Walking de Music

2008年02月19日 16:27にアップしたエントリーです。

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コレクション/デイブ・グルーシン 
 COLLECTION/DAVE GRUSIN

デイブ・グルーシン・コレクション

今日はwalkingをしていても少し汗ばむくらい陽射しが暖かい一日でした。こんな爽やかさの漂う日には、すっきりとした音楽で・・・。と言うことでデイブ・グルーシンさんのデイブ・グルーシン・コレクションwalkingをしました・・・。


この作品は1988年リリース。『コレクション』と言うタイトルからお解かりの通りのベスト盤。1976年から1988年までの作品からチョイスされた楽曲がラインナップされています。
ベスト盤と言うのは、良いとこ取りの感があって作品全体として聴くと、意外に散漫になってしまったりすることがあるのですが、この作品はどうでしょうか・・・。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★

01:シー・クッド・ビー・マイン
ボサノバのリズムが非常に心地よいスタートです。その元のリズムを淡々と刻んでいるのがスティーヴ・ガッドさん。小刻みなスネアワークが見事です。
デイブ・グルーシンさんのアコースティック・ピアノとフェンダー・ローズをいろいろなところに散りばめながらも、あくまでもストレートに曲は進んでいきます。

CD Time=3:20からのアコースティック・ピアノのソロは、高い音がコロコロと流れていて曲の流れに沿ったリリカルなプレイ。
後テーマでは、自分の弾くローズのメロディに自らのアコピで絡んでいくと言う構成。これもまた流れを止めないで煌びやかに奏でています。

とにかく、流れにノッて聴いているとスーッと染み渡る様な心地よさが、爽快感に変わってくる感じがします。


02:サンクフル&ソウトフル
ディレイの強く掛ったアルトサックスのブローからスタート。この特徴ある音色とフレーズは一聴でデイヴィッド・サンボーンさんと解る唯一無二のブロー。デイブ・グルーシンさんのエレピの和音を合図に、重たく、スローな8ビートがインしてきます。

テーマはフィービー・スノウさんのファンキーな歌。サビのコーラス部分は更にファンキー。コーラスにデイヴィッド・サンボーンさん絡むと、もっとファンキー!

テーマを挟んでデイヴィッド・サンボーンさんのソロが実にいい感じです。
スタートは同じメロディをフェイクしながら繰り返し、CD Time=2:11の転調をキッチリとキメます。CD Time=2:18の息切れしそうなフラジオのロングトーンからスタッカートでフレーズは下降していきます。しかし再びCD Time=2:25で荒々しいブロウ。それに繋げてタンギングをレガートに使用した揺れるフレーズを繰り返した後更にフラジオ。そしてCD Time=2:38の更に高い音でのフラジオに続いてCD Time=2:43で絶頂のフラジオをキメます。
嫌が上にも盛り上がるフラジオ・オンパレードで実に個性的で肝!なソロです。

ラストはサビのコーラスにデイヴィッド・サンボーンさんが絡んでソロを展開します。
CD Time=3:13でのフィービー・スノウさんのベンドしていく歌にインプロヴァイズされて同じようにフラジオをかましてくれるのですが、これが緩やかなベンドからの絶妙なビヴラートをかけ、そしてロングトーン。その後は速いパッセージで吹き抜け、フェードアウト近くでは小刻みなベンドを連続してたたみかけています。

デイヴィッド・サンボーンさんの見事なプレイを何か久しぶりに堪能した感じがするのですが、実は、この裏にあるのがベースのマーカス・ミラーさんのプレイ。

基本になっているリズムが、16分喰っての3音。そしてその内の最初の2音のみがドラムのバスドラと連動しています。その為に、3音の最後の1音がスーッと取り残されたような感じのアフターなビートを創っています。
さらに、2小節がワンパターンになるのですが、2小節めの2拍めと3拍目のキメの部分では、ベースを左右にオーバーダビングして強烈な厚みを出しています。このアイデアはまさに肝!この曲を特徴つけているサウンドになっています。

これだけファンク色が強いともっと泥臭くなるような気がするのですが、実に洗練されたファンク色になっているのはデイブ・グルーシンさんのアレンジお見事!と言うことだと想います。


03:リヴァー・ソング
エレピでの和音フーレズをモチーフにして展開していく、前の曲とは全く違う爽やかなミディアムテンポのナンバー。
クレジットを見るとデイブ・グルーシンさんの名前のみ。この曲はオール打ち込みのようです。そう言われると、音の感覚や厚みがそれらしいですね。でも、かなり凝っていて、一聴打ち込みオンリーとは想えないような仕上がりになっているのが流石です。
また、この打ち込みのメンバー?としてAtari1040 ST Computerとクレジットされているのが時代を感じさせてくれますね。


04:プレイイーラ
基本的にピアノトリオ+パーカッションと言う編成で奏でられる4/4+2/4と言う拍子のマイナーなメロディを持った曲。一歩間違うとド・マイナーな定番ソングになってしまいそうな雰囲気もあるのですが、そうなっていないのはCD Time=0:40のキメ・フレーズがある為。

スティーヴ・ガッドさんのスネアロールが入ると、ちょっとウエスタン調の香りが漂ってくるのですが、それを抑えているのも先ほどのキメ・フレーズ。このあたりの微妙な抑えが実にいいですね。

また、ベースの音が実にいいです。これはロン・カーターさんのウッド・ベース。この音はエレクトリックにも負けない伸びと重厚さがある音質で、なかなか迫ってくるものがあります。

途中のメロディとソロをソプラノで奏でているのがグローヴァー・ワシントン・JRさん。かなり渋いメロディを聴かせてくれます。特に後半のロン・カーターさんとの掛け合いの部分はグッと来るものがあります。


05:ある俳優の生活
この曲は個人的にデイブ・グルーシンさんの曲の中でも1、2を争うくらい好きな曲です。何故か、ピアノをコピーして演奏したと言うこともあって想い入れもあります。

テーマ部分の少しファニーな感じと一転して、中サビの部分のテナーサックスのメロディが実に綺麗です。これはアーニー・ワッツさん。この部分から再びファニーなテーマへ戻るそのアレンジが実にスムーズで見事ですね。

さらに、2コーラスめは少し展開を変えて、先ほどのサックスの部分がギターでの綺麗なメロディに変わります。これはリー・リトナーさん。この部分のギターのメロディは本当に美しいと想います。また、音が抜群に良いです。このギターの部分は個人的には肝!なんです。

そのメロディにアーニーワッツさんのサックスが絡んできて、そのまま短いソロへ突入。そして曲はエンディングのテーマに入っていきます。
この部分の何とも言えない、前向きで突っ込んでくるような軽快なビート感がいいですね。単純なメロディとコード進行なんですが実に印象に残る部分だと想います。


06:セント・エルスホエア
デイブ・グルーシンさんのエレピのメロディとコードアルペジオからスタートします。そしてコード進行を上昇させながら段々と盛り上がっていってCD Time=0:23で頂点。そして軽快なリズムパターンに突入するイントロがまずは肝!です。

テーマの最初はベース音を同じ音でペダルとして、その上でコード和音を使用したメロディが奏でられます。そして、2回目の後半でベースラインが展開して、中サビに入っていきます。最初を同じベース音で流すことによってより際立つのが2回目のベースラインの展開。そしてその結果、中サビのメロディに上手く繋いで、さらにそこを際立たせると言う、非常に効果的で見事なアレンジです。

その中サビでもアレンジの妙を聴くことができます。
1回目のCD Time=1:02では、コードがDm7→B♭maj7と言う進行なんですが、2回目のCD Time=2:41ではBm7→Gmaj7と言う進行に転調しています。この転調に繋ぐフレーズとコード進行がまずは見事。
そして、当然転調しましたので、その後のメロディとコードも転調に合わせて少し低い音での進行になっています。これをCD Time=3:04からのブリッジで段階的に上げていって元のキーに戻していきます。CD Time=3:03とCD Time=3:10に入るクラップ的な「チャ、チャ」と言う歯切れのよいフレーズもアクセントとなっていると同時に、この曲のいろいろなところに登場していて、それをこのキーポイントの部分で連発すると言うのも流石です。この展開、そしてアレンジは本当に凄いと想います。

この曲も、クレジットにはデイブ・グルーシンさんの名前しかない、打ち込みものになりますが、それでも、このアレンジの妙で、ソロや派手なしかけは無くても十分聴かせてくれる楽曲になっていますね。恐るべしデイブ!と言う感じです。


07:セレンゲッティ・ウォーク
唯一のライヴ音源でのトラックです。淡々と進むリズムにデイブ・グルーシンさんのピアノとリー・リトナーさんのギターが絡んでいきます。派手な曲の展開は無くて、あくまでも単調なリズムグルーヴに小技を聴かせていくと言うタイプの曲。

当然ポイントになるのはリズム。そこを操っているのはスティーブ・ガッドさんの4打ちのバスドラとリズムマシンのような正確な8ビートのハイハット。そして、相棒のベースアンソニー・ジャクソンさんの淡々としたベースライン。更にもう1人、歯切れの良いギターカッティングを静かに奏でているエリック・ゲイルさん。
淡々とした中に絶妙なグルーヴ感を感じるトラックになっています。


08:アーリー・AM・アティテュード
歯切れの良いカルロス・ヴェガさんのドラムワークに、デイブ・グルーシンさんのピアノとリー・リトナーさんのアルペジオが絡んできて、雰囲気はまさにAM!朝の感じが良く出ています。

テーマはリー・リトナーさんのナイロン弦でのオクターブ奏法で奏でられていきます。
このギターは多分エレクトリック・アコースティックギター。チェット・アトキンスモデルのナイロン弦だと想います。エレキのように切れが良くて、なお且つナイロン弦の豊な音をしっかりと出す名器です。それを名人が奏でているので、悪いはずの無いテーマに仕上がっています。

この曲ではリー・リトナーさんのソロを聴くことが出来ます。
かなりブルージーなラインからスタートしますが、CD Time=2:40からのトリッキーなミュート・アルペジオのフレーズから歯切れの良いカッティングフレーズを絡めて、CD Time=2:58の流れるようなジャズラインでキメます。

それを受けてデイブ・グルーシンさんのソロは、ちょっと音が今一の感じも個人的にはするのですがフレーズとしてはややラグタイム風のファンキーでファニーなソロを聴かせてくれます。

実にまとまった演奏で、無駄の無いアレンジはグラミー賞のベストアレンジ部門を受賞しました。


09:ボサ・バロック
シンセのクラシカルな旋律から、ヴォコーダーを使用した様なサビのメロディとコード進行が印象的なナンバーです。
軽いボサノバ調のリズムがいいですね。またこのサビの部分に絡んでくるピアノが非常にリリカルです。

この曲もデイブ・グルーシンさんとパーカッションのみの打ち込みでの演奏です。派手な展開などはありませんが、ストレートなアレンジで聴きやすく、上質なBGMと言う感じです。


10:オン・ゴールデン・ポンド
デイブ・グルーシンさんのピアノがこの上なく美しいバラード。共演はロンドン・シンフォニー・オーケストラ。オーケストラアレンジも素晴らしくピアノと見事に絡んでいきます。

デイブ・グルーシンさんはご存知の通り映画音楽を数多く手がけています。この曲は映画「黄昏」のメーンテーマ。美しいはずですね。


11:マウンテン・ダンス
この曲もご存知映画「恋におちて」に使用された曲です。デイブ・グルーシンさんのピアノが煌びやかにテーマを歌っていきますが、何と言ってもサビ後のユニゾンが個人的にはもっとも印象に残る部分です。

それに続けて、ピアノソロの入ります。その導入部分でリズムをけん引するのがハービー・メイソンさんのドラムとマーカス・ミラーさんのベース。

デイブ・グルーシンさんのソロは、最初静かに右手のみのラインで入ります。テーマのモチーフとリズムを上手く使用しながらのフレーズ展開です。その後はイアン・アンダーウッドさんのシンセとの掛け合いになっていきます。

再び、美しいテーマに戻ってから、キメのユニゾンでエンディング。その余韻を引きずるようにイントロのピアノでのアルペジオをリフレインしながらフェードアウトしていきます・・・。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★

デイブ・グルーシンさん自体の作品は数枚程度もっているだけで、実はそんなに聴く方ではありません。どちらかと言うと、リー・リトナーさんの絡みで聴くことが多かったアーティストです。
また、ピアニストと言うイメージは私の中にはほとんど無くて、コンポーザー、アレンジャーと言うイメージが強烈にあります。

ですから、曲が洗練されていて、かつアレンジが完璧なのは言うまでもなく、多分細かく譜面が起こされていて、そこには適当とか、さらリと流すとか、ノリのまかせて・・・と言うような演奏はあり得なくて、あくまでも譜面に忠実な演奏があるのだろうと想います。

譜面に忠実に演奏しなければと言うプレッシャー・・・。
しかも、それをさり気無く演ずると言うテクニック・・・。
その上で、曲の展開や部分的に高度なテクニックが必要・・・。
それはまた違った意味での緊張感・・・。

この作品は、実に心地よくて、爽やかです。言ってみれば極上のBGM。それこそドライブなどにも最適と言う感じがします。
その分、ジャズ・フュージョン的な面白さのひとつである、アドリブの面白さやインタープレイなどはほとんど無く、サウンド自体が非常に洗練されていて、退屈と言う言葉も場合によっては当てはまると想います。

しかし、演奏と言う観点を少し交えて聴いてみると、このサウンドがいかに難しいかと。さり気無く、BGM的に演奏をしているように聴こえるのですが、クオリティを上げると言う部分で、先ほどの緊張感が物凄く伝わって来る作品だと想いました。

でも、その緊張感が結果として丁寧な演奏と言うことになり、大変な完成度の高さを生み出しているのだと想います。

これがベスト盤と言うことは、常にデイブ・グルーシンさんの創り出すサウンドにはこのような緊張感があると言うことになり、演奏するミュージシャンもけっこう大変なのではと想ったりします。
しかし、先ほども書いた通りに、サウンドは極上のBGM。意識しなければ、これほど耳ざわりが良い音楽もなかなか無いですね。
その2つの面が共存しているデイブ・グルーシンさんの音楽を味わうには、格好の作品であると想いました。

(CD TOTALTIME:58:26 / Walking消費カロリー:234.9 kcal)

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デイヴ・グルーシン

曲名リスト
1. シー・クッド・ビー・マイン
2. サンクフル&ソウトフル
3. リヴァー・ソング
4. プレイイーラ
5. ある俳優の生活
6. セント・エルスホエア
7. セレンゲッティ・ウォーク
8. アーリーA.M.アティテュード
9. ボサ・バロック
10. オン・ゴールデ・ポンド
11. マウンテン・ダンス

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あとがき
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コメント (2)

bonejive:

こんにちは。
私はdaveというと渡辺貞夫さんとのコンビを連想します。リチャードティーと並んで私の好きなキーボーディストであり、最高のプロデューサー、アレンジャー、コンポーザーの一人だと思います。
すごいことをさらりと聴かせるということのすごさはプロの神髄の一つでしょうか。

bonejiveさん
コメントありがとうございます。
やはり個人的にはコンポーザー・アレンジャーのイメージが強烈ですね。言われて見れば渡辺貞夫さんとのコンビも良かったです。仰る通りに、さり気無く難しいことをすると言うのがプロだと私も想います。

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