今日のwalking Musicは
青木智仁さんのダブル・フェイスです。
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この作品は1989年の作品。今は亡きベーシスト・青木智仁さんのフェースト・リーダー作品になります。
青木智仁さんの印象は非常に器用というイメージがあります。それはプレイが丁寧で、まじめな感じと言ったらよいでしょうか。さらにライナーノーツに名前が載っているだけで、勝手に期待してしまうという抜群の信頼感と安心感がありますね。ベース界のイチローさんと言ったら・・・言いすぎですね。
でも、なかなかこのようなベーシストは日本にはいないので、その意味では、新作を聴くことができないのが非常に残念です・・・。
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walkingを終えて聴き終えたときの印象はひと言で言うと
『ベースという面では印象が薄い・・・』
細かく聴いていくと、また違った感覚になるかも知れませんので
1曲つづ聴いていきます・・・。
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01:Triboro Bridge~Memories of M.K.
ドラムの打ち込みときつい音のスラップ・ベースが交互に奏でられてスタート。SE的な始まり方で、面白そうな感じをかもし出しています。
リズムがインして青木智仁さんのスラップに重なって、自身のフレットレスベースがメロディを奏でます。
この曲は、打ち込みを中心としたサウンドで、プロデュースもしている角松敏生さんの作曲になります。
ミディアムテンポに乗ったテーマは厚めにエフェクト処理された小池修さんのサックスが奏でます。サックス自体のサウンドや全体の感じ、またメロディのラインはデイヴィッド・サンボーンさんの曲のような感じでなかなかカッコ良いです。
しかし、テーマの端々を聴くと、段々と角松カラーが出てきて、それは中サビの部分を経て確信的なものに変わり、さらにCD Time=1:51からのサビに入るとまさに、「夏の角松メロディー!」という感じで全面にあふれてきます。
CD Time=2:49からはピアノソロ。たぶん小林信吾さんだと想います。そのまま続けて、ピアノの音を奪い取るようにシンセソロに入ります。
CD Time=3:30から青木智仁さんのソロです。
やや全体が静かになるアレンジですので、ここではフレットレス・ベースでメロディラインを奏でます。しかし、バックではスラップをバシバシとキメています。
CD Time=3:41からは歯切れの良いスラップをリズムカルに奏でます。そして次のCD Time=3:52からはフレットレス・ベースにひずみ系のエフェクトをかけてヘビーに奏でます。ちょっといろいろとやりすぎという感じもしますが・・・。
続いては、ギターソロです。これは今剛さん。
チョーキング・モチーフを上手く使用して華麗に弾き抜けています。ひずみ音がクリアで、空間系のエフェクトのかけ方が上手いので、非常にいい感じのソロに仕上がっていますね。
CD Time=5:18からは、小池修さんのサックスと今剛さんのギターの掛け合いです。
曲は、そのままフェードアウトしていきます。
曲が終わったときの感じは・・・角松敏生さんの作品?と錯覚をしてしまうくらいの角松ワールド全開の曲でした。でも、この曲では一応ソロなどもとっていますが、青木智仁さんの、ある意味真骨頂である安定感と信頼感のあるバッキングプレイを、あくまでも地味に堪能できるという感じに仕上がっています。
02:Mr.J.F.P
フレットレス・ベースでの速いパッセージからオーバーダビングで和音などを重ねてスタートします。曲調はまさにジャコ・パストリアスさんの感じ。それもそのはずで、これは青木智仁さんがジャコ・パストリアスさんに捧げた曲ということのようです。
個人的には、どうも青木智仁さんとジャコ・パストリアスさんってしっくりと来ない感じがします。どうしても青木智仁さんはスラップというイメージが強烈で・・・。
ここでの青木智仁さんのプレイは、いわゆるジャコ・パストリアスさんの強烈なビート感をリスペクトしているような感じです。ですから、ジャコ・パストリアスさん風なバッキング・フレーズを弾いています。
もうちょっと暴れても良かったようにも想いますが、このあたりが青木智仁さんの堅実さと言えるのでしょうか。逆に、ジャコ・パストリアスさんの場合は、派手で狂気的な部分に耳が行きがちなんですが、このようなグルーヴとビート感の部分をリスペクトしてプレイをするあたりが流石と言えますね。
ちなみにCD Time=1:30からのギターソロは布川俊樹さん。そして、バスドラがバシバシ決まっているドラムは村上“ポンタ”秀一さんのプレイです。
03:Forgive Me
エレピの綺麗なメロディがフェードインしてくるバラードです。そしてそのエレピの静寂さに、波紋を創るように本田雅人さんのサックスがハイトーンのフラジオで入ってきます。
エレピがメロディを奏でていくのですが、そのバックで心地よいリズムを生み出しているのは梶原順さんのミュートでのギター。そしてそれに絡むようにバッキングやカウンターメロディを奏でている松木恒秀さんのギター。
ファーストソロは本田雅人さん。切れの良い音で吹き抜けていきます。そして、松木恒秀さんのギターソロ。こちらは渋いトーンでジャージーに決めます。
この曲での青木智仁さんは、プルをアクセントにしながら細かいサムを決めるスラップでのプレイです。出過ぎず、かといって引っこみすぎない、バラード曲におけるスラップの教科書みたいな演奏です。
曲は一度終わる形になるのですが、続けてコーラスパートが入ってきます。これはどちらかと言うと、次の曲へのイントロダクション。このあたりの構成も角松敏生さんらしい演出と言えますね。
04:Don't Ever Hurt Me
この曲はオールド・アメリカンな雰囲気のあるヴォーカル曲。創ったのは青木智仁さんですが、歌っているのは「おかざわあきら」というクレジットですがこれはベーシストの岡沢 章さんでしょうか?
ブロードウェイでショウを観ているような雰囲気になりますが、青木智仁さんはこんな感じの音楽も好きなんだと単純に驚いた次第です。
05:Linda
とても爽やかでいかにもフュージョンという感じのこの曲は梶原順さんと今は亡き、浅野 祥之さんの2人。いかにもギタリストが好きそうな曲でテーマのメロディが心地よく、まさにギター向きの曲です。もう一人ここでは松原正樹さんがギターで参加をしています。
ギターは3台なんですが、さらに面白いのがドラム。
ドラムは村上“ポンタ”秀一さんと島村 英二さんが叩いています。左右で別れているようで、特に4拍目のアクセントが微妙にずれているのが逆に良いビートになっています。
エンディング部分は梶原順さんと浅野 祥之さんのソロの掛け合いです。もうちょっと聴きたい!という欲求不満を残しつつ、フェードアウトしていきます。
ここでの青木智仁さんは、ある意味定番とも言えるスラップベースでのプレイ。16ビートフュージョンのこれまた教科書みたいなプレイです。
06:Amboseli
ここで再び作品の最初のSE的なドラムと青木智仁さんのスラップが入ります。どう展開していくのか?と想っていると曲は一転して4ビートに突入します。この曲は村上“ポンタ”秀一さんと水野 正敏さんの作曲です。
村上“ポンタ”秀一さんのドラムを左チャンネルのみ、水野 正敏さんのアコースティック・ベースを右チャンネルのみにしてセンターでシンセが難解なメロディを奏でていきます。
青木智仁さんの登場はCD Time=2:00過ぎから。
フレットレス・ベースのソロに強烈なリヴァーヴをかけて、空間的な演出をしています。一緒に奏でられているのはトランペット。これは日野 皓正さんのプレイ。
日野 皓正さんのトランペットもかなり強いエフェクトでリバーヴをかけていて、ちょっと幻想的な雰囲気で掛け合います。
途中から青木智仁さんはスラップに移行して、その激しいスラッピングに乗せて日野 皓正さんのソロラインが加速していきます。
エンディングでは、日野 皓正さんと水野 正敏さんと村上“ポンタ”秀一さんが掛け合います。途中、ジャズスタンダードでお馴染みのメロディなども飛び出してきて、楽しげな中にもスピード感がある掛け合いでエンディングです。
07:Risa
ストリングスからスタートして軽やかなギターがメロディを奏でます。少し跳ねたリズムのバラードですが、楽しく優しげな曲調です。これは青木智仁さんの作曲。
ギターは幾見雅博さん。また、八木のぶおさんのブルースハープがいい感じですね。午後の陽だまりという感じで好感が持てる曲です。
08:砂の女
軽いボサノバのリズムからコンピューターでコントロールされたサウンドが重なり、そして角松敏生さんのヴォイスが重なってくると、もうここは角松サウンド。
さらに日本語で歌詞がついていて、さらに角松敏生さんが歌うという、まさに角松ワールドに支配されます。
ここでの青木智仁さんは、歌ものバックというスタンスで、歌を邪魔しないスラップの絶妙なバランスを聴かせてくれます。
09:Manhattan Love Affair
少し引きづるようなリズムを持ったアップテンポの曲です。この曲も角松敏生さんの曲。今度は角松インストワールドです。ギターでのメロディはもちろん角松敏生さん。
この曲での青木智仁さんは少し激しめにスラップを奏でます。前の曲でのヴォーカルと溶け込んだバランスのあるスラップとは違って、グイグイと打ち込みに対抗して攻めていくようなサウンド。多彩なスラップのアーティキュレーションが見事です。
小林信吾さんのシンセソロから角松敏生さんのギターソロの後、CD Time=2:23からは青木智仁さんの強烈なスラップでのソロ的なリズム流しが始まります。時折入れる細かいサムのアクセントが見事です。
途中で、アコースティック・ベースなどのソロも挟みながらのパフォーマンス。何と言ってもリズム感が抜群ですね。このようなスラップの切れはまさに青木智仁さんの独壇場だと想います。
エンディングではフレットレス・ベースで、ちょっとジャコ・パストリアスさんが入ったフレーズで締めくくっています。
10:With A Little Help From My Friends
ご存じ、ジョン・レノンさんとポール・マッカートニーさんの曲。歌っているのは青木智仁さん。
まあ、上手とは言えませんが、2コーラスめからサビに角松敏生さんのバックコーラスが入ると、それなりに聴こえてくるから不思議です。
そして、この曲ではベースは打ち込みで青木智仁さんはベースを弾いていません。
11:Risa Reprise
最後の曲は7曲目のRiseのリプライズ。ここではフレットレス・ベースでリリカルに青木智仁さんがメロディを奏でていきます。
バックコーラスではハイ・ファイ・セットの3人が歌い、フレットレス・ベースの音色を一層綺麗な響きにしています。
★☆ダブル・フェイス・トータルレビュー★☆★☆★☆★☆★☆★
walkingを終えて聴き終えたときの印象はひと言で言うと
『ベースという面では印象が薄い・・・』
ベーシストである青木智仁さんのソロ作品ですので、ベースが全面に出ていて、いかにも美味しいスラップのパターン!や強烈なソロ!などを期待していたのですが、それは見事に裏切られたという感じがしました。それが、walkingを終えたときの印象『ベースという面では印象が薄い・・・』になってしまったのだと想います。
でも、改めて聴いてみるとこれは、ベーシストのソロ作品なのでベースという楽器が全面に出ている!という想いこみにすぎないということを感じました。
そこには、ベースという楽器の本来の使命とも言える、バックとしてのベーシストという姿があったわけです。
つまり、リズム楽器としての本質をとらえつつ、楽曲のコードの重要なファクターであるベース音というものを正確に奏で、そして、ソリストや他のバッキング楽器が気持ち良くその上に乗る・・・という使命。
そう考えるとベースは、聴こえているけど、決して意識することなく、耳と心にしっかり届いている・・・というのが最良かと。
『ベースという面では印象が薄い・・・』というのは逆に、見事にバンドの要としてのベーシストの仕事を聴かせてくれている作品だから、とも言えるわけですね。
作品全体的にはプロデューサーである角松敏生さんの色が濃くでている作品になっていますが、角松敏生さんがあえてこのスタイルで、ベーシスト・青木智仁をプロデュースしたとすれば、やはり流石だと想うわけです。
バリエーション豊富な楽曲がある中で、一聴ソロ作品としては地味ですがしっかりとバンドの要としてのベーシストの役割を聴かせるために、あえて角松敏生さんが自分色に染めた作品にした?というのもあながち間違っていないかな、と想ったりするわけです。
その意味では、バンドの要としてのベーシスト・青木智仁さんのバックミュージシャンとしての力を感じとれる作品に仕上がっていると想います。
ベースプレイということを期待して聴くと少々コケますが、角松ワールドが好きな方には、自然に聴き心地の良い作品です。
また、不思議なことに何回か聴いているうちに、段々とハマってくるんです・・・個人的には、ちょっとハマっています。
そこには、青木智仁さんのバンドの要としてのベーシスト以外のもう一つのフェイスが見え隠れしている感じです。ダブル・フェイスのもうひとつ、隠れている顔を覗きに、また、CDプレイヤーにかけてしまう作品ですね。
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レビュー
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2. MR.J.E.P
3. フォーギヴ・ミー~RISA インターリュード
4. ドント・エヴァー・ハート・ミー
5. LINDA
6. AMBOSELI
7. RISA
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