幻想の摩天楼/スティーリー・ダン
THE ROYAL SCAM/STEELY DAN
もう12月も1/3終わろうとしています。あと何回、今年はwalkingできるでしょうか・・・。と言うわけで今日は、スティーリー・ダンの幻想の摩天楼でwalkingです・・・。
この作品は1976年のリリースでスティーリー・ダンの5枚目の作品になります。次の作品が超名作、彩【エイジャ】(*)そしてガウチョ(*)と続いていきます。いわゆるグループがユニット体制になってスタジオミュージシャンを適材適所に起用すると言う黄金のパターンが本格的にになったのがこの作品からと言うことになります。
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01:滅びゆく英雄
多分スティーリー・ダンの曲の中では一番と言って良いほど好きな曲です
左チャンネルのクラヴィの様なエレピが頭打ちでコードを鳴らし、それを受けて8分喰ってセンターのエレピがリズムを刻む・・・。ここのコードはC7(♯9)と言う緊張感の溢れるコード。このファンキーなバッキングを聴くだけで気分が高揚していきます。
ドナルド・フェイゲンさんが御馴染みの歌いまわしで語るように歌っていきます。
この曲は、もっと複雑にいろいろな楽器が入っていたように想っていましたが、今回聴いてみて意外にシンプルだと言う事に気が付きました。
左チャンネルがクラヴィの様な音でファンキーなバッキング。センターがノーマルな音でシンプルにアレンジされたリフを奏でるエレピ。そして右チャンネルがギターのカッティング。後はドラムとベースとコーラス。途中ギターソロのバックでハモンドオルガンの様な音を使用したり、カウンターメロディをエレピでオーバーダブしていますが、それでも圧倒的な音圧を感じるのは、アレンジの力と演奏とミックスダウンのテクニックから来るクオリティの高さと言うことでしょうか。
でも本当はもうひとつ重要な音があって、それがものすごく全体のクオリティを押し上げていると想います。それはラリー・カールトンさんの歌に絡むギターのカウンターメロディ。入れ方とフレーズが絶妙です。CD Time=3:16などはかなり肝!です。
この曲だけではなくて、実はこの作品は全体的にこのようなギターのカウンターメロディが入っている曲が多くこれがひとつの特徴と言えると想います。
この仕掛け人はどうやらラリー・カールトンさんの様で、以前のインタビュー記事で、この作品に於けるご自身の役割について『デモ・テープからコードチャートを創り、スタジオミュージシャンとスティーリー・ダンとの橋渡し的役をした』と言っています。
ラリー・カールトンさんのカウンターメロディは2コーラス目のCD Time=1:44のチョーキングでスタートします。さりげなくサビの部分でも絡みながら、そのままの流れでソロに入っていきます。
このソロの部分のコード進行はかなり複雑です。しかしスケールが変わっても選択できる音が比較的共通しているのでワンスケール的に弾き抜けていくことが出来ます。
しかし、そこはラリー・カールトンさんですので、実に見事にコードトーンを捉えていて、一聴簡単なフレーズに聴こえるのですが、ものすごく奥の深いラインになっています。このソロがローリングストーン誌が選んだロック史上最高のギターソロの3つの内のひとつに選ばれたのも納得です。
前半はちょっとしたメロディを受けるような形でソロを奏でていきます。
そしてCD Time=2:28のDm7→Bと言うコード進行のフレーズは、いかにもDm7!と言うフレーズから、Bの特徴的なトーンであるE♭を使って「ミ♭→ファ♯→ミ♭→ファ♯」とトリッキーな音使いのフレーズ。ハマっていないようで、見事にハマってる絶妙なラインです。もう大肝!
続くEm7→Dの部分での絶妙なクオーターチョーキングからスライドを使用して更にクオーターチョーキングを絡めて、再び同じようなスライドを使用しますが、今度は音を下げてのスライド。そして高いA=ラの音へ解決。
1回目のスライドは「ラ→シ」でEm7の5度に解決、そして2回目は「ソ→ラ」でDの5度に解決しています。
まあコードトーンをいかに捉えているかと言うことで少し説明しましたが、難しい理論は置いておいても、グッと来る部分だと想いませんか?
CD Time=2:36からの8分音符のラインからCD Time=2:39の素早く切れのあるチョーキング。そしてポジション移動のノイズをそのまま生かして低い音へ移動してのフレーズへ。いかにもラリー節!の部分です。
CD Time=2:44からのE=ミの音をペダルトーン的に使用した8分音符のフレーズからオルタード的なフレーズでコードトーンのB♭=シ♭へ解決。
ソロの終りではチョーキングをして伸ばしそのまま右手でフレットを押さえるライトハンド奏法でエンディングの雰囲気を出して、ドナルド・フェイゲンさんの歌に繋ぎます。
分析するとこうなるのですが、まあこれはどちらでも良いようなことで実際は、このような理論を肌で感じて弾いていて、しかもそれを卒なく、さらにリスナーに感じさせないような、歌っていてよどみなく流れているラインにしているところが偉大なところですよね。
曲のエンディング部分でもソロを弾いていてそのままフェードアウトしていきますが、とにかくラリー・カールトンさんのこのソロを聴くだけでもこの作品を聴く価値がある!と言ってしまいたい程の名演奏です。
02:アルタミラの洞窟の警告
ブラスセクションが入ってややスローな8ビートの曲。サビの部分の流れるようなメロディと絶妙な和音のコーラスが心地よいです。
サックスソロがフューチャーされています。ライナーノーツにホーンクレジットはありますが、具体的な楽器名とミュージシャンが記載されていないのでどなたか解りませんが曲調にあったソロラインで聴かせてくれます。
03:最後の無法者
イントロは歪んだギタートーンで和音をばらして弾いて延ばし、フィードバックがかかってきたらミュートしてブレイク。すかさずダブルノートチョーキングから8ビートに乗ってイントロのソロラインを奏でます。このプレイはラリー・カールトンさん。
前半は絶妙なチョーキングニュアンス。ギタープレイで言うところのセクシーなフレーズとでも言ったら良いでしょうか。16ビートの速いパッセージも少しありますが、やはり音の選択が見事で、これまたハマっていないようで見事にハマっているラリー節!超個性的なフレーズで肝!です。
この曲ではドナルド・フェイゲンさんの歌に所々カウンターメロディーでラリー・カールトンさんが絡んでいきます。それが見事なタイミングで歌を邪魔しないけど、際立っていると言う技を聴くことができます。このさり気無さが、これまたギタープレイで言うところの内助の功とでも言ったら良いでしょうか。
この曲もサビの部分のメロディがリズムに乗って気持ちよく流れるようなラインでさらにコーラスがとても美しいです。個人的にはスティーリー・ダンの初期のヒット曲ドゥ・イット・アゲインを想い出します。
04:狂った町
ジャズのテイストを感じるピアノを今度はカウンターメロディーにして曲は進んでいきます。途中からピアノの変わりにギターがやはりカウンターメロディを歌に絡めていきます。この演奏はラリー・カールトンさんではありません。先ほどのホーンと同じでライナー・ノーツに全員の名前はありますが、誰がどの曲をと言うことが記載されていませんので誰かは解りませんが・・・。
ギターソロもありますが、その感じからするとデニー・ダイアスさんかと。ちょっとラリー・カールトンさんと比べると・・・。1曲目と3曲目のインパクトが強力なだけに少し酷な気もしますが・・・。
デニー・ダイアスさんはスティーリー・ダンのオリジナルメンバーです。しかしこの作品ではグループとしてのメンバークレジットがないのでこの時点ではメンバーと言うことではなかったようです。ちなみに彩【エイジャ】のタイトル曲でも短いですがソロを弾いています。
05:トルコ帽もないのに
ストリングスの合い間を縫ってコーラスでテーマを奏でる曲。同じようなテンポと雰囲気を続けていくと言うパターンでサビの部分で少し変化がありますが全体的な流れは単調です。しかし、その単調な流れのために逆にイントロの少し変わった感じのピアノのフレーズがいきています。
06:緑のイヤリング
イントロのモールス信号みたいなエレピのフレーズにベースとギターの印象的なユニゾンからリズムのキメ。そして突っかかったようなリズムのバッキングに想わず腰が動きそうなビート。この曲もスティーリー・ダンの曲の中ではかなり好きな曲です。
ベースが拍頭に16分音符で「デ・デ♪」と弾き、それを受けてバッキングが「タ・タッ・ター♪」と追いかけます。ドナルド・フェイゲンさんの歌は、ベースに重なるように同じリズムで短いセンテンスで入ってきます。さらにそのバックのリズム隊、特にドラムの8ビートの中にもうねる様な16ビートがスネアで奏でられていきます。この単純ですが見事に整理されたアレンジが魅力ですね。
このドラマー、ハーフタイムシャッフルらしきビートはバーナード・バーディーさんでしょうか。見事なグルーヴを生み出しています。
ギターソロはピッキング・ハーモニクスから入ってメロウトーンでジャズ的なラインを奏でています。よく解りませんが、ウォルター・ベッカーさんかと想います・・・。
スティーリー・ダンはドナルド・フェイゲンさんはもちろんリードヴォーカルなので目立つのですがやはりウォルター・ベッカーさんが強烈な影響力でけん引しているように想うのです。知的な感じが結構好きなんです。
07:ハイチ式離婚
レゲエのリズムに緩やかにドナルド・フェイゲンさんのテーマが乗っていきます。イントロから曲中にトーキング・モジュレーターを使用したようなギターのリフを聴くことができます。サビの部分のコーラスに絡むハミングでのハーモニーと笛のメロディラインが東洋風の雰囲気がありますね。
08:裏切りの売女
前の曲とは変わって都会的な雰囲気のある曲。どこかへ逃げた尻軽女をなじるような歌詞の内容。そんな感じの良く出ているドナルド・フェイゲンさんの少し崩れた歌い方がまたいい感じです。
サビの最後の方の『とんだ尻軽女め・・・イーグルスをもっと大きく鳴らせ、近所の奴らに聞えるからな・・・』と言う歌詞。
この作品と同じ年にリリースされたのが、イーグルスの名作ホテル・カリフォルニア(*)。スティーリー・ダンらしい、歌詞での皮肉?それともリスペクト?
以前も書いたことがありますが、英語がわかって、なお且つアメリカの文化を肌で理解していればさらに面白く聴くことができたのが、スティーリー・ダンのもうひとつの魅力と言われている歌詞。これは日本にどっぷり浸かっている私にはとても残念だけど仕方のないことですね。スティーリー・ダンを聴くといつもそう想います・・・。
09:幻想の摩天楼
重いリズムをもったマイナー調の曲。その重いリズムが淡々と奏でられていきます。その間を縫って入るギターの印象的なメロディが更にマイナーさと陰鬱さを醸し出しています。テーマとその重いビートの部分が、押しては引く波のように繰り返されて頭の中に残ります。
途中に少し展開があるのですが、またその重いリズムに戻ってそのままフェードアウト。
大都会、ニューヨークの闇の部分が一緒に暮れていきます・・・。
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冒頭の部分でスティーリー・ダンと言えば『ユニット体制でいろいろなスタジオミュージシャンを適材適所に起用する』と書きました。
しかし、この作品はその片鱗は伺えますが、この次の作品の彩【エイジャ】の様な”超”が付く程の豪華さはありません。また、彩【エイジャ】の次のガウチョは確かに豪華ですが、それでもかなりバンド寄りのサウンドと言う感じがします。
そうすると実際には多くの豪華ミュージシャンを使った作品ってそれほど多くないんですね。ある意味、その全ては彩【エイジャ】のみを指していると言っても良いくらいではないでしょうか。
しかし、そのきっかけになったのは間違いなくこの作品と言えると想います。
それは、ラリー・カールトンさんのソロが入った1曲目や3曲目に現れているように、もっと適材適所にミュージシャンを起用すれば、更に曲のクオリティは上がる・・・と言うことを示しているのではないかと。
それが彩【エイジャ】で開花したのだと想うのです。
(CD TOTALTIME:41:21 / Walking消費カロリー:166.23kcal
walkingには・・・ビート感があって、テンポもややゆっくりめの曲が多いので良く合います!)
![]() | The Royal Scam Steely Dan 曲名リスト 1. Kid Charlemagne 2. Caves of Altamira 3. Don't Take Me Alive 4. Sign in Stranger 5. Fez 6. Green Earrings 7. Haitian Divorce 8. Everything You Did 9. Royal Scam Amazonで詳しく見る by G-Tools |
(*)本文に登場したCD・DVD
![]() | Aja Steely Dan by G-Tools |
![]() | Gaucho Steely Dan by G-Tools |
![]() | ホテル・カリフォルニア イーグルス by G-Tools |
![ジェイ・グレイドン・オール・スターズ・ライヴ・イン・ジャパン 1994.1.19 エアプレイ・フォー・ザ・プラネット[限定盤]](http://images-jp.amazon.com/images/P/B000XAMCA8.09.TZZZZZZZ.jpg)














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