですね。両人ともにこの作品でのソロのベストプレイだと想います。
また、淡々と刻むリズム隊のグルーヴも良いし、曲も良いですね。多分今の私にとっては、感じる、ハマる曲なんだろうと想います。隠れた名曲、ここにあったのか!と言う感じで個人的にはベストトラックだと想います。


09:マジック・レイ
イントロ部分にシンセブラスでリズムリック的なイントロダクションがあります。多分この曲のテンポが静かな流れを持っているので、前の曲と連続することでの退屈さを取り除く為の演出だと想いますが、個人的には無くても良いと想いますけど・・・。

テーマはお馴染みのフレットレスギターが奏でます。
所々にスペーシーなシンセが入っていて幻想的で浮遊感のあるムードで進みます。このシンセアレンジはボブ・ジェームスさん。それでも全体的なイメージとしてはシンプルですね。


10:スペース・ロード
パーカッションのリズムからスタートするアレンジで、全体的にラテン調にアレンジがされています。コピーバンド時代に一番取っ付きやすく、聴いている人に盛り上がってもらえるだろう、と言うことで切り替えたアレンジです。これもオリジナルの方が数段難しいのですがこのバージョンも、テンポを維持するのがけっこう難しかったです。つい全体に走ってしまいそうな軽快感がありますので。

ファーストソロの野呂一生さんはヴォリューム奏法からスタートして、あくまでも大きなノリで奏でていきます。
続く向谷実さんのソロは、相反してシンセで細かいフレーズ展開をします。このシンセソロのバックの神保彰さんのスネアワークが見事です。

再びイントロからテーマへ戻っていきます。
オリジナルではこの部分で野呂一生さんが入魂のソロを展開するのですが、ソロが入ってくるのが本当にフェードアウトの間際。これもちょっとフェードアウトが早いのでは?と想います。ちょっと良いところだったのに・・・と言う感じ。
ここにもシンプルのなアレンジと言うテーマがありますね。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★


ここまでのレビューを自分で読み返してみて、多く出てくる言葉が『流れ』と『シンプル』。
これは私が言うまでも無く、周知のアレンジコンセプトですね。ですから、当時も良く言われていましたが、非常に好き嫌い、言い換えれば賛否の分かれるところ。

でも、当時聴いたイメージだともっとシンプルになっていたような気がしていたのですが、今回聴いてみて、以外にたくさんの音のマテリアルが入っていることに気がつきました。

このマテリアルの数だけ聴いていくと、もしかしたら今までの作品の中でも多く入っている方ではないかと想います。特に、前作のメイク・アップ・シティ(*)と比べると遥かに多いと想います。にも関わらず、シンプルに聴こえるのは、まさにアレンジと録音のテクニックだと想います。

そこにあるのは引き算の理論。
これは、よく録音のテクニックで言われることなんですが、私ももちろん素人で、聞きかじり、読みかじりの知識ではあるのですが。
つまり、ある音を際立たせた時には、その音をブースト、つまり大きくしていくと全体のバランスがめちゃくちゃになって行くので、その他の音を落とすと言うことです。

この引き算の論理を使用してアレンジ、ミックスダウンされているので、かなりシンプルで聴きやすくなっているのがこの作品と言えると想います。

しかし、このシンプルさは単に録音やアレンジだけではなくて、演奏そのもの、言うならばソロラインやドラムワーク、ベースラインそのものにも表れていて、余分なものを取り除いたシンプルな仕上になっていると想います。
悪く言えばBGM的な演奏で、スピードやスリルと言ったテンションをほとんど感じることが出来ないのですが、良く言えば非常に余裕と貫禄を感じます。
この部分も、好き嫌いが大きく分かれる要因でしたね。

これは全てアメリカ進出と言う目的の為のシンプルさで、実際にジャズチャートでスマッシュヒットした作品となりました。

でも、それが必ずしもカシオペアの意思とは言えないと言う感じもします。
この作品のライナーノーツは野呂一生さんが、書いているのですが、少しはずした調子で、客観的な感じがする、その文面を読むと、意思とは別に『こうなりました』と言うような雰囲気を感じるのですが・・・。

ですから、曲の良さと言うのはもちろんカシオペアですので、それなりのクオリティがありますが、演奏と言う面からみるとかなり物足りないのが、正直な感想です。

このシンプルさと言う部分が以後のカシオペアにどのように影響してくるのか?と言うところでしょうか。
次の作品はクロス・ポイント(*)、そして名盤ミント・ジャムス(*)へと続いていきます。

(CD TOTALTIME:39:58 / Walking消費カロリー:160.66 kcal)

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カシオペア

曲名リスト
1. 朝焼け
2. ア・プレイス・イン・ザ・サン
3. テイク・ミー
4. ラカイ
5. アイズ・オブ・マインド
6. ブラック・ジョーク
7. ラ・コスタ(イントロ)
8. ラ・コスタ
9. マジック・レイ
10. スペース・ロード

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(*)本文に登場したCD・DVD

CASIOPEACASIOPEA
カシオペア
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SUPER FLIGHTSUPER FLIGHT
カシオペア
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THUNDER LIVETHUNDER LIVE
カシオペア
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MAKE UP CITYMAKE UP CITY
カシオペア
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CROSS POINTCROSS POINT
カシオペア
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MINT JAMSMINT JAMS
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あとがき
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2008年01月18日

リジョイシング/パット・メセニー 
REJOICING/PAT METHENY

リジョイシング


昨日は、一昨日降った雪の為全体に雪景色と言う感じでした。それでも例年に比べて少なく、まだ、雪かきと言うハードな作業を今年はしていません。と言うことで昨日はパット・メセニーさんのリジョイシングでwalkingをしました・・・。


多分、今年前半のハイライト的作品は、パット・メセニー・トリオの新作デイ・トリップ(*)。
トリオでのパフォーマンスは現在のパット・メセニーさんの活動の中で、大きな流れになっているのはご承知と想います。
と言うことで、今までトリオ2作品をレビューしましたが、新作を聴く前に、その他のトリオ作品も紐解いて見たいと想ったわけです・・・。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★

01:LONELY WOMAN
パット・メセニーさんのスチール弦・アコースティック・ギターがA♯=「ラ♯」の音を奏でるのを合図に厳かにスタートするバラード。ドラムのビリー・ヒギンズさんのブラシワークとベースのチャーリー・ヘイデンさんのややアクセントの強い白玉ロングトーンでのバッキングが創り出している渋い世界が耳元で広がります。その大御所に身を委ねるように、パット・メセニーさんがテーマを奏でていきます。

テーマを良く聴いていくと、ギターの音が2本に聴こえる部分があります。実際にオーバーダビングをしているのか解りませんが、もし1本のギターだとすると、テーマのメロディ間に浮かぶバッキングのコードワークにメリハリがあって本当に見事。
テーマはしっかりと輪郭を持った音で奏でていて、バッキングの和音は聴こえるかどうかと言うくらいの囁きにも似たニュアンス。簡単に聴こえるようで、実は物凄く難しいテクニックです。
ソロに入ると、そのメリハリが更に絶妙で、特に、CD Time=1:40では、メロディをややクレッシェンドで1音鳴らし、すかさずハーモニクスでのアルペジオを静かに奏で、もう一度同じくメロディを鳴らし、今度はハーモニクスでのアルペジオとのわずかな隙間にコードを一度、それこそ聴こえるかどうかくらいに極弱く奏でます。

CD Time=2:15からは、オクターブ奏法を奏でます。特に高い音の方のアクセントを強めに奏でていてオクターブ下の音はあくまでもさり気無く響かせている感じは、ウェス・モンゴメリーさんのオクターブ奏法とはまた違った味わいがあります。CD Time=2:33から、オクターブを段々ハーモニーに変えて行き終止します。
ソロの後半はバックのビートも少し跳ねてきて、それにノッてコード奏法を中心にメロディアスに奏でていきます。

1曲目からこの渋さってなかなか作品の流れとして勇気がいるように想うのですが・・・。曲調としては3曲目くらいの感じでしょうか?それでも、グーッと引き込まれていってしまうのは、演奏の素晴らしさですね。


02:TEARS INSIDE
1曲目の渋さから一転して、軽快なブルースです。オーネット・コールマンさんの創ったちょっと複雑な感じもあるテーマをパット・メセニーさんが奏でます。ビリー・ヒギンズさんのスネアワークが良く歌っています。さらにチャーリー・ヘイデンさんもやや地味なラインながらも、テーマに反応して引っ掛けるようなフレーズを挟みながら、全体のアクセントを生み出しています。

チャーリー・ヘイデンさんのランニング・ラインとビリー・ヒギンズさんのスネアのロールがスイッチになって軽快な4ビートに突入し、パット・メセニーさんのソロがスタートします。

安定したリズムにノッて、余裕のあるフレーズを奏でていきます。
CD Time=2:09からは、今までの余裕のあるフレーズから、駆け足の速いパッセージへと攻めていきます。それに対抗するように、ビリー・ヒギンズさんのスネアが細かいロール的なフレーズで応戦します。その2人の戦いをあおるように、チャーリー・ヘイデンさんが2音つづ繰り返す形を基本に4ビートを刻みます。
その加速装置が上手く行った為か、次のコーラス頭で歓喜の声の様な軽い叫びが聴こえます。この部分、かなり肝!です。


03:HUMPTY DUMPTY
テーマが少し浮遊した様なラインと解り難いコード進行。これもオーネット・コールマンさんの曲です。

パット・メセニーさんのソロに入っても、その解り難い感じからなかなか抜け出すことができません。追い討ちをかけるように、パット・メセニーさんのアウトフレーズが爆発していて音があちらこちらに飛び交います。まさに宙に音がたくさん浮いている感じです。

その感じを引きずったままチャーリー・ヘイデンさんのソロへ繋いでいきます。
決して速いパッセージで攻め立てる感じでもなく、かと言って陳腐なラインを奏でているかと言えばそうではなくて、まさに深い味わい、つまり『コク』のあるソロだと想います。

段々と消えていくようにフレーズを奏で、チャーリー・ヘイデンさんがビリー・ヒギンズさんにソロをバトンタッチします。このソロでも抜群のスネアワークを聴かせてくれます。

テーマに戻っても浮遊感は消えず、気がつくとエンディング。ここではチャーリー・ヘイデンさんがベース音をフェイクして不思議なコード感を醸し出して終わっていきます。


04:BLUES FOR PAT
他の作品でも演奏しているパット・メセニーさんのブルース。作曲はチャーリー・ヘイデンさん。ややスローなブルースが心地良いですね。

ファーストソロはチャーリー・ヘイデンさん。
ここでも抜群の『コク』で、ゆったりとフレーズを決めていきます。時にコード感を全く感じさせないようなフレーズを奏で、ここ!と言う部分でコード感がバリバリの音を選択しています。

続いてパット・メセニーさんのソロです。
テンポを少しルーズに取って、ずれた感じをフレーズに表しています。でも、このルーズな感じが実にいい感じですね。どちらかと言うと、いつものフレーズを連続させていくと言う感じより、細かい流れのフレーズをたくさん繋いでいると言う構成のソロになっています。

2曲目とは違ったブルースの演奏で、3人のブルースプレイにおける違うアプローチを楽しむことが出来るテイクです。


05:REJOICIN
スタートからいきなりのパット・メセニーさんのソロと言う展開で、得意フレーズがそのフレーズになっています。
このフレーズは音数は2~3音と少なく、どちらかと言うとリズムリック的なもの。パット・メセニー・グループでの演奏では、ほとんど聴くことが出来ませんが、ストレートなジャズを演奏する時には頻出するお馴染みのフレーズです。
一聴簡単そうですが、このアーティキュレーションは絶妙で、オンリーワンの世界があります。アマチュアがこれを真似て奏でると、抜けたような感じになってしまってハマらないことが多いのですが、それでも、パット・メセニーさんの音楽を良く知っている人から演奏後に「さっきのソロ、パット入ってたね」って言われます。

前半はビリー・ヒギンズさんのとのデュオでパット・メセニーさんがアップテンポにノったソロを奏でると言う形で展開していきます。
ドラムとのデュオと言うのも好きなスタイルのようで、いろいろな場面で聴くことがあります。和音楽器の呪縛から離れて、フリーに出来る分、ソロラインにコード感を持たせないと、曲の輪郭が解らなくなってしまうと言う、超難しいフォーマットだと想います。頼りになる和音楽器がいませんので、集中を欠くと、どの部分を演奏しているのかも解らなくなってしまうことも良くあります。もちろん、ここはパット・メセニーさんですので、そつなく弾き抜けています。

チャーリー・ヘイデンさんが入ってアップテンポの4ビートの展開になりますが、ここでも、4打ちのラインではなくて、2音づつのラインで4ビートの乗りを創っています。ですから単純なアップテンポの4ビートではなくて、ちょっと変化球的なビート感がけっこう良かったりしますね。

ビリー・ヒギンズさんのソロを挟んで、テーマへ。そのままエンディングに突入していきます。


06:STORY FROM A STRANGER
最初のスチール弦のアコースティック・ギターの和音が、かなり雰囲気の違う展開でちょっと驚きます。これはパット・メセニーさんの曲。コード進行が基本的にはマイナーなんですが、所々でいつものパット・メセニーさんらしい美しさを備えたコード進行に移りそうで、サッと交わされてしまうと言う、不思議な香りを持っています。

それは音にも表れていて、ここではオーバーダビングで2本のギターを重ねていると想われます。さらに、2コーラスめからはもう1本加わり、しかもそのチューニングと音質が微妙に違う感じで、それが、さらに不思議な香りを助長しています。

ソロはギターシンセでのプレイです。
静かな展開の中、情緒的に奏でていきます。ギターシンセの持っている情熱的で熱い雰囲気を出すと言うよりは、その音質から感じる幻想的な雰囲気を出したと言う感じ。

その意味では良く出来ている楽曲だと想うのですが、それが、この作品の6曲目に出てくると言うのはどうでしょうか・・・。今までのジャズ的な流れからすると、結構、違和感が私はありましたが・・・。

でも考えてみれば、この作品がリリースされたのは当時のレコード。レコードの場合はこの曲からB面になるのだと想います。ならば、この展開もありですね。
レコードの場合は、本当に物理的に流れが切れてしまうので、ワンクッションで次の展開と言うのは、逆に良い流れを生むことがあるかもしれません。
そう考えると、レコードのA面B面と言う切り替えを意識して製作された作品のCD化は、その意図が反映されないと言う弊害があるかもしれませんね。


07:THE CALLING
ギターシンセの調子の外れたような音程でのテーマは、名作ファースト・サークル(*)のオープニングを想い出させてくれます。

テーマのあとは、なにやらフリーな展開。譜面をみると『SOLOS ARE OPEN』と指示されています。ですからフリー・ジャズへ突入と言う展開。

この曲が始まると、前の曲で受けた違和感が逆にいい流れ、必然的な流れだったことに気が付きます。これはもうオーネット・コールマンさんの世界。考えてみれば、バックの2人はそのままオーネット・コールマンさんとの演奏が著名。

であれば、前半にオーネット・コールマンさんのナンバーを奏でていて、ここに来てフリーと言う展開は、まさにこれがやりたかったことなのかと。

実は、そんなに語れるほどオーネット・コールマンさんを含むフリージャズには馴染みが無いんです。パット・メセニーさんはたまにこのようなフリージャズの作品を創ったり演奏したりしますが、これはもう好みですね。何とも言えないのですが、個人的には体調が良いとき?には結構聴いていて、のめり込みますが、拒否反応を示し始めたら、想わず次のトラックへ飛ばしてしまいます。

今回はと言うと、それなりに楽しめました。
特にギターシンセからCD Time=4:58でノーマルトーンに変わって、トレモロアームを使用して、カッティングと言うか掻きむしり奏法と言うか・・・この部分は面白かったのですが、もっとめちゃくちゃでも良かったと想います。それこそギターを壊すくらい・・・壊してはいけませんが・・・。

大御所の2人のフリー度合いも、大人の暴れ方と言う感じの冷静さと品位を感じるプレイで結構いいかなと想いました。

でもフリージャズは私にとっては限りなく未知に近いサウンド。ちょっと聴きこんでみたくなる衝動に駆られる演奏ではありますね。


08:WAITING FOR AN ANSWER
シンセストリングスが入っているかのような錯覚をしてしまう幻想的なスタートの曲です。ギターのヴォリューム奏法とベースの弓でのフレーズに強めにリヴァ―ヴをかけることでこれを演出しているようです。

テーマは一応短いものがありますが、ほとんどがSE的な演出で終止します。
幻想的な雰囲気の中、短くこの曲が終わると同時に作品も幕を閉じます・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★


この作品を初めて聴いたときに想ったのが、前半の流れと6~8曲目の違和感。
特に後半のフリーな展開はあまり好みでは無く、その為にそんなに聴くことは無く現在に至ったわけです。

そして今回改めて聴いてみて、純粋にひとつの作品として聴いていくと、確かに曲の好き嫌いや流れの良し悪しを感じるところもあると想いますが、これが、オーネット・コールマンさんと言う巨匠を核に考えたリスペクト作品と言うことを踏まえると、この流れはありで、逆に納得の出来る、強いトータルコンセプトを持った作品と言えますね。
ですから、パット・メセニーさんのほかのトリオ作品の流れとは明らかに違うコンセプトの作品で同一に語ることが出来ない感じです。

この後パット・メセニーさんはオーネット・コールマンさんとの作品ソングX(*)をリリースしますが、その作品のライナーによると、パット・メセニーさんは『オーネット・コールマンさんのハーモロディック理論は最後の音楽理論』と言っています。

正直、ハーモロディック理論自体良く解りませんし、知っていて損はないと想いますが、まあ、知らなくても問題はないと想っています。
要は『感じるか』『感じないか』であって、それに理論はあまり関係ないですよね。

その意味でこの作品は、パット・メセニーさんの作品群の中ではポイントとなる存在の作品と言えると想いますが、純リスナーとしては、感じる部分はもちろんあるのですが、パット・メセニーさんの数ある作品の中では、私にはインパクトの薄い作品と言えます。

でも、そのハーモロディック理論を含めて、少し触れてみたい禁断の果実的な魅力を感じたのも事実です。

(CD TOTALTIME:43:54 / Walking消費カロリー:176.48kcal)

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リジョイシングリジョイシング
パット・メセニー チャーリー・ヘイデン ビリー・ヒギンス

曲名リスト
1. ロンリー・ウーマン
2. ティアーズ・インサイド
3. ハンプティ・ダンプティ
4. ブルース・フォー・パット
5. リジョイシング
6. ストーリー・フロム・ア・ストレンジャー
7. ザ・コーリング
8. ウェイティング・フォー・アン・アンサー

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(*)本文に登場したCD・DVD

デイ・トリップデイ・トリップ
パット・メセニー
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First CircleFirst Circle
Pat Metheny Group
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ソングX:20thアニバーサリーソングX:20thアニバーサリー
パット・メセニー&オーネット・コールマン チャーリー・ヘイデン ジャック・ディジョネット
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あとがき
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2008年01月16日

リット2/リー・リトナー 
RIT/2/LEE RITENOUR

冬らしい寒い日には、walkingのテンポを上げて少し汗をかく様にしています。と言うことで昨日はリー・リトナーさんのRIT/2walkingです・・・。


この作品の前作RIT(*)は、私が言うまでもなくフュージョンとAORの融合と言うコンセプトの元でヒット、そしてフュージョン界でも大きな意味を持つ作品になったと想います。その続編がこのRIT/2。果たして2匹目の『どじょう』はいるのでしょうか・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

01:クロス・マイ・ハート
インパクトのあるシンセベースのフレーズと4拍目のハンドクラップのサンプリングでスタート。この雰囲気はどう聴いてもアース・ウィンド&ファイヤーの名曲レッツ・グルーヴ。テンポもほぼ同じ・・・。
ところが、バックがインして来ると、これが不思議にリー・リトナー・サウンドに変身します。リー・リトナーさんのクリア・トーンのバッキングリフがそのサウンドを押し出していきます。
更に、テーマが入るとすっかりファンキーさは抜けて、一気にお洒落な感じになります。今度はエリック・タッグさんの特徴ある歌声が引っぱります。ファルセットのコーラスが入るCD Time=2:08からの中サビでは、さらにお洒落で綺麗な展開になります。そして、その流れでリー・リトナーさんのソロです。

テーマを少しフェイクした短いソロですが、音をかなり歪ませていて効果的にピッキング・ハーモニクス奏法などを使用して煌びやかさを出しています。

最初のファンキーな感じはエンディングではすでに無くて、ただただお洒落なサウンドと言う感じでフェードアウトしていきます。


02:プロミセス、プロミセス
1曲目と同じでシンセベースでパターンを創っている曲です。ややアップテンポで、重さの中にも軽快さのある曲です。

テーマはエリック・タッグさん。テーマのバックはいたってシンプルでシンセ・ベースとドラム。そして左チャンネルでリー・リトナーさんの低音を使用したミュートカッティング。そして右側でアルペジオを使用したカッティング。

サビに入ると、シンセが入ったり、コーラスが左右に入るのでいきなりサウンドが広がる感じがします。

リー・リトナーさんのソロは、1曲目より歪みを押さえていて、さらにデッドに録音されています。ゆったりとしたチョーキングを使用したフレーズで、曲中のアクセントになっていますね。

さらにアクセントになっているのが、CD Time=2:17からのテナーサックスソロ。これはトム・スコットさん。吹きすぎず、でも抜群の存在感は更に曲にバリエーションをもたらし