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ライク・マインズ【その2】/ゲイリー・バートン、チック・コリア、パット・メセニー、ロイ・へインズ、デイヴ・ホランド 
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ライク・マインズ

バートン、コリア、メセニー、へインズ、ホランドさんのライク・マインズのTrack05から細かく聴いてみます・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

05:ライク・マインズ
この曲はゲイリー・バートンさんが福岡で書いたと言う曲。福岡とのイメージが全く合わないのですが、それにしても複雑なコード、そしてシンコペーション。これは難曲ですね。

ファーストソロはゲイリー・バートンさん。
細かく分析していませんが、多分コード進行を聴いた感じだと使用するスケールもコロコロ変わる曲ではないかと想います。それでも速いパッセージを中心にして、見事に連続したメロディを奏でていきます。決してフレーズがスケールによって切れ切れになっていないところがプロと言うことなんですが、それ以上にメロディアスに繋がっているところが、更に上をいくと言う感じです。
CD Time=1:25でベースのデイヴ・ホランドさんが一瞬4ビートになりそうになる感じが実にいいですね。

続いてはパット・メセニーさんです。
スタートの部分で一瞬全体が静かになるのですが、そのときにパット・メセニーさんの音が左チャンネルの方に綺麗にリバーヴが返されているのが解ります。
パット・メセニーさんのフレーズはけっこうアウトフレーズ。と言うかコード進行の複雑さを逆に捉えて、あえてアウト風にコードトーンを捉えていると言ったらよいでしょうか。ゲイリー・バートンさんのメロディアスなアプローチとはまた違った感じで、絶妙な浮遊感を醸し出しています。

続いてはチック・コリアさんのソロです。
2人のソロの中間のようなイメージでしょうか。メロディアスでありながらもアウトフレーズとリズミックなフレーズそして、クラシカルなコード和音を使用したダイナミックなフレーズを奏でていきます。

最後はベースのデイヴ・ホランドさんのソロです。
リズム的なアプローチでグルービーに奏でています。また、このバックでのロイ・へインズさんのスネアワークがデイヴ・ホランドさんのフレーズを静かに盛り上げています。


06:カントリー・ローズ
デイブ・ホランドさんのファニーな感じのソロからスタートするスローなブルースナンバーです。いわゆる4ビートのブルースではなくて、まさにカントリー的なもの。非常にまったりとしたビートの中にも、ロイ・へインズさんのリムショットが効いていてクセになりそうなナンバーです。

3人のソロは見事にブルージーに奏でているのですが、特にパット・メセニーさんのソロはかなりオーソドックスなブルースフレーズを奏でているのがけっこう意外な感じもしました。
また、お互いのバッキングはテンポがスローでまったりしていることもあって、よく遊んでいると言う感じがします。
全体にリラックスしていてよい感じのトラックに仕上がっています。


07:ティアーズ・オヴ・レイン
幻想的なイントロから始まるパット・メセニーさんのバラードです。
最初はフリーテンポで始まるのですが、インテンポになった時にシンセのような感じのロングトーンがずっと続いています。その音が段々クレッシェンドして、CD Time=1:14でこれがピアノで奏でている音だと言うことに気が付きます。このようなトリッキーな奏法もチック・コリアさんらしいアイデアですね。

前のブルースナンバーのまったりとしたスローと対比するようにマイナーで幻想的なまったりさのある中で演奏は続いていきます。

チック・コリアさんのソロは和音を上手く使用したスケール感の大きなラインを奏でています。また、パット・メセニーさんは曲調のためもありますが、パット・メセニー・グループでのソロラインのような得意技フレーズを連続しています。


08:スーン
この曲はジョージ・ガーシュインさんの曲。いわゆるスタンダードなコード進行を持ったスインギーなナンバーです。

ファーストソロはパット・メセニーさん。
かなりオーソドックスなジャズラインで弾き切ります。一瞬クロマティックを使用した得意フレーズへ行きそうになるかと想いきや、行かない!と言う、6曲目と同じで意外なアプローチを聴かせてくれます。それにしてもラインが切れ目無く繋がっていくのは見事です。

続いてはゲイリー・バートンさん。
ゲイリー・バートンさんのラインもオーソドックスなジャズラインです。目まぐるしく動くヴァイヴの音が実に心地よいです。そのフレーズの為か、全体にこのソロのバックは非常にスウィングしています。

そしてチック・コリアさんのソロ。
前の2人とは少し違って、もちろんオーソドックスなジャズラインもありますが、その中にパーカッシブなフレーズやアウトフレーズで抜群の個性を出しています。

その後はデイヴ・ホランドさんとロイ・へインズさんの掛け合いになります。

実にオーソドックスなジャズナンバーに仕上がっていて、まさに全員のルーツがジャズで、その基礎の部分がしっかりあってこその、チック・コリアさんならエレクトリック・バンドであったり、パット・メセニーさんならPMGであったりと言う、エレクトリックなアプローチがあるのだ、と言うことを今更ながら感じました。

以前ジョン・スコフィールドさんが「フュージョンだけしかできないミュージシャンには
興味が無い」と言っていましたが、まさに、ルーツ的なトラックに仕上がっています。


09:フォー・ザ・サウザンド・イヤーズ
パット・メセニーさんの3/4拍子で流れていく綺麗な曲です。
テーマが短くてすぐにソロに入っていきますが、パット・メセニーさんはPMGでの壮大な楽曲も魅力がありますが、このようないかにもセッション向きで、サラリと書いたような楽曲も魅力的ですね。

テーマはいつの間にかと言う感じでチック・コリアさんのソロに変わります。
細かいフレーズを連続して歯切れの良いメロディを奏でていきます。ちょっと弾き難そうな感じも受けるのですが、これはこの曲のコード進行の展開の速さと複雑さのためでしょうか。

続くパット・メセニーさんのソロは自分の曲と言うこともあり実にメロディアスなフレーズです。

この後、デイヴ・ホランドさんのソロからゲイリー・バートンさんのソロへと繋がりエンディングを迎えます。


10:ストレイト・アップ・サイド・ダウン
アップテンポなチック・コリアさんのナンバー。複雑なリズムをもったテーマのメロディをユニゾンで3人が奏でていきます。

複雑なテーマの雰囲気ではなくてソロのパターンは基本的にワンコード。しかもアップテンポ。今までの曲が複雑なコード進行でのソロが多かったので、このようなワンコード的に弾きまくるソロはまた違った面白さとテクニックを味わうことができますね。

ファーストソロはチック・コリアさん。
ひと言、超絶です。特に左手のコードワークが歯切れ良くてメロディラインがいきいきと響いています。CD Time=2:27では一瞬、クラシカルなコード奏法がリードするのですが、すぐに右手が再び速いパッセージを奏でていきます。このワンポイントのメリハリが良いですね。

続いてはパット・メセニーさん。
前半から飛ばしていきます。得意のクロマティックなアプローチを挟みながら軽快にフレーズを奏でていきます。
CD Time=3:50では珍しいピッキングハーモニクスを聴かせてくれます。これは、左手で16フレットを押さえて、右手の人差し指か中指でブリッジと押さえたところとの丁度半分の位置に触れてピックで弾くと同時に触れている指を離すと言うもの。たまにパット・メセニーさんは使用するのですが、ひとつのフレーズの流れな中でアクセントとして使うのは珍しいと想います。それもこのアップテンポですのでなかなかそのタイミングが難しいところ。失敗すればミストーンと言う場面。

実はこれと同じ奏法をCD Time=3:19でも弾いています。ここではやや低い音でのフレーズでしたので
そんなに際立っていませんが、おそらく、その後CD Time=3:50に向かうまでのフレーズが無意識の内に弾けるような得意技フレーズを連続しているので、このCD Time=3:50での『ひと響き』のタイミングを狙っていた!と勝手に推測するのですが・・・。

続いてはゲイリー・バートンさんのソロ。
こちらも超絶です。音がコロコロと高低を行き来するのが手にとる様に解ります。CD Time=4:28から引っ掛けるようなリズムで下がっていって再び上がるフレーズは鳥肌が立つようなラインです。

続いてデイヴ・ホランドさんのソロです。
速いパッセージとリズミカルなフレーズを融合した存在感のあるソロです。
また、ここではソロはもちろんなんですが、チック・コリアさんの静かに奏でるバッキングが何かとても可愛らしくていいです。これだけ静かに弾けて、存在感を出すと言うのはまさにテクニックですね。

さらにチック・コリアさんのバッキングの反応の良さはCD Time=6:53からのデイヴ・ホランドさんのポリリズムのパターンにあわせるところで聴くことができます。
またその後は、デイヴ・ホランドさんのメロディアスなCD Time=7:05からのフレーズに、今度はパット・メセニーさんが反応して優しくコードを奏でます。
このあたりのバッキングの妙はまさに肝!です。

短いのですが、ロイ・へインズさんのソロを挟んで再びテーマに戻り、そして怒涛のエンディングとなります。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

今回はどうもチック・コリアさんにやられた感があります。

ソロプレイはもちろんのこと、音質と録音もあると想いますが、バッキングでの絡みやフレーズは見事なものがあります。また、全体の雰囲気を司っていて、さらにバッキングを含めたトータルな曲の進行も支配してるような感じさえしました。
この作品のリーダーは?と言われたらチック・コリアさんと答えます。

それでも、それは今回聴いた印象で、ある意味、たまたまとも言えます。
次回はゲイリー・バートンさんのプレイかも知れませんし・・・。

つまり、誰のプレイを追っかけても聴き応えがあり、5人がそれぞれ持ち味を出して、超絶なプレイを繰り広げていると言うことですね。

3人のソリストがトライアングルの位置で音像の中心にあって、それぞれの奏でている音とフレーズの関係が良く解ります。
さらに、その周りで奏でているリズム隊がそれを盛り上げていると言う構図。

最初に感じたピアノの音が少し大きい?と言うマイナスイメージが、逆に楽しく聴くためのギミックだったと言うことに気がついたときには、すっかりその音の渦に巻き込まれていました。

また、物凄く難しい曲が多い中で、決してアップアップではなく、プレイの中に余裕みたいなものを垣間聴くことが出来るのが実に心憎いです!

(CD TOTALTIME:68:24/ Walking消費カロリー:274.97kcal)

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曲名リスト
1. クェスチョン・アンド・アンサー
2. イルシデイション
3. ウィンドウズ
4. フューチャーズ
5. ライク・マインズ
6. カントリー・ローズ
7. ティアーズ・オブ・レイン
8. スーン
9. フォー・ア・サウザンド・イヤーズ
10. ストレイト・アップ・アンド・ダウン

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あとがき
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コメント (2)

『ライク・マインズ』を聴くと,やっぱりため息がでます。何て美しいのでしょう。手の届かない世界観です。
ayukiさんの感想通り,私もチック・コリアの充実ぶりに惹かれました。バートンもさすがですし,メセニーはこのメンツの中でも,もはや貫禄たっぷりなのに,やっぱりチックです。
『ニュー・クリスタル・サイレンス』の次は『ニュー・ライク・マインズ』やってほしいなぁ。

セラピーさん
コメントありがとうございます。
もう仰る通りで、ため息ですね。これだけソロを強烈に聴くとけっこう満腹感があるのですが、もっと聴きたい!って素直に想います。その意味でも『ニュー・ライク・マインズ』・・・いいですね。

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