Walking de Music

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2008年02月Archives

12

2008年02月28日

ザ・チック・コリア・エレクトリック・バンド
THE CHICK COREA ELEKTRIC BAND

The Elektric Band

だいぶ気候も春っぽくなってきて今日はかなり暖かい陽射しの中でwalkingをしました。と言うことで選んだのはザ・チック・コリア・エレクトリック・バンドのその名もズバリザ・チック・コリア・エレクトリック・バンドです・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

この作品は1986年の作品で、ザ・チック・コリア・エレクトリック・バンドのデビュー作になります。
最近、上原ひろみさんとのデュエット(*)が雑誌などでも良く話題になっています。かなりの評判のようですが、これはまたの機会に聴くとして、チック・コリアさんの名前をそのような理由で最近見かけて、そう言えば・・・と想い出した作品がこのCDです。
どちらかと言うとあまり聴かない方の作品ですが、久しぶりに聴いてみました・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

01:シティ・ゲイト
物凄く音の厚みがあるチック・コリアさんのエレピのソロ・パフォーマンスからスタートします。
この時代は、ライナー・ノーツを読むとMIDI機器が登場して次第に主要な規格になってきたころ。
YAHAMAの音源をMIDIで繋いでこの音を創っています。今聴いても遜色のない音質でこのスタート部分のエレピの音を聴いただけで、エレクトリック・バンドと言うネーミングにも妙に納得していまします。

左チャンネルのギターと右チャンネルのシンセがハモリながら、ゆったりとしたメロディを奏でていきます。その間を埋めるのが、エレピでのオーバーダビングとデイブ・ウェックルさんのドラムとジョン・パティトゥッチさんのベース。
これからの始まる!と言う雰囲気を十分に漂わせながら短いイントロダクションのこの曲は切れ目無く次の曲に繋がっていきます。


02:ランブル
一転してして、シンセでの複雑なリフとリズム。そしてその旋律に対旋律として絡んでいくシンセベースが実にスリリングが展開。
この曲はシンクラヴィアを中心にした打ち込み、いわゆる 『同期もの』と言うものです。そこにチック・コリアさんとデイブ・ウェックルさんが音を重ねているようです。この感じもまさにエレクトリック!と言うことですね。

シンセ・ベースの延々続いていきそうなラインに乗せて、チェック・コリアさんがソロを奏でていきます。
ソロのラインはチック・コリアさんらしいフレーズが爆発しています。
その合い間を縫うようにタムを複雑に絡めているデイブ・ウェックルさんのドラミングが絶妙なテンポと流れを創っていますね。


03:サイド・ウォーク
重いリズムを持った3/4拍子のナンバー。この曲も2曲目と同じで『同期もの』に、先の2人に加えてカルロス・リオスさんのハードなギターが加わります。
ギターはもちろんエレクトリックなんですが、これが入るだけでも随分とヒューマンな感じがするのが、2曲目との対比で面白い部分ですね。


04:クール・ウィーゼル・ブギ
この曲は先ほどと同じ打ち込みの部分に、3人に加えて今度はジョン・パティトゥッチさんのアコースティック・ベースが入ってきます。段々とヒューマンな感じになっていくこの4曲の流れは、
単に打ち込みや同期を使用したためのエレクトリック・バンドと言うネーミングではないことを語っているような気がします。このような曲のコンセプトを持った流れは見事だと想いますね。

曲はスローテンポでややブルージーな流れで進みます。
CD Time=2:28からのギター・チョーキングとシンセのベンドを使用したメロディが何とも言えない粘っこい雰囲気を創りだします。この部分に入ってはじめて、タイトルの『ブギ』の意味が解ってきますね。

CD Time=3:06からはその雰囲気のままでカルロス・リオスさんのソロへ入っていきます。
ゆったりとしたリズムに乗って奏でていくのですが、もう少しこの粘っこい感じが出てると、なお良かったと言う感じもするのですが・・・。それでも、メロディアスでファンキーなラインを奏でていきます。
終盤のCD Time=4:56から再びソロがありますが、こちらはそのコード進行もあって、けっこう粘っこいフレーズ展開をしていきます。そう考えると、前のソロの時にあえてブルージーに奏でていたのがこのための伏線だった!ことに気が付きます。
CD Time=5:30からの速いパッセージはさすがのライン選択。見事にジャズ的なラインで弾きぬけていきます。CD Time=6:05の速いパッセージからスライドアップして高い音でキメるフレーズはかなりカッコ良いですね。


05:ゴッド・ア・マッチ?
アップテンポのシンセラインからスタートして、そのままチック・コリアさんとジョン・パティトゥッチさんの怒涛のスピードでのユニゾンが始まります。この曲は、デイブ・ウェックルさんを加えたトリオでのパフォーマンスになります。

ちょっとラテン風のメロディラインがチック・コリアさんの名曲スペインを想い出させてくれます。

この速いユニゾンを見事に奏でているチック・コリアさんも凄いのですが、ジョン・パティトゥッチさんのベースも粒揃いで、しかも完全にユニゾンしていて見事です。

さらに、淡々としたリズムを刻んでいる中にも、細かいスネアやハイハットワークを中心に同期している?デイブ・ウェックルさんのドラムが凄すぎて肝!です。

曲のアレンジも見事で、2コーラスめはユニゾンではなくベースがラインを刻みます。そして途中から4ビートの展開になっていきます。

この曲のアレンジメントはそのままチック・コリアさんのソロの前半のパターンになります。
チック・コリアさんはベースのリズムに合わせて細切れにフレーズを展開していきます。途中から完全4ビートになると、かなりのアップテンポなんですが流れるフレーズ展開で息を付く暇のないフレーズを嵐のようにたたみ掛けてきます。

バックの4ビートも怒涛の流れとグルーヴでそれを後押しします。特にジョン・パティトゥッチさんのランニングはなかなか鬼気迫るものがあっていいですね。エレクトリック・ベースならではのCD Time=1:29のSE的なラインなどは、グワーンと盛り上がり、ご飯が何杯でも食べることが出来そうな見事な 『おかず』ですね。

その見事な4ビートを刻んでいたジョン・パティトゥッチさんのソロへ。
6弦ベースを使用しているため、かなり高い音でのフレーズ展開を聴かせてくれます。一瞬、ギター?って想うのは、その音の高さもありますが、多くはフレーズ回し。ちょっとベーシストの発想ではないようなメロディアスなラインです。
またバックのデイブ・ウェックルさんのドラミングが良くベースのメロディに絡んでいて
なお且つ、この曲の持っているラテン調のビートをしっかり刻んでいます。

その見事なドラミングのデイブ・ウェックルさんのソロがバースプレイで掛け合います。
そう言えばかなり昔ですが、チック・コリア・アコースティック・バンドのライヴを観たことを想い出します。その時に感じたのソロは、確かに上手く超絶なんですが、アコースティック・ジャズらしさが少なく、ソロの部分だけやけにロック的だったのを想い出しました。
でもこの曲のような、エレクトリック・コンセプトにおいての4ビートでのソロに、抜群に合うラインを叩いていることがこの曲でよく解ります。


06:エレクトリック・シティ
爽やかな感じもありつつ、しっかりとフュージョンらしい切れを持った曲。再びカルロス・リオスさんが入りメロディをユニゾンで奏でていきます。
ここでは、ジョン・パティトゥッチさんの第3の顔、スラップベースプレイを聴くことができます。なかなか効果的に印象深いプルを奏でています。

後半のソロはチック・コリアさんとカルロス・リオスさんの掛け合いになっています。段々と2人のソロが絡んでいって最後にユニゾンでキメる所はかなかなのアレンジだと想います。

短くまとまっていて、しかも聴きやすい楽曲に仕上がっていますね。


07:ノー・ゾーン
幻想的な展開とメロディを持っているスローでスケール感の大きい曲。
音のマテリアルもいろいろと入っていて更にその幻想的なムードを高めています。ポワーンと風船のような音が頻出する意図は良く解りませんが、不思議さに一役かっているのは確かですね。

曲調からするとベースはエレクトリックと言う選択もあったと想うのですが、ここではアコースティック・ベースを使用しています。これが更にヒューマニズムを醸し出してベストな選択だったと想います。


08:キング・コックローチ
3人のトリオに1曲目でもギターを弾いていたスコット・ヘンダーソンさんが加わります。
16ビートを基本にした細かいキメがたくさん散りばめられている曲。サウンドはいかにもフュージョンと言う感じ。

デイブ・ウェックルさんの16ビートがこれまた複雑で、どうやって叩いているか良く解らないのですが見事にビートを刻んでいます。途中リムショットを使った8ビートに切り替わるところが良いですね。

ファーストソロはスコット・ヘンダーソンさん。
あまり聴く方ではないのですが、16ビートの連続した速いパッセージが非常にジャズ的なラインと言う特徴があると想っています。
一聴、ギターのスケール練習のようなフレーズにも聴こえてしまうことがありますが、このソロでは、上手くチョーキングやロングトーンを絡めて最後まで聴かせてくれるソロを展開しています。

再びテーマを挟んでチック・コリアさんのソロです。
スケールが変わって行く部分でアクセントをつけて、流れるラインを奏でていきます。流石と言う感じで何も言うことはないソロ展開です。

エンディング部分で劇的に曲は変わります。オーケストレーションされた雄大なキメやユニゾンは、映像的で感動的なフィナーレとなっています。


09:インディアン・タウン
前の曲の激しい劇的な展開に連続して静かなスタートをします。
この曲はフレットレスベースの音のようなシンセのモチーフをずっと連続して流し、その上にいろいろな展開や音を重ねて行くという曲。
曲調が7曲目に似ている感じがありますので、この曲を含めた7、8、9曲目と言うのはひとつの大きな組曲的な流れを感じます。


10:オール・ラヴ
MIDIを使用した重厚な音の重なりを使ったバラード。
エレクトリクなのはチック・コリアさんのエレピの音のみで、ジョン・パティトゥッチさんもアコースティック・ベース。そしてデイブ・ウェックルさんもシンプルなドラムプレイになります。
それでも、チック・コリアさんの音の巧みな創りのために、非常に華麗なバラードになっています。

これはライナーノーツを読むと、弾き方の強弱でいろいろな音が奏でることができるようにプログラミングがされているようです。シンセのオーバーダビングで音を厚くしているような感じにも聴こえるのですが、良く聴いていると常にエレピに音が連動している様子なのでオーバーダビングなしで、MIDIを生かした音色の連動、で奏でていると想われます。MIDIの特性を最大限に生かした見事な音創りでこのあたりも非常にエレクトリックです!


11:シルバー・テンプル
かなり複雑な展開と流れ、リズムを持っている曲です。掴みどころが無いようで見事に曲が流れているのがアレンジの妙ですね。
また、デイブ・ウェックルさんのシャッフルの入ったビートがそれを後押ししています。
ここでのドラミングは見事ですね。細かいスネアが入ったり複雑にタムが入る感じはまさに肝!です。

チック・コリアさんのソロの後から曲は劇的に展開してアップテンポになります。
ジョン・パティトゥッチさんの小刻みなベースラインとデイブ・ウェックルさんのバスドラがピッタリと連動していてビート感をアップさせています。

そのリズムに乗ってソロを展開するのがスコット・ヘンダーソンさん。
基本的にワンコードの部分ですが、とてもそうだとは想えないような仮想コードを想定してのフレーズ展開とデミニッシュ的なライン構成は、アウトフレーズの方法としてロックギタリストでもかなり参考になるフレーズだと想います。

激しい展開を経て曲は再びテーマの流れに戻っていきます。そしてジョン・パティトゥチさんのソロへ。ここでも高い音で抜群のメロディラインを奏でていきます。

キメや展開が複雑で、演奏するのにとても緊張しそうな曲です。かなり難しいバンドアンサンブルが必要だと想います。
そのバンドアンサンブルの妙を堪能したところでこの作品は終わります・・・。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★

チック・コリアさんもライナー・ノーツを読むと、『エレクトリック・バンドだからと言って、単なる電気楽器を使用していると言うことではない』と言っています。
確かに、エレクトリックなサウンドなんですが、今回久しぶりに聴いて見て実にエレクトリクな中にヒューマンでアナログ的な『味』を感じました。

例えばチック・コリアさんの音にしても、あえてMIDIで複雑にしなくても、もっとエレクトリックにシンクラヴィアなどフルに使用すれば実は簡単に同期できたりするわけです。

また、ジョン・パティトゥッチさんも適所でアコースティック・ベースを使用したり、デイヴ・ウェックルさんも打ち込みのリズムとの共存を図っていたり・・・。

あくまでもエレクトリックな音をつかさどっているいるのは人間。
それをどう扱うか、どうやって奏でるか、いかに取り込んで連動するか・・・
と言う部分において、模索しながらもコントロールして演奏する感じが、実にヒューマンだったりするのです。

これは、そのままチック・コリアさんの言う
『エレクトリックと言うものが現代の象徴でそこに住んでいるのは我々・・・』
と言うコンセプトと見事に連動していますね。

曲の流れやバラエティーさも抜群で、しっかりとしたコンセプトの元での一貫性があって、飽きがこなくて一気に聴いてしまう名盤だと想います。
この作品も私のCDラックの隅にずっとあったのかと想うと、もったいなかった!と想うと同時に、また名作を見つけた!と言う喜びを感じました。

(CD TOTALTIME:57:38 / Walking消費カロリー:231.69 kcal)

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The Elektric BandThe Elektric Band
Chick Corea's Elektric Band

曲名リスト
1. City Gate
2. Rumble
3. Side Walk
4. Cool Weasel Boogie
5. Got a Match?
6. Elektric City
7. No Zone
8. King Cockroach
9. India Town
10. All Love
11. Silver Temple

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(*)本文に登場したCD・DVD

デュエット(初回限定盤)(DVD付)デュエット(初回限定盤)(DVD付)
チック・コリア&上原ひろみ
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あとがき
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2008年02月23日

フィクショナリー/ライル・メイズ・ウィズ・マーク・ジョンソン・アンド・ジャック・ディジョネット
FICTIONARY/LYLE MAYS with MARC JOHNSON AND JACK DeJOHNETTE

Fictionary

今日は午後少し荒れ模様とのことでしたので、早々にwalkingをしました。と言うことで選んだのはライル・メイズ・ウィズ・マーク・ジョンソン・アンド・ジャック・ディジョネットさんのフィクショナリーです・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

この作品は1993年のリリース。パット・メセニーさんの朋友ライル・メイズさんの3枚目のリーダー作になります。スッキリとしたピアノ・トリオでメンバーも強力。折りしも、パット・メセニーさんのトリオ作品をこのところ聴いてレビューをさせていただきました。その良き相棒のトリオ作品はいかがでしょうか・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

01:ビル・エヴァンス
感情がこぼれ落ちるような優しいスタート。タイトル通りに雰囲気はビル・エヴァンスさんのバラード。それもそのはずで、ベースのマーク・ジョンソンさんもドラムのジャック・ディジョネットさんもビル・エヴァンス・トリオで活躍したミュージシャン。

CD Time=0:08のコード展開ですでにノックアウトしてしまいそうな美しさ。ライル・メイズさんは、コードのハーモニーをじっくりと響かせてその上にメロディを乗せていきます。ピアノのペダルの使い方が絶妙でそれによって漂うフレーズの残響が、よりプレイをリリカルなものにしています。

CD Time=3:01の4拍目で左手の少し跳ねた、切れの良い和音を合図にマーク・ジョンソンさんが少し跳ねたリズムでラインを繋ぎます。それにジャック・ディジョネットさんもすかさず反応して軽くスウィングをしていきます。
そして、そのスウィングしている部分のエンディングの合図はジャック・ディジョネットさんのブラシワーク。それを合図に再び静かな世界へ戻っていきます。この美しいかけ引きは、無条件にいい!って想います。
そのまま、あくまでも美しくエンディングを迎えます。

ライル・メイズさんとビル・エヴァンスさんの共通点はコード・ヴォイシング等いろいろあると想いますが一番の部分はその美しさ。これはただただウンチクなしで聴き惚れるのが肝!と言うことですね・・・。


02:フィクショナリー
ライル・メイズさんのソロ・ピアノからスタートします。ここでも、1曲目の美しさを引き継いだ綺麗なメロディと音を奏でています。
後半は、やや速いパッセージやブルージーなフレーズも登場してジャズ・ピアニストライル・メイズさんと言うことを認識させられます。パット・メセニー・グループでは聴くことができないプレイにちょっと感動します。

CD Time=2:12で、今までの美しさを今度は、リズミカルで速いパッセージで展開してアップテンポになります。ライル・メイズさんは左手のコードが次々に目まぐるしく変わっていく展開の中で実に良く歌っているラインを奏でていきます。

この曲のソロを聴いていて想ったのが、ジャズの定番と想われるようなラインが少ないと言うこと。全体を聴いていると確かにジャズラインなんですが・・・。パット・メセニーさんのクロマティックを使ったアプローチに対してもう少し音の感覚が広いような感じといったら良いでしょうか。そのために、アドリブラインがクリアで解り易いと言う感じがするのです。また、コード感覚に良い意味での『ジャズ臭さ』が無いので非常に洗練されていると想うのですが・・・。

とにかく弾きまくっていると言う演奏です。ここでその弾きまくりに、いろいろなおかずやパターンで、言うならば『表』で答えているのがジャック・ディジョネットさん。そして、地味ながら抜群のビート感、言うならば『裏』で答えているのがマーク・ジョンソンさん。
3人の絶妙なグルーヴを味わうことができるトラックになっています。


03:シエナ
軽いボサノボのリズムの中に重さのあるリズムが漂っているのがこの曲のイメージでしょうか。ライル・メイズさんの左手のコードワークのコードがコロコロと展開する感じがいいですね。

そのコードワークに乗って奏でていた右手が、CD Time=2:37で左手と一体化したフレーズを奏で、CD Time=2:25の駆け上がりフレーズを最後に再び分かれて、右手は高い音でのフレーズを美しく奏でていきます。そして、ソロのエンディングに向けては、再度一体化した左右の手でコード奏法を奏でていき、劇的に盛り上げていきます。


04:リンカーン・レヴューズ・ヒズ・ノーツ
ジャック・ディジョネットさんのドラムにマーク・ジョンソンさんのベースが絡むパフォーマンスでスタートします。ライル・メイズさんのピアノが入るとフリーと言うか、かなりルーズな感じで曲は進んでいきます。ここまでの曲の中にはパット・メセニー・グループの影ってあまり感じなかったのですが、この曲はそのコード展開など、若干ではありますがその影を感じることができます。

ライル・メイズさんのソロは、そのルーズな感じに反するように速いパッセーをたたみかけてきます。CD Time=4:30あたりから段々とエキサイトしてきて、ややラフな一面を聴くことができます。また、バックのジャック・ディジョネットさんが連動するかのように反応をしていて聴き応えがありますね。
このソロのようにライル・メイズさんのフリーな演奏で、ちょっと切れる感じ?はパット・メセニーさんとの共通点とも言える部分に出会えた感じです。


05:ハード・エイツ
ジャック・ディジョネットさんのタムまわしからスタートします。ドラムの音の分離がクリアなので左右に動くタムの音が実に面白く頭の中を駆け巡ります。
インテンポになると雰囲気はややラテン風のアップテンポ。ちょっとソング・フォー・ビルバオのような雰囲気もあって、パット・メセニーさんが好みそうなハードなナンバーです。

ライル・メイズさんのソロはそのコード進行もあってか、左手のコードワークを上手くアクセントにしてハードめに奏でていきます。
CD Time=3:39からのラインはパット・メセニーさんのようなクロマティックにダウンしていくフレーズ。その後もクロマティックをきっかけとしたフレーズが頻出してきて、2曲目とは違うかなりジャズ的なアプローチを聴くことができます。

続いてマーク・ジョンソンさんのソロ。
ソロがはじまったときに想わずベースの存在を再認識します。ここまでのプレイは実に影的で目立たず、意識をあまりしていなかったと言うのが実際。でもそれは、聴こうとしなくても自然に耳に入っていた空気のようなプレイと言うことであり、リスナーを意識させないで絶対的な存在感を出すと言うベースの鏡みたいな演奏は、さすがのマーク・ジョンソンさんと言うところでしょうか。
このソロは、歯切れの良いラインを中心に速いパッセージで弾き抜けていきます。ベースソロのエンディング部分で、ライル・メイズさんのバッキングと絡んでビートが加速していくところは、シンフォニックで盛り上がりますね。


06:サムシング・レフト・アンセッド
一転して優しいメロディをもったバラード。この曲もパット・メセニー・グループのバラードの香りが結構しますね。マーク・ジョンソンさんのソロと絡むライル・メイズさんのピアノが非常に美しいです。

ライル・メイズさんのソロは、特徴でもある高い音でのフレーズを前半に奏でます。相変わらず、耳にキツそうで心地よい、と言うギリギリのラインの高音を綺麗に奏でていきます。

エンディングのロール部分でのピアノの音の選択がいいですね。綺麗な響きの音を選んで、優しく、リリカルに終わっていきます。


07:トリオ♯1
この曲はサウンドチェックの為に演奏していたものを録音したと言う曲。サウンド・チェック用ですので、まさにフリーで即興的な演奏。
曲と言うことを意識していなかったり、打ち合わせもほとんど無いと想われますが、これが実に見事に聴き応えのある曲になっているから不思議、と言うか凄い、と言うか。
途中4ビートのランニングにマーク・ジョンソンさんが入ってからは、見事に全体がスウィングしています。
それにしてもサウンドチェックでこれだけの演奏を聴かせてくれるというのは、3人とも凄いですね。幸運にも録音していたエンジニアさんに拍手と言うところでしょうか。


08:ホエア・アー・ユー・フロム・トゥデイ
ライル・メイズさんが大学在学中に書いたと言うナンバー。パット・メセニーさんもそうなんですが、自分の書いた古い曲を大切にしていてしかも、それを演奏することによって自分の成長を認識したいと言う想いがあるようですね。

古いオリジナルでも全く違和感が無いのは一貫した音楽的なバックボーンもありますが、どちらかと言うと、今の世界観に染めていると言う感じでしょうか。

ソロもそんな感じを全面に出すように弾きまくります。特にCD Time=3:14からのかなり速いパッセージの連続は電気が走るような爽快感があって息を呑むフレーズです。


09:フォーリング・グレイス
この曲はオリジナルではなくてスティーヴ・スワローさんの曲。アップテンポのピアノのラインに、最初は静かに絡んできて、段々とビートを刻んでいくマーク・ジョンソンさんがいいですね。

ファーストソロはマーク・ジョンソンさん。ソロエンドはライル・メイズさんのピアノが『しかけ』てそれに応戦するフレーズでマーク・ジョンソンさんが奏で、最終的にはライル・メイズさんがソロを奪っていき、マーク・ジョンソンさんが4ビートを刻んでいと言うインタープレイ。抜群のビート感を持って迫ってくる感じが肝!ですね。

ライル・メイズさんのソロは、かなりジャズラインで軽快に奏でていきます。ソロエンドのCD Time=3:46からの左手のコードワークが実に巧みです。


10:トリオ♯2
この曲もセッション・即興的な曲と言うことでしょうか。ライル・メイズさんの少し陰鬱な感じのするソロ・ピアノにリズム隊の2人が静かに絡みます。
基本的にはバラードなんですが、あくまでもバックの演奏はSE的な流れで奏でます。かなり不思議な空気感のある楽曲なんですが、これも即興的な演奏だと想うと、やはりその凄さを感じます。


11:オン・ジ・アザー・ハンド
この曲はソロピアノでの曲です。想わず引き込まれてしまう美しさがありますが、どちらかと言うと歯切れの良いラインを刻んでいきます。

単純に曲を演奏すると言う部分はもちろん良いのですが、音の飛び方やニュアンスを良く聴いていると実に映像的だと想います。また、激しい感じのラインの間に聴こえる美しさはジャズ的と言うよりはかなりクラシカルな雰囲気を感じます。

このように改めてライル・メイズさんのプレイを聴いていると、音の選択とコード感が、単なるジャズピアニストではなくて独自の世界観をもっていることが良くわかります。

不思議な魅力を漂わせたまま、静かに終りを告げていきます・・・。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★

パット・メセニー・グループでは、なかなか聴くことが出来ないライル・メイズさんのピアニストとして一面をじっくりと堪能することが出来る作品です。

パット・メセニーさんのトリオ作品は、どちらかと言うとジャズ的な要素はもちろんありますが、もっとグローバルな音楽的な香りがします。
そしてライル・メイズさんのこの作品は、さらにグローバルな音楽性を感じさせてくれます。もちろんその中にジャズの要素もたくさん含んでいて聴き応えがあります。

更に、パット・メセニーさんの作品に比べてよりパット・メセニー・グループの香りがすると・・・。
これは、楽曲のコードの流れやライル・メイズさんのコード感、コードヴォイシングの妙からくるものかと・・・。

これで解ることが、パット・メセニー・グループにおけるライル・メイズさんの存在が相当な部分を占めているのではないか?と言うことです。
パット・メセニーさんもライル・メイズさんが居なければグループとして成り立たない的な発言を良くしていますが、それが良く解ったような感じがします。

まさに2人は長年連れ添った夫婦のよう・・・。
ほっておいたらけっこう暴走しそうな永遠のギター小僧パット・メセニーさんをしっかりと抑えてる内助の功・・・。
でも、もっとライル・メイズさんのピアニストとしての他流試合も聴きたいところ・・・。今回はソロ作品ではありますが、しっかりとパット・メセニーさんがプロデュースでサポートしていますし・・・。

パット・メセニーさんも良き旦那として、もっとワイフを外へ出してあげないと、やきもち焼きでは困ります・・・と言うのは冗談にしても、パット・メセニーさんのプロデュース以外の部分でも、グループを離れたピアニストとしてのライル・メイズさんの活動をもっと聴きたいですね。
そんなことも痛烈に感じてしまう名演奏だと想いました。

(CD TOTALTIME:65:36/ Walking消費カロリー:263.71kcal)

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FictionaryFictionary
Lyle Mays / Marc Johnson / Jack DeJohnette

曲名リスト
1. Bill Evans
2. Fictionary
3. Sienna
4. Lincoln Reviews His Notes
5. Hard Eights
6. Something Left Unsaid
7. Trio #2
8. Where Are You From Today
9. Falling Grace
10. Trio, No. 2
11. On The Other Hand

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2008年02月21日

太陽神/アース・ウィンド&ファイアー 
 ALL’N ALL/EARTH,WIND&FIRE

太陽神


最近は少し体に負荷をかけてwalkingをしています。どうしても寒いので汗をかくことがなく体も温まり難いので・・・。と言うことで、負荷をかけるには最適?かも知れないアース・ウィンド&ファイアー太陽神walkingをしました・・・。


この作品は1977年リリース。このところ訳があってEW&Fの映像をたくさん観ました。当然観ていれば聴きたくなるのが常で、今日はこの作品を選んだと言うわけです。ジャズ・フュージョン作品ではなく、久しぶりの洋楽と言うことになります・・・。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★

01:太陽の戦士
ミディアムテンポのファンキーなビートを持ったナンバー。いつ聴いても心地よいのが、モーリス・ホワイトさんとフィリップ・ベイリーさんの歌とコーラス。ちょっとラップ的な雰囲気もある曲なんですが、ひたすら流れているリズムに強力なブラスサウンドが絡んでいきます。

このファンキーなリズムに一役かっているのが、バーディン・ホワイトさんのベースライン。淡々とした中に、時々聴かせるスラップのプルが実にいい感じですね。実は、バーディン・ホワイトさんは結構好きで、とにかくビジュアルのカッコ良さが抜群だと想います。でも、ビジュアルだけではなくて、やはりEW&Fのサウンドの要はこの人。まさに、エナジー!と言えますね。


02:宇宙のファンタジー
言わずと知れた大ヒット曲。特に日本では爆発的な人気であったことを想い出します。当時、EW&Fはそんなにのめり込んで聴いてはいなかったのですが、この曲は好きでエア・チェックをして良く聴いていました。

静かなエレピの旋律に2拍づつコードを動かして奏でるイントロダクション。そしてその終りの部分、定番のコード進行、Esus4→Eでエンドな感じと続く感じを演出してリズムインします。
歌に入るまでのキー・ポイントはギターのカッティング。これはアル・マッケイさんのプレイ。歯切れが良く、また単音のラインに見事に和音を1回つづ絡めています。

歌はフィリップ・ベイリーさん。ほとんどファルセットで歌い切ります。フィリップ・ベイリーさんは地声もかなりいい感じなんですが、何と言ってもファルセットが綺麗ですね。

Aメロが終わった後、CD Time=1:22のパーカッションも軽快で個人的にはかなり好きです・・・。

ワンコーラス終わったところ、CD Time=2:38で、再びイントロのパターンに戻りますが、記憶が確かであれば、シングルカットされたものは、この部分が無かったような気がします。(あまり自信がありませんが・・・)でも、ここでイントロに戻るのが結構肝!で曲全体を凄く締めていると想うのですが。

サビはCD Time=3:20から転調をします。そしてコーラスにフィリップ・ベイリーさんのファルセットヴォイスが絡んできます。特にライブなどでは、この部分がかなり聴かせところになっていますね。

また、この曲でもバーディン・ホワイトさんのベースラインが実にテンポとグルーヴをキープしています。難しいラインではないのですが、いい味を出しています。

それにしてもいい曲ですね。その要因のひとつにコード進行の洗練されたスムーズさがあると想います。
テーマの部分は、Am→Bm→Cmaj7→D→Cmaj7→D→Esusu4→Eとなっています。一度ベース音がDまで上がっていっていったんCに引き返し、再び上がっていってEに解決しています。この2段階の構成がよりスペーシーで、さらにサビに向けての盛り上がりを創っていると想います。

そしてサビは、Em→Am→D→Gmaj7→Bm7→C→Am→A♯dim→B7・・・。これは実にスムーズなコードの流れで、まさにジャズ・フュージョン的。アドリブを乗せてもフレーズが湧き出て来そうな流れになっています。特に肝!なのは、Gmaj7→Bm7の部分。そしてA♯dimの部分。アドリブをもしするとしたら、この2つの部分をどうやって弾き切るか!が勝負になると想います。

そして、Emは4度転調して、今度はGmスタートになります。この4度の転調と言うのもジャズ・フュージョンでは結構頻出する流れです。洗練れていて、ジャズ・フュージョン好きにはたまらない進行を持っていると想いませんか?

また、邦題の宇宙のファンタジーと言うのもベタな感じもありますが、まさにピッタリと言うか、よくハマッているタイトルだと想います。


03:市のたつ広場(間奏曲)~銀河の覇者
異国のムードがたっぷり出ている間奏曲が終わると、ブラスの派手なイントロへ。アル・マッケイさんのギターカッティングとバーディン・ホワイトさんのベースラインが見事に連動していて絶妙なグルーヴを生み出しています。そのリズムに乗って、モーリス・ホワイトさんがソウルフルで、フィリップ・ベイリーさんとはまた違った味でたたみ掛けるように歌っていきます。

この曲でカッコ良い部分は、CD Time=2:00のサビの終りに絡むイントロのパターン。ロングトーンでのサビ終りのコーラスにイントロのパターンを見事に絡めてリフレインしています。このアレンジは結構肝!ですね。


04:ラヴズ・ホリデー~ブラジルの余韻(間奏曲)
一転して、ミディアム・シャッフルのバラードです。EW&Fには名曲と呼ばれるバラードがたくさんあります。ファンキーな部分とは別のもうひとつの顔を覗き見ることが出来るナンバーです。

ここでのメインはモーリス・ホワイトさん。パワフルで優しい歌にフィリップ・ベイリーさんのファルセットが絡んでくると、これまた独特の世界が広がります。

そのバラードに続いて、ハミングで2人が奏でる間奏曲に続きます。途中からインしてくるフレッド・ホワイトさんのドラムがタイトです。そして、バーディン・ホワイトさんの少しソロを絡めたベースラインに更に2人のハミングが絡んでいきます・・・。ライブではメンバー紹介に使用されたりしている曲ですね。


05:聖なる愛の歌
アル・マッケイさんの印象的で綺麗なギターアルペジオでスタートするバラードです。ここではフィリップ・ベイリーさんのファルセットではない地声の歌を聴くことができます。ついファルセットに耳が行きがちなんですが、実にいい声ですね。囁くように、優しく歌い上げていきます。まあこの声があってこそのファルセットなんでしょうけど。

後半の盛り上がってきたところでは、もちろん強烈なファルセットでのアドリブを聴かせてくれます。特にフェードアウトの間際はかなり凄いファルセットで、いい感じです。


06:マジック・マインド
軽快なビートにノッてのノリノリでダンサブルなナンバーです。
このビートのキメ手はベースライン。シンセベースとバーディン・ホワイトさんのベースが、基本的には同じフレーズを繰り返していくのですが、絶妙にマッチしています。また、左右のチャンネルに振り分けられていて、更にセンターでクロマティックなリフを刻むアルマッケイさんのギターが更に味付けをしています。


07:ランニン’~ブラジルの余韻(間奏曲)
アップテンポの16ビートで洗練されたフュージョン的な味わいのコード進行を持っている曲。ここでもビートをけん引しているのは、ベースとギター。ギターは細かくミュートカッティングをしていて、そのフレーズに部分的にベースが同調しながら進んでいきます。

歌詞はなく、ヴォイスでモーリス・ホワイトさんとフィリップ・ベイリーさんが歌います。このあたりも実にフュージョンっぽい創りですね。

サビ後のCD Time=1:13からの何か恐ろしげな感じさえするコード進行部分が印象的です。その部分の終りで、音を全体で延ばすのですが、イントロのパターンに戻ってもコーラスだけは切れずにそのままずっと音を延ばし続けています。この部分カッコ良いですね。けっこう肝!です。

テーマを繰り返した後、曲は展開をして、トランペットのソロそしてサックスのソロと続いていきます。ビートはサンバなんですが、ここでも絶妙なビートを刻んでいるのが、やはりバーディン・ホワイトさんのベースライン。

サックスのソロからSE的な部分に入って、再びテーマに戻ります。するとテーマがフェードアウトして、ピアノとシンセストリングスでクラシカルな小曲を奏でてエンディングです。

なかなか劇的な展開を持っていて、EW&Fのミュージシャンの楽器プレイヤーとしての上手さを味わうことが出来るトラックです。


08:ビー・エヴァー・ワンダフル
ややシャッフルのビートを持っている雄大なバラード。ちょっとディナーショーのような、エンターテイメント性の強く出ている曲です。それをモーリス・ホワイトさんが抜群の抑揚で朗々と歌い上げていきます。
EW&Fが只者ではないのが、バラードが非常に良い事だと想います。もちろんノリノリの曲も良いのですが、このようなバラードにおけるモーリス・ホワイトさんの歌とファルセットで絡むフィリップ・ベイリーさんの歌は大きな魅力ですね。

ムーディーな雰囲気の中で、フェードアウトしていき、ショーの幕が引かれていきます・・・。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★

EW&Fを良く聴くようになったのは、実はカシオペアのせいなんです。と言うか、野呂一生さんのインタビューでインスパイアされたミュージシャンと言うことで紹介されていた記事を読んで、当時カシオペア教?だった私はすかさず聴いて見たと言うわけなんです。
良く聴くと確かに共通な部分と言うか、間違えなく野呂一生さんがインスパイアされたと想われる曲がけっこうあることに気が付きました。

例えば、この作品でも4曲目のラヴズ・ホリデーの曲調やコード進行は、スウェアーやドリーム・ヒルなどと共通するテイスト・・・。
6曲目のマジック・マインドのベースパターンを繰り返して曲が進んでいく感じはギャラクッティク・ファンクの感じ・・・。
カシオペアのギターの16ビートカッティングを中心としたナンバーやダンサブルなナンバーはけっこう近いものを感じるのですが・・・。

そんなきっかけで聴いているうちに、次第にけっこうのめり込んでいって、ついにはEW&Fのコピーバンドもしてしまったのです。

もちろんギターなんですが、何故か高い声が出ると言うことでフィリップ・ベイリーさんのパートを歌い、さらにはダンスも決めなくてはならないと言う、かなり過酷なバンドだったことを想い出します。まあ、当然出来は良くなかったので、そのライヴのビデオは封印してありますが・・・。

やって見て初めて解ったのが演奏の難しさ。
テクニック的には、それなりに演奏することが出来ますが、演奏が出来ても、このグルーヴ感はアマチュアではまず出せないと想いました。さらにステージパフォーマンスが加わると、難しさは×100倍と言う感じですね。

とにかく聴いていて楽しいのがアース・ウィンド&ファイアー。
想わず腰が動いてしまう音楽は、もちろんwalkingにもピッタリ!ハマリます!

(CD TOTALTIME:39:07 / Walking消費カロリー:157.25 kcal)

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太陽神太陽神
アース・ウィンド&ファイアー

曲名リスト
1. 太陽の戦士
2. 宇宙のファンタジー
3. 市のたつ広場
4. 銀河の覇者
5. ラブズ・ホリデイ
6. ブラジルの余韻
7. 聖なる愛の歌
8. マジック・マインド
9. ランニン
10. ブラジルの余韻
11. ビー・エバー・ワンダフル

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あとがき
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2008年02月19日

コレクション/デイブ・グルーシン 
 COLLECTION/DAVE GRUSIN

デイブ・グルーシン・コレクション

今日はwalkingをしていても少し汗ばむくらい陽射しが暖かい一日でした。こんな爽やかさの漂う日には、すっきりとした音楽で・・・。と言うことでデイブ・グルーシンさんのデイブ・グルーシン・コレクションwalkingをしました・・・。


この作品は1988年リリース。『コレクション』と言うタイトルからお解かりの通りのベスト盤。1976年から1988年までの作品からチョイスされた楽曲がラインナップされています。
ベスト盤と言うのは、良いとこ取りの感があって作品全体として聴くと、意外に散漫になってしまったりすることがあるのですが、この作品はどうでしょうか・・・。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★

01:シー・クッド・ビー・マイン
ボサノバのリズムが非常に心地よいスタートです。その元のリズムを淡々と刻んでいるのがスティーヴ・ガッドさん。小刻みなスネアワークが見事です。
デイブ・グルーシンさんのアコースティック・ピアノとフェンダー・ローズをいろいろなところに散りばめながらも、あくまでもストレートに曲は進んでいきます。

CD Time=3:20からのアコースティック・ピアノのソロは、高い音がコロコロと流れていて曲の流れに沿ったリリカルなプレイ。
後テーマでは、自分の弾くローズのメロディに自らのアコピで絡んでいくと言う構成。これもまた流れを止めないで煌びやかに奏でています。

とにかく、流れにノッて聴いているとスーッと染み渡る様な心地よさが、爽快感に変わってくる感じがします。


02:サンクフル&ソウトフル
ディレイの強く掛ったアルトサックスのブローからスタート。この特徴ある音色とフレーズは一聴でデイヴィッド・サンボーンさんと解る唯一無二のブロー。デイブ・グルーシンさんのエレピの和音を合図に、重たく、スローな8ビートがインしてきます。

テーマはフィービー・スノウさんのファンキーな歌。サビのコーラス部分は更にファンキー。コーラスにデイヴィッド・サンボーンさん絡むと、もっとファンキー!

テーマを挟んでデイヴィッド・サンボーンさんのソロが実にいい感じです。
スタートは同じメロディをフェイクしながら繰り返し、CD Time=2:11の転調をキッチリとキメます。CD Time=2:18の息切れしそうなフラジオのロングトーンからスタッカートでフレーズは下降していきます。しかし再びCD Time=2:25で荒々しいブロウ。それに繋げてタンギングをレガートに使用した揺れるフレーズを繰り返した後更にフラジオ。そしてCD Time=2:38の更に高い音でのフラジオに続いてCD Time=2:43で絶頂のフラジオをキメます。
嫌が上にも盛り上がるフラジオ・オンパレードで実に個性的で肝!なソロです。

ラストはサビのコーラスにデイヴィッド・サンボーンさんが絡んでソロを展開します。
CD Time=3:13でのフィービー・スノウさんのベンドしていく歌にインプロヴァイズされて同じようにフラジオをかましてくれるのですが、これが緩やかなベンドからの絶妙なビヴラートをかけ、そしてロングトーン。その後は速いパッセージで吹き抜け、フェードアウト近くでは小刻みなベンドを連続してたたみかけています。

デイヴィッド・サンボーンさんの見事なプレイを何か久しぶりに堪能した感じがするのですが、実は、この裏にあるのがベースのマーカス・ミラーさんのプレイ。

基本になっているリズムが、16分喰っての3音。そしてその内の最初の2音のみがドラムのバスドラと連動しています。その為に、3音の最後の1音がスーッと取り残されたような感じのアフターなビートを創っています。
さらに、2小節がワンパターンになるのですが、2小節めの2拍めと3拍目のキメの部分では、ベースを左右にオーバーダビングして強烈な厚みを出しています。このアイデアはまさに肝!この曲を特徴つけているサウンドになっています。

これだけファンク色が強いともっと泥臭くなるような気がするのですが、実に洗練されたファンク色になっているのはデイブ・グルーシンさんのアレンジお見事!と言うことだと想います。


03:リヴァー・ソング
エレピでの和音フーレズをモチーフにして展開していく、前の曲とは全く違う爽やかなミディアムテンポのナンバー。
クレジットを見るとデイブ・グルーシンさんの名前のみ。この曲はオール打ち込みのようです。そう言われると、音の感覚や厚みがそれらしいですね。でも、かなり凝っていて、一聴打ち込みオンリーとは想えないような仕上がりになっているのが流石です。
また、この打ち込みのメンバー?としてAtari1040 ST Computerとクレジットされているのが時代を感じさせてくれますね。


04:プレイイーラ
基本的にピアノトリオ+パーカッションと言う編成で奏でられる4/4+2/4と言う拍子のマイナーなメロディを持った曲。一歩間違うとド・マイナーな定番ソングになってしまいそうな雰囲気もあるのですが、そうなっていないのはCD Time=0:40のキメ・フレーズがある為。

スティーヴ・ガッドさんのスネアロールが入ると、ちょっとウエスタン調の香りが漂ってくるのですが、それを抑えているのも先ほどのキメ・フレーズ。このあたりの微妙な抑えが実にいいですね。

また、ベースの音が実にいいです。これはロン・カーターさんのウッド・ベース。この音はエレクトリックにも負けない伸びと重厚さがある音質で、なかなか迫ってくるものがあります。

途中のメロディとソロをソプラノで奏でているのがグローヴァー・ワシントン・JRさん。かなり渋いメロディを聴かせてくれます。特に後半のロン・カーターさんとの掛け合いの部分はグッと来るものがあります。


05:ある俳優の生活
この曲は個人的にデイブ・グルーシンさんの曲の中でも1、2を争うくらい好きな曲です。何故か、ピアノをコピーして演奏したと言うこともあって想い入れもあります。

テーマ部分の少しファニーな感じと一転して、中サビの部分のテナーサックスのメロディが実に綺麗です。これはアーニー・ワッツさん。この部分から再びファニーなテーマへ戻るそのアレンジが実にスムーズで見事ですね。

さらに、2コーラスめは少し展開を変えて、先ほどのサックスの部分がギターでの綺麗なメロディに変わります。これはリー・リトナーさん。この部分のギターのメロディは本当に美しいと想います。また、音が抜群に良いです。このギターの部分は個人的には肝!なんです。

そのメロディにアーニーワッツさんのサックスが絡んできて、そのまま短いソロへ突入。そして曲はエンディングのテーマに入っていきます。
この部分の何とも言えない、前向きで突っ込んでくるような軽快なビート感がいいですね。単純なメロディとコード進行なんですが実に印象に残る部分だと想います。


06:セント・エルスホエア
デイブ・グルーシンさんのエレピのメロディとコードアルペジオからスタートします。そしてコード進行を上昇させながら段々と盛り上がっていってCD Time=0:23で頂点。そして軽快なリズムパターンに突入するイントロがまずは肝!です。

テーマの最初はベース音を同じ音でペダルとして、その上でコード和音を使用したメロディが奏でられます。そして、2回目の後半でベースラインが展開して、中サビに入っていきます。最初を同じベース音で流すことによってより際立つのが2回目のベースラインの展開。そしてその結果、中サビのメロディに上手く繋いで、さらにそこを際立たせると言う、非常に効果的で見事なアレンジです。

その中サビでもアレンジの妙を聴くことができます。
1回目のCD Time=1:02では、コードがDm7→B♭maj7と言う進行なんですが、2回目のCD Time=2:41ではBm7→Gmaj7と言う進行に転調しています。この転調に繋ぐフレーズとコード進行がまずは見事。
そして、当然転調しましたので、その後のメロディとコードも転調に合わせて少し低い音での進行になっています。これをCD Time=3:04からのブリッジで段階的に上げていって元のキーに戻していきます。CD Time=3:03とCD Time=3:10に入るクラップ的な「チャ、チャ」と言う歯切れのよいフレーズもアクセントとなっていると同時に、この曲のいろいろなところに登場していて、それをこのキーポイントの部分で連発すると言うのも流石です。この展開、そしてアレンジは本当に凄いと想います。

この曲も、クレジットにはデイブ・グルーシンさんの名前しかない、打ち込みものになりますが、それでも、このアレンジの妙で、ソロや派手なしかけは無くても十分聴かせてくれる楽曲になっていますね。恐るべしデイブ!と言う感じです。


07:セレンゲッティ・ウォーク
唯一のライヴ音源でのトラックです。淡々と進むリズムにデイブ・グルーシンさんのピアノとリー・リトナーさんのギターが絡んでいきます。派手な曲の展開は無くて、あくまでも単調なリズムグルーヴに小技を聴かせていくと言うタイプの曲。

当然ポイントになるのはリズム。そこを操っているのはスティーブ・ガッドさんの4打ちのバスドラとリズムマシンのような正確な8ビートのハイハット。そして、相棒のベースアンソニー・ジャクソンさんの淡々としたベースライン。更にもう1人、歯切れの良いギターカッティングを静かに奏でているエリック・ゲイルさん。
淡々とした中に絶妙なグルーヴ感を感じるトラックになっています。


08:アーリー・AM・アティテュード
歯切れの良いカルロス・ヴェガさんのドラムワークに、デイブ・グルーシンさんのピアノとリー・リトナーさんのアルペジオが絡んできて、雰囲気はまさにAM!朝の感じが良く出ています。

テーマはリー・リトナーさんのナイロン弦でのオクターブ奏法で奏でられていきます。
このギターは多分エレクトリック・アコースティックギター。チェット・アトキンスモデルのナイロン弦だと想います。エレキのように切れが良くて、なお且つナイロン弦の豊な音をしっかりと出す名器です。それを名人が奏でているので、悪いはずの無いテーマに仕上がっています。

この曲ではリー・リトナーさんのソロを聴くことが出来ます。
かなりブルージーなラインからスタートしますが、CD Time=2:40からのトリッキーなミュート・アルペジオのフレーズから歯切れの良いカッティングフレーズを絡めて、CD Time=2:58の流れるようなジャズラインでキメます。

それを受けてデイブ・グルーシンさんのソロは、ちょっと音が今一の感じも個人的にはするのですがフレーズとしてはややラグタイム風のファンキーでファニーなソロを聴かせてくれます。

実にまとまった演奏で、無駄の無いアレンジはグラミー賞のベストアレンジ部門を受賞しました。


09:ボサ・バロック
シンセのクラシカルな旋律から、ヴォコーダーを使用した様なサビのメロディとコード進行が印象的なナンバーです。
軽いボサノバ調のリズムがいいですね。またこのサビの部分に絡んでくるピアノが非常にリリカルです。

この曲もデイブ・グルーシンさんとパーカッションのみの打ち込みでの演奏です。派手な展開などはありませんが、ストレートなアレンジで聴きやすく、上質なBGMと言う感じです。


10:オン・ゴールデン・ポンド
デイブ・グルーシンさんのピアノがこの上なく美しいバラード。共演はロンドン・シンフォニー・オーケストラ。オーケストラアレンジも素晴らしくピアノと見事に絡んでいきます。

デイブ・グルーシンさんはご存知の通り映画音楽を数多く手がけています。この曲は映画「黄昏」のメーンテーマ。美しいはずですね。


11:マウンテン・ダンス
この曲もご存知映画「恋におちて」に使用された曲です。デイブ・グルーシンさんのピアノが煌びやかにテーマを歌っていきますが、何と言ってもサビ後のユニゾンが個人的にはもっとも印象に残る部分です。

それに続けて、ピアノソロの入ります。その導入部分でリズムをけん引するのがハービー・メイソンさんのドラムとマーカス・ミラーさんのベース。

デイブ・グルーシンさんのソロは、最初静かに右手のみのラインで入ります。テーマのモチーフとリズムを上手く使用しながらのフレーズ展開です。その後はイアン・アンダーウッドさんのシンセとの掛け合いになっていきます。

再び、美しいテーマに戻ってから、キメのユニゾンでエンディング。その余韻を引きずるようにイントロのピアノでのアルペジオをリフレインしながらフェードアウトしていきます・・・。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★

デイブ・グルーシンさん自体の作品は数枚程度もっているだけで、実はそんなに聴く方ではありません。どちらかと言うと、リー・リトナーさんの絡みで聴くことが多かったアーティストです。
また、ピアニストと言うイメージは私の中にはほとんど無くて、コンポーザー、アレンジャーと言うイメージが強烈にあります。

ですから、曲が洗練されていて、かつアレンジが完璧なのは言うまでもなく、多分細かく譜面が起こされていて、そこには適当とか、さらリと流すとか、ノリのまかせて・・・と言うような演奏はあり得なくて、あくまでも譜面に忠実な演奏があるのだろうと想います。

譜面に忠実に演奏しなければと言うプレッシャー・・・。
しかも、それをさり気無く演ずると言うテクニック・・・。
その上で、曲の展開や部分的に高度なテクニックが必要・・・。
それはまた違った意味での緊張感・・・。

この作品は、実に心地よくて、爽やかです。言ってみれば極上のBGM。それこそドライブなどにも最適と言う感じがします。
その分、ジャズ・フュージョン的な面白さのひとつである、アドリブの面白さやインタープレイなどはほとんど無く、サウンド自体が非常に洗練されていて、退屈と言う言葉も場合によっては当てはまると想います。

しかし、演奏と言う観点を少し交えて聴いてみると、このサウンドがいかに難しいかと。さり気無く、BGM的に演奏をしているように聴こえるのですが、クオリティを上げると言う部分で、先ほどの緊張感が物凄く伝わって来る作品だと想いました。

でも、その緊張感が結果として丁寧な演奏と言うことになり、大変な完成度の高さを生み出しているのだと想います。

これがベスト盤と言うことは、常にデイブ・グルーシンさんの創り出すサウンドにはこのような緊張感があると言うことになり、演奏するミュージシャンもけっこう大変なのではと想ったりします。
しかし、先ほども書いた通りに、サウンドは極上のBGM。意識しなければ、これほど耳ざわりが良い音楽もなかなか無いですね。
その2つの面が共存しているデイブ・グルーシンさんの音楽を味わうには、格好の作品であると想いました。

(CD TOTALTIME:58:26 / Walking消費カロリー:234.9 kcal)

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デイブ・グルーシン・コレクションデイブ・グルーシン・コレクション
デイヴ・グルーシン

曲名リスト
1. シー・クッド・ビー・マイン
2. サンクフル&ソウトフル
3. リヴァー・ソング
4. プレイイーラ
5. ある俳優の生活
6. セント・エルスホエア
7. セレンゲッティ・ウォーク
8. アーリーA.M.アティテュード
9. ボサ・バロック
10. オン・ゴールデ・ポンド
11. マウンテン・ダンス

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あとがき
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2008年02月14日

TRIO→LIVE【DISK2】/パット・メセニー 
TRIO→LIVE/PAT METHENY

Trio Live


先日からの続きでパット・メセニーさんのTRIO→LIVEの【DISK2】でwalkingをしました・・・。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★

01:JAMES
【DISK2】のスタートは、パット・メセニー・グループの言わずと知れた名曲。オリジナルであるオフ・ランプのヴァージョンを聴く限りは、トリオ・フォーマットでの演奏は想いつかないのですが、これを聴くと、実にトリオ向きな楽曲、それ以上にセッション向きな楽曲と言うことが解ります。
それは、メロディが非常に親しみやすく綺麗な旋律と言うことと、コード進行、特にサビの部分での進行が、アドリブをするのに一筋縄では行かない難しさと面白さがある為です。

テーマでは、パット・メセニーさんがフェイクをして『ズレ』を創り、ちょっとルーズな感じを出しています。
特に、サビの部分CD Time=0:21は、最初はジャストのタイミングなのですが、CD Time=0:38から徐々に『ズラして』いって、最後の所では完全にリズムフェイクをリスナーに『しかけ』ます。
またオリジナルのサビ部分は、テーマのリズムが喰ったりしているのに合わせて、コードも喰って進行していきますが、ここでは、コード進行を2拍づつで展開するようにアレンジして、ボサノバのリズムの流れを創っています。
ですから、メロディをパット・メセニーさんがオリジナルに忠実に演奏すると、微妙なコード感の『ズレ』が発生するわけです。それを解消するようなプレイと言うことにもなっていますね。

パット・メセニーさんは心地よいリズムの流れそのままで、まるでメロディの続きを弾くかのように実にスムーズにソロに入っていきます。

ワンコーラスめです。
この曲はいわゆるAメロの部分が10小節と少し半端な小節数になっています。これは、メロディから出来た楽曲と言うことを物語っているのですが、ことソロになると、上手いライン展開をしていかないと少し半端な小節余りみたいに聴こえていまいます。実はパット・メセニーさんも若干そんな風に聴こえます。
それでもクオーター・チョーキングを頭に入れたラインを繰り返しながら展開していて、実にブルージーです。
続く次の10小節は、小節余りの感じがしないラインの流れを創ってサビのパターンへ繋ぎます。

サビのパターンでは、3連のアルペジオをコードチェンジの部分に上手く入れて、抜群なコード感のあるラインで弾き抜けます。

2コーラスめは、スタート部分で、パーカッシブなラインを奏で、CD Time=2:06からは、ひとつのフレーズをオクターブ上げたり、下げたりすると言うフレーズを聴かせてくれます。これはけっこうポジションが飛ぶので、卒なく奏でていますが難しいフレーズです。
その後はクロマティックラインから得意技フレーズへ繋いで、サビのパターンへ入っていきます。

サビのパターンでは、ワンコラースめと基本的には同じようなラインで奏でます。もう少し展開して欲しいところですが、やはりコード進行が曲者ですね。3コーラスめに期待です・・・。

3コーラスめは、ジャズ・セッションなどで得意技としている2音を使用したリズミックなライン。これを合計20小節間、様々なバリエーションをつけながら展開します。
このように同じフレーズを長くリフレインすると、フレーズ終りが決まらないことがままあるのですが、CD Time=3:20からのフレーズ終りの展開が見事で、サビに華麗に繋いでいます。

期待のサビのパターン。ここではコード奏法で難しいコード進行を弾き抜けます。
当たり前ですが、一番コード感が出やすい奏法で、難しいコード進行の曲ではけっこう重宝する奏法。パット・メセニーさんともあろう方が・・・と想うのは安直で、コードヴォイシングとトップノートのメロディラインの動きが見事で、難しいコード進行をより難しいフレーズにしているところが肝!です。
そのままコード奏法で繋いで、ドラムにソロを渡していきます。

ビルスチュアートさんのソロは、バッキングが所々入っていることもあってよりメロディアスと言うか、ドラムが歌っています。

再びテーマ、サビへと戻っていくのですが、そのサビ後のメロディ部分、CD Time=5:24のコードのリハーモナイズが肝!です。物凄く美しいコードとメロディに変化して、一瞬ドキッとするような展開です。


02:UNITY VILLAGE
この曲のオリジナルはブライト・サイズ・ライフ。ライナーノーツでパット・メセニーさんが『少年時代を過ごした村に連れ戻されるようだったなあ・・・』と。
そんな感じが良く出ている演奏で、郷愁を感じさせてくれます。

パット・メセニーさんのソロは、そんな昔を想い出すかのような雰囲気で弾きまくっています。
コード進行を見事にラインに乗せて奏でていて、速いパッセージの中にも抜群のコード感がありますね。CD Time=3:22からの3連を絡めたラインの連続は、その象徴的なフレーズで、コードアルペジオとメロディの見事な融合を聴かせてくれて、呼吸をするのも忘れて想わず聴き入ってしまいます・・・。


03:SOUL COWBOY
このメンバーと言うことを意識して書いたと言う前作TRIO99→00(*)にも収録されていたブルースナンバー。いわゆる4ビートジャズはこの作品でオール・ザ・シングス・ユー・アーに続いて2曲目と言うことになります。

テーマはワンコラースめをパット・メセニーさんが単独で奏でていくのですが、良く聴いて見ると、ブルージーで比較的単純なメロディなんですが、音量も音程さえも定かではない、いわゆるゴーズトノートが実にたくさん入っているのが解ります。
また、そのゴーストノートが実に良いタイミングを創っていて、これが単独でありながらも絶妙なグルーヴ感を出しています。特にCD Time=0:09からのメロディは、良く聴くとかなりたくさんのゴーストノートを聴くことができます。

ここでのパット・メセニーさんのソロはライヴらしく、かなりエキサイティングなプレイをしています。もちろん、バックの2人もそれに答えるように、インタープレイをキメています。


04:NIGHT TURNS INTO DAY
ナイロン弦のアコースティックギターでのソロからスタートするバラードです。
音質がけっこう固めで、一般的に出回っている、いわゆるクラシック・ギターとは明らかに違う響きをもったこのギターはリンダ・マンツァーさんの製作したギターとのこと。少しエレクトリックな香りもするのですが、各弦の音の分離が明確ですので、非常にクリアで聴きやすいと想います。個人的にはもう少し柔らかい方が好みではありますが。

綺麗なコード進行とメロディを持った曲で、非常に情緒的で繊細な曲に仕上がっています。


05:FAITH HEALER
アップテンポの4ビートのリズムを裂くようにパット・メセニーさんの歪み系の音が割り込んできます。この曲はフリージャズ的な曲。メロディらしい部分があるようで無く、ただひたすらノイジーに進んで行きます。
それでも最小限の3人と言うユニットにしてみれば、エレクトリックの力をかなり借りてはいますが、非常にシンフォニックで、幻想的になっています。
これは、パット・メセニーさんのもうひとつの世界と言える部分。好き嫌いがはっきりと分かれるところなんでしょうけど・・・。

メロディやリズム、スケールなど音楽的な規制を取り除くことによって、表現できる世界はまさに音のみ。ある意味もっとも心底から出ている『叫び』と言えるのかも知れません。
特に、ギターの歪み系の音はそれを表現するのにピッタリな音で、エレキを弾いていた方ならば、例えば新しいエフェクターなどを仕入れてそのプリセット音の中にこのような幻想的な歪み系の音があれば、
ひたすらデタラメに弾いて、勝手に盛り上がる!と言うこと・・・ありますよね。
もちろんパット・メセニーさんの場合はデタラメではなく、レベルが全く違いますが・・・。

また、このパフォーマンスはジャンルを超えて、形こそ違いますが、例えば、ジミー・ペイジさんの弓を使った奏法やリッチー・ブラックモアさんのギター破壊時のブーツでの足弾き、ジミ・ヘンドリックスさんの破壊行為など・・・共通するものがあると想うのです。ちなみにこの歪み音は、ギターアンプでの歪みでは無くて、VG-8と言うエフェクターでの歪み音。この音からインスパイアされて、段々と発展していったのだと想います。

しかし、最後までこのノイジーな雰囲気で約17分以上も曲の長さがあると、ステージを観ているオーディエンスは幻惑されて釘づけになるのだろうと想いますが、CDで聴いていると流石に疲れます。

しかし、音楽を聴く時に知らず知らずに規制を求めてしまうと言うリスナーの意識を取り除いて、純粋にこの『ノイジーな叫び』に身を委ねると、何となくトランス状態に・・・そんな気がします。
まあ、これを称して『ノイジー』と言っているようでは、通の方々に『何も解っておらん!』とお叱りを受けそうですが。

また、オーディエンスのカーテンコールが入っているところを聴くと、プログラム上の一番最後の曲だと想像できます。一番最後にこれを持ってくると言うところから察すると、パット・メセニーさんのギタープレイの中に占めるフリーの要素はかなり大きいと言う想像が成り立ちます。
なかなか理解し難い部分だと想うのですが、この良さが解ると更にパット・メセニーさんを理解することが出来るのだろうと想います。


06:COUNTING TEXAS
何とも言えない不安定な音程。そして一聴バンジョー?と想ってしまうこのギターはリンダ・マンツァーさん製作のフレットレス・ナイロン・アコースティックギター。ナイロン弦をフレットレスにしてしまうと言う発想が恐れ入ります。
想像するに相当難しいギターだと想います。これはもう正確な音程と言うよりは、いかに不安定な音程を散りばめてユーモラスに奏でるか、と言うことにポイントを置いているような演奏になっています。逆転の発想ですね。曲もテキサスの暴れ馬的な面白さがあって、結構個人的には肝!な曲なんです。

パット・メセニーさんのソロは、ドラムのビル・スチュアートさんとの一騎打ちになっています。
ここで更に興味を引くのが、パット・メセニーさんの音色。
ノーマルなナイロン弦の音に、オクターバーで下の音を微かに重ねて、さらに少し歪み系のエフェクトをかけているように聴こえます。この音によって更に不思議な空間に支配されますね。

フレーズ的には、メセニー節を連発してるのですが、その音のファニーさから、あまり得意技フレーズに聴こえないところが、このギターの特異性を表しています。
もちろん、パット・メセニーさんもその特異性を生かしたフレーズを所々出していて、CD Time=2:50からのフレーズはこのギターで無ければ出来ないフレーズです。

パット・メセニーさんのソロを受けて、ラリー・グレナディアさんとビル・スチュアートさんが掛け合いをします。

面白いのは、普通ウッド・ベースは音程がやや不安定に聴こえて、それが魅力でもあるのですが、ここでは、前のパット・メセニーさんのソロがそれ以上に不安定でしたので、ウッド・ベースの音が正確な音程に聴こえる所。

テーマ戻りの前で、煌びやかな音が重なってきますが、これは、パット・メセニーさんが、ギターのブリッジとテールピースの間を弾いている音だと想います。ちょっとした遊びですね。

その後テーマに戻ってエンディングです。オーディエンスの大歓声と拍手。そしてカーテンコール・・・。いかに盛り上がったライヴだったかと言うことをドキュメント的に伝える為か、この部分を結構長く収録しています。

長いカーテンコールの後、フェードアウト間際に再び大歓声。
きっとパット・メセニーさんが再び小走りで登場したのでしょう・・・。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★

このライヴ作品を続けて聴いてみると、明らかに前作のTRIO99→00とはコンセプトが違うことが解ります。前作が『ジャズ・ギタリスト・パット・メセニーさん全開!』とするならば、このライヴは『ギタリスト・パット・メセニーさん全開!」。

前作は4ビート・ブルースなども数曲収録されていて、ジャズ・ギタリストの意味合いが強かったと想います。ところが、このライヴはジャズを外したオールマイティなギタリストとしての意味合いが強いと想うのです。
つまり、自らの歴史を自らトリビュートして、『ギタリスト・パット・メセニー
パット・メセニーの歴史を奏でている』と言う感じがするのです。ご本人もライナーノーツで言っているようにまさに集大成の作品であることは私がここで書くまでもありませんね。
変な話ですが、このような集大成的な作品を創るのであれば、また違った形で創ると言うことも可能だったと想うのです。それを、ギター・トリオで、しかも自分の勝負フィールドであるライヴにしたと言うところがまさに肝!

更に、バックがラリー・グレナディアさんとビル・スチュアートさんだからこそ、インスパイアされて、このような集大成をライヴで、しかもリリースしようと想ったのだと・・・。

これが、違うメンバーだったら、このような展開にはならなかっただろうと想うのです。
悪く言えば、2人共けっこう地味め、個性はありますが、悪い癖がないと言うか・・・。非常にギターを弾きやすいバッキングをしてくれると言う部分があると想います。これをパット・メセニーさんは『偶然がもたらした結果・・・』と言っていますが。
言ってみれば、TRIO99→00もギタリスト・パット・メセニーさんが通過してきたひとつの点としてこのライヴのプログラムの中に組み込まれているような感じがするのです。

さらに、このライヴ作品をパット・メセニーさんは『初めてのライヴ作品』と言っています。過去に、パット・メセニー・グループで名作のライヴ作品がありますが、それとは一線を引いていると言うことでしょうか・・・。

つまり、パット・メセニー・グループのライヴ作品の場合は、音源は確かにライヴからのものなんですが、作品の完成度を追求するが故に、かなりのクオリティで仕上がられた作品になっていると想います。

ところが、このライヴには、ラフな部分があったり、よく聴くとギターソロも同じようなフレーズや勢いに任せたようなフレーズもあったり、オーディエンスの生の歓声を入れたりしていて・・・まさに、リアル・パット・メセニーと言う感じがします。
そんなところからも、『ギタリスト・パット・メセニーさん全開!』と言えると想うのです。

聴き方は様々で
例えば、BLIGHT SIZE LIFEQUESTION AND ANSWERで過去のトリオ作品の香りを伺っても良し・・・
GIANT STEPSALL THE THINGS YOU AREでスタンダードの解釈を味わっても良し・・・
JAMESSO MAY IT SECRETLY BEGINパット・メセニー・グループの香りを感じても良し・・・
INTO THE DREAM COUNTING TEXASで特殊なギターを味わうも良し・・・
SOUL COUWBOYTRIO99→00の世界を味わっても良し・・・
もちろん、FAITH HEALERのフリージャズの世界でトランス状態になって聴くのも良し・・・。

でも、ひとつ条件があるとすれば、一度通してじっくりと聴いてみること・・・。
それによってパット・メセニーさんの世界観が見えてくる・・・と想うのです。

いずれにしても集大成作品。
このような作品は時間の重さが創る部分がありますので、いくらパット・メセニーさんと言えども、あと20年以上経たないと出来ないと想います。
そんな意味でも超強力な名盤だと想うのです。


(CD TOTALTIME:57:13 (DISK 2) / Walking消費カロリー:230.01 kcal)

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Trio LiveTrio Live
Pat Metheny Trio

曲名リスト
1. Bright Size Life
2. Question and Answer
3. Giant Steps
4. Into The Dream
5. So May It Secretly Begin
6. The Bat
7. All The Things You Are

1. James
2. Unity Village
3. Soul Cowboy
4. Night Turns Into Day
5. Faith Healer
6. Counting Texas
7. James
8. Unity Village
9. Soul Cowboy
10. Night Turns Into Day
11. Faith Healer
12. Counting Texas

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