Walking de Music

walking de music!
このブログは、ウォーキングをしながら聴いたジャズ・フュージョン・CDのレビューを中心としたブログです。個人的に想い付くままに綴っています。

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2009年03月Archives


2009年03月22日

ダブルフェイス/青木智仁

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ダブル・フェイス

今日のwalking Musicは
青木智仁
さんのダブル・フェイスです。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

この作品は1989年の作品。今は亡きベーシスト・青木智仁さんのフェースト・リーダー作品になります。

青木智仁さんの印象は非常に器用というイメージがあります。それはプレイが丁寧で、まじめな感じと言ったらよいでしょうか。さらにライナーノーツに名前が載っているだけで、勝手に期待してしまうという抜群の信頼感と安心感がありますね。ベース界のイチローさんと言ったら・・・言いすぎですね。
でも、なかなかこのようなベーシストは日本にはいないので、その意味では、新作を聴くことができないのが非常に残念です・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

walkingを終えて聴き終えたときの印象はひと言で言うと
『ベースという面では印象が薄い・・・』

細かく聴いていくと、また違った感覚になるかも知れませんので
1曲つづ聴いていきます・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

01:Triboro Bridge~Memories of M.K.

ドラムの打ち込みときつい音のスラップ・ベースが交互に奏でられてスタート。SE的な始まり方で、面白そうな感じをかもし出しています。

リズムがインして青木智仁さんのスラップに重なって、自身のフレットレスベースがメロディを奏でます。
この曲は、打ち込みを中心としたサウンドで、プロデュースもしている角松敏生さんの作曲になります。

ミディアムテンポに乗ったテーマは厚めにエフェクト処理された小池修さんのサックスが奏でます。サックス自体のサウンドや全体の感じ、またメロディのラインはデイヴィッド・サンボーンさんの曲のような感じでなかなかカッコ良いです。

しかし、テーマの端々を聴くと、段々と角松カラーが出てきて、それは中サビの部分を経て確信的なものに変わり、さらにCD Time=1:51からのサビに入るとまさに、「夏の角松メロディー!」という感じで全面にあふれてきます。

CD Time=2:49からはピアノソロ。たぶん小林信吾さんだと想います。そのまま続けて、ピアノの音を奪い取るようにシンセソロに入ります。

CD Time=3:30から青木智仁さんのソロです。
やや全体が静かになるアレンジですので、ここではフレットレス・ベースでメロディラインを奏でます。しかし、バックではスラップをバシバシとキメています。
CD Time=3:41からは歯切れの良いスラップをリズムカルに奏でます。そして次のCD Time=3:52からはフレットレス・ベースにひずみ系のエフェクトをかけてヘビーに奏でます。ちょっといろいろとやりすぎという感じもしますが・・・。

続いては、ギターソロです。これは今剛さん。
チョーキング・モチーフを上手く使用して華麗に弾き抜けています。ひずみ音がクリアで、空間系のエフェクトのかけ方が上手いので、非常にいい感じのソロに仕上がっていますね。

CD Time=5:18からは、小池修さんのサックスと今剛さんのギターの掛け合いです。
曲は、そのままフェードアウトしていきます。

曲が終わったときの感じは・・・角松敏生さんの作品?と錯覚をしてしまうくらいの角松ワールド全開の曲でした。でも、この曲では一応ソロなどもとっていますが、青木智仁さんの、ある意味真骨頂である安定感と信頼感のあるバッキングプレイを、あくまでも地味に堪能できるという感じに仕上がっています。


02:Mr.J.F.P
フレットレス・ベースでの速いパッセージからオーバーダビングで和音などを重ねてスタートします。曲調はまさにジャコ・パストリアスさんの感じ。それもそのはずで、これは青木智仁さんがジャコ・パストリアスさんに捧げた曲ということのようです。

個人的には、どうも青木智仁さんとジャコ・パストリアスさんってしっくりと来ない感じがします。どうしても青木智仁さんはスラップというイメージが強烈で・・・。

ここでの青木智仁さんのプレイは、いわゆるジャコ・パストリアスさんの強烈なビート感をリスペクトしているような感じです。ですから、ジャコ・パストリアスさん風なバッキング・フレーズを弾いています。

もうちょっと暴れても良かったようにも想いますが、このあたりが青木智仁さんの堅実さと言えるのでしょうか。逆に、ジャコ・パストリアスさんの場合は、派手で狂気的な部分に耳が行きがちなんですが、このようなグルーヴとビート感の部分をリスペクトしてプレイをするあたりが流石と言えますね。

ちなみにCD Time=1:30からのギターソロは布川俊樹さん。そして、バスドラがバシバシ決まっているドラムは村上“ポンタ”秀一さんのプレイです。


03:Forgive Me
エレピの綺麗なメロディがフェードインしてくるバラードです。そしてそのエレピの静寂さに、波紋を創るように本田雅人さんのサックスがハイトーンのフラジオで入ってきます。

エレピがメロディを奏でていくのですが、そのバックで心地よいリズムを生み出しているのは梶原順さんのミュートでのギター。そしてそれに絡むようにバッキングやカウンターメロディを奏でている松木恒秀さんのギター。

ファーストソロは本田雅人さん。切れの良い音で吹き抜けていきます。そして、松木恒秀さんのギターソロ。こちらは渋いトーンでジャージーに決めます。

この曲での青木智仁さんは、プルをアクセントにしながら細かいサムを決めるスラップでのプレイです。出過ぎず、かといって引っこみすぎない、バラード曲におけるスラップの教科書みたいな演奏です。

曲は一度終わる形になるのですが、続けてコーラスパートが入ってきます。これはどちらかと言うと、次の曲へのイントロダクション。このあたりの構成も角松敏生さんらしい演出と言えますね。


04:Don't Ever Hurt Me
この曲はオールド・アメリカンな雰囲気のあるヴォーカル曲。創ったのは青木智仁さんですが、歌っているのは「おかざわあきら」というクレジットですがこれはベーシストの岡沢 章さんでしょうか?

ブロードウェイでショウを観ているような雰囲気になりますが、青木智仁さんはこんな感じの音楽も好きなんだと単純に驚いた次第です。


05:Linda
とても爽やかでいかにもフュージョンという感じのこの曲は梶原順さんと今は亡き、浅野 祥之さんの2人。いかにもギタリストが好きそうな曲でテーマのメロディが心地よく、まさにギター向きの曲です。もう一人ここでは松原正樹さんがギターで参加をしています。

ギターは3台なんですが、さらに面白いのがドラム。
ドラムは村上“ポンタ”秀一さんと島村 英二さんが叩いています。左右で別れているようで、特に4拍目のアクセントが微妙にずれているのが逆に良いビートになっています。

エンディング部分は梶原順さんと浅野 祥之さんのソロの掛け合いです。もうちょっと聴きたい!という欲求不満を残しつつ、フェードアウトしていきます。

ここでの青木智仁さんは、ある意味定番とも言えるスラップベースでのプレイ。16ビートフュージョンのこれまた教科書みたいなプレイです。


06:Amboseli
ここで再び作品の最初のSE的なドラムと青木智仁さんのスラップが入ります。どう展開していくのか?と想っていると曲は一転して4ビートに突入します。この曲は村上“ポンタ”秀一さんと水野 正敏さんの作曲です。

村上“ポンタ”秀一さんのドラムを左チャンネルのみ、水野 正敏さんのアコースティック・ベースを右チャンネルのみにしてセンターでシンセが難解なメロディを奏でていきます。

青木智仁さんの登場はCD Time=2:00過ぎから。
フレットレス・ベースのソロに強烈なリヴァーヴをかけて、空間的な演出をしています。一緒に奏でられているのはトランペット。これは日野 皓正さんのプレイ。
日野 皓正さんのトランペットもかなり強いエフェクトでリバーヴをかけていて、ちょっと幻想的な雰囲気で掛け合います。

途中から青木智仁さんはスラップに移行して、その激しいスラッピングに乗せて日野 皓正さんのソロラインが加速していきます。

エンディングでは、日野 皓正さんと水野 正敏さんと村上“ポンタ”秀一さんが掛け合います。途中、ジャズスタンダードでお馴染みのメロディなども飛び出してきて、楽しげな中にもスピード感がある掛け合いでエンディングです。


07:Risa
ストリングスからスタートして軽やかなギターがメロディを奏でます。少し跳ねたリズムのバラードですが、楽しく優しげな曲調です。これは青木智仁さんの作曲。

ギターは幾見雅博さん。また、八木のぶおさんのブルースハープがいい感じですね。午後の陽だまりという感じで好感が持てる曲です。


08:砂の女
軽いボサノバのリズムからコンピューターでコントロールされたサウンドが重なり、そして角松敏生さんのヴォイスが重なってくると、もうここは角松サウンド。
さらに日本語で歌詞がついていて、さらに角松敏生さんが歌うという、まさに角松ワールドに支配されます。

ここでの青木智仁さんは、歌ものバックというスタンスで、歌を邪魔しないスラップの絶妙なバランスを聴かせてくれます。


09:Manhattan Love Affair
少し引きづるようなリズムを持ったアップテンポの曲です。この曲も角松敏生さんの曲。今度は角松インストワールドです。ギターでのメロディはもちろん角松敏生さん。

この曲での青木智仁さんは少し激しめにスラップを奏でます。前の曲でのヴォーカルと溶け込んだバランスのあるスラップとは違って、グイグイと打ち込みに対抗して攻めていくようなサウンド。多彩なスラップのアーティキュレーションが見事です。

小林信吾さんのシンセソロから角松敏生さんのギターソロの後、CD Time=2:23からは青木智仁さんの強烈なスラップでのソロ的なリズム流しが始まります。時折入れる細かいサムのアクセントが見事です。
途中で、アコースティック・ベースなどのソロも挟みながらのパフォーマンス。何と言ってもリズム感が抜群ですね。このようなスラップの切れはまさに青木智仁さんの独壇場だと想います。

エンディングではフレットレス・ベースで、ちょっとジャコ・パストリアスさんが入ったフレーズで締めくくっています。


10:With A Little Help From My Friends
ご存じ、ジョン・レノンさんとポール・マッカートニーさんの曲。歌っているのは青木智仁さん。
まあ、上手とは言えませんが、2コーラスめからサビに角松敏生さんのバックコーラスが入ると、それなりに聴こえてくるから不思議です。

そして、この曲ではベースは打ち込みで青木智仁さんはベースを弾いていません。


11:Risa Reprise
最後の曲は7曲目のRiseのリプライズ。ここではフレットレス・ベースでリリカルに青木智仁さんがメロディを奏でていきます。

バックコーラスではハイ・ファイ・セットの3人が歌い、フレットレス・ベースの音色を一層綺麗な響きにしています。


★☆ダブル・フェイス・トータルレビュー★☆★☆★☆★☆★☆★

walkingを終えて聴き終えたときの印象はひと言で言うと
『ベースという面では印象が薄い・・・』

ベーシストである青木智仁さんのソロ作品ですので、ベースが全面に出ていて、いかにも美味しいスラップのパターン!や強烈なソロ!などを期待していたのですが、それは見事に裏切られたという感じがしました。それが、walkingを終えたときの印象『ベースという面では印象が薄い・・・』になってしまったのだと想います。

でも、改めて聴いてみるとこれは、ベーシストのソロ作品なのでベースという楽器が全面に出ている!という想いこみにすぎないということを感じました。

そこには、ベースという楽器の本来の使命とも言える、バックとしてのベーシストという姿があったわけです。

つまり、リズム楽器としての本質をとらえつつ、楽曲のコードの重要なファクターであるベース音というものを正確に奏で、そして、ソリストや他のバッキング楽器が気持ち良くその上に乗る・・・という使命。

そう考えるとベースは、聴こえているけど、決して意識することなく、耳と心にしっかり届いている・・・というのが最良かと。

『ベースという面では印象が薄い・・・』というのは逆に、見事にバンドの要としてのベーシストの仕事を聴かせてくれている作品だから、とも言えるわけですね。

作品全体的にはプロデューサーである角松敏生さんの色が濃くでている作品になっていますが、角松敏生さんがあえてこのスタイルで、ベーシスト・青木智仁をプロデュースしたとすれば、やはり流石だと想うわけです。

バリエーション豊富な楽曲がある中で、一聴ソロ作品としては地味ですがしっかりとバンドの要としてのベーシストの役割を聴かせるために、あえて角松敏生さんが自分色に染めた作品にした?というのもあながち間違っていないかな、と想ったりするわけです。

その意味では、バンドの要としてのベーシスト・青木智仁さんのバックミュージシャンとしての力を感じとれる作品に仕上がっていると想います。

ベースプレイということを期待して聴くと少々コケますが、角松ワールドが好きな方には、自然に聴き心地の良い作品です。

また、不思議なことに何回か聴いているうちに、段々とハマってくるんです・・・個人的には、ちょっとハマっています。

そこには、青木智仁さんのバンドの要としてのベーシスト以外のもう一つのフェイスが見え隠れしている感じです。ダブル・フェイスのもうひとつ、隠れている顔を覗きに、また、CDプレイヤーにかけてしまう作品ですね。

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青木智仁

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曲名リスト
1. TRIBORO BRIDGE~MEMORIES OF M.R
2. MR.J.E.P
3. フォーギヴ・ミー~RISA インターリュード
4. ドント・エヴァー・ハート・ミー
5. LINDA
6. AMBOSELI
7. RISA
8. 砂の女
9. マンハッタン・ラヴ・アフェア
10. ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンド
11. RISA リプライズ

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あとがき
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2009年03月20日

テイルズ・フロム・ザ・ハドソン【3】/マイケル・ブレッカー

テイルズ・フロム・ザ・ハドソン

今日のwalking Musicはマイケル・ブレッカーさんのテイルズ・フロム・ザ・ハドソン・Track06からトータルレヴューです。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

06:イントロダクション・トゥ・ネイキッド・ソウル
マイケル・ブレッカーさんとデイヴ・ホランドさんのデュオで奏でられる次の曲へのイントロダクション。
約1分くらいの短い演奏ですが、情緒的に奏でるマイケル・ブレッカーさんに答えるようなベースワークのデイヴ・ホランドさんのプレイが光っています。


07:ネイキッド・ソウル
バラードですが、やはり綺麗な曲というよりは都会の片隅でしっとり奏でられるという感じの曲で、どこか陰鬱なムードが漂っています。

ファーストソロはマイケル・ブレッカーさん。ここでもプレイも壮絶なソロです。

前半は静かなアプローチなんですが、段々と盛り上がっていく感じが見事な構成。CD Time=3:40あたりから段々と速いパッセージや感情をさらけだしたフラジオなどが飛び出し始めます。それはCD Time=4:21からのポリリズムフレーズなどを頂点にして盛り上げていきます。

そしてだんだんと静かなフレーズを展開していって、次のソリスト、デイヴ・ホランドさんに渡していきます。

アフリカンズ・スカイもそうでしたが、マイケル・ブレッカーさんのソロはもちろんフレーズの巧みさもありますが、全体の構成が実にいいですね。盛り上がり部分を真ん中よりやや後半に持っていって、ソロエンド部分では少し抑え気味にフレーズを展開して次のソリストに引き渡す・・・。
プロの演奏でも、けっこう感情で演奏してしまって、ソロのエンドが唐突だったり、尻切れだったりするのは良くあることです。そう考えるとソロの終わりをきちんと終止する形にもっていくのは実はなかなか難しいことです。
その意味でもこの曲とアフリカンズ・スカイでのマイケル・ブレッカーさんのソロは見事と言えますね。アフリカンズ・スカイでのソロとともに作品中でも、双璧のベスト・プレイであると想います。


08:ウィリー・T.
イントロダクションに続いてスローミディアムでスウィングするマイナー調の曲。淡々としているジャック・ディジョネットさんのビートが心地よいです。

ファーストソロはマイケル・ブレッカーさん。
ソロ前の部分からの約8秒間くらいの長いロングトーンでスタートします。全体的には、テンポに乗ってブルージーに奏でていきます。まったりとしたテンポに最初はまったりとしたフレーズを展開しますが、後半は歯切れの良いパッセージで攻めてきます。それに伴ってバックのビートも一気に締まるのが聴いていて心地よく、引きずり込まれます。

続いてはパット・メセニーさん。
かなりブルージーなトーン選択で、ゆったりと演奏をスタートします。その後もクロマティックなラインを挟みながらも、基本的にはブルースラインを中心にして弾き抜けていきます。

そしてジョーイ・カルデラッツォさんのピアノソロ。
左手のコードワークをあまり使用しないで、右手のメロディラインで牽引していくソロです。曲調にあったムーディーな展開で上手くまとめています。


09:キャビン・フィーヴァー
アップテンポのユニゾンでのテーマ。そのバックで奏でられているジャック・ディジョネットさんのシンバルワークと細かいスネアワークが効いているスタートです。

2コーラスめはユニゾンから外れて、インテンポで同じテーマになります。ベースのデイヴ・ホランドさんのラインが今度は効いています。なかなか凝ったアレンジでいい感じですね。

ソロのコード進行は16小節のブルース進行です。ブルース進行の曲は初めての登場になります。
ブルース進行でのソロはある意味、単純なコード進行であるために、逆に難しく、ソリストの腕やセンスが顕著に現れると想っています。ですから、そのあたりが聴きどころと言えます。

一番手のマイケル・ブレッカーさんも続くパット・メセニーさんも、独自のオリジナリティあふれるソロを展開しているのですが、最後のジョーイ・カルデラッツォさんのピアノソロが抜群に良いラインを奏でていて、個人的には肝!です。
また、ピアノソロのバックでは強烈にバックがスウィングしています。もちろん、前のソリスト2人にインプロヴァイズされた結果ともいえますが・・・。特に、CD Time=5:35の一曲目のモチーフを使っているところなどは渋いですね。そしてCD Time=5:58からのコードワークは絶妙です。ブルース進行はいずこへ?という感じでアウトしています。これは肝!です。

高速で駆け抜ける曲ですが、最後のパフォーマンスにしては少しあっけなく終わってしまう感じもするのですが、それでも最後にブルースを持ってくるところがいかにもジャズメンという感じですね。


★☆テイルズ・フロム・ザ・ハドソン・トータルレビュー★☆

walkingを終えて聴き終えたときの印象はひと言で言うと
『全編に広がるテンションが快感・・・親しき中にもテンションあり!』

・・・

マイケル・ブレッカーさんのストレイト・ア・ヘッドなジャズとして注目された作品ですがやっぱりいいですね。いつ聴いても、ほぼ間違えなく感動をしてしまうという、自分にとっては稀有な作品と言えます。

今回に限らずいつも聴いて想うのが全編に漂っている緊張感。このテンションが実に快感だったりするわけです。

また、マイケル・ブレッカーさんのリーダー作にも関わらず、単にサックスを吹きまくっていないのが良いところ。
例えばテーマはほとんどパット・メセニーさんとユニゾンですし、ソロのサイズも特別多いというわけではなくて、きちんと別のソリストを立てているのが、サックス吹きまくりの場合に起こる可能性のある『聴き慣れ』を防いでいて、バリエーションに富んだ音を楽しめて、さらにジャズ作品として全体のクオリティをあげていると想います。

当然リーダーでありつつ、いちソリストですからマイケル・ブレッカーさんのソロも一発勝負的で、特に5曲目のアフリカンズ・スカイや7曲目のネイキッド・ソウルでは見事で熱いソロを展開してくれています。

ですから、この作品は、マイケル・ブレッカーさんのリーダー作ではありますが、間違いなく各人のソロまわしが最大の聴きどころ。まあ、考えてみたらこれがジャズの醍醐味の大きな部分でもあるわけですね。その意味でもマイケル・ブレッカーさんが仕掛けた、まさにストレイト・ア・ヘッドなジャズ作品と言えます。

また、ソリストとしてマイケル・ブレッカーさんと戦うためには、それなりのプレイヤーが必要ですが、この作品では、私が言うまでもない凄腕ミュージシャンを起用しています。

ともすれば、共演も多く、互いに手の内をよく知っていると想われるので、ファミリー的な雰囲気でテンションも薄くなるところ。でも、慣れ合い的なムードは一切なくて、逆に、真剣勝負的なムードがひしひしと伝わってきます。

気持ち的にはリラックスして演奏をしていると想いますが、親しい仲だからこその『かけ引き』、手の内を知っているからこその『かけ引き』・・・。そんな、眼に見えないものが作品全体の緊張感を生んでいるのだと想います。まさに、親しき仲にもテンションあり!ですね。

それぞれがスポーツで言うとアスリートだからこそ出来る、名人芸の集大成と言える作品でそのにじみ出るテンションに浸っているとやっぱり快感なんです・・・。

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テイルズ・フロム・ザ・ハドソンテイルズ・フロム・ザ・ハドソン
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曲名リスト
1. スリングス・アンド・アローズ
2. ミッドナイト・ヴォヤージ
3. ソング・フォー・ビルバオ
4. ボー・リヴァージュ
5. アフリカン・スカイズ
6. イントロダクション・トゥ・ネイキッド・ソウル
7. ネイキッド・ソウル
8. ウィリー・T.
9. キャビン・フィーヴァー

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2009年03月13日

テイルズ・フロム・ザ・ハドソン【2】/マイケル・ブレッカー

テイルズ・フロム・ザ・ハドソン

今日のwalking Musicはマイケル・ブレッカーさんのテイルズ・フロム・ザ・ハドソン・Track04から05です。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

04:ボー・リバージュ
基本的には綺麗なバラードなんですが、マイナー調であることと、適度な展開があるために少し陰鬱なムードの漂っている曲になっています。

ファーストソロは、パット・メセニーさん。
その曲の持っているムードをそのまま展開します。時々フレーズの合間に挟まれている、CD Time=2:52やCD Time=3:27のようにクロマティックから高速にダウンするフレーズが、ちょっとやるせなさのような気だるいムードを醸し出していて効果的だと想います。

続いてはマイケル・ブレッカーさんのソロ。
前半はロングトーンを中心として、朗々と歌い上げていきます。このようなフレーズはものすごくセクシーと言うか艶のある音色とフレーズでかなりムーディですね。そして、CD Time=5:07のような一瞬の速いパッセージからCD Time=5:12のロングトーンでのフラジオなどが入ると、これはもう感じざるを得ない!
まさに艶の極みだと想います。

バックがインテンポになり4つを刻み始めると、さらにマイケル・ブレッカーさんはブロウしていき、CD Time=6:00からを頂点にして、先ほどの艶から今度は荒々しく吹き抜けていきます。


05:アフリカンズ・スカイ
この曲では、3曲目のソング・フォー・ビルバオに続いて再びマッコイ・タイナーさんが参加しています。
マッコイ・タイナーさんの参加ということで、3曲めとこの曲がチョイスされたそうですが、ソング・フォー・ビルバオがスパニッシュなムードがあるのに対して同じ様なラテン系のリズムですが、こちらはかなりアフリカン・テイストが溢れています。
その違いは、あまり目立っていませんがドン・アライアスさんのパーカッションにあるかなと。
ソング・フォー・ビルバオでもドン・アライアスさんは参加していますが、この曲でのプレイの方が、低めの音のパーカッションを使用してよりアフリカンなムードを漂わせていると想います。

テーマははじめマイケル・ブレッカーさんが一人で奏で、次にパット・メセニーさんがユニゾンで参入してきます。

CD Time=0:45のサビはわかりやすいメロディと加速していくようなリズムが非常に心地よいです。
その後、パット・メセニーさんのギターがメロディを奏でる間奏部分に入ります。CD Time=1:25で入ってくるマイケル・ブレッカーさんのテーマメロディを奪い取るような感じがいいですね。

CD Time=1:37からはマッコイ・タイナーさんのソロがスタートします。
最初は、スタッカートなフレーズを展開してきます。そしてコードをいろいろとフェイクしながら、少し不安定な要素を盛り込んだフレーズを入れて曲の展開部分に突入していきます。

やはりここでも、コードをいろいろに変化させながらクラシカルに弾き抜けていきます。もうこの感じは止めることができなくなり、CD Time=2:20からのコーラスでは、まさにアウトなコード進行でフレーズをつなげていきますので、絶妙な浮遊感と不安定感があって、ものすごくテンションが高いプレイになっています。

そして展開部分では、細かいロールを使用したフレーズまわしからコード和音で朗々と歌い上げる感じでエンドしていきます。かなりカッコ良いソロフレーズの連発は、もちろん肝!

続いては、マイケル・ブレッカーさんのソロ。
ロングトーンを中心にしたフレーズで入ります。この部分ではバックのグルーブが際立っています。特にベースのデイブ・ホランドさんのビートが抜群ですね。これはまさしく、マッコイ・タイナーさんのソロを受けてインプロヴァイズされた結果。
ですから、マイケル・ブレッカーさんも段々と熱くなっていくという相乗効果を生み出しています。

CD Time=3:47の細かいトレモロフレーズから続くラインはアウトフレーズの連発です。どう考えても音があちらこちらに飛びまわっています。しかも、合っていないような、いるような・・・。この浮遊感がたまりませんね。その後もアウトラインをなぞって吹き続けますが、フレーズ的には8分音符をややルーズに吹き続けている感じです。

これが、CD Time=4:16の2コーラスめからはスイッチが入ったかのように激変していきます。
歯切れの良い短音を、そのタンギングの強さで聴かせて、CD Time=4;26あたりから段々と速いパッセージで攻めてきます。

CD Time=4:30のロングトーンから、ダウンフレーズを匠なアーティキュレーションと絶妙なタイミングで連続して奏で、CD Time=4:45の駆け上がりフレーズから完全にスイッチオンになります。

4音で構成されたポリリズムフレーズを高速で連続的に決めて、さらに、CD Time=4:49で今度は7音で構成されたフレーズで段々とダウンしていく・・・これがまた歯切れ良い!

そしてCD Time=4:53の速いパッセージからCD Time=4:54のひと鳴き。続けてフラジオでの、さらに高い音でのふた鳴きめ。
マイケル・ブレッカーさんのスイッチオンとともに、抜群のテンションと興奮で迫ってきて、こちらもスイッチがオンになってしまいます。この部分はまさに肝!

CD Time=5:00からはさらに追い打ちをかけるように見事なフレーズが続きます。
CD Time=5:00からCD Time=5:06までのフレーズはメロディアスでサックスが実に良く歌っていて肝!
続けて、今度は5音で構成されたポリリズムフレーズの連発。CD Time=5:12での、叫びのようなロングトーン。こちらも肝!です。

そして、CD Time=5:14のややラウドなフラジオから、8分音符で歌うアウトフレーズを奏でていき、その後は、だんだんとスイッチをオフにするかのようにサビの部分につなぐために静かなフレーズに回帰していきます。

この曲でのマイケル・ブレッカーさんのソロは作品中でもベスト・プレイだと想います。構成といい、フレーズといい、文句なしの名演です。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

続きはまた後日・・・。

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曲名リスト
1. スリングス・アンド・アローズ
2. ミッドナイト・ヴォヤージ
3. ソング・フォー・ビルバオ
4. ボー・リヴァージュ
5. アフリカン・スカイズ
6. イントロダクション・トゥ・ネイキッド・ソウル
7. ネイキッド・ソウル
8. ウィリー・T.
9. キャビン・フィーヴァー

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2009年03月10日

テイルズ・フロム・ザ・ハドソン【1】/マイケル・ブレッカー

テイルズ・フロム・ザ・ハドソン

今日のwalking Musicはマイケル・ブレッカーさんのテイルズ・フロム・ザ・ハドソンです。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

テイルズ・フロム・ザ・ハドソンは1996年のリリースの作品です。この作品の前までとは違って、打ち込みなどのエレクトリックなサウンドから一変したピュアなアコースティック・ジャズ作品です。
以前にレビューをしたのですが、それから何回となく聴いています。久し振りにwalkingのお伴として持ち出しました。以前にレビューしたときは、ちょうどマイケル・ブレッカーさんが亡くなったときでしたのでだいぶん感傷に浸っていたような感じがありました。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

walkingを終えて聴き終えたときの印象はひと言で言うと
『全編に広がるテンションが快感・・・親しき中にもテンションあり!』

細かく聴いていくと、また違った感覚になるかも知れませんので、1曲つづ聴いていきます・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

01:スリングス・アンド・アローズ
リズム的なユニゾン・フレーズからスタート。テーマに入るとマイケル・ブレッカーさんのテナーサックスとパット・メセニーさんクリア・トーンのギターのユニゾンがメロディを奏で、そのユニゾンのバックで、ジャック・ディジョネットさんのドラムがアップテンポに乗った細かいサイド・シンバル・ワークでリズムを刻みます。

このテーマの部分はちょうど2対2の会話のようになっていて、マイケル・ブレッカーさんとパット・メセニーさんのメロディに喰い込んで、奪い取るようにデイヴ・ホランドさんのベースとジョーイ・カルデラッツォさんのピアノが喰ったフレーズでユニゾンを重ねます。これは1小節づつ交互に演奏されていて、何とも言えない緊張感のあるテーマに仕上がっています。ちなみにこの曲は、マイケル・ブレッカーさんの作曲。

サビの部分は一瞬スローになります。今度はお互いに相手を交換して、マイケル・ブレッカーさんがジョーイ・カルデラッツォさんのピアノとメロディを奏でます。そのバックで、パット・メセニーさんとデイヴ・ホランドさんが少しアウトなコードでバッキングを奏でます。
再びテーマに戻ってから、全体の流しフレーズで一瞬のブレイクの後ソロがスタートします。


このソロの部分を聴いていつも想っていたのが、ソリストの3人とも、フレーズが終わりそうでつながっていたり・・・展開しそうなフレーズだけど2小節分くらい余分に長く感じがしたり・・・聴いていてもコーラスの切れ目がわかりにくいソロだと・・・。

今回しっかり聴いてみたら、このソロ部分のコード進行は、どうも36小節でワンコーラスになっているようですね。そして、コーラス間の切れ目が同じコード進行でつながっていて、ソリストの3人ともにコーラスを『意識していません!』 という感じでフレーズをつなげているので、よりわかりにくかったのだと。

でも、このために、演奏全体にものすごい緊張感があるのと同時に、聴いているリスナーもそのテンションをビシビシと感じることができる 『ソロまわし』 になっていますね。

聴きどころはコーラスの17小節目にあたるコードの展開部分。この部分でスケールをチェンジしますが、そのチェンジへの導入のフレーズとチェンジ後のフレーズをどう奏でているか?ちょっと拍を失うような緊張感が漂っているだけに、この部分でどうやってフレーズをきっちりと決めるか?というのが、ソロ全体をぼけたものしないで 『キッ』 としめる急所だったりするわけです。

ファーストソロはパット・メセニーさん。

スタートはゆっくりと入り、そして飛び出すようなCD Time=0:54の高音にまずはグッときます。すかさずCD Time=0:59から速いクロマティックなパッセージで一聴でパット・メセニーさんと解る展開を聴かせてくれます。
CD Time=1:05でワンコーラスめのスケールチェンジ。ここでは、比較的ゆったりとしたフレーズで入り、そして弾き抜けていきます。

CD Time=1:23から2コーラスめに入りますが、ここは完全につながっていますね。そしてCD Time=1:36のスケールチェンジでは、その前から得意技のアップフレーズを導入として、そのまま見事にスケールチェンジをして、さらにアップフレーズをソロエンド近くまで連続していきます。これはまさにパット・メセニーさんの真骨頂。聴きなれたフレーズですが、やっぱりため息が出る見事な展開です。

続くソロはマイケル・ブレッカーさん。
導入は、単純なモチーフを展開してつなげていくというフレーズ。そして、速いパッセージからCD Time=2:06のスケールチェンジへ。コードが変わった瞬間に速いパッセージから強いタンギングの歯切れ良いフレーズ展開。

その後は速いパッセージで切れ目なく2コーラスめまで突入していきます。そしてCD Time=2:35のスケールチェンジ。ここでも歯切れの良いフレーズを展開していますがややラウドに決めていきます。また、この部分に入る前のCD Time=2:34のクロマティックな2小節のフレーズが
実に肝!見事な導入フレーズでこの展開部分につないでいます。

マイケル・ブレッカーさんのソロは3コーラス。3コーラスめの展開部分はCD Time=3:04の駆けあがるような速いパッセージから入り、今度はポリリズム的なフラジオを挟み込んだ得意技フレーズを聴かせてくれます。このあたりではバックの演奏も含めて、最高の緊張感が漂っていてまさに肝!
そしてその緊張感をそのままつないで、次のジョーイ・カルデラッツォさんのソロに引き渡されていきます。

左手でのバッキングを歯切れよく演奏して、それが右手を牽引するように最初は細かくフレーズを展開しますが段々と速くクロマティックなフレーズ展開に変わっていきます。CD Time=3:33のスケールチェンジ部分は左手のコードワークがソロを牽引します。

その後から2コーラスめは、左手のバッキングワークが細かくなっていき、段々と左手主導から右手の速いパッセージが主導権を握っていくような感じのフレーズ展開をしていきます。そしてCD Time=4:01のスケールチェンジ部分は、その前の導入部分のモチーフをそのまま使用してつなげていますのでスケールの変化をさりげない感じで奏でています。

さらにCD Time=4:30の3コーラスめのスケールチェンジ部分。ここではイントロとテーマ部分のミックスしたようなフレーズをモチーフにしてからスケールチェンジ部分に突入しています。これは実に見事です。まさに肝!

ソロまわしの緊張感がいったんサビに入って落ち着いてからテーマに戻ってエンディングへ。

エンディングはジャック・ディジョネットさんのソロにマイケル・ブレッカーさんがソロをからめながらフェードアウトしていきます。2人のからみがフェードアウト近くになってかなり面白いので、このままエンディングまで聴きたいところですが・・・残念ながらのフェードアウト。

いつ聴いても実にテンションがアップする演奏でまさに肝!です。完全ノックアウトと言って良い、まさに時代の残した名演のひとつだと想います。


02:ミッドナイト・ヴォヤージ
ミディアムファーストのテンポでゆったりとした流れでスタート。大変心地よいテンポとリズムを持ったマイナー調の曲でブルージーな雰囲気の中にも適度な緊張感があるのは、1曲目のそれをそのまま引き継いでいるためでしょうか。

ファーストソロはマイケル・ブレッカーさん。
コード進行はセブンスコードを中心としたブルース的なもの。ですから、ここでのマイケル・ブレッカーさんは、1曲目とは違ったオーソドックスなジャズ・フレーズを中心に展開しています。これが実にいい感じです。

続くパット・メセニーさんのソロもブルージーに奏でていて、フレーズとしてはマイケル・ブレッカーさんと同じ様に比較的オーソドックスなラインです。しかし、教科書的ではなくてあくまでもメセニー的オーソドックスフレーズ。

その分パット・メセニーさんのフレーズがわかりやすくなっていますので、フレーズ研究やギター・コピーにはもってこいのソロだと想います。組み立ても良くて、まとまったソロだと想います。

エンディングはテーマの初めのメロディをリフレインしていく中でジョーイ・カルデラッツォさんがピアノソロを重ねていき、最後はブルージーにエンディングを迎えます。


03:ソング・フォー・ビルバオ
いわずと知れたパット・メセニー・グループの名曲です。
テーマは、マイケル・ブレッカーさんとパット・メセニーさんのギターシンセがユニゾンで奏でます。この曲は特にソロまわしが聴きどころの曲ですね。まさに、セッションに最適です。

ソロのコード進行はテーマ部分と同じです。テーマ自体は短いのですが、実に上手く演奏ポイントが組み込まれています。

24小節でワンコーラスになりますが、まずは5小節めでC7sus4からG♭maj7♯11にかわる部分のスケールチェンジ。そして17小節めのポリリズム的な部分。ここは3/4拍子に変わるのですが、ここの弾き抜け、吹き抜け方がポイント。

ファーストソロはマイケル・ブレッカーさん。
静かな入りのワンコーラスめ。曲のリズムがアフロ・キューバン的なラテン・リズムですので、それに乗るように短い音符をつないだフレーズでスタートします。CD Time=1:15の流れるような8分音符のフレーズから連続してスケールチェンジ部分に入り、そのままCD Time=1:22まで吹き抜けます。ここはひと呼吸で一気にという感じでしょうか。
そしてワンコーラスめの展開部分。ここでは、サビのメロディを少しだけフェイクして吹き抜けています。

2コーラスめは途中から、倍速の速いパッセージに段々と変わっていきます。そしてCD Time=1:49からフラジオを組み込んだポリリズムでの得意技フレーズに突入。フレーズの音を微妙な変えながら、CD Time=1:15のスケールチェンジ部分になだれ込み、CD Time=1:56のロングトーンまで怒涛のごとく吹き抜けます。この部分は見事な展開で肝!です。その後も、速いパッセージで攻めてCD Time=02:03の低い音での「ブォ」のひと吹き。そして展開部分へ。
1小節目はコード「F」のトーンを分散的に使用して、次の「E」のコードトーンにつないでいます。そして後半は喰った短い音符でコードの3度とルートの音をアクセントフレーズにして吹き抜けています。単純なラインで無難な音の選択をアーティキュレーションとリズム・センスで吹き抜けている感じです。

続いてピアノソロ。この曲ではマッコイ・タイナーさんがプレイをしています。
スタートはラテンのリズムに乗った展開でブルージーに奏でます。最初の展開部分は、そのままコード和音をフォルテシモでクラシカルに弾き抜けます。そして、その後はそのクラシカルな雰囲気でワンコーラスを終わらせて2コーラスめへ。

CD Time=2:57からのフレーズは、よりラテン的な感じになります。右手のメロディ・パターンを統一して流しそれに、左手のバッキングの音を少しづつ変えながら流麗に奏でます。この部分のソロラインのため、曲全体の雰囲気が一瞬変わります。単調になりがちな曲調中で見事なアクセントになっていますね。スケールチェンジのCD Time=3:11はかなりブルージーなフレーズ。
そして展開部分は、一回目と同じ様にコード奏法でクラシカルに奏で次のソリストに渡していきます。

最後はおなじみの音色のパット・メセニーさんのギターシンセです。
長めの音符でだんだんと下がっていくフレーズからスタートして、スケールチェンジ部分でブルージーなフレーズを決めます。そして、8分音符でのラインに変わっていき、展開部分に入ります。
CD Time=3:51からの展開部分は、4小節を2つにわけて考えるアプローチで2小節でワンパターンのフレーズをそれぞれのスケールに合わせて弾いています。やはり自分の曲で、何度も演奏をしている曲ですので、このフレーズ展開と構成はやはり前の2人よりも見事ですね。
その後は2コーラスめに向けて、だんだんとハイフレットにフレーズが移っていきます。

CD Time=4:06から2コーラスめ。叫びのような高音でのフレーズがいかにもパット節。ここでギターシンセのオクターヴをフットペダルで切り替えて上げているのではないかと想います。高い叫びの合間をクロマティックでのダウンフレーズの速いパッセージで挟みながら展開部分に向います。

CD Time=4:26からの展開部分は、ややアウトなフレーズにも聴こえるのですが、実はコード進行が動いているのに追従してトーンを選んで奏でています。でもこれが取ってつけたようなフレーズになっていなくて一拍半のリズムにしっかりと乗りながらフレーズが連続して流れているのがさすがですね。続けて、ひとつのモチーフをだんだんと上げていって、最後にスライドを絡めた連続フレーズでエンディングに突入します。

パット・メセニーさんの最後のフレーズがずっとテーマ頭まで連続しているのですが、そこにマイケル・ブレッカーさんが入ってきてテーマに戻るところは肝!ものすごくカッコ良いと想います。無条件にグッとっくる展開ですね。その後のテーマで2人がハモルのもかなりいいです。

そしてエンディングのロール部分で、パット・メセニーさんのギターシンセとマイケル・ブレッカーさんのサックスが、残響をなごり惜しむように奏でる掛け合い部分が、また良かったりします。

パット・メセニー・グループでのバージョンを含め、いろいろなテイクがある曲ですが、この作品でのテイクは個人的にNO.1、2を争うテイクだと想っています。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

今回はここまで。続きは後日レビューします。

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starグラミー連続受賞後の波に乗るブレッカーの第4作

曲名リスト
1. スリングス・アンド・アローズ
2. ミッドナイト・ヴォヤージ
3. ソング・フォー・ビルバオ
4. ボー・リヴァージュ
5. アフリカン・スカイズ
6. イントロダクション・トゥ・ネイキッド・ソウル
7. ネイキッド・ソウル
8. ウィリー・T.
9. キャビン・フィーヴァー

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あとがき
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2009年03月06日

宇宙の騎士 【2】/TOTO

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宇宙の騎士

今日のwalking MusicはTOTO宇宙の騎士、Track06からトータル・レビューです。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

06:ガール・グッドバイ
久し振りにこの作品の曲リストを見て、実は一番気になったのがこの曲。何故かというと、どんな曲だったのか全く想い出せなかったのです。大好きな曲で、物凄くカッコ良い曲だった・・・ということは想い出したのですが、肝心なメロディなどは全く・・・。ですから、ものすごく期待していて、心待ちにしながらwalkingをしてたのです。

シンセベースの跳ねたビートにEm/B→Bのコードの繰り返しが乗り、さらに、TOTOホーンをはじめに、いろいろなSE的なメロディが重なってきた瞬間に「これだ!」という感じで、一気に想い出しました。まさにパンドラの箱がひも解かれて、何かが一斉に飛び出したかのように一瞬で脳裏に曲の細部まで蘇ったのです。ものすごく不思議な感覚でした・・・。

イントロダクションが最高潮に盛り上がったところで1小節のブレイク。そして、ノリが良く印象的なギターとベースのリフにオルガン・サウンドのシンセがロングトーンで分数コードを流す・・・。

また、ドラムのジェフ・ポーカロさんのトップシンバルでのリズムとバスドラムのビートが実に肝!です。
特にバスドラムのビートは、一聴、ギターやベースと連動しているようですが、実はパータンの4拍めを普通に8分音符で「ドン・ドン」と次の小節の頭につなげて叩いているのがミソ。

歌のバックでは、トップシンバルからハイハットに移り、しかも、トップシンバルでは少し跳ねたリズムでしたが、ここでは完全な8ビートに変わります。

これによって、完全にギターやベースと同期するより、イントロと歌の明確な雰囲気の違いの演出と、歌に入ったときの8ビート感をしっかりと出すことができるわけです。さりげないドラミングですが見事です。

ヴォーカルはボビー・キンボールさん。ややハイトーンを落とした前半ですが、熱く歌い上げています。そして、CD Time=1:23の印象的なアップのユニゾンからサビへ。

サビはボビー・キンボールさんのハイトーンを中心としたいかにもTOTOらしいコーラス。

そして、曲のキャッチーなパターンを挟み、次は、ボビー・キンボールさんのシングルでのハイトーンのメロディ。その終りのロングトーンに重ねてキャッチーな「ラ」と「シ」を使用したパターンが「レ」と「ミ」を使用したパターンに変わります。つまり曲のキーがBからEに転調します。そして再びBに戻りサビのエンディングからイントロのパターンに突入していきます。

このサビの一連の流れと組立は、個人的には文句なしに盛り上がってしまいます。まさに肝!

ギター的には、Eに転調した時のCD Time=1:36でのスティーヴ・ルカサーさんの微妙なヴィブラートをかけたユニゾン・パターンが見事。このアーティキュレーションは、とても有効に効いていると想います。

2コーラスめが終わりCD Time=3:45からスティーヴ・ルカサーさんのソロです。

5曲目では、実にジャズ・フュージョン的なラインで華麗に弾き抜けていましたが、ここでは、ロック調の熱いソロを展開しています。このソロはコピーをしたことがありますが、かなり難しいラインでした。

イントロの8小節のパターンを3回繰り返すコード進行でソロを弾いています。

1回目は、テーマのメロディをモチーフにしています。ここでは、あくまでもメロディのフェイクという感じでコード感をそれほど出していないラインを奏でています。そして、クロマティックなラインを上手く挟んでマイナーコードへの導入を作って2回目に入ります。

2回目は、ペンタトニックというスケールを中心にして、微妙なコントロールのチョーキングを使って組立ていきます。最初の2小節はコード・トーンそのものの「シ」の音の周りを行き来するように、リズムにしっかり乗らずにクネクネとした感じで奏でます。そして、CD Time=4:05からの2小節では、コード感を出して、クオーターチョーキングでさらにクネクネしたようなフレーズ。終わり部分では右手でのタッピング。そして次の2小節ではペンタトニックでストレートにアップしていくフレーズですが、スライドを上手く挟み込んで奏でてからハイトーンのチョーキング。そしてダウンフレーズからCD Time=4:16で大きなヴィブラートをかけての着地。

3回目は、最初の2小節がロックの古典的なラン奏法を超高速に展開するスティーヴ・ルカサーさんの得意フレーズ。そして次の2小節の頭、CD Time=4:21に2音チョーキングを決めてスタッカートでダウンしていき、次の2小節のCD Time=4:28でゆっくりとアップするベンド・チョーキングを決め、最後の2小節の終わり、CD Time=4:31でロングトーンにヴィブラートをかけながらイントロダクションのパターンへ曲を引き継いでいきます。

このソロの部分は、バッキングがギターとベースのユニゾンモチーフを繰り返している上でコードがBm→E/B→Em/B→Bと2小節づつ変わっていきます。実は、コードを意識してコード感がでるようにソロ・ラインを弾かないと、ギターとベースのユニゾンが効いているのでコード感がなくなってしまいがちの難しいパターンなんです。

でも、スティーヴ・ルカサーさんは、それほど強烈なコード感のあるラインはあまり弾いていなくて、特に後半はスケール一発的なフレーズが多いように想います。

それでも、聴いていて単純なワンコードに聴こえず、しっかりとコードが動いているのを感じることができるように仕上がっているのは、ワンコーラスめをメロディのフェイクで仕上げていることと、2コーラスめの最初の4小節のクネクネフレーズでコード感をしっかりと出しているためだと想います。

メロディをフェイクすることで、リスナーがメロディとコードの関係を再度認識して、さらに2コーラスめの最初でコード感を出すフレーズを弾くことで、よりコード感を頭で捉えることができるわけです。ですから、その後の後半で比較的コード感の少ないロック的なフレーズで攻めても、聴いている方が勝手にコードの流れを感じてしまうわけですね。

これは見事に構成されたソロラインで、全体の組み立てが抜群です。まさに肝!であり、この作品のベスト・ソロだと想います。

そしてエンディングがまたカッコ良い!特に、ユニゾンにジェフ・ポーカロさんのドラムが絡んで盛り上がり、そして一番最後に、拍で上がっていく全体のサウンドにスティーヴ・ルカサーさんの速いパッセージが絡んでいくところはこれまた肝!です。

まさにハード・フュージョンといったら良いでしょうか。かなり洗練されているので、ハードAORでしょうか。何と言っても、個人的にはベスト・トラックです。


07:ふりだしの恋
一転してアダルトでポップなナンバーです。この曲は、お恥ずかしながらずっとスティーヴ・ルカサーさんのリードヴォーカルだと想っていたのですが、これはスティーヴ・ポーカロさんのリードだったんですね。

そう言われると、TOTOは4人のシンガーがいるという非常に稀有なバンドでした。ちょっとスティーヴ・ポーカロさんの存在を忘れていた感がありますが・・・。

この曲を聴くとラリー・カールトンさんを想い出します。ラリー・カールトンさんの声に似ていることと、夜の彷徨のヴォーカル曲に似た雰囲気がありませんか?

CD Time=1:55からスティーヴ・ルカサーさんのギターソロ。ここではナイロン弦のアコギでリリカルに決めます。音はお世辞にも良い音とは言えないのですが、それでも、曲の雰囲気にあったラインを奏でます。

そして、途中からナイロン弦に重なるようにひずんだギター音がソロを奪い取ります。個人的には、そのままナイロン弦で盛り上げた方が良かったと想うのですが・・・。


08:ロック・メーカー
デヴィッド・ペイチさんの明るく、前向きで、楽しい曲。このテイストもTOTOには欠かせない部分だと想いますのでけっこう好きな曲です。

特にサビの部分のコード進行とメロディ、そしてハーモニーが個人的には肝!

ここでの、スティーヴ・ルカサーさんは、少しひずみを抑えた音で全体的に奏でています。

CD Time=2:34からのエンディング・ソロは、ちょっとシングルコイルの音のようにも感じますね。この頃のスティーヴ・ルカサーさんのイメージは、レスポールという感じがあるのですが・・・ということで、愛する君にホールド・ザ・ラインのビデオクリップをちょっと見てみたら、ゴールドのレスポールを弾いていますね。


09:ホールド・ザ・ライン
米ヒットチャート5位になったTOTOの代表的な曲でありデビューシングル曲。ピアノにハードな音でのギターリフというスタイル。

このギターリフは難しくはないのですが、それでも印象的。弾いてみるとさらにいい感じのリフです。

また、ジェフ・ポーカロさんの8ビートと16ビートの中間で少しシャッフルテイストのドラミングが良いですね。しかも、しっかりと2、4拍のビートが効いていて、重いリズムになっているのもさすがです。

曲も複雑な展開はなくて、かなりストレートなサウンドに仕上げています。このあたりが大ヒットした理由の一つでしょうか。

CD Time=1:48からはスティーヴ・ルカサーさんのソロです。ディレイを深くかけて、良くひずんでいる音なんですが、曲に上手く溶け込んでいて、耳ざわりではない音に仕上げています。

ソロスタート直後のCD Time=1:51ではいきなりの強烈なチョーキング・ヴィブラート。ディレイの効果と相まってさらに強烈になっています。続いての速いダウンパッセージからCD Time=1:54のヴィブラートも強烈です。

後半になるとさらに強烈なチョーキングとヴィブラートを適格にビシビシ決めます。CD Time=2:11の一音半チョーキングから大きなヴィブラートやCD Time=2:21の速いパッセージからの終始のヴィブラートなどはホントにアーティキュレーションが見事だと想います。

速弾きはもちろんですが、このようなチョーキングニュアンスとヴィブラートの妙が聴きどころのソロになっています。


10:アンジェラ
リコーダーのさみしげな旋律から、ピアノをバックにスティーヴ・ルカサーさんが、ささやくように歌うバラードです。

綺麗なメロディラインや情緒的なコード進行からCD Time=2:02から8ビートに展開をします。そして再び最初の世界へ。

曲に変化があって飽きのこないバラードで作品は幕を閉じていきます・・・。


★☆宇宙の騎士・トータルレビュー★☆★☆★☆★☆★☆★

walkingを終えて聴き終えたときの印象はひと言で言うと
『完成度が高く、やっぱり名盤・・・』

一曲目がインスト。そしてキャッチーな2曲目、さらに、アダルトな3曲目。そして楽しいライトな4曲目。そして、フュージョンテイストの5曲目。リード・ヴォーカルを曲調に合わせて変えながら、バラエティーに富んだ構成で楽曲を優先した構成ですね。ここまではレコードで言うとA面。

そして、ややハードなテイストの6曲目。ライトな7曲目。再び楽しいロックの8曲目。そしてハードなテイストの9曲目からクラシカルなテイストの10曲目。ここまでがレコードで言うとB面。

全体の構成や流れが見事です。それはレコード文化の遺産でもあるA面、B面という聴き方を意識すると、なおさら顕著にわかります。

また、聴き終えた後で想ったのが、ギターが全面に出ている作品ということです。もちろん承知はしていたのですが、改めて聴いてみると、イメージ的にはもっとピアノやシンセのソロなども含めて楽器の演奏バランスが良いバンドのような気がしていましたが、ギター作品と言っても過言ではないくらい、ギターがフューチャーされているということを再認識しました。

とにかく、通して聴いても飽きのこない作品の構成が見事だと想います。また各曲のクオリティが高く、どの曲も秀作なのも特徴。
まさに、ロック、ポップス、そしてジャズなどのエッセンスを散りばめた作品で、これはまさに違う意味でのフュージョンと言えますね。
だいたい、ひとつの作品で最低でも一曲くらいは駄作のものがあるのが普通なんですが、それが無いのもある意味奇跡的かと。ですから、そのことも作品全体の完成度をのもすごく高くしている要因ですね。

聴いていて「気持が愉快になる」作品。

こういった作品は、自分にとってもあまりないので愛聴盤と言えます。

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宇宙の騎士宇宙の騎士
TOTO

曲名リスト
1. 子供の凱歌
2. 愛する君に
3. ジョージー・ポージー
4. マヌエラ・ラン
5. ユー・アー・ザ・フラワー
6. ガール・グッドバイ
7. ふりだしの恋
8. ロックメイカー
9. ホールド・ザ・ライン
10. アンジェラ

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