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ミント・ジャムス/カシオペア 【2】

カシオペアミント・ジャムスのTrack05から細かく聴いてみます・・・。

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05:ドミノライン
オリジナルとはけっこう雰囲気の違う感じにアレンジされていて当時もすぐに気に入ったバージョンです。ですから、個人的にはこのテイクがオリジナル様な感じがしています。

野呂一生さんのオクターバーがかかった綺麗な歪み音でスタートします。テーマに入るとレンジを狭くして、サビ部分との差別化をしているサウンドに仕上げています。また、神保彰さんのドラミングが物凄くタイトで、所々に入るカウベルが抜群の効果を出しています。

ファーストソロは、向谷実さんのシンセ。やはりスペーシーな感じで奏でていくのですが、フレーズが創りに創り込まれたと言う感じです。それでも曲調にあった良いフレーズ展開です。また、このバックでの野呂一生さんのカッティングが実は個人的に肝!で、CD Time=1:47の少しトリッキーな部分とかCD Time=1:57からのアルペジオでコードを分散するカッティングパターンなどが好きでコピーをしました。特に、サビのパターンに入ってからの歯切れの良いカッティングとコード進行が実に気持ちよかったのを覚えています。今回聴いてもやはり気持ちの良いカッティングですね。

向谷実さんのソロの後は、神保彰さんのバスドラが拍で叩かれてドミノ倒しが始まります。頭の中で考えると実に簡単なフレーズなんですが、実際に演奏をしてみると本当に難しいフレーズです。ご存知の通り1拍を16分音符分けて4人で分担しながら奏でていくと言うものなんですが、コピーバンドをしていたときも成功率が極めて低い部分でした。

一番簡単なのが、神保彰さんで頭にハイハット打ち・・・と想っていたのですが、今回聴いてみて神保彰さんのハイハットがきちんと16分音符になっていることに改めて気が付きました。バスドラは拍打ちですので4分。同時に叩いているので頭さえ合えばとりあえずことは済むのですが、足と手を同時に鳴らして、足を4分音符、手を16分音符・・・これは簡単ではありませんね。このドラミングがあってこそのドミノ倒しと言っても良いと想います。

続くは野呂一生さんが16分喰って裏で弾きます。これはドラムが難しいと解った今となっては一番簡単かも知れません。右手のピッキングのアップダウンを使用してダウンの時に休符でアップで引っ掛けるような弾き方をすると意外に簡単にあわせていくことができます。野呂一生さんが実際にどうやって弾いていたかは覚えていませんが。

そして16分+16分、つまり8分休符で次ぎの頭の16分に入るのが桜井哲夫さんのベース。
これはクチで言うと「ン・ン・パ・ン」となりますがこれが難しい。クチでも難しい・・・。試しに足で4つを刻みながらテーブルでも叩いてみていただくと解りますが、連続していくところは段々と訳が解らなくなっていきます。さらに、最後の向谷実さんの部分は、同じくクチで言うと「ン・ン・ン・パ」となって更に難しい・・・。

物凄くゆっくりとバンドであわせて段々にテンポアップしていき、しかもかなり根を詰めないと仕上がらない部分だと想います。その意味でもカシオペアのメンバーも結構練習したのだと想うのですが。その為か、後のドミノ倒しは更に強力になっていき、もうどうやってあわせているのか、どうやってテンポをとっているのかすら解らない極地に達してしまいました。

ドミノ倒しの後は桜井哲夫さんのベースのソロに入ります。もっとラフな印象があったのですが、今回聴いて見て実にテンポキープがしっかりと出来ていると想いました。これだけテンポをキープしつつ、かつ細かいサムピックをたくさん入れると言うのは流石だと想います。この時期の他のソロを聴いても大体同じ感じなので構成も含めて考えて、練られたフレーズだと想うのですが、それでも十分な迫力とインパクトを与えてくれます。

続いては神保彰さんのドラムソロ。インテンポでのソロですが、こちらもインパクト十分なソロになっています。神保彰さんのソロも即興的ではなく、別バージョンでも大体同じ演奏なんですが改めて聴いて見るとやはり凄いですね。

更に凄いと想うのがバックのコードリフ。CD Time=4:54からは頭が取り難いフレーズなんですが、バックはピッタリあっているのがカシオペアの力です。

さらにバンドとしての凄さが、この後のCD Time=5:16から野呂一生さんのソロに入っていくところ。これは、コピーバンドをしていたときの感覚なんですが、ドラムソロの終りの1拍つづのユニゾンがピッタリ合うと気分的には物凄く高揚します。まさにやったり!と言う感じ。当然、その気分のままインテンポに戻ると多少なりともテンポが走ってしかも熱くなってしまうのが真情。しかし、このカシオペアの演奏は、テンポは当然ながらキープ。さらに全体の演奏も必要以上に熱くなることもなく、まるで何も無かったかのようにつながっていきます。この冷静さと言うか、この余裕は、かなりのリハと本番を積んでこなければなかなか出来る事ではないと想うのです。その意味でも、カシオペア恐るべし!そして肝!な部分になっています。

当然野呂一生さんのソロは、熱さはあまり無く、あるのはどちらかと言うと余裕。ですから、比較的オーソドックスに奏でていきます。

エンディングまで、ほとんど隙のない完璧な演奏だと想います。このクオリティがライヴでの演奏と言うのは今更ながら見事ですね。もちろんこの作品の中ではベストトラックだと想います。

06:ティアーズ・オヴ・ザ・スター
この作品の中での唯一のバラードナンバー。オリジナルはやはりファースト作品カシオペア。何故にこの曲がここで選択されたのか?と想ったのですが、ライナーノーツによると、ヨーロッパで人気の出そうな曲と言うチョイスだったようです。他の楽曲でも良いバラードはたくさんあると想うのですが、4曲目のタイム・リミットと同様にオリジナルではイントロ部分とエンディング部分にマイケル・ブレッカーさんのテナーサックスが入っています。やはり、意と違うテイクを焼き直したと言う意味があるの?とまたしても邪推してしまいます。

向谷実さんのちょっと海っぽい?感じのシンセの音でテーマが奏でられていきます。

短いテーマが終わると野呂一生さんのクリアトーンでのソロです。軽いシャッフル・ビートになり、そのリズムに乗って優雅に乗りつつも、特にダウンフレーズを速いパッセージで弾き抜けています。そう言えばオリジナルがナイロン弦のアコギでした。似た感じのラインですので、この曲でのソロはこう弾く!見たいな明確なイメージが野呂一生さんの中にあると言う感じがします。

ソロの後はサビに入りますが、ここは空間系のエフェクトをかけまくったと言う感じで、かなりの広がりを演出しています。壮大でスケールの大きなサウンドに仕上がっていると想います。その中でも神保彰さんのドラミングがやはり凄いと想います。派手なんですが、曲の雰囲気を壊さない品の良さがあって、細かく聴いて見ると凄いと言うフレーズ。

この部分が大きく盛り上がってそして、スーッと引くように再び静寂のテーマが戻ってくるエンディングの部分はメリハリがあります。この部分で、桜井哲夫さんのベースラインがハーモニクスを上手く絡めたラインで静寂さを際立たせていますね。

07:スウェアー
この曲はバンドとしてコピーをしたことはありませんが、個人的にギターコピーはしました。この曲のような、ある意味『どメジャー』な曲はバンド内ではあまり人気が無く、そのあたりは若気と言ったらよいでしょうか、つい技巧的な曲に走っていました。今回じっくり聴いて見たら、かなり良い曲だと今更ながら想いました。

イントロの野呂一生さんのカッティングはなかなか気持ちの良いパターン。

テーマはやはり前の曲と同じような海っぽい?音。途中に入るヴォコーダー的な音のシンセが良い味を出しています。

サビの部分は半音進行などを上手く挟んで、気分を高揚させてくれるコード進行。ラインは大きな乗りのメロディで構成されていてそれをシンセとギターのユニゾンで奏でていくアレンジになっています。それでも中心が和音でのメロディになっているのと、その切れ目部分に良いタイミングでベースのちょっとしたおかずが入っているので、全体的に音数が少なくて、いわゆるコードバッキングが無くても、空間の隙間をあまり感じさせません。少人数でのアンサンブルのひとつの方法として参考になりますね。

今回改めてこのサビの部分のギターをコピーして見たのですが、メロディの半音進行を巧みに使用していてクセになりそうなラインです。良いメロディだと想います。

ファーストソロは向谷実さんのエレピ。全体にすっきりとした感じでまとめたソロです。左手のコードワークと絡めてリズムに変化をもたらしたCD Time=2:28のジャージーな部分が良い感じです。

再びテーマに戻り、サビのパターンで野呂一生さんのソロです。ここはコード進行がけっこう面白いので弾きがいのあるところ。野呂一生さんは丁寧に音とスケールを選択しながらも、時にメロディアスに時に速いパッセージで奏でます。聴き所はやはりバックがブレイクするCD Time=4:49。ここはどうしたって盛り上がると想いますが。このブレイクは物凄いアクセントで肝!です。

その後いったん終わったかのように聴かせて神保彰さんのドラムリフへ入ります。タムを使用した高速な回しフレーズなんですが、ここで唯一オーディエンスの歓声が入ります。今まで一切それを除いてきたと言うライヴ作品なんですが、この部分でこの歓声が無いと逆に変な感じですよね。聴いているリスナーがここで、ライヴ作品だったと言うことに改めて気がつくと言う意味でも、ここでの歓声は物凄い効果的。

その後向谷実さんのラグタイム風のテーマが奏でられます。これもまたライヴ的な楽しさのある部分です。

神保彰さんのドラムのリフをきっかけに再びサビに戻り、そしてエンディング。しっかりと構成とコードが練られていてなかなか劇的な流れを持っているエンディングにアレンジされています。
そしてオーディエンスの拍手と歓声でフェードアウトしていきます・・・。

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walkingを終えて聴き終えたときの印象はひと言で言うと
『できすぎ・・・』

細かく重箱の隅的に聴いていくと粗と言うか、ライヴ的な部分がありましたが、そんなことはこの全体的な出来の良さからすると些細なこと。今聴くと『できすぎ優等生』で面白みとか危険な香りに欠けると言う面はありますが、それでも、ライヴでこのクオリティのある演奏と言うのはやはり凄いと想います。

この作品がこの後の作品のひとつの指標になって、ライヴでの再現性がスタジオで重要視され、さらにライヴとスタジオでのサウンドクオリティに差があまり無いと言うカシオペアサウンドになっていくことは私が言うまでもありませんね。

でも、スタジオ録音とライヴって、結構違いのあるところが面白いと想うのですが。カシオペアで言えば、1枚目、2枚目の作品とサンダーライヴの違い見たいな・・・。それがほぼ無くなってしまったカシオペアのサウンドから、個人的に少しずつですが離れて行ったのは、そんなところにも一端があるかと想います。

この作品は楽曲的にベストアルバム。新曲が一切無いと言うものになります。収録曲はヨーロッパマーケット向けとは言ってもファースト、セカンドアルバムから半分以上の曲が再録音されています。調べて見たのですが、ここまでライヴを含めて7作品をリリースしています。全57曲収録の内、2度以上録音された曲が17曲あります。実際はスペースロードブラックジョークミッドナイトランデブー朝焼けテイクミーが3回づつになっています。これは結構特異な感じがするのですが・・・。

確かに人気曲であったり、アメリカやヨーロッパマーケットと言うことはあったと想いますが。人気曲の度重なるレコーディングそして人気曲ゆえのライヴ演奏。ちょっとメンバーの意思や技量とは全く関係のない、言ってみればアイドル的な扱いと言うか意図も若干感じますね。実際は解りませんが・・・。

野呂一生さんの最新作インナー・タイムズについての雑誌インタビューの中でカシオペアでの活動と最新作のソロとの違いについて「意図的にライヴで初期のものを組み入れたり、過去のものを引っ張り出すことも多かった・・・そう言う意味で歴史に縛られていた部分がありました・・・」と言っています。ミント・ジャムスが発売されてから約25年後のインタビューなんですがこんな話を聴くと、人気バンドゆえのプレッシャーとストレスと言うようなことも感じてしまいます。

全くの個人的な感想ですが、その歴史の縛りをカシオペア時代にしかも、神保彰さんと桜井哲夫さんが脱退する前に、想い切って縛りを解いて欲しかったなあ・・・と想ったりします。果たして縛りを解くことが出来たのかどうか?インナー・タイムズはまた後日改めてレビューさせていただきたいと想います。

さらに調べて見たら、神保彰さんと桜井哲夫さんが脱退するまでの間で、ライヴ作品やベスト盤的なものを除いて、純粋なスタジオ新録音の作品が連続して3作品続いていることが無いんです。必ず1~2枚リリースするとライヴかベスト盤的な作品をリリースしています。それだけライヴバンドであり、人気バンドであると言うことももちろん言えますし、ライヴとスタジオを同じクオリティで創ることが出来ると言う『力』も感じますが、逆に先ほどの野呂一生さんの言葉ではありませんが『歴史に縛られている』と言う部分も感じます。

いろいろと書きましたが、こと純粋にこの作品を聴くと、ライヴでのクオリティとスタジオでのクオリティの差が無いと言う面で、そのクオリティの頂点を極めるのがこのミント・ジャムスであると言うことは間違えないと想います。

『ライヴの迫力とスタジオの緻密さが一緒になった作品』と言うコンセプトが見事に成功している超名作だと想います。
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曲名
1. テイク・ミー
2. 朝焼け
3. ミッドナイト・ランデブー
4. タイム・リミット
5. ドミノ・ライン
6. ティアーズ・オブ・ザ・スター
7. スウェアー

2008/07/11 | カシオペア

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  1. お邪魔します。
    偶然ですが、昨日このアルバムを久しぶりに聴いて見ました・・・やはり名盤ですネ。ライブの熱い臨場感を強烈に感じながらも、スタジオ録音の様に綿密に構築されたサウンドと演奏・・・当時20代の若者達がこのアルバムを創った事がいまだに信じられません。今では一年に数回しか聴く事がありませんが、絶対に忘れることの出来ないアルバムです。
    >『ライヴの迫力とスタジオの緻密さが一緒になった作品』と言うコンセプトが見事に成功している超名作だと想います。
    まさにこのコメントが全てを物語っていますネ。同感です!

  2. ついに来ましたねこのアルバム。
    文章を読むだけでayukiさんの想いが伝わって来ます。
    曲のつなぎ方も面白いですね。
    野呂さんのインタビューを読むと81年とこのアルバムのバージョンでも意識的にハーモニーを変えています。
    数小節の楽譜がありますが音数を減らしてクローズドボイシングからアッパーストラクチャートライアドへ変化したと述べています。
    カシオペアのベストアルバムの一つですね。

  3. すません。野呂さんでなく向谷さんでした。

  4. FUSIONさん
    コメントありがとうございました。返事遅くなり申し訳ございません。
    本当に偶然ですね。私の場合は多分5年に1回くらいしか聴かないので、いつ聴いても新鮮な感じがします。
    それにしても良く出来た作品だと想います。
    bonejive
    コメントありがとうございます。返事遅くなり申し訳ございません。
    向谷さんのヴォイシングが変わってきているのですね。そう言われれば、確かに少なくなっているような気がしますね。また全体に余計な音を除いたと言う感じのサウンドで、すっきりしている感じがします。




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