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アメリカン・ガレージ/パット・メセニー・グループ
AMERICAN GARAGE/PAT METHENY GROUP

午前中は雨が降っていてだいぶ寒く、想わず上着を1枚着てしまいました。午後になって雨が上がったので雨上がりのwalking。そのMusicにはパット・メセニー・グループアメリカン・ガレージを選びました。

パット・メセニー・グループとしては想い出のサン・ロレンツォに続く2枚目となります。個人的にはパット・メセニー・グループの作品の中では一番聴いた回数が少ないと想います。それには特別な理由は無いのですが・・・。

パット・メセニー・グループを辿る旅・第2弾!と言うほど力は入っていませんが、今回久しぶりに聴いてみました・・・。

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1曲目はクロス・ザ・ハートランド
ピアノとシンセの煌びやかなリズムが印象的なスタート。それにギターのかなりカントリーフレーバーの旋律が絡んできます。ドラムのダン・ゴッドリーブさんのタムの流しから8ビートへ。
この作品はjazzLife特別編集 JAZZ GUITARのインタビューの中でパット・メセニーさんはコンセプトを”ロック的な要素”を押し出したと答えています。

この8ビートもまさにそんな感じが伝わってくるのですが、ロックと言うよりはメロディはもっとカントリーやブルース的な感じがします。録音されたのがマサチューセッツ州の農場と言うことで、余計にそんな感じがするのでしょうか?映像的には広大なアメリカの自然が浮かんできます。
メロディのシンコペーションにあわせた複雑なバッキングのテーマが終わるとイントロのパターンへ。今度はシンセの変わりに左右のチャンネルで2台のアコースティックギターとライル・メイズさんのピアノが奏でます。さらにパット・メセニーさんのギターがヴォリューム奏法で加わり、和音を奏でて静かで幻想的な雰囲気を創り出します。そしてマーク・イーガンさんのフレットレスベースが短いディレイで色付けされてメロディを奏でそれに追従します。

CD Time=4:07からややクレッシェンドしたアコースティックギターにシンセベースが絡みます。そしてシンセベースと左右のアコギが丁度やまびこのように奏であって盛り上がって行き、ドラムのリフからパット・メセニーさんのソロです。

パット・メセニーさんのソロは8ビートに乗ってやはりカントリーフレーバーのソロです。バッキングのライル・メイズさんのピアノがR&Bテイストで良いですね。

2曲目はエアー・ストリーム
ライル・メイズさんのピアノでのテーマからスタートします。この曲も雰囲気的にはカントリーフォーク調と言う感じでしょうか。そうは言っても都会的な雰囲気もあるメロディなんですが、やはり浮かんでくるのはアメリカの自然と雄大さ・・・。そのテーマを絶妙なアーティキュレーションでパット・メセニーさんがスーッと引き継ぎます。

サビの部分ではメロディの対旋律としてベースラインが活躍しています。この部分は見事なベースラインで実にドラマティックな流れになっています。

ファーストソロはパット・メセニーさん。静かな8ビートに乗ってゆったりとしたフレーズを展開します。テーマの持っている少し引きずったようなメロディラインとリズムを基調にしてフレーズを大きく捉えて奏でています。

3曲目はザ・サーチ
12弦ギターのアルペジオにピアノが重なって、パット・メセニー・グループの御馴染みの”尺八の様なシンセの音”でメロディです。メロディはゆったり流れるメロディなんですが、そのバックのギターとピアノはかなり細かいアルペジオを奏でます。

このアレンジはパット・メセニー・グループでは良くあるパターンなんですが、個人的にはすごく好きです。またこのパターンの曲はコードやメロディそのものが、かなり綺麗な旋律が多いんです。この曲もいいメロディだと想います。

ファーストソロはライル・メイズさん。
特に超絶なパッセージを弾くと言うことは無くて、あくまでも曲の持っている雰囲気を大切にしている感じのするソロです。特にCD Time=1:52くらいからの高音がものすごく綺麗です。ピアノを弾くことによって鳴る弦の音とともに、鍵盤の押打された木材の音が綺麗に重なって何とも言えない美しさですね。

その美しさに割り込むように3連符でパット・メセニーさんのギターが入ってきます。これはかなり変わった音なんですが、想像するに12弦ギターを左右でユニゾンしていると想われます。ですから音的には4台分のギターと言うことになりますので、強烈な広がりがあるわけです。そう考えるとこれはソロと言うよりは考えられたフレーズで中間のメロディと言った方が良いのでしょうか。もしかしたら、ハーモナイザー的なエフェクターで和音を創りソロをしていると言うこともありますが・・・。

まあ、どちらでも良い美しさがあります。終りの部分でアルペジオがクレッシェンドされてテーマへ戻るところは、これまた劇的な展開でまさに肝!です。

4曲目はアメリカン・ガレージ
ドラムのリズムからスタートしてカウントが入ると言うロック的には定番の始まり。カウントのワン・トゥーの次ぎのワン・トゥー・スリーを皆で大声で言っている所はライブ感があって良いですね。

少しファニーな感じのするメロディラインがいかにも楽しそうな曲です。所々で聴こえるライル・メイズさんのハモンドオルガンの音が良い味を出しています。

ファーストソロはパット・メセニーさん。今までの曲はどちらかと言うとかなり大きくフレーズを捉えていてカントリー的なコード和音等を使用したソロが多かったのですが、ここでは、単音の速いパッセージでハード目に奏でています。しかしロック的な曲調なんですが、フレーズ的には現在のパット・メセニーさんに近いジャズフレーズを多用しています。CD Time=1:58からの同じ音を弦を変えて連続して奏でるややトリッキーな感じの奏法とか、その後のCD Time=2:07からのクロマティックを見事に連続したフレーズなどはまさにメセニー節です。

5曲目はジ・エピック
ちょっと聴くとソプラノサックスのようなシンセの音でのメロディにシンコペーションを多用したバッキングが絡んだイントロでスタートです。その後は一息ついたようにテンポダウンしての静かなテーマ。

ピアノの綺麗なアルペジオに乗ってゆったりとパット・メセニーさんがメロディを奏でます。そして、その静寂を引き裂くかの様にドラムとベースのきっかけでテンポアップします。

この部分でのベースとピアノの左手低音部分でのユニゾンが更にテンポを加速させます。
メロディはパット・メセニーさんのギターに高音のシンセが重なっているのですが、このイメージはこの後のパット・メセニー・グループでのテーマの奏で方のルーツを聴く感じがします。例えばスティル・ライフミヌワノ(68)において、クリアトーンのギターに口笛らしき音が重なってのテーマのような感じですね。

ファーストソロはライル・メイズさん。サンバ調になったリズムに乗って軽快なパッセージを奏でます。かなり速いフレーズの中にもやはり美しさを感じてしまいます。ライル・メイズさんの奏でるメロディは女性的ですよね。まあ大変失礼ですが見た目もそんな感じがしますし・・・。とにかく綺麗です。バックも盛り上がってかなり長尺のソロを聴かせてくれます。

そのままのノリを受けてパット・メセニーさんのソロです。前半はミュートを使用してサンバ調のリズムを利用したフレーズや細かいフレーズを短く繋いでリズミカルに奏でています。後半になると速い連続したパッセージが頻出してきて次第にメセニー節になって行きます。CD Time=6:15からきっかけを創り始めて、その後でややポリリズム的な同じフレーズの繰り返しからクロマティックに下降して行く所は典型的なメセニー節で個人的には待ってました!と拍手です!

ソロの後少しメロディがあって急な展開があります。少し唐突な感じもするのですが・・・。それはブリッジ的ですぐにテーマ部分と同じテンポにダウンします。そしてしばらく静かでクラシカルな展開が続いてエンディングの劇的な進行に向かって段々と加速して行きます・・・。

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パット・メセニーさん曰く”ロック的な要素”と言う作品なんですが、ロックと言う感じはあまりしませんね。確かにビート的には8ビートを基調にしている曲が多く、またメロディもアメリカンロックテイストの曲がありますが、曲のコード進行や激しく変わる展開が多いところはロックと言ってももっとプログレ的な感じがします。さらに一枚目の想い出のサン・ロレンツォより、ごく最近の作品に近い様なドラマティックな展開を持った曲が多いような気がしました。

もうひとつロック的と言うことでみると、ロックバンドのようにバンド色が強い感じがします。

確かに曲の展開などは難しく、それぞれのパターンを連続させていくところはかなり計算されているのですが、そのひとつひとつのパターンの中では実にフリーな感じで、ライブ感とバンド色を感じます。

このあたりを指してロック的な要素ということなのかなと勝手に解釈した次第です。

この時期のパット・メセニーさんはギタリストとしてはあの名作80/81をソロ名義でリリースして、さらに本人が言っている”ECM的なスペーシーなもの”としてライル・メイズさんとウィチタ・フォールズをリリースしています。

その中での、このグループとしてのこの作品は今後のグループの方向性を指し示し、さらにパット・メセニーさんとしても、ソロ作品とスペーシーな作品とこの作品を連続していくことで、このグループの骨格がかなり明確に決まって行ったのではないか?と推測するのですが・・・。

また、この作品ではシンセサイザーをかなり有効に使用しています。これはご存知、この後のシンクラヴィアやギターシンセへと繋がって行くわけですね。

その意味でも、また楽曲のいろいろなところで現在のパット・メセニー・グループの原型が見え隠れしていると言うところでも、大変興味深い作品と言うことが出来ると想います。

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曲名
1. クロス・ザ・ハートランド
2. エアーストリーム
3. ザ・サーチ
4. アメリカン・ガレージ
5. ジ・エピック

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コメント/トラックバック (4件)

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  1. ayukiさんこんにちは。
    ほぼ同時に同じアルバム取り上げるなんて、すごい偶然ですね!コメント、先を越されてしまいました。
    PMG初期作品、今と違った魅力もあり、一方で今に通じる一貫性もあり、本当に素晴らしいと思います。
    TBさせて頂きます。よろしくお願いします。

  2. 猫ケーキさん
    コメントありがとうございます。
    他の方の記事を読んでじゃ自分も・・・と言うパターンはあるにせよ、全く下打ち合わせ無しで同じ作品をレビューするのは本当に面白いですね。

  3. 私も『アメリカン・ガレージ』の印象には,ayukiさんと近いものがあります。PMGが一番フュージョンしていた頃ですね。といってもリアルタイムに体感したわけではありませんが…。
    『アメリカン・ガレージ』を聞き返すたびに思うのは,PMGのベーシストはマーク・イーガンが良かったなぁ。
    ロドビーももちろんいいのですが,フュージョン・ファンとしてはエレベが無性に聴きたい時があったりするのです。私はPMGのエレベ作として『アメリカン・ガレージ』をお奨めします。

  4. セラピーさん
    コメントありがとうございます。
    パット・メセニーさんがウッドベースを取り入れた背景って気になりますね。今回マーク・イーガンさんのプレイをあたらめて聴いてみましたが、この時期のPMGにとってかなり重要な部分を締めていたという感じがしました。




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