Walking de Music

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2009年02月Archives

12

2009年02月28日

宇宙の騎士 【1】/TOTO

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宇宙の騎士

今日のwalking MusicはTOTO宇宙の騎士です。
walkingで通して聴いた印象と、Track01からTrack05までのレヴューです。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

この作品は1978年の作品。言うまでもなくTOTOのデビュー作であり、名盤と呼ばれている作品。実はCDを持っていなくて、長い間聴いていませんでした。先日BOOK OFFでたまたま見つけたので、購入したというわけなんです。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

walkingを終えて聴き終えたときの印象はひと言で言うと
『完成度が高く、やっぱり名盤・・・』

久しぶりに興奮をしてしまった一枚で、忘れかけていた想いとともにTOTOの凄さを改めて感じた一枚です。細かく聴いていくと、また違った感覚になるかも知れませんので、1曲つづ聴いていきます・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

01:子供の凱歌
TOTOのオープニングには欠かせない定番のインスト。頭のユニゾン部分の3連符フレーズは、休符でスタートをしているのですがそれが頭のようにも聴こえるので、拍を一瞬失うようなスタートになっています。

そして、ピアノで奏でられる3連のアルペジオとTOTOホーンと呼ばれている音色でのシンセがテーマを奏でます。

再びユニゾンからリズムインになり、今度はスティーヴ・ルカサーさんのギターとシンセのユニゾンでテーマが引き継がれていきます。

このスティーヴ・ルカサーさんの音が実にいいですね。また、アーティキュレーションが良いのでなおさらカッコ良く聴こえます。特に、CD Time=1:04から1:05のチョーキングなどは絶妙です。

スティーヴ・ルカサーさんは、つい速弾きや大胆なアーミングなどに耳が行ってしまうのですが、実は、細かいヴィブラートやチョーキングのニュアンスが絶妙で、このようなメロディや間奏部分の旋律などを弾かせると実によく歌っていて、その底力をいつも感じます。

また今回久し振りに聴いてみて想ったのが、やはりジェフ・ポーカロさんのプレイの華麗さ。ドラムがインしたワンコーラスめのハイハットは単純に叩いているように聴こえるのですが、ゴースト的にリズムが刻まれていてしっかりと3連のリズムになっています。

さらに、2コーラスめは、そのリズムを崩さずに細かくアクセントとしてシンバルワークを加えています。特にCD Time=1:55のさりげなく入れるおかずや、CD Time=2:12からの頭入れシンバルの部分でハイハットのリズムが切れていないのが見事。
淡々とリズムを刻んでいるのですが、この曲のビートを生み出しているのは、まさにジェフ・ポーカロさんのプレイだと想います。

そして、ユニゾンに続いてのエンディングのコード。一聴、複雑なコードのようにも想えるのですが、どうもここはG♯mのような感じ・・・。でも、シンセがそのコードの3度の音を中心としたヴォイシングになっているようなのでちょっと不安定なコードにも聴こえます。このアレンジも見事です。


02:愛する君に
米ヒットチャートで45位になったヒット曲。簡単なコードのギターリフからスタートするのですが、とても印象的なフレーズになっています。単純な方がより印象深いギター・リフになる、という典型的なフレーズと言えます。

そのギターリフに乗ってサビから始まるという曲の構成。特に最近のJ-POPなどには多いパターンですが、曲のキャッチーな部分を先に出してしまうというテクニックとさらにラジオやTVなどを意識したアレンジと言えます。

テーマに入ると、ギターのクリアなカッティングが曲を牽引します。この部分はもう少しハードなイメージがあったのですが、今回改めて聴いてみると意外に可愛らしい感じがしました。テーマを歌うボビー・キンボールさんのシャウトスタイルがいかにもTOTOのサウンド・・・。

そしてCD Time=1:32から印象に残る間奏部分へ。今までの曲の雰囲気とは全くと言って良いほど違うムードの間奏をここに持ってくるところが曲全体を物凄く絞めていると想います。もともと、サビとテーマが単純に繰り返されている曲なのでその効果は絶大です。
また、スティーヴルカサーさんの弾くメロディが、先ほども書きましたが、やはり上手いですね。特にオクターブ上がってからのCD Time=1:51は、クイックなチョーキングが、正確な音程にビシッと決まってグッとくるものがあります。

再びサビに戻り、繰り返します。ここで、カウンターとして絡むボビー・キンボールさんのシャウトがいい感じです。コーラスのパターンが少し変わったのをサインにして、CD Time=2:40のワンブレイク・コーラス。そして、エンディングへ。
この流れ、短いながらも、良く練られていて、アレンジの巧みさを感じます。

エンディングは再び展開をして、今まで出てこなかったパターンになります。ベースとギターのユニゾンのフレーズをキーにして16ビートのリズムにTOTOホーンが細かいフレーズを奏でます。まさにエンディングという感じでこの曲をさらに絞めていて、まるで組曲のようにさえ感じさせてくれます。特に、ドラムがツービートになるCD Time=3:21からはかなりカッコ良いですね。

4分弱の短い曲ですが、それでもバリエーションが豊富で曲が変化に富んでいて、アレンジの妙を楽しめる名曲です。


03:ジョージー・ポーギー
この曲もTOTOではお馴染みの大ヒット曲。米ヒットチャートで48位になった曲です。
前の2曲は少し派手めの曲でしたので、このアダルトな雰囲気は少し落ち着く感じがします。さらに、この曲はピアノとドラムのバッキングがフェードインしてくるというアレンジ。これも、作品の流れから言うと実に、洒落た、そしてワンパンチ効いているアレンジだと想います。

ヴォーカルは、TOTOのバラード系担当とも言えるスティーヴ・ルカサーさん。決して技巧的ではないのですが、何とも味がある声と歌い方だと想います。スティーヴ・ルカサーさんが歌えてさらにデヴィッド・ペイチさん、そしてメイン・ヴォーカルのボビー・キンボールさんと、3人のヴォーカリストがそれぞれの特徴を出して曲を振り分けて歌っているのがTOTOの魅力のひとつですね。

CD Time=0:31からのギターのバッキングはクリアトーンで歌に絡みます。このバッキングセンスはスタジオワークでつちかったもの。とても、いい感じですね。

そして、タイトルを歌う印象的な部分に入ります。この部分はデヴィッド・ペイチさんが歌っていると想っていたのですが、ライナーノーツで、シェリル・リンさんのヴォーカルのようなことが書いてあります。確かにライナーノーツに名前がクレジットされていますし、デヴィッド・ペイチさんがシェリル・リンさんの作品をプロデュースをしたという縁もあるようですが。詳しいことは良く解りません・・・。

ブリッジのユニゾンを挟んでスティーヴ・ルカサーさんの間奏です。ここでは、ボトルネックを使用してプレイをしています。特に最後に上がっていく高音はとても丁寧でさらに綺麗な音です。

全体にさらりと駆け抜けていくような曲ですが、非常に印象深い名曲です。


04:マヌエラ・ラン
作品のスタートからインスト、ボビー・キンボールさん、スティーヴ・ルカサーさんとメインヴォーカルを取ってきて、この曲は3人目のヴォーカルであるデヴィッド・ペイチさんがリードを歌います。ここまでの作品の流れは本当によく考えられていると想います。

曲はいかにもTOTOらしい曲です。ピアノとハードな音のギターという取り合わせはこの時代のAORでの定番のパターンとも言えます。明るい雰囲気で曲は進んで行きます。

CD Time=0:37からの中サビの部分は、まさにTOTOらしい厚いコーラス。さらにCD Time=0:42のスティーヴ・ルカサーさんのワンポイント・フレーズが良い味です。のようなワンポイントでは本当に絶妙なアーティキュレーションを聴かせてくれますね。

サビの部分は少しカントリーの雰囲気を持った、聴いていて想わず口ずさんでしまう楽しいメロディに仕上がっています。

CD Time=2;03からは間奏で、スティーヴ・ルカサーさんのギターがメロディを奏でます。このメロディの歌い方も上手いです。特に、ヴィヴラート・ニュアンスの使いわけが聴きどころ。

CD Time=2:08はロングトーンですのでほとんどヴィヴラートが掛かっているか、掛かっていないか、という感じ。そしてCD Time=2:17は短い音符ですので、やや大きめのヴィヴラートでつないで、CD Time=2:18の速いパッセージからCD Time=2:20でかなり大きめにヴィヴラートをかけてサビにつないでいます。単純なメロディとパッセージですが、このようなギターの歌わせ方は見事です。まさに肝!です。

エンディング近くではボビー・キンボールさんがシャウトで仕掛けます。このあたりもTOTOの真骨頂でグッときます。

そして、エンディングはスぺーシーなSEにピアノがポロリと。そしてドアの閉まる音で終わる・・・。
この演出は次の曲へのプロローグというか、ごく短い曲間で次の曲が始まりますので効果的だと想います。少し宇宙の彼方へなどが大ヒットしたバンド・ボストンの楽曲のような雰囲気もありますね。

ここまでの作品の流れはまさに肝!。想わずのめり込んでしまう絶妙な流れを持っていると想います。


05:ユー・アー・ザ・フラワー
前の曲を受けて間髪入れずにピアノのブルージーなフレーズからスタートします。フルートなども入っていて今までの曲の雰囲気とはずいぶん違う感じのアダルトなナンバーです。前の4曲はすべてデヴィッド・ペイチさんの作曲ですが、この曲はボビー・キンボールさんの曲。

この曲でのボビー・キンボールさんは、シャウトスタイルではなくて地声で歌っています。ボビー・キンボールさんのシャウトスタイルの歌ももちろん良いのですが、この地声も個人的には結構味があって好きです。

サビの部分はつながりの綺麗なコード進行で印象深い部分です。コーラスも綺麗にハマっていますね。また、テーマから左右のチャンネルでかなり渋いカッティングをしていたスティーヴ・ルカサーさんのバッキングプレイが光っています。

基本的には、左チャンネルが少しひずんだ音でミュートや短音を中心にして奏でて、右チャンネルはコードカッティングを中心としています。CD Time=1:01では、ほんのわずか全体がブレイクするのですが、それを絶妙に埋める短音バッキングを聴かせてくれます。
2回目のサビでは、さらにバッキングの妙を聴くことができて、CD Time=1:52での両チャンネルでのクリアなカッティングやCD Time=1:58の右チャンネルのブレイクを埋めるカッティングなど・・・。このあたりは単なる『ロック野郎』ではないまさに『セッション・マン』という感じのセンスの良さですね。

さらに、そのセンスの良さを聴かせてくれるのがCD Time=2:09からのギターソロ。サビのコード進行はけっこう複雑な展開をしているのですが、このサビのパターンでスティーヴ・ルカサーさんはソロを奏でます。

まずは、サビのメロディをフェイクしたフレーズでスタート。CD Time=2:11の終わりのチョーキング、さらに1音挟んでチョーキング・・・そして大きめのヴィヴラート。このチョーキングした音は両方とも同じ音。最初は、少し喰ってコード・D/Cの3度の音に解決し、再びクイックに3度の音を奏でています。このあたりのニュアンスは絶妙ですね。

続けて、3度の音そして5度の音を経て、次のコードのDmaj7の3度の音に向けてCD Time=2:15でハイノートのチョーキングを決めます。そのチョーキングがそのままスケールのチェンジを牽引します。それぞれのコードトーンを上手くとらえて、自然でありながら、スケール感を十分感じさせてくれるフレーズになっていると想います。この部分はまさに肝!

続くアウト風のフレーズからCD Time=2:17のチョーキングを絡めたフレーズでいったん閉めて、さらに、CD Time=2:20からのアップしていくメロディアスなラインでワンコーラスを終えます。

そしてこのソロの一番の聴きどころである2コーラスめのスケールチェンジ後のフレーズへ。

CD Time=2:36からCD Time=2:40までのフレーズがそれで、絶妙な音の選択とアーティキュレーションで再び肝!です。この部分はまさにジャズ的というかフュージョン的と言ったらよいでしょうか。CD Time=2:36から2;37あたりでの高音の使い方や歌い方などは、ラリー・カールトンさんの影響をもろに感じるフレーズです。

実は一曲目からスティーヴ・ルカサーさんのソロらしいソロ・プレイはないんですね。ですから5曲目のこのソロが一番初めのソロになるわけです。ロックフレーバーで派手なプレイも多いスティーヴ・ルカサーさんが、デビュー作品でこのような渋いソロが最初のお披露目ソロだったというのは、今回聴いて改めて気がついたことです。

この曲までが、作品が創られた当時のレコードではA面ということになります。まさにA面は楽曲優先という色合いで創られている感じがしますね。
ですからスティーヴ・ルカサーさんのソロもあえて派手なものは入れずに、間奏的なメロディのみで収めたということでしょうか。
このあたりのソロサイズへのチョイスも、全体のバランスと流れが上手く仕上がっている要因になっている、という感じがするのです。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

続きは後日に・・・

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宇宙の騎士宇宙の騎士
TOTO

曲名リスト
1. 子供の凱歌
2. 愛する君に
3. ジョージー・ポージー
4. マヌエラ・ラン
5. ユー・アー・ザ・フラワー
6. ガール・グッドバイ
7. ふりだしの恋
8. ロックメイカー
9. ホールド・ザ・ライン
10. アンジェラ

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2009年02月23日

ゼロ・トレランス・フォー・サイレンス【2】/パット・メセニー

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ゼロ・トレランス・フォー・サイレンス

今日のwalking Musicはパット・メセニーさんのゼロ・トレランス・フォー・サイレンスの続き、Track04からトータルレビューです。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

04:PART 4
センター・チャンネルで、まるでジミ・ヘンドリックスさんのようなギターリフから
左チャンネルのギターがディレイのように絡んできます。
しばらくして右チャンネルのギターが絡んでくると
世界は再び不思議な世界に突入します。

しかし、今までの3曲ほど『ピッチずれ』を演出している感じはなくて
比較的ストレートにロックしている感じ。

基本的にEmのコード進行でペンタトニックという
いたってロック的なスケールを使用していきます。

今までの曲と比べるとかなりまとまっていますね。
特に、CD Time=3:30過ぎからは
センターと右チャンネルのギターがバッキングに入り
左チャンネルのギターがソロを奏でる感じは
強烈なビート感とグルーヴ感があってけっこう好きな世界です。

個人的にはこの曲がベストトラックです。


05:PART 5
2曲目に近いテイストのバラード風の曲です。
この曲は4つのギターがオーバーダビングされています。

左右のチャンネルでスチール弦のアコギがバッキングをして
さらにそれに重なるように左チャンネルでひずみ音でバッキング。
そして右チャンネルでソロラインを
やはり、ひずんだトーンで奏でます。

ここでも、『ピッチずれ』の演出があって
ムードは今まで通りの不思議な世界。

それでも、曲としての構成やアレンジは
一番練ってあるという感じがします。

独特のムードのままこの作品は幕を閉じていきます・・・。


★☆ゼロ・トレランス・フォー・サイレンス・トータルレビュー★☆

walkingを終えて聴き終えたときの印象はひと言で言うと
『ある疑問の答えが見えたような気が・・・』

・・・

パット・メセニーさんはこの作品について

『このようなギターサウンドが使われるときには
ほとんどの場合、月並みなビートに彩られてきた。
そのビートに飽きてしまい、その抑圧感のないピュアなサウンドが欲しかった・・・』

と言っています。
これは、言葉をそのままに受け取ると・・・

『このような、ひずみ系の音を使用して
月並みなビートにのって奏でられるギターサウンドに飽きた。
だから、まずはビートをはずしてみた・・・』

ということかと。
さらにこれを私流に解釈すると・・・

『ロック系のビートをもった音楽はつまらない・・・。
俺がギターのひずんだ音からインスパイアされたことを
ピュアに表現するとこうなるぜ!』

ということかと。

・・・

まずは、『月並みなビート』ですが
確かに作品としては、ビートを言うものを排除していますが
それは、あくまでもドラムとかベースによる
一定のテンポを刻むという作業においてで
実際は、ギターが奏でるビート感が十分にあります。

その意味では、パット・メセニーさんが言っている『月並みなビート』というのは
あくまでも楽器的、音楽的な部分においてだと想われるわけです。
それが、ときに抑圧感をもたらすということですね。
つまり、ひずみ音でギターを弾く時に邪魔になることがある・・・と。

もうひとつの『ピュアなサウンド』ということですが
これは、あくまでも『ひずんだギター音』に対して。
さらに、ここでキーポイントになるのは
微妙な『ピッチずれ』。

これを意図的に演出しているところを聴くと
パット・メセニーさんの中には
ひずみ系の音から受けるイメージに
『ピッチずれ』という感覚があるのかと。
もしくは、微妙に『ピッチずれ』をもたらすことで
よりピュアにギターのひずみ音が生きてくる・・・と。

そう言えば、
名盤・ファースト・サークルの1曲目のフォワード・マーチでの『ピッチずれ』や
ギター・シンセのやや浮遊した、ピッチが若干高めの設定-など
ピッチずれの感覚がありますよね。

これは、もともとパット・メセニーさんの音楽的感覚の中の
ひとつの基本ファクターになっているのではないか?

この作品を聴くとそう想うわけです。

ですから、ギターのひずみ音からインスパイアされたこの作品のサウンドは
パット・メセニーさんのきわめてピュアな感覚。
それは、カッコ良く言うと
『魂の叫び』とでも言ったら良いでしょうか。

実はこの部分が一番パット・メセニーさんのサウンドに
魅かれる部分なのかな?
と想ったのです。

つまり、普通のギタープレイの端々にこのようなピュアな感覚が
ときに狂気のように、ときに危なく・・・
醸し出されているのではないかと想ったのです。

たとえ、綺麗で情緒的なバラードをアコギで奏でるときも
メロディラインの裏側に、そのフレーズの合間に
聴こえないけれども、感じている・・・。
そんな感覚にさせてくれる
『何か』がにじみ出ているのではないかと。

・・・

そこで、walkingを終えて聴き終えたときの印象
『ある疑問の答えが見えたような気が・・・』
ということですが・・・。

ある疑問・・・というのは

『日本のジャズ、フュージョンのミュージシャンに対して
何かもの足りなさを感じてしまうのはなぜだろう?』

ということです。

これはまさに『この』こと。

解り易く言い換えると・・・
例えば、公衆の前で話をするときに
当然、たくさんの人の前ですので
言葉に気をつけたり、(もちろん泥酔を連想させるようなシドロモドロな話は論外ですが)一定のルールがあります。

ですから、言いたいことを自分の言葉で
心のままに独り言のように話したり
急にシャウトしたり・・・
これは、許されないですし
ちょっとおかしい?と想われてしまうこともありますね。

ですから、それをオブラートに包んだり
または比ゆなどを使用したり
いわゆるテクニックで表現するわけです。

しかし、本当に胸を打つ話って
そのテクニックだけではない
もっと熱いものや、ときに危なげなものなどが
にじみ出ていると想いませんか?
それは言葉とか話し方ではなくて
もっと感覚的な部分においてですが・・・。

音楽的に言うと
コードやスケールやリズムまたは、ピッチがルールであり
自分の主張などは
演奏をするときのテクニックになるわけです。

それが日本のミュージシャンは圧倒的に上手いと想うのです。
それは器用貧乏と言ったらよいでしょうか。

ですが、その反面
本当に胸を打つ話が持っている
テクニックだけではない部分が
にじみ出ている人が少ない・・・と個人的には想うのです。

それは
『危なさ』だったり
『はじけちゃう危険』だったり
『あっちの方へ行ってしまう感じ』だったり
『昇天してしまう感じ』だったり・・・

このパット・メセニーさんの作品を聴いて
そのピュアなアプローチと感覚が
「普段の演奏や音楽にも表れている?」
と想ったときに
「日本のジャズ、フュージョンのミュージシャンに対して
何か足りなさを感じてしまうのはなぜだろう?」
と私が個人的に感じる疑問の
答えが少し見えたような気がしたわけです・・・。

かなり解りにくい話で上手く表現できないのですが・・・。

もちろん、日本のジャズ、フュージョンのミュージシャンでも
このあたりが「爆発」している人も大勢いますので
そこは誤解のないように・・・。

何となく解っていただけますか?

・・・

ということでこの作品。
ひとつの音楽作品として聴くと
はっきり言って『駄作』だと想います。

パット・メセニーさんは
『芸術は爆破だ!』とか
『どんな作品でも創造するだけでOK!』
という認識が一般的に通用するだけの芸術家ではないと想いますし・・・。

また、かなりフリーに弾いているようでいて
練った部分もかなり感じるところがあるのが
残念と言えば残念。

『イッてしまう・・・』なら
とことん
『イッてしまった・・・』方がよかった!
と想います。

でも、
ピュアな感覚、魂の叫び
を感じるのに、これほど素直な作品はないと想うのです。
その意味では

パット・メセニーさんを追い続けるファンの方・・・
そして
『パット教』の信者・・・
そして
マインドコントロールされた人・・・

にとっては
この前作のソロ作品である
シークレット・ストーリーなどの王道に対して
アナザーバイブルになる名作だと想うのです。

もちろん、私も信者のひとりではあるのですが・・・。

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パット・メセニー

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2009年02月21日

ゼロ・トレランス・フォー・サイレンス【1】/パット・メセニー

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ゼロ・トレランス・フォー・サイレンス

今日のwalking Musicはパット・メセニーさんのゼロ・トレランス・フォー・サイレンスです。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

この作品は1994年の作品です。
当時は賛否両論入り乱れていた問題作。
もし聴いたことがない方でしたら、まさに取扱注意という感じでしょうか。

内容的には、ギターのみでオーバーダビングをして
いたってフリーに弾いているという感じ。
しかも音がひずんだトーンで
ノーマルなパット・メセニーさんのギタートーンを期待すると・・・
もの凄くコケます。

また、ほとんどフリー的な演奏で、楽曲を意識して聴くと・・・
これまたコケます。

私の場合は、初めて聴いたときはかなり戸惑いました。
以来あまり聴いてはいない作品ですが
久し振りに引っ張り出してみました。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

walkingを終えて聴き終えたときの印象はひと言で言うと
『ある疑問の答えが見えたような気が・・・』

細かく聴いていくと、また違った感覚になるかも知れませんので
1曲つづ聴いていきます・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

01:PART 1
左右のチャンネルで、ひずんだギタートーンの『かきむしり奏法』がスタート。
テンポなどは無いに等しくて、高速で、まるで三味線のように弾きまくります。
さらに、普通にフレーズを弾いているのではなくて
あくまでも、音程無視、スケール無視のようなスタイル。
悪い言葉で言うと『ムチャ弾き』という感じでしょうか。

これは、もちろんオーバーダビングになります。
聴きながら想っていたのが、どちらのギターを先に録音したのか?
ということです。
これはCD Time=2:41で
先に左チャンネルのギターが『かきむしり奏法』を止めるので
おそらく左チャンネルが先に録音されたのだろうと想います。
ここから短音の掛け合いになりなす。

この短音での掛け合い部分は
いつものパット・メセニーさんの流麗なフィンガリングや
ピッキングからは想像ができないくらい雑なもの。
もちろんわざとそのようにプレイをしているのですが
パット・メセニーさんを今まで聴いたことがない人は
「ヘタなギタリストだな・・・。」
と想ってしまう・・・そんな感じです。

再びCD Time=3:47から『かきむしり奏法』が始まりますが
CD Time=4:25から再度短音の掛け合いに戻ります。

この部分の掛け合いは
一聴、アンバランスで左右バラバラに
好き勝手に弾いているようにも感じるのですが
良く聴いてみると、見事にサウンドしているのが解ります。

特に右チャンネルのベース音的なギターが
左チャンネルのラインと絡んで
不思議なコード感を醸し出しています。

その後も『かきむしり奏法』と短音の掛け合いを繰り返しながら
約18分間続きます。

この演奏が事前に決まっていた部分があったのかどうか解りませんし
また、これを曲と言ってよいのかどうかというのも・・・
何とも言えないところがあります。

でも不思議に聴いているうちに
『あっちの方へトリップ』してしまいそうになる自分がいたのも確かです。

何とも不思議、摩訶不思議なパフォーマンスと言えますね。


02:PART 2
この曲は、ギター3本のオーバーダビングで進んでいくスローな曲です。
コード進行とメロディらしきものはある曲ですが
全体に『ピッチずれ』みたいなものを演出していて
この不安定さは、個人的には実に気持が悪いです。

CD Time=2:25からセンターのギターのみになって
単音でロック的なアプローチで8ビートを基調としたラインを奏でます。
そしてCD Time=2:24から右チャンネルのギターが入り
さらにCD Time=2:51から左チャンネルのギターが入ります。

3つとも短音でのラインで
さらに、それぞれが呼応するように連動をしていて
まるでディレイがエフェクトされているかのような効果を出しています。

ここで想い出したのが、ロックの雄・クイーン。
ギタリストのブライアン・メイさんが
ディレイを使用して、ちょうどこんな感じのパフォーマンスをしていましたね。

ここでのフレーズもロックフレーズ。
かなりロックしている感じです。
フレーズがかなり渋く、ちょっとエリック・クラプトンさん風というか。

パット・メセニーさんに
このようなボキャブラリーがあったということを
今回改めて発見しました。


03:PART 3
この曲も3本のギターでのオーバーダビングになります。
今度は3本共に同じメロディを少しずつずらしながら弾いていくスタイル。
ですから、ある程度は練られているパフォーマンスかと想います。
また、今までと同様に微妙な『ピッチずれ』を演出していますので
やはり聴いていて不気味というか、何と言うか。
あまり気持が良くはありませんね。

ところで、この作品で使用しているギターは何でしょうか?
細かいスペックや当時の記事などがありませんので良く解りませんが・・・。

まずはこのひずみ音が、VGなどを使用して出されているものなのか?
それとも純粋なひずみ系のエフェクターか?
実はもっとピュアなアンプでのひずみなのか?

ギターはジャケットの裏を見ると
レスポールのようなギターを持っていますが?

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

続きはまた後日・・・。

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2009年02月17日

彩(エイジャ)【3】/スティーリー・ダン

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彩(エイジャ)

今日のwalking Musicはスティーリー・ダン彩(エイジャ)のTrack06~トータル・レヴューです。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

06:アイ・ガット・ザ・ニュース
こういったビートは何と言うのでしょうか。
非常に軽快で、16ビートではあるのですが
少しアフターにビートが効いていて
歯切れが非常にいいですね。

最初の肝!はワンコーラス終わったところで
やや唐突に入るCD Time=0:54のワンセンテンス。
これが一瞬の華やかさを生み出しています。

そして2つめの肝!はCD Time=1:51からの展開部分。

そして、ブレイクしてからのギターソロ。
ライナーノーツにはギターソロで
ラリー・カールトンさんとウォルター・ベッカーさんがクレジットされています。

これは、音的にはウォルター・ベッカーさんですが
フレーズはラリー・カールトンさん?

最後の部分CD Time=2:43あたりの音のチョイスは
いかにもラリー・カールトンさんらしい感じ。

ウォルター・ベッカーさんのソロは
CD Time=3:26からの短い部分だと想いますが・・・。

この作品の中では比較的目立たない感じの曲と言えますが
聴くたびに何となくハマっていく不思議な魅力を持った曲です。


07:ジョージー
この曲もスティーリー・ダンの中では名曲中の名曲で
ホントに、今さらレビュー?と言う感じが物凄くします。

イントロのギターのフレーズはまさに肝!
どうしてこんな感じのカッコ良いフレーズを創ることができるのか?
ホントに不思議・・・。

このイントロはギター3本で奏でられていきます。
それぞれが基本的には単音のラインで
左右のチャンネルでは、喰った部分のベース音をユニゾンしています。
これが、ひとつのギターを左右に振っているのか
左右別々なのかは良く解りませんが・・・。
そしてセンターのギターがメロディ的なものを奏でています。

ギタリストは、ラリー・カールトンさんとディーン・パークスさん
そしてウォルター・ベッカーさんの3人ですが
ウォルター・ベッカーさんはソロというクレジットがありますので
このイントロ部分は後の2人のプレイでしょうか。
どちらがどちら?
というのは良く解りませんが。

曲の良さは今さら私が書くまでもないと想いますので
個人的な肝!を・・・。

それは、歌に入ってからの
ベースと右チャンネルのギターのユニゾン。
これが物凄く効いていて肝!の部分。
無条件のカッコ良いですよね。
ベースはチャック・レイニーさん
ギターは先に書いた2人のうちのどちらか・・・。
ちなみに、もうひとつのギターは
カッティングでエレピと同じ様に刻んでいます。

サビの部分での肝!はベースライン。
トラック04の「ペグ」では、間を埋めるスラップを聴かせてくれますが
この曲では、ベース音を2分音符で弾くだけに抑えています。
換わりに間を埋めているのは
ビクター・フェルドマンさんのエレピ。
ベースはもっと弾きたいところでしょうけど
これはスティーリー・ダンさんのアレンジに忠実にプレイしているのかな?

その抑えたプレイのおかげで
CD Time=1:12からのおかずを添えたプレイと
CD Time=1:18の軽いスラップ・プレイが物凄く生きています。

間奏を挟んでCD Time=2:31からはギターソロ。
これはウォルター・ベッカーさんのプレイ。
派手なフレーズや速いパッセージはありませんが
渋いプレイが光っています。
多くを語りすぎない、このようなプレイが良く合う曲だと想います。

再びテーマ、サビ
そしてフェードアウトしていきます・・・。


★☆彩(エイジャ)・トータルレビュー★☆

walkingを終えて聴き終えたときの印象はひと言で言うと
『単純さが生み出す奥行きの深さ・・・』

・・・

今回改めて聴いて想ったのが、やはり単純さ。
もっと複雑にいろいろなものが
絡み合っているサウンドのような感覚で捉えていたのですが
意外にも音数が少なく、単純で解り易いと言うことを感じました。

もちろんコード進行や
バリエーションが豊で複雑な楽曲もあるのですが
総じて淡々と流れていく感じの曲が多いような気がしました。

しかし、それぞれのプレイヤーがそれを単純ではなく
絶妙に隙間を埋めているのが
奥行きの深さを醸し出していると想うのです。

さらに
プレイヤーの音が適当に重なることが無く
適所にプレイが散りばめられていて
それが、まるで折り重なるように迫ってくると言うのが魅力です。

私もアレンジなどをするときに
ついシンセで和音のロングトーンを入れたり
ストリングスを派手に入れたりして
広がりと奥行きを求めようとしてしまいます。

そのような、楽器の音色や種類で
ただ音数を増やして出す奥行きや広がりではなくて
楽器の演奏と
それらが巧みに折り重なることによって出す
奥行の深さや広がりがあると想うのです。

これがドナルド・フェイゲンさんとウォルター・ベッカーさんの
計算されつくされたアレンジだとすれば
まさに、スティーリー・ダン・マジック!
驚愕のサウンドと言えます。

すでに多くを語られて
語られ過ぎている感もある作品ですので、あえて・・・。

そんなものは一切吹っ飛ばして純粋に楽しみたい!

と想うことができる数少ない愛聴盤であり
屈指の名作だと想っています。

ちなみに、この作品について
スティーリー・ダンの2人が振り返っているDVDがありますが
ご覧になったことがありますか?
今回はレビューをするにあたって
改めて観ることはしなかったのですが
こちらはまたレビューしてみたいと想っています。

実に興味深い話をいろいろとしているので必見です。
(アマゾンでの詳細は右サイドバーから)

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彩(エイジャ)彩(エイジャ)
スティーリー・ダン

曲名リスト
1. ブラック・カウ
2. 彩(エイジャ)
3. ディーコン・ブルース
4. ペグ
5. 安らぎの家
6. アイ・ガット・ザ・ニュース
7. ジョージー

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あとがき
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2009年02月13日

彩(エイジャ)【2】/スティーリー・ダン

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彩(エイジャ)


今日のwalking Musicはスティーリー・ダン彩(エイジャ)のTrack03~05のレヴューです。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

03:ディーコン・ブルース
ミディアムテンポのリズムが何とも心地よいナンバー。
左右のチャンネルで奏でられているアコギのバッキングストロークが流れるリズムを生み出しています。

このギターは、ライナーノーツによると
ラリー・カールトンさんかリー・リトナーさん。
まあ、何といっても
この2人の名前がクレジットされていることがまず凄い。

でも、この作品をスティーリー・ダンの2人が自ら解説したDVDを観ると
このアコギのプレイヤーをディーン・バークスさんだと
ドナルド・フェイゲンさんが言っています・・・。

そこでよく聴いてみると・・・

この曲で演奏されているギターは3種類。
左右のアコギと左チャンネルのクリア・トーンのエレキ。

勝手に解釈をすると・・・

ラリー・カールトンさんのアコギが左チャンネルで
右チャンネルのアコギはディーン・バークスさん。
そしてエレキがリー・リトナーさん
だと・・・想います。

ラリー・カールトンさんはこの作品では
全体を取り仕切るような役割をしていたと言います。
ですから、ギタリストとしては少し引いていて裏方的な部分も多かったかと。
だから、ほんのり聞こえる左チャンネルのアコギかと。

そして、ドナルド・フェイゲンさんがデーンバークスさんと言ったのは
印象にたぶん残っていたからかと。
そして、右チャンネルのアコギの方が
はっきりと聴こえて、さらに曲を牽引しているのでディーンバークスさんかと。

そして、一聴ラリー・カールトンさんのようなフレーズにも聴こえますが
意外に共通したフレーズボキャブラリーを持っているのがリー・リトナーさんなので
このようなプレイもありかと。
さらに、最後の部分のミュートして単音のフレーズは
リー・リトナーさんの超得意フレーズ。
だからエレキはリー・リトナーさんかと。

勝手な推測ですので
実際に間違っていましたらご指摘くださいませ。


04:ペグ
問答無用の名曲です。
ラリー・カールトンさんがこの曲にインスパイアされて
名曲「ルーム335」を創ったのは有名なエピソード。

イントロは、Gmaj7から半音づつベース音が下がっていくコード進行。
CD Time=0:06のチャック・レイニーさんのベースが
3度の音とベース音を弾いた和音になっていて
その味わいは抜群です。

この曲は小節を追っていくと、なかなかつかみ難いところがあります。
それは奇数のまとまりを巧みに創っているためです。
その最初のトリップがこのイントロ。

キメのブレイクがちょうど7小節めになります。

普通、偶数で小節のセンテンスをまとめるのが
一応作曲のセオリーなんですが
それをいきなり崩しているわけです。

テーマが入る部分からはブルース形式を持ったコード進行で曲が進みます。
しかし、ここにもトリップがあって
ワンコーラスめは、13小節です。
ところが、2コーラスめは12小節になっています。

ワンコーラスめの最初の1小節を別のセンテンスと考えると
ちょうど12小節のブルース進行になって両コーラスとも
同じサイズになります。

試しに、頭の中で
イントロの後のブレイク部分から歌い始めてみてください。
それでも曲として成り立つことがわかりますね。

つまり、このワンブレイクを入れて
さらに、12小節のセンテンスの終わりの1小節分を
頭に持ってきているということなんです。
ちょっとわかりにくいですが・・・。

このあたりの奇数のセンテンスの使い方が実に見事です。
そして、そのアレンジのためにブルース進行であるにも関わらず
言われなければ気がつかないような洗練された形になっていると想うのです。
まさに、スティーリー・ダン風モダンブルースですね。


サビに入ると、分厚いコーラスで展開をしながら
ここでも見事に、最初のブルースコード進行に戻っていきます。

そして、このソロで有名になったジェイ・グレイドンさんのギターソロです。

このギターソロの部分もワンコーラスめのテーマと同じですので
最初の1小節めを別のセンテンスと考えて
12小節のソロサイズとしてまとめるか?
それとも
13小節のソロサイズとしてまとめるか?
この選択で大きく違うアプローチになると想うのですが
ジェイ・グレイドンさんは、
どちらかと言うと後者でのアプローチで
最初の部分はスチールギターを模したような
ハワイアン風のリフで弾き始めます。

これは実にうまいアプローチで
ソロサイズを意識させないようにして
且つ、奇数小節の不安定さを感じさせるようなアプローチ。

たくさんのギタリストにソロを弾いてもらった中で
ジェイ・グレイドンさんのソロを使ったスティーリー・ダンの2人は
見事なチョイスだったと想います。
CD Time=2:01からのややアウトなフレーズも曲にあったいい感じですね。


再び、テーマからサビ、そしてサビを繰り返しながら
ジェイ・グレイドンさんのソロが再び入るところでフェードアウトしていきます。


この曲をさらに良いものにしているのがリズム隊。
特にベースのチャック・レイニーさんのプレイが肝!です。

テーマの部分では、この曲を印象づけているリズムパターンを弾きつつも
間に絶妙にアクセントフレーズを挿入しています。
これが、単純なリズムにグルーヴ感を与えています。
合わせて、左チャンネルのスティーヴ・カーンさんの短音ミュートの
ギターも相乗効果で盛り上げていますね。

サビの部分のベースラインはスラップでのプレイ。
本人曰く
スラップはダメだとスティーリー・ダンの2人に言われていたので
2人に見えないように、また気がつかれないようにスラップでプレイをした・・・
とか・・・。

サビの部分はコーラスも含めて、キメのリズムを基本的に繰り返して進みます。
もちろんバックのギターやエレピも同じです。
その中で、ベースラインはアクセントは合わせながらも
キメのリズムを崩したスラップでプレイをしています。

そのために、テーマから続いているリズムの単調さを消して
サビの部分を盛り上げるという効果をもたらしています。

このスラップというチョイスがまさに見事!

特にエンディングでの繰り返しの部分は
まさにスラップが効いている感じです。
さらに、スラップも必要最低限の感じで
派手派手でなく、さりげなさが残っているプレイであるのが
これまた見事です。

ですから、この曲はベースラインの巧みさが生み出した名曲!
と言うこともできると想うのです。

まあ、チャック・レイニーさんは、スティーリー・ダンの2人に
気付かれないように・・・と言っていますが
気がつかないはずはないですよね。

スティーリー・ダンの2人がイメージしていた
スラップではないベースラインよりも
実際に聴いたときの
スラッププレイで感じた耳を信じたわけで
そのチョイスというか直感のようなものが
たぶん絶妙なんですね、スティーリー・ダンの2人は。

ジェイ・グレイドンさんのソロも
たぶんその耳を信じた結果だと想うのです。

またこれは逆に
名人チャック・レイニーさんの匠の技が2人を納得させた
ということも言えると想うのです。

とにかくいい曲ですね。
無条件に肝!でベストトラックだと個人的には想います。


05:安らぎの家
ミディアムスローでちょっとレゲエ調のリズムを持った曲。
ドラムのバーナード・バーディーさんの3連、バーナードシャッフルは
もう唯一無二の強力なビートです。

曲はゆったりとしたビートで進みます
サビに入ると、厚いコーラスがこれまたいい感じです。

間奏を挟んでのソロはシンセ。フレーズはハーモニカ風の感じですが
音質を良く聴くと、パット・メセニーさんのギターシンセと似たような音ですね。
このシンセソロは、ドナルド・フェイゲンさんのプレイ。

続いてギターソロですが
ここはウォルター・ベッカーさんのソロ。
派手なフレーズではありませんが、味があるプレイで
結構好きなソロです。

ちなみに左チャンネルのカッティングはラリー・カールトンさん。
ナチュラルにひずんでいるトーンで
こちらも渋い味わいを醸し出しています。

・・・

続きのTrackはまた後日に・・・

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