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ゼロ・トレランス・フォー・サイレンス【2】/パット・メセニー

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ゼロ・トレランス・フォー・サイレンス

今日のwalking Musicはパット・メセニーさんのゼロ・トレランス・フォー・サイレンスの続き、Track04からトータルレビューです。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

04:PART 4
センター・チャンネルで、まるでジミ・ヘンドリックスさんのようなギターリフから
左チャンネルのギターがディレイのように絡んできます。
しばらくして右チャンネルのギターが絡んでくると
世界は再び不思議な世界に突入します。

しかし、今までの3曲ほど『ピッチずれ』を演出している感じはなくて
比較的ストレートにロックしている感じ。

基本的にEmのコード進行でペンタトニックという
いたってロック的なスケールを使用していきます。

今までの曲と比べるとかなりまとまっていますね。
特に、CD Time=3:30過ぎからは
センターと右チャンネルのギターがバッキングに入り
左チャンネルのギターがソロを奏でる感じは
強烈なビート感とグルーヴ感があってけっこう好きな世界です。

個人的にはこの曲がベストトラックです。


05:PART 5
2曲目に近いテイストのバラード風の曲です。
この曲は4つのギターがオーバーダビングされています。

左右のチャンネルでスチール弦のアコギがバッキングをして
さらにそれに重なるように左チャンネルでひずみ音でバッキング。
そして右チャンネルでソロラインを
やはり、ひずんだトーンで奏でます。

ここでも、『ピッチずれ』の演出があって
ムードは今まで通りの不思議な世界。

それでも、曲としての構成やアレンジは
一番練ってあるという感じがします。

独特のムードのままこの作品は幕を閉じていきます・・・。


★☆ゼロ・トレランス・フォー・サイレンス・トータルレビュー★☆

walkingを終えて聴き終えたときの印象はひと言で言うと
『ある疑問の答えが見えたような気が・・・』

・・・

パット・メセニーさんはこの作品について

『このようなギターサウンドが使われるときには
ほとんどの場合、月並みなビートに彩られてきた。
そのビートに飽きてしまい、その抑圧感のないピュアなサウンドが欲しかった・・・』

と言っています。
これは、言葉をそのままに受け取ると・・・

『このような、ひずみ系の音を使用して
月並みなビートにのって奏でられるギターサウンドに飽きた。
だから、まずはビートをはずしてみた・・・』

ということかと。
さらにこれを私流に解釈すると・・・

『ロック系のビートをもった音楽はつまらない・・・。
俺がギターのひずんだ音からインスパイアされたことを
ピュアに表現するとこうなるぜ!』

ということかと。

・・・

まずは、『月並みなビート』ですが
確かに作品としては、ビートを言うものを排除していますが
それは、あくまでもドラムとかベースによる
一定のテンポを刻むという作業においてで
実際は、ギターが奏でるビート感が十分にあります。

その意味では、パット・メセニーさんが言っている『月並みなビート』というのは
あくまでも楽器的、音楽的な部分においてだと想われるわけです。
それが、ときに抑圧感をもたらすということですね。
つまり、ひずみ音でギターを弾く時に邪魔になることがある・・・と。

もうひとつの『ピュアなサウンド』ということですが
これは、あくまでも『ひずんだギター音』に対して。
さらに、ここでキーポイントになるのは
微妙な『ピッチずれ』。

これを意図的に演出しているところを聴くと
パット・メセニーさんの中には
ひずみ系の音から受けるイメージに
『ピッチずれ』という感覚があるのかと。
もしくは、微妙に『ピッチずれ』をもたらすことで
よりピュアにギターのひずみ音が生きてくる・・・と。

そう言えば、
名盤・ファースト・サークルの1曲目のフォワード・マーチでの『ピッチずれ』や
ギター・シンセのやや浮遊した、ピッチが若干高めの設定-など
ピッチずれの感覚がありますよね。

これは、もともとパット・メセニーさんの音楽的感覚の中の
ひとつの基本ファクターになっているのではないか?

この作品を聴くとそう想うわけです。

ですから、ギターのひずみ音からインスパイアされたこの作品のサウンドは
パット・メセニーさんのきわめてピュアな感覚。
それは、カッコ良く言うと
『魂の叫び』とでも言ったら良いでしょうか。

実はこの部分が一番パット・メセニーさんのサウンドに
魅かれる部分なのかな?
と想ったのです。

つまり、普通のギタープレイの端々にこのようなピュアな感覚が
ときに狂気のように、ときに危なく・・・
醸し出されているのではないかと想ったのです。

たとえ、綺麗で情緒的なバラードをアコギで奏でるときも
メロディラインの裏側に、そのフレーズの合間に
聴こえないけれども、感じている・・・。
そんな感覚にさせてくれる
『何か』がにじみ出ているのではないかと。

・・・

そこで、walkingを終えて聴き終えたときの印象
『ある疑問の答えが見えたような気が・・・』
ということですが・・・。

ある疑問・・・というのは

『日本のジャズ、フュージョンのミュージシャンに対して
何かもの足りなさを感じてしまうのはなぜだろう?』

ということです。

これはまさに『この』こと。

解り易く言い換えると・・・
例えば、公衆の前で話をするときに
当然、たくさんの人の前ですので
言葉に気をつけたり、(もちろん泥酔を連想させるようなシドロモドロな話は論外ですが)一定のルールがあります。

ですから、言いたいことを自分の言葉で
心のままに独り言のように話したり
急にシャウトしたり・・・
これは、許されないですし
ちょっとおかしい?と想われてしまうこともありますね。

ですから、それをオブラートに包んだり
または比ゆなどを使用したり
いわゆるテクニックで表現するわけです。

しかし、本当に胸を打つ話って
そのテクニックだけではない
もっと熱いものや、ときに危なげなものなどが
にじみ出ていると想いませんか?
それは言葉とか話し方ではなくて
もっと感覚的な部分においてですが・・・。

音楽的に言うと
コードやスケールやリズムまたは、ピッチがルールであり
自分の主張などは
演奏をするときのテクニックになるわけです。

それが日本のミュージシャンは圧倒的に上手いと想うのです。
それは器用貧乏と言ったらよいでしょうか。

ですが、その反面
本当に胸を打つ話が持っている
テクニックだけではない部分が
にじみ出ている人が少ない・・・と個人的には想うのです。

それは
『危なさ』だったり
『はじけちゃう危険』だったり
『あっちの方へ行ってしまう感じ』だったり
『昇天してしまう感じ』だったり・・・

このパット・メセニーさんの作品を聴いて
そのピュアなアプローチと感覚が
「普段の演奏や音楽にも表れている?」
と想ったときに
「日本のジャズ、フュージョンのミュージシャンに対して
何か足りなさを感じてしまうのはなぜだろう?」
と私が個人的に感じる疑問の
答えが少し見えたような気がしたわけです・・・。

かなり解りにくい話で上手く表現できないのですが・・・。

もちろん、日本のジャズ、フュージョンのミュージシャンでも
このあたりが「爆発」している人も大勢いますので
そこは誤解のないように・・・。

何となく解っていただけますか?

・・・

ということでこの作品。
ひとつの音楽作品として聴くと
はっきり言って『駄作』だと想います。

パット・メセニーさんは
『芸術は爆破だ!』とか
『どんな作品でも創造するだけでOK!』
という認識が一般的に通用するだけの芸術家ではないと想いますし・・・。

また、かなりフリーに弾いているようでいて
練った部分もかなり感じるところがあるのが
残念と言えば残念。

『イッてしまう・・・』なら
とことん
『イッてしまった・・・』方がよかった!
と想います。

でも、
ピュアな感覚、魂の叫び
を感じるのに、これほど素直な作品はないと想うのです。
その意味では

パット・メセニーさんを追い続けるファンの方・・・
そして
『パット教』の信者・・・
そして
マインドコントロールされた人・・・

にとっては
この前作のソロ作品である
シークレット・ストーリーなどの王道に対して
アナザーバイブルになる名作だと想うのです。

もちろん、私も信者のひとりではあるのですが・・・。

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ゼロ・トレランス・フォー・サイレンスゼロ・トレランス・フォー・サイレンス
パット・メセニー

曲名リスト
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2. パート2
3. パート3
4. パート4
5. パート5

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あとがき
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