Walking de Music

2008年01月29日 17:09にアップしたエントリーです。

ひとつ前のエントリーはアランフェス協奏曲/渡辺香津美、大村憲司、リー・リトナー他です。

次のエントリーはトリオ99→00【PART2】/パット・メセニー  TRIO 99→00/PAT METHENYです。



トリオ99→00【PART1】/パット・メセニー 
 TRIO 99→00/PAT METHENY

トリオ99>00


今日はまた雪が舞っていて寒い一日です。と言うことで先日はパット・メセニーさんのトリオ99→00でwalkingをしました・・・。


この作品は2000年のリリースです。ギタートリオ作品としては、意外に少ない4枚目の作品と言うことになります。初めて聴いた時のインパクトは今でも良く覚えています。久しぶりに聴きますが、どうでしょうか・・・。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★

01:(ゴー)ゲット・イット
今回の作品でパット・メセニーさんが選んだのが、ドラムのビル・スチュアートさんとベースのラリー・グレナティアさん。
そのビル・スチュアートさんの軽快なサイド・シンバル・ワークに細かいスネアとバスドラが絡んだリフからスタートします。
この曲は譜面を見ると、テンポ指示が300とかなりアップテンポで、コード進行がセブンスコードを中心とした軽快なパット・メセニー・ブルースナンバーです。

テーマ終りのキメから、曲は4ビートのブルース進行になってパット・メセニーさんのソロに突入します。
前半からオーバードライヴがかかりまくったようなソロ展開で、CD Time=0:48のクロマティックなラインに、引っ掛ける?ようなダウンフレーズを絡めて得意のアップしていくラインになだれ込んでいく・・・得意フーレズが早くも炸裂します。

CD Time=1:38は、テーマ終りのキメのパターンをモチーフにしたライン。
その後、細かいラインで繋いで、CD Time=1:44からオクターブ奏法のラインから再度キメパターンのモチーフを。テーマやキメのパターンをモチーフにすることは、インプロヴィゼーションでは良くあるのですが、見事に決まっています。

続く、CD Time=1:48からは、単純なフレーズをタイミングの妙技で聴かせてくれます。
クロマティックラインでこのコーラスを締めくくると、次の、CD Time=1:57からアウトフレーズを連発します。特にCD Time=2:00のフレーズなどは微妙な浮遊感が迫ってくるようです。

CD Time=2:26のラインは、低音を動かす度に、高いE=「ミ」を弾いてアクセントとしています。音数は少ないフレーズなんですが、少しポリリズム的になっていて、そのニュアンスが実にグルービーで見事です。

キメを挟んで、ベースのラリー・グレナディアさんのソロです。
メロディラインを奏でて聴かせると言うよりは、メロディとベースラインをミックスした様なラインで綴る構成になっています。リズミックな展開で、ビート感の溢れるソロですね。

ベースソロの後は、ワンコーラスづつドラムのビル・スチュアートさんとパット・メセニーさんの掛け合いです。それぞれのソロはもちろん良いですが、CD Time=4:51のギターとドラムの会話が聴き所です。

1曲目からかなり『ぶっ飛んで』いて、まさに肝!です。


02:ジャイアント・ステップス
言わずと知れたジョン・コルトレーンさんの名曲です。ここではミディアムテンポのボサノバ調にアレンジして演奏しています。
パット・メセニーさんの、テーマのフェイクの仕方が絶妙ですね。この『ずれた』感じで弾くのはけっこう難しいと想います。一歩、間違うとただの『ズレ』になってしまいますので・・・。

パット・メセニーさんのソロは、コード進行に的確にノッてメロディアスなラインを奏でいます。速いパッセージや得意技も連発していますが、最大の聴き所は、CD Time=3:42からのコード奏法。この難しいコード進行の難曲を、いとも簡単そうにバリエーション豊富なコードヴォイシングで奏で、しかも、トップノートのメロディラインはしっかり歌っている、と言う見事なコードワーク。これは凄いと想います・・・本当に。

続いて、ラリー・グレナティアさんのソロ。
このソロも、基本的にはメロディアスと言うよりは、1曲目と同じようにリズムを崩さないでフレーズを連続していくライン。ブレイクもポリリズムもなし。一聴平坦で退屈なようにも想いますが、じっくり聴くと良いメロディラインなんです。また、これだけ途切れず連続してフレーズ展開をするのはかなりテクニックが必要だと想います。実際にラリー・グレナディアさんが歌っている声が聴こえますので、このフレーズが単に指癖ではなく、頭で歌っているラインだと言うことが解ります。

ブリッジを挟んで再びテーマに戻りますが、ここでは先ほどの『ずらし』をより顕著にして奏でています。また、CD Time=6:18の遊びの様なフレーズも飛び出してきて、まさに酔っているのは酒ではなくて演奏。そんな感じのするプレイですね。

エンディングの部分で再びパット・メセニーさんのソロが炸裂して段々とデクレッシェンドしていって静かに終わっていきます・・・。

このトラックも実に強力な演奏になっていますね。


03:ジャスト・ライク・ザ・デイ
一転して重々しい感じのする中にも、綺麗なメロディが奏でられる曲。この曲はキーのコードがD=「レ」。通常のギターの一番低い音がE=「ミ」なのでそれより低いD=「レ」に6弦のチューニングをあわせて弾いていると想われます。これによって、より低音重視の重々しさがでる訳ですね。

それでもメロディが綺麗で、また少し中世の響きもある展開なので、不思議なムードに包まれる楽曲に仕上がっています。

ソロ、メロディともに和音を上手く使用していて、また、スチール弦のアコギの煌びやかで、金属的な響きの中にある温かさが良く解るプレイだと想います。


04:ソウル・カウボーイ
パット・メセニー・ブルースナンバーが再び登場です。
この曲は1曲目とは違って、かなりゆったりとしたブルース。当然フレーズも違う展開になるわけで、どちらかと言うと、よりフレーズを聴き取る為には、こちらの方が聴き易いですね。
また1曲目はキーのコードがA=「ラ」でいわゆるAのブルース。それに対してこの曲はCのブルースになっています。このキーコードの違いによるインプロビゼーションの違いも楽しむことができます。

ワンコーラスめはかなりオーソドクスに、しかもブルージーにスケール展開をしていて、これぞジャズブルースと言うようなプレイです。
2コーラスめになると、コード進行から外れたアウトフレーズが最初に飛び出します。CD Time=1:00などは、アウトフレーズにベースのラリー・グレナディアさんも見事に追従していて、一瞬コード進行が違う展開に流れていくように聴こえますね。
3コーラスめは、今度はドラムのビル・スチュアートさんが、ポリリズムで『しかけ』ます。かなり取り難いリズム展開なんですが、見事につられないパット・メセニーさんと、動じないラリー・グレナディアさんが淡々と奏でていきます。このかけ引きが逆に絶妙なグルーヴを生み出している感じですね。
4コーラスめからベースが4ビートを刻んでいきます。この終りの所から4音ワンパターンで上がっていったり、下がっていったりするパット・メセニーさんのお得意なフーレズの、さらに強力盤が始まります。これは5コーラスめの前半まで怒涛の展開を持って続きます。
6コーラスめの聴き所はCD Time=2:25からの浮遊感のあるアウトフレーズ。言葉になりません・・・。
7コーラスめは、比較的オーソドックなラインで決めます。しかしこれは、CD Time=2:59からの8コーラスめの、『音の反射フレーズ』との対比の為の伏線。
一瞬コンピューター音の様にも聴こえる音の飛び散りとその反射。この音の選択はもう理解を超えていきます。かなりスペーシーな雰囲気が漂います。
その流れを、先ほどの得意技フレーズと合体させた展開が続く9コーラスめ。
さらにそれは発展していって、一瞬『踏み切り?』と想ってしまうようなフレーズを中心とした10コーラスめに続いていきます。
11コーラスめの最初の部分、CD Time=3:59はトレモロを使用した少し遊び心を感じるラインで締めくくっています。

このブルースのソロはパット・メセニーさんとしてはけっこう珍しいと想う、ワンコーラス完結型のソロ展開になっています。
それぞれのコラースが前後で上手く絡んでいて、唐突になっていず、切れ切れになっていないところが見事なソロだと想います。


05:サン・イン・モントリオール
パット・メセニーさんのクリアなソロギターからスタートするワルツです。
複雑なコード進行なんですが、メロディがそれを感じさせないほどの綺麗さがあって見事に繋がっていて、しかもメロディアスに流れています。
また、それをコード奏法で見事に弾き抜けているテーマ部分が特に聴き所です。
ソロギターの部分では比較的平坦な感じで弾いているのですが、ここにドラムとベースが少し跳ねたワルツ・リズムで入ってきます。
ここで並のギタリストだったら、あわせて跳ねたリズムで弾いていくところなんですが、パット・メセニーさんはそのままの平坦な感じのリズムで弾き続けます。
これによって、必要以上に跳ねたビートになっていなくて、インプロヴィゼーションの部分での跳ねたリズムとフレーズが物凄く生きてきてグルーヴが加速してくると言う効果を生んでいます。

もちろんインプロヴィゼーションのラインもまとまっていて文句なしですね。さらに曲の構成や長さも丁度良い感じですので、大変聴き易く、ちょっと一息と言う感じの小作品に仕上がっています。


06:カプリコーン
淡々とした4ビートが続いて、しかもノンコード的な流れをもったウェイン・ショーターさんの曲。パット・メセニーさんのソロは、テーマのモチーフを所々に出しながら展開していきます。
かなりフリーな展開になっていますので、テーマのリズムやモチーフに絡めた頭の中のフレーズが湧き出していると言う感じのプレイです。CDと言う制約が無ければ一晩中でも続いていきそうな勢いがありますね。派手な部分やコード展開がないので、聴いている方にも結構根気が必要ではありますが・・・。

続いてソロを取るビル・スチュアートさんのプレイも必要以上に派手でなく、やはり淡々としていて、いいですね。
ラリー・グレナディアさんの4ビートも同じく淡々と辛抱強く奏でていると言う感じで、けっこうクセになりそうなビート感が漂っています。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

と言うことでまたしても長くなりましたので
続きは後日に・・・。


(CD TOTALTIME:65:22 / Walking消費カロリー:262.77 kcal)

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トリオ99>00トリオ99>00
パット・メセニー ラリー・グレナディア ビル・スチュワート

曲名リスト
1. (ゴー)ゲット・イット
2. ジャイアント・ステップス
3. ジャスト・ライク・ザ・デイ
4. ソウル・カウボーイ
5. サン・イン・モントリオール
6. カプリコーン
7. ウィ・ハド・ア・シスター
8. ホワット・ドゥ・ユー・ウォント?
9. ア・ロット・オブ・リヴィン・トゥ・ドゥ
10. ローン・ジャック
11. トラヴェルズ

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コメント (2)

私の『TRIO99→00』の印象は,メセニーの円熟性です。今まではもっぱら若手のリーダー格的位置付けにいたと思っていましたが,ラリーとビルを引っ張るメセニーが随分大人に思えたものです。

全曲思い出深いのですが,前半のハイライトは【ジャイアント・ステップス】ですかね。最初に感じた違和感が取れてきた頃に,随分とハマリました。
ayukiさんの言う『フェイク』での『ずれた』感じ! やっぱりギタリストの耳からしても難しいのですね。おかげで確信を強めることができました。

次回はミーハーなところで10と11のレヴューに注目しています!

セラピーさん
コメントありがとうございます。
【ジャイアント・ステップス】はじっくりと効いて来る感じですね。
先ほど続きをアップしました。またご感想をお聞かせください。

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