ザ・チック・コリア・エレクトリック・バンド
THE CHICK COREA ELEKTRIC BAND
だいぶ気候も春っぽくなってきて今日はかなり暖かい陽射しの中でwalkingをしました。と言うことで選んだのはザ・チック・コリア・エレクトリック・バンドのその名もズバリザ・チック・コリア・エレクトリック・バンドです・・・。
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この作品は1986年の作品で、ザ・チック・コリア・エレクトリック・バンドのデビュー作になります。
最近、上原ひろみさんとのデュエット(*)が雑誌などでも良く話題になっています。かなりの評判のようですが、これはまたの機会に聴くとして、チック・コリアさんの名前をそのような理由で最近見かけて、そう言えば・・・と想い出した作品がこのCDです。
どちらかと言うとあまり聴かない方の作品ですが、久しぶりに聴いてみました・・・。
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01:シティ・ゲイト
物凄く音の厚みがあるチック・コリアさんのエレピのソロ・パフォーマンスからスタートします。
この時代は、ライナー・ノーツを読むとMIDI機器が登場して次第に主要な規格になってきたころ。
YAHAMAの音源をMIDIで繋いでこの音を創っています。今聴いても遜色のない音質でこのスタート部分のエレピの音を聴いただけで、エレクトリック・バンドと言うネーミングにも妙に納得していまします。
左チャンネルのギターと右チャンネルのシンセがハモリながら、ゆったりとしたメロディを奏でていきます。その間を埋めるのが、エレピでのオーバーダビングとデイブ・ウェックルさんのドラムとジョン・パティトゥッチさんのベース。
これからの始まる!と言う雰囲気を十分に漂わせながら短いイントロダクションのこの曲は切れ目無く次の曲に繋がっていきます。
02:ランブル
一転してして、シンセでの複雑なリフとリズム。そしてその旋律に対旋律として絡んでいくシンセベースが実にスリリングが展開。
この曲はシンクラヴィアを中心にした打ち込み、いわゆる 『同期もの』と言うものです。そこにチック・コリアさんとデイブ・ウェックルさんが音を重ねているようです。この感じもまさにエレクトリック!と言うことですね。
シンセ・ベースの延々続いていきそうなラインに乗せて、チェック・コリアさんがソロを奏でていきます。
ソロのラインはチック・コリアさんらしいフレーズが爆発しています。
その合い間を縫うようにタムを複雑に絡めているデイブ・ウェックルさんのドラミングが絶妙なテンポと流れを創っていますね。
03:サイド・ウォーク
重いリズムを持った3/4拍子のナンバー。この曲も2曲目と同じで『同期もの』に、先の2人に加えてカルロス・リオスさんのハードなギターが加わります。
ギターはもちろんエレクトリックなんですが、これが入るだけでも随分とヒューマンな感じがするのが、2曲目との対比で面白い部分ですね。
04:クール・ウィーゼル・ブギ
この曲は先ほどと同じ打ち込みの部分に、3人に加えて今度はジョン・パティトゥッチさんのアコースティック・ベースが入ってきます。段々とヒューマンな感じになっていくこの4曲の流れは、
単に打ち込みや同期を使用したためのエレクトリック・バンドと言うネーミングではないことを語っているような気がします。このような曲のコンセプトを持った流れは見事だと想いますね。
曲はスローテンポでややブルージーな流れで進みます。
CD Time=2:28からのギター・チョーキングとシンセのベンドを使用したメロディが何とも言えない粘っこい雰囲気を創りだします。この部分に入ってはじめて、タイトルの『ブギ』の意味が解ってきますね。
CD Time=3:06からはその雰囲気のままでカルロス・リオスさんのソロへ入っていきます。
ゆったりとしたリズムに乗って奏でていくのですが、もう少しこの粘っこい感じが出てると、なお良かったと言う感じもするのですが・・・。それでも、メロディアスでファンキーなラインを奏でていきます。
終盤のCD Time=4:56から再びソロがありますが、こちらはそのコード進行もあって、けっこう粘っこいフレーズ展開をしていきます。そう考えると、前のソロの時にあえてブルージーに奏でていたのがこのための伏線だった!ことに気が付きます。
CD Time=5:30からの速いパッセージはさすがのライン選択。見事にジャズ的なラインで弾きぬけていきます。CD Time=6:05の速いパッセージからスライドアップして高い音でキメるフレーズはかなりカッコ良いですね。
05:ゴッド・ア・マッチ?
アップテンポのシンセラインからスタートして、そのままチック・コリアさんとジョン・パティトゥッチさんの怒涛のスピードでのユニゾンが始まります。この曲は、デイブ・ウェックルさんを加えたトリオでのパフォーマンスになります。
ちょっとラテン風のメロディラインがチック・コリアさんの名曲スペインを想い出させてくれます。
この速いユニゾンを見事に奏でているチック・コリアさんも凄いのですが、ジョン・パティトゥッチさんのベースも粒揃いで、しかも完全にユニゾンしていて見事です。
さらに、淡々としたリズムを刻んでいる中にも、細かいスネアやハイハットワークを中心に同期している?デイブ・ウェックルさんのドラムが凄すぎて肝!です。
曲のアレンジも見事で、2コーラスめはユニゾンではなくベースがラインを刻みます。そして途中から4ビートの展開になっていきます。
この曲のアレンジメントはそのままチック・コリアさんのソロの前半のパターンになります。
チック・コリアさんはベースのリズムに合わせて細切れにフレーズを展開していきます。途中から完全4ビートになると、かなりのアップテンポなんですが流れるフレーズ展開で息を付く暇のないフレーズを嵐のようにたたみ掛けてきます。
バックの4ビートも怒涛の流れとグルーヴでそれを後押しします。特にジョン・パティトゥッチさんのランニングはなかなか鬼気迫るものがあっていいですね。エレクトリック・ベースならではのCD Time=1:29のSE的なラインなどは、グワーンと盛り上がり、ご飯が何杯でも食べることが出来そうな見事な 『おかず』ですね。
その見事な4ビートを刻んでいたジョン・パティトゥッチさんのソロへ。
6弦ベースを使用しているため、かなり高い音でのフレーズ展開を聴かせてくれます。一瞬、ギター?って想うのは、その音の高さもありますが、多くはフレーズ回し。ちょっとベーシストの発想ではないようなメロディアスなラインです。
またバックのデイブ・ウェックルさんのドラミングが良くベースのメロディに絡んでいて
なお且つ、この曲の持っているラテン調のビートをしっかり刻んでいます。
その見事なドラミングのデイブ・ウェックルさんのソロがバースプレイで掛け合います。
そう言えばかなり昔ですが、チック・コリア・アコースティック・バンドのライヴを観たことを想い出します。その時に感じたのソロは、確かに上手く超絶なんですが、アコースティック・ジャズらしさが少なく、ソロの部分だけやけにロック的だったのを想い出しました。
でもこの曲のような、エレクトリック・コンセプトにおいての4ビートでのソロに、抜群に合うラインを叩いていることがこの曲でよく解ります。
06:エレクトリック・シティ
爽やかな感じもありつつ、しっかりとフュージョンらしい切れを持った曲。再びカルロス・リオスさんが入りメロディをユニゾンで奏でていきます。
ここでは、ジョン・パティトゥッチさんの第3の顔、スラップベースプレイを聴くことができます。なかなか効果的に印象深いプルを奏でています。
後半のソロはチック・コリアさんとカルロス・リオスさんの掛け合いになっています。段々と2人のソロが絡んでいって最後にユニゾンでキメる所はかなかなのアレンジだと想います。
短くまとまっていて、しかも聴きやすい楽曲に仕上がっていますね。
07:ノー・ゾーン
幻想的な展開とメロディを持っているスローでスケール感の大きい曲。
音のマテリアルもいろいろと入っていて更にその幻想的なムードを高めています。ポワーンと風船のような音が頻出する意図は良く解りませんが、不思議さに一役かっているのは確かですね。
曲調からするとベースはエレクトリックと言う選択もあったと想うのですが、ここではアコースティック・ベースを使用しています。これが更にヒューマニズムを醸し出してベストな選択だったと想います。
08:キング・コックローチ
3人のトリオに1曲目でもギターを弾いていたスコット・ヘンダーソンさんが加わります。
16ビートを基本にした細かいキメがたくさん散りばめられている曲。サウンドはいかにもフュージョンと言う感じ。
デイブ・ウェックルさんの16ビートがこれまた複雑で、どうやって叩いているか良く解らないのですが見事にビートを刻んでいます。途中リムショットを使った8ビートに切り替わるところが良いですね。
ファーストソロはスコット・ヘンダーソンさん。
あまり聴く方ではないのですが、16ビートの連続した速いパッセージが非常にジャズ的なラインと言う特徴があると想っています。
一聴、ギターのスケール練習のようなフレーズにも聴こえてしまうことがありますが、このソロでは、上手くチョーキングやロングトーンを絡めて最後まで聴かせてくれるソロを展開しています。
再びテーマを挟んでチック・コリアさんのソロです。
スケールが変わって行く部分でアクセントをつけて、流れるラインを奏でていきます。流石と言う感じで何も言うことはないソロ展開です。
エンディング部分で劇的に曲は変わります。オーケストレーションされた雄大なキメやユニゾンは、映像的で感動的なフィナーレとなっています。
09:インディアン・タウン
前の曲の激しい劇的な展開に連続して静かなスタートをします。
この曲はフレットレスベースの音のようなシンセのモチーフをずっと連続して流し、その上にいろいろな展開や音を重ねて行くという曲。
曲調が7曲目に似ている感じがありますので、この曲を含めた7、8、9曲目と言うのはひとつの大きな組曲的な流れを感じます。
10:オール・ラヴ。
MIDIを使用した重厚な音の重なりを使ったバラード。
エレクトリクなのはチック・コリアさんのエレピの音のみで、ジョン・パティトゥッチさんもアコースティック・ベース。そしてデイブ・ウェックルさんもシンプルなドラムプレイになります。
それでも、チック・コリアさんの音の巧みな創りのために、非常に華麗なバラードになっています。
これはライナーノーツを読むと、弾き方の強弱でいろいろな音が奏でることができるようにプログラミングがされているようです。シンセのオーバーダビングで音を厚くしているような感じにも聴こえるのですが、良く聴いていると常にエレピに音が連動している様子なのでオーバーダビングなしで、MIDIを生かした音色の連動、で奏でていると想われます。MIDIの特性を最大限に生かした見事な音創りでこのあたりも非常にエレクトリックです!
11:シルバー・テンプル。
かなり複雑な展開と流れ、リズムを持っている曲です。掴みどころが無いようで見事に曲が流れているのがアレンジの妙ですね。
また、デイブ・ウェックルさんのシャッフルの入ったビートがそれを後押ししています。
ここでのドラミングは見事ですね。細かいスネアが入ったり複雑にタムが入る感じはまさに肝!です。
チック・コリアさんのソロの後から曲は劇的に展開してアップテンポになります。
ジョン・パティトゥッチさんの小刻みなベースラインとデイブ・ウェックルさんのバスドラがピッタリと連動していてビート感をアップさせています。
そのリズムに乗ってソロを展開するのがスコット・ヘンダーソンさん。
基本的にワンコードの部分ですが、とてもそうだとは想えないような仮想コードを想定してのフレーズ展開とデミニッシュ的なライン構成は、アウトフレーズの方法としてロックギタリストでもかなり参考になるフレーズだと想います。
激しい展開を経て曲は再びテーマの流れに戻っていきます。そしてジョン・パティトゥチさんのソロへ。ここでも高い音で抜群のメロディラインを奏でていきます。
キメや展開が複雑で、演奏するのにとても緊張しそうな曲です。かなり難しいバンドアンサンブルが必要だと想います。
そのバンドアンサンブルの妙を堪能したところでこの作品は終わります・・・。
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チック・コリアさんもライナー・ノーツを読むと、『エレクトリック・バンドだからと言って、単なる電気楽器を使用していると言うことではない』と言っています。
確かに、エレクトリックなサウンドなんですが、今回久しぶりに聴いて見て実にエレクトリクな中にヒューマンでアナログ的な『味』を感じました。
例えばチック・コリアさんの音にしても、あえてMIDIで複雑にしなくても、もっとエレクトリックにシンクラヴィアなどフルに使用すれば実は簡単に同期できたりするわけです。
また、ジョン・パティトゥッチさんも適所でアコースティック・ベースを使用したり、デイヴ・ウェックルさんも打ち込みのリズムとの共存を図っていたり・・・。
あくまでもエレクトリックな音をつかさどっているいるのは人間。
それをどう扱うか、どうやって奏でるか、いかに取り込んで連動するか・・・
と言う部分において、模索しながらもコントロールして演奏する感じが、実にヒューマンだったりするのです。
これは、そのままチック・コリアさんの言う
『エレクトリックと言うものが現代の象徴でそこに住んでいるのは我々・・・』
と言うコンセプトと見事に連動していますね。
曲の流れやバラエティーさも抜群で、しっかりとしたコンセプトの元での一貫性があって、飽きがこなくて一気に聴いてしまう名盤だと想います。
この作品も私のCDラックの隅にずっとあったのかと想うと、もったいなかった!と想うと同時に、また名作を見つけた!と言う喜びを感じました。
(CD TOTALTIME:57:38 / Walking消費カロリー:231.69 kcal)
![]() | The Elektric Band Chick Corea's Elektric Band 曲名リスト 1. City Gate 2. Rumble 3. Side Walk 4. Cool Weasel Boogie 5. Got a Match? 6. Elektric City 7. No Zone 8. King Cockroach 9. India Town 10. All Love 11. Silver Temple Amazonで詳しく見る by G-Tools |
(*)本文に登場したCD・DVD
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