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アイズ・オヴ・マインド/カシオペア



今回はカシオペアアイズ・オヴ・マインドwalkingをしました・・・。

カシオペアを巡るスーパー・フライトも5作品目に入りました。この作品は1981年の作品で、ご存知ドラマーのハービー・メイソンさんをプロデューサーに迎えて録音された作品です。

曲はお馴染みの曲のリメイクがほとんどで、ベスト盤的な色合いも持っています。当時はリアルタイムで聴いたのですが、全体にすっきりとした印象があって曲のアレンジに驚きもありましたが、同時に不満もあったことを思い出します。物凄く久しぶりに聴きます・・・。

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01:朝焼け
オリジナルは2作目のスーパー・フライト。大きな違いはそのビートです。これでもか!と言うくらい強い1拍ごとのバスドラムとスネアがアレンジの中心になっています。

もともと、この曲はオリジナルでも、特にサビの部分などには、このような1拍ごとの強いビートがあった曲なのでそこに目をつけたのがハービー・メイソンさんと言うことのようです。最初から最後までそのビートをキープしたまま曲は進んでいきます。

またドラムの神保彰さんのバスドラがかなりブーストされていて、その他のスネアやタム、ハイハットなどは極力抑えて録音されています。さらに、カウベルやハンドクラップ、タンバリンなども拍ビートを一緒に刻んでいるので、少しキツすぎる感じがするのですが・・・。

それに加えて、ベースの桜井哲夫さんのビートが完全に4分音を意識したプレイになっていて、切れがあると言う感じではなくて、ややルーズな感じのプレイになっているのも、拍ビートの強さに加担していきます。

ところが、ギターの野呂一生さんととキーボードの向谷実さんは、イントロの16ビートのパターンをテーマのバックでも刻むと言うアレンジになっています。

ですから、16ビートの流れを抑制するように拍で強いビートが入っていて、結果、16ビートでありながらも、忙しさがなく、スムーズで、安定感のある落ち着いた流れで、聴きやすいリズムになったと言えると思います。曲の構成もだいぶシンプルにアレンジされています。同時に演奏もだいぶシンプルに演奏をしていて、解りやすくなっていると思います。

私はカシオペアのコピーバンドをしていたのですが、朝焼けはどちらのバージョンも演奏しました。弾いていて面白いと想ったのは、オリジナルの方です。それでも全体のシンプルさや、演奏の難易度が簡単と言うことでこちらのバージョンに切り替えたと言うことを思い出しました。

CD Time=3:45はフェードアウト直前なんですが、ベースの桜井哲夫さんのパターンが変わってこれから盛り上がる!と言うようなところで終わっています。作品全体に言えることなんですが、ちょっとフェードアウトが早い!と想うような曲が他にも何曲かありますね。

02:ア・プレイス・イン・ザ・サン
神保彰さんの跳ねたリスムのハイハットワーク。そこに裏リズムでリムショットが絡んで、さらに向谷実さんの印象的なエレピのリフでスタートするこの曲は、ハービー・メイソンさんの曲のようです。

ベースとギターがインしてからのドラムワークは、シンプルなんですが、ベースとの息がぴったり合っていて、裏ビートが強く、全体に前のめりなリズムが心地よいです。野呂一生さんのフェーザー(フランジャーかも?)をかけたカッティングも歯切れが良いですね。

非常に明るいメロディと曲調で、『カシオペアにしては珍しい部類の曲』と野呂一生さんが言っていますが、私は非常にカシオペアらしい曲だと想います。
これは、この作品以後のカシオペアを知っているからであって、当時としてはそう言われると、このタイプの曲は珍しかったのかな・・・と思います。逆に、以後のカシオペアの楽曲の中に、この曲にインプロヴァイズされて出来たものがけっこうある、と言えるかも知れませんね。

ファーストソロは野呂一生さん。ヴォリューム奏法からゆったりとした展開でスタートしていきます。全体的に速弾きを抑えてあくまでも曲調に合った楽しげなラインをクリアトーンでメロディアスに歌っていきます。

続いて向谷実さんのシンセソロ。こちらも歯切れ良さやアタックの強さを抑えて、緩やかにソロを展開しています。シンセの音自体もフワッとした感じの音なので、温か味も感じますね。

03:テイク・ミー
この曲もオリジナルよりすっきりして解りやすくなったと思います。特にドラムがかなりシンプルにビートを叩くようにアレンジをされています。全体の録音も音の分離がかなりはっきりしていて、バックの音源も十分に聴き分けることが出来ますね。その分、少しヴォリュームを落とし気味で聴くと、楽器と楽器の間にある隙間?の様な妙な空間を感じます。

ファーストソロは野呂一生さん。オリジナルとは違って、このアレンジではクリアトーンのギターにオクターバーでオクターブ下の音を加えて奏でています。アドリブラインは丁寧でメロディアスですね。

その後のピアノのクラシカルな展開のブリッジでは、神保彰さんの細かいスネアワークを聴くことが出来るのですが、これもだいぶ音像としては奥に入ったような録音で、凄いことをしているけど、さり気無い・・・と言う感じの録音になっています。

そしてピアノソロ・・・と思いきや、このアレンジでは後テーマに戻ってエンディングとなります。

オリジナルのこの曲は、ストリングスなどが厚く入っていて、それなりに好きでなんですが、こちらのアレンジは、音の種類の多さだと負けない位の数が入っています。それでも全体のバランスが上手い為に、いたってシンプルに聴こえると言う結果になっています。このあたりの聴き比べはかなり面白いかも知れませんね。

04:ラカイ
ハービー・メイソンさんとボブ・ジェームスさんの共作の曲。イントロのピアノのリフが心地よく、想わず海辺が映像として浮かんできそうです。

この部分の最初の4小節はピアノのみで、その後でストリングのフェードインと共に、ギターのミュートカッティングが同じリフを奏でます。このギターのレベルが少し大きく、また動いている音のバランスがやや悪いので、平坦な感じに聴こえてしまっています。

爽やかなメロディに、リフをそのままバッキングに使用して曲は進みます。落ち着いた良いアレンジですね。

ファーストソロは向谷実さんのピアノ。シンプルなラインで、丁寧に演奏をしています。熱いものなどは無いのですが、それは逆に不要で、淡々と弾くことで曲の持っている穏やかさを醸しだしています。

続いて野呂一生さんのソロです。まあ、ソロと言うよりはサブテーマの様な部分ですね。少し変わった音で、一聴ギターシンセかとも想ったのですがライナーノーツをみると違うようです。多分、軽く歪ませたギターにハーモナイザーの様なエフェクトをかけて音をダブらせているのではないかと思うのですが・・・。印象に残る音ですね。

05:アイズ・オヴ・ザ・マインド
オリジナルと比べると随分シンプルになったイントロです。いくぶんテンポアップがされていて軽快なアレンジです。特にパーカッションがけっこう暴れていて曲に華を添えています。パーカッションはポウリーニョ・ダ・コスタさんとハービー・メイソンさん。

テーマを奏でるシンセも琴風と言うか和風な感じ。オリジナルの少しファニーで潰れたような音に比べると透明感がある音です。これだけでもだいぶイメージが変わります。

ファーストソロは野呂一生さん。オリジナルのソロと比べると、だいぶ抑えたソロです。ラインがかなりまとまっていてインプロヴィゼーションと言うよりは、サブテーマ的にメロディを奏でています。解り易いラインで、ギターコピーをするにも、オリジナルより遥かに弾きやすいと思います。

その後のサビの部分ですが、ギターとシンセのユニゾンと言う形はオリジナルと変わらないのですが、大きく違うのが、まずリズム。

こちらはあくまでも流れを意識していて、曲の始めから一貫してストレートな流れのまま突入していきます。オリジナルの方は、もう少しメリハリがあったように感じます。

もうひとつは、シンセ。オリジナルでは和音でこの部分を弾いていて全体的な厚みを演出しています。それがこちらでは単音でのギターとのユニゾンになっています。非常にシンプルになって、先ほどの流れの加速を助けているラインだと思います。それでも、スポッと抜けたような感じもあって、この部分のインパクトを消してしまっているような感じもします。また、このシンセの単音はサビ前の中サビの部分でも同じで、オリジナルは和音で弾いています。

エンディングはギターとシンセのユニゾンをはさみながら野呂一生さんがソロを奏でます。これもまたフェードアウト近くでかなり速いパッセージなどで盛り上がって来ているのですが・・・。やはりフェードアウトが少し早い感じです・・・。

個人的には、壮大な感じで、少しゆったりと流れるオリジナルの方が好きなんですが・・・。これも好みが分かれるところですね。

06:ブラック・ジョーク
イントロ部分の6連符のユニゾンが印象的な曲ですが、この部分はオリジナルに比べるとかなりクリアになっているように思います。演奏のテクニックも含めて格段に成長しているカシオペアを感じることができますね。
テーマに入ると、神保彰さんのハイハットワークにパーカッションが重なった16ビートがリズムを引っぱります。もう少し切れのある演出でも良い感じがしたのですが、その分ハードな感じは出ていると想います。それでも全体的なドラムのリズムはやはりシンプルで、特にサビの部分などは淡々とリズムを刻んでいるので、ここでも一貫した『流れを意識したアレンジ』になっていると言えるでしょうか。

ファーストソロは向谷実さん。オリジナルのキメのパターンでソロを展開します。この部分はオリジナルよりもソリストとしては盛り上がるバッキングです。ソロにこの部分のバッキングパターンを持ってくると言うのは、なかなか気がつきそうで気がつかないアレンジだと想いました。その、バッキングの合い間を縫うように、シンセがスペーシーに駆け巡ります。

そして野呂一生さんのソロです。こちらもハードにキメています。それでもシンプルなラインで作品全体の流れを損なうことが無いように、良く考えたソロと言う感じがします。

07:ラ・コスタ・イントロ
シンセのイントロダクション。プログラムはマイケル・ボディガーさん。幻想的な雰囲気で次の曲へ繋ぎます。でも少し短めでしょうか。もう少し長くても良いと思うのですが。

08:ラ・コスタ
ラテンのリズムで進むボブ・ジェームスさんの曲。しばらくイントロからテーマを聴いてもなかなか想い出せませんでした。と言うか正直に全く解らなかったと言うのが真相です。

この作品は何回も聴いたはずなんですが・・・。だぶん当時はあまりカシオペアらしさを感じない大人しい曲調の為に飛ばしていたのだと思います。

テーマの野呂一生さんのクリアトーンでのオクターブ奏法に、ヴォイスやシンセストリングスが絡んで進みます。

サビの部分に入ると、ピアノがいきなりフューチャーされるのですが、あくまでもサビのメロディのイントロダクション。すぐにギターがサビを引き継ぎます。

そして、この曲の一番キャッチーな部分であるCD Time=1:02からの部分。ここは、シンセとギターのユニゾンでメロディを奏で、すぐ今度はギターとベースの印象的なユニゾンへ。

すかさずBmaj7での一発和音。この和音の部分はパット・メセニー・グループ想い出のサン・ロレンツォを想い出します。

そして、さらに複雑に拍子を変えたり、その間をユニゾンが変化しながら繋いだりして進みます。

流石のボブ・ジェームスさん、と言う感じの見事な楽曲だと思います。

その流れを受けての野呂一生さんのソロ。クリアトーンでジャージーに奏でていきます。前半はたくさんの音を使用しないで流れを創ります。CD Time=1:34からはコード展開しますが、ここのスケールチェンジ後のフレーズが流れるようで見事です。CD Time=1:44のダウンフレーズは粒揃いで、リー・リトナーさんを想わせるラインです。もっと聴きたい!と言うところで向谷実さんのピアノソロへチェンジします。

ここでは、高い音を使用して、リリカルに奏でています。ちょっとライル・メイズさんぽさもあったり・・・。CD Time=2:03からの和音でのラインが非常に優しい音質で綺麗な流れを創っています。こちらも、もう少し・・・と言うところでテーマへ戻っていきます。

この2人のソロは、かなり良いですね。両人ともにこの作品でのソロのベストプレイだと思います。

また、淡々と刻むリズム隊のグルーヴも良いし、曲も良いですね。多分今の私にとっては、感じる、ハマる曲なんだろうと思います。隠れた名曲、ここにあったのか!と言う感じで個人的にはベストトラックだと思います。

09:マジック・レイ
イントロ部分にシンセブラスでリズムリック的なイントロダクションがあります。多分この曲のテンポが静かな流れを持っているので、前の曲と連続することでの退屈さを取り除く為の演出だと思いますが、個人的には無くても良いと思いますけど・・・。

テーマはお馴染みのフレットレスギターが奏でます。所々にスペーシーなシンセが入っていて幻想的で浮遊感のあるムードで進みます。このシンセアレンジはボブ・ジェームスさん。それでも全体的なイメージとしてはシンプルですね。

10:スペース・ロード
パーカッションのリズムからスタートするアレンジで、全体的にラテン調にアレンジがされています。コピーバンド時代に一番取っ付きやすく、聴いている人に盛り上がってもらえるだろう、と言うことで切り替えたアレンジです。これもオリジナルの方が数段難しいのですがこのバージョンも、テンポを維持するのがけっこう難しかったです。つい全体に走ってしまいそうな軽快感がありますので。

ファーストソロの野呂一生さんはヴォリューム奏法からスタートして、あくまでも大きなノリで奏でていきます。

続く向谷実さんのソロは、相反してシンセで細かいフレーズ展開をします。このシンセソロのバックの神保彰さんのスネアワークが見事です。

再びイントロからテーマへ戻っていきます。

オリジナルではこの部分で野呂一生さんが入魂のソロを展開するのですが、ソロが入ってくるのが本当にフェードアウトの間際。これもちょっとフェードアウトが早いのでは?と思います。ちょっと良いところだったのに・・・と言う感じ。

ここにもシンプルのなアレンジと言うテーマがありますね。

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ここまでのレビューを自分で読み返してみて、多く出てくる言葉が『流れ』と『シンプル』。
これは私が言うまでも無く、周知のアレンジコンセプトですね。ですから、当時も良く言われていましたが、非常に好き嫌い、言い換えれば賛否の分かれるところ。

でも、当時聴いたイメージだともっとシンプルになっていたような気がしていたのですが、今回聴いてみて、以外にたくさんの音のマテリアルが入っていることに気がつきました。

このマテリアルの数だけ聴いていくと、もしかしたら今までの作品の中でも多く入っている方ではないかと想います。特に、前作のメイク・アップ・シティと比べると遥かに多いと思います。にも関わらず、シンプルに聴こえるのは、まさにアレンジと録音のテクニックだと思います。

そこにあるのは引き算の理論。

これは、よく録音のテクニックで言われることなんですが、私ももちろん素人で、聞きかじり、読みかじりの知識ではあるのですが。つまり、ある音を際立たせた時には、その音をブースト、つまり大きくしていくと全体のバランスがめちゃくちゃになって行くので、その他の音を落とすと言うことです。

この引き算の論理を使用してアレンジ、ミックスダウンされているので、かなりシンプルで聴きやすくなっているのがこの作品と言えると思います。

しかし、このシンプルさは単に録音やアレンジだけではなくて、演奏そのもの、言うならばソロラインやドラムワーク、ベースラインそのものにも表れていて、余分なものを取り除いたシンプルな仕上になっていると思います。

悪く言えばBGM的な演奏で、スピードやスリルと言ったテンションをほとんど感じることが出来ないのですが、良く言えば非常に余裕と貫禄を感じます。

この部分も、好き嫌いが大きく分かれる要因でしたね。

これは全てアメリカ進出と言う目的の為のシンプルさで、実際にジャズチャートでスマッシュヒットした作品となりました。

でも、それが必ずしもカシオペアの意思とは言えないと言う感じもします。

この作品のライナーノーツは野呂一生さんが、書いているのですが、少しはずした調子で、客観的な感じがする、その文面を読むと、意思とは別に『こうなりました』と言うような雰囲気を感じるのですが・・・。

ですから、曲の良さと言うのはもちろんカシオペアですので、それなりのクオリティがありますが、演奏と言う面からみるとかなり物足りないのが、正直な感想です。

このシンプルさと言う部分が以後のカシオペアにどのように影響してくるのか?と言うところでしょうか。

次の作品はクロス・ポイント、そして名盤ミント・ジャムスへと続いていきます。

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曲名リスト
1. 朝焼け
2. ア・プレイス・イン・ザ・サン
3. テイク・ミー
4. ラカイ
5. アイズ・オブ・マインド
6. ブラック・ジョーク
7. ラ・コスタ(イントロ)
8. ラ・コスタ
9. マジック・レイ
10. スペース・ロード

2008/01/23 | カシオペア

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  1. 『アイズ・オブ・マインド』に「the」がついた,カイオペアの焼き直し第一弾です。ayukiさんの戸惑いは,ハービー・メイソンのアレンジ力=引き算の理論にあるようですね。
    『アイズ・オブ・マインド』は,当初はカセットで購入したのですが,昨年DSD盤で買い直しました。私もその時数年ぶりに聴いたのですが,たくさんの音のマテリアルが入っていることに気付きました。なのに,ayukiさんの『流れ』と『シンプル』の言葉が私の心のうちにも登場します。ハービー恐るべしです。

  2. セラピーさん
    コメントありがとうございます。
    本当に不思議なほど、音の種類の割りにはシンプルですよね。仰る通りにハービー・メイソンさん恐るべしですね。




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