Walking de Music

2008年04月のすべてのエントリーです。新しいエントリーから古いエントリーへと順番に並んでいます。

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2008年04月Archives

2008年04月22日

マスター・プラン/デイヴ・ウェックル 
MASTER PLAN/DAVE WECKL

Master Plan

今日は夏を想わせるような陽射しがあって結構汗をかくくらい暑い日でした。と言うことで今日はデイヴ・ウェックルさんのマスター・プランwalkingをしました・・・。

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この作品は1990年の作品。デイヴ・ウェックルさんの初リーダー作品となります。
実はこの作品も最近中古CDとして手に入れたもの。ですから初めて聴きます。どんなサウンドなのか実に楽しみにwalkingをしました・・・。

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01:タワー・オヴ・インスピレーション
デイヴ・ウェックルさんの短いドラムのリフから軽快なテンポでスタートします。続けて、ドラムのリズムにどっぷりと乗っかったトム・ケネディさんのジャコ・パストリアスさんのようなベースラインがテンポを加速させて、更に、ファンキーなオルガンの心地よいバッキングが入って来る・・・かなりカッコ良い!
そして、ギターのバッキングも・・・と想ってライナーノーツを読んだら、このギターは打ち込み。オルガンと打ち込みのプログラミングは共同プロデューサーでもあるジェイ・オリバーさん。

ジェリー・ヘイのさんトランペットとビル・ライケンバックさんのトロンボーンがリードを吹き、それに打ち込みのホーンズが重なってファンキーなメロディを重厚に奏でていきます。ちょっとビッグバンド風のテーマで、こうきたか!と言う感じのスタートです。ちょっと想像していなかったサウンドでした。

途中の複雑なキメなどの合い間を縫って、デイヴ・ウェックルさんは軽快なドラミングを奏でていきます。それにしても手数が多いですね。実際はどうやって叩いているか良く解らないような複雑さなんですが、それでもビートをしっかりキープして牽引しているのが凄いです。

非常にアクティヴでオープニングにはピッタリのナンバーです。


02:ヒア・アンド・ゼア
シャッフルのビートを持ったミディアムテンポのナンバーです。デイヴ・ウェックルさんの叩きだすシャッフルがゴーストノートがかなり入っていて非常に良いグルーヴ感を出しています。
ベースが変わって、正確で切れの良いスタッカート気味なラインをアンソニー・ジャクソンさんが奏でていきます。

曲は途中でリズムを8ビートに変え、また複雑なリズムリックを挟んで進みます。それでも一貫してシャッフルのビートが流れているところは見事なドラミングです。

ピーター・メイヤーさんのギターとエリック・マリエンサルさんのサックスがテーマとソロを奏でます。特に終り部分の掛け合いはなかなか熱いソロを展開しています。


03:フェスティヴァル・デ・リトモ
どう聴いてもラテン。ラテンフレーバーがバリバリのナンバーです。メロディはブラスでファンキーに奏でていくのですが、非常にわかりやすくポップなメロディラインで聴いていて気持ちの良い曲です。

エリック・マリエンサルさんのサックスソロのバックでのデイヴ・ウェックルさんのリズムが何とも複雑。絶妙なスネアのタイミングが実にタイトで、それにあわせたような淡々としたアンソニー・ジャクソンさんのベースラインと重なると、ソロラインを聴くよりそちらに想わず耳を奪われてしまいます。

この曲もビッグバンド風のラテンナンバーで実にカッコ良い曲に仕上がっていますね。


04:イン・コモン
エリック・マリエンサルさんのソプラノサックスが美しいバラードです。
デイヴ・ウェックルさんのドラムは、まるで打ち込みのようにいろいろなマテリアルを入れてリズムを刻んでいます。ブラシ・ワークをオーバーダビングしているようですが全体には淡々としたリズムワークです。

ファーストソロはピーター・メイヤーさんのギター。クリアトーンでメロディアスなソロラインを奏でていきます。
そしてそのソロをスーッと持ち上げるようにエリック・マリエンサルさんのソプラノサックスのソロが入ります。速いパッセージを連続して歌い上げていきます。


05:ガーデン・ウォール
デイヴ・ウェックルさんの短いリフからスタートするフュージョンらしさのあるメジャーな曲。イントロのトップノートを奏でているのはテナーサックス。抜群の存在感はマイケル・ブレッカーさん。
そして、それに絡むシンセのメロディは、一発でそれと解る音とフレーズ。こちらはチック・コリアさん。

テーマはマイケル・ブレッカーさんが奏でます。細かいタンギングが必要でリズムで聴かせるようなメロディラインはまさにハマッています。

ここでのデイヴ・ウェックルさんはオーソドックスにビートを刻んでいきます。手数も比較的少ないのでアンソニー・ジャクソンさんのベースとも良く合っていてビート感がグイグイと迫ってくるような感じです。

マイケル・ブレッカーさんのソロは何も言うことなしのマイケル節。それに続くチック・コリアさんも同じで唯一無二のチック節。
この2人が参加しているだけで全体のクオリティが物凄く上がっていますね。その存在感たるや凄いものがあります・・・やっぱり。


06:オーラ・チューン
今までの曲の中では一番打ち込みらしい曲になっています。その反面、ピーター・メイヤーさんのヴォイスがフューチャーされていたりミュート・トランペットが密やかに鳴り響いていたりしてヒューマンな感じを醸し出しています。

そのアンバランスな中、デイヴ・ウェックルさんはタイトにリズムを刻んで、打ち込みと見事に同化しています。


07:朝日の如くさわやかに
何故にここでスタンダードのこの曲を、しかもピアノトリオで、4ビートで入れたのか?少し異質な感じがするのですが、それでも演奏は超絶ですね。実にスイングしています。

ピアノはレイ・ケネディさん、そしてベースはトム・ケネディさん。演奏としてはオーソドックスなスタイルで、2人とも見事にスイングしています。

以前、デイヴ・ウェックルさんの4ビートでのソロを聴いたときに、何かとても違和感があって、ジャズ的ではないなと言うような感想を持ったことがあるのですが、このトラックでのソロは、やはりジャズ的では無いのですが、それでもオリジナリティに溢れていて、しかも手数が多いので圧倒的な迫力で迫ってきます。
これは、これで実に個性的なスタイル。スタンダードだからと言って、スタンダードなソロスタイルを求めるのがそもそも保守的で、このソロは大いに気に入りました。良いですね。とにかく。

まあ、作品全体からするとこのトラックは異質だと想うのですが、実は一番気に入っていたりします。この朝日~はなかなかの名演だと想います。


08:マスター・プラン
このトラックは個性が想いっきり出ているチック・コリアさんの曲。もちろんピアノで参加しています。更に左チャンネルでデイヴ・ウェックルさん、右チャンネルでスティーヴ・ガッドさんが叩いています。ドラム好きにはたまらないツインドラムのナンバーです。

デイヴ・ウェックルさんのドラムスタイルはルーディメントを実践に取り入れたスタイルと言われているそうです。ドラムのルーディメントは良く解らないのですが、その意味でスティーヴ・ガッドさんとプレイが良く似ているようです。確かにこのトラックを聴くと2人の共通性が良く解ります。プレイ自体はスティーヴ・ガッドさんがかなり抑えてプレイをしている感じで進みます。

チック・コリアさんのピアノソロの後のCD Time=3:12からの2人の掛け合いが最初の聴き所。先に行くのはスティーヴ・ガッドさん。良く聴いて見ると、続くデイヴ・ウェックルさんのソロラインが真似をしているかのように見事にスティーヴ・ガッドさんが叩いたモチーフを発展させています。ライナーノーツが無いとどちらがどちらか判らないようなフレーズ回しです。

アンソニー・ジャクソンさんの多弦を利用したベースらしからぬ和音でのフーレズと速いパッセージを挟んで再び掛け合いが始まります。この掛け合いが凄いです。

手数としてはデイヴ・ウェックルさんの方がやや多い感じのフレーズを展開しているのですが、スティーヴ・ガッドさんの1音の重みがそれを吹き飛ばします。
お互いがお互いのフレーズをきっかけとして使用しながらも個性的なソロフーレズを繰り広げています。

最後の部分でのユニゾンはデイヴ・ウェックルさんのソロに重なってスティーヴ・ガッドさんが入って来るのですが、見事に合っていて、まるでデイヴ・ウェックルさんの音が急に右チャンネルにふられて広がったような感じさえ受けます。それだけ合っていると言うことですね。


9:アイランド・マジック
アップテンポでなお且つ7/8拍子の曲。ここでのデイヴ・ウェックルさんは、ドラムだけではなくて、パーカッションのプログラミングとティンパレスをプレイしています。

途中ラテンのフーレバーになってチック・コリアさんのシンセソロが入ります。
それに続くデイヴ・ウェックルさんのソロがまた凄いソロで、ドラムの音の切れ間が無いほどに叩きまくっているのですが、決して騒がしく、うるさいと言うことは無く、連続する音の渦に耳を奪われてある意味トリップしてしまいそうになるくらいの心地よさと迫力があります。
特に、バックのラテンリズムが戻ってからの部分はビートを刻みつつ、16分音符での音が連続していて物凄いラテンビートになっています。
また、最後の部分CD Time=3:56からのスネアのロールが絡むところは、全くどうやって叩いているのか解らないのですが、とにかく肝!です。

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ドラマーのリーダー作ってそんなに聴かないのですが、ドラマーとして個性を出しつつ一貫性のある作品に仕上ると言うのは難しいですね。
ドラムソロオンパレードではリスナーが飽きるでしょうし、逆にセッションのようにドラムを叩いていると言うのも難しいでしょうし・・・。

その意味では、楽曲の良さと言うものが大きなファクターを締めると想うのですが、この作品はとにかく曲がカッコ良いのが好印象で、なお且つ、ドラムプレイが程よく、必要十分に盛り込まれてのがドラマーのリーダー作としては大成功だと想います。

デイヴ・ウェックルさんのプレイはとにかく手数が多い。
でも、基本的なルーディメントがしっかりとしている為か、ドラマーの命題であるテンポキープとリズムキープがしっかりしているのが流石だと想います。
それでいてこの手数。しかもそれが決してうるさい、ごちゃごちゃしていると言う感じが無いのは、そのルーディメントの確かさもありますが、叩き方の表現力、つまりアーティキュレーションの妙があるのだと想います。

それでも個人的には少し手数が多すぎかと・・・。
例えば、スティーヴ・ガッドさんの場合は、徹底してリズムをタイトに刻みそして出すところで、これぞ!と言うフレーズを叩きだすイメージがあります。

その意味で行くと、個人的に今回の作品では5曲目のガーデン・ウォールや7曲目の朝日の如くさわやかになどがタイトで良かったりします。

また、その手数と言う部分で感じたことですが、ベース奏者とのマッチングが難しいと想いました。
この作品では、トム・ケネディさん、アンソニー・ジャクソンさんとプレイしているのですが、アンソニー・ジャクソンさんの場合は、基本的に親指を使用してスタッカートで切れの良いフレーズを奏でるので、正確無比なデイヴ・ウェックルさんのプレイと妙に重なってしまい、かえってブルーヴを消してしまうような感じがしました。それは、アンソニー・ジャクソンさんの良さが打ち消されてしまっていると言ったら良いでしょうか。
5曲目のガーデン・ウォールでのタイトなデイヴ・ウェックルさんのリズムに乗った時の抜群のグルーヴを生み出しているアンソニー・ジャクソンさんのプレイと、その他の曲との違いを聴くと良く解るのですが。

逆に、トム・ケネディさんのようなスタイルの方が面白いですね。もう少しトム・ケネディさんには暴れて欲しかった感じがするのですが、例えば、ジャコ・パストリアスさんのように、意表をついたフレーズで逆にデイヴ・ウェックルさんに仕掛けていき、その手数に待った!をかけるような感じで絡んでいくと、相乗効果ではありませんが、凄いグルーヴが生まれそうな感じが個人的にはするのです。(実際に一緒にプレイした作品ってあるのでしょうか?)

それにしても上手いドラマーです。このような才能はなかなか出てこないのではないでしょうか。久しぶりにドラムを堪能した作品です。

(CD TOTALTIME:48:26/ Walking消費カロリー:194.7kcal)

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Master PlanMaster Plan
Dave Weckl

曲名リスト
1. Tower of Inspiration
2. Here and There
3. Festival de Ritmo
4. In Common
5. Garden Wall
6. Auratune
7. Softly, As in a Morning Sunrise
8. Master Plan
9. Island Magic

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あとがき
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2008年04月17日

ヴォィゼズ/マイク・スターン 
VOICES/MIKE STERN

ヴォイセズ

このところwalkingはしているのですが、なかなかアップが出来ないと言う状態なんです・・・。と言うことで少し前のwalkingマイク・スターンさんのヴォイセズです・・・。

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この作品は2001年のリリース作品。マイク・スターンさんの作品としては初めて、大々的にヴォイスを取り入れた作品で、非常に興味深く聴いたのを想い出します。久しぶりに聴きます・・・。

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01:ワン・ワールド
スタートから軽快なパーカッションのリズムに耳を奪われます。そしてすぐ何語か私にはよく解らないヴォイスが入ってきます。これがマイク・スターンさんのサウンド?とびっくりしたのを想い出します。でも、その声はお馴染みの声・・・リチャード・ボナさんのヴォイスです。

パット・メセニー・グループでお馴染み?・・・と想ってリリースを比べてみたらマイク・スターンさんのこの作品の方が先のようですね。
それでもパット・メセニー・グループでの印象が強烈でしたので・・・。実際には先にこちらを聴いていたと言うことになります・・・。

CD Time=2:20からマイク・スターンさんのソロがスタート。
いつも通りのクリアトーンにコーラス系のエフェクトをかけた独特の音。そして、速いパッセージのジャズラインに、時々ロックテイストのフレーズが絡んでいきます。
CD Time=3:28からの和音でのフレーズが終わったすぐ後のひと弾きのCD Time=3:35の音のニュアンスとトーンが絶妙です。
さらにCD Time=3:55からは歪み系のエフェクトをオンして更にソロを続けます。基本的なフレーズは同じ感じで進んでいくのですが歪みが掛っている分、よりドライヴしているような感じがします。
そしてCD Time=4:14からのチョーキングを絡めたフレーズは、歪んでいる音ならではのフレーズ。ソロの最後で決めると言う構成もなかなかグッと来るものがありますね。


02:ザ・リヴァー
少し跳ねたビートでピアノの低音とベースのユニゾンのリフが印象的なスタートです。リチャード・ボナさんとマイク・スターンさんが静かなユニゾンでテーマを奏でていきます。

CD Time=0:51からのサビは、リチャード・ボナさんの魅力的な声を堪能できます。さらに、CD Time=1:00からはハーモニーが重なってきます。
リチャード・ボナさんのハーモニーは絶妙な響きがあって何とも言えない美しさがあります。よく聴くと内声のインターバルなどはごく普通のハーモニーなんですが多分、あの声が重なると普通のハーモニーが普通では無くなっていくという、ある種、奇跡の倍音のような音が染みて来るのではないかと・・・。どう凄いのかも、上手く言えないくらいの美しさがあります。リチャード・ボナさん、恐るべし!と言う感じです。

マイク・スターンさんのソロはグッと押さえたフレーズを奏でていきます。速いパッセージを封印してひたすらルーズにそしてタメを大きく創っています。それでもブルージーな音の選択ではなくて、比較的モダンな音の選択なので想わず聴き入ってしまいます。


03:スロウ・チェンジ
重いマイナーな8ビートの曲。テーマはマイク・スターンさんのギターとボブ・フランセスチーニさんのサックス。そしてエリザベス・コントマノウさんのヴォイス。3つのユニゾンがマイナーな曲の感じをよく醸し出しています。ライナーを読んで初めて知ったのですが、エリザベス・コントマノウさんは女性だそうです。声を聴く限りは男性のファルセットかと想っていましたが・・・。

マイク・スターンさんのソロはこの曲でもゆったりとしたフレーズで攻めてきます。
このソロを聴いていて何故か、パット・メセニーさんだったらこう弾くかな、ジョン・スコフィールドさんだったらここでアウトフレーズかな、などと想いました。
それだけ、コード展開などがセッション向きでありギタリストが好きそうな展開と言うとこだと想います。でも、自分だったらこう弾く・・・とはマイク・スターンさんのソロを聴きながらはさすがに想いませんでした。とても恐れ多くて・・・。それだけ個性的でいいソロを展開しています。


04:ウィッシング・ウェル
16ビートのブラシワークにマイク・スターンさんのクリアトーンとフィリップ・ハミルトンさんのヴォイスがユニゾンでカントリーテイストの綺麗なメロディを歌っていきます。

2コーラスめに入ると、左チャンネルで12弦ギターのカッティング、そしてベースが入ってきます。さらにサビに入ると、世界はパット・メセニー・グループの感じ。ヴォイスの「イ、ヤ、ヘア」などの発音のメロディもよく似た感じです。けっこう世界観が近い2人だと想っていましたが、この曲はまさにハマリです。

CD Time=1:59からギターソロです。スタートの音数が少なくテーマモチーフの展開などはパット・メセニーさんとこれまたよく似ています。
しかし、CD Time=2:19からのダウンフレーズなどに入っていくとパット・メセニーさんならこのように展開しないだろう、と言うまさにマイク節!になっていきます。

極めつけはCD Time=2:46からチョーキングを頂点としたフレーズ。リリカルにキメていきます。これは、マイク・スターンさんのキメのパターンのひとつでもありますね。
また、上がり下がりするパッセージがパット・メセニーさんの場合はクロマティックなラインからけっこう機械的な雰囲気のあるシーケンスになることが多いのですが、マイク・スターンさんの場合はかなりスケールに忠実なラインを刻んでいくようなイメージがあります。マイク・スターンさんが自ら手書きでソロラインのフレーズをノートにストックしているのは有名な話しです。探究心がおう盛なんですね。見習わないといけないです・・・。


05:スティル・ゼア
哀愁の漂う、どマイナーなスローバラード。
テーマはマイク・スターンさんのクリアトーン。CD Time=0:19の静かなチョーキングのアーティキュレーションがいいですね。全体的にこのようなチョーキングの小技が結構盛り込まれています。

静かなチョーキングって雰囲気は出るのですがやはり難しい・・・。ちょっと気を緩めるとCD Time=3:06のように別の弦の音のノイズが目立ってしまいます。まあ、マイク・スターンさんのこの曲での絶妙なアーティクレーションから見れば、ささいなノイズなんですが・・・。

ヴォイスが主にテーマを取っている作品の中でのインスト。それでも、ヴォイスに負けないくらいヒューマンなマイク・スターンさんの演奏を聴くことが出来るトラックです。


06:スピリット
5曲目とはうって変わってどちらかと言うと、どメジャーなナンバー。少し跳ねたリズムが軽快で楽しげなナンバーです。

マイク・スターンさんのソロはCD Time=2:22から。
スタートからごく少ない音数でチョーキングのニュアンスでフレーズ展開をしていきます。ブルージーな要素とロックのテイストを盛り込んだラインで、ここでもそのチョーキングのアーティキュレーションの妙を聴かせてくれます。音の動きは少ないのですが、それがCD Time=2:43からの16分音符のダウンフレーズをより印象的にしていますね。掴みとしては見事なスタートです。

基本的にはワンコードの部分なので、微妙にアウトしていくスケールの選択や音の選び方が良く解るソロに仕上がっています。また、それはコーラスを挟んで続く部分CD Time=3:30で更に堪能することができます。
特にCD Time=3:38からCD Time=3:41を頂点にして、さらに続くCD Time=3:45速弾きのダウンフレーズまでが実に見事にアウトしていて、どうしてこんなフレーズが出てくるの?って純粋に想います。まさに心地のよいアウトフレーズで肝!です。

この曲ではマイク・スターンさんのソロのパターンのひとつであるブルージーでロック的なチョーキングを使用した盛り上がりフレーズを、アウトフレーズのジャズラインで繋ぐ言う構成が良く解ります。
また、基本はワンコードなので、マイク・スターンさんのギター・コピーをしたりソロラインを探求するには最適な曲だと想います。


07:ホワット・マイト・ハヴ・ビーン
マイナーなボッサのバラードで、マイク・スターンさんのナイロン弦ギターとエリザベス・コントマノウさんのヴォイスがユニゾンでテーマを奏でていきます。

マイク・スターンさんのナイロン弦ギターですが、ライナーに記載がないので種類は解りませんが、非常に固い音です。しかし、逆に芯がしっかりしていてクリアなナイロン弦の音になっています。また、それでいて実にヒューマンな香りが漂っているのはピッキングの上手さと言えます。感じはまさにパット・メセニーさん。音と言い、フレーズと言いこれは本当に良く似ています。


08:レニズ・スマイル
3/4拍子でテンポは速い曲なんですが、ベースのリチャード・ボナさんのフレーズが高い音でループしたフレーズを奏でているのと、ドラムが入っていなくてパーカッションがサイドシンバルでリズムを取っていく構成なのですごくライトな感じで、流れていきます。

ソロはマイク・スターンさんとピアノのジム・ベアードさんの掛け合いです。CD Time=2:19からのマイク・スターンさんのソロに合わせてベースが動き出します。リチャード・ボナさんのミュートをアクセントにしたリズミカルなフレーズが盛り上がりを創っていきます。基本的には同じフレーズの繰り返しなんですが、ちょっとおしんフレーズでジャコ・パストリアスさんを想い出させてくれますね。

エンディングは2人の掛け合いでフェードアウトしていくのですが、お互いが良く相手のフレーズを聴いているようでフーレズがこだまのように良く呼応しています。上手く絡み合っていて聴き応えのあるエンディングになっています。ちょっとフェードアウトが早いかな、と個人的には想いますが・・・。


9:ウェイ・アウト・イースト
アート・トゥンクボヤチアンさんの異国の叫び?と強烈なパーカッションで異様なムードが漂う中、マイク・スターンさんとマイケル・ブレッカーさんが低い音でコロコロと動くフレーズをユニゾン。そしてリチャード・ボナさんのパーカッシヴなベース・・・。想わず期待大のスタートです。

細かいリズムとユニゾンで進んで行くのですが、サビの部分は大きなノリとメロディで展開します。少し壮大な感じで盛り上がります。それをスーッと持って行ってしまうようにマイク・スターンさんのソロがスタートします。この切り替わり方は個人的にかなり肝!です。

マイク・スターンさんは細かい16分音符のフレーズ展開でスタートします。
この部分はワンコードなので、かなりきわどくアウトフレーズを爆発させています。それを牽引しているのはリチャード・ボナさんのベース。迫り来るようなフレーズで、繰り返しで単純な中にも絶妙なグルーヴ感があります。

CD Time=2:07からコード展開をします。それにあわせてマイク・スターンさんもチョーキングを多用してロック的フレーズに展開をします。

再びCD Time=2:21から元のパターンに戻るのですが、今度は、音数を少なくしてモゴモゴと叫んでいるようなフレーズの応酬に入ります。更にそれはCD Time=2:34から倍速になって不思議なフレーズを繰り返します。
それに繋げて、機械的なシーケンスのフレーズからチョーキングを絡めて、CD Time=2:48のチョーキングのロングトーン。それに重なるようにバックが展開部分に入っていきます。このあたりの流れは流石の上手さを感じますね。

CD Time=3:30からはマイケル・ブレッカーさんのソロがスタートします。
スタートこそ少しダレた様な吹き始めなんですが、これが実は絶妙な間を創っていきます。その絶妙な間に、想わずバックがいろいろなメロディを入れて絡んできます。バックの演奏がマイケル・ブレッカーさんのフレーズに引きずられているのが良く解ります。

パターンが変わる部分に入ると明らかにバックの演奏が変わっていって物凄いグルーヴが生まれていきます。これ全てマイケル・ブレッカー・マジックと言っても良いほど。

CD Time=4:16の一瞬のマイケル・ブレッカーさんのフレーズの間に、リチャード・ボナさんが恐ろしくグルービーなダウンフレーズを絡めたり・・・。
マイケル・ブレッカーさんが少し速いパッセージを奏でると、それとは逆にロングトーンのフーレズをリチャードボナさんが弾き始めて、それに合わせてジム・ベアードさんがピアノでロングトーンを絡めたり・・・。

再びワンコードの部分に戻ると、今度はCD Time=4:31のマイケル・ブレッカーさんの6連符の速いパッセージにドラムのヴィニー・カリウタさんがそれをリフレインしたフレーズで答えます。

その後もマイケル・ブレッカーさんの独壇場。荒々しいブロウにアウトラインを絡め吹き抜けていきます。更にヴォイスに絡んでマイケル節はそのまま続いていきます。
ちょっと桁違いと言うか・・・ファンの欲目もありますが、マイク・スターンさんは完全に食われてしまった感じになっていますね。個人的にはベスト・トラックだと想います。


10:ノー・カウント
スローテンポのファンクテイストのある曲です。
テーマはマイク・スターンさんとボブ・フランセスチーニさんのサックスがユニゾンで気だるく、ルーズに奏でていきます。

この曲はボーナス・トラック。個人的にはボーナス・トラックを入れることには少し批判的なんですが・・・。
例えば一作品としての流れで聴いていくと、前の曲で終わるのとこの曲で終わるのではだいぶ印象が違うと想います。まあ好き嫌いがあるので何とも言えないところではありますが・・・。


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今回のヴォイスを使用は、基本的には歌詞は無く、あくまでもヴォイス。使い方としてはパット・メセニーさんの作品に近い部分があります。
しかし、どちらかと言うとこの作品の方がヴォイスをあくまでもシンガーが奏でていると言うような使い方かな、と想います。
それに対してパット・メセニーさんの方はヴォイスを楽器として使用している感じと言えば良いでしょうか。
ですからこの作品の場合はあくまでもヴォーカル曲と言うことが言えますね。
また、ギターのサウンド的にも、楽曲の雰囲気としてもかなりパット・メセニーさんと近い部分を感じました。

いろいろな聴き所のある作品ではありますが、全体に統一感があり、色彩が同じなのは、まさにマイク・スターンさんの世界観が良く出ているからだと想います。

(CD TOTALTIME:66:02/ Walking消費カロリー:265.45kcal)

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ヴォイセズヴォイセズ
マイク・スターン エリザベス・コンタマヌー ジョン・ヘリントン

曲名リスト
1. ワン・ワールド
2. ザ・リヴァー
3. スロウ・チェンジ
4. ウィッシング・ウェル
5. スティル・ゼア
6. スピリット
7. ホワット・マイト・ハヴ・ビーン
8. レニズ・スマイル
9. ウェイ・アウト・イースト
10. ノー・カウント

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あとがき
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2008年04月09日

キッド・グローヴス/ラリー・カールトン 
KID GLOVES/LARRY CARLTON

キッド・グローヴス

先日は大荒れの天気。また低気圧が来ているようですのでその合い間を縫ってのwalkingはラリー・カールトンさんの
キッド・グローヴスです・・・。

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1988年の衝撃的だった銃撃事件から復帰作になったのがオン・ソリッド・グラウンド(*)。
その後コレクション(*)と言うベストアルバムをリリースしましたが、その次の1992年の作品がこれです。
オン・ソリッド・グラウンドは事件の前の録音も含まれていると言う話しがありますので、現実的には事件後の録音でのフルアルバムの最初の作品となります・・・。


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01:キッド・グローヴス
重厚に音を重ねたエレピが印象的なスタート。これから始まる!と言う感じのコード進行はオープニングにピッタリです。

テーマに入ると一転爽やかなスチール弦のアコギがメロディを奏でていきます。
サビに入ると少し今までの作品とは少し違った感じに気が付きます。雰囲気的にはリー・リトナーさんの様な感じと言ったら良いでしょうか。
それもそのはずでレーベルがGRPでエグゼクティブ・プロデューサーがデイヴ・グルーシンさんとラリー・ローゼンさん。ですから全体的なサウンドの色彩がGRP色なんですね。

ラリー・カールトンさんのソロは、超スタッカートなフレーズの連続。曲の持っているビート感と良く合ってはいるのですが、今までの作品でのラリー節では無いのが少し残念と言うか意外と言うか・・・。

CD Time=2:57からサビが転調してよりメロディアスな雰囲気が漂います。ラリー・カールトンさんのテーマの間を埋めるように絡めているメロディが見事な歌い方。その後もテーマを弾きながらソロを絡めていきフェードアウトしていきます。


02:ザ・プリーチャー
一転して16ビートのジャジーな曲。テーマはフルアコースティックギター。多分ジャケットに映っているギブソンのL-5(?)。2声の和音を巧みにメロディに絡めた実にジャージーなテーマを奏でていきます。
このテーマが実はなかなか難しいラインになっています。卒なく弾くにはそれなりの練習が必要な感じですね。

ソロはけっこうストレートなジャズラインを奏でていきます。
速弾きやリズム的なフェイクはほとんど無くて16分音符をひたすら弾き倒します。それでも、スケール練習的になっていなのが見事です。


03:ミッシェルズ・ホイッスル
穏やかなアコギのテーマが響くバラードです。BGM的なサウンドで落ち着きます。ちょっと天気予報のBGM的ではありますが・・・。

それにしても綺麗なアコギの音です。スチール弦の単音での良さを最大に生かしていると想います。このあたりのノウハウは以前にリリースしたアコギでの名盤、ディスカヴァリー(*)とアローン・バット・ネバー・アローン(*)の2枚から。ギターはライナーに記載が無いので判りませんが、おそらくヴァレーアーツのアコギだと想われます。

この曲でのラリー・カールトンさんのソロは、ゆったりとしたテンポに乗って無理なく、自然に歌っていきます。トリッキーなフレーズやアウトするような節回しも無く、ごく自然体です。その分、面白みや緊張感はありませんが、曲調にあった優しいソロに仕上がっています。


04:ウィ・ウィ・シイ
サックスのカーク・ウェイラムさんと歪んだ音のギターでテーマを奏でていくハードなナンバーです。ラリー・カールトンさんのエレクトリックなサウンドが4曲目にして登場です。

まず印象的なのがイントロのベースライン。裏のビートでA=「ラ」の音がずっと鳴っていると言うライン。これは右手の親指を使用してギターのように弾かないとなかなか難しいラインだと想います。ただでさえ難しいのに、抜群のテンポキープとビート感があるこのプレイはエイブラハム・ラボリエルさん。そのベースラインに牽引されて曲はスタートします。

テーマ後のユニゾンの展開からラリー・カールトンさんのソロがスタートします。
ラリー・カールトンさんの音はギブソンのES-335では無く、ソリッド・ギターのような音ですね。ソロラインも基本的には2曲目と同じ様な16分音符を連続していくパッセージが中心。しかも、アウト的なフレーズは少なく、やはり少し今までとは違った感じのライン。歪んだ音なので、絶妙なニュアンスのチョーキングなども期待するのですがほとんどありません。

余談ですが、タイトルのウィ・ウィ・シイは日本語の『初々しい』?・・・ではないですよね・・・多分。


05:ハート・トゥ・ハート
エレピのリリカルなサウンドに引かれて再びアコギでのバラードです。
メロディラインの美しさに加えて、コード進行が綺麗な流れを持っています。もちろん、ラリー・カールトンさんはテーマ、ソロに関係なく綺麗な音とリリカルなフレーズ展開を聴かせてくれます。

聴き所はCD Time=2:32のチョーキングからのフレーズ。
やや長いトーンのチョーキングから、今度はCD Time=2:44で細かいチョーキング・ダウンフレーズで味をつけます。さらにCD Time=2:48のスタッカートなフレーズを、ギターのブリッジ寄りで弾いて煌びやかな変化をつけてグリッサンドでアップ。そしてクロマティックなフレーズにチョーキングを絡めて、CD Time=2:54での絶妙なアーティキュレーションのクオーターチョーキングで決めます。
5曲目にして、やっとラリー・カールトンさんらしいフレーズが飛び出しました。この部分はもちろん肝!です。


06:ジャスト・マイ・イマジネーション
打ち込みのリズムに少しワウをかけた音でラリー・カールトンさんがテーマを奏でていく、レゲエのリズムを持ったナンバー。それでも完全なレゲエと言うことでもなくかなり洗練された、言って見ればラリーズ・レゲエと言う感じ。ちなみにこの曲はテンプテーションズのカバー曲。

ラリー・カールトンさんのソロはその音が面白と言うこともありますが、フレーズ的には1曲目と同じようなスタッカートなフレーズを展開します。さらに音域を非常に狭くして展開していますので聴いた感じがデヴィット・T・ウォーカーさんのような、モコモコとした感じのラインです。それでも楽しく歌っている感じがして、いいソロだと想います。


07:ホエア・ビー・モサダ?
3拍目のスネアとベースラインを聴いていると、スーッと何処かへ流されていってしまうような不思議な雰囲気のあるミディアムテンポのマイナーなナンバーです。ラリー・カールトンさんはナチュラルに歪んだ音でテーマを奏でていきます。

エイブラハム・ラボリエルさんのベースラインが印象的。またそのベースラインがこの曲のメインモチーフのようになっていて、ラリー・カールトンさんもCD Time=4:28やCD Time=4:51などでそのモチーフを使用した歯切れの良いパーカッシブなフレーズを奏でています。
特にエンディングでは、左チャンネルのバッキングギターでベースに絡めるようにモチーフを繰り返します。


08:ファーム・ジャズ
ドラムのループを使用したミディアムシャッフルのナンバー。ループも軽い感じのものなので、ベースがテーマをシンセとユニゾンで奏でギターがバッキングをするというライトなテイストで曲は進みます。

サビに入るとギターがテーマを奏でますが、そのテイストは変わらず。ギターの音もナチュラルに歪んでいますが、あくまでも軽い感じ。


9:テリー・T
ミディアムシャッフルのバラード。再び登場のフル・アコースティックギターでジャージーにラリー・カールトンさんがテーマを奏でていきます。

CD Time=2:09からラリー・カールトンさんのギターソロです。
フル・アコースティックギターのクリアで甘いトーンを抜群のジャズ・フレーズで聴かせてくれます。とは言ってもそこにブルースのエッセンスが入っているのがいかにもラリー節。CD Time=2:37のチョーキングからスライドを使用したフレーズは絶妙なニュアンスです。


10:イフ・アイ・クッド・アイ・ウッド
ギターソロ曲。ギターはソリッドギターのような感じの音なんですが、エフェクト効果で広がりと煌びやかさのある音で静かに奏でていきます。
しかし、ピッキングのニュアンスとかをしっかりと感じとることができてギターを弾いているリアリティを感じる演奏です。卒なく弾いていますが、このように『聴かせる』のは別の意味でのテクニックが必要ですね。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★

作品の雰囲気としては、最近のラリー・カールトンさんのややブルース色のあるものと夜の彷徨などの黄金のフュージョン色との中間的作品かと。さらには、アコギの2作品の流れを強く持っていると言うところでしょうか。

ギター的にも、フルアコースティック、スチール弦のアコギの比重が高くES-335は全く使用していないような感じですね。

非常に静かでゆったりとした時間が流れていくと言う感じのする作品です。
そしてフレーズなどもいたってシンプルな感じを受けました。それは自然体と言うか、無理をしていないと言うか・・・。好き嫌いは別として、一歩進んだ大人の世界に入ったと言う感じがします。

発売当時はどちらかと言うと、夜の彷徨の世界観が好きでしたので、銃撃事件後の作品と言うことでの期待もあったのですが、この作品の持っているゆったりとした、悟ったような感じはあまり好みではなかったように想い出します。実際にこの作品以降、少しラリー・カールトンさんの作品から離れました。

先に大人になった彼についていくことが出来なかったと言う感じでしょうか・・・。

今回、久しぶりに聴いてみると、その雰囲気とゆったりとした感じ、そして自然な感じが実にフィットしました。それだけ年を重ねたと言うことですね。嬉しいやら、悲しいやら・・・。

(CD TOTALTIME:49:24/ Walking消費カロリー:198.59kcal)

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キッド・グローヴスキッド・グローヴス
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曲名リスト
1. キッド・グローヴス
2. ザ・プリーチャー
3. ミッシェルズ・ホイッスル
4. ウィ・ウィ・シィ
5. ハート・トゥ・ハート
6. ジャスト・マイ・イマジネーション
7. ホエア・ビー・モサダ?
8. ファーム・ジャズ
9. テリー・T.
10. イフ・アイ・クッド・アイ・ウッド

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2008年04月03日

TOP SECRET/野呂一生

先日は野呂一生さんのトップ・シークレットでwalkingをしました・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

今年、久しぶりの新作INNER TIMES(*)をリリースしたカシオペア野呂一生さんの3枚目のソロアルバムです。
リリースは1996年。カシオペアFLOWERS(*)と言う作品と同じくらいの時期になります。
前回、T-スクエア安藤まさひろさんのソロ作品を聴いたので、今回はカシオペアで・・・と言う実に単純な選択なんですが・・・。

この作品の最大の特徴は、ベースとドラムは打ち込み、パーカッションと数曲の生ドラム以外の音は全てギターと言う部分。もちろん単純なギター・カルテットでは無くて、ギターでオーバーダビングをして創っています。途中シンセブラスやエレピのような音もありますが、これ全てギター・・・。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★

01:TOP SECRET
クロマティックのフレーズが印象的なスタートです。ありがちなフレーズですが、オリジナリティのあるフレーズで、この微妙なさじ加減が野呂一生さんらしいですね。

このフレーズは2音つづクロマティックに下がっていくのですが、その2音の内の後の音を、次ぎの音の頭にスライドで繋いでいくと言うものです。ですから、右手のピッキングは半分の量しかしていないと言うことになります。タイミングが難しいフレーズで、弾いていてもクセになる面白さのあるフレーズに仕上がっています。

曲は、4/5拍子と言う野呂一生さんの曲では珍しい拍で進みます。結構テンポが速く、またシンセベースが8分音符が連続した迫りくるようなマイナー・フレーズなので、4/5拍子と言う感じよりは、6/8拍子的な流れの良さがあります。

スタートしてすぐのCD Time=0:07のシンセブラス的なギター。良く聴くとなるほどギターです。音をだいぶ加工してあり、更に何音も重ねてありますので、結構厚い感じのブラスになっています。確か以前のインタビューで、それこそ1音つづ重ねてダビングをしたと言うようなことを読んだ記憶があります。

野呂一生さんのテーマは歪んだ音。ピックが弦に当たるノイズもリアルに解ります。オクターブで奏でているのですが、ここもオーバーダビングのようです。

そしてCD Time=0:25の白玉シンセ的なギターがテーマに絡んできます。これも何音か重ねてあり、更に左右のチャンネルに振ってありますので何とも言えない独特の香りと雰囲気が広がります。ちょっとレトロな感じと言うか、ジャズのビッグバンドでブラスセクションが奏でるロングトーンのような感じと言ったら良いでしょうか。

サビの部分はコードの展開は無く、2コードを繰り返しながら勢いで攻めるようなメロディ展開になっています。それでも4/5拍子に3音でのフレーズを重ねていき、4/4拍子に慣れているリスナーに奇数の波が押し寄せます。ですから単純なコードとメロディなんですが、凄い迫力と緊張感があるサビになっています。

CD Time=1:48からの野呂一生さんのソロは怒涛の3連符の速弾きでスタートします。あまりブレイクを入れずにそのままたたみかけます。感じとしては、名曲、タイムリミットのソロのような感じ。しかし、曲調がハードめなので、より荒くハードにキメています。

ソロの後、テーマ、サビと繋いでCD Time=2:48から展開します。ひとつのメロディモチーフを基本に、コードを展開していくと言う野呂一生さんの得意なパターンです。また、ここではリズムがワルツのように変わって、メロディも少し明るいラインになっています。
今までのマイナーで緊張感のある感じから一瞬解き放たれますが、それでも、その前までの雰囲気を微妙に残しています。

この部分は、メロディを聴いていくと3/4拍子のワルツにアレンジできるメロディラインで、むしろその方が安定する感じがするのにも関わらず単純に3/4拍子にしていません。ここは、そのまま4/5拍子。
その為に、このブリッジの部分が良いアクセントになりつつも、全体の雰囲気と流れを止めないと言う効果を持っています。このアレンジは見事だと想います。

再びサビに戻り、野呂一生さんのソロを絡めながら進み、イントロと同じ印象的なフレーズでエンディングです。


02:FALL IN THE NIGHT
16ビートのダンサブルなナンバーです。
この曲ではノーマルなギターのカッティングにブラス風のギターがオーバーダビングされています。1曲目よりも良い感じでブラスギターが奏でられているのですが、シンセブラスと比べると切れが今一のような感じです。これは、理由があって、切れを出すとギターらしさが際立ってしまいテーマの歪んだ音とのギターとぶつかる為だと想われます。
ですから、ブラス風のギターは音を加工して、かつエッジをとってマイルドにして、それでもブラスの切れを残したと言うギリギリの音選択と言う感じがします。
かなりシンセ・ブラスっぽい雰囲気があり、意識しなければシンセ?って想ってしまいますね。

曲の雰囲気としてはかなりカシオペアっぽい感じの曲です。また、野呂一生さんのソロは、やはりハードめでラフな感じのするラインを展開しています。


03:GET MOVE
少し跳ねた16ビート。リズムは打ち込みから神保彰さんの生ドラムに替わります。
生のドラムが入るとがらっと雰囲気が変わるところなんですが、ここが神保彰さんの凄いところ。ほとんど生と気がつかないほどの正確さがあります。それでもビート感が違うのはやはり生楽器。

さらにビートを牽引しているのは左右のチャンネルに振られたワウをかけたギターカッティング。その音にブラス風のギターやテーマに絡むギターがオーバーダビングされていると言う構成。
ブラス風の音やテーマの絡みがほぼカシオペア風。まるで向谷実さんが弾いているような錯覚も覚えます。このことから、カシオペアにおける野呂一生さんのアレンジが隅々に渡っていることが解ります。

途中、パーカッションのカルロス菅野さんと神保彰さんのソロの掛け合いがあります。
その後野呂一生さんのソロですが、今度はノーマルトーン。でも、少しワウを軽くかけてあるのか、コーラスを強くかけているのか、かなり変?な音。お世辞にも良い音とは想えないのですが、フレーズはジャズ的で結構良いですね。


04:CRYSTAL
少し跳ねた8ビートでブルージーなナンバーです。カシオペアの曲で言うとダウン・アップ・ビートを、もう少しブルージーにダークにした感じと言ったら良いでしょうか。

ここでは、クリアトーンのギターのメロディに歯切れの良いカッティングと先ほどから登場している少しレトロなブラス風のカウンターメロディーが絡んで進みます。

ギターと言う楽器はアタックが強く、それを頂点に一気に衰退していく音の美しさがあると想います。ですから、ロングトーンでのバッキングに使用すると、どうしてもシンセのように音のまろやかな伸びが得られないので、ブラスセクションと同じ様な効果になると言うことですね。それが、ビッグバンドジャズの雰囲気と言うか、そんな感じを醸し出しているのだと想います。

ここでの野呂一生さんのソロは、クリアトーンで華麗にジャズラインを奏でています。今までの曲でのソロは少しラウドと言うか、粗さがあったのですが、この曲のソロはまとまっていて本領発揮と言う感じのソロだと想います。


05:EARLY BEGINNING
この曲では再び神保彰さんがドラムを叩いています。ベースラインが4分音符を中心としたラインで、ゆったりと流れているのですが、神保彰さんの叩くリズムとパーカッションが4つ打ちのリムショットで速い流れをぶつけます。

野呂一生さんのテーマはハードな歪みの掛った音。かなり強く歪みが掛っているので、ピッキングをした時のアタック音がノイズとして聴こえます。しかし、これは多分意図的。高い音でピッキングノイズが入っているので少しエフェクト的な効果があり、ゆったりしたメロディにも関わらず、バックのリズムのアップテンポに乗りそうでいて、いや、乗らない!と言うもどかしさを醸し出しているような感じがします。

この曲では、バッキングにギターでいろいろな音を聴くことができます。エレピのような音やブラス。そしてブラスシンセのロングトーンのような音。ギターらしさをあまり感じることが無く、普通に聴いてしまう感じです。
それは曲のノリが良く、特に中サビやサビの部分はこれぞ野呂一生!と言う感じの曲の為。かなり計算されたアレンジで、バックの各セクションが必然と言う感じ。無駄が無いと言うか。さらに、神保彰さんのドラムがそれに加わると、世界はまさにカシオペア。この曲は結構ハマリます。


06:THE THING TO NEED
ベースラインが切れの良いビートを刻んでいくダンサブルなナンバーです。前の曲と比べると、メロディは野呂一生さんらしい感じなんですが、いかにも打ち込みと言う感じが一番するナンバーかなと想います。そんな、中でもソロの出来は見事です。

CD Time=2:25からのかなり速いダウンフレーズの連続は、途中で途切れることなく限界の低音まで下がっていきます。粒揃いで見事です。さらに、そのフレーズをエンドにしないでそのまま次ぎのブルージーなフレーズに繋ぎCD Time=2:33からの、野呂一生さんとしてはあまり聴いたことがないアウトフレーズの機械的なシーケンスラインに入り、更に和音を使った少し激しいフレーズへ。
この無呼吸とも言える連続フレーズは聴き応えがあって肝!です。


07:THE MIDNIGHT ANGEL
気分が想わず沈んでしまうようなマイナーなバラード。バッキングのギターがエレピのような響きで良い感じです。更に、アコギでのバッキングに神保彰さんのブラシワークが重なってムードはひたすらダーク。

でも、エンディングのCD Time=3:48で一瞬明るい展開に変わるのですが、すぐ後で、テーマのメロディの頭の部分をフェイクしたメロディで曲は終わります。想わず、上手い!と言ってしまいそうなアレンジです。


08:VIRTUAL LIFE
ギターとベースのユニゾンの間を縫って神保彰さんのドラムが激しい『おかず』を叩きます。そのイントロを抜けると世界はラテンフレーバー。

そのラテンのリズムに乗って野呂一生さんのソロもナイロン弦のギターで、トレモロなどを挟んだラテンと言うよりはフラメンコテイストのラインを奏でます。

CD Time=3:07からの展開は、その前までのサビのメロディをふたつに分解して、その間にバッキングでカウンターメロディを入れていくというもの。この部分が少しストレッチされたような感じで、曲中のアクセントと変化をもたらしています。効果的で、ここでもアレンジの上手さを感じますね。


9:SANCTARY
フレットレスギターの登場です。リリカルに奏でるバラードプレイです。ここでは、バッキングをスチールのアコギを中心に奏でていくのですがそれ以外に、ギターでストリングスシンセのような効果を出しているパートはギターとは想えないような音で、一瞬シンセ?と想いました。

野呂一生さんのフレットレスギターはもう極みに達しているのか、音程の不安定さもなく、安心して聴くことができます。


10:EXCEPTION
この曲は7/4拍子。1曲目も5/4拍子で野呂一生さんの曲としては珍しいと想ったのですが、更に珍しい。しかしその変拍子をあまり感じさせないメロディとリズムの流れを持っているので違和感なく聴き入ってしまいます。

前半の野呂一生さんのソロはワウを効かせた音で奏でます。その後、サビに絡みながらのソロがありますが、それが抜群な流れをもったラインを展開しています。

野呂一生さんはどちらかと言うと、盛り上がりの部分で速いパッセージに走る特徴があるのですが、ここではジッとこらえて8分音符のジャズラインを弾き続けます。特にCD Time=3:14からの流れは見事なラインでスケールを捉えてメロディアスに弾き抜けていきます。7/4拍子と言う変拍子をまったく感じさせないアドリブはため息ものです。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★

曲調としては打ち込みがほとんどなので、ワンコード、ワンフレーズの展開でダンサブルに聴かせるような曲が多いのが特徴でしょうか。その分少し楽曲的には面白みに欠ける感じもあるのですが・・・。それでも、1曲目や5曲目などはカシオペアらしさもあって個人的には結構好きです。
でも、普通に聴い時にはやはり少し退屈・・・。ギターでのバッキングも純粋な『曲』として聴くと、別にギターである必然性は無いと言えば無いかもしれませんし・・・。

それでも、一番の聴き所はオール・ギターと言うことなんですが、その中でも、ギターシンセを使用していない(ライナーノーツや付録の楽器紹介によると)と言うところが非常に意欲的で実験的で前向きな姿勢を感じます。

ギターシンセを使用すれば、もっとバリエーションが豊富になりますが、考えてみれば、ギターシンセで例えばエレピの音を出したり、ストリングを出したとしても、聴いているサウンドとしては普通の鍵盤で奏でるのと同じ。だたワンマンで演奏したと言うことだけで、リスナーは『ふむふむ・・・』と唸るだけ・・・。

ギターのエフェクトでいろいろな音を創っていると言うところに意味があると想うのです。しかも、聴けばギターと解る音で、それとなく聴いていればシンセ?って想ってしまうような・・・。
この、ギリギリで、微妙な部分で線引きをしていて、そのバランスが実に良いと想うわけです。
もう少しエフェクトをきつくしたり、音を加工していたとすれば、それはなんらギター・シンセと変わらない、と言うことになっていたような気がします。

もちろんテーマは普通のギターサウンドですので、それと極力ぶつからないように、これまた微妙な線引きで、全体的なトーンを少し落としています。ですから、聴いた感じに煌びやかさはないのですが、それでも統一感のあるギターミュージックに仕上がっていると想います。

でも、このスタイルはギターを弾く人にとっては、誰でも考えるし、ある意味『夢』とも言えます。その夢をやってしまった!と言うことで非常に評価が出来る作品だと想うのです。

また、その夢のついでに、この作品はPCデータが収録されています。WIN95での動作と言う今となっては古さを感じるのですが、これが結構面白いのです。

プロモーションビデオやフォトショットは当たり前の特典として、それ以外に、エフェクトのセッティングが細かく記載されていて、これが曲にあわせてその時のセッティングデータに変わって行くと言うもの。
さらに、使用したギターを実際に野呂一生さんがノーマルな音でワンフレーズ弾いている映像。
そして、MIDIデータとして、3曲分収録されています。
もちろん野呂一生さんの音ではなくて打ち込みをした音ですが、データの加工は出来ませんがトラックのオン・オフをすることができます。

ですから、どのようなメロディが対旋律になっているのかとか、バッキングのメロディの重ね方などを自由に聴くことが出来るようになっています。つまりドラムだけを聴いたり、ベースだけを聴いたり、バッキングパートの1種類のみを聴いたり、それとメロディだけを聴いたり・・・。
まさに、自由に選択できます。これは、野呂一生さんのアレンジを探る上では非常に価値のある『おまけ』だと想います。

このPCデータの部分でも、実際のプレイはどうなっているか知りたい!と言う、違う意味でのギタリストの夢を叶えてくれます。


(CD TOTALTIME:43:15/ Walking消費カロリー:173.87kcal)

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TOP SECRETTOP SECRET
野呂一生 神保彰 カルロス管野

曲名リスト
1. トップ・シークレット
2. フォール・イン・ザ・ナイト
3. ゲット・ムーヴ
4. クリスタル
5. アーリー・ビギニング
6. ザ・シング・トゥ・ニード
7. ザ・ミッドナイト・エンジェル
8. ヴァーチャル・ライフ
9. サンクチュアリ
10. エクスセプション ※〈エンハンスド・ミュージックCD〉

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INNER TIMESINNER TIMES
ISSEI NORO INSPIRITS 野呂一生

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FlowersFlowers
カシオペア

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