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ウェルカム・トゥ・ザ・ローズ・ガーデン/T-スクェア

今日はT-スクェアウェルカム・トゥ・ザ・ローズ・ガーデンです・・・。久しぶりに聴いて紐解いてみました。この作品はT-スクェアの1995年、20作目のアルバムです。

 
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01:トライアンフ
1拍休んで2拍目から、ドラムの則竹裕之さんのリフからスタートするT-スクェアらしい明るい8ビートが弾けます。

テーマは本田雅人さんのEWI。イントロは8ビートで2拍4拍でスネアが入って軽快なんですが、テーマの部分はハーフスピードになっています。サビの部分で再び2拍4拍でスネアが入ってきてビートが加速していきます。いろいろなアレンジの仕方があると想いますが、サビを特に印象付けるには良い方法だと想います。

またこのサビの部分はT-スクェアの代表的なサウンドでもあるEWIと歪んだギターのユニゾン。音色が似ている為か、一体化して聴こえるのが特徴的であり魅力ですね。

特にこの曲では、音色だけではなくてアーティキュレーションも合わせる様にしている感じで、かなり緻密にアレンジと打ち合わせをしている様子が伺えます。

ファーストソロは本田雅人さん。前半は8ビートにノッてスタッカートで歯切れの良いフレーズを奏でます。サビのパターンに入ると、怒涛の速吹きの連続で、特にCD Time=2:28からエンディングまでは『息継ぎしている?』って聞きたくなる程フレーズが連続しています。

テーマに戻りサビへ。そしてそのままイントロのパターンへ突入して安藤まさひろさんのソロです。ロック的なフレーズを基調にして流れるような下降フレーズをポイントにソロを奏でていきます。この歪んだ音はかなり良い音で、決して耳ざわりではなく丁度良い歪みなんですが、しっかりと歪んでいる音。特に低音部分が必要以上にブーストされていなくてギター全体のバランスが非常に良いと想います。

私は以前T-スクェアのコピーバンドをしていました。その時代に何回も演奏した曲です。聴き飽きているくらい聴いたのですが実は今回は少し違いました。個人的なことなんですが、少し嫌なことがありまして精神的に少し落ち込んでいました。そんな時に今日この曲を聴いたら不思議と元気が出るんですね。前向きな意欲を与えてくれる感じがしました。

02:クラウン&ローゼズ
イントロのブラスセクションのフレーズがちょっとしたリフなんですが、この後のリズムトラップへの伏線的な意味合いがあって効果的です。このブラスの部分は拍が取り難いようなフレーズになっていて、さらに続く8分音符が拍頭に聴こえると、それはもうトラップにハマっています!私はまんまんとハマリました。実際は4拍目から8分喰ってスタートしているのですが、どうしても頭に聴こえるんです・・・。最近はそうでもないのですが、コピーバンド時代は、皆何故かハマって、特にドラムがハマッていたので、この部分をあわせるのが大変でした。

前のトライアンフとは違った少し重めの8ビートです。EWIのテーマも曲名の通りに気品と優雅さをもったメロディですね。中サビの静かな部分を挟んでサビです。ここもEWIとギターのユニゾン。緻密な感じはトライアンフと一緒です。このサビも良く練られた感じのする完成度をもっています。特にブラスセクションがメロディの合い間を縫って絶妙なタイミングで入っていますね

さらに、ビートがけっこう強いにも関わらず、バックのヴォコーダー風の音のシンセが白玉で綺麗なカウンターメロディを奏でています。

サビをワンコーラス終えた直後のCD Time=1:37からのリズム隊とブラスのユニゾン的なリフは、スーッと通り過ぎてしまう部分なんですが、実はこの部分のリズムは、頭が喰っていたり、3連的な感じがあったりして難しいんです。さり気無くあわせるところがさすがです。

再びイントロに戻ります。CD Time=2:02から入るのドラムの則竹裕之さんのおかずが絶妙です。またその後のCD Time=2:21からのスネアのロールもサプライズで印象深いです。

曲は転調して安藤まさひろさんのソロです。コード進行がなかなか掴み難い進行なんですが、基本的にはワンスケールで弾き通そうと想えばできなくもない進行です。もちろん、安藤まさひろさんはそんなわけなくて、オルタードやデミニッシュなどの特徴的な響きのするスケールを上手く使用して、ソロ全体の流れを創っています。特にソロの最後の部分、CD Time=2:50からのフレーズはテーマに戻る前のアクセントになっていて肝!です。

エンディグソロは本田雅人さんのEWI。歯切れ良く流れていくフレーズですが、またここでも『息継ぎしてる?』って言う感じの怒涛の連続フレーズを聴かせてくれます。特にCD Time=4:07から4:22までは良く聴いて見ると本当に切れ目が聴こえないんです。そう言えば、管楽器などを吹きながらも鼻から呼吸をするという技が出来る方がいるようですが・・・。

でも、さり気無く聴いている分には凄いフレーズだ!と想うのですが、集中して聴いていると、聴いているこちらも息苦しく感じてしまいます・・・。

CD Time=4:30からの則竹裕之さんの”しかけ”がいいですね。でも誰もノッてこないところはちょっと寂しい感じですが・・・。

今回改めて聴いて気がついたのは、イントロ部分のコード進行はサビの部分のコード進行をモチーフにしていると言うことです。更に中サビの静かな部分も同じようなコード進行を持っています。非常に計算されていて、アレンジが見事な曲です。

また、メロディも前半は優雅に王族の香りで、サビの部分は激しめの貴族的な香りがします。さらに、安藤まさひろさんのソロは圧巻の出来で、まとまり過ぎていて逆に耳をスルーしてしまう感もあるのですが、音の選択やスケールの選択が丁寧で良く考えられていると想います。トータルで非常に完成度の高い名曲だと想います。

03:ヒストリー
ストリングスのクラシカルな旋律からちょっとベタな感じもするマイナーな8ビートへ。

EWIとギターの旋律が何か哀愁が漂っているメロディでこれは好みが分かれるところ。EWIのテーマはマイナーな中にもメジャーな響きがあってこちらも哀愁漂うメロディ。

ファーストソロは安藤まさひろさん。スタート直後はスケール練習の様なフーレズを展開しているのですが、それでも只者ではない!ので、CD Time=3:08からの転調した後はスケール練習を飛び越えて、発展させたフレーズを弾き抜きます。

それを受けて本田雅人さんのソロは、1曲目から続いている『息継ぎしてる?フレーズ』がここでも炸裂しています。

ここまで3曲。少し疲れましたのでサックスが聴きたいところなんですが・・・。

04:サニーサイド・クルーズ
この曲はベースの須藤満さんの曲。ベーシストが創ったとは想えないような、軽快で洒落たメロディを持った曲です。

テーマは和泉宏隆さんのピアノが軽快に奏でていきます。そしてサビになり、やっと聴くことができる本田雅人さんのサックスが登場です。

ファーストソロは須藤満さんの軽快なスラップでのソロです。それを受けて和泉宏隆さんのピアノソロ。流れるようなラインとリリカルなフレーズがいいですね。

中サビに戻ってのCD Time=3:14、則竹裕之さんのスネアが付点8分休符遅れて入るところが肝!です。少し曲全体が突っかかったような感じに一瞬なりますが、個人的には何回も聴いていくうちにクセになるフレーズです。

そしてエンディングは本田雅人さんのサックスソロです。以前にも書いたことがありますが、絶対的に本田雅人さんはサックスの方が良いです。もちろんEWIも上手いのですがサックスの方がより上手いと言うか。

CD Time=4:13の入りの部分の速い3連符から流れるようなフレーズを奏で6連符の上下のラインで繋いで、CD Time=4:19の一瞬のブレイクから細かいタンギングを使用したフレーズへいき、CD Time=4:22の効果的なベンドからフレーズを繋ぎ、CD Time=4:23下降する16分符のラインを3連符で締めて、次のコーラスの頭のCD Time=4:30からのフラジオのロングトーンへ・・・。この流れ凄いと想います!

また、CD Time=4:50では則竹裕之さんがまたスネアをずらします。こちらの方が一瞬拍を失いそうになりますが、先ほどより個人的には肝!です。それにしてもこれをバンドの中でドラマーにやられたらドラマーはニッコリでしょうけど、他のメンバーは焦りますね。この様なかけ引きは大好きです!

05:スプラッシュ!
ブラスがバリバリに入ったファンキーなナンバーです。本田雅人さんの曲なんですが、イントロからいきなりのフラジオでのロングトーンがさらにファンキーさを増大させています。

テーマが終わってからオーケストラヒットやブラスなどでユニゾンをするブリッジ。このバックで則竹裕之さんがソロを奏でます。CD Time=2:11からのまさに流れるタムまわしは、もの凄い粒揃いで呆気にとられます。

その激しいソロの後は本田雅人さんのソロ。ソロ頭のフラジオのロングトーン。かなり長く音を延ばしているのですが、CD Time=2:22からさらに1音半上げて、ロングトーンにアーティキュレーションをつけて吹き抜きます。その後は低めの音でタンギングを使用した16分音符で同じ音を続けるフレーズをモチーフに展開します。フレーズ的にはテナーやバリトンサックスなどで吹くような感じのフレーズです。本田雅人さんのボキャブラリの多彩さを感じますね。

そして最後のエンディングもフラジオのロングトーン。最後の最後までサックス満載と言う感じの曲です。

06:ランドスケープ
3/4拍子と4/4拍子が混ざり合った変拍子の雰囲気を持った曲です。T-スクェアの曲としてはあまり無い感じの曲ですね。

CD Time=1:52から和泉宏隆さんのピアノソロです。バックが音を落として、ピアノをピックアップします。高音を中心にしてささやく様なフレーズ。そして綺麗なコード進行にノッて美しいメロディを奏でていきます。

このソロを聴いていて想い出したのが、いつのツアーだったか忘れましたがパット・メセニー・グループのライヴの時に和泉宏隆さんがセンターの前から5~6列目くらいに座っていたことです。この部分まさにライル・メイズさんの様です。そう言えば変拍子と言う曲調もパット・メセニー・グループの十八番ですね。

07:41,バーセニア・ロード
打ち込みの様な雰囲気のあるビートにノッて、ギターと今度はサックスのユニゾンでテーマです。ギターとの部分はややラウドに吹いていてファンキーさを醸しだしていますが、サビの部分では一転して優しいトーンで吹いています。このコントラストが見事ですね。

08:ジ・オータム・オヴ・’75
ピアノから始まるバラード。T-スクェアでバラードと言えば作曲は和泉宏隆さん。安藤まさひろさんのナイロン弦が奏でるテーマが優しいメロディを引き立てます。

サビはハーモニカでの旋律。これはEWIでのサンプリング音だと想います。確かに曲調としてこの場面でのハーモニカは解りますが、個人的にはしっくりこないんです。その後ハーモニカ音でのソロがありますが、音のみならずフレーズもハーモニカフレーズを奏でています。どうしてもEWIでのハーモニカって違和感があるんですよね。個人的な感覚なんですが・・・。

多分ハーモニカがけっこう好きで、トゥーツ・シールマンスさんやリー・オスカーさんなどを良く聴くので、模倣していると言う意味において違和感があるのだと想いますが・・・。

上手く書けないのですが、例えばライル・メイズさんのハーモニカ音でのソロには、ハーモニカを模倣した感じがなく、むしろ自然。つまりこの音でなければならないと言う必然性を感じるのですが・・・。曲が良いだけに個人的には残念なんです・・・。

09:プライム・タイム
RESORTに収録されていたオリジナルの本田雅人さんバージョンと言ったら良いでしょうか。ベースの8分音符のラインに合わせてドラムがハイハットでリズムを刻まないで、タムなどを8分で刻んでいくと言う少し変わったリズムアプローチをしています。その為か全体的に騒がしい感じがあるのですが、逆にそれが何とも言えないグルーヴを生み出しています。安藤まさひろさんのソロも本田雅人さんのソロもまとまっていて、曲全体を締めている感じです。

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この作品は非常にバランスの良い作品だと想います。全体の曲流れなど良く考えて創ってあると言う感じですね。

1曲目はいかにもT-スクェアらしい明るい8ビート。そして2曲目が複雑なコード進行の中にも優雅な香りのする8ビート。3曲目が哀愁のあるメロディの8ビート。

ここまでのEWIの怒涛の波状攻撃に疲れたところで4曲目の爽やかさと軽快さ。そしてアルトサックスの音色。でも後半の熱いアルトサックスのソロはそのまま5曲目のファンキーな曲へなだれ込み、サックスもフラジオ大会の様相。

サックスに疲れると、今度は再びEWIのテーマで変拍子の幻想的な雰囲気をもった6曲目へ。そして打ち込みのムードがある7曲目でワンポイント置いてから綺麗なバラードの8曲目へ。

一息ついたところで激しいリズムのプライムタイムでエンディング・・・。

先ほども書きましたが、この作品はコピーバンドをしていた為かなり聴きました。それこそ隅々まで、粗まで聴き込んだつもりです。そして今回改めて聴いて見て、意外に聴いていたようで聴いていなかった、と言うか気がつかなかった部分があったりして・・・。それでも本当に、純粋に、いい作品だと想いました。

それは、コピーバンドをしていたときの様な、ギターの音のみを追いかけていたり、自分達のバンドで上手くいかない部分ばかりに耳を集中させていたりする、いわゆる演奏をすると言う観点で聴いていた時期とは全く違う印象でした。

音楽は、その時々の自分の”いろいろなもの”や”ことがら”によって感じ方が違うんだと言うことを、まさに実感しました。

音楽は感じたもの勝ち!

パーソナルな部分に直結する音楽の面白さを肌で感じた次第です。

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曲名
1. トライアンフ
2. クラウン&ローゼズ
3. ヒストリー
4. サニーサイド・クルーズ
5. スプラッシュ!
6. ランドスケープ
7. 41,パーセニア・ロード
8. ジ・オータム・オブ・’75
9. プライム・タイム

2007/12/12 | T-スクエア

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  1. こんばんは。
    このところのアルバム紹介の深さにいつも感動しております。
    そうだったんだ~!と勉強になることばかりです。
    本田さんはオーボエ吹きに必要なテクニックで
    息を吸いながら同時に口から息を出して演奏するという
    高度なテクニックで演奏しているのかもしれません。
    テクニックの名前は忘れましたが、、、
    このテクニックが必要なオーボエの曲がありますので
    本田さんが同じテクニックを習得している可能性は高いかもしれません。
    でも、あのようなフレーズを息を吸うのと同時に吹くということ事態がすごすぎると思います。

  2. bonejiveさん
    コメントありがとうございます。
    お褒めいただきましてありがとうございます。個人的には長々していてもっと簡潔にまとめられないかと想っているのですが・・・。
    そう言えば。マーカス・ミラーさんが、鼻から吸いながらサックスを吹くことが出来ると聴いたことがあるのですが・・・。

  3. EWIはサックス等よりも少量の息で音が出せるので、息継ぎの間隔が長くできるようです。
    とはいっても凄いですね本田さん。

  4. 名無しさん
    コメントありがとうございます。
    そうですか。私はEWIで遊んだことがありますが、私には結構キツかったです。仰る通りに本田さんは凄いですね。またコメントをくださいませ。




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