昨日は、一昨日降った雪の為全体に雪景色と言う感じでした。それでも例年に比べて少なく、まだ、雪かきと言うハードな作業を今年はしていません。と言うことで昨日はパット・メセニーさんのリジョイシングでwalkingをしました・・・。
多分、今年前半のハイライト的作品は、パット・メセニー・トリオの新作デイ・トリップ(*)。
トリオでのパフォーマンスは現在のパット・メセニーさんの活動の中で、大きな流れになっているのはご承知と想います。
と言うことで、今までトリオ2作品をレビューしましたが、新作を聴く前に、その他のトリオ作品も紐解いて見たいと想ったわけです・・・。
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01:LONELY WOMAN
パット・メセニーさんのスチール弦・アコースティック・ギターがA♯=「ラ♯」の音を奏でるのを合図に厳かにスタートするバラード。ドラムのビリー・ヒギンズさんのブラシワークとベースのチャーリー・ヘイデンさんのややアクセントの強い白玉ロングトーンでのバッキングが創り出している渋い世界が耳元で広がります。その大御所に身を委ねるように、パット・メセニーさんがテーマを奏でていきます。
テーマを良く聴いていくと、ギターの音が2本に聴こえる部分があります。実際にオーバーダビングをしているのか解りませんが、もし1本のギターだとすると、テーマのメロディ間に浮かぶバッキングのコードワークにメリハリがあって本当に見事。
テーマはしっかりと輪郭を持った音で奏でていて、バッキングの和音は聴こえるかどうかと言うくらいの囁きにも似たニュアンス。簡単に聴こえるようで、実は物凄く難しいテクニックです。
ソロに入ると、そのメリハリが更に絶妙で、特に、CD Time=1:40では、メロディをややクレッシェンドで1音鳴らし、すかさずハーモニクスでのアルペジオを静かに奏で、もう一度同じくメロディを鳴らし、今度はハーモニクスでのアルペジオとのわずかな隙間にコードを一度、それこそ聴こえるかどうかくらいに極弱く奏でます。
CD Time=2:15からは、オクターブ奏法を奏でます。特に高い音の方のアクセントを強めに奏でていてオクターブ下の音はあくまでもさり気無く響かせている感じは、ウェス・モンゴメリーさんのオクターブ奏法とはまた違った味わいがあります。CD Time=2:33から、オクターブを段々ハーモニーに変えて行き終止します。
ソロの後半はバックのビートも少し跳ねてきて、それにノッてコード奏法を中心にメロディアスに奏でていきます。
1曲目からこの渋さってなかなか作品の流れとして勇気がいるように想うのですが・・・。曲調としては3曲目くらいの感じでしょうか?それでも、グーッと引き込まれていってしまうのは、演奏の素晴らしさですね。
02:TEARS INSIDE
1曲目の渋さから一転して、軽快なブルースです。オーネット・コールマンさんの創ったちょっと複雑な感じもあるテーマをパット・メセニーさんが奏でます。ビリー・ヒギンズさんのスネアワークが良く歌っています。さらにチャーリー・ヘイデンさんもやや地味なラインながらも、テーマに反応して引っ掛けるようなフレーズを挟みながら、全体のアクセントを生み出しています。
チャーリー・ヘイデンさんのランニング・ラインとビリー・ヒギンズさんのスネアのロールがスイッチになって軽快な4ビートに突入し、パット・メセニーさんのソロがスタートします。
安定したリズムにノッて、余裕のあるフレーズを奏でていきます。
CD Time=2:09からは、今までの余裕のあるフレーズから、駆け足の速いパッセージへと攻めていきます。それに対抗するように、ビリー・ヒギンズさんのスネアが細かいロール的なフレーズで応戦します。その2人の戦いをあおるように、チャーリー・ヘイデンさんが2音つづ繰り返す形を基本に4ビートを刻みます。
その加速装置が上手く行った為か、次のコーラス頭で歓喜の声の様な軽い叫びが聴こえます。この部分、かなり肝!です。
03:HUMPTY DUMPTY
テーマが少し浮遊した様なラインと解り難いコード進行。これもオーネット・コールマンさんの曲です。
パット・メセニーさんのソロに入っても、その解り難い感じからなかなか抜け出すことができません。追い討ちをかけるように、パット・メセニーさんのアウトフレーズが爆発していて音があちらこちらに飛び交います。まさに宙に音がたくさん浮いている感じです。
その感じを引きずったままチャーリー・ヘイデンさんのソロへ繋いでいきます。
決して速いパッセージで攻め立てる感じでもなく、かと言って陳腐なラインを奏でているかと言えばそうではなくて、まさに深い味わい、つまり『コク』のあるソロだと想います。
段々と消えていくようにフレーズを奏で、チャーリー・ヘイデンさんがビリー・ヒギンズさんにソロをバトンタッチします。このソロでも抜群のスネアワークを聴かせてくれます。
テーマに戻っても浮遊感は消えず、気がつくとエンディング。ここではチャーリー・ヘイデンさんがベース音をフェイクして不思議なコード感を醸し出して終わっていきます。
04:BLUES FOR PAT
他の作品でも演奏しているパット・メセニーさんのブルース。作曲はチャーリー・ヘイデンさん。ややスローなブルースが心地良いですね。
ファーストソロはチャーリー・ヘイデンさん。
ここでも抜群の『コク』で、ゆったりとフレーズを決めていきます。時にコード感を全く感じさせないようなフレーズを奏で、ここ!と言う部分でコード感がバリバリの音を選択しています。
続いてパット・メセニーさんのソロです。
テンポを少しルーズに取って、ずれた感じをフレーズに表しています。でも、このルーズな感じが実にいい感じですね。どちらかと言うと、いつものフレーズを連続させていくと言う感じより、細かい流れのフレーズをたくさん繋いでいると言う構成のソロになっています。
2曲目とは違ったブルースの演奏で、3人のブルースプレイにおける違うアプローチを楽しむことが出来るテイクです。
05:REJOICIN
スタートからいきなりのパット・メセニーさんのソロと言う展開で、得意フレーズがそのフレーズになっています。
このフレーズは音数は2~3音と少なく、どちらかと言うとリズムリック的なもの。パット・メセニー・グループでの演奏では、ほとんど聴くことが出来ませんが、ストレートなジャズを演奏する時には頻出するお馴染みのフレーズです。
一聴簡単そうですが、このアーティキュレーションは絶妙で、オンリーワンの世界があります。アマチュアがこれを真似て奏でると、抜けたような感じになってしまってハマらないことが多いのですが、それでも、パット・メセニーさんの音楽を良く知っている人から演奏後に「さっきのソロ、パット入ってたね」って言われます。
前半はビリー・ヒギンズさんのとのデュオでパット・メセニーさんがアップテンポにノったソロを奏でると言う形で展開していきます。
ドラムとのデュオと言うのも好きなスタイルのようで、いろいろな場面で聴くことがあります。和音楽器の呪縛から離れて、フリーに出来る分、ソロラインにコード感を持たせないと、曲の輪郭が解らなくなってしまうと言う、超難しいフォーマットだと想います。頼りになる和音楽器がいませんので、集中を欠くと、どの部分を演奏しているのかも解らなくなってしまうことも良くあります。もちろん、ここはパット・メセニーさんですので、そつなく弾き抜けています。
チャーリー・ヘイデンさんが入ってアップテンポの4ビートの展開になりますが、ここでも、4打ちのラインではなくて、2音づつのラインで4ビートの乗りを創っています。ですから単純なアップテンポの4ビートではなくて、ちょっと変化球的なビート感がけっこう良かったりしますね。
ビリー・ヒギンズさんのソロを挟んで、テーマへ。そのままエンディングに突入していきます。
06:STORY FROM A STRANGER
最初のスチール弦のアコースティック・ギターの和音が、かなり雰囲気の違う展開でちょっと驚きます。これはパット・メセニーさんの曲。コード進行が基本的にはマイナーなんですが、所々でいつものパット・メセニーさんらしい美しさを備えたコード進行に移りそうで、サッと交わされてしまうと言う、不思議な香りを持っています。
それは音にも表れていて、ここではオーバーダビングで2本のギターを重ねていると想われます。さらに、2コーラスめからはもう1本加わり、しかもそのチューニングと音質が微妙に違う感じで、それが、さらに不思議な香りを助長しています。
ソロはギターシンセでのプレイです。
静かな展開の中、情緒的に奏でていきます。ギターシンセの持っている情熱的で熱い雰囲気を出すと言うよりは、その音質から感じる幻想的な雰囲気を出したと言う感じ。
その意味では良く出来ている楽曲だと想うのですが、それが、この作品の6曲目に出てくると言うのはどうでしょうか・・・。今までのジャズ的な流れからすると、結構、違和感が私はありましたが・・・。
でも考えてみれば、この作品がリリースされたのは当時のレコード。レコードの場合はこの曲からB面になるのだと想います。ならば、この展開もありですね。
レコードの場合は、本当に物理的に流れが切れてしまうので、ワンクッションで次の展開と言うのは、逆に良い流れを生むことがあるかもしれません。
そう考えると、レコードのA面B面と言う切り替えを意識して製作された作品のCD化は、その意図が反映されないと言う弊害があるかもしれませんね。
07:THE CALLING
ギターシンセの調子の外れたような音程でのテーマは、名作ファースト・サークル(*)のオープニングを想い出させてくれます。
テーマのあとは、なにやらフリーな展開。譜面をみると『SOLOS ARE OPEN』と指示されています。ですからフリー・ジャズへ突入と言う展開。
この曲が始まると、前の曲で受けた違和感が逆にいい流れ、必然的な流れだったことに気が付きます。これはもうオーネット・コールマンさんの世界。考えてみれば、バックの2人はそのままオーネット・コールマンさんとの演奏が著名。
であれば、前半にオーネット・コールマンさんのナンバーを奏でていて、ここに来てフリーと言う展開は、まさにこれがやりたかったことなのかと。
実は、そんなに語れるほどオーネット・コールマンさんを含むフリージャズには馴染みが無いんです。パット・メセニーさんはたまにこのようなフリージャズの作品を創ったり演奏したりしますが、これはもう好みですね。何とも言えないのですが、個人的には体調が良いとき?には結構聴いていて、のめり込みますが、拒否反応を示し始めたら、想わず次のトラックへ飛ばしてしまいます。
今回はと言うと、それなりに楽しめました。
特にギターシンセからCD Time=4:58でノーマルトーンに変わって、トレモロアームを使用して、カッティングと言うか掻きむしり奏法と言うか・・・この部分は面白かったのですが、もっとめちゃくちゃでも良かったと想います。それこそギターを壊すくらい・・・壊してはいけませんが・・・。
大御所の2人のフリー度合いも、大人の暴れ方と言う感じの冷静さと品位を感じるプレイで結構いいかなと想いました。
でもフリージャズは私にとっては限りなく未知に近いサウンド。ちょっと聴きこんでみたくなる衝動に駆られる演奏ではありますね。
08:WAITING FOR AN ANSWER
シンセストリングスが入っているかのような錯覚をしてしまう幻想的なスタートの曲です。ギターのヴォリューム奏法とベースの弓でのフレーズに強めにリヴァ―ヴをかけることでこれを演出しているようです。
テーマは一応短いものがありますが、ほとんどがSE的な演出で終止します。
幻想的な雰囲気の中、短くこの曲が終わると同時に作品も幕を閉じます・・・。
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この作品を初めて聴いたときに想ったのが、前半の流れと6~8曲目の違和感。
特に後半のフリーな展開はあまり好みでは無く、その為にそんなに聴くことは無く現在に至ったわけです。
そして今回改めて聴いてみて、純粋にひとつの作品として聴いていくと、確かに曲の好き嫌いや流れの良し悪しを感じるところもあると想いますが、これが、オーネット・コールマンさんと言う巨匠を核に考えたリスペクト作品と言うことを踏まえると、この流れはありで、逆に納得の出来る、強いトータルコンセプトを持った作品と言えますね。
ですから、パット・メセニーさんのほかのトリオ作品の流れとは明らかに違うコンセプトの作品で同一に語ることが出来ない感じです。
この後パット・メセニーさんはオーネット・コールマンさんとの作品ソングX(*)をリリースしますが、その作品のライナーによると、パット・メセニーさんは『オーネット・コールマンさんのハーモロディック理論は最後の音楽理論』と言っています。
正直、ハーモロディック理論自体良く解りませんし、知っていて損はないと想いますが、まあ、知らなくても問題はないと想っています。
要は『感じるか』『感じないか』であって、それに理論はあまり関係ないですよね。
その意味でこの作品は、パット・メセニーさんの作品群の中ではポイントとなる存在の作品と言えると想いますが、純リスナーとしては、感じる部分はもちろんあるのですが、パット・メセニーさんの数ある作品の中では、私にはインパクトの薄い作品と言えます。
でも、そのハーモロディック理論を含めて、少し触れてみたい禁断の果実的な魅力を感じたのも事実です。
(CD TOTALTIME:43:54 / Walking消費カロリー:176.48kcal)
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(*)本文に登場したCD・DVD
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![ジェイ・グレイドン・オール・スターズ・ライヴ・イン・ジャパン 1994.1.19 エアプレイ・フォー・ザ・プラネット[限定盤]](http://images-jp.amazon.com/images/P/B000XAMCA8.09.TZZZZZZZ.jpg)










