Walking de Music

2008年04月17日 18:38にアップしたエントリーです。

ひとつ前のエントリーはキッド・グローヴス/ラリー・カールトン KID GLOVES/LARRY CARLTONです。

次のエントリーはマスター・プラン/デイヴ・ウェックル MASTER PLAN/DAVE WECKLです。



ヴォィゼズ/マイク・スターン 
VOICES/MIKE STERN

ヴォイセズ

このところwalkingはしているのですが、なかなかアップが出来ないと言う状態なんです・・・。と言うことで少し前のwalkingマイク・スターンさんのヴォイセズです・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

この作品は2001年のリリース作品。マイク・スターンさんの作品としては初めて、大々的にヴォイスを取り入れた作品で、非常に興味深く聴いたのを想い出します。久しぶりに聴きます・・・。

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01:ワン・ワールド
スタートから軽快なパーカッションのリズムに耳を奪われます。そしてすぐ何語か私にはよく解らないヴォイスが入ってきます。これがマイク・スターンさんのサウンド?とびっくりしたのを想い出します。でも、その声はお馴染みの声・・・リチャード・ボナさんのヴォイスです。

パット・メセニー・グループでお馴染み?・・・と想ってリリースを比べてみたらマイク・スターンさんのこの作品の方が先のようですね。
それでもパット・メセニー・グループでの印象が強烈でしたので・・・。実際には先にこちらを聴いていたと言うことになります・・・。

CD Time=2:20からマイク・スターンさんのソロがスタート。
いつも通りのクリアトーンにコーラス系のエフェクトをかけた独特の音。そして、速いパッセージのジャズラインに、時々ロックテイストのフレーズが絡んでいきます。
CD Time=3:28からの和音でのフレーズが終わったすぐ後のひと弾きのCD Time=3:35の音のニュアンスとトーンが絶妙です。
さらにCD Time=3:55からは歪み系のエフェクトをオンして更にソロを続けます。基本的なフレーズは同じ感じで進んでいくのですが歪みが掛っている分、よりドライヴしているような感じがします。
そしてCD Time=4:14からのチョーキングを絡めたフレーズは、歪んでいる音ならではのフレーズ。ソロの最後で決めると言う構成もなかなかグッと来るものがありますね。


02:ザ・リヴァー
少し跳ねたビートでピアノの低音とベースのユニゾンのリフが印象的なスタートです。リチャード・ボナさんとマイク・スターンさんが静かなユニゾンでテーマを奏でていきます。

CD Time=0:51からのサビは、リチャード・ボナさんの魅力的な声を堪能できます。さらに、CD Time=1:00からはハーモニーが重なってきます。
リチャード・ボナさんのハーモニーは絶妙な響きがあって何とも言えない美しさがあります。よく聴くと内声のインターバルなどはごく普通のハーモニーなんですが多分、あの声が重なると普通のハーモニーが普通では無くなっていくという、ある種、奇跡の倍音のような音が染みて来るのではないかと・・・。どう凄いのかも、上手く言えないくらいの美しさがあります。リチャード・ボナさん、恐るべし!と言う感じです。

マイク・スターンさんのソロはグッと押さえたフレーズを奏でていきます。速いパッセージを封印してひたすらルーズにそしてタメを大きく創っています。それでもブルージーな音の選択ではなくて、比較的モダンな音の選択なので想わず聴き入ってしまいます。


03:スロウ・チェンジ
重いマイナーな8ビートの曲。テーマはマイク・スターンさんのギターとボブ・フランセスチーニさんのサックス。そしてエリザベス・コントマノウさんのヴォイス。3つのユニゾンがマイナーな曲の感じをよく醸し出しています。ライナーを読んで初めて知ったのですが、エリザベス・コントマノウさんは女性だそうです。声を聴く限りは男性のファルセットかと想っていましたが・・・。

マイク・スターンさんのソロはこの曲でもゆったりとしたフレーズで攻めてきます。
このソロを聴いていて何故か、パット・メセニーさんだったらこう弾くかな、ジョン・スコフィールドさんだったらここでアウトフレーズかな、などと想いました。
それだけ、コード展開などがセッション向きでありギタリストが好きそうな展開と言うとこだと想います。でも、自分だったらこう弾く・・・とはマイク・スターンさんのソロを聴きながらはさすがに想いませんでした。とても恐れ多くて・・・。それだけ個性的でいいソロを展開しています。


04:ウィッシング・ウェル
16ビートのブラシワークにマイク・スターンさんのクリアトーンとフィリップ・ハミルトンさんのヴォイスがユニゾンでカントリーテイストの綺麗なメロディを歌っていきます。

2コーラスめに入ると、左チャンネルで12弦ギターのカッティング、そしてベースが入ってきます。さらにサビに入ると、世界はパット・メセニー・グループの感じ。ヴォイスの「イ、ヤ、ヘア」などの発音のメロディもよく似た感じです。けっこう世界観が近い2人だと想っていましたが、この曲はまさにハマリです。

CD Time=1:59からギターソロです。スタートの音数が少なくテーマモチーフの展開などはパット・メセニーさんとこれまたよく似ています。
しかし、CD Time=2:19からのダウンフレーズなどに入っていくとパット・メセニーさんならこのように展開しないだろう、と言うまさにマイク節!になっていきます。

極めつけはCD Time=2:46からチョーキングを頂点としたフレーズ。リリカルにキメていきます。これは、マイク・スターンさんのキメのパターンのひとつでもありますね。
また、上がり下がりするパッセージがパット・メセニーさんの場合はクロマティックなラインからけっこう機械的な雰囲気のあるシーケンスになることが多いのですが、マイク・スターンさんの場合はかなりスケールに忠実なラインを刻んでいくようなイメージがあります。マイク・スターンさんが自ら手書きでソロラインのフレーズをノートにストックしているのは有名な話しです。探究心がおう盛なんですね。見習わないといけないです・・・。


05:スティル・ゼア
哀愁の漂う、どマイナーなスローバラード。
テーマはマイク・スターンさんのクリアトーン。CD Time=0:19の静かなチョーキングのアーティキュレーションがいいですね。全体的にこのようなチョーキングの小技が結構盛り込まれています。

静かなチョーキングって雰囲気は出るのですがやはり難しい・・・。ちょっと気を緩めるとCD Time=3:06のように別の弦の音のノイズが目立ってしまいます。まあ、マイク・スターンさんのこの曲での絶妙なアーティクレーションから見れば、ささいなノイズなんですが・・・。

ヴォイスが主にテーマを取っている作品の中でのインスト。それでも、ヴォイスに負けないくらいヒューマンなマイク・スターンさんの演奏を聴くことが出来るトラックです。


06:スピリット
5曲目とはうって変わってどちらかと言うと、どメジャーなナンバー。少し跳ねたリズムが軽快で楽しげなナンバーです。

マイク・スターンさんのソロはCD Time=2:22から。
スタートからごく少ない音数でチョーキングのニュアンスでフレーズ展開をしていきます。ブルージーな要素とロックのテイストを盛り込んだラインで、ここでもそのチョーキングのアーティキュレーションの妙を聴かせてくれます。音の動きは少ないのですが、それがCD Time=2:43からの16分音符のダウンフレーズをより印象的にしていますね。掴みとしては見事なスタートです。

基本的にはワンコードの部分なので、微妙にアウトしていくスケールの選択や音の選び方が良く解るソロに仕上がっています。また、それはコーラスを挟んで続く部分CD Time=3:30で更に堪能することができます。
特にCD Time=3:38からCD Time=3:41を頂点にして、さらに続くCD Time=3:45速弾きのダウンフレーズまでが実に見事にアウトしていて、どうしてこんなフレーズが出てくるの?って純粋に想います。まさに心地のよいアウトフレーズで肝!です。

この曲ではマイク・スターンさんのソロのパターンのひとつであるブルージーでロック的なチョーキングを使用した盛り上がりフレーズを、アウトフレーズのジャズラインで繋ぐ言う構成が良く解ります。
また、基本はワンコードなので、マイク・スターンさんのギター・コピーをしたりソロラインを探求するには最適な曲だと想います。


07:ホワット・マイト・ハヴ・ビーン
マイナーなボッサのバラードで、マイク・スターンさんのナイロン弦ギターとエリザベス・コントマノウさんのヴォイスがユニゾンでテーマを奏でていきます。

マイク・スターンさんのナイロン弦ギターですが、ライナーに記載がないので種類は解りませんが、非常に固い音です。しかし、逆に芯がしっかりしていてクリアなナイロン弦の音になっています。また、それでいて実にヒューマンな香りが漂っているのはピッキングの上手さと言えます。感じはまさにパット・メセニーさん。音と言い、フレーズと言いこれは本当に良く似ています。


08:レニズ・スマイル
3/4拍子でテンポは速い曲なんですが、ベースのリチャード・ボナさんのフレーズが高い音でループしたフレーズを奏でているのと、ドラムが入っていなくてパーカッションがサイドシンバルでリズムを取っていく構成なのですごくライトな感じで、流れていきます。

ソロはマイク・スターンさんとピアノのジム・ベアードさんの掛け合いです。CD Time=2:19からのマイク・スターンさんのソロに合わせてベースが動き出します。リチャード・ボナさんのミュートをアクセントにしたリズミカルなフレーズが盛り上がりを創っていきます。基本的には同じフレーズの繰り返しなんですが、ちょっとおしんフレーズでジャコ・パストリアスさんを想い出させてくれますね。

エンディングは2人の掛け合いでフェードアウトしていくのですが、お互いが良く相手のフレーズを聴いているようでフーレズがこだまのように良く呼応しています。上手く絡み合っていて聴き応えのあるエンディングになっています。ちょっとフェードアウトが早いかな、と個人的には想いますが・・・。


9:ウェイ・アウト・イースト
アート・トゥンクボヤチアンさんの異国の叫び?と強烈なパーカッションで異様なムードが漂う中、マイク・スターンさんとマイケル・ブレッカーさんが低い音でコロコロと動くフレーズをユニゾン。そしてリチャード・ボナさんのパーカッシヴなベース・・・。想わず期待大のスタートです。

細かいリズムとユニゾンで進んで行くのですが、サビの部分は大きなノリとメロディで展開します。少し壮大な感じで盛り上がります。それをスーッと持って行ってしまうようにマイク・スターンさんのソロがスタートします。この切り替わり方は個人的にかなり肝!です。

マイク・スターンさんは細かい16分音符のフレーズ展開でスタートします。
この部分はワンコードなので、かなりきわどくアウトフレーズを爆発させています。それを牽引しているのはリチャード・ボナさんのベース。迫り来るようなフレーズで、繰り返しで単純な中にも絶妙なグルーヴ感があります。

CD Time=2:07からコード展開をします。それにあわせてマイク・スターンさんもチョーキングを多用してロック的フレーズに展開をします。

再びCD Time=2:21から元のパターンに戻るのですが、今度は、音数を少なくしてモゴモゴと叫んでいるようなフレーズの応酬に入ります。更にそれはCD Time=2:34から倍速になって不思議なフレーズを繰り返します。
それに繋げて、機械的なシーケンスのフレーズからチョーキングを絡めて、CD Time=2:48のチョーキングのロングトーン。それに重なるようにバックが展開部分に入っていきます。このあたりの流れは流石の上手さを感じますね。

CD Time=3:30からはマイケル・ブレッカーさんのソロがスタートします。
スタートこそ少しダレた様な吹き始めなんですが、これが実は絶妙な間を創っていきます。その絶妙な間に、想わずバックがいろいろなメロディを入れて絡んできます。バックの演奏がマイケル・ブレッカーさんのフレーズに引きずられているのが良く解ります。

パターンが変わる部分に入ると明らかにバックの演奏が変わっていって物凄いグルーヴが生まれていきます。これ全てマイケル・ブレッカー・マジックと言っても良いほど。

CD Time=4:16の一瞬のマイケル・ブレッカーさんのフレーズの間に、リチャード・ボナさんが恐ろしくグルービーなダウンフレーズを絡めたり・・・。
マイケル・ブレッカーさんが少し速いパッセージを奏でると、それとは逆にロングトーンのフーレズをリチャードボナさんが弾き始めて、それに合わせてジム・ベアードさんがピアノでロングトーンを絡めたり・・・。

再びワンコードの部分に戻ると、今度はCD Time=4:31のマイケル・ブレッカーさんの6連符の速いパッセージにドラムのヴィニー・カリウタさんがそれをリフレインしたフレーズで答えます。

その後もマイケル・ブレッカーさんの独壇場。荒々しいブロウにアウトラインを絡め吹き抜けていきます。更にヴォイスに絡んでマイケル節はそのまま続いていきます。
ちょっと桁違いと言うか・・・ファンの欲目もありますが、マイク・スターンさんは完全に食われてしまった感じになっていますね。個人的にはベスト・トラックだと想います。


10:ノー・カウント
スローテンポのファンクテイストのある曲です。
テーマはマイク・スターンさんとボブ・フランセスチーニさんのサックスがユニゾンで気だるく、ルーズに奏でていきます。

この曲はボーナス・トラック。個人的にはボーナス・トラックを入れることには少し批判的なんですが・・・。
例えば一作品としての流れで聴いていくと、前の曲で終わるのとこの曲で終わるのではだいぶ印象が違うと想います。まあ好き嫌いがあるので何とも言えないところではありますが・・・。


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今回のヴォイスを使用は、基本的には歌詞は無く、あくまでもヴォイス。使い方としてはパット・メセニーさんの作品に近い部分があります。
しかし、どちらかと言うとこの作品の方がヴォイスをあくまでもシンガーが奏でていると言うような使い方かな、と想います。
それに対してパット・メセニーさんの方はヴォイスを楽器として使用している感じと言えば良いでしょうか。
ですからこの作品の場合はあくまでもヴォーカル曲と言うことが言えますね。
また、ギターのサウンド的にも、楽曲の雰囲気としてもかなりパット・メセニーさんと近い部分を感じました。

いろいろな聴き所のある作品ではありますが、全体に統一感があり、色彩が同じなのは、まさにマイク・スターンさんの世界観が良く出ているからだと想います。

(CD TOTALTIME:66:02/ Walking消費カロリー:265.45kcal)

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ヴォイセズヴォイセズ
マイク・スターン エリザベス・コンタマヌー ジョン・ヘリントン

曲名リスト
1. ワン・ワールド
2. ザ・リヴァー
3. スロウ・チェンジ
4. ウィッシング・ウェル
5. スティル・ゼア
6. スピリット
7. ホワット・マイト・ハヴ・ビーン
8. レニズ・スマイル
9. ウェイ・アウト・イースト
10. ノー・カウント

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コメント (5)

『ヴォイセズ』は,マイク・スターンの諸作の中でも異色作ですよね。
私の中でボナと言えば,やっぱりボイスではなくスラップです。これがマイク・スターンと合っている!

「ヴォイスをあくまでもシンガーが奏でていると言うような使い方。それに対してパット・メセニーさんの方はヴォイスを楽器として使用している感じ」。そうなんですよね。PMGでのボナの役割は少なすぎました。メセニーよりスターンの方がボナには合っていると思います。

このアルバムは実はいまだに聞かずじまいなのですが、リチャードボナがボイス参加ということで、てっきりPMGの二番煎じ(失礼)かと思っていました(汗)こちらが先だったんですね。。。マイクスターンさんに申し訳ないです。面白そうな作品ですね。

セラピーさん
コメントありがとうございます。
同感で、私もPMGの活躍は少なかったと想いました。リチャード・ボナさんはベースで無くても良いので参加したいと言うことでPMGに参加したようですので、ベースで活躍が出来ない分、仕方がないと言えばそうですね。

猫ケーキさん
コメントありがとうございます。
2人のギタリストがほぼ同じ時期に、同じような人の使い方で似た雰囲気のある作品を創ると言うのが不思議と言えば不思議です。

聞きました!

やはりリチャードボナの声は、存在感ありますね。おっしゃるとおり、持って生まれた声質というか倍音成分というか、その辺のお陰なのでしょうか。

ベーシストとしての腕は練習すればまだなんとかなるにしても、同じ人間がボーカルであれだけの魅力を感じさせる事ができるというのは、これはスゴイなと改めて思いました。

猫ケーキさん
コメントありがとうございます。
確かに楽器は練習すればある程度にはなると想いますが、声と言う楽器だけはもって生まれた質がけっこう重要なファクターになりますね。特にリチャード・ボナさんはその部分が際立っているのだと想います。

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