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MASUOライヴ/増尾好秋 【2】

増尾好秋さんのMASUOライヴのTrack05から先回の続きです・・・。

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05:アイ・ウィル・ファインド・ア・プレイス
サンバのリズムに乗って歪んだギターのトーンでカッコ良いメロディを増尾好秋さんが刻んでいく曲。コード進行や途中のリズムのシンコペーションなどが攻撃的でこの曲も時代のフュージョンサウンドと言う感じがします。

ファーストソロは軽快にヴィクター・ブルース・ゴッジーさんがエレピで奏でていきます。コードが結構変わっていってスケールの選択も難しいのですが、流れるようなフレーズ回しで、バックのビートと合体して想わず体が動きます。

再びテーマを奏でた後のCD Time=2:22から曲はさらに展開していきます。増尾好秋さんのローコードを使用したロングトーンにヴィクター・ブルース・ゴッジーさんのアフロキューバン的なエレピが重なるブリッジを経て、曲はさらにラテンのフレーバーを加速させていきます。

そのリズムを加速させるのに一役かっているのが増尾好秋さんのフィードバック。今はエフェクターで簡単にフェードバックをかけることが出来ますが、多分この時代はストレートにアンプを使用していたと想います。綺麗に掛っていますね。そのまま増尾好秋さんのソロに入っていきます。

前半はロングトーンをひとつのキーとしてその周りにスパニッシュと言うかラテンの小フレーズを展開します。CD Time=4:44からのフレーズはちょっと理解が難しい音の選択。この合っているようで微妙にアウトしているのが実に心地よいです。

後半になるにしたがって次第に音数が増えて言って速いパッセージが飛び出し始めます。CD Time=7:00からはクロマティックに下がっていって、アウトしている音での5連符のポリリズムの連続フレーズに入ります。このフレーズはちょっと宙に舞っているような感じがして結構好きです。

ちょっとしたキメのフレーズを挟んでCD Time=7:34からはサンバのリズムに乗せてロビー・ゴンザレスさんのドラムソロです。細かいスネアワークからスタートして、段々とタムを絡めていき、そしてシンバルとスネアのアクセントでフレーズを広げていきます。再度キメを挟んで、今度は単独のドラムソロに入ります。CD Time=9:00からのスネアワークが絶妙に上手いです。途中に入るハイハットのオープンがいいアクセントになっていますね。

ソロの後半はドラムの音が左右に行ったり来たりするエフェクトに、フランジャーなどで創り出したジェットマシーンのような効果が加わります。多少時代を感じる演出ではありますが、迫力のある展開になっています。

エンディングで増尾好秋さんのロビー・ゴンザレスさん紹介のMCが入ると、繋がったまま次ぎの曲へ入っていきます。

06:豪風
前のドラムソロから引き続いて、この曲はベースのT.M.スティーヴンスさんのソロフォーマンスからスタートします。ですから正確には5曲目と6曲目はドラムソロとベースソロを挟んでメドレーになっていると言うことになります。ライヴの演出上、なかなか盛り上がる構成です。

スペーシーなエフェクトをバックにしてベースでのロングトーンでのラインがスタートします。しばらくしてそれを断ち切るようにヴォイスでの叫びが入ります。誰の叫びかの明確なクレジットはありませんがT.M.スティーヴンスさんのでしょうね。流れから・・・。

CD Time=2:40からは和音とハーモニクスを絡めた奏法で静かに奏でます。このあたりのハーモニクスセンスはちょっとジャコ・パストリアスさんを想い起こさせてくれます。と、それを裂くように超スピードの速弾き6連符のダウンフレーズへ。これには想わずオーディエンスも手拍子を打ちます。

凄いのはこの後のCD Time=3:23のりズミックなフレーズ。2拍4拍でアクセントを入れて和音でのフレーズを奏でていきます。この感じはエイブラハム・ラボリエルさんが得意としているようなファンキーなフレーズをもっとマイナーにして攻撃的にした感じと言えば良いでしょうか。この様なフレーズを聴いていると、単なる超絶ベーシストではない部分を物凄く感じます。

ドラムも入ったCD Time=3:52からのスラップフレーズは、櫻井哲夫さん的フレーズ。と言ったらT.M.スティーヴンスさんに申し訳ないのですが、櫻井哲夫さんの方が馴染みがありますので・・・。カシオペアサンダーライヴのベースソロの終りに演奏しているフレーズですね。

先ほどのドミノ倒しと言い、この作品をカシオペアのメンバーは良く聴いていたのでしょうか・・・。でも時期的にはほとんど同じ時期になりますね。まあ、スラップでは2人に限らず良く使用されるフレーズではありますが。

トリルからドラムが入ってアップテンポになります。そのバックで速いパッセージを連続して奏でていきます。でも、単に速いだけではなくて、フレーズが結構ギター的。そして途中のブレイクや和音などバリエーションに富んでいて、且つ迫力があって・・・やはりボキャブラリーの広いベーシストだと想います。その極めつけが、CD Time=5:56からの4ビートでのランニングベース。そしてソロのエンディングでは再び超スピードの速弾き6連符のダウンフレーズ。今度はドラムとのユニゾンで決めます。そして、豪風に入っていくと同時に増尾好秋さんのMCが入ります。この展開も興奮しますね。カッコ良い・・・。

この曲はセイリング・ワンダーに収録されていて括弧書きでフォー・ソニーとあります。ソニーと言うのは、増尾好秋さんが世界的なギタリストになるきっかけとなったバンドのリーダー、かのソニー・ロリンズさんのこと。個人的にはソニー・ロリンズさんとこの曲のイメージってあまり合わないのですが・・・。

この曲はテーマ自体が複雑な音の運びとリズムを持っていて、それでいて何ともラテンフレーバーのメロディアスなラインです。特に個人的には、スウィープピッキング的な奏法で効果を出しているCD Time=7:24のピックアップのフレーズが肝!です。

またテーマの面白さもありますが、何と言ってもベースのおしん的なラテンのリズムをもったパターンにも魅力があります。これをこのテンポで続けるのは結構大変だと想います。

さらにT.M.スイティーヴンスさんは、CD Time=8:15のように先ほどから連発している超スピードの速弾き6連符のダウンフレーズを絡めてアクセントとスピード感を加速させています。これは結構肝!です。

CD Time=8:30から増尾好秋さんのソロがスタートします。
最初はロングトーンのフレーズをバックの細かいビートに乗っかるように優雅に奏でていきます。CD Time=8:15からはポリリズムのフレーズ。音の選択が見事で機械的なフレーズであるにも関わらず歌っているフレーズに仕上がっています。そして微妙なバックとのズレを生み出していてなかなかグッと来るものがあります。

CD Time=9:47からは3連符とロングトーンに高い少し哀愁のあるような音を絡めたフレーズをモチーフに展開していきます。そして速いパッセージに突入します。やはり音の選択とモチーフの展開が見事で、このようなワンスケールでしかもフリーサイズのソロはネタ切れと言うことが起こりうるのですが、かなり効果的な奏法テクニックだと想います。

このままソロのエンディングに向けて、段々と熱くなっていく増尾好秋さんのプレイを聴くことができます。

再びテーマに戻りそして、怒涛のエンディング。オーディエンスの大拍手と大歓声の中、増尾好秋さんのお礼のMCでフェードアウトしていきます・・・。

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walkingを終えて聴き終えたときの印象はひと言で言うと
『やっぱりすげェ・・・これは』

それは細かく聴いた今も全く同じ感想です。

サウンド的に言うと、全体の音がオーバーめでかなり歪んでいます。特にギターの音がハウリングギリギリのような感じの設定で多少聴き難い鋭い音になっています。また、2曲目では増尾元章さんのソロをパンニングしたり、ドラムにジェットマシーンのような効果をエフェクトしたり、4曲目のドミノ倒しの時のT.M.スティーヴンスさんの音を唐突にセンターから左チャンネルにふったり・・・。その意図している効果は良く解るのですが、創りが全体的に粗いというのは確かです。もちろん同時に演奏自体も同じで、細かな部分ではかなり荒削りのところがを感じます。あくまでも今聴くと・・・と言うことなんですが。

それでも、そんなものを全て吹っ飛ばすだけのパフォーマンスとテンション。

そして粗さも味のうち!と言えるライヴ感、臨場感。

さらに迫ってくるようなパワーがあるのが実際で、それだけで名盤と言えるだけの凄さのある『すげェ』作品だと想うのです。

トータルで約50分。切れ目無く繰り広げられるパフォーマンスにしっかりと聴き入ってしまいます。

増尾好秋さんのこの作品だけではなくて、この近年にはJ-フュージョンの名作と言えるライヴ作品が生まれています。

1979年の渡辺香津美さんのKYLYN LIVE
1979年のプリズムプリズム・ライヴ
1980年のカシオペアサンダー・ライヴ

そして1980年のこの作品・・・。

全て1~2年の期間ですので、リアルタイムで観た方は、本当にうらやましいと想います。いずれもパワーに溢れていて、J-フュージョンのエポック的な創成期の名作たち。これらの作品のパワーはまさにあの時代が創ったエネルギーと言う感じがします。
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曲名
1. ディーリング・ウィズ・ライフ
2. グッド・モーニング
3. ルック・アウェイ・フロム・ミー
4. ア・スリーサム
5. アイ・ウィル・ファインド・ア・プレイス
6. 豪風

2008/06/10 | 増尾好秋

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  1. お邪魔します。
    今回のアルバムは私も本当にお世話になりました(笑)。まさに名盤と呼びたいアルバムですネ。単に既成の「完成度」からみれば???とも言える点が有りますが、正直、増尾さんは最初から完成度など求めていなかったのかも知れませんネ。やはりライブの熱さとその臨場感をダイレクトに伝えたかったのでしょう。現代のようにビデオやDVDなど無かったあの頃・・・このアルバムを聴いてはその様子を刻み込まれたサウンドから想像していたものでした・・・。
    >『やっぱりすげェ・・・これは』
    そうですネ・・・「やっぱり“超”すげェ~~~」です。

  2. FUSIONさん
    コメントありがとうございました。
    仰るとおりに想像する世界でした。本文にも書きましたが、どうやってベースを弾いているか?とか増尾さんのギターは何だ?とか想像することにワクワクしていたような気がします。
    今回のレビューの流れで増尾さんの作品を最近良く聴いています。この作品の激しく熱い部分ももちろんですが、ソフト&メロウな部分が実にしっくりきます




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