今回はパット・メセニーさんのTRIO→LIVEでwalkingです・・・。
この作品は2000年のリリース。先日発売されたパット・メセニー・トリオの新譜デイ・トリップ(*)は強力盤で、かなり評判が良い様子ですね・・・と言うのも、実はまだ未聴。とにかくすぐにでも聴きたいところ!なんですが、この作品を今一度聴いてからと想って、グッと我慢していると言うわけです。まあ別に我慢する必要もないんですが・・・。
この作品は、前作のTRIO99→00(*)と同じく、初めて聴いたときに、かなりの衝撃があったのを覚えています。通して聴くのは久しぶりですが・・・。
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01:Bright Size Life
場内のアナウンスからオーディエンスの大歓声。そしてあのイントロをパット・メセニーさんが奏でると、大歓声は更に大きくなり、その叫びの中に驚きのような、感動のような、そんな声が混ざっているのが解ります。
これは、会場に居なくても、このCDにピックアップが触れた瞬間にパット・メセニーさんのファンであれば、誰もが感じたのではないでしょうか・・・。オープニングにこの曲を持ってくるあたりが実に憎い演出!
パット・メセニーさんソロ名義での世に出た最初のギターメロディ
「ファ♯、ド♯、シ、ファ♯、ミ、シ、ラ、レ・・・」
が、24年の時を経て蘇る・・・これって凄いことだと想います。まさに肝!
テーマ部分は、けっこうスッキリした感じの印象です。これは、パット・メセニーさんの音がクリアで綺麗なこともありますが、その要因の多くはリズム隊。特にベース。
オリジナルではベースがジャコ・パストリアスさんですので、当然エレクトリック・ベースでのプレイでした。また独特のグルーヴと理解不能?な音使いで、複雑で不思議な世界観があったわけです。
比べて、ラリー・グレナディアさんはアコースティック・ベースで、しかも、音の伸びをどちらかと言うと殺し気味で、パーカッシブな切れの良いラインで奏でていきます。
そこに、ドラムのビル・スチュアートさんが落ち着いたフレーズ回しで奏でているので、なおさらスッキリとした印象になっているのだと想います。
ファーストソロはパット・メセニーさん。
最初の8小節は、8分音符のレガートなラインとスタッカートなラインを組みあわせて展開します。続く8小節は、8分音符のフレーズの終りを、16分音符の速いパッセージで締めくくるようなラインを繋げていきます。次のサビのパターンからその後の8小節は、更に音数を減らしてメロディアスに奏でます。
そのメロディアスな伏線が効いてくるのがCD Time=1:47からの2コーラスめ。
最初の8小節は、歯切れの良い8分音符のスタッカートライン。この部分では、ビル・スチュアートさんのドラムがその歯切れの良いラインに良く反応していてグルーヴが加速しています。
そして速いパッセージから、CD Time=1:58でコード奏法に展開していきます。
この部分では、得意技のひとつでもある1弦の解放、E=「ミ」の音をずっと重ねながら奏でます。そしてサビのパターンに入ると、リズム隊の2人がよりパーカッシブなラインで先に『しかけ』ます。パット・メセニーさんは前からの繋がりを意識したコード奏法で応戦します。
CD Time=2:14から、今度は6弦の解放、E=「ミ」を重ねながら少しロック・フレーバーで奏でます。さらに、CD Time=2:20からのコード奏法は3弦の解放、G=「ソ」を重ねてのフレーズです。そして、ソロエンドのCD Time=2:27のモチーフへ。それは1弦の解放弦を使用したカントリー・ブルース・テイストのフレーズ。
解放弦を使用したフレーズが言うまでも無く、このアドリブ全体を構成している大きなモチーフになっています。そしてそれら全ては、ソロエンドのモチーフへ解決する為のフレーズだったと言っても良いのではないかと想います。
実に見事な構成。はっきりとしたイメージを抱いてソロを展開していて、そこからほとんど逸脱することがないラインになっているため、まとまりのあるアドリブになっています。その分、熱さ!と言う点ではもう少し・・・と言うところですね。まあオープニングですから・・・。
続いてはラリー・グレナディアさんのソロへ。
ソロの入りは4分音符でのフレーズ。それを8分音符のレガートなフレーズに繋げて、CD Time=2:40でテーマのモチーフに解決しています。このラインは見事ですね。
サビのパターンの終り部分CD Time=3:01で、再びテーマのモチーフのラインを引用してその後のソロエンドに繋いでいきます。
全体的に丁寧で優しいラインだと想います。それにしても、音の伸びを殺し気味にする音質が特徴なんでしょうか。確かにウッド・ベースですので、もともとサスティーンが短めなんですが、それを顕著にしたラリー・グレナティアさんのプレイは、けっこうクセになりそうな品の良さを感じますね。
再びテーマに戻ってエンディングになります。
長さ的にも短く、本当にオープニングと言う感じの演奏です。これをオリジナルと比較することは意味がないとは想うのですが、あえて、どちらがお好みでしょうか?個人的には、ジャコ・パストリアスさんが好きなので・・・。
でも、この作品の演奏は、余裕みたいなものを強く感じます。それはパット・メセニーさん24年間の蓄積。それに追従している2人のリズム隊も華麗ですね。
02:Question And Answer
4弦の解放、D=「レ」を使用したコードリフがお馴染みのイントロ。言わずと知れたトリオ作品クエスチョン&アンサー(*)のタイトル曲。
1曲目、2曲目ともに過去のトリオ作品のタイトル曲。この流れは、単なるトリオ作品ではなくて、集大成的な意味合いがあります。ライナーノーツでパット・メセニーさんが「この作品はソングブック的な色彩を持っている」と言っていることでも解りますね。
いくぶんオリジナルより静かめにテーマが奏でられていきます。
パット・メセニーさんはオリジナルの通りにレガートに弾いていくのですが、ベースのラリー・グレナディアさんのラインが少し跳ねていて、CD Time=0:25のおかずなどは結構いい感じですね。
テーマを聴いていくと気がつくのが、相変わらずメロディの隙間を埋めるハーモニクスやコード奏法の絶妙なタイミングと音量バランス。
CD Time=0:34のハーモニクスの濁りやミストーンの全くない綺麗な音。そしてCD Time=0:39に微かに入る和音。それに反してCD Time=0:44のメロディに絡める和音から、CD Time=0:45のオクターブ奏法を絡めてのアクセント。CD Time=0:47のまた微かなコード奏法・・・。素晴らし過ぎて、ため息が出ます・・・。
ファーストソロはパット・メセニーさん。
ワンコラースめ。最初の16小節はかなりブルージーにキメます。そして次の16小節も同じようにブルースフィーリングが溢れるラインで非常に解りやすく、聴きやすいアドリブの導入部分で、すんなりとリスナーを導きます。
続くサビのパターンでのCD Time=1:50からその後の16小節も、その雰囲気は継承されていてパット・メセニーさんのフレーズとしては、あまり聴き慣れないCD Time=2:01の少しトリッキーなフレーズを挟みながらも、ブルージーに奏でていきます。
CD Time=2:15からの2コーラスめは、最初こそワンコラースめの雰囲気を引きずっていくのですが、CD Time=2:22からの、速いパッセージへのイントロダクションとして頻出する得意技、ペンタトニックと言うスケールを使用したダウンフレーズと、スタッカートなラインの合わせ技を奏でます。そして期待通りに、クロマティックな速いパッセージに繋いでいきます。
そのまま、次の16小節の頭、Time=2:31の4音ワンパターンの上がり下がりする得意技フレーズへ展開します。その得意技フレーズを解りやすく完結して、コード奏法へ展開していきます。
サビのパターンの部分、CD Time=2:48は前の部分でのコード奏法をイントロダクションにして、そのまま見事なヴォイシングのコード奏法で弾き抜けます。その後の16小節もコード奏法を中心に奏でます。
そして3コーラスめ。高い音を中心にした音数の少ないラインから、CD Time=3:19の息継ぎ?のようなグリッサンドフレーズを合図にCD Time=3:21のパーカッシブな得意技フレーズへ突入します。そして再び同じフレーズがCD Time=3:33で登場して、一貫した流れを創り、速いパッセージへと繋いでいきます。
続くサビのパータンはワンコラースめとも2コーラスめとも違う速い単音ラインで弾き切っていきます。
そして、次の16小節でコード奏法を、またしても見事なヴォイシングで展開してから、オーディエンスの誰かの絶叫と共にベースのラリー・グレナディアさんのソロへ引き継がれていきます。
パット・メセニーさんのソロは、非常に解り易い展開で、速いパッセージもそんなに奏でていないので、例えば、ギターをコピーしようとするのであれば格好の素材になる、まとまったソロだと想います。
続くラリー・グレナディアさんのソロは、2拍をワンパターンとしたモチーフを中心に、切れの良いラインで展開していきます。CD Time=4:35からのラインがその典型で、このモチーフが再び現れるCD Time=4:50では、じっと聴いていたパット・メセニーさんがここぞ!とばかりに、2拍をラリー・グレナディアさんが、そして残りの1拍をパット・メセニーさんがバッキングで埋めると言う形で絡んできます。
この2人の絡みはソロエンドまで続きます。2コーラスのソロなんですが、実に良いですね。
そしてビル・スチュアートさんのソロへ。
インテンポでのソロなんですが、良く聴いているとドラムのスネアやタムが歌っていることに気が付きます。それもそのはずで、この部分はきちんと小節線を弾くことが出来る、テーマに沿った節回しになっています。
途中、想わず拍子を失いそうになるリズムフェイク的なフレーズも多々あるのですが、頑張って3/4拍子をとり続けて聴くと、しっかりとキッチリと3コーラスで終わっています。
さらに頭の中で、テーマを歌いながら聴くと、ドラムのリズムが実にメロディに連動していたり、コード展開に連動していることに気が付きます。
例えば、CD Time=6:30からは丁度サビのパターンの部分になるのですが、フレーズを今までと変えて展開していますね。ビル・スチュアートさんが頭の中で歌いながらフレーズを叩いているのが良く解ります。このソロは実に見事、まさに肝!です。
また凄いのは、かなり複雑なリズム回しをしている部分でも左チャンネルから聴こえるサイドシンバルでのテンポキープがしっかりと行われていること。
そして、もっと凄いのは、アイコンタクトはあるかも知れませんが、きちんとテンポをキープしていて、テーマへの戻りの部分に微塵のためらいも無く、スムーズに入っていくパット・メセニーさんとラリー・グレナディアさん。
試しに、テンポを刻んで聴いてみてください。私のレベルでは手を叩きながら、口で『いち、にい、さん』と叫び続けなければ、すぐ拍を失ってしまいます・・・。
テーマに戻るとギターの音色が変わっています。
これはGRのノーマル音に少しシンセエフェクトをかけたような音です。そして、イントロのパターンに戻ると、そのまま怒涛のギターシンセソロがスタートします。
まずは、この曲調の、しかもこの部分でギターシンセ・ソロを持ってくると言うアイデアが見事。すでに演奏は10分を超えています。トータルでは20分を超えるテイクなので、この後のパフォーマンスが間違いなくハイライトと言えますね。
これについてパット・メセニーさんは、『幽体離脱した感覚を味わったテイク』と言っています。これは、おそらくこの後の約10分間での出来事だろうと想像できます。
では、一体何処の部分でパット・メセニーさんがイってしまったのか・・・。そんな想像をしながら聴くのもまた楽しかったりしますが、このような『気持ちから湧き出るパフォーマンス』は、スケールやコード進行云々などは問題ではなく、じっと音に耳を傾けて一緒にイってしまったものが勝ちです!
ちなみに、演奏をしていて幽体離脱に近い感覚と言うのは、私も今まで練習も含めるとかなりの回数を演奏してきましたが、アマチュアのレベルでも数えるくらいはあります。極わずかではありますが・・・。もちろん、このテイクでの幽体離脱とはレベルが雲泥の差と言うのは承知しています・・・。
私が感じたのは、バックの音。
普通の状態でももちろんバックの音は耳に入ってくるのですが、それはあくまでも従。メインで聴いているのは自分の奏でている音。
しかし、幽体離脱状態になると、バックの音がしっかりと耳に入って自分の音との境界が無くなってくるんです。ですから、自分が何を弾いているのか、意識はしてるのですが勝手にフレーズを繰り出していると言う感じでしょうか・・・。
それは、音に包まれて浮遊している感じと言ったら解り易いでしょうか・・・。
パット・メセニーさんの幽体離脱と同じレベルで書くのも、お叱りを受けそうなくらい恐縮なんですが・・・。
いずれにしても、バックの演奏と言うのが重要で、このテイクでのリズム隊2人の演奏にインプロヴァイズされてこその、パット・メセニーさんの幽体離脱と言うことだと想います。
この演奏が前半のハイライトでありベストテイク。まさに大肝!です。
03:GIANT STEPS
パット・メセニーさんのカッティングからボサノバ調のリズムで奏でられるこの曲は言わずと知れたジョン・コルトレーンさんの超スタンダードナンバー。
前の曲の印象が強烈だった為に、どちらかと言うと箸休め的な、少しのんびりとしたムードに感じられます。
TRIO 99→00でも絶妙だったテーマのフェイク。この演奏でも決まっています。この少しずれた感じのするフェイクが、ボサノバのややルーズなリズムと重なって何とも言えない味になっています。
ワンコラースめのテーマは、基本的に8分音符分メロディを遅らせることでルーズな感を出しています。それが所々で、ジャストのタイミングに戻ったり、逆に16分音符早くしてみたり、と多彩なリズム感覚を聴かせてくれます。
CD Time=1:04からのテーマ2コーラスめ。
CD Time=1:08ではコード奏法で3拍も早くメロディを先行します。その後の、コード奏法でのメロディラインも微妙なタイミングをコントロールしています。
ラリー・グレナディアさんのソロの後、テーマに再び戻りますが、ここでもそのコントロールは見事で、CD Time=6:43のテーマ戻りの最初の1音からいきなり喰って入っています。
CD Time=7:00ではメロディ全体を大きくずらし、その間を埋めるようにアルペジオを奏でています。
CD Time=7:07からのテーマはオーソドックスな展開。今度はずらしは無く、オーソドックスなコード奏法でキメます。
このようなテーマのフェイクは一歩間違うと・・・?となってしまう危険があるのですが、そんな心配は全く必要ない抜群のセンスがありますね。
ちなみに、パット・メセニーさんのソロは、緩急を上手く使用したソロで、速くなったりルーズになったり・・・音が波のように押しては引くような感じですね。そして後半はコード奏法で複雑なコード進行をさらに複雑なヴォイシングで奏でていきます。
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と言うことで、続きのトラックと、DISK 2は次回です・・・。
(CD TOTALTIME:62:47 (DISK 1) / Walking消費カロリー:252.39 kcal)
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(*)本文に登場したCD・DVD
| Day Trip Pat Metheny Trio by G-Tools |
| Trio 99>00 Pat Metheny by G-Tools |

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