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カシオペア

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ミント・ジャムス/カシオペア 【2】

MINT JAMS

カシオペアミント・ジャムスのTrack05から細かく聴いてみます・・・。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★


05:ドミノライン
オリジナルとはけっこう雰囲気の違う感じにアレンジされていて当時もすぐに気に入ったバージョンです。ですから、個人的にはこのテイクがオリジナル様な感じがしています。

野呂一生さんのオクターバーがかかった綺麗な歪み音でスタートします。テーマに入るとレンジを狭くして、サビ部分との差別化をしているサウンドに仕上げています。また、神保彰さんのドラミングが物凄くタイトで、所々に入るカウベルが抜群の効果を出しています。

ファーストソロは、向谷実さんのシンセ。
やはりスペーシーな感じで奏でていくのですが、フレーズが創りに創り込まれたと言う感じです。それでも曲調にあった良いフレーズ展開です。
また、このバックでの野呂一生さんのカッティングが実は個人的に肝!で、CD Time=1:47の少しトリッキーな部分とかCD Time=1:57からのアルペジオでコードを分散するカッティングパターンなどが好きでコピーをしました。特に、サビのパターンに入ってからの歯切れの良いカッティングとコード進行が実に気持ちよかったのを覚えています。今回聴いてもやはり気持ちの良いカッティングですね。

向谷実さんのソロの後は、神保彰さんのバスドラが拍で叩かれてドミノ倒しが始まります。頭の中で考えると実に簡単なフレーズなんですが、実際に演奏をしてみると本当に難しいフレーズです。

ご存知の通り1拍を16分音符分けて4人で分担しながら奏でていくと言うものなんですが、コピーバンドをしていたときも成功率が極めて低い部分でした。
一番簡単なのが、神保彰さんで頭にハイハット打ち・・・と想っていたのですが、今回聴いてみて神保彰さんのハイハットがきちんと16分音符になっていることに改めて気が付きました。バスドラは拍打ちですので4分。同時に叩いているので頭さえ合えばとりあえずことは済むのですが、足と手を同時に鳴らして、足を4分音符、手を16分音符・・・これは簡単ではありませんね。このドラミングがあってこそのドミノ倒しと言っても良いと想います。

続くは野呂一生さんが16分喰って裏で弾きます。
これはドラムが難しいと解った今となっては一番簡単かも知れません。右手のピッキングのアップダウンを使用してダウンの時に休符でアップで引っ掛けるような弾き方をすると意外に簡単にあわせていくことができます。野呂一生さんが実際にどうやって弾いていたかは覚えていませんが。

そして16分+16分、つまり8分休符で次ぎの頭の16分に入るのが桜井哲夫さんのベース。
これはクチで言うと「ン・ン・パ・ン」となりますがこれが難しい。クチでも難しい・・・。試しに足で4つを刻みながらテーブルでも叩いてみていただくと解りますが、連続していくところは段々と訳が解らなくなっていきます。さらに、最後の向谷実さんの部分は、同じくクチで言うと「ン・ン・ン・パ」となって更に難しい・・・。

物凄くゆっくりとバンドであわせて段々にテンポアップしていき、しかもかなり根を詰めないと仕上がらない部分だと想います。その意味でもカシオペアのメンバーも結構練習したのだと想うのですが。
その為か、後のドミノ倒しは更に強力になっていき、もうどうやってあわせているのか、どうやってテンポをとっているのかすら解らない極地に達してしまいました。

ドミノ倒しの後は桜井哲夫さんのベースのソロに入ります。
もっとラフな印象があったのですが、今回聴いて見て実にテンポキープがしっかりと出来ていると想いました。これだけテンポをキープしつつ、かつ細かいサムピックをたくさん入れると言うのは流石だと想います。この時期の他のソロを聴いても大体同じ感じなので構成も含めて考えて、練られたフレーズだと想うのですが、それでも十分な迫力とインパクトを与えてくれます。

続いては神保彰さんのドラムソロ。
インテンポでのソロですが、こちらもインパクト十分なソロになっています。神保彰さんのソロも即興的ではなく、別バージョンでも大体同じ演奏なんですが改めて聴いて見るとやはり凄いですね。

更に凄いと想うのがバックのコードリフ。CD Time=4:54からは頭が取り難いフレーズなんですが、バックはピッタリあっているのがカシオペアの力です。

さらにバンドとしての凄さが、この後のCD Time=5:16から野呂一生さんのソロに入っていくところ。
これは、コピーバンドをしていたときの感覚なんですが、ドラムソロの終りの1拍つづのユニゾンがピッタリ合うと気分的には物凄く高揚します。まさにやったり!と言う感じ。
当然、その気分のままインテンポに戻ると多少なりともテンポが走ってしかも熱くなってしまうのが真情。しかし、このカシオペアの演奏は、テンポは当然ながらキープ。さらに全体の演奏も必要以上に熱くなることもなく、まるで何も無かったかのようにつながっていきます。この冷静さと言うか、この余裕は、かなりのリハと本番を積んでこなければなかなか出来る事ではないと想うのです。その意味でも、カシオペア恐るべし!そして肝!な部分になっています。

当然野呂一生さんのソロは、熱さはあまり無く、あるのはどちらかと言うと余裕。ですから、比較的オーソドックスに奏でていきます。

エンディングまで、ほとんど隙のない完璧な演奏だと想います。このクオリティがライヴでの演奏と言うのは今更ながら見事ですね。もちろんこの作品の中ではベストトラックだと想います。


06:ティアーズ・オヴ・ザ・スター
この作品の中での唯一のバラードナンバー。オリジナルはやはりファースト作品カシオペア(*)。何故にこの曲がここで選択されたのか?と想ったのですが、ライナーノーツによると、ヨーロッパで人気の出そうな曲と言うチョイスだったようです。他の楽曲でも良いバラードはたくさんあると想うのですが、4曲目のタイム・リミットと同様にオリジナルではイントロ部分とエンディング部分にマイケル・ブレッカーさんのテナーサックスが入っています。やはり、意と違うテイクを焼き直したと言う意味があるの?とまたしても邪推してしまいます。

向谷実さんのちょっと海っぽい?感じのシンセの音でテーマが奏でられていきます。短いテーマが終わると野呂一生さんのクリアトーンでのソロです。
軽いシャッフル・ビートになり、そのリズムに乗って優雅に乗りつつも、特にダウンフレーズは速いパッセージで弾き抜けています。そう言えばオリジナルがナイロン弦のアコギでした。似た感じのラインですので、この曲でのソロはこう弾く!見たいな明確なイメージが野呂一生さんの中にあると言う感じがします。

ソロの後はサビに入りますが、ここは空間系のエフェクトをかけまくったと言う感じで、かなりの広がりを演出しています。壮大でスケールの大きなサウンドに仕上がっていると想います。
その中でも神保彰さんのドラミングがやはり凄いと想います。派手なんですが、曲の雰囲気を壊さない品の良さがあって、細かく聴いて見ると凄いと言うフレーズ。

この部分が大きく盛り上がってそして、スーッと引くように再び静寂のテーマが戻ってくるエンディングの部分はメリハリがあります。この部分で、桜井哲夫さんのベースラインがハーモニクスを上手く絡めたラインで静寂さを際立たせていますね。


07:スウェアー
この曲はバンドとしてコピーをしたことはありませんが、個人的にギターコピーはしました。この曲のような、ある意味『どメジャー』な曲はバンド内ではあまり人気が無く、そのあたりは若気と言ったらよいでしょうか、つい技巧的な曲に走っていました。今回じっくり聴いて見たら、かなり良い曲だと今更ながら想いました。

イントロの野呂一生さんのカッティングはなかなか気持ちの良いパターン。
テーマはやはり前の曲と同じような海っぽい?音。途中に入るヴォコーダー的な音のシンセが良い味を出しています。

サビの部分は半音進行などを上手く挟んで、気分を高揚させてくれるコード進行。ラインは大きな乗りのメロディで構成されていてそれをシンセとギターのユニゾンで奏でていくアレンジになっています。
それでも中心が和音でのメロディになっているのと、その切れ目部分に良いタイミングでベースのちょっとしたおかずが入っているので、全体的に音数が少なくて、いわゆるコードバッキングが無くても、空間の隙間をあまり感じさせません。少人数でのアンサンブルのひとつの方法として参考になりますね。
今回改めてこのサビの部分のギターをコピーして見たのですが、メロディの半音進行を巧みに使用していてクセになりそうなラインです。良いメロディだと想います。

ファーストソロは向谷実さんのエレピ。
全体にすっきりとした感じでまとめたソロです。左手のコードワークと絡めてリズムに変化をもたらしたCD Time=2:28のジャージーな部分が良い感じです。

再びテーマに戻り、サビのパターンで野呂一生さんのソロです。
ここはコード進行がけっこう面白いので弾きがいのあるところ。野呂一生さんは丁寧に音とスケールを選択しながらも、時にメロディアスに時に速いパッセージで奏でます。聴き所はやはりバックがブレイクするCD Time=4:49。ここはどうしたって盛り上がると想いますが。このブレイクは物凄いアクセントで肝!です。

その後いったん終わったかのように聴かせて神保彰さんのドラムリフへ入ります。
タムを使用した高速な回しフレーズなんですが、ここで唯一オーディエンスの歓声が入ります。今まで一切それを除いてきたと言うライヴ作品なんですが、この部分でこの歓声が無いと逆に変な感じですよね。聴いているリスナーがここで、ライヴ作品だったと言うことに改めて気がつくと言う意味でも、ここでの歓声は物凄い効果的。

その後向谷実さんのラグタイム風のテーマが奏でられます。これもまたライヴ的な楽しさのある部分です。

神保彰さんのドラムのリフをきっかけに再びサビに戻り、そしてエンディング。しっかりと構成とコードが練られていてなかなか劇的な流れを持っているエンディングにアレンジされています。
そしてオーディエンスの拍手と歓声でフェードアウトしていきます・・・。

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walkingを終えて聴き終えたときの印象はひと言で言うと
『できすぎ・・・』

細かく重箱の隅的に聴いていくと粗と言うか、ライヴ的な部分がありましたが、そんなことはこの全体的な出来の良さからすると些細なこと。今聴くと『できすぎ優等生』で面白みとか危険な香りに欠けると言う面はありますが、それでも、ライヴでこのクオリティのある演奏と言うのはやはり凄いと想います。

この作品がこの後の作品のひとつの指標になって、ライヴでの再現性がスタジオで重要視され、さらにライヴとスタジオでのサウンドクオリティに差があまり無いと言うカシオペアサウンドになっていくことは私が言うまでもありませんね。

でも、スタジオ録音とライヴって、結構違いのあるところが面白いと想うのですが。
カシオペアで言えば、1枚目、2枚目の作品とサンダーライヴ(*)の違い見たいな・・・。それがほぼ無くなってしまったカシオペアのサウンドから、個人的に少しずつですが離れて行ったのは、そんなところにも一端があるかと想います。


この作品は楽曲的にベストアルバム。新曲が一切無いと言うものになります。収録曲はヨーロッパマーケット向けとは言ってもファースト、セカンドアルバムから半分以上の曲が再録音されています。

調べて見たのですが、ここまでライヴを含めて7作品をリリースしています。全57曲収録の内、2度以上録音された曲が17曲あります。実際はスペースロードブラックジョークミッドナイトランデブー朝焼けテイクミーが3回づつになっています。これは結構特異な感じがするのですが・・・。

確かに人気曲であったり、アメリカやヨーロッパマーケットと言うことはあったと想いますが。人気曲の度重なるレコーディングそして人気曲ゆえのライヴ演奏。ちょっとメンバーの意思や技量とは全く関係のない、言ってみればアイドル的な扱いと言うか意図も若干感じますね。実際は解りませんが・・・。

野呂一生さんの最新作インナー・タイムズについての雑誌インタビューの中でカシオペアでの活動と最新作のソロとの違いについて
「意図的にライヴで初期のものを組み入れたり、過去のものを引っ張り出すことも多かった・・・そう言う意味で歴史に縛られていた部分がありました・・・」
と言っています。ミント・ジャムスが発売されてから約25年後のインタビューなんですがこんな話を聴くと、人気バンドゆえのプレッシャーとストレスと言うようなことも感じてしまいます。
全くの個人的な感想ですが、その歴史の縛りをカシオペア時代にしかも、神保彰さんと桜井哲夫さんが脱退する前に、想い切って縛りを解いて欲しかったなあ・・・と想ったりします。
果たして縛りを解くことが出来たのかどうか?インナー・タイムズはまた後日改めてレビューさせていただきたいと想います。

さらに調べて見たら、神保彰さんと桜井哲夫さんが脱退するまでの間で、ライヴ作品やベスト盤的なものを除いて、純粋なスタジオ新録音の作品が連続して3作品続いていることが無いんです。必ず1~2枚リリースするとライヴかベスト盤的な作品をリリースしています。
それだけライヴバンドであり、人気バンドであると言うことももちろん言えますし、ライヴとスタジオを同じクオリティで創ることが出来ると言う『力』も感じますが、逆に先ほどの野呂一生さんの言葉ではありませんが『歴史に縛られている』と言う部分も感じます。

いろいろと書きましたが、こと純粋にこの作品を聴くと、ライヴでのクオリティとスタジオでのクオリティの差が無いと言う面で、そのクオリティの頂点を極めるのがこのミント・ジャムスであると言うことは間違えないと想います。
『ライヴの迫力とスタジオの緻密さが一緒になった作品』と言うコンセプトが見事に成功している超名作だと想います。

(CD TOTALTIME:36:03/ Walking消費カロリー:144.92kcal)

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曲名リスト
1. テイク・ミー
2. 朝焼け
3. ミッドナイト・ランデブー
4. タイム・リミット
5. ドミノ・ライン
6. ティアーズ・オブ・ザ・スター
7. スウェアー

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あとがき
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ミント・ジャムス/カシオペア 【1】

MINT JAMS

今日も暑い一日でした。雨の合い間をぬってwalkingも順調です。と言うことで今日はカシオペアミント・ジャムスwalkingをしました・・・。

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カシオペアを巡るスーパーフライトもついにこの作品まで辿り着きました。
この作品は1982年のライヴ・パフォーマンスを録音した作品。言うまでもなく、ライヴステージとスタジオのいいとこ取りを実現してしまったカシオペアの作品の中でも名盤中の名盤です。
発売当時、カシオペアのコピーバンドをリアルタイムでしていましたので、この作品でのバージョンはコピーバンドにとってはバイブル。ですから、教科書的に隅々まで熟読した記憶のある作品です。

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walkingを終えて聴き終えたときの印象はひと言で言うと
『できすぎ・・・』

もちろんいい意味での言葉です。
この作品は、オーバーダビング一切無しと言うものですので、ライヴでの音源を加工はしていますが、そのまま使用していると言うのが売り。でも、本当?と今回も想ってしまった程、隙が無い!当時は、野呂一生さんのプレイのみを追いかけて聴いていた記憶がありますので、今回はまた新しい発見や驚きがありました。

細かく聴いていくと、また違った感覚になるかも知れませんので、1曲つづ細かく聴いていきます・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

01:テイク・ミー
一番最初に、カウントの変わりに叩かれている神保彰さんのスネアのリヴァ―ブのかかり方が結構いい感じです。スタジオでの加工でエフェクトしているようですが、スタジオともホールとも取れるような微妙な響きで、このスネア一発が作品のトータルなコンセプトである、『ライヴステージの迫力とスタジオレコーディングの緻密な音作りを合わせ持った作品』と言うことを象徴しているような響きです。

テーマは向谷実さんのエレピ。今までとは違ってよりエレクトリクな響きのGS-1で奏でているようです。非常に奥行きと広がりのあるリバーヴがエフェクトされています。
さらに、このバッキングの野呂一生さんのギターもデジタル・ディレイで基本は右チャンネルなんですが、物凄い広がりを持ってテーマを包み込んでいます。
CD Time=0:10ではそのディレイの効果のために、グリスダウンする音がセンターで聴こえます。一瞬、ギター2台?って想ってしまうほどの空間を持って奏でられていきます。
この広がりのために、少ない音数でも十分な音圧を持ったテイクに仕上がっています。

ファーストソロはオリジナルの通りに野呂一生さん。
ノーマル・クリアトーンにオクターバーで下の音を加えてのプレイです。この音は当時魅惑の音で、オクターバーが欲しかったのを想い出します。まだマルチエフェクターなどは無い時代でしたので、コンパクトエフェクターを必要に応じて買い揃えていくと言うスタイル。当然必須なディストーションやコンプレッサー、そして空間系のコーラスやフランジャーと揃えていくので、オクターバーなどは後回しになっていくわけです。その意味でも憧れの音でした。

野呂一生さんのソロは今聴くと非常に完成度が高くて、ある程度創ってあったラインかとも想われます。それでも音の選択やフレーズ回しは見事で、この曲もいろいろなテイクがありますが、ベストテイクと言えるソロだと想います。
またリムショットからスネアに変わった後の神保彰さんのスネアのゴーストノートが絶妙なグルーヴを生み出しています。比較的オーソドックスに聴こえる神保彰さんのプレイですが、拍のビートをしっかりと出しつつも、例えばテーマ部分のリムショットを拍で叩きながらもハイハットの16ビートを奏でると言う技など、聴き所がたくさんあるプレイになっています。

サビから中間の美しいメロディとコード進行のブリッジ部分を挟んで向谷実さんのソロに入ります。
テーマそのままの綺麗で広がりのある音でリリカルにメロディを奏でていきます。向谷実さんのソロラインは、左手のバッキングがそんなに目立たないようなイメージがあったのですが、このソロは絶妙に左手のバッキングが入っていて、それが、時に単独で時に右手と連動して見事に奏でられています。

再びテーマに戻ってエンディングですが、全体的に非常に大人しい感じで、それでいて洗練されている感じを受けました。
また、ここでの桜井哲夫さんのベースラインですが、ほとんど冒険は無く、いたってストレートにコードを追っているラインです。おかずも最小限に留めていると言う感じで、逆にこのライヴレコーディングのプレッシャーみたいなものが伝わって来るプレイになっています。その分、こじんまりとまとまってしまっていますが、それが曲に洗練さを与えていると言う、狙ったものかどうかは解りませんが、いい効果となっている感じもします。


02:朝焼け
超がいくつ付くか解らないくらいのカシオペアの代表曲。何種類かバージョンがありますが、この作品のものが一番まとまっていて定番になっています。

イントロのギターカッティングは単純なんですが改めて聴いてみると非常に良く出来たフレーズだと想います。
このフレーズはギターの弦の1、2、3弦しか使用しません。残りの弦は左手でミュートをするのですが、これがけっこう難しい。5,6弦は親指を回してミュートするのですが問題は4弦。これは押さえている指を微妙に触れさせてミュートをします。
さらに右手は16分音符でのアップダウン。しかも歯切れ良く1,2,3弦のあたりを集中的に弾きます。それを左手のミュートとともにアクセントを絡めてフレーズが出来ています。
このテイクを聴くと、まったくと言って良いほど野呂一生さんに乱れはありませんね。まるでシーケンサーかループのように全てのフレーズが同じように聴こえます。聴き飽きたとも言えるくらい聴いたり、弾いたりしたフーレズですが、改めて聴くとやっぱり肝!ですね。また、ここではデジタルディレイを使用してエフェクトしているので、物凄い広がりを感じることが出来ます。

しかしその分ギターのテーマが入った時に急激に音像が狭くなったように感じます。一応エレピで同じバッキングをしているのですが、音数もライヴ音源と言うことで限られていますので、難しいところではあると想いますが。それにしても、エレピのバッキングを聴けば聴くほど、やはりギターでなければダメで、ギターならではの歯切れよさが身上のバッキングですね。

サビはご存知ギターのオクターブ奏法のメロディですが、ここで再びデジタルディレイで広がりを出しています。

まあ、流れで聴いていくと、テーマ部分の広がりの無さが逆に、イントロとサビを引き立てていると言う感じもします。

野呂一生さんのギターソロは、細かいリズムとは逆に大きなフレーズの乗りで展開をしています。
CD Time=2:19は多分右手に持っているピックで押さえてスライドをさせると言うライトハンド奏法だと想いますが、ややミストーンになっているのがライヴらしい感じ。
また決めのライトハンド奏法も少し後半リズムが乱れてくるのも同じくライヴな感じ。
それでもまとまったフレーズとメロディアスなラインは、適度な即興性の中にも練られてと言うか、何度も演奏をしている内に完成度がどんどん高くなってきたソロと言う感じがします。

ギターソロの後のテーマは向谷実さんのシンセでメロディを奏でます。このときのバッキングのギターはイントロの広さを少し抑えてまとめてありますがそれでもいい感じです。個人的には、ギターのテーマより、シンセでのテーマ部分の方が好きですね。

リズム隊なんですが、ここでもかなりオーソドックスに淡々とリズムを刻んでいます。特に桜井哲夫さんのベースラインは1曲目と同じくほとんど遊びが無く、余計な音が無く、いたってシンプルでリズムを正確に刻むことに徹している感じがあります。もう少し遊んでもよかった感じはありますが・・・。


03:ミッドナイト・ランデブー
この曲も説明不要の名曲です。
前の2曲は、前々作のアイズ・オヴ・ザ・マインド(*)で、元になるアレンジバージョンを聴いていたのでそんなに違和感は無かったのですが、この曲は当時結構な変わり方でインパクトがありました。個人的にはオリジナルのバージョンの方が好きですが。

オリジナルはシャッフルのビート感があるのですが、ギターのベースのユニゾンでのバッキングが比べて平坦な感じで、そのちょっとしたギャップがミッドナイトと言う少し暗く陰鬱な世界観を醸し出していたと想います。
比べて、この作品でのバージョンは、シャッフルがかなり全面に出てきていて、しかも、途中のユニゾンなど華やかな側面があって、どちらかと言うともっと絢爛なネオンが霞むミッドナイトと言う感じで、垢抜けてしまったと言う感じがします。まあ、お好みと言うところではありますが。

でもその効果とも言えるのがサビの部分。サビの部分は豪華でリッチな感じがもともとあったので、その意味ではサビの雰囲気に綺麗につながるのはこのバージョンと言えるかなと。まあオリジナルはそのギャップもミッドナイトな感じだったんですが。

野呂一生さんのクリアトーンのテーマはやはりデジタルディレイで左右に振られています。丁度テーマを追いかけるようになっていて、リー・リトナーさんが得意としているディレイの使い方のようです。
しかし、右側の音量が少し大きい感じがして、気になるとけっこう耳に付きます。テンポとの微妙なズレが当然ですがありますので意識してしまうと、ダメですね。

テーマ後のユニゾンは結構音が飛んでいるので難しいバッセージです。少し緊張感が漂う危なげな感じもありますが上手くまとめてシンセのソロにつなぎます。

向谷実さんのシンセソロは、左手でエレピを白玉でバッキングをしながら進みます。ロングトーンを中心としたメロディの間をギターとベースがユニゾンでバッキングをしていきます。

CD Time=2:44はミストーンとは言えないのですが、個人的にはかなり気になった音です。
このソロの最後の部分のコードは、トップノートをソから最後の1小節でファに動かすことによって続くユニゾンへの導入部となります。
ここでは、ギターとベースはユニゾンでのバッキングからユニゾン部へつながるために、コード的な音を入れることができないのですが、唯一向谷実さんの左手バッキングがそれをすることができる状況にあります。しかし、ここが単音のファが一発になってしまっているのです。これだけ完成度が高い演奏なので、このような部分は逆に目だってしまっている感じがするのですが。まあ、これも気になれば・・・と言うことではありますが。

野呂一生さんのソロは、これまた練ったと言うか、度重なる演奏で完成されていったソロと言う感じで見事に弾きぬけています。大変メロディアスでまとまったソロに仕上がっていますね。

再びテーマに戻ってエンディングですが、エンディングはユニゾンをさらに強力にしたユニゾンで終わっています。この終わり方はなかなか良いと想います。
オリジナルはフェードアウトですし、サンダーライブのバージョンでは、仕方なく終わっていると言う感じのするエンディングですので、実はこのエンディング部分が最初に出来て、それがこの部分だけではもったいない!ので中間にも入れたのでは?と言うのは考え過ぎでしょうか。そんな感じさえするエンディングらしいエンディングに仕上がっていると想います。


04:タイム・リミット
カシオペアのファースト作品カシオペア(*)の1曲目と言う記念的な曲。当時はこのテイクが物凄くカッコ良くてしかも超絶な演奏だったので、かなり驚いたと言う記憶があります。
オリジナルではブレッカー・ブラザーズデイヴィッド・サンボーンさんが参加していましたが、もちろんこの作品では4人のシンプルな演奏に仕上がっています。見事に4人で演奏をするようにアレンジされていて、まさにライヴバージョンと言う感じを持ちました。

しかし、だいぶ後になってからLD作品で、まだドラムが神保彰さんに代わる前のピット・インでのこの曲の演奏を映像で見たときに、ほとんどこの作品のテイクと同じだったことに逆に驚きがありました。
つまり、もともとこの曲はこの作品のテイクが野呂一生さんの考えていたアレンジで、それをオリジナルではデビュー作と言うことでのマーケット的なことか、ゲストがたくさん入ってしまって、もしかしたら意とは違うテイクになってしまったのがファーストアルバムのオリジナルテイクだったのではないかと・・・邪推ですが。

この曲はかなりの難曲で、スタートしてしばらく経ってからのギターとキーボードの16分音符でのユニゾン・ダウンフレーズなどはかなり難しいフレーズになっています。

ファーストソロは向谷実さんのシンセです。
オリジナルはエレピで少しジャズ的に決めていたのですが、このバージョンではスペーシーなシンセでのフレーズ展開になっています。

そして野呂一生さんのギターソロですが、この曲ではお馴染みの16分音符の連続した速いパッセージでのフレーズ。少しテンポキープの危な気な部分もありますが、何とか弾き切っています。

そして、サビの部分に入りますが、ここでは野呂一生さんがギターソロを展開していきます。ここはコード進行とスケールがワンパターンづつ変わっていくのですが、スケールライクに捉えながら、こちらは貫禄の弾き抜けです。

そのままイントロのパターンへ戻ってエンディング。約2:30ほどの短い演奏なんですが、なかなか内容の詰まったテイクに仕上がっています。

エンディングなんですが、当時から気になっていたのですが、野呂一生さんの弾いているコードがどうしてもしっくりこないのです・・・。このパターンはイントロでも出てくるのですが、妙に?メジャーコードなんですね。オリジナルを今回聴きなおして見たのですが、こちらはブラスの和音でしっかりとマイナーコードになっています。

また、この曲での桜井哲夫さんはやはり無難なプレイでまとめています。先ほどのピット・インでのライヴなどは、若さもありますがかなり暴れていて面白いです。そこまでいかなくても、もう少し暴れても良かったのではないかと想うのですが。

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と言うことで
続きのトラックは次回に・・・。

(CD TOTALTIME:36:03/ Walking消費カロリー:144.924kcal)

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クロス・ポイント/カシオペア

CROSS POINT

このところ天候も穏やかで、陽射しを浴びていると春らしさを感じます。と言うことで今日はカシオペアクロス・ポイントwalkingをしました・・・。

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この作品は1981年の作品で通算6枚目のアルバムになります。昨年からカシオペアの作品をはじめから聴きなおして、この作品にやっと辿り着いたと言う感じです。
私がカシオペアのコピー・バンドをしていた時のまさにリアルタイムな作品で、もちろんライヴで演奏をした曲もたくさんありますし、ギターをコピーした曲もあります。その意味では本当に良く聴いた作品と言えるのですが、ここ数年は全くと言って良いほど聴いていませんので、果たしてどうでしょうか・・・。

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01:スマイル・アゲイン
イントロの重厚な向谷実さんのシンセと野呂一生さんのギターのミュート・カッティングが少し陰鬱な感じを醸し出します。程なくして歪み系の音色でテーマが奏でられていきます。
音に通常の歪み以外に何かもう少しエッセンスが加わっている感じがします。良く解りませんが、ライナー・ノーツにコルグ製のギター・シンセとありますので、もしかしたらそれでエフェクトを加えているのかな、と想います。

コルグのギター・シンセは私も実は以前持っていて、当時としては比較的安かったので面白がって使用していました。野呂一生さんの使用していたものがどのグレードのものか解りませんが私のはいわゆる一般品で、今のローランドのギターシンセと同じく普通のギターのブリッジ近くに
両面テープで取り付けるタイプなんですが、このピックアップの反応が大変悪く、とてもライヴで使用出来るものではなかったのを想い出します。そう言えば和田アキラさんもコルグのギター・シンセを使用していたと記憶していますが・・・。

テーマ部分ではギターのカッティングがオーバーダビングされて左チャンネルから聴こえてきます。それに対して右チャンネルではパーカッションが聴こえてきます。その2つの音の上にシンセが定位していると言う感じでしょうか。かなりクリアな音質で、広がりもあります。

サビの部分は非常に野呂一生さんの曲の特徴が出ているフレーズです。
サビのモチーフを、最初はEmで奏で、2回目はBm、そして3回目でG♯mで奏でて展開して行き、そしてテーマに解決すると言うパターン。良く考えられているメロディラインです。なかなかグッと来る!そんなサビのメロディですね。

ファースト・ソロは向谷実さん。
ライナー・ノーツを見ると凄い種類のシンセが並んでいます。ですから、どの楽器でこのソロを取っているか解りませんが、音色的には少しファニーで、あまり厚みの無い音ですが、フレーズはコードトーンを捉えていて、雰囲気にあったソロだと想います。

サビを挟んで野呂一生さんのソロです。
ソロに入るとまず気になるのがシンセの音。かなり低い音でのコード和音になっています。これはこの部分で転調をしている為。ヴォイシングを変えてもう少し高い音での和音構成にするという方法もあったと想いますが、曲の持っているダークな雰囲気が良く出ているし、またギターのソロを際立たせると言う意味において、効果的なヴォイシングの選択だと想います。

そのダークな雰囲気を持った野呂一生さんのソロ。
最初はシンセのフーレズに呼応するようにラインを奏でます。そして、CD Time=2:35からはジャズのⅡ-Ⅴフレーズとデミニッシュのフレーズをミックスした、いかにも野呂節!と言うラインで弾き抜けていきます。ソロの最後のコーラスではサビのメロディにソロを絡めながら終止していきます。非常に構成とメロディラインが見事なソロでかなり肝!なアドリブです。

実はソロラインはもちろん素晴らしいのですが、ここは野呂一生さんのアレンジの妙技を味わえる部分でもあります。このソロの部分は3つのコーラスで構成されているのですが、聴いてお解かりの通りに転調を繰り返しています。

解りやすくベースの音だけを追って行くと、サビの部分が「E→B→G♯→C♯→F♯→G」となっていて、この終りのGのデミニッシュコードが繋ぎをして、Gの半音上の音であるG♯に転調をしてギターソロがスタートします。
今度は「G♯→D♯→C→F→A♯→B」となって進み、やはりBの半音上のCに転調をします。そして「C→G→E→A→D→D♯」となって、D♯の半音上のEで元にもどって、サビのメロディにソロを絡めると言う構成になっています。見事に転調をしながら元に戻っているのがお解かりだと想います。

コピーバンド時代に簡単なコード進行の場合は、若気の至りで、ちょっと気取って『なんちゃってアドリブ』をしていたのですが、この曲は、この転調のためにボロが露呈する結果になってしまったので、そのままコピーをした覚えがあります。それでも、このCDのバージョンではなくて、FMでオンエアされたライヴのバージョンを弾いていました。そのソロはこのバージョンよりかなりカッコ良いソロ。確かNHKのセッション80?か何かの番組だったかと・・・。

もうひとつこの曲での聴きどころは、神保彰さんのドラム。
私が言うまでも無く、ファンの方であればご存知かと想う千手観音的なドラミングは、当時のコピーバンドのドラマーも上手かったのですがこのテンポでは叩けませんでした。
16ビートをハイハットで叩きながら、カウベルを拍で入れて、さらに2、4拍でスネアを入れると言うドラミング・・・。今聴いても凄いと想います。しかも正確なリズムと粒揃いで、まるで打ち込みのような感じにも想えてしまいます。この難しいことをタイトにこなしてしまうテクニックはまさに神保恐るべし!で肝!です。

前作・アイズ・オヴ・ザ・マインドでドラムについては特にシンプルになって、さらに拍のビートが強力にプッシュされていました。今回も、プロデュースにハービー・メイソンさんが参加しているのですが、やはりその流れがこの作品にもあります。ですが、そのシンプルな中で、どうやって効果的にビート感を出すか!と言う神保彰さんのこだわりを感じることが出来るような気がします。また、『シンプルに仕上るけど、凄いことやってやる!』と言うような兆戦的な姿勢も感じるのですが・・・。

エンディングのギターのテーマでは更に音を加工して、ハーモナイザーのようなエフェクトでオクターブ上の音をかぶせています。この細かいこだわりがこの曲のクオリティを上げていると想います。
この曲ってこんなにいい曲だったっけ?と想ってしまうほど、久しぶりに聴いてみてまさに肝!でした。


02:スウェアー
イントロの野呂一生さんのギター・カッティングが印象的なスタート。カシオペアの曲の中ではのんびりムードの曲で、当時はあまり好きな曲ではなかったのを想い出します。

テーマは向谷実さんのシンセ。いかにも爽やかと言う音色で、連想するのは多分皆共通で海とか珊瑚礁とか。
中サビを挟んでサビに入りますが、サビではギターのメロディをシンセの和音が連動してメロディを奏でて行きます。その間を埋めるようにラインを刻んでいる桜井哲夫さんのスラップがいい味を出していますね。

ファースト・ソロは向谷実さんのエレピ。
この音はフェンダー・ローズですね。落ち着いたソロラインで爽やかな感じを上手く出しています。

エンディングのサビの繰り返し部分に野呂一生さんがソロを絡めて行きます。
クリア・トーンの音色がこれまた爽やかな感じです。


03:ア・スパークリング・デイ
ドラムの神保彰さんのハイハットとスネアを上手く使用したややラテン風のアップテンポのリズムにゆったりとメロディが流れているトロピカルな味わいのあるナンバーです。

ここでの神保彰さんのプレイも見事ですね。
バスドラを1拍目の頭に入れてビート感を出し、ハイハットとスネアを上手く刻みながらも、1拍目の付点8分喰ったところでアクセントをつけて、さらに3拍目でフロアタムを入れていると言うドラミング。そのフロアタムの音を左チャンネルで拾うために、今まで左チャンネルで聴こえていたギターのカッティングが右チャンネルに変わっています。

ここでの神保彰さんのプレイも拍のビートを強力に出しながらも、至ってシンプルに叩いています。それでも良く聴くとかなり高度なテクニックをソロとか『おかず』ではなく、むしろその部分では少なくしてリズムを刻む部分で、しかもタイトに聴かせてくれていると言うプレイになっています。
これは作品全体に言えることなんですが、カシオペアが前作のアメリカ録音で持ち帰ったひとつの大きな部分だと想います。


04:スパン・オヴ・ア・ドリーム
野呂一生さんの愛器・SGのギターのクリアトーンを堪能できるバラードです。向谷実さんのフェンダーローズのソロもなかなかグッと来るものがあるのですが、聴き所はなんと言っても野呂一生さんのギターソロ。全編オクターブ奏法で奏でていきます。当時は本家のウェス・モンゴメリーさんもほとんど聴いたことがなかったので、
そのお洒落な感じにかなりノックアウトされたのを想い出します。

まずはソロスタートのトーンが絶妙です。この部分だけ聴くとまさにウェス・モンゴメリーさんを彷彿とさせてくれます。
CD Time=3:03ではオクターブの音をトレモロで奏でます。この部分ではピックで低い方の弦の音を、人差し指か薬指で高い方の弦を交互に奏でます。
その後少し速いパッセージなどを挟みながら進み、最後の部分でコード奏法でキメます。

エンディングのピックアップの部分でも、音が飛んでいて難しいラインをリリカルにキメて締めます。ウェス・モンゴメリーさんと比べるのも酷なんですが、それでも、実に味のある演奏です。

またこの曲の持っている少しダークな感じをより醸し出しているのが、途中に入るシンセのやや不気味な感じもするストリングス風のメロディ。
ここまで聴いて、全体的にシンセの単音のラインの音色が少し変わっていたり、またいろいろなシンセでのマテリアルが入っているのも作品としての特徴のひとつと言えます。ストリングス・シンセがほとんど入っていなくて、それがさらにスッキリとシンプルな感じを出しているのだと想います。


05:ドミノ・ライン
問答無用の当時の定番曲。何回演奏したか、また何回聴いたことか・・・と言う位に私にも定番でした。もちろん、カシオペアもライヴでも定番曲になっていましたので、ラジオなども含めるとかなりのバージョンがあったように想います。オリジナルであるこのバージョンはかなり久しぶりに聴いたのですが面白い部分や今まであまり気にしていなかったり、気が付かなかった部分があリました。

曲はいきなりキャッチーなサビからスタートします。野呂一生さんのアレンジには結構あるパターンですね。もちろん最近の、特にJ-POPではかなり頻繁に登場するアレンジと言えます。とにかく出し惜しみをしないでいきなりリスナーを引き付けると言うことでは効果があります。

サビの部分では、デジタルドラムのクラッピングが入っています。
クラッピングは右チャンネルに入っていますが、その反対の左チャンネルでは野呂一生さんのギターカッティングが入っています。そしてセンターでは向谷実さんのピアノとシンセが和音を刻んでいます。
面白いのは、そのタイミングで、向谷実さんは8分喰って全音符と2分音符で拍のタイミングで奏でます。野呂一生さんはその向谷実さんと連動していくのですが、8分音符で音をプラスしています。この部分だけでも小さなドミノ倒しが起こっています。
さらにクラッピングは野呂一生さんのカッティングの後に8分音符を2つ奏で、1拍休んでまた8分音符を奏でます。
丁度、向谷実さんが先導をして、それに野呂一生さんが続き、そしてクラッピングが続くと言うまさに音のドミノ倒し状態。ライヴでのドミノ倒しのパフォーマンスのアイデアの片鱗を聴くことができます。

その全体を牽引するように桜井哲夫さんのスラップと神保彰さんのドラムが8分音符喰ったグルーヴを出していきます。
そこにメロディがノッて来るのですが、メロディは単純な8分音符のラインを、音を延ばすところで8分音符喰うと言うメロディになっていて、メロディのその部分に合わせてリズム全体が喰っていると言う構造になっています。

つまり、メロディが先行してそれにバックが追従するような形で、しかも微妙なタイミングを持ってそれぞれが奏でられていると言う見事なアレンジと言えると想います。このタイミングの妙を聴くと、タイトルのドミノ・ラインと言う言葉が実にしっくりきます。

テーマに入ると、個人的に耳が行ってしまったのが神保彰さんのドラミング。シンプルなハイハットの8ビートに絶妙なカウベルワークが拍ビートを加速させています。

中サビに入るとバッキングのギターが歪みをかけた単音のラインに変わってベースとユニゾンでバッキングをしていきます。これは今回聴いて初めて気が付いた部分です。効果的かどうかは何とも言えないところだと想いますが。

野呂一生さんのソロはワウのようなエフェクトをかけた音で奏でています。
個人的にはあまり良い音とは想えないのですが、良くまとまったラインで、無難にまとめていると言う感じのソロです。

エンディングのサビの繰り返しで、向谷実さんのシンセソロがかぶってきます。
この音も個人的にはあまり好きではない音です。何かオドロオドロしたような感じで、曲調に少なくてもあっていないような気がするのです。実はこのような感じの音がけっこうこの作品ではいたるところに出没しています。先ほど書いたシンセの少し変わっている感じの音と言うのはここにもあてはまります。

全体的にはいい曲ですね。改めて聴いて見てもいい曲だと想います。シンプルながら非常にまとまっていて、また良く聴くとこまかな『しかけ』や『こだわり』があって、音色の好みはありますが、クオリティの高いトラックに仕上がっていると想います。


06:ギャラクティック・ファンク
この曲もカシオペアのライヴでは当時定番でした。コピーバンドでも各個人がソロを披露出来ると言うことで良く演奏をしました。
ベースラインがとにかく印象的なんですが、今回聴いて見て、ベースの音にオクターバーがかかっていて丁度ギターをユニゾンをしているような感じになっていることに気が付きました。
更に、この曲はドラムが16ビートを刻んでいるようなイメージがあったのですが、拍のビートをバスドラで奏でていてハイハットは8ビートになっていました。このリズム隊の刻むビートが非常にファンキーさを出しているんですね。ちょっとアース・ウィンド&ファイアーのような香りも漂っています。

テーマの部分は基本的にはギターとシンセでメロディを刻んでいきます。
野呂一生さんのギター・カッティングは右チャンネルで単音のミュートカッティング。対する左チャンネルではギターをオーバーダビングしてテーマのハモリを奏でています。更に良く聴くと右チャンネルのセンター寄りでもう一本ギターでハモリを入れています。ですからテーマの部分はギターが3本でメロディをハモリ、1本がカッティングと言う、合計4本分で演奏していると言うことになります。

サビの部分は向谷実さんがスペーシーなメロディを奏でます。
そしてバッキングはベースとギターのユニゾンでバッキングラインを奏でていきます。当時このパターンが結構斬新な感じがして弾いていても面白かった記憶があります。

そしてソロ回しに入っていきます。各人のソロはもちろん良いのですが、ここではやはりそのアレンジが素晴らしいと想います。
まずは、各々のソロのバックのパターンがすべて違うと言うアレンジ。これはもうメリハリが効いていて、聴いていても非常にインパクトがあります。また、そのソロを繋ぐブリッジの部分に工夫がされていて、いくつかのパターンがあってそれぞれにカッコ良い繋ぎを聴かせてくれます。

曲としては単調と言えばそうなんですが、アレンジの妙とインプロヴィゼーションの妙で聴かせる曲で、セッションと言うかメンバー紹介的なポジションに置くにはピッタリな曲だと想います。

しかし、それはあくまでも聴くと言う立場での話で、実は細かい合わせや展開から、バンドアンサンブルのテクニックが非常に必要だと言うことも言えます。卒なくこなすにはかなりのテクニックが必要と言うことは演奏してみて痛感しました。相当バンド合わせをしておかないと、なかなかサマにならない難曲なんです・・・。


07:サニー・サイド・フィーリン
この曲を聴くと天気予報を想い出します。今でも天気予報のBGMで流れていますので。(地方局のみ?)神保彰さんの作曲ですが、ドラマーが創ったとは想えないような爽やかなメロディをピアノで向谷実さんが奏でていきます。

ファーストソロは野呂一生さん。
クリアトーンでメロディアスに奏でていきます。CD Time=2:00からのスライド使ったフレーズからコードトーンを捉えたコード感抜群のラインは本当に良く歌っています。ソロ終りの部分を速いパッセージで締めるのも野呂一生さんのラインの特徴でありますが、ここではいくぶん帳尻合わせ的になってしまっているのが残念と言えば残念なところでしょうか。


08:エニー・モーメント
この曲はハービー・メイソンさんの作でフレットレスギターがテーマを奏でるバラードです。ピアノが拍で和音を刻んでバッキングをしているのですが、ドラムも基本的には拍で強いビートを出すリズムになっています。
何回か書いていますが、この拍打ちのリズムが前作から続くひとつの特徴になっていて、それをこのバラードでも上手く表現していると言うことですね。

エンディング近くでフレットレスギターに歪み系のエフェクトをかけて野呂一生さんがソロを奏でます。ちょっと聴いた感じではフレットレスと感じないほどの音程の確かさがあります。フレット・レスギターもだいたい1作に1曲くらいの割合で登場していますので、かなり極めている感じがしますね。

09:エンドレス・ビジョン
昔はこの曲を飛ばしたりしていてあまり聴いていなかったのですが、今回は実にしっくりきていい曲だと想いました。若い頃との趣味や曲の聴き方の違いを強く感じますね。
向谷実さんの作曲でかなりムーディーな曲。恋人同士のワンシーンと言うような感じのテーマからちょっと緊張感のあるサビの部分はまさに、男女の微妙な関係を表しているようです。

ファーストソロは向谷実さんのピアノ。
テーマのパターンに乗せてリリカルに単音で奏でていきます。CD Time=2:20からは段々と音数を重ねていってクラシカルにキメます。

そしてサビのパターンで野呂一生さんのソロ。
クリアトーンで比較的ブルージーに奏でていきます。非常に丁寧な感じのラインで速いパッセージなども無く、世界はひたすらブルージーと言うソロラインです。

再びテーマに戻って2コ-ラスめに転調をします。この部分はもっと盛り上がっても良かったような気もするのですが、今まで通りに静かめのバッキングがかえって良いアクセントになっています。またそれは、この後に続くイントロの部分を更に劇的にすると言う効果ももたらしているような気がします。

全体的に良くまとまっているアレンジで、聴きやすく印象に残る楽曲に仕上がっていると想います。


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いつも拝読させていただいているbonejiveさんのブログで、ここ数回、向谷実さんの著書、フュージョン狂時代が紹介されています。それを読むと、丁度この作品のあたりの本人達の捉え方が垣間見えて実に興味深いです。
(bonejiveさんのブログ・Favorites Lab.はこちら

前作・アイズ・オヴ・ザ・マインドで私が強く感じたことがシンプルと言うこと。
それがこの作品にも出ていて、特にドラムの神保彰さんの、拍のビートを強くして、さらにあまり複雑な『おかず』等を入れずにシンプルに淡々とリズムを刻むと言うスタイルがこの作品でも、表れていますね。

また、全体のアレンジも含めた楽曲が非常に解りやすく、例えばコピーバンドをしていると言う立場で言うと『簡単そうに聴こえる』と言うこと・・・。
実はこの簡単そうと言うのが曲者で、実際は簡単ではないんです。

先ほども書きましたが卒なくこなすには相当のバンドとしての鍛錬が必要。そのギャップがひとつの魅力になっている作品と言えると想います。

つまり、テクニックに走った様子を感じさせないで、さりげなく技を聴かせて、それでいて全体としてはシンプルでスッキリと聴きやすい仕上がりになっています。前作とその前までの作品の丁度中間的な色彩を上手い具合に表現することが出来た秀作だと想うのです。

ここまでのカシオペアの作品は5作品。それぞれが振り返って見るとカシオペアらしさはあるにしても、かなり色彩の違った作品が並んでいるように想います。まさに試行錯誤と言うか、マーケット的にそうせざるを得なかったと言うか・・・。

この作品で何か方向性が見えたような感じがします。後のカシオペアの原点的な香りがするのですが。
その意味でも、また楽曲の良さと言う点でも、非常にいい作品だと改めて想いました。

(CD TOTALTIME:40:02 / Walking消費カロリー:160.93 kcal)

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カシオペア

曲名リスト
1. スマイル・アゲイン
2. スウェアー
3. ア・スパークリング・デイ
4. スパン・オブ・ア・ドリーム
5. ドミノ・ライン
6. ギャラクティック・ファンク
7. サニーサイド・フィーリン
8. エニー・モーメント(ウィル・ビー・ワン)
9. エンドレス・ビジョン

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(*)本文に登場したCD・DVD

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あとがき
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