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宇宙の騎士 【2】/TOTO

宇宙の騎士

今日のwalking MusicはTOTO宇宙の騎士、Track06からトータル・レビューです。

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06:ガール・グッドバイ
久し振りにこの作品の曲リストを見て、実は一番気になったのがこの曲。何故かというと、どんな曲だったのか全く想い出せなかったのです。大好きな曲で、物凄くカッコ良い曲だった・・・ということは想い出したのですが、肝心なメロディなどは全く・・・。ですから、ものすごく期待していて、心待ちにしながらwalkingをしてたのです。

シンセベースの跳ねたビートにEm/B→Bのコードの繰り返しが乗り、さらに、TOTOホーンをはじめに、いろいろなSE的なメロディが重なってきた瞬間に「これだ!」という感じで、一気に想い出しました。まさにパンドラの箱がひも解かれて、何かが一斉に飛び出したかのように一瞬で脳裏に曲の細部まで蘇ったのです。ものすごく不思議な感覚でした・・・。

イントロダクションが最高潮に盛り上がったところで1小節のブレイク。そして、ノリが良く印象的なギターとベースのリフにオルガン・サウンドのシンセがロングトーンで分数コードを流す・・・。
また、ドラムのジェフ・ポーカロさんのトップシンバルでのリズムとバスドラムのビートが実に肝!です。

特にバスドラムのビートは、一聴、ギターやベースと連動しているようですが、実はパータンの4拍めを普通に8分音符で「ドン・ドン」と次の小節の頭につなげて叩いているのがミソ。
歌のバックでは、トップシンバルからハイハットに移り、しかも、トップシンバルでは少し跳ねたリズムでしたが、ここでは完全な8ビートに変わります。

これによって、完全にギターやベースと同期するより、イントロと歌の明確な雰囲気の違いの演出と、歌に入ったときの8ビート感をしっかりと出すことができるわけです。さりげないドラミングですが見事です。

ヴォーカルはボビー・キンボールさん。ややハイトーンを落とした前半ですが、熱く歌い上げています。そして、CD Time=1:23の印象的なアップのユニゾンからサビへ。
サビはボビー・キンボールさんのハイトーンを中心としたいかにもTOTOらしいコーラス。
そして、曲のキャッチーなパターンを挟み、次は、ボビー・キンボールさんのシングルでのハイトーンのメロディ。その終りのロングトーンに重ねてキャッチーな「ラ」と「シ」を使用したパターンが「レ」と「ミ」を使用したパターンに変わります。つまり曲のキーがBからEに転調します。そして再びBに戻りサビのエンディングからイントロのパターンに突入していきます。

このサビの一連の流れと組立は、個人的には文句なしに盛り上がってしまいます。まさに肝!

ギター的には、Eに転調した時のCD Time=1:36でのスティーヴ・ルカサーさんの微妙なヴィブラートをかけたユニゾン・パターンが見事。このアーティキュレーションは、とても有効に効いていると想います。

2コーラスめが終わりCD Time=3:45からスティーヴ・ルカサーさんのソロです。
5曲目では、実にジャズ・フュージョン的なラインで華麗に弾き抜けていましたが、ここでは、ロック調の熱いソロを展開しています。このソロはコピーをしたことがありますが、かなり難しいラインでした。

イントロの8小節のパターンを3回繰り返すコード進行でソロを弾いています。

1回目は、テーマのメロディをモチーフにしています。ここでは、あくまでもメロディのフェイクという感じでコード感をそれほど出していないラインを奏でています。そして、クロマティックなラインを上手く挟んでマイナーコードへの導入を作って2回目に入ります。

2回目は、ペンタトニックというスケールを中心にして、微妙なコントロールのチョーキングを使って組立ていきます。最初の2小節はコード・トーンそのものの「シ」の音の周りを行き来するように、リズムにしっかり乗らずにクネクネとした感じで奏でます。そして、CD Time=4:05からの2小節では、コード感を出して、クオーターチョーキングでさらにクネクネしたようなフレーズ。終わり部分では右手でのタッピング。そして次の2小節ではペンタトニックでストレートにアップしていくフレーズですが、スライドを上手く挟み込んで奏でてからハイトーンのチョーキング。そしてダウンフレーズからCD Time=4:16で大きなヴィブラートをかけての着地。

3回目は、最初の2小節がロックの古典的なラン奏法を超高速に展開するスティーヴ・ルカサーさんの得意フレーズ。そして次の2小節の頭、CD Time=4:21に2音チョーキングを決めてスタッカートでダウンしていき、次の2小節のCD Time=4:28でゆっくりとアップするベンド・チョーキングを決め、最後の2小節の終わり、CD Time=4:31でロングトーンにヴィブラートをかけながらイントロダクションのパターンへ曲を引き継いでいきます。

このソロの部分は、バッキングがギターとベースのユニゾンモチーフを繰り返している上でコードがBm→E/B→Em/B→Bと2小節づつ変わっていきます。実は、コードを意識してコード感がでるようにソロ・ラインを弾かないと、ギターとベースのユニゾンが効いているのでコード感がなくなってしまいがちの難しいパターンなんです。

でも、スティーヴ・ルカサーさんは、それほど強烈なコード感のあるラインはあまり弾いていなくて、特に後半はスケール一発的なフレーズが多いように想います。
それでも、聴いていて単純なワンコードに聴こえず、しっかりとコードが動いているのを感じることができるように仕上がっているのは、ワンコーラスめをメロディのフェイクで仕上げていることと、2コーラスめの最初の4小節のクネクネフレーズでコード感をしっかりと出しているためだと想います。

メロディをフェイクすることで、リスナーがメロディとコードの関係を再度認識して、さらに2コーラスめの最初でコード感を出すフレーズを弾くことで、よりコード感を頭で捉えることができるわけです。ですから、その後の後半で比較的コード感の少ないロック的なフレーズで攻めても、聴いている方が勝手にコードの流れを感じてしまうわけですね。

これは見事に構成されたソロラインで、全体の組み立てが抜群です。まさに肝!であり、この作品のベスト・ソロだと想います。

そしてエンディングがまたカッコ良い!特に、ユニゾンにジェフ・ポーカロさんのドラムが絡んで盛り上がり、そして一番最後に、拍で上がっていく全体のサウンドにスティーヴ・ルカサーさんの速いパッセージが絡んでいくところはこれまた肝!です。
まさにハード・フュージョンといったら良いでしょうか。かなり洗練されているので、ハードAORでしょうか。何と言っても、個人的にはベスト・トラックです。

07:ふりだしの恋
一転してアダルトでポップなナンバーです。この曲は、お恥ずかしながらずっとスティーヴ・ルカサーさんのリードヴォーカルだと想っていたのですが、これはスティーヴ・ポーカロさんのリードだったんですね。
そう言われると、TOTOは4人のシンガーがいるという非常に稀有なバンドでした。ちょっとスティーヴ・ポーカロさんの存在を忘れていた感がありますが・・・。
この曲を聴くとラリー・カールトンさんを想い出します。ラリー・カールトンさんの声に似ていることと、夜の彷徨のヴォーカル曲に似た雰囲気がありませんか?
CD Time=1:55からスティーヴ・ルカサーさんのギターソロ。ここではナイロン弦のアコギでリリカルに決めます。音はお世辞にも良い音とは言えないのですが、それでも、曲の雰囲気にあったラインを奏でます。
そして、途中からナイロン弦に重なるようにひずんだギター音がソロを奪い取ります。個人的には、そのままナイロン弦で盛り上げた方が良かったと想うのですが・・・。

08:ロック・メーカー
デヴィッド・ペイチさんの明るく、前向きで、楽しい曲。このテイストもTOTOには欠かせない部分だと想いますのでけっこう好きな曲です。
特にサビの部分のコード進行とメロディ、そしてハーモニーが個人的には肝!
ここでの、スティーヴ・ルカサーさんは、少しひずみを抑えた音で全体的に奏でています。
CD Time=2:34からのエンディング・ソロは、ちょっとシングルコイルの音のようにも感じますね。この頃のスティーヴ・ルカサーさんのイメージは、レスポールという感じがあるのですが・・・ということで、愛する君にホールド・ザ・ラインのビデオクリップをちょっと見てみたら、ゴールドのレスポールを弾いていますね。

09:ホールド・ザ・ライン
米ヒットチャート5位になったTOTOの代表的な曲でありデビューシングル曲。ピアノにハードな音でのギターリフというスタイル。
このギターリフは難しくはないのですが、それでも印象的。弾いてみるとさらにいい感じのリフです。
また、ジェフ・ポーカロさんの8ビートと16ビートの中間で少しシャッフルテイストのドラミングが良いですね。しかも、しっかりと2、4拍のビートが効いていて、重いリズムになっているのもさすがです。
曲も複雑な展開はなくて、かなりストレートなサウンドに仕上げています。このあたりが大ヒットした理由の一つでしょうか。

CD Time=1:48からはスティーヴ・ルカサーさんのソロです。ディレイを深くかけて、良くひずんでいる音なんですが、曲に上手く溶け込んでいて、耳ざわりではない音に仕上げています。
ソロスタート直後のCD Time=1:51ではいきなりの強烈なチョーキング・ヴィブラート。ディレイの効果と相まってさらに強烈になっています。続いての速いダウンパッセージからCD Time=1:54のヴィブラートも強烈です。

後半になるとさらに強烈なチョーキングとヴィブラートを適格にビシビシ決めます。CD Time=2:11の一音半チョーキングから大きなヴィブラートやCD Time=2:21の速いパッセージからの終始のヴィブラートなどはホントにアーティキュレーションが見事だと想います。
速弾きはもちろんですが、このようなチョーキングニュアンスとヴィブラートの妙が聴きどころのソロになっています。

10:アンジェラ
リコーダーのさみしげな旋律から、ピアノをバックにスティーヴ・ルカサーさんが、ささやくように歌うバラードです。
綺麗なメロディラインや情緒的なコード進行からCD Time=2:02から8ビートに展開をします。そして再び最初の世界へ。
曲に変化があって飽きのこないバラードで作品は幕を閉じていきます・・・。

★☆宇宙の騎士・トータルレビュー★☆★☆★☆★☆★☆★

walkingを終えて聴き終えたときの印象はひと言で言うと
『完成度が高く、やっぱり名盤・・・』

一曲目がインスト。そしてキャッチーな2曲目、さらに、アダルトな3曲目。そして楽しいライトな4曲目。そして、フュージョンテイストの5曲目。リード・ヴォーカルを曲調に合わせて変えながら、バラエティーに富んだ構成で楽曲を優先した構成ですね。ここまではレコードで言うとA面。
そして、ややハードなテイストの6曲目。ライトな7曲目。再び楽しいロックの8曲目。そしてハードなテイストの9曲目からクラシカルなテイストの10曲目。ここまでがレコードで言うとB面。

全体の構成や流れが見事です。それはレコード文化の遺産でもあるA面、B面という聴き方を意識すると、なおさら顕著にわかります。

また、聴き終えた後で想ったのが、ギターが全面に出ている作品ということです。もちろん承知はしていたのですが、改めて聴いてみると、イメージ的にはもっとピアノやシンセのソロなども含めて楽器の演奏バランスが良いバンドのような気がしていましたが、ギター作品と言っても過言ではないくらい、ギターがフューチャーされているということを再認識しました。

とにかく、通して聴いても飽きのこない作品の構成が見事だと想います。また各曲のクオリティが高く、どの曲も秀作なのも特徴。
まさに、ロック、ポップス、そしてジャズなどのエッセンスを散りばめた作品で、これはまさに違う意味でのフュージョンと言えますね。

だいたい、ひとつの作品で最低でも一曲くらいは駄作のものがあるのが普通なんですが、それが無いのもある意味奇跡的かと。ですから、そのことも作品全体の完成度をのもすごく高くしている要因ですね。

聴いていて「気持が愉快になる」作品。
こういった作品は、自分にとってもあまりないので愛聴盤と言えます。
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宇宙の騎士

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曲名
1. 子供の凱歌
2. 愛する君に
3. ジョージー・ポージー
4. マヌエラ・ラン
5. ユー・アー・ザ・フラワー
6. ガール・グッドバイ
7. ふりだしの恋
8. ロックメイカー
9. ホールド・ザ・ライン
10. アンジェラ

2009/03/06 | TOTO

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