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テイルズ・フロム・ザ・ハドソン【3】/マイケル・ブレッカー

テイルズ・フロム・ザ・ハドソン


今日のwalking Musicはマイケル・ブレッカーさんのテイルズ・フロム・ザ・ハドソン・Track06からトータルレヴューです。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

06:イントロダクション・トゥ・ネイキッド・ソウル
マイケル・ブレッカーさんとデイヴ・ホランドさんのデュオで奏でられる次の曲へのイントロダクション。
約1分くらいの短い演奏ですが、情緒的に奏でるマイケル・ブレッカーさんに答えるようなベースワークのデイヴ・ホランドさんのプレイが光っています。

07:ネイキッド・ソウル
バラードですが、やはり綺麗な曲というよりは都会の片隅でしっとり奏でられるという感じの曲で、どこか陰鬱なムードが漂っています。

ファーストソロはマイケル・ブレッカーさん。ここでもプレイも壮絶なソロです。
前半は静かなアプローチなんですが、段々と盛り上がっていく感じが見事な構成。CD Time=3:40あたりから段々と速いパッセージや感情をさらけだしたフラジオなどが飛び出し始めます。それはCD Time=4:21からのポリリズムフレーズなどを頂点にして盛り上げていきます。
そしてだんだんと静かなフレーズを展開していって、次のソリスト、デイヴ・ホランドさんに渡していきます。
アフリカンズ・スカイもそうでしたが、マイケル・ブレッカーさんのソロはもちろんフレーズの巧みさもありますが、全体の構成が実にいいですね。盛り上がり部分を真ん中よりやや後半に持っていって、ソロエンド部分では少し抑え気味にフレーズを展開して次のソリストに引き渡す・・・。
プロの演奏でも、けっこう感情で演奏してしまって、ソロのエンドが唐突だったり、尻切れだったりするのは良くあることです。そう考えるとソロの終わりをきちんと終止する形にもっていくのは実はなかなか難しいことです。
その意味でもこの曲とアフリカンズ・スカイでのマイケル・ブレッカーさんのソロは見事と言えますね。アフリカンズ・スカイでのソロとともに作品中でも、双璧のベスト・プレイであると想います。

08:ウィリー・T.
イントロダクションに続いてスローミディアムでスウィングするマイナー調の曲。淡々としているジャック・ディジョネットさんのビートが心地よいです。

ファーストソロはマイケル・ブレッカーさん。
ソロ前の部分からの約8秒間くらいの長いロングトーンでスタートします。全体的には、テンポに乗ってブルージーに奏でていきます。まったりとしたテンポに最初はまったりとしたフレーズを展開しますが、後半は歯切れの良いパッセージで攻めてきます。それに伴ってバックのビートも一気に締まるのが聴いていて心地よく、引きずり込まれます。

続いてはパット・メセニーさん。
かなりブルージーなトーン選択で、ゆったりと演奏をスタートします。その後もクロマティックなラインを挟みながらも、基本的にはブルースラインを中心にして弾き抜けていきます。

そしてジョーイ・カルデラッツォさんのピアノソロ。
左手のコードワークをあまり使用しないで、右手のメロディラインで牽引していくソロです。曲調にあったムーディーな展開で上手くまとめています。

09:キャビン・フィーヴァー
アップテンポのユニゾンでのテーマ。そのバックで奏でられているジャック・ディジョネットさんのシンバルワークと細かいスネアワークが効いているスタートです。
2コーラスめはユニゾンから外れて、インテンポで同じテーマになります。ベースのデイヴ・ホランドさんのラインが今度は効いています。なかなか凝ったアレンジでいい感じですね。
ソロのコード進行は16小節のブルース進行です。ブルース進行の曲は初めての登場になります。

ブルース進行でのソロはある意味、単純なコード進行であるために、逆に難しく、ソリストの腕やセンスが顕著に現れると想っています。ですから、そのあたりが聴きどころと言えます。

一番手のマイケル・ブレッカーさんも続くパット・メセニーさんも、独自のオリジナリティあふれるソロを展開しているのですが、最後のジョーイ・カルデラッツォさんのピアノソロが抜群に良いラインを奏でていて、個人的には肝!です。

また、ピアノソロのバックでは強烈にバックがスウィングしています。もちろん、前のソリスト2人にインプロヴァイズされた結果ともいえますが・・・。特に、CD Time=5:35の一曲目のモチーフを使っているところなどは渋いですね。そしてCD Time=5:58からのコードワークは絶妙です。ブルース進行はいずこへ?という感じでアウトしています。これは肝!です。

高速で駆け抜ける曲ですが、最後のパフォーマンスにしては少しあっけなく終わってしまう感じもするのですが、それでも最後にブルースを持ってくるところがいかにもジャズメンという感じですね。

★☆テイルズ・フロム・ザ・ハドソン・トータルレビュー★☆

walkingを終えて聴き終えたときの印象はひと言で言うと
『全編に広がるテンションが快感・・・親しき中にもテンションあり!』
・・・
マイケル・ブレッカーさんのストレイト・ア・ヘッドなジャズとして注目された作品ですがやっぱりいいですね。いつ聴いても、ほぼ間違えなく感動をしてしまうという、自分にとっては稀有な作品と言えます。

今回に限らずいつも聴いて想うのが全編に漂っている緊張感。このテンションが実に快感だったりするわけです。
また、マイケル・ブレッカーさんのリーダー作にも関わらず、単にサックスを吹きまくっていないのが良いところ。
例えばテーマはほとんどパット・メセニーさんとユニゾンですし、ソロのサイズも特別多いというわけではなくて、きちんと別のソリストを立てているのが、サックス吹きまくりの場合に起こる可能性のある『聴き慣れ』を防いでいて、バリエーションに富んだ音を楽しめて、さらにジャズ作品として全体のクオリティをあげていると想います。
当然リーダーでありつつ、いちソリストですからマイケル・ブレッカーさんのソロも一発勝負的で、特に5曲目のアフリカンズ・スカイや7曲目のネイキッド・ソウルでは見事で熱いソロを展開してくれています。

ですから、この作品は、マイケル・ブレッカーさんのリーダー作ではありますが、間違いなく各人のソロまわしが最大の聴きどころ。まあ、考えてみたらこれがジャズの醍醐味の大きな部分でもあるわけですね。その意味でもマイケル・ブレッカーさんが仕掛けた、まさにストレイト・ア・ヘッドなジャズ作品と言えます。

また、ソリストとしてマイケル・ブレッカーさんと戦うためには、それなりのプレイヤーが必要ですが、この作品では、私が言うまでもない凄腕ミュージシャンを起用しています。
ともすれば、共演も多く、互いに手の内をよく知っていると想われるので、ファミリー的な雰囲気でテンションも薄くなるところ。でも、慣れ合い的なムードは一切なくて、逆に、真剣勝負的なムードがひしひしと伝わってきます。

気持ち的にはリラックスして演奏をしていると想いますが、親しい仲だからこその『かけ引き』、手の内を知っているからこその『かけ引き』・・・。そんな、眼に見えないものが作品全体の緊張感を生んでいるのだと想います。まさに、親しき仲にもテンションあり!ですね。

それぞれがスポーツで言うとアスリートだからこそ出来る、名人芸の集大成と言える作品でそのにじみ出るテンションに浸っているとやっぱり快感なんです・・・。

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曲名リスト
1. スリングス・アンド・アローズ
2. ミッドナイト・ヴォヤージ
3. ソング・フォー・ビルバオ
4. ボー・リヴァージュ
5. アフリカン・スカイズ
6. イントロダクション・トゥ・ネイキッド・ソウル
7. ネイキッド・ソウル
8. ウィリー・T.
9. キャビン・フィーヴァー

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