Walking de Music

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2008年05月Archives

12

2008年05月29日

キャプテン・フィンガーズ/リー・リトナー 【2】

キャプテン・フィンガーズ

リー・リトナーさんのキャプテン・フィンガーズのTrack04からレビューの続きです・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

04:マルガリータ
ちょっとマイナーで先の展開が想像しにくいイントロ。リー・リトナーさんが変わっていくコード進行に合わせてフリーな感じでメロディを重ねていきます。
ブレイクの後、ダウリィ・ゴンガさんのエレピのバッキングが印象的な、テンポアップされたパターンに入ります。ハービー・メイソンさんのハイハットのアクセントにユニゾンのバッキングラインがビシッと決まっていきます。言ってみれば攻撃的なサウンド。それはフュージョンと言うのに相応しいエッセンスのひとつですね。

リー・リトナーさんのソロはCD Time=2:24からスタート。
テーマのメロディをモチーフにしたフレーズを最初の2小節はチョーキングのアップダウンで締め、次ぎの2小節は音程を変えてスライドを絡めて締めます。
そして次ぎの2小節は中間を8分音符のダウンフレーズからトリルで締めて、次ぎの2小節はモチーフ自体で締めます。
今までの3回は全て前の小節の4拍目からスタートしているのですが、この最後は頭を1拍休んでスタートしています。この休符が絶妙な間を創ります。最初の8小節のこのモチーフの展開は、技術的に難しいわけではないのですが抜群のセンスと上手さを感じます。

さらに、この後の8小節は速めのパッセージが段々と出て来て盛り上がっていくのですが、終わり部分のCD Time=2:50で再び最初のモチーフで締めています。ここに再び登場させるところは心憎いものがあります。

その後のラインは16分音符を連続させたラインを軸にして奏でていきます。特にCD Time=3:06からのコード進行に合わせてスケールが動いていく感じは物凄く気持ちの良いラインです。

このソロはスタートの展開が良いこともありますが、ジャズでもなく、ロックでもない。いかにもフュージョン!と言う感じのソロラインだと想います。


05:可愛いアイシャ
デイヴィッド・フォスターさんの重厚なエレピに乗せて、リー・リトナーさんのヴァイオリン奏法がお馴染みのメロディをスローに奏でていって段々をテンポを創り、ジェフ・ポーカロさんのタムがインしてきてブレイク。
ビル・チャップリンさんの歌が入って再びブレイク。そのブレイクにワウを使用したレイ・パーカー・Jrさんのギターカッティング。そしてビル・チャップリンさんの歌い始めに重ねて、ジェフ・ポーカロさんのおかずとマイク・ポーカロさんのベースのアクセントからインテンポに・・・。
いいスタートです。しかも超豪華なメンバー!
曲はそれこそ言わずと知れたスティービー・ワンダーさんの超代表曲。でも、この曲をフュージョンテイストでこの作品に収録すると言うセンスが、リー・リトナーさんの単なるギタリストではない、プロデューサー的な部分を物凄く感じます。

ジェフ・ポーカロさんのドラミングがタイトで良いですね。もちろんリズム隊としてのマイク・ポーカロさんとのマッチも完璧です。
さらに左チャンネルのレイ・パーカー・Jrさんのカッティングがファンキーで見事。そして右チャンネルのリー・リトナーさんのカッティングは(多分・・・)単音をミュートして奏でる得意技。
その抜群のリズムに乗ってビル・チャップリンさんが朗々と歌っていく感じがまた良いです。

テーマを挟んでリー・リトナーさんのソロです。
ここはテーマのメロディをギターで奏でると言う感じのソロまわしなんですが、絶妙なのはそのフェイク。そしてアーティキュレーション。
何も難しいフレーズを展開しなくても、テーマに沿ってフレーズを展開していくだけでも十分インプロヴィゼーションとして成り立つと言う典型的なラインだと想います。

CD Time=2:23から展開をしていきます。このソロバックのアレンジもインパクトになっています。
そしてブレイクに、デイヴィッド・フォスターさんのエレピでのダウンフレーズが入って転調をしたテーマ部分へ入ります。

この転調はGからG♯への半音転調。コーラスのフロントでビル・チャップリンさんがテーマをフェイクしてパワフルに歌っていきます。
この半音転調と言うのが、パワフルさと声のツヤを演出しています。半音上がっただけでもシャウトしやすくなるんですね。
その意味でも先ほどのソロバックのアレンジは単なるインパクトのみならず、半音転調を違和感なくするための見事なアレンジと言えます。

そしてリー・リトナーさんとビル・チャップリンさんのユニゾンプレイに入ります。
ジョージ・ベンソンさんのようにギターと同時に歌う場合は別として、どちらかを先に録音するのか、それともラインを決めておいて同時録音するのか、興味がありますね。リー・リトナーさんの場合は、ソロも譜面起こしをしていたと言う噂もありますので後者のような気もしますが、それにしても良く合っていてグルーヴやのりもいいですね。

エンディングに向けてビル・チャップリンさんのシャウトを奪い取るようにリー・リトナーさんのソロが続きます。
ここでは、ワンコードに乗って、かなり速いパッセージをたたみ掛けるように展開します。可愛いアイシャの可愛いと言う雰囲気を壊す、熱いソロでフェードアウトとなります。

それにしても名曲。テーマが結構コンパクトにまとまっていますのでテーマ回しをしてアドリヴをしていくだけでも面白いですね。セッション向きの楽曲とも言える名曲です。


06:スペース・グライド
何とも味のあるファンキーテイストのギター・カッティングでスタートします。このカッティングは作曲者でもあるミッチ・ホルダーさんだと想います。
タイトなジェフ・ポーカロさんのドラムが入ってから左チャンネルに入ってくるワウを効かせたレイ・パーカー・Jrさんのカッティングがさらにファンキーさに色を添えます。

スライドを使用したようなフレーズ展開から、得意の速いパッセージを聴かせてくれるリー・リトナーさんのソロの続いて、テーマのサビに絡んで対旋律を奏でていたアーニ―・ワッツさんのソロです。

この作品では唯一のサックスと言うことになります。
今までギターオンリーのサウンドでしたので、ここでのサックスラインが実に効いています。一瞬にしてサウンドが華やかになるのが、まさに管楽器の力と言う感じでしょうか。

エンディングはアーニ―・ワッツさんのソロを受けて、リー・リトナーさんがソロを。掛け合いか!と想った瞬間にフェードアウトしていきます。ここは、やはり掛け合いですよね?かなり残念なフェードアウトです・・・。


07:サン・ソング
クラシックギターの綺麗な響きからスタートするバラードです。ここでのリー・リトナーさんはライナーノーツからYAMAHAのクラシックギターだと想われます。

リー・リトナーさんはクラシック・ギターの名手とも言われています。具体的にクラシックのメソッドを学んだのかどうかは良く知りませんが例えば、CD Time=1:47からのコードでの音を、その後のCD Time=1:50でメロウな音に音色を変えるテクニックなどは、まさにクラシックの奏法的と言えます。

インテンポになるとそのままギターソロになっていきます。
ナイロン弦になることで、急激にヒューマンになるのがまさにクラシックギターの魔力ですね。もちろん、弦だけの変化だけではなくて、リー・リトナーさんのフレーズも全く違うのはもちろんなんですが。

最初はソロと言うよりはテーマでしょうか。創り込まれたような綺麗で丁寧なメロディです。
CD Time=2:39からは、クロマティックラインや3連符などをアクセントしたフレーズや16分音符の丁寧なフレーズを繋いでいきます。
CD Time=3:00からは、コード奏法を聴かせてくれます。リー・リトナーさんはクラシックギターでも、ピックを使用してカッティングのように歯切れの良いコードを奏法を得意としているのですが、ここでは、ピックと指を使用して弦を摘むような、ちょっとボサノバの奏法のような繊細なコード奏法です。

その後は作曲者でもあるデイヴ・グルーシンさんのエレピソロです。
高い音を細かいフレーズで繋ぎ、少しファニーに可愛らしく奏でていきます。
CD Time=4:03から歯切れの良いコード奏法。バックのストリングと同化していく感じが良いですね。

エンディングのCD Time=6:03からストリングスの旋律にリー・リトナーさんのソロが重なってきます。
最初はストリングスのメロディに答えるように進んでいくのですが、フェードアウトし始めると16分音符の連続したパッセージを奏でます。
CD Time=6:25から6:31までの約5秒間なんですが、流れが実にスムーズで、しかもメロディアスでまさに肝!
でも、無情にもその5秒後にはフェードアウトで曲はエンディング・・・。ここでも少し短いエンディングソロが残念です・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

walkingを終えて聴き終えたときの印象は『やはりインパクトが薄め』でしたが、細かく聴いてみたら、インパクトと言うことでは変わらない感想なんですが、作品としては、丁寧で創り込まれている感じを受けました。非常にクオリティの高さのある作品だと想います。

1曲づつ聴いていくとフュージョンの持っている攻撃的な面があるのですが、例えば先日レビューをした渡辺香津美さんのトチカキリンのような尖がった鋭さはなくて、全体を通してみると非常にポップと言うか、聴きやすいサウンドです。
これも、インパクトが薄いと言う印象に繋がった部分と言えます。

ジェントル・ソウツでの演奏やライヴ映像をみると、そちらのインプロヴィゼーションの方がかなりアグレッシブでいい感じがします。ライヴの方がよりクリエイティヴでインパクトのある演奏をするように想います。
多分、スタジオ録音の場合は考え過ぎと言うか、練りすぎなのではないかと言う感じが、この作品を細かく聴いてみて想ったわけです

スタジオ・ミュージシャンとしての名前が先行して、ギターと音楽を本当に認めていた人は少なかったのでは・・・と言うことをリー・リトナーさんが言っていたことがあるとライナーノーツに記されています。

この作品では、売れっ子スタジオミュージシャンと言う枕詞が両肩にずっしりと乗っているリー・リトナーさんの、もう一歩型を破り切れていない部分を感じるのです・・・。

(CD TOTALTIME:46:03/ Walking消費カロリー:185.12kcal)

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キャプテン・フィンガーズキャプテン・フィンガーズ
リー・リトナー

曲名リスト
1. キャプテン・フィンガーズ
2. ドルフィン・ドリームス
3. フライ・バイ・ナイト
4. マルガリータ
5. 可愛いアイシャ
6. スペース・グライド
7. サン・ソング

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ジェントル・ソウツジェントル・ソウツ
リー・リトナー ジェントル・ソウツ
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あとがき
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2008年05月24日

キャプテン・フィンガーズ/リー・リトナー 【1】

キャプテン・フィンガーズ

ここ数日物凄く暑くありませんか?walkingもしっかりと汗がでる、まさに運動している!と言う感じです。と言うことで先日はリー・リトナーさんのキャプテン・フィンガーズwalkingをしました・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

この作品は1977年、リー・リトナーさんの個人名義ではセカンドアルバムと言うことになります。個人的には印象があまりない作品なんです・・・何故か。
実は今回のwalkingには別の作品が聴きたくて持ち出したはずだったのですが、マジックか?この作品を持って出かけてしまったと言う、てん末なんです。
ですから、今回は聴こうとしたわけではなくて、せっかくだから聴いたと言う作品になったわけです。
それでも、フュージョン作品の中では名作中の名作。久しぶりに聴きますが、何故に印象が薄かったのでしょうか・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

walkingを終えて聴き終えたときの印象はひとことで言うと『やはりインパクトが薄め』。

多分理由は簡単で、この作品の前にリリースされている(と想うのですが・・・)リー・リトナー&ジェントル・ソウツの作品ジェントル・ソウツ(*)のインパクトが強烈だった為とこの次の作品のキャプテンズ・ジャーニー(*)の完成度と凄技ギタープレイが衝撃だった為。言ってみれば、『運の悪い作品』だったと言えるからです。
特に、リー・リトナーさんの代表曲とも言えるキャプテン・フィンガーズのテイクは個人的にはジェントル・ソウツのテイクの方が良いかな、と想うわけです。
私はリアルタイムでこのあたりの作品を聴いたわけではなくて、順番としては、キャプテンズ・ジャーニー、ジェントル・ソウツそしてこの作品と言う感じでした。ですからインパクトが薄いのも何となくお解かりいただけると想います。さらにデビュー作のファースト・コースに至ってはもっと薄いのです・・・。

それでも細かく聴いていくと、また違った感覚になるかも知れません・・・。1曲つづ細かく聴いていきます・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

01:キャプテン・フィンガーズ
イントロからユニゾンのパターン。これが難しいのです・・・とても。いきなりのこパターンを聴くと、16分休符からスタートしているように感じるのですが、曲中のこのユニゾンを聴くと、フレーズが4分休符+16分休符でスタートしていることが解ります。そして3小節目が3/4拍子になってハービー・メイソンさんのリフに入っていくと言う構成になっています。
とても解り難く、リズムが取り難いイントロ。でも結構好きです。ハービー・メイソンさんのドラムのリフが歯切れ良くていいですね。

ベースのスライドでの『クォッ』と言う『鳴きのいち音』をきっかけにバッキングがスタートします。ここでのベースはアンソニー・ジャクソンさん・・・と?

ライナーノーツをみると、アルフォンソ・ジョンソンさんとのダブル・ベースになっているんですね。でも2本で弾いている感じではありませんし・・・このあたりは良く解りませんが・・・。
それでもお馴染みのベースラインを軽快に奏でていきます。

左チャンネルでエレピの歯切れ良いバッキング。これは、パトリス・ラッシェンさんでしょうか。ちなみに、ライナー・ノーツには、ダウリィ・ゴンガさんのクレジットもエレピであります。私は恥ずかしながら最近知ったのですが、これはジョージ・デュークさんのセッション・ネームですね。
そして右チャンネルでは、軽快なギターのカッティング。これは、ジェイ・グレイドンさんのプレイ。しかもこの1曲のみの参加と言う、今考えれば贅沢・・・時代を感じます・・・。

リー・リトナーさんのテーマは少し変わった音質のナチュラルトーンで奏でられていきます。エフェクト的には、少しワウとコーラスを強めにかけたような感じ。これは、360システムズ・ポリフォニック・ギター・シンセサイザーでのプレイ。

当時はまだ世界に数台しかないと言われていたギターシンセでプログレ系のバンド、シンフォニック・スラムティモ・レインさんが使用をしていたり、ジョン・マクラフリンさんもマハヴィシュヌ・オーケストラで使用していました。
このギターシンセについて調べようと想ったのですが、検索にもあまり引っ掛かりませんでしたので、どうも歴史から消えつつあるようで・・・特に性能としては今一だったようですね。

テーマのCD Time=1:00はギターのメロディが左右のチャンネルに急に広がります。
右チャンネルはそれまでテーマを奏でていた音のようですが、左チャンネルは少しワウワウしたような、いかにもシンセと言う音。CD Time=1:38でも同じ広がりのサウンドで奏でられていきます。

このギターシンセの使い方は、シンセだからと言って全面依存すると言うことではない、実にさり気無い使い方だと想います。まあ、逆に言えば、鍵盤のシンセをオーバーダビングすれば済むこと・・・と言ってしまえば身もフタもないのですが・・・。

CD Time=2:17からはこの曲の一番の難関であり聴き所のユニゾンとキメの部分に入ります。
鍵盤でのこのフレーズは、もともと私はほんの少ししか鍵盤が弾けないのでテクニック的に難しいのかどうか良く解りませんが、ことギターに限っては実に難しいフレーズです。
ギターの場合は鍵盤楽器と違って同じ音が別のポジションでも鳴らせると言う特徴がります。いろいろなポジションでのプレイを模索することができるのですが、どのポジションでも難しいと言うのが実際。
また前半は単音のラインにコードカッティングが挟まれているので、そのタイミングと拍取りが一番難しい部分になります。
さらに後半は、16分音符の連続からCD Time=2:44の6連符のダウンパッセージ、そしてすかさずキメのコードカッティング・・・。流れはさらに高度になっていって、CD Time=2:53からはアクセントのコードカッティングの部分が16分音符のフレーズに挟まれた形になって、最後の6連符2拍フレーズからキメのコードカッティングへ怒涛の流れで向かいます。

所々に入るコードカッティングが実は曲者で、ただでさえ難しい単音のラインから時間差攻撃でコードカッティングに移り、そしてまた単音のライに戻る・・・。その上、コードカッティングが食っていたりするので、タイミングも難しい・・・。

個人の技量はもちろん必要な部分ですが、実はバンドアンサンブルとしても難しく、そのキーポイントになるのはドラムだと想います。テンポキープはもちろんなんですが、小節線が明確に解りにくいフレーズが連発する中で、しっかりとしたアクセントとタムまわしでのユニゾンを決めると言うのはかなり大変かと。いつもギターに耳が行く部分ですが、今回聴いてハービー・メイソンさんのプレイの絶妙さに肝!を感じました。

リー・リトナーさんのギターソロはCD Time=3:11から。
『同じ音で16分音符を連続させたフレーズ』をモチーフにして展開をしていきます。フレーズが歌うと言うよりは、メカニカルなフーレズの組み合わせと言う感じで奏でていきます。
CD Time=4:05からテーマのフェイク的なラインから6連符のダウンフレーズとダブルノートチョーキングでアクセントをつけたフレーズへ。ハービー・メイソンさんのインタープレイもいい感じですね。
この部分を聴くと、その前までリー・リトナーさんが、一聴陳腐にも聴こえる『同じ音の16分音符を連続させたフレーズ』を使用していた理由が何となく解ります。

この曲全体のメロディモチーフが16分音符でのラインなんですね。それをリズム的なアプローチで表現したのが『同じ音の16分音符を連続させたフレーズ』。それが発展して、CD Time=4:05からテーマのフェイク的なライン繋がっていくのだと想うのです。

CD Time=4:16から再び同じ音の連続フレーズを奏でてCD Time=4:20からのアウト・フレーズに繋げていきます。CD Time=4:26からの3連符を絡めた速いパッセージの連続技からCD Time=4:35で再びテーマフェイクのフレーズ展開。そしてチョーキングを使用したロック的なフレーズまわしからCD Time=4:51からの怒涛の6連符攻撃へ。そしてCD Time=5:05からサビのパターンにバッキングが入ると一転してメロディアスなラインで弾き抜けていきます。

このソロはひとつのモチーフを繰り返して拍を繋ぎ、違うフレーズに替わるとまたそのフレーズを繰り返す・・・そんな構成が基本になっています。リー・リトナーさんのフレーズが機械的、などと言われる代表的なソロラインと言えます。

しかし、改めて細かく聴いて見ると、この機械的とも想えるフレーズが全てテーマのモチーフを変化させたものに聴こえました。テーマのモチーフを様々なアプローチで変化をさせて奏でているのだろうと・・・。
さらにこの曲の持っているスピード感と、16分音符と6連符という大きな曲のテーマと言うか特徴をあちらこちらに散りばめたソロ構成になっていると言うことです。

リー・リトナーさんがあえて繰り返しフレーズを多用したのは、曲のモチーフを生かしたもっともヒューマンな方法、つまり機械的と言われていますが、実はテーマを常に意識して歌っているフレーズになっていると言うことではないかと想ったのです。テーマ自体が細かく速いフレーズの集合体みたいなメロディですから・・・。

先ほどジェントル・ソウツのバージョンの方が良いと書きましたが、では、どちらがオリジナル?と想っていろいろ調べてみたのですがどうにも良く解りませんでした・・・。
ジェントル・ソウツとこの作品は同じ年にリリースされているようですが、ジェントル・ソウツはご存知ダイレクト・カッティング。発売は5月のようです。そして、ライナーノーツをみると本作品でのバージョンは1976年9月の録音。これでいくと発売の順番は前後しているのですが、本作品の方がオリジナル?。
でも、私が聴いたのも、リアルタイムではありませんが発売と同じ順番。ですから本作のバージョンが後になります。
あの強烈なバージョンのキャプテン・フィンガーズのインパクトの前に、このテイクが霞むのはある意味仕方がなかったような気もしましたが、こちらも改めて細かく聴いてみたら結構良かったりしました。


02:ドルフィン・ドリームス
リー・リトナーさんのバラードな中でも良く演奏をされる名曲です。
いろいろなギターの音を使って情緒的なアルペジオにフワッとした音のギターでメロディを刻んでいきます。
サビからは歪んだギターでのバッキングラインと重厚なストリングスが重なってきて、さらに幻想的でクラシカルな展開を聴かせてくれます。

リー・リトナーさんのソロは360システムズ・ポリフォニック・ギター・シンセサイザーを使用したと想われる少しファニーな音で速いパッセージを挟みながら弾き抜けます。

その後のストリングがかなり重厚です。ストリングスアレンジもいい感じです。この後にスーッと静かになるような感じでイントロのパターンに入っていきます。このメリハリのある展開も良かったりします。


03:フライ・バイ・ナイト
ライトなフュージョンのテイストを持ったこの曲はデイヴ・グルーシンさんの曲。ここでのリー・リトナーさんはノーマルなギターでクリアトーンのメロディ演奏。
ハービー・メイソンさんとアンソニー・ジャクソンさんの奏でる少し跳ねたようなビートが実に軽快です。

リー・リトナーさんのソロはやはりテーマのモチーフをスタート部分に使用して段々と展開をしていきます。かなりブルージーと言うかジャズ的なラインを奏でていきます。

テーマを挟んで、エンディング部分でのソロ展開は特にジャズラインが炸裂していて、昔聴いた時にはあまり感じなかった、違う意味での凄さを感じます。やはり速いパッセージやテンポアップされたものに耳が行くのが若気・・・。このような渋いラインはどちらかと言うと飛ばしていたんですね・・・。

CD Time=4:41からのややバップ的なフレーズからオクターブ奏法のトリッキーなラインなどは鳥肌もののカッコ良さがあります。ちょっとフェードアウトが早くソロが短いのが残念・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

キャプテン・フィンガーズにはコピーバンドで演奏したくても様々な問題で・・・と言ってもほとんどがテクニック的な問題なんですが・・・出来なかったと言う、熱い想い入れがあるためについ長くなってしまいました。
と言うことで、続きのトラックは次回に・・・。

(CD TOTALTIME:40:54/ Walking消費カロリー:164.42kcal)

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キャプテン・フィンガーズキャプテン・フィンガーズ
リー・リトナー

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3. フライ・バイ・ナイト
4. マルガリータ
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6. スペース・グライド
7. サン・ソング

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ジェントル・ソウツジェントル・ソウツ
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2008年05月20日

TO CHI KA/渡辺香津美 【2】

Better Days レプリカ・コレクション-6 TO CHI KA(紙ジャケット仕様)

渡辺香津美さんのKYLYNのTrack05から細かく聴いてみます・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

05:ユニコーン
この曲は言わずと知れた渡辺香津美さんの代表的な曲。CMに使用されていたことは言うまでもありませんね。
テーマはいかにもギターがハマるメロディ。ギター以外では考えることが出来ない!と言うようなギターならではのメロディを持っています。その他にギターでなければ!と言うメロディを持った曲と言えば高中正義さんのブルー・ラグーンなどを想い出します。

頭のキメは4拍目の裏で16分休んで2発入ります。そしてマーカス・ミラーさんのベースとジョー・キャロさんのバッキングギターがユニゾンでバッキング・ラインを2拍分奏でます。その2拍目の最後の音に重なって渡辺香津美さんがスライドで食って、テーマを3拍目に奏でます。そして今度は8分休んで16分音符でのキメを4拍目に・・・。

次ぎの4小節のCD Time=0:10ではジョー・キャロさんが音をオクターヴ上げてユニゾンをします。これが結構効いていますね。

テーマ自体が短いので2コーラス目の頭のキメを渡辺香津美さんがオクターヴ音を上げて奏でたり、テーマの終りCD Time=0:43もオクターブ上げたりしてバリエーションをつけています。

このテーマをスコア譜面に起こすと、見事にそれぞれの楽器が適所に重なりながら流れているのが解ります。この複雑で計算され尽くされたアレンジはまさに肝!

CD Time=0:50から8ビートになって渡辺香津美さんのソロがスタートします。
バックのリズムが少し跳ねた8ビートになっているのを受けて、基本的には、6連符を3つに分けて3連符のフレーズをひとつのモチーフにして全体の構成を組み立てているソロになっています。

CD Time=0:59は右手の指で押さえるライトハンドでフレーズ。そしてCD Time=1:02からはエドワード・ヴァン・ヘイレンさんで市民権を得た?ライトハンド奏法でのフレーズ。その後は3拍ほどブレイクを創って次ぎのフレーズに入ります。
ちょっとライトハンド奏法のフレーズが今一発展途上と言うか、つい入れてしまったと言うか。3拍のブレイクが個人的にはちょっと間が抜けた感じを受けてしまいますが・・・。1曲目のリキッド・フィンガーズでもハーモニクスを使用しているフレーズはエドワード・ヴァン・ヘイレンさんのプレイを見て取り入れたそうです。

続けて、機械的なシーケンスラインで上昇して行くフレーズを奏でて3連符と16分音符を組み合わせた5音のフレーズで今度は下降していき、CD Time=1:13からは3連符をプリングとハンマリングで連続して行くジェフ・ベックさんなどが得意としていた奏法で弾き抜けます。
この部分なんですが、本当はライトハンド奏法で弾きたかったのかなと?そうすると最初のライト・ハンド奏法のフレーズがイントロダクションになって効いてくると想うのですが・・・。このようなフレーズでライトハンド奏法を絡めてくるのはT-スクエア安藤まさひろさんなどは上手いですね。

CD Time=1:26からは、3連符をモチーフにしてトップノートだけを変化させていくフレーズから3連符を絡めた下降フレーズで弾き抜け16分音符の機械的なアウトフレーズから32分音符の速いパッセージへ、そして6連符の連続技に入ります。
最後はオクターブをばらしながら下降していき、32分音符での怒涛で粒揃いの下降フレーズで締めます。

それにしても、このバッキングでのマーカス・ミラーさんとスティーヴ・ジョーダンさんのビートはグイグイきて良いですね。

再びテーマに入り、マイク・マイニエリさんのソロに入ります。そのソロの入り口部分でマーカス・ミラーさんが奏でるフレーズはテーマのバックのギターとのユニゾンのメロディをモチーフにしています。このアレンジもかなり良いですね。

マイク・マイニエリさんのソロのバックは跳ねていないベタな8ビート。その流れに乗ってブルージーなソロを展開しています。
そして幻想的展開から再びテーマに戻ってエンディング。

まとまりがあってコンパクトな中にもスピード感と飽きさせない絶妙なアレンジが効いている名曲です。


06:ドント・ビー・シリー
マーカス・ミラーさんとスティーヴ・ジョーダンさんが奏でるファンクビートが強烈な曲です。特にマーカス・ミラーさんのスラップのプルがアクセントになっていると同時に曲のイメージを決定づけています。

渡辺香津美さんのソロはCD Time=0:27からスタート。
2つのコードが繰り返されているバッキング・パターンですが、ボキャブラリー豊富なフレーズ展開で単調になりやすいソロを上手く組み立てています。

その後続けてギターソロがありますが、今度は音色を変えて奏でます。
聴いた感じからするとハーモナイザーでオクターブ上と下の音をエフェクトしているようですが、ライナーを見るとコルグのギター・シンセサイザーのクレジットがあります。テーマの部分でもこの一聴不思議な音が奏でられていましたのでこれはシンセと言うことだと想います。
それでも単純に音色をかえるだけではなくて、フレーズもそれにあった少しファニーで細かいフレーズ展開をしているのが見事ですね。

その後ウォーレン・バーハートさんのオーバーハイムでのソロを挟んで再びテーマに戻りフェードアウトしていきます。


07:サヨナラ
トニー・レヴィンさんのフレットレスベースのメロディが美しいスタートのバラード。それに重なるように渡辺香津美さんのクリアトーンでのメロディが奏でられていきます。漂う哀愁と美しさのある名曲だと想います。

渡辺香津美さんのソロは単音をスタッカートに奏でるフレーズからスタートします。クリアトーンでのソロはこの作品ではこの曲のみになりますので優しい音色に少しホッとします。

途中に聴かせてくれるコード奏法が綺麗で良いですね。また、速いパッセージのラインもメロディアスで且つ粒揃いで見事です。個人的には、クリアトーンの渡辺香津美さんのフレーズの方がどちらかと言うと好み。これだけ粒の揃ったフレーズを奏でるのはなかなか難しいです・・・。また全体的にとてもメロディアスなのがグッと来ます。

その後を受けるウォーレン・バーハートさんのピアノソロも美しいです。


08:マンハッタン・フルー・ダンス
シャッフル・ビートのライヴ、セッション的な乗りのある曲。テーマは再びマイケル・ブレッカーさんとのユニゾンで奏でられていきます。
以前この作品を聴いた時に、この曲だけやけにラフでライヴな感じがしたのですが、やはり今回も同じ感覚を持ちました。

それぞれがラフに演奏していて、特にトニー・レヴィンさんが結構重いビートと言うよりは浮遊感のあるようなフレーズ展開をしているのが印象的です。マイケル・ブレッカーさんのソロスタート部分のフレットレスのスラップなどは意外と言えば意外な展開。そのためかどうか解りませんが、ピーター・アースキンさんが今一歩弾けていないのが残念な感じもありますが。

渡辺香津美さんのソロは弾きまくり大会。ソロの細かい構成などはとりあえず置いておいてセッション的な乗りで弾き抜けています。

マイケル・ブレッカーさんはかなり大人しめのフレーズ展開で、ブルージーと言えばそうなんですが、もう少しこちらも暴れて欲しかったと個人的には想います。

それでもライヴな感じは最後の曲に相応しい華やかさがあります。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

walkingを終えて聴き終えたときの印象の『パワー継続のたまもの!』は、細かく聴いた後もやはり同じように想いました。
とにかく勢いとパワーを感じる作品で、言うまでも無く、それを引き出しているのがKYLYNでの活動とマイク・マイニエリさんのプロデュース力。
さらに、バックのミュージシャンの余裕を感じるような技とノリ。

でも、このメンバー選択はマイク・マイニエリさんの絶妙な選択。渡辺香津美さんが曲を創ってマイク・マイニエリさんに聴かせると、その場で電話連絡をしてオファーしたそうです。

また、実際は、最初ゆっくりとしたスピードで合わせていって30分もするとほぼ曲が出来上がっていると言う凄腕ミュージシャンたちの中で、渡辺香津美さんはかなりの緊張状態にあったようです。

その緊張を上手く取り除いてリラックスさせたのもマイク・マイニエリさんのアドヴァイス。
『もっと力を抜いて自然体でやった方がいい』と。

さらに、マーカス・ミラーさんが自転車に乗って鼻歌混じりでスタジオの中まで入ってきて、それでいてプレイすると凄い!と言うエピソードを始めに、仕事だけど音楽を楽しんでいると言う部分も凄腕ミュージシャンたちから学んだと聞きます。

リラックスした為か多少ラフなプレイもありますが、逆にそれが自然体の渡辺香津美さんのプレイになって、それは今も継続しているのだと想います。

それにしても名盤です。
これだけギターを弾きまくっているフュージョン作品って、日本のみならず海外でもあまり多くないのでは?と想います。

(CD TOTALTIME:46:03/ Walking消費カロリー:185.12kcal)

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Better Days レプリカ・コレクション-6 TO CHI KA(紙ジャケット仕様)Better Days レプリカ・コレクション-6 TO CHI KA(紙ジャケット仕様)
渡辺香津美

曲名リスト
1. LIQUID FINGERS
2. BLACK CANAL
3. TO CHI KA
4. COKUMO ISLAND
5. UNICORN
6. DON'T BE SILLY
7. SAYONARA
8. MANHATTAN FLU DANCE

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あとがき
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2008年05月17日

TO CHI KA/渡辺香津美 【1】

Better Days レプリカ・コレクション-6 TO CHI KA(紙ジャケット仕様)

段々と夏に近づいている感じがする気候になってきました。と言うことで先日は渡辺香津美さんのTO CHI KAwalkingをしました・・・。

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この作品は1980年の作品。前回が名盤KYLYN(*)を聴いてwalkingでしたので、ここは迷わずその続きが聴きたくなったと言う単純な選択。でも言わずと知れたJ-フュージョンの名作。
以前、一度レヴューをしましたが、再び細かく聴いてみたいと想います。KYLYNプロジェクトで得たものを渡辺香津美さんはこの作品で爆発させているのでしょうか・・・。

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walkingを終えて聴き終えたときの印象は、ひと言で言うと『パワー継続のたまもの!』。

渡辺香津美さんのギターコピーはそんなに数多くしたと言う記憶がありません。しかし、この作品の楽曲は半分以上はしていると想います。ですから想い入れも多い作品と言えます。
今回聴く前は、もっとKYLYNで得たエッセンスをいろいろと散りばめている感じがしていたのですが、どうも少し違った感じを受けました。

この作品は、深町純さんのニューヨーク・オールスターズでマイク・マイニエリさんが来日した時に、楽屋で渡辺香津美さんがダメ元でプロデュースをお願いしたら、意外にあっさりOK。それでも社交辞令だと想っていたらしく、その後YMOのツアーでニューヨークのボトムラインに出演していた時に、ふっとマイク・マイニエリさんが楽屋に来て、「人にプロデュースを頼んでおいて、その後どうなったんだ?」と言われて急激に話しが進んで行ったと言うことです。

このエピソードが本当だとすると、渡辺香津美さんが、いきなりマイク・マイニエリさんにプロデュースをお願いしたのはまさにKYLYNを経て得た自信、そして勢い。さらにそこから派生したYMOのツアー参加。そしてニューヨークでのエピソード。全て良い方向へ、ある意味偶然が重なっていったとも言えます。
しかしこれは全てKYLYNでのパワーが継続した結果だと想うのです。モチベーションを持ち続けて積極的に動くと、事が意外に良い方向へ向いていく事ってありますよね。
でも、単純なKYLYNサウンドの延長になっていないところがマイク・マイニエリさんのプロデュースの力かと。新しいギターフュージョンサウンドを生み出したと言えると想います。

1曲つづ細かく聴いていきます・・・。

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01:リキッド・フィンガーズ
スティーヴ・ジョーダンさんのドラムリフから、マーカス・ミラーさんの歯切れの良いスラップが印象的なスタート。さらにケニー・カークランドさんのいかにもフュージョンと言うようなエレピの音にジョー・キャロさんのバッキングギターが加わると、無条件に感情が盛り上がってしまいます。

テーマはナチュラルに歪んだギター。このギターは当時の渡辺香津美さんのトレードマークであったアレンビック・ショート・スケールと言う話もありますし、KYLYNでも使用していたレスポールのアニバーサリーと言う話もあります。音の感じからするとレスポールのような感じもしますが・・・。
ちなみに、ジャケットの裏に映っている黄色いレスポールは、レスポール・スペシャル・TVモデルと言う1950年代後半ごろのヴィンテージもの。私も最近までこの作品のメインギターだと想っていたのですが、
実際は、このレコーディングの時に買った楽器と言うことで、ライヴでは使用していたようですが、意外にも今までアルバムで使用したことが無いそうです。

デヴィット・スピノザさんがデットストックであったこの楽器をニューヨークの楽器店で試奏していて、悩んだあげく、とりあえず家に帰ったのをいいことに、すかさず銀行でお金を下ろして2,850ドルで買ったと言うエピソードがあります。当時のレートからすると・・・かなり高い!

曲はテーマ、サビそしてそのパターンでソロ。再びテーマ、サビと言う解り易いジャズ的な構成。それでもテーマ、サビともにコード進行などバリエーションに富んでいてかなり完成度の高い楽曲に仕上がっています。

渡辺香津美さんのギターソロはCD Time=1:51からスタート。
テーマと同じ4小節がワンパータンで進むコード進行で、ワンスケールで弾き抜けることも出来るんですが4小節目のコード、G/Fと言う分数コードの部分の歌い方と展開が見事です。それをアクセントにしつつ、ロックフレーバーの溢れるラインを奏でていきます。

CD Time=2:55からの展開は、ワンスケールで弾くことは出来ない難しいところ。コード進行に合わせたスケールを絶妙に繋いでいて見事に歌っています。このあたりはジャズの基本が本当に身についていると言う感じがしますね。
チョーキングでスタートしますが、これが実に気持ち良いフレーズ。そしてCD Time=2:59でスケールチェンジしたフレーズを奏でさらに続けてCD Time=3:01でさらにスケールチェンジ。でも見事に歌が繋がっています。
CD Time=3:03でスライドダウンで低いフレットへポジションチェンジをしてCD Time=3:05の少し異国のテイストのあるフレーズからチョーキングアップへ。
さり気無く弾いているようですが、この部分がコピーをしていて実は一番難しかった記憶があります。けっこう弦が飛んでいて、なかなかスムーズに弾くのは大変でした。

次ぎの展開は、ワンスケールで弾ける、コードの展開のほとんどない部分。
渡辺香津美さんはCD Time=3:11のような機械的なシーケンスラインやCD Time=3:23のような印象的な6連符のパッセージを挟みながらも、単純になりやすいこの部分をメロディアスに弾き抜けます。CD Time=3;28からのラインなどは無条件にカッコ良いラインです。
その後、明るいメジャーな展開になって決めのフレーズへソロを繋いでいきます。

これだけバリエーションに富んだ展開と難しいコード進行の中で、約2分くらいのソロを展開するのはまさに見事で、まさに肝!
以前聴いた時には少し粗さも気になったのですが、それがかえって若さとエネルギーになっていて、全体的には物凄いパワーになっている感じがします。
このギターソロは間違いなく名演です。


02:ブラック・カナル
一転してミディアム・シャッフル的なビートの重いナンバーです。スティーヴ・ジョーダンさんのハイハットが歯切れ良く、抜群のビート感を出しています。
それに対してマーカス・ミラーさんはピチカートで少しルーズな感じで弾いています。これが、サビの部分に入るスラップの歯切れの良いパターンをより効果的にしていると想います。ピチカートとスラップって切り替えが唐突になってしまうことが結構ありますが、違和感がなくスムーズに切り替わるところは流石です。それにしてもマーカス・ミラーさんはスラップはもちろんですが、ピチカートも抜群に上手いですね。

渡辺香津美さんのソロはCD Time=1:46から。
ナチュラルに歪んだ音で、前半はあえてフレーズを刻み、タメを創りながら奏でていきます。それに比べて後半はそのバックの盛り上がりとともに連続した速いパッセージを奏でます。

サビからテーマに戻り、そのテーマをスーッと持ち上げるようにケニー・カークランドさんのピアノソロがスタートします。この一瞬周りのパターンが静かになるところが何とも言えず良い感じですね。そのまま、ジャージーでクラシカルなソロでフェードアウトしていきます。


03:トチカ
マイク・マイニエリさんのヴァイヴと渡辺香津美さんのデュオ曲。いわずと知れた渡辺香津美さんの代表的なアコースティックで美しい曲です。

ここでの渡辺香津美さんは、アコギでのプレイ。ギターは名器、オベーションのアダマスと言う楽器。このときにレコーディングに使用したアダマスは現在所有していないそうです。何処へ?誰の手に?と言うのも少し気になります・・・。

テーマはマイク・マイニエリさんの綺麗なヴァイヴが語っていきます。それに答えるように渡辺香津美さんのバッキングがささやいています。まさに楽器の会話と言う感じに時を忘れそうになります・・・。

ファーストソロは渡辺香津美さん。アコギの音と打楽器的な特性を生かして綺麗なラインを奏でていきます。
CD Time=1:23の低音弦での金属的な響きと箱が鳴っている感じを正確なピッキングで表現しています。続くCD Time=1:30では、チョップと言う、ミュートしてパーカッシブに弾く奏法で、これまたアコギの特徴を生かしたフレーズです。
また、高音の弦でもアコギらしさのあるフレーズや音を奏でていて、CD Time=1:51の音などはまさにアコギならではの『情緒あるひと響き・・・』

KYLYNの時もアコギのサウンドが実に見事だったのですが、この曲でのプレイは情緒を感じてしまう絶品のプレイですね。
渡辺香津美さんは、エレキがメイン、アコギがデザートと言っていましたが、こんなデザートならメインで食べたい!って想います。まあ最近の活動はそうなっていますが・・・。

続くマイク・マイニエリさんのヴァイヴソロはコロコロと綺麗に音が移動する感じが良いですね。ヴァイヴの音も美しいです。

CD Time=2:54からは同じリズムで2人が絡みます。先に仕掛けたのが渡辺香津美さんのバッキング。しばらく会話を楽しんだ後、CD Time=2;59の渡辺香津美さんのアルペジオをきっかけに再びテーマに帰っていきます。


04:コクモ・アイランド
フレットレスベースのラインが印象的なスタートです。ここでリズム隊が替わって、ドラムがピーター・アースキンさんでベースがトニー・レヴィンさんになります。

テーマはギターとサックスのユニゾン。サックスはマイケル・ブレッカーさん。
サックスの音を少し控えめにして、ギターと同化させるようにミックスダウンしているところがマイク・マイニエリさんの技といったら良いでしょうか。
それでも、しっかりと存在感があるサックスなのはマイケル・ブレッカーさんの技と言うかオーラですね。

サビの部分で少しラテンのテイストになります。ギターのメロディが心地よい風を運んでくれる感じ。CD Time=1:36のメロディ・ブレイク部分のコードと、エレピとベースのリズムが良い感じ。さらにピーター・アースキンさんのトップシンバル・ワークが効いています。

その爽やかな風を、嵐のような風が包み込んでしまうのが次ぎの展開部分。マイナーなコード進行に渡辺香津美さんがダブルノートチョーキングでアクセントを入れます。さらにCD Time=2:22のトニー・レヴィンさんの高速トレモロが効いています。

ファーストソロは渡辺香津美さん。ここでのプレイはロックテイストを封印したジャズ・フュージョンラインで攻めてきます。
渡辺香津美さんのソロの特徴と言うか、ロックテイストのソロの場合は、少し張り切る為か粗さが目立つ部分があるように想います。でも逆に、ロックの場合はロックだぜ!見たいなこだわりを感じてけっこう好きではありますが。ジャズ的なフレーズにこだわらない部分が魅力でもあります。

それでもこのソロのようなジャズ・フュージョンテイストのラインは抜群な上手さと粒の揃ったラインを聴かせてくれます。

CD Time=2:15のスタートからいきなり少しつっかかったようなカッコ良いフレーズ。CD Time=2:31からのピーター・アースキンさんのバスドラが入るのと同時に、フーレズが段々とリズムの乗っていきCD Time=2:36のスタッカートなラインからCD Time=2:41までの速いパッセージは粒揃い。
その後は少し音数を減らしてブルージーに奏でてCD Time=3:03からのラテンフレーバーのバッキングパターンへ。メロディアスに弾き始めますが、CD Time=3:13からのスケールライクな16分音符のラインから6連符まで息つく暇もなく連続します。

その後も所々で速いパッセージなどを挟みながらも、コード進行を捉えたラインで弾き抜けます。

テーマを挟んでマイケル・ブレッカーさんのソロです。前半の静かなバッキングの部分では、少しルーズに引きずったようなフレーズ展開です。
その後のラテンフレーバーのパターンに入ると段々と歯切れの良いライン展開に変わり次第に盛り上がってきます。
CD Time=6:45からはアウトフレーズ。良く聴くと合っていない?ような感じさえする音を選択してちょっと明後日?の方へ行きかけます。すかさずCD Time=6:51で戻り、超スタッカートな上昇フレーズへ。さらにそれをひとつのモチーフにしてCD Time=6:56からリズミカルなラインを奏でます。このあたりの繋がり方と構成は流石の上手さです。
CD Time=7:11はキジが鳴くようなひと吹きフレーズをモチーフにして吹き進めます。この部分でそれに答えるように、フレットレスベースの不安定な音程を利用したやや変態チック?なフレーズをトニー・レヴィンさんが奏でます。そしてマイケル・ブレッカーさんがそれを断ち切るロングトーン。さらに、CD Time=7:26から速いパッセージの連続技に入ります。
CD Time=8:12からフェードアウトまでは、リズムを中心としたラインで渡辺香津美さんのバッキングギターと絡みます。それでもフェードアウト近くでは怒涛の速いパッセージが爆発しています。
全体的にリズム的なアプローチやひとつのモチーフを連続して組立てて展開すると言う部分が多く、セッションと言うかライヴ的なソロに仕上がっている感じがします。怒涛の速いパッセージが少ないような感じもありますが、全体のグルーヴを引き出そうと言うような一歩引いた余裕を感じるソロですね。

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続きのトラックは次回に・・・。

(CD TOTALTIME:46:03/ Walking消費カロリー:185.12kcal)

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Better Days レプリカ・コレクション-6 TO CHI KA(紙ジャケット仕様)Better Days レプリカ・コレクション-6 TO CHI KA(紙ジャケット仕様)
渡辺香津美

曲名リスト
1. LIQUID FINGERS
2. BLACK CANAL
3. TO CHI KA
4. COKUMO ISLAND
5. UNICORN
6. DON'T BE SILLY
7. SAYONARA
8. MANHATTAN FLU DANCE

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(*)本文に登場したCD・DVD

Better Days レプリカ・コレクション-4 KYLYN (紙ジャケット仕様)Better Days レプリカ・コレクション-4 KYLYN (紙ジャケット仕様)
渡辺香津美 矢野顕子 坂本龍一

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2008年05月13日

KYLYN/渡辺香津美  【2】

Better Days レプリカ・コレクション-4 KYLYN (紙ジャケット仕様)

渡辺香津美さんのKYLYNのTrack05から
細かく聴いてみます・・・。

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05:E-DAY-プロジェクト
渡辺香津美さんの歪んだ音のギターが印象的なスタート。雰囲気はとてもライトなフュージョン。少しポピュラーソングの香りもする坂本龍一さんの曲です。
この作品は、前半の曲とは違うテイストにこの曲から入っていきます。

ヴォコーダーでささやく様にメロディが奏でられていきます。個人的には結構好きなメロディラインやコード進行で、無条件に明るい気持ちにさせてくれるような楽曲だと想います。

テーマからサビ、そして再びテーマに戻り、展開されたサビに入ります。
その展開されたサビの部分では、歪んだ音でロングトーンの対旋律を渡辺香津美さんが奏でます。このフレーズは物凄く気持ちいいですね。多分弾いている渡辺香津美さんはかなり気持ち良かったと想います。

ファーストソロは矢野顕子さん。
速いパッセージなどはなく、少し跳ねたリズムで曲調に合った優しいラインを奏でていきます。それでもCD Time=1:59からの、今まで跳ねていたラインを3連符で平坦なラインにしてソロエンドに向かうところはいい感じです。

再びテーマに戻って、静かな部分に入り渡辺香津美さんがコード奏法でのちょっとしたソロを入れてイントロそしてまたテーマへ・・・。
このテーマの部分が何回も出てくると言うアレンジはポップス的なアレンジですね。個人的には『また?』と言う感じもするのですが。

エンディングは先ほどの気持ちの良く展開されたサビに、さらに気持ち良さそうに渡辺香津美さんがソロを重ねていきフェードアウトしていきます。

ここでの渡辺香津美さんのソロは、チョーキングをアクセントにして速いパッセージを間に挟んでいくと言う展開。
CD Time=4:43は、大きなメロディの動きではなくて、ひとつの音をポイントにしてその周りの音を動かして全体的な上昇していくラインを生み出してCD Time=4:46のチョーキングでアクセント。さらにフレーズを続けCD Time=4:50で再びアクセントのチョーキング。CD Time=4:58からなどは少しラリー・カールトンさんを彷彿とさせるものがありますね。

もう少しゆったりとしたフレーズを挟んでも良かったのかなあ、と個人的には想うのですが、それでも見事に歌っているソロラインです。

ラリー・カールトンさんで想い出しましたが、聴いていると少しスティーリー・ダンの楽曲ような感じを受けました。ちなみに、この部分のコード進行はスティーリー・ダン滅びゆく英雄のエンディングの部分と同じ流れを持った進行です。


06:アカサカ・ムーン
3曲目に続いて渡辺香津美さんのアコースティックな世界です。左右にディレイで音を振って幻想的な世界を創り上げていきます。
しばらくすると坂本龍一さんのピアノがクラシカルに入ってきます。そのピアノのラインを包むように渡辺香津美さんのアコギの世界が続きます。

途中曲はテンポを上げて、左右のチャンネルをシンセの煌びやかな音が行き交います。その中で渡辺香津美さんのソロがスタートします。

ギターソロの後はフレットレスベースが静かに登場します。このフレットレスベースは渡辺香津美さんの演奏。この雰囲気と言うかフレットレスベースの入り方などは、この後の作品であるTO CHI KA(*)に収録されているSAYONARAトニー・レヴィンさんを起用したアイデアに結びついている感じでしょうか。


07:KYLYN
渡辺香津美さんのハードなギターソロが少し入ってからリズムはレゲエ風に。そして宙を舞うように奏でられているシンセの音がYMO風?言うならば坂本龍一風レゲエと言ったら良いでしょうか。

テーマはボコーダーで奏でられていきます。この曲に集中していくと、今まで聴いてきた作品とは別の作品を聴いているかのような錯覚を覚えてしまうくらいですね。

それは楽曲やアレンジの部分が大きいのですが、演奏上もドラムが村上秀一さんから5曲目から高橋ユキヒロさんに替わったことも大きいかと想います。

もし全編村上秀一さんが叩いていれば、また違ったサウンドになっていたでしょう。これは、上手い下手と言う意味ではなくてドラマーの個性と言う意味で。

渡辺香津美さんのソロはCD Time=1:47から。
かなり歪んだ音で、さらにトレモロアームを使用した少しスペーシーな展開を聴かせてくれます。途中ブレイクするところでのフレーズが何とも言えない独特の雰囲気ですね。


08:アイル・ビー・ゼア
実はこの曲は個人的に大好きで、このKYLYNの中でもNO.1、2を争います。一番好きな部分は全体のアレンジで、構成が見事にまとまっているところでしょうか。それから、何と言っても矢野顕子さんの歌が抜群に良いですね。

イントロは、コード進行と若干のストリングス、シンセのメロディで流れていきます。そして矢野顕子さんのロングトーンでのコーラスが入ってテーマへ。

テーマは少し和風の感じもあるメロディラインを坂本龍一さんのシンセと渡辺香津美さんがユニゾンで奏でます。

サビに入ると矢野顕子さんの歌で、左右に振られてハモリます。この部分が今までの和風のテイストを一気にお洒落な感じにしてくれますね。

そしてサビの終り部分が歌で終わりでは無くて、シンコペーションのバックの演奏にシンセのラインが絡んでいき、その後で矢野顕子さんのロングトーンでのコーラス。そして渡辺香津美さんのソロがスタート・・・。この部分の流れとアレンジはいつ聴いても肝!です。

渡辺香津美さんのソロはテーマのコード進行で短いのですが、決して盛り上がり過ぎる事がなく、あくまでも歌もののアクセント的なラインが良く曲調に合っています。

ソロの後は再びサビに入り、そしてテーマに戻ります。

その後でもう一度サビに入るのが定番の作曲の流れなんだと想うのですが、確かにサビには入っているのですが、矢野顕子さんの歌の代わりにストリングスがサビのラインを奏でていきます。そしてそれはそのままエンディングの渡辺香津美さんのソロへと入っていきます。このあたりのアレンジが曲を締めていて非常にまとまりを感じます。

それでも唯一、何?って想うところはタイトルの『アイル・ビー・ゼア』とコーラスが入るところでしょうか。雰囲気は解りますが、これは矢野顕子さんを絡めて欲しかったと想います。
また、このバックでは渡辺香津美さんがソロを展開しているのですが、どうもそれが良く聴こえないと言うのもちょっと不満と言えばそう・・・。ここはソロではなく、あくまでも『ソロでのバッキングプレイ』と言う意味合いで聴くとその意図も良く解りますが、結構いいラインを奏でているので、ギター好きにはちょっと残念かと・・・。


09:マザー・テラ
スロウな8ビートの中にもスペーシーで幻想的なムードが漂っている坂本龍一さんの曲です。
テーマらしいテーマがなく、いたってBGM的に曲は進み、渡辺香津美さんのソロに入ってそのままフェードアウトしていきます。

ここでの渡辺香津美さんは、アコギでソロを奏でます。しかし途中でアコギ?って想ってしまう部分もあります。いづれにしても曲調にあった不思議な音の選択ですね。フレーズはいたってジャズ的。後半にはオクターブ奏法なども聴かせてくれます。

不思議なムードの中、この名作は幕を閉じていきます・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

『もともとが、六本木ピットインでの6日間のライヴで、前半3日は自分が仕切ってジャズを、後半3日間は坂本龍一に任せてレゲエっぽいものやポップス、テクノを演奏し、その複合体がこのKYLYNだ』

渡辺香津美さんがこの作品を回顧しています。

私が言うまでもなく、この作品はその3日づつのパフォーマンスのコンセプトがそのまま収録されている形なので、前半はジャズ、フュージョンの世界、そして後半は坂本龍一さんの世界。
CDで聴くと、あの超絶な4曲目とライトな5曲目が連続して再生されるので、個人的には物凄い違和感があり、それがwalkingをして聴き終わったあとの感想である『・・・』と言うことになったわけです。

考えてみれば、LPレコードの時代には、5曲目からB面になったので、レコードを裏返したり、その間にコーヒーを入れなおしたり、また用足しにいったり、とわずかな時間ですが現実に戻ったわけです。カセットテープでも、裏返して巻き戻したり・・・。それが違和感を薄めて、2つのコンセプトを明確にしたのだと想うのです。

ですからCD化が逆に作品全体と言う見方をすると弊害の一部にもなったかと。2つのコンセプトが入っていることは、ジャケットの赤と青がしっかりと分かれているデザインにも表れていますね。

また、渡辺香津美さんはこのようにも言っています。

『バンドアンサンブルを交えて新しいものを創りたかった。その結果がこの作品で坂本龍一のアレンジが不可欠だった。ウェザー・リポートやEW&F、スティーリー・ダンなど革新的なものが生まれた時代なので、こっちもうかうかしてられなかった・・・』

その若いエネルギーと革新の気持ちが炸裂してるのがこのプロジェクトと言うことですね。

とかく私もそうなんですが、KYLYNを語る時に、超絶なバンド、この作品で言うならはA面のコンセプトのことになってしまうことが多いです。
確かに、walkingで聴き終えたときにはその感じがありましたが、1曲づつ細かく聴いていったら、B面の世界もかなり『いけてる』かな、と想いました。YMO自体をあまり聴かなかったので良く解らないのですが、このB面のテイストってあるんですよね。

渡辺香津美さんもYMOのツアーに参加していましたし、そのままメンバーへ・・・と言うのも流れとしては面白かったかも知れません・・・。
もうひとつKYLYNをそのままレギュラー・バンドとして継続・・・と言うもの良かったかも知れません・・・。
つまり、このプロジェクトが2つの大きな音楽の流れを生んだわけで、その意味においても、今まで半分の面しか聴いていなかったことはちょっと反省です。

それでも、実際はこの経験を軸にして名作TO CHI KAが生まれるわけで、その選択はファンにとっては最高の選択だったと言うことでしょうか。

いずれにしても、歴史にいろいろな意味で絡んでいるエポックメイキング的な傑作。
そこには、『何かがしたい!』と言う若いエネルギーが炸裂しています。

しかし、この作品やライヴを聴くことが出来たリスナーはもちろんですが、ここでエネルギーを爆発させたミュージシャンたちのその後の継続した活躍を聴くと、そのミュージシャンたちの『糧』になったのがこのKYLYNプロジェクトの最も歴史的な意味だったとも言えるような気がします。

(CD TOTALTIME:45:34/ Walking消費カロリー:183.18kcal)
【参考・引用/jazzLife別冊:JAZZ GUITAR 2003・2005】

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Better Days レプリカ・コレクション-4 KYLYN (紙ジャケット仕様)Better Days レプリカ・コレクション-4 KYLYN (紙ジャケット仕様)
渡辺香津美 矢野顕子 坂本龍一

曲名リスト
1. 199X
2. SONIC BOOM
3. WATER WAYS FLOW BACKWARD AGAIN
4. MILESTONES
5. E-DAY PROJECT
6. AKASAKA MOON
7. KYLYN
8. I’LL BE THERE
9. MOTHER TERRA

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(*)本文に登場したCD・DVD

Better Days レプリカ・コレクション-5 KYLYN LIVE(紙ジャケット仕様)Better Days レプリカ・コレクション-5 KYLYN LIVE(紙ジャケット仕様)
渡辺香津美 G.Vannelli 矢野顕子
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渡辺香津美
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