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トラヴェルズ【1】/パット・メセニー・グループ 
TRAVELS/PAT METHENY GROUP

昨日は比較的暖かくwalkingしやすい日でした。暑くもなく、寒くもなく丁度良い気候。こんな秋の深まりを感じると“旅”に出たくなってきます・・・。と言うことで“旅”そう“TRAVEL”。と言うわけで昨日はパット・メセニー・グループトラヴェルズwalkingしました・・・。

この作品はパット・メセニー・グループとしては4枚目の作品です。1982年の全スケジュール80回の前米ツアーからの音源で、初のライヴ作品になります。

パット・メセニー・グループのライヴは「これがライヴ?」と想ってしまうほどのクオリティがあって、さらに、ほぼレコーディング時の機材をフルセットでツアーに持っていくということで知られていました。もちろん、最近でもその姿勢とクオリティは変わりません。実際にここ数年ずっとツアーを聴きに行ってますが、その圧倒的なクオリティ、そしてパフォーマンスは言葉にできない程です。そして私の様なアマチュア・ミュージシャン達を絶望の淵に叩き落としてくれます!なぜなら、絶対にアマチュアではコピーが不可能なステージングですから・・・。

それもそのはず、コンサートが絶対的な完成度を持ったひとつの大きな作品になっている・・・それがパット・メセニー・グループのライヴですから・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

01:ついておいで
曲全体については以前の記事オフランプで書きましたので、ここではライヴと言うことに注目して聴いて見ました。

イントロのドラムの“タ・タン♪”が入ったあとのオーディエンスの絶叫に近い歓声を聞くと、いやが上にも盛り上がります!ほぼ、オフランプと同じ感じ、音、雰囲気で進んでいきます。イメージ的にはもっとヴォイスがたくさんと言うか、大きく入っているような気がしていたのですが、それはこの後の映像作品などでのバージョンのイメージがあった為でしょうか。実際のこの演奏ではオフランプと同じ、かすかなヴォイスの雰囲気と言う感じに留まっています。

ファーストソロはライルメイズさん。音はオフランプと同じハーモニカ風の音。この後のライヴでもずっとこの音が基本です。この曲のイメージなんでしょうか。もちろん聴いている私たちも、このソロが始まったとたんに違う音で奏でられたとしたら、たぶん腰が砕けるくらいのショックを受けると想いますが・・・。

CD Time=3:20からの和音でのベンドフレーズなどは定番で、けっこうオフランプのソロイメージが強烈な為か、それに従ったソロを展開しています。

また密かな聴き所として、このソロでのパット・メセニーさんのバッキングはけっこう歯切れの良い音を入れたり、内声音を動かしたコードワークを多用したりしてなかなか暴れていて、かなり心地よい感じです。

そしてこれまたこの音!でなければならないと言う必然性さえ感じてしまうパット・メセニーさんのギターシンセでのソロが続きます。ライヴと言うことでの多少の荒さがあったりしますが、あまりにもオフランプのソロイメージが強い為でしょうか、基本的にはオフランプのソロに従ったソロの展開です。

CD Time=5:30のエフェクトチェンジでオクターブ上にギターの音程を上げた後の高音の雄叫びフレーズ、CD Time=6:28のまさに叫びの様な下に弦を引っ張る独特のチョーキングフレーズ、CD Time=7:15の弾きながら”足を揃えて少し飛び上がる”パフォーマンスがカッコ良い、駆け上がりフレーズの連続・・・。

現在に通じる定番のフレーズが連発していますが、逆についておいでのソロには、このフレーズが無くては!と言うことですね。

エンディング部分にスタジオとの大きな違いがあって、だいぶ長くギターシンセの雄叫びが続いてから静かにエンディングになります。ここはライヴならではのノリでオーディエンスの歓声も重なって劇的な感じさえします。

最後の静かなギターのトリルの部分で、何故かA=ラの音が何回か入るのですが、これが出てしまったミストーンなのか、意図的なのか解りませんが、個人的にはけっこう効果的だと想います・・・。

この演奏にはシンクラビア・システムがかなり本格的に使用されている様子が伺えます。オフランプはスタジオ録音でしたので、どのくらい利用していたのか良く解らないところがありました。主にシーケンサーとして使用している様子で、テーマの部分やギターの特徴的なミュートカッティングなどが打ち込まれている感じですね。特にライル・メイズさんのソロの部分で良く解ります。これは、私の勝手な推測なのでもし間違えがありましたらご指摘ください。

余談ですが、本当に打ち込みと同期しているかどうかちょっと興味があったので、オフランプと時間を比べて見たのですが、最後のリタルダントの前までは7:55でほぼオフランプと同じタイムでした。つまり全く同じテンポでの演奏と言うことになりますね。

02:ザ・フィールズ、ザ・スカイ
この曲は当時の新録音でしょうか?パーカッションでリズムを刻んで行く中にも、おおらかなアメリカの大地を連想させるカントリーテイストの曲です。

流れるようなパット・メセニーさんのギターソロに、少しうめき声風のナナ・ヴァスコンセロスさんのヴォイスがカッコ良いです。

CD Time=3:25からのパット・メセニーさんのG=ソの音を中心に鳴らしながら奏でていくフレーズはちょっとバンジョーの様な感じでもあります。その後のカッティングはまさにフォーク的。タイトル通りの大きな空が浮かんでくる演奏です。

03:グッドバイ
この曲も新録音のようですが。ナナ・ヴァスコンセロスさんのヴォーカルの入ったバラードトラックです。最近のリチャード・ボナさんの歌っている楽曲に近い雰囲気があってルーツを聴く想いがしました。リチャード・ボナさんとはまた違った雰囲気の声ですが、少しかすれ気味の声が実に良い味を出しています。吸い込まれそうなオーラを感じる声と歌ですね。

綺麗な曲ですが、即興的な雰囲気のある演奏でジャズ的です。1曲目のついておいでとは対照的なスタンスの曲です。CD Time=4:25からのパット・メセニーさんのソロは2~3音での和音を使ったフレーズを中心に奏でます。特にCD Time=5:00過ぎからソロのエンディングまでの展開が珠玉の美しさです。

04:フェイズ・ダンス
想い出のサン・ロレンツォに入っているナンバーです。スピーキング・オヴ・ナウのツアーで、全員が入るセットでのオープニングで、この曲のイントロが流れた瞬間に想わず「オーッ!」と言う歓声と言うか驚きの声が上がったのを覚えています。まさに旧友との再会!って言う感じでした。それくらいパット・メセニー・グループのファンには懐かしく、また御馴染みの曲ですね。

パット・メセニーさんのソロは曲に乗って流れるようなラインを奏でています。CD Time=2:32からのポリリズム的なフレーズをかなり長いフレーズで発展させているのが興味深いです。このフレーズはけっこう最近でも出てくる定番フレーズ。でもこのように長くしかもバリエーションをいろいろつけてのフレーズはあまりないので、昔のライヴですが逆に新鮮だったりします。

ライル・メイズさんのソロは短いのですが、それでも綺麗なピアノラインで聴き応えがあります。

このライヴ作品でのピアノのソロ音は高音が右チャンネルで低音部分がセンターあたりに定位しています。ですからライヴ感があってかつ左手の歯切れの良いコードワークが良く聴き取れます。ちなみにパット・メセニーさんのギターは中心から左寄りで、丁度ライル・メイズさんと対象の位置関係になっています。さらに、中心部分にドラム、パーカッション、ベースを集約する様な音の定位で、これが流れるリズムに、空間を浮遊するようなメロディが広がる、と言う音像を創っていると想います。

エンディングに近い部分でイントロのパターンを繰り返しつつ、コードが変わって行くアレンジ部分はいつ聴いてもカッコ良いですね。また、ライヴの為のリハーサルをかなり積んだためか、この部分でのバンドアンサンブルは異常なまとまりを感じます。特にクレッシェンドやデクレッシェンドなどは抑揚が怒涛の如くうねって聴こえますね。

CD Time=5:30のパット・メセニーさんのテーマのミスはご愛嬌としても(あら捜しのようで恐縮ですが・・・)曲が良い!演奏が良い!ノリが良い!バンドアンサンブルが良い!と言う名演です。

05:ストレイト・オン・レッド
パーカッションのナナ・ヴァスコンセロスさんとドラムのダン・ゴッドリーブさんの強力なラテンビートからスタートするこれまた新録音の楽曲。個人的には大好きな曲です。

テーマのコード進行がカッコ良く、バックの激しいビートの逆を行くような3連符でゆったりとしたメロディラインをピアノとギターで奏でます。

ちょっとしたユニゾンの後の、サビ前の部分にメロディは無く、あるのは流れ狂うリズムに弾け飛び、いろいろな方向へ煌びやかな輝きと共に舞う水しぶき・・・。

そしてサビではあちらこちらに飛び散った水滴が一滴づつ落ちて行く・・・。

サビのメロディが少しバックとずれて聴こえる所が何と言っても肝!です。良く聴くとメロディが16分音符で食っているので少しずれたように聴こえています。見事なアレンジと言うかメロディラインですね。その為、“水滴が一滴づつ落ちて行く・・・”と言うイメージが浮かんだのです。
これは演奏もかなり大変だと想うのですが、もちろんパット・メセニーさんとライル・メイズさんに狂いは無いようです。

ファーストソロはライル・メイズさん。ライル・メイズさんはコードワークを多用して高音をアルペジオ風に奏でる感じがイメージなんですが、このソロはリズムに乗って速いパッセージを連続していきます。ラインがジャズ的で左手のバッキングも絶妙なタイミングで入ってきます。CD Time=3:34からの典型的なラテンピアノフレーズから怒涛の右手左手のコンビネーションを聴かせてくれます。

ライル・メイズさんのソロの後はドラムとパーカッションのソロ。基本的にはそのままのリズムを延々と刻んでいきます。途中で少し展開が変わる部分がありますが、それもわずかで、基本的にはビート勝負のリズム合戦です。それにしても一定のリズムだけなのですが、全く飽きず、さらに強力なビート感が恐ろしいほどの迫力です。

サビに戻って2コーラス目のCD Time=6:22からは、パット・メセニーさんの、リー・リトナーさんの得意技のような、単音ミュートのバッキングからオクターブ奏法でのバッキングを聴くことができます。

そしてEm7からFm6に転調してエンディングへ・・・。

この曲のラテンビートが強力なのは、ドラムとパーカッションはもちろんなんですが、スティーヴ・ロドビーさんのベースがかなりその役を担っていると想います。ここでの演奏はウッドベースです。意図的に単純に、しかもおかずあまり入れないで、ひたすらスタッカートぎみに刻むと言う”おしん”的な奏法です。

しかもウッドベースの持っている箱的でパーカッシブな感じがマッチしていて、効果を上げていると想います。パット・メセニー・グループにウッドベースが入った効果的な一面を聴く想いがしました。

06:ファーマーズ・トラスト
この曲は数あるバラードの中でも珠玉の名作だと想います。とにかく綺麗で優しいメロディが何とも言えない郷愁を感じます。

テーマはナイロン弦のアコースティックギターです。比較的固めの音ですが、これがパット・メセニーさんのナイロン弦の弾き方の特徴でもあります。ギターはたぶんオベーションのナイロンだと想うのですが、もしかしたらまだ使用していなかったかも知れませんが・・・。

おおらかな3/4拍子。ピアノとベースとギターのトリオを基本に演奏され、鳥のさえずりがSEで初めから終わりまで重なって、広大な自然を感じさせてくれる演奏です。これは、ライヴ会場でも流れていたのでしょうか?オーディエンスの反応も全く収録されていないので、このトラックのみスタジオ的な雰囲気もありますが・・・。まあどちらにしても名曲ですね。

余談ですが、パット・メセニーさんの特徴のあるナイロン弦の音。実はこの音は意外に近い音がご家庭でも出すことができます。ティアドロップ形のピックの丸い部分でギターのブリッジ近くでややピックを斜めに弦に当てると”擬似パット・メセニーナイロン弦サウンド”になります。もちろん音が似ていると言うことのみですが・・・。

【DISC1】の最後を飾るにはあまりに美し過ぎて涙がでます・・・。

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とりあえず2枚組みなので、実は1枚づつ別の日に聴こうと想ったのですが、良く考えてみたら、これは2枚でひとつの作品、しかも流れのあるライヴ作品。トータルでレビューするためには、やはり連続して最後まで聴かないと、その真意が見えない!・・・かも。

そんな訳で続きは後ほど・・・。
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曲名
1. ついておいで
2. ザ・フィールズ,ザ・スカイ
3. グッドバイ
4. フェイズ・ダンス
5. ストレート・オン・レッド
6. ファーマーズ・トラスト

1. エクストラディション
2. ゴーイン・アヘッド/ウィチタ・フォールズ
3. トラヴェルズ
4. ソング・フォー・ビルバオ
5. 想い出のサン・ロレンツォ

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コメント/トラックバック (4件)

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  1. ayukiさん
    いつもながらの詳細なレビュー素晴らしいです。
    スピーキング・オヴ・ナウ・ツアーの「フェイズダンス」再演は嬉しかったですね。作品の性質上、DVDには収録されなかったのはちょっと残念でした。

  2. 『トラベルズ』! いいですよね~。
    【DISK1】のハイライトと言えば,私的には【フェイズ・ダンス】と【ファーマーズ・トラスト】です。
    ayukiさんの【ファーマーズ・トラスト】評を読んで,初めてあのSEって会場でも流れたのか,疑問が湧き上がりました。おっしゃるとおり確かに疑問ですね。スタジオ録音なのか?(それはない。でも…)
    明日の【DISK2】。2と3と5に力を入れていただければ,PMGファンとしては大変うれしいです。

  3. 猫ケーキさん
    コメントありがとうございます。
    「フェイズダンス」があのDVDに収録されなかったのはすごいショックでした。あの時の演奏は、この作品以上の抑揚があってすごい演奏だっただけに・・・。

  4. セラピーさん
    コメントありがとうございます。
    あのSEが会場でも流れていたとすれば、会場はかなり優しいムードに包まれて素晴らしい演奏だったでしょうね。今日【DISK2】をアップします。また、コメントをお聞かせください。




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