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アランフェス協奏曲/渡辺香津美、大村憲司、リー・リトナー他

だいぶ周りの雪も融けてwalkingもしやすくなりました。流石に雪が凍り付いているとちょっと危ないので・・・。と言うことで今日は渡辺香津美、大村憲司、リー・リトナー他アランフェス協奏曲walkingをしました・・・。


この作品は1978年のリリースです。演奏の中心はリー・リトナーさんとフレンドシップの面々なのですが、そこに、渡辺香津美さんと大村憲司さん、そしてアレンジとキーボードで深町純さんが参加したと言う形になっています。
アランフェス協奏曲はご存知クラシックのロドリーゴさんの作曲によるギター協奏曲。クラシックギターの協奏曲はそんなにたくさんないのですが、その中でももっとも有名な作品です。そのメロディからか、良くジャズでは取り上げられている曲ですが、ここではバリバリのフュージョンサウンドとしてアレンジされています。
久しぶりに聴きますが、どうでしょうか・・・。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★

01:アランフェス協奏曲
原曲のアランフェス協奏曲はギターのスパニッシュなカッティングから、その流れを弦楽器が引き継いでテーマに入っていきます。
ここではややアップテンポでリー・リトナーさんのナイロン弦ギターが奏でます。そして、バッキングのリズムがクラシックの弦楽器の変わりに強いビートでそのリズムを引き継ぎます。
そしてストリングスが重なり、アーニー・ワッツさんのソプラノサックスと深町純さんのシンセがテーマを奏でていきます。
このスタート部分は、けっこう原曲に近いアレンジになっています。ちなみにアレンジは深町純さん。

そのままクラシカルな流れかと想いきや、CD Time=1:31から渡辺香津美さんのソロがスタートします。
スパニッシュなコード進行に対して、クリアトーンで速いパッセージを奏でていきます。粒揃いのフレーズでピッキングの正確さが良く出ているラインです。今のスタイルとは少し違う感じがするのですが、若さがあって『あの時代』の渡辺香津美さんを堪能することが出来ます。

また、バックの演奏にも注目したいところ。
ドラムのアレックス・アカーニャさんのスネアロールやベースのエイブラハム・ラボリエルさんの絶妙なトーンのベースライン、そして、デイヴ・グルーシンさん、ドン・グルーシンさんのローズとエレピのバッキング、さらにリー・リトナーさんのナイロン弦ギターでのカッティング。考えてみれば・・・考えてみなくても凄いメンバーですね。
その余裕のバッキングにノッて渡辺香津美さんが疾走します。ソロのエンディングでのアーニー・ワッツさんのサックスの絡み方もなかなかグッと来るものがあります。

続いてはアーニー・ワッツさんのソロです。
渡辺香津美さんのソロのスパニッシュな香りとは違って、かなり都会的な雰囲気の漂うバッキングに変わります。ベースとドラムのキメ・ラインの合い間を縫ってジャズラインを吹き進みます。エンディング部分の速いパッセージとラインの構成はちょっとマイケル・ブレッカーさんを彷彿とさせるラインです。

さらにパターンを変えてリー・リトナーさんのソロに引き継がれます。
バックが小刻みにブレイクするパターンに変わりましたので、リー・リトナーさんのラインも細かく速いフレーズを連続していきます。
短いソロなんですが、テーマのスパニッシュな雰囲気に戻るためのきっかけを上手く漂わせているフレーズです。

そしてイントロのパターンに戻ってデイヴ・グルーシンさんのリリカルなソロピアノから第2楽章へ入っていきます。

アランフェス協奏曲で一番著名なメロディを持っているのが第2楽章。デイヴ・グルーシンさんのソロピアノが、激しい第1楽章と哀愁のある第2楽章を繋ぐ為の見事なジョイントになっています。実に上手いフレーズ回しの為に、続けてテーマを弾くリー・リトナーさんのギターがスムーズに耳に入ってきます。

リー・リトナーさんの、曲の雰囲気を捉えた見事なアーティキュレーションのメロディにアーニー・ワッツさんのフルートが絡んで進みます。
リズムがインしてからは、少し熱さを持ったメロディ展開をしていきます。それに合わせる様にクラシカルにストリングスが絡んで、一気に雄大な流れになっていきます。

CD Time=9:33から、一瞬その流れを断ち切るようにバックのパターンがシンプルに、そしてブルージーになってリー・リトナーさんのソロがスタートします。
私はあまり馴染みがないのですが、ここではクリアトーンにオクターバーでオクターブ下の音をエフェクトしてラインを刻んでいます。ミュートを上手く使用して、歯切れが良い中にも粒揃いの速いパッセージを展開します。
オクターバーをオフにしてからは、段々と熱さを増していって、CD Time=10:33の一聴でリー・リトナーさんと解る得意の速いパッセージから、16分音符の2音ワンパターンでダウンしてくるフレーズで繋いで、トリルのトリッキーな奏法を挟んで、ロック的なフレーズを決めます。

続いてナチュラルに歪んだ音でフェードインしてくるのが大村憲司さん。
曲の持っているブルージーな感じそのままの、ブルース、ロックフレーズでたたみかけます。バックのリー・リトナーさんのミュートカッティングとパーカッションのスティーヴ・フォアマンさんが触発しあって刻む細かいビートを、ゆったりとしたグルーヴでアレックス・アカーニャさんが抑制したりしていて、バッキングのプレイも聴き所があります。
ソロエンド近くのCD Time=13:20からのラインは、今までブルース、ロック調のラインからジャズラインを奏でていき、その後のクラシカルな展開に繋いでいきます。

第2楽章の終りはストリングを中心としたクラシカルな展開。段々とリタルダントしながらエンディングロールになると、それを切るようなリー・リトナーさんのカッティングの妙技を合図に第3楽章がスタートします。

フュージョンギターにおけるカッティングはかなり重要なんですが、そうは言っても地味な部類に入りますので、実際はなかなか耳が届かないところです。個人的には、かなりリー・リトナーさんのバッキングワークで勉強をしたところがあります。

そのエッセンスがしっかりと詰まったカッティングでまさに肝!
全体的には比較的単純なコードカッティングの途中に、いろいろな小技が組み込まれています。歯切れの良いカッティングのブレイク、CD Time=14:37の俗に言う『チャカポーン』と言う奏法。そしてCD Time=14:48の少し抜いた感じのする単音のライン。CD Time=14:57の3連のリズムへの切り替え・・・。これら全てが正確無比なテンポの中に常にあって、カッティングのグルーヴが切れていないところが凄いと想います。

シンセのリフに重なって大村憲司さんと渡辺香津美さんのソロの掛け合いがスタートします。
お互いの持ち味を十分に出した聴き応えのあるギターバトルです。途中に入る『うめき』の様なエイブラハム・ラボリエルさんの『おかず』も独特でいいですね。

そのままフェードアウトしてこの曲は幕を閉じていきます。

メリハリがあって、クラシカルな展開やソロも盛りだくさんで聴き所の多いトラックになっています。全ては深町純さんのアレンジの力が生み出しているとも言える、まさに名演、フュージョン盤アランフェスです。


02:アイ・ネヴァー・ウォズ・ア・カウボーイ
タイトルからも想像出来る様に、1曲目のスパニッシュな香りに対して世界はアメリカ。ファンク色のあるミディアムテンポのナンバーです。

テーマのアーニー・ワッツさんのソプラノサックスがファニーで楽しげな感じを演出しています。それはソロでも同じで、速いパッセージの中にも楽しげなムードを漂わせています。

更にビートはファンク色を強くして、大村憲司さんと渡辺香津美さんのソロの掛け合いに入っていきます。
1曲目の掛け合いとはまた違った一面をお互いに出していて、ここでもファニーな雰囲気が溢れています。

その2人の間に割って入ってくるようなリー・リトナーさんのカッティングから、再びテーマに戻りエンディングです。


03:ラテン・スタッフ
2曲目のアメリカン・ファンク的なムードから一転して、今度はラテンです。これは大村憲司さんの曲。

ファーストソロはエイブラハム・ラボリエルさん。
あくまでもグルーヴ重視で、同じラインを繰り返すと言う展開で、自分のソロにも関わらず、次のソリストへ連続したビートを提供していると言う感じです。

そのグルーヴを引き継いでソロを奏でるのが大村憲司さん。
基本的にはロックテイストのソロラインなんですが、単純なロックフレーズではなくて所々に聴かせてくれるクロマティックラインなど、ジャズ的なフレーバーも十分に香っている見事なソロです。


04:アイ・フィール・ブリーズ
コード進行が独特で、また変拍子などを一部使用していながらも、綺麗なメロディラインのこの曲は渡辺香津美さんの曲。
テーマは渡辺香津美さんがクリアトーンで奏でます。それにアーニー・ワッツさんのアルトサックスが絡み、サビではユニゾンを聴かせてくれます。

ファーストソロはアーニー・ワッツさんがアルトサックスで奏でます。
それを引き継いでリー・リトナーさんのソロです。また続いて渡辺香津美さんのソロへと流れいくのですが、良く聴くと2人には共通するエッセンスが多いことに気が付きます。何気に聴いていると、ソリストが変わったのも気がつかないくらいですね。
ともにピッキングが正確で粒が揃っているために、特にダウンフレーズでの速いパッセージは良く似ています。


05:タイトゥン・アップ
フュージョンと言う香りが満ちているアーニー・ワッツさんの曲です。ファンキーなリズムとグルーヴにアーニー・ワッツさんがテーマを重ねます。

ファーストソロは渡辺香津美さん。
ナチュラルに歪んだ音に軽くワウをかけてファンキーな中にも、激しいラインを奏でていきます。
それを受けて大村憲司さんのソロ。
渡辺香津美さんより強くワウをかけて、こちらもファンキーでブルージーなラインで対抗しています。

後半のテーマのバッキングではりー・リトナーさんもギターに軽くワウをかけて、ファンキーでファニーなバッキングワークを聴かせてくれます。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★

後半は、可もなく不可もない、それなりに楽しむことが出来るフュージョン作品になっているのですが、ハイライトはやはり1曲目。このアランフェス協奏曲のアレンジを含めた完成度にあると想います。

実際に原曲を使用した部分は第1楽章の頭の部分と第2楽章のメロディくらいで、後はソロを展開すると言うパターンなんですが、全体に流れている、アランフェス協奏曲らしさと言うものが見事に表現されたアレンジだと想います。

また作品全体を通して、リー・リトナーさんのソロの出番がやや少ない感じもするのですが、それでも、バッキングワークでよい味を出していますし、大村憲司さんもロックテイストのソロラインで飾っていますし、渡辺香津美さんも、もちろん見事なソロラインを奏でています。
ですからギターを中心として聴いても、この時代のフュージョンサウンドが凝縮されたような演奏になっていますね。

聴き終わって想ったのが、『いい香りがする』と言うことです。
これは、この時代のフュージョンらいしと言うことです。
それは全体の録音のバランスやエフェクト、さらにはドン・グルーシンさんのローズの音など・・・。
もちろん古いと言う感じはするのですが、それでもその『香り』はまさに『その時代のもの』と言う感じがします。

特にギターは、『ギター、シールド、ギターアンプ!』みたいなストレートさがあって、クリアトーンなのにナチュラルに歪んでいるさまは、今のエフェクトがビンビンに効いているサウンドよりもギターらしさが出ていていい感じです。
このようなギターのサウンドを聴くと、昔コンパクトエフェクターを1個づつ買い揃えていって、段々といろいろなサウンドが出るようになったことを想い出します・・・。

そんなノスタルジーにも浸ることが出来る作品です・・・。

(CD TOTALTIME:38:10 / Walking消費カロリー:153.43 kcal)

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アランフェス協奏曲/渡辺香津美、大村憲司、リー・リトナー他

曲名リスト
1. アランフェス協奏曲朝焼け
2. アイ・ネヴァー・ヴォズ・ア・カウボーイ
3. ラテン・スタッフ
4. アイ・フィール・ブリーズ
5. タイトゥン・アップ

*残念ながらアマゾンにありませんので、廃盤のようです・・・。
あとがき
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コメント (4)

お邪魔します。
このアルバム大好きでよく聴いてました。
残念ながらCDで買いそびれてしまい、いまだにレコードで楽しんでます。
再発されたら嬉しいのですが・・・。
やはりハイライトは01ですね。
3人の個性を活かしたアレンジが見事ですね。

Kaz-shinさん
コメントありがとうございます。
このような作品を再発してくれると本当に嬉しいと想います。アランフェスだけでも聴いてみる価値がある作品だと想います。

WESING:

さっきまでSESSIONを聞いていたんですが、伊藤君子さんがFOLLOW MEというタイトルでアランフェスの(たぶん)第2楽章を歌ってました。

WESINGさん
コメントありがとうございます。
アランフェスの第2楽章は本当に良く使用されていますね。個人的にはチック・コリアさんのスペインを想い出すのですが・・・。

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