今日はコンピレーション・アルバムのジャズ・ギタリスト紳士録VOL.1でwalkingをしました・・・。
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前回に続いてジャズ・ギターのコンピレーション作品です。
この作品は日本のジャズ・ギタリストが総勢20名参加している、まさに日本のジャズ・ギタリスト名鑑的な意味合いのあるものです。
それぞれ2人が、本人同士で曲やアレンジを決めて演奏をしています。今回レヴューをするのがVol.1で主にスタンダードを収録しています。それに対してVol.2は同じメンバーで組み合わせを変えて、主にジャズ・オリジナルをコンセプトにしています。
バックはベースの上村信さんとドラムの大阪昌彦さんがすべて引き受けていて、ギター2台による極めてピュアな演奏を聴くことができます。
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01:マイ・フェイバリット・シングス
ゆったりとしたお馴染みの3/4拍子が流れてきます。ギターは左右のチャンネルに振り分けられていて、
右チャンネルの竹中俊二さんがテーマを奏でていきます。ジャズ作品ではありますが、ここでの竹中俊二さんはナチュラルに歪んだ音。このように、コンセプトがジャズだからと言って、素直にクリアトーンで奏でていないところが新しい世代と言えます。
当然相手のギタリストも同じような感覚が必要で、相手は矢堀孝一さん。ともに、ストラト・タイプのカスタムギターで奏でていきます。
ソロに入ってしばらくするとアップテンポの4ビートに曲は変わります。しかもこの部分はやはりスタンダードのジャイアント・ステップスのコード進行。なかなか凝ったアレンジになっています。
ファーストソロは竹中俊二さん。
聴いた感じはマイク・スターンさんの雰囲気でしょうか。現代で言うところのオーソドックスなフレーズ回しでいわゆる今風の感じのソロ展開です。
続いては矢堀孝一さんのソロ。
クリア・トーンなんですが、この音の中心はVG-8で創ったと以前インタビューで話をしていました。非常にクリアな中にも太さがある音です。フレーズの感じはパット・メセニーさん。ご本人もかなり影響を受けているとのことですので端々でメセニーフレーズが連発しています。
02:ダーン・ザット・ドリーム
うって変わって渋いジャズナンバーを奏でるのが、宮乃上貴昭さんと山口武さん。山口武さんはナイロン弦のアコギで奏でていきますが、宮乃上貴昭さんはこれぞフルアコースティックと言うような音で奏でていきます。
ファーストソロの宮乃上貴昭さんは、後半見事なオクターブ奏法でウェス・モンゴメリーさんの影響を強く感じるフレーズ展開をします。弾き方も親指を使用しているのその音色も良く似ています。
それに対して、山口武さんは、クラシック・ギターのやや固めの音をクリアに奏でます。かなりオーソドクスなフレーズなんですが、非常に丁寧なフレーズ回しです。
03:朝日の如く爽やかに
スローテンポでこの有名なスタンダードを料理していくのは岡安芳明さんと吉田次郎さん。お互いに解りやすいフレーズ回しで、実に心地よいソロを展開していきます。
特に後半の部分での掛け合いは、お互い速いパッセージやまったりとしたフレーズを応酬していて、なかなか雰囲気があって聴き応えのあるトラックに仕上がっています。
04:アローン・トゥゲザー
このトラックは曲も渋いのですが演奏も渋いです。宇山恭平さんと大御所、沢田駿吾さん。いわゆる派手派手なフレーズは無く、実にオーソドクスなフレーズ展開なんですが、年輪と言うか年季と言うか、落ち着きのあるプレイはなかなかグッと来るものがあります。
05:ジャスト・フレンズ
綺麗なメロディのこのスタンダードを演奏するのが、直居隆雄さんと竹田一彦さん。特に関西のドンと言われている竹田一彦さんのギターの音が結構好みです。これはギブソンのジョニー・スミスモデル。やはりギブソンのシグネーチャー・モデルの中では一番の完成度と言われているだけあって見事なトーンを放っています。もちろん竹田一彦さんのテクニックによる、と言うことではありますが。
06:カーニバルの朝
クラシック・ギターでのデュオで奏でられるこの曲は、高内春彦さんと鬼怒無月さんのプレイ。
ロック系の激しいプレイも聴かせてくれる鬼怒無月さんのスパニッシュでクラシカルなフレーズも良いのですが、そのソロのバックでの高内春彦さんのバッキングが見事です。
ちなみに2人とも使用しているギターがホセ・ラミレスと言う名器中の名器です。かなり良い音で左右のチャンネルから耳に流れ込んできます。
07:貴方なしでは
この曲も軽快なテンポで演奏されることが多い著名なスタンダードナンバー。それをごくオーソドックスに奏でていくのが、秋山一将さんと杉本喜代志さん。
フレーズもオーソドックスなので、ジャズ・ラインの参考になるようなフレーズが頻出しています。
08:ジョージア・オン・マイ・マインド
ロックフレーバーの8ビートで奏でるのが、布川俊樹さんと道下和彦さん。2人ともナチュラルに歪んだトーンでブルージーに奏でていきます。
特に布川俊樹さんは、個人的に好きなギタリスト。プレイ的には影響を受けている
ジョン・スコフィールドさんの香りが満載のアウトフレーズで攻めてきます。
09:おいしい水
いきなりのヴォコーダーを使ったテーマを奏でているのが是方博邦さん。全体的にアコースティックな雰囲気の作品に唯一エレクトリックな香りをもたらしています。さすが、フュージョン界代表と言う感じでしょうか。ソロの後半は想いっきり歪んだロック調のソロ。この作品コンセプトの中でも強烈な個性と我が道を行くと言う様なスタイルがかなり個性的ですね。
その相手はナイロン弦ギターで、三好功郎さんがリリカルに奏でていきます。
10:ステラ・バイ・スターライト
このスタンダード中のスタンダードを牽引していくのが、中牟礼貞則さん。そしてそれに追従していくのが、山口武さんと渡辺香津美さん。このトラックだけ3人での演奏になっています。
ファーストソロは、中牟礼貞則さん。
ご存知中牟礼貞則さんは渡辺香津美さんの師匠にあたるギタリストです。オーソドックスなラインの中にも渋さのあるプレイになっています。バッキングは山口武さんがしています。
次ぎは山口武さんのソロ。
山口武さんが2曲目に続いてナイロン弦のアコギで奏でます。非常に解り易いフレーズでこの曲の持っているコード進行の複雑さを感じさせないメロディアスなソロです。バッキングは渡辺香津美さんが演奏しています。
そして最後は渡辺香津美さんのソロ。
この作品ですでに19人のギタリストがソロを奏でて来ましたが、やはり一番個性的だと想います。まあファンの欲目もありますが・・・。メロディアスな部分と得意のパーカッシブなシーケンスラインを組み合わせて香津美ワールドを一瞬にして創り上げてしまうところは見事です。ちなみにバッキングは師匠中牟礼貞則さんです。
ひと通りソロが終わったところで、デュオでワンコーラスづつの展開になります。
最初は、中牟礼貞則さんのソロと渡辺香津美さんのバッキングでのデュオ。渡辺香津美さんの見事なバッキングに乗って先ほどのソロより熱く奏でていきます。師弟のデュオはなかなかグッと来るものがありますね。
次ぎは山口武さんとベースの上村信さんのデュオ。山口武さんはロン・カーターさんとのデュオ作品やライヴをしていたそうです。そのあたりのベースとのデュオのコツを心得た演奏です。
そして渡辺香津美さんはドラムの大阪昌彦さんとのデュオ。ドラムとのデュオもやはり心得ていて、あまりコード進行の複雑さを意識させないライン展開で、いつも以上にパーカッシブなソロ展開です。
その後は全員でソロを弾きまくり、その中でも互いのソロラインを絶妙に絡めながら段々と静かにエンディングに向い、渡辺香津美さんのきっかけフレーズを合図に怒涛演奏は終わっていきます・・・。
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これだけのギタリストを集めてひとつのコンセプト・アルバムを創ったと言うのはある意味凄いと想います。また、いたって日本的な感じがしますが、それは和風テイストと言う意味ではなくて、多分アメリカでは不可能な作品だと言うことです。
契約の問題等もあると想いますが、多分アメリカのミュージシャンだと、もっと我が出て散漫な作品になってしまうような気がするのです。それはそれで面白そうだったりしますが・・・。
この作品は、どこか謙虚な感じで、「あッ、どうぞ・・・」とか「じゃあ、そうしましょうか・・・」と言うような言葉も聞こえて来そうなと言ったらよいでしょうか。
それは団体競技的であって個人競技が比較的不得手と言われている日本のスポーツの世界にも似た感じ。
実際に20人のギタリストが参加していて、皆リーダー作をリリースしている方たちですがギター好きの私でも馴染みの無い方がたくさんいます。この中でピンでメディアに登場して、知名度が高いのは渡辺香津美さんくらいでしょうか。
特にフュージョンの世界で考えて見ると、やはりグループやセッションマンと言うスタイルが多く、ここにも、団体競技的な部分を見ることができますね。
その日本人らしさはプレイにも表れていて、プレイ自体は上手く、かなりの技巧派なんですが、いたって優等生的な感じがします。個人的に馴染みの少ないギタリストも多いのでなお更なんですが・・・。
矢堀孝一さんや布川俊樹さんは好きなギタリストなんですが、やはりこれだけギターがあちらこちらで鳴っている作品だと個性が強烈かと言えば、やはり影が少し薄くなっています。
矢堀孝一さんは、ここではまるでパット・メセニーさんのようなプレイですし、布川俊樹さんはジョン・スコフィールドさんのようなフレーズ展開をしています。
もちろん上手いのですが、あくまでも上手いと言うことで、心に『ビビッ』とくる上手さとは少し違うような・・・。言い換えれば上手いと言うよりは器用と言った方が良いかと。
そんな中でも強烈な個性を醸し出しているのが渡辺香津美さん。ファンの欲目もありますが、弾き始めたときの空気感が違うオーラを感じます。
これだけスタンダードなフレーズが連発している中で、やはり渡辺香津美さんの奏でるフレーズやグルーブはかなり個性的と言うことが良く解ります。
また、個人的にはあまり好きなギタリストではないのですが是方博邦さんが強烈な個性を発揮しています。
このコンセプトの中でヴォコーダーを使用して、しかも強力な歪み音でロックフーレズを叩きだすと言う勇気と言うか・・・。これは上手い下手と言うことだけではなくてある意味非常に強烈な個性と言えますね。
とにかくジャズ・ギターが満載で楽しめます。
またそれぞれの使用楽器やプロフィール、もちろん実際のギターとご本人の写真もライナーノーツに掲載されています。
また、それらを参考にしていろいろなメーカーのギターの音を聴き比べることも出来るので、特にギター好きには面白い作品と言えます。
(CD TOTALTIME:65:23/ Walking消費カロリー:262.84kcal)
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