Walking de Music

2008年01月31日 17:22にアップしたエントリーです。

ひとつ前のエントリーはトリオ99→00【PART1】/パット・メセニー  TRIO 99→00/PAT METHENYです。

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トリオ99→00【PART2】/パット・メセニー 
 TRIO 99→00/PAT METHENY

トリオ99>00

前回のブログの続きで、パット・メセニーさんのトリオ99→00のTrack07から総評です。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

07:ウィ・ハド・ア・シスター
これ以上無い!と言うような美しい音色のスチール弦のアコギでのパット・メセニーさんのソロ・パフォーマンスからスタートするバラード。
CD Time=0:43からの一秒ごとのハーモニクス。そして1弦から低い弦に向かって鳴らすストロークにアルペジオを絡めたフレーズからテーマへ。
最初はギター1本のテーマですが、CD Time=1:35からの聴こえるか聴こえないかくらい微細なシンバルロールからドラムとベースがインすると、更にリリカルさを増していきます。

パット・メセニーさんのソロはテーマのコード進行をそのままワンコーラス奏でていきます。まるで事前に創られていたかのようなソロラインで、この上なく美しい展開ですね。
特に、CD Time=3:17からのラインは、コードを頭で入れながら、本当に綺麗なメロディを奏でていきます。
しかし、終りの8小節、CD Time=3:45からは今までとは逆に、メロディを殺して、コードヴォイシングとリズムで語っていきます。
このメリハリが静かな曲の中に映像的なアクセントを生み出してますね。


08:ホワット・ドゥ・ユー・ウォント?
パット・メセニーさんの曲としては珍しく、純粋なスタンダード曲のようなコード進行をもった楽曲です。
特にソロのコード進行はジャズの演奏ではセオリーであるⅡ-Ⅴ進行が連続して表れています。
キーはBですが、それをⅡ-ⅤのCm7→F7で繋ぎます。そしてサビのパターンでは3つのⅡ-Ⅴ進行が連続して元のキーコードBに戻っていくと言う進行。
当然3つのⅡ-Ⅴ進行では3つのスケールを連続させて弾くわけで、それだけでもインプロヴィゼーションとしてはけっこう難曲と言えますね。当然ですが、見事に弾き抜けています。
パット・メセニーさんのオーソドックスなコード進行に対するアプローチを学ぶ格好な素材なんですが・・・いかんせんテンポが速すぎてギターコピーもままならないと言う感じです・・・。

ギター的にはオーソドックスな形なので、聴いた感じも少しレトリックなジャズ的な雰囲気が出ていて、ここではスウィングと言う言葉がピッタリ当てはまる演奏と言えます。


09:ア・ロット・オヴ・リヴィン・トゥ・ドゥ
楽しげなメロディを持っている曲です。これはオリジナルではなくミュージカルバイ・バイ・バーディーの中の曲。(・・・だと想います。)いわゆるスタンダードと言うことになるのでしょうけど、前の曲と同じ流れと雰囲気がありますね。

ですからパット・メセニーさんのプレイもオーソドックスなジャズラインを展開します。
それでも後半になるとやはりメセニー節が連発して、オンリーワンの世界になってしまうところが見事ですね。この曲も聴きやすくスッキリとまとまった演奏になっています。


10:ローン・ジャック
オリジナルはパット・メセニー・グループ想い出のサン・ロレンツォ(*)。
自身のグループのしかもファーストアルバムの楽曲をここで演奏すると言うのがまず凄いことだと・・・。よほど気に入っているのでしょうか。
もともとセッション向きの楽曲ではありますが、見事にギタートリオ作品として仕上がっているのがまた凄いところです。迫り来るようなサンバ調のリズムがグイグイと私たちをけん引してくれます。

お馴染みのキメ・フレーズからパット・メセニーさんのソロです。
テーマのコード進行の流れで2コーラス奏でています。

ワンコラースめのスタートはパーカッシブなラインでリズムにノッていきます。CD Time=1:10からクロマティックを使った速いパッセージを連続してCD Time=1:16の得意技フレーズに解決します。
サビの進行では、メロディ重視のラインでギターが見事に歌っています。CD Time=1:37の高い音の『ひと弾き』が効いていますね。

2コーラスめは得意フレーズの変形パターンからスタートします。
そしてクロマティックラインをはさみながら、和音でのフレーズを少し入れてきます。そのまま和音でのコード奏法へいくと想いきや、CD Time=2:00のトリッキーなラインでかわします。
サビのパターンでは、待っていましたと言う感じのコード奏法で華麗に弾き抜けてキメのパターンへ繋ぎます。

続けてベースのラリー・グレナディアさんのソロ。
前半はメロディラインと言うことを意識しながらも、リズム楽器と言うことを全面に出していく感じの展開をしています。
そして段々とリズムが中心になっていき、サビの部分でリズム的ソロラインで強烈な盛り上がりをもたらします。この部分肝!です。CD Time=3:03からのラインがひとつの伏線になっていてそれが、CD Time=3:08からのラインを効果的に聴かせていると想います。見事な構成です。
パット・メセニーさんのほとんど生音のカッティングも実にいい感じで入ってきていますね。

続くキメのパターンでドラムのビル・スチュアートさんのソロです。
リズムをキープしながらの細かいスネア、タム回しで全体のグルーヴを途切れさせることがなく、テーマへ繋いでいきます。


11:トラヴェルズ
この曲もパット・メセニー・グループの初期の代表作品トラヴェルズ(*)に収録されている名曲です。
オリジナルはエレクトリックでのプレイでしたが、ここではスチール弦のアコギです。また、いくぶんテンポを抑えて奏でます。

もともとカントリーテイストの曲で映像的な曲です。
オリジナルの方は目の前に広大なアメリカの大地が浮かんで来るようなスケール感を感じるのですが、このトリオでの演奏は、そのスケール感がもっと家庭的で、言うならば、暖炉の炎や埃っぽいテーブルの上の食べ残しのパン・・・そんなイメージが個人的には想い浮かぶのです・・・。

これは演奏の形態と言うこともありますが、一番はアコギの音色ですね。
さらにはバックのリズム隊が、実にシンプルにリズムを刻んでいることでしょうか。

パット・メセニーさんのプレイも、同じようにシンプルで、朗々と歌っていきます。

しかしギター的に良く聴いていくと、これは実に難しい演奏ですね。個人的にはエレクトリックの速いパッセージよりも難しいかも知れないと想います。
テーマでは、テーマのメロディを和音で奏でて、次のメロディとの隙間に和音やアルペジオ、ハーモニクスなど多彩なバッキングを絡めています。これが絶妙で、まるで2人ギタリストがいるような錯覚にも陥ります。下手なギタリストが2人で奏でるより遥かに凄いと想います。

当然これがソロに入ると更に驚異的で、インプロヴィゼーションであるにも関わらず美しいメロディ。しかも、その間を埋める絶妙なバッキング・・・。

そうは言っても、やはりこのトラックはそのような技術的なことは抜きにして、ただただ浸りたい・・・そんな演奏になっています。

聴き終わったときに・・・本当にため息が出た演奏で個人的にはこの作品のベストトラックで、大肝!です!

この曲が作品のエンディングと言うのも実にいいですね・・・。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★

初めて聴いたときのインパクトはかなりのものがあったのですが、今回久しぶりに通して聴いてみてそのとき以上のインパクトがありました。

ギタートリオと言うのは非常に難しいフォーマットだと想います。
演奏自体ももちろんですが、メンバーの選択のウェイトが大きいと想うからです。もちろんその他のスタイルでも同じことなんですが、シンプルな構成だけによりそこが大切と言えると想うのです。

今までのパット・メセニーさんのギタートリオ作品では、いろいろなミュージシャンが参加していて、それぞれの作品で、それぞれの良い味を出してるのですが、多分、これほど強烈にパット・メセニーさん個人が全面に出た作品はないのではないかと想うのです。

今までのトリオ作品は考えて見れば、ほとんどが大物と言われているミュージシャンとの共演。
それでも互角に渡り合ってきて強烈な個性を出しているのですが、この作品を聴いた後では、やっぱり多少なりとも食われている部分があったのかな、と想うのです。

この作品は当時フレッシュな2人を選びました。年齢的なこともありますが、リーダー的にトリオで演奏した最初の作品。

ですから弾きまくった!と言えるし、その為にジャズ・ギタリスト・パット・メセニーが全面に出たと言うことになったのだと想います。
最後の2曲に自分の個性が良く出ている古いオリジナル曲を持ってきたのも、それに輪をかけていますね。

ちょっと弾き過ぎで、フレーズも同じようなフレーズが多く登場したりしている部分も確かにありますが、パット・メセニーさんのギタースタイルを聴くのには絶好の作品で、パット・メセニー・グループだけでは感じ取ることが出来ない『プラスαのギター魂』を十分に感じ取ることができる名盤です。

(CD TOTALTIME:65:22 / Walking消費カロリー:262.77 kcal)

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トリオ99>00トリオ99>00
パット・メセニー ラリー・グレナディア ビル・スチュワート

曲名リスト
1. (ゴー)ゲット・イット
2. ジャイアント・ステップス
3. ジャスト・ライク・ザ・デイ
4. ソウル・カウボーイ
5. サン・イン・モントリオール
6. カプリコーン
7. ウィ・ハド・ア・シスター
8. ホワット・ドゥ・ユー・ウォント?
9. ア・ロット・オブ・リヴィン・トゥ・ドゥ
10. ローン・ジャック
11. トラヴェルズ

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(*)本文に登場したCD・DVD

Pat Metheny GroupPat Metheny Group
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トラヴェルズトラヴェルズ
パット・メセニー・グループ パット・メセニー ライル・メイズ

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コメント (6)

やっぱり10と11ですよね~。特に大肝=【トラヴェルス】のアコギが最高です。

さて,「ジャズ・ギタリスト・パット・メセニーが全面に出た」には同感です。
これほど弾きまくったメセニーは初めてですが,すぐに続く『TRIO→LIVE』に持って行かれました。

ayukiさんの,次期『TRIO→LIVE』批評にめちゃ期待して良いですか?

セラピーさん
コメントありがとうございます。
仰る通りに、この作品の影を薄めてしまったのが、次のTRIO→LIVEだと私も想います。これは強力な作品なので、4回分くらいのレビューになりそうです・・・。

ayukiさんなら『TRIO→LIVE』は4回分のボリュームになると思いました。是非是非,熱く語ってくださいね。

それから『デイ・トリップ』聴きましたか? 私は今日買ってきて今2回目を聴いています。これはいいです。親しみやすいです。でも超絶です。皆さんにパット・メセニーの傑作トリオを知って欲しいので,売れて欲しいなぁ。ayukiさんはどうですか?

それからそれからチック・コリアと上原ひろみの『デュエット』も大傑作で昨晩までガンガン聴いていました。
2008年は年頭からこんな名盤が立て続けにリリースされてうれしいです。俄然購入欲がでてきました!

セラピーさん
コメントありがとうございます。
実はまだ『デイ・トリップ』は未聴です。LIVEをレビューしてからと想っていますので・・・。察するにかなりの強力盤のようですね。
それから、上原ひろみさんとチック・コリアさんのデュオも聴きたいリストに入っています。まだ未聴ですが。
上原ひろみさんがピアノに重点を置いた作品は多分聴き応えがあるだろうと想います。

私もライブ盤の方についつい気をとられてそちらばかり聞いているのですが、スタジオ盤もまた熟聴してみます。熱いレビューお疲れさまです。ちなみにデイトリップ、個人的にはすごく良かったですよ。

猫ケーキさん
コメントありがとうございます。とりあえずLIVEのDISK1をレビューしてみたのですが、スタジオとはかなりちがうコンセプトですね。デイ・トリップ楽しみです。

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