Walking de Music

2008年02月23日 15:25にアップしたエントリーです。

ひとつ前のエントリーは太陽神/アース・ウィンド&ファイアー  ALL’N ALL/EARTH,WIND&FIREです。

次のエントリーはザ・チック・コリア・エレクトリック・バンド THE CHICK COREA ELEKTRIC BANDです。



フィクショナリー/ライル・メイズ・ウィズ・マーク・ジョンソン・アンド・ジャック・ディジョネット
FICTIONARY/LYLE MAYS with MARC JOHNSON AND JACK DeJOHNETTE

Fictionary

今日は午後少し荒れ模様とのことでしたので、早々にwalkingをしました。と言うことで選んだのはライル・メイズ・ウィズ・マーク・ジョンソン・アンド・ジャック・ディジョネットさんのフィクショナリーです・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

この作品は1993年のリリース。パット・メセニーさんの朋友ライル・メイズさんの3枚目のリーダー作になります。スッキリとしたピアノ・トリオでメンバーも強力。折りしも、パット・メセニーさんのトリオ作品をこのところ聴いてレビューをさせていただきました。その良き相棒のトリオ作品はいかがでしょうか・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

01:ビル・エヴァンス
感情がこぼれ落ちるような優しいスタート。タイトル通りに雰囲気はビル・エヴァンスさんのバラード。それもそのはずで、ベースのマーク・ジョンソンさんもドラムのジャック・ディジョネットさんもビル・エヴァンス・トリオで活躍したミュージシャン。

CD Time=0:08のコード展開ですでにノックアウトしてしまいそうな美しさ。ライル・メイズさんは、コードのハーモニーをじっくりと響かせてその上にメロディを乗せていきます。ピアノのペダルの使い方が絶妙でそれによって漂うフレーズの残響が、よりプレイをリリカルなものにしています。

CD Time=3:01の4拍目で左手の少し跳ねた、切れの良い和音を合図にマーク・ジョンソンさんが少し跳ねたリズムでラインを繋ぎます。それにジャック・ディジョネットさんもすかさず反応して軽くスウィングをしていきます。
そして、そのスウィングしている部分のエンディングの合図はジャック・ディジョネットさんのブラシワーク。それを合図に再び静かな世界へ戻っていきます。この美しいかけ引きは、無条件にいい!って想います。
そのまま、あくまでも美しくエンディングを迎えます。

ライル・メイズさんとビル・エヴァンスさんの共通点はコード・ヴォイシング等いろいろあると想いますが一番の部分はその美しさ。これはただただウンチクなしで聴き惚れるのが肝!と言うことですね・・・。


02:フィクショナリー
ライル・メイズさんのソロ・ピアノからスタートします。ここでも、1曲目の美しさを引き継いだ綺麗なメロディと音を奏でています。
後半は、やや速いパッセージやブルージーなフレーズも登場してジャズ・ピアニストライル・メイズさんと言うことを認識させられます。パット・メセニー・グループでは聴くことができないプレイにちょっと感動します。

CD Time=2:12で、今までの美しさを今度は、リズミカルで速いパッセージで展開してアップテンポになります。ライル・メイズさんは左手のコードが次々に目まぐるしく変わっていく展開の中で実に良く歌っているラインを奏でていきます。

この曲のソロを聴いていて想ったのが、ジャズの定番と想われるようなラインが少ないと言うこと。全体を聴いていると確かにジャズラインなんですが・・・。パット・メセニーさんのクロマティックを使ったアプローチに対してもう少し音の感覚が広いような感じといったら良いでしょうか。そのために、アドリブラインがクリアで解り易いと言う感じがするのです。また、コード感覚に良い意味での『ジャズ臭さ』が無いので非常に洗練されていると想うのですが・・・。

とにかく弾きまくっていると言う演奏です。ここでその弾きまくりに、いろいろなおかずやパターンで、言うならば『表』で答えているのがジャック・ディジョネットさん。そして、地味ながら抜群のビート感、言うならば『裏』で答えているのがマーク・ジョンソンさん。
3人の絶妙なグルーヴを味わうことができるトラックになっています。


03:シエナ
軽いボサノボのリズムの中に重さのあるリズムが漂っているのがこの曲のイメージでしょうか。ライル・メイズさんの左手のコードワークのコードがコロコロと展開する感じがいいですね。

そのコードワークに乗って奏でていた右手が、CD Time=2:37で左手と一体化したフレーズを奏で、CD Time=2:25の駆け上がりフレーズを最後に再び分かれて、右手は高い音でのフレーズを美しく奏でていきます。そして、ソロのエンディングに向けては、再度一体化した左右の手でコード奏法を奏でていき、劇的に盛り上げていきます。


04:リンカーン・レヴューズ・ヒズ・ノーツ
ジャック・ディジョネットさんのドラムにマーク・ジョンソンさんのベースが絡むパフォーマンスでスタートします。ライル・メイズさんのピアノが入るとフリーと言うか、かなりルーズな感じで曲は進んでいきます。ここまでの曲の中にはパット・メセニー・グループの影ってあまり感じなかったのですが、この曲はそのコード展開など、若干ではありますがその影を感じることができます。

ライル・メイズさんのソロは、そのルーズな感じに反するように速いパッセーをたたみかけてきます。CD Time=4:30あたりから段々とエキサイトしてきて、ややラフな一面を聴くことができます。また、バックのジャック・ディジョネットさんが連動するかのように反応をしていて聴き応えがありますね。
このソロのようにライル・メイズさんのフリーな演奏で、ちょっと切れる感じ?はパット・メセニーさんとの共通点とも言える部分に出会えた感じです。


05:ハード・エイツ
ジャック・ディジョネットさんのタムまわしからスタートします。ドラムの音の分離がクリアなので左右に動くタムの音が実に面白く頭の中を駆け巡ります。
インテンポになると雰囲気はややラテン風のアップテンポ。ちょっとソング・フォー・ビルバオのような雰囲気もあって、パット・メセニーさんが好みそうなハードなナンバーです。

ライル・メイズさんのソロはそのコード進行もあってか、左手のコードワークを上手くアクセントにしてハードめに奏でていきます。
CD Time=3:39からのラインはパット・メセニーさんのようなクロマティックにダウンしていくフレーズ。その後もクロマティックをきっかけとしたフレーズが頻出してきて、2曲目とは違うかなりジャズ的なアプローチを聴くことができます。

続いてマーク・ジョンソンさんのソロ。
ソロがはじまったときに想わずベースの存在を再認識します。ここまでのプレイは実に影的で目立たず、意識をあまりしていなかったと言うのが実際。でもそれは、聴こうとしなくても自然に耳に入っていた空気のようなプレイと言うことであり、リスナーを意識させないで絶対的な存在感を出すと言うベースの鏡みたいな演奏は、さすがのマーク・ジョンソンさんと言うところでしょうか。
このソロは、歯切れの良いラインを中心に速いパッセージで弾き抜けていきます。ベースソロのエンディング部分で、ライル・メイズさんのバッキングと絡んでビートが加速していくところは、シンフォニックで盛り上がりますね。


06:サムシング・レフト・アンセッド
一転して優しいメロディをもったバラード。この曲もパット・メセニー・グループのバラードの香りが結構しますね。マーク・ジョンソンさんのソロと絡むライル・メイズさんのピアノが非常に美しいです。

ライル・メイズさんのソロは、特徴でもある高い音でのフレーズを前半に奏でます。相変わらず、耳にキツそうで心地よい、と言うギリギリのラインの高音を綺麗に奏でていきます。

エンディングのロール部分でのピアノの音の選択がいいですね。綺麗な響きの音を選んで、優しく、リリカルに終わっていきます。


07:トリオ♯1
この曲はサウンドチェックの為に演奏していたものを録音したと言う曲。サウンド・チェック用ですので、まさにフリーで即興的な演奏。
曲と言うことを意識していなかったり、打ち合わせもほとんど無いと想われますが、これが実に見事に聴き応えのある曲になっているから不思議、と言うか凄い、と言うか。
途中4ビートのランニングにマーク・ジョンソンさんが入ってからは、見事に全体がスウィングしています。
それにしてもサウンドチェックでこれだけの演奏を聴かせてくれるというのは、3人とも凄いですね。幸運にも録音していたエンジニアさんに拍手と言うところでしょうか。


08:ホエア・アー・ユー・フロム・トゥデイ
ライル・メイズさんが大学在学中に書いたと言うナンバー。パット・メセニーさんもそうなんですが、自分の書いた古い曲を大切にしていてしかも、それを演奏することによって自分の成長を認識したいと言う想いがあるようですね。

古いオリジナルでも全く違和感が無いのは一貫した音楽的なバックボーンもありますが、どちらかと言うと、今の世界観に染めていると言う感じでしょうか。

ソロもそんな感じを全面に出すように弾きまくります。特にCD Time=3:14からのかなり速いパッセージの連続は電気が走るような爽快感があって息を呑むフレーズです。


09:フォーリング・グレイス
この曲はオリジナルではなくてスティーヴ・スワローさんの曲。アップテンポのピアノのラインに、最初は静かに絡んできて、段々とビートを刻んでいくマーク・ジョンソンさんがいいですね。

ファーストソロはマーク・ジョンソンさん。ソロエンドはライル・メイズさんのピアノが『しかけ』てそれに応戦するフレーズでマーク・ジョンソンさんが奏で、最終的にはライル・メイズさんがソロを奪っていき、マーク・ジョンソンさんが4ビートを刻んでいと言うインタープレイ。抜群のビート感を持って迫ってくる感じが肝!ですね。

ライル・メイズさんのソロは、かなりジャズラインで軽快に奏でていきます。ソロエンドのCD Time=3:46からの左手のコードワークが実に巧みです。


10:トリオ♯2
この曲もセッション・即興的な曲と言うことでしょうか。ライル・メイズさんの少し陰鬱な感じのするソロ・ピアノにリズム隊の2人が静かに絡みます。
基本的にはバラードなんですが、あくまでもバックの演奏はSE的な流れで奏でます。かなり不思議な空気感のある楽曲なんですが、これも即興的な演奏だと想うと、やはりその凄さを感じます。


11:オン・ジ・アザー・ハンド
この曲はソロピアノでの曲です。想わず引き込まれてしまう美しさがありますが、どちらかと言うと歯切れの良いラインを刻んでいきます。

単純に曲を演奏すると言う部分はもちろん良いのですが、音の飛び方やニュアンスを良く聴いていると実に映像的だと想います。また、激しい感じのラインの間に聴こえる美しさはジャズ的と言うよりはかなりクラシカルな雰囲気を感じます。

このように改めてライル・メイズさんのプレイを聴いていると、音の選択とコード感が、単なるジャズピアニストではなくて独自の世界観をもっていることが良くわかります。

不思議な魅力を漂わせたまま、静かに終りを告げていきます・・・。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★

パット・メセニー・グループでは、なかなか聴くことが出来ないライル・メイズさんのピアニストとして一面をじっくりと堪能することが出来る作品です。

パット・メセニーさんのトリオ作品は、どちらかと言うとジャズ的な要素はもちろんありますが、もっとグローバルな音楽的な香りがします。
そしてライル・メイズさんのこの作品は、さらにグローバルな音楽性を感じさせてくれます。もちろんその中にジャズの要素もたくさん含んでいて聴き応えがあります。

更に、パット・メセニーさんの作品に比べてよりパット・メセニー・グループの香りがすると・・・。
これは、楽曲のコードの流れやライル・メイズさんのコード感、コードヴォイシングの妙からくるものかと・・・。

これで解ることが、パット・メセニー・グループにおけるライル・メイズさんの存在が相当な部分を占めているのではないか?と言うことです。
パット・メセニーさんもライル・メイズさんが居なければグループとして成り立たない的な発言を良くしていますが、それが良く解ったような感じがします。

まさに2人は長年連れ添った夫婦のよう・・・。
ほっておいたらけっこう暴走しそうな永遠のギター小僧パット・メセニーさんをしっかりと抑えてる内助の功・・・。
でも、もっとライル・メイズさんのピアニストとしての他流試合も聴きたいところ・・・。今回はソロ作品ではありますが、しっかりとパット・メセニーさんがプロデュースでサポートしていますし・・・。

パット・メセニーさんも良き旦那として、もっとワイフを外へ出してあげないと、やきもち焼きでは困ります・・・と言うのは冗談にしても、パット・メセニーさんのプロデュース以外の部分でも、グループを離れたピアニストとしてのライル・メイズさんの活動をもっと聴きたいですね。
そんなことも痛烈に感じてしまう名演奏だと想いました。

(CD TOTALTIME:65:36/ Walking消費カロリー:263.71kcal)

にほんブログ村 音楽ブログ ジャズ・フュージョンへ  人気ブログランキングへ
 
FictionaryFictionary
Lyle Mays / Marc Johnson / Jack DeJohnette

曲名リスト
1. Bill Evans
2. Fictionary
3. Sienna
4. Lincoln Reviews His Notes
5. Hard Eights
6. Something Left Unsaid
7. Trio #2
8. Where Are You From Today
9. Falling Grace
10. Trio, No. 2
11. On The Other Hand

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
あとがき
★トラックバック、コメント歓迎いたします。
★ギター好き・音楽好きの為のサイトも運営しています。お暇なら遊びに来てください。
>>>ギターの響き・ソロギターを中心とした”ギター好き・音楽好き”のサイト

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://walking.gitahibi.com/mt/mt-tb.cgi/192

コメントを投稿


« 太陽神/アース・ウィンド&ファイアー  ALL’N ALL/EARTH,WIND&FIRE

| メイン |

ザ・チック・コリア・エレクトリック・バンド THE CHICK COREA ELEKTRIC BAND »


   過去にどんなCDでwalkingしたのか・・・

   ★テキストでのリストと日付アーカイブはこちらから
   >>>Archives

   ★そうは言ってもジャケットとさわりを読みたい方はこちらから
   >>>CD review

   ★このサイトってどんなサイト?と想われた方、また簡単な自己紹介は
   >>>こちらをご覧下さい。

Comment

ロマンティック/エアプレイ 【1】
 ・・・ ku 08/04
 ・・・ ayuki 08/06
TOTOⅣ~聖なる剣/TOTO 【2】
 ・・・ 猫ケーキ 07/31
 ・・・ FUSION 08/01
 ・・・ ayuki 08/02
ウィルダーネス/トニー・ウィリアムス
WILDERNESS/TONY WILLIAMS

 ・・・ degu 07/31
 ・・・ ayuki 07/31
TRIO→LIVE【DISK2】/パット・メセニー 
TRIO→LIVE/PAT METHENY

 ・・・ セラビー 02/14
 ・・・ ひめ@キッチンひめ 02/19
 ・・・ ayuki 02/19
 ・・・ 猫ケーキ 05/23
 ・・・ ayuki 05/24
 ・・・ 平八郎@久しぶり 07/29
 ・・・ ayuki 07/31
ミント・ジャムス/カシオペア 【2】
 ・・・ FUSION 07/11
 ・・・ bonejive 07/13
 ・・・ bonejive 07/13
 ・・・ ayuki 07/16
NEW-S/T-スクェア 【1】
 ・・・ bonejive 06/29
 ・・・ ayuki 07/02
 ・・・ milkybar 07/05
 ・・・ ayuki 07/05
A NIGHT IN NEW YORK/カンガルー
 ・・・ kaz-shin 05/09
 ・・・ ayuki 05/09
 ・・・ Keisuke 06/14
 ・・・ ayuki 06/15
 ・・・ naoki 06/22
 ・・・ ayuki 06/28
 ・・・ naoki 06/29
 ・・・ ayuki 07/02
MASUOライヴ/増尾好秋 【2】
 ・・・ FUSION 06/10
 ・・・ ayuki 06/13
MASUOライヴ/増尾好秋 【1】
 ・・・ セラビー 06/10
 ・・・ ayuki 06/13
ラーセン=フェイトン・バンド/ニール・ラーセン&バジー・フェイトン
 ・・・ セラビー 06/07
 ・・・ ayuki 06/08
Powered by Movable Type 3.33-ja
文責・著作権者:ayuki:ご意見・ご感想はこちらからどうぞ。
Copyright(C) 2006 ayuki All Rights Reserved.