Walking de Music

カテゴリー渡辺香津美
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渡辺香津美

          

TO CHI KA/渡辺香津美 【2】

Better Days レプリカ・コレクション-6 TO CHI KA(紙ジャケット仕様)

渡辺香津美さんのKYLYNのTrack05から細かく聴いてみます・・・。

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05:ユニコーン
この曲は言わずと知れた渡辺香津美さんの代表的な曲。CMに使用されていたことは言うまでもありませんね。
テーマはいかにもギターがハマるメロディ。ギター以外では考えることが出来ない!と言うようなギターならではのメロディを持っています。その他にギターでなければ!と言うメロディを持った曲と言えば高中正義さんのブルー・ラグーンなどを想い出します。

頭のキメは4拍目の裏で16分休んで2発入ります。そしてマーカス・ミラーさんのベースとジョー・キャロさんのバッキングギターがユニゾンでバッキング・ラインを2拍分奏でます。その2拍目の最後の音に重なって渡辺香津美さんがスライドで食って、テーマを3拍目に奏でます。そして今度は8分休んで16分音符でのキメを4拍目に・・・。

次ぎの4小節のCD Time=0:10ではジョー・キャロさんが音をオクターヴ上げてユニゾンをします。これが結構効いていますね。

テーマ自体が短いので2コーラス目の頭のキメを渡辺香津美さんがオクターヴ音を上げて奏でたり、テーマの終りCD Time=0:43もオクターブ上げたりしてバリエーションをつけています。

このテーマをスコア譜面に起こすと、見事にそれぞれの楽器が適所に重なりながら流れているのが解ります。この複雑で計算され尽くされたアレンジはまさに肝!

CD Time=0:50から8ビートになって渡辺香津美さんのソロがスタートします。
バックのリズムが少し跳ねた8ビートになっているのを受けて、基本的には、6連符を3つに分けて3連符のフレーズをひとつのモチーフにして全体の構成を組み立てているソロになっています。

CD Time=0:59は右手の指で押さえるライトハンドでフレーズ。そしてCD Time=1:02からはエドワード・ヴァン・ヘイレンさんで市民権を得た?ライトハンド奏法でのフレーズ。その後は3拍ほどブレイクを創って次ぎのフレーズに入ります。
ちょっとライトハンド奏法のフレーズが今一発展途上と言うか、つい入れてしまったと言うか。3拍のブレイクが個人的にはちょっと間が抜けた感じを受けてしまいますが・・・。1曲目のリキッド・フィンガーズでもハーモニクスを使用しているフレーズはエドワード・ヴァン・ヘイレンさんのプレイを見て取り入れたそうです。

続けて、機械的なシーケンスラインで上昇して行くフレーズを奏でて3連符と16分音符を組み合わせた5音のフレーズで今度は下降していき、CD Time=1:13からは3連符をプリングとハンマリングで連続して行くジェフ・ベックさんなどが得意としていた奏法で弾き抜けます。
この部分なんですが、本当はライトハンド奏法で弾きたかったのかなと?そうすると最初のライト・ハンド奏法のフレーズがイントロダクションになって効いてくると想うのですが・・・。このようなフレーズでライトハンド奏法を絡めてくるのはT-スクエア安藤まさひろさんなどは上手いですね。

CD Time=1:26からは、3連符をモチーフにしてトップノートだけを変化させていくフレーズから3連符を絡めた下降フレーズで弾き抜け16分音符の機械的なアウトフレーズから32分音符の速いパッセージへ、そして6連符の連続技に入ります。
最後はオクターブをばらしながら下降していき、32分音符での怒涛で粒揃いの下降フレーズで締めます。

それにしても、このバッキングでのマーカス・ミラーさんとスティーヴ・ジョーダンさんのビートはグイグイきて良いですね。

再びテーマに入り、マイク・マイニエリさんのソロに入ります。そのソロの入り口部分でマーカス・ミラーさんが奏でるフレーズはテーマのバックのギターとのユニゾンのメロディをモチーフにしています。このアレンジもかなり良いですね。

マイク・マイニエリさんのソロのバックは跳ねていないベタな8ビート。その流れに乗ってブルージーなソロを展開しています。
そして幻想的展開から再びテーマに戻ってエンディング。

まとまりがあってコンパクトな中にもスピード感と飽きさせない絶妙なアレンジが効いている名曲です。


06:ドント・ビー・シリー
マーカス・ミラーさんとスティーヴ・ジョーダンさんが奏でるファンクビートが強烈な曲です。特にマーカス・ミラーさんのスラップのプルがアクセントになっていると同時に曲のイメージを決定づけています。

渡辺香津美さんのソロはCD Time=0:27からスタート。
2つのコードが繰り返されているバッキング・パターンですが、ボキャブラリー豊富なフレーズ展開で単調になりやすいソロを上手く組み立てています。

その後続けてギターソロがありますが、今度は音色を変えて奏でます。
聴いた感じからするとハーモナイザーでオクターブ上と下の音をエフェクトしているようですが、ライナーを見るとコルグのギター・シンセサイザーのクレジットがあります。テーマの部分でもこの一聴不思議な音が奏でられていましたのでこれはシンセと言うことだと想います。
それでも単純に音色をかえるだけではなくて、フレーズもそれにあった少しファニーで細かいフレーズ展開をしているのが見事ですね。

その後ウォーレン・バーハートさんのオーバーハイムでのソロを挟んで再びテーマに戻りフェードアウトしていきます。


07:サヨナラ
トニー・レヴィンさんのフレットレスベースのメロディが美しいスタートのバラード。それに重なるように渡辺香津美さんのクリアトーンでのメロディが奏でられていきます。漂う哀愁と美しさのある名曲だと想います。

渡辺香津美さんのソロは単音をスタッカートに奏でるフレーズからスタートします。クリアトーンでのソロはこの作品ではこの曲のみになりますので優しい音色に少しホッとします。

途中に聴かせてくれるコード奏法が綺麗で良いですね。また、速いパッセージのラインもメロディアスで且つ粒揃いで見事です。個人的には、クリアトーンの渡辺香津美さんのフレーズの方がどちらかと言うと好み。これだけ粒の揃ったフレーズを奏でるのはなかなか難しいです・・・。また全体的にとてもメロディアスなのがグッと来ます。

その後を受けるウォーレン・バーハートさんのピアノソロも美しいです。


08:マンハッタン・フルー・ダンス
シャッフル・ビートのライヴ、セッション的な乗りのある曲。テーマは再びマイケル・ブレッカーさんとのユニゾンで奏でられていきます。
以前この作品を聴いた時に、この曲だけやけにラフでライヴな感じがしたのですが、やはり今回も同じ感覚を持ちました。

それぞれがラフに演奏していて、特にトニー・レヴィンさんが結構重いビートと言うよりは浮遊感のあるようなフレーズ展開をしているのが印象的です。マイケル・ブレッカーさんのソロスタート部分のフレットレスのスラップなどは意外と言えば意外な展開。そのためかどうか解りませんが、ピーター・アースキンさんが今一歩弾けていないのが残念な感じもありますが。

渡辺香津美さんのソロは弾きまくり大会。ソロの細かい構成などはとりあえず置いておいてセッション的な乗りで弾き抜けています。

マイケル・ブレッカーさんはかなり大人しめのフレーズ展開で、ブルージーと言えばそうなんですが、もう少しこちらも暴れて欲しかったと個人的には想います。

それでもライヴな感じは最後の曲に相応しい華やかさがあります。

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walkingを終えて聴き終えたときの印象の『パワー継続のたまもの!』は、細かく聴いた後もやはり同じように想いました。
とにかく勢いとパワーを感じる作品で、言うまでも無く、それを引き出しているのがKYLYNでの活動とマイク・マイニエリさんのプロデュース力。
さらに、バックのミュージシャンの余裕を感じるような技とノリ。

でも、このメンバー選択はマイク・マイニエリさんの絶妙な選択。渡辺香津美さんが曲を創ってマイク・マイニエリさんに聴かせると、その場で電話連絡をしてオファーしたそうです。

また、実際は、最初ゆっくりとしたスピードで合わせていって30分もするとほぼ曲が出来上がっていると言う凄腕ミュージシャンたちの中で、渡辺香津美さんはかなりの緊張状態にあったようです。

その緊張を上手く取り除いてリラックスさせたのもマイク・マイニエリさんのアドヴァイス。
『もっと力を抜いて自然体でやった方がいい』と。

さらに、マーカス・ミラーさんが自転車に乗って鼻歌混じりでスタジオの中まで入ってきて、それでいてプレイすると凄い!と言うエピソードを始めに、仕事だけど音楽を楽しんでいると言う部分も凄腕ミュージシャンたちから学んだと聞きます。

リラックスした為か多少ラフなプレイもありますが、逆にそれが自然体の渡辺香津美さんのプレイになって、それは今も継続しているのだと想います。

それにしても名盤です。
これだけギターを弾きまくっているフュージョン作品って、日本のみならず海外でもあまり多くないのでは?と想います。

(CD TOTALTIME:46:03/ Walking消費カロリー:185.12kcal)

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Better Days レプリカ・コレクション-6 TO CHI KA(紙ジャケット仕様)Better Days レプリカ・コレクション-6 TO CHI KA(紙ジャケット仕様)
渡辺香津美

曲名リスト
1. LIQUID FINGERS
2. BLACK CANAL
3. TO CHI KA
4. COKUMO ISLAND
5. UNICORN
6. DON'T BE SILLY
7. SAYONARA
8. MANHATTAN FLU DANCE

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あとがき
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TO CHI KA/渡辺香津美 【1】

Better Days レプリカ・コレクション-6 TO CHI KA(紙ジャケット仕様)

段々と夏に近づいている感じがする気候になってきました。と言うことで先日は渡辺香津美さんのTO CHI KAwalkingをしました・・・。

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この作品は1980年の作品。前回が名盤KYLYN(*)を聴いてwalkingでしたので、ここは迷わずその続きが聴きたくなったと言う単純な選択。でも言わずと知れたJ-フュージョンの名作。
以前、一度レヴューをしましたが、再び細かく聴いてみたいと想います。KYLYNプロジェクトで得たものを渡辺香津美さんはこの作品で爆発させているのでしょうか・・・。

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walkingを終えて聴き終えたときの印象は、ひと言で言うと『パワー継続のたまもの!』。

渡辺香津美さんのギターコピーはそんなに数多くしたと言う記憶がありません。しかし、この作品の楽曲は半分以上はしていると想います。ですから想い入れも多い作品と言えます。
今回聴く前は、もっとKYLYNで得たエッセンスをいろいろと散りばめている感じがしていたのですが、どうも少し違った感じを受けました。

この作品は、深町純さんのニューヨーク・オールスターズでマイク・マイニエリさんが来日した時に、楽屋で渡辺香津美さんがダメ元でプロデュースをお願いしたら、意外にあっさりOK。それでも社交辞令だと想っていたらしく、その後YMOのツアーでニューヨークのボトムラインに出演していた時に、ふっとマイク・マイニエリさんが楽屋に来て、「人にプロデュースを頼んでおいて、その後どうなったんだ?」と言われて急激に話しが進んで行ったと言うことです。

このエピソードが本当だとすると、渡辺香津美さんが、いきなりマイク・マイニエリさんにプロデュースをお願いしたのはまさにKYLYNを経て得た自信、そして勢い。さらにそこから派生したYMOのツアー参加。そしてニューヨークでのエピソード。全て良い方向へ、ある意味偶然が重なっていったとも言えます。
しかしこれは全てKYLYNでのパワーが継続した結果だと想うのです。モチベーションを持ち続けて積極的に動くと、事が意外に良い方向へ向いていく事ってありますよね。
でも、単純なKYLYNサウンドの延長になっていないところがマイク・マイニエリさんのプロデュースの力かと。新しいギターフュージョンサウンドを生み出したと言えると想います。

1曲つづ細かく聴いていきます・・・。

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01:リキッド・フィンガーズ
スティーヴ・ジョーダンさんのドラムリフから、マーカス・ミラーさんの歯切れの良いスラップが印象的なスタート。さらにケニー・カークランドさんのいかにもフュージョンと言うようなエレピの音にジョー・キャロさんのバッキングギターが加わると、無条件に感情が盛り上がってしまいます。

テーマはナチュラルに歪んだギター。このギターは当時の渡辺香津美さんのトレードマークであったアレンビック・ショート・スケールと言う話もありますし、KYLYNでも使用していたレスポールのアニバーサリーと言う話もあります。音の感じからするとレスポールのような感じもしますが・・・。
ちなみに、ジャケットの裏に映っている黄色いレスポールは、レスポール・スペシャル・TVモデルと言う1950年代後半ごろのヴィンテージもの。私も最近までこの作品のメインギターだと想っていたのですが、
実際は、このレコーディングの時に買った楽器と言うことで、ライヴでは使用していたようですが、意外にも今までアルバムで使用したことが無いそうです。

デヴィット・スピノザさんがデットストックであったこの楽器をニューヨークの楽器店で試奏していて、悩んだあげく、とりあえず家に帰ったのをいいことに、すかさず銀行でお金を下ろして2,850ドルで買ったと言うエピソードがあります。当時のレートからすると・・・かなり高い!

曲はテーマ、サビそしてそのパターンでソロ。再びテーマ、サビと言う解り易いジャズ的な構成。それでもテーマ、サビともにコード進行などバリエーションに富んでいてかなり完成度の高い楽曲に仕上がっています。

渡辺香津美さんのギターソロはCD Time=1:51からスタート。
テーマと同じ4小節がワンパータンで進むコード進行で、ワンスケールで弾き抜けることも出来るんですが4小節目のコード、G/Fと言う分数コードの部分の歌い方と展開が見事です。それをアクセントにしつつ、ロックフレーバーの溢れるラインを奏でていきます。

CD Time=2:55からの展開は、ワンスケールで弾くことは出来ない難しいところ。コード進行に合わせたスケールを絶妙に繋いでいて見事に歌っています。このあたりはジャズの基本が本当に身についていると言う感じがしますね。
チョーキングでスタートしますが、これが実に気持ち良いフレーズ。そしてCD Time=2:59でスケールチェンジしたフレーズを奏でさらに続けてCD Time=3:01でさらにスケールチェンジ。でも見事に歌が繋がっています。
CD Time=3:03でスライドダウンで低いフレットへポジションチェンジをしてCD Time=3:05の少し異国のテイストのあるフレーズからチョーキングアップへ。
さり気無く弾いているようですが、この部分がコピーをしていて実は一番難しかった記憶があります。けっこう弦が飛んでいて、なかなかスムーズに弾くのは大変でした。

次ぎの展開は、ワンスケールで弾ける、コードの展開のほとんどない部分。
渡辺香津美さんはCD Time=3:11のような機械的なシーケンスラインやCD Time=3:23のような印象的な6連符のパッセージを挟みながらも、単純になりやすいこの部分をメロディアスに弾き抜けます。CD Time=3;28からのラインなどは無条件にカッコ良いラインです。
その後、明るいメジャーな展開になって決めのフレーズへソロを繋いでいきます。

これだけバリエーションに富んだ展開と難しいコード進行の中で、約2分くらいのソロを展開するのはまさに見事で、まさに肝!
以前聴いた時には少し粗さも気になったのですが、それがかえって若さとエネルギーになっていて、全体的には物凄いパワーになっている感じがします。
このギターソロは間違いなく名演です。


02:ブラック・カナル
一転してミディアム・シャッフル的なビートの重いナンバーです。スティーヴ・ジョーダンさんのハイハットが歯切れ良く、抜群のビート感を出しています。
それに対してマーカス・ミラーさんはピチカートで少しルーズな感じで弾いています。これが、サビの部分に入るスラップの歯切れの良いパターンをより効果的にしていると想います。ピチカートとスラップって切り替えが唐突になってしまうことが結構ありますが、違和感がなくスムーズに切り替わるところは流石です。それにしてもマーカス・ミラーさんはスラップはもちろんですが、ピチカートも抜群に上手いですね。

渡辺香津美さんのソロはCD Time=1:46から。
ナチュラルに歪んだ音で、前半はあえてフレーズを刻み、タメを創りながら奏でていきます。それに比べて後半はそのバックの盛り上がりとともに連続した速いパッセージを奏でます。

サビからテーマに戻り、そのテーマをスーッと持ち上げるようにケニー・カークランドさんのピアノソロがスタートします。この一瞬周りのパターンが静かになるところが何とも言えず良い感じですね。そのまま、ジャージーでクラシカルなソロでフェードアウトしていきます。


03:トチカ
マイク・マイニエリさんのヴァイヴと渡辺香津美さんのデュオ曲。いわずと知れた渡辺香津美さんの代表的なアコースティックで美しい曲です。

ここでの渡辺香津美さんは、アコギでのプレイ。ギターは名器、オベーションのアダマスと言う楽器。このときにレコーディングに使用したアダマスは現在所有していないそうです。何処へ?誰の手に?と言うのも少し気になります・・・。

テーマはマイク・マイニエリさんの綺麗なヴァイヴが語っていきます。それに答えるように渡辺香津美さんのバッキングがささやいています。まさに楽器の会話と言う感じに時を忘れそうになります・・・。

ファーストソロは渡辺香津美さん。アコギの音と打楽器的な特性を生かして綺麗なラインを奏でていきます。
CD Time=1:23の低音弦での金属的な響きと箱が鳴っている感じを正確なピッキングで表現しています。続くCD Time=1:30では、チョップと言う、ミュートしてパーカッシブに弾く奏法で、これまたアコギの特徴を生かしたフレーズです。
また、高音の弦でもアコギらしさのあるフレーズや音を奏でていて、CD Time=1:51の音などはまさにアコギならではの『情緒あるひと響き・・・』

KYLYNの時もアコギのサウンドが実に見事だったのですが、この曲でのプレイは情緒を感じてしまう絶品のプレイですね。
渡辺香津美さんは、エレキがメイン、アコギがデザートと言っていましたが、こんなデザートならメインで食べたい!って想います。まあ最近の活動はそうなっていますが・・・。

続くマイク・マイニエリさんのヴァイヴソロはコロコロと綺麗に音が移動する感じが良いですね。ヴァイヴの音も美しいです。

CD Time=2:54からは同じリズムで2人が絡みます。先に仕掛けたのが渡辺香津美さんのバッキング。しばらく会話を楽しんだ後、CD Time=2;59の渡辺香津美さんのアルペジオをきっかけに再びテーマに帰っていきます。


04:コクモ・アイランド
フレットレスベースのラインが印象的なスタートです。ここでリズム隊が替わって、ドラムがピーター・アースキンさんでベースがトニー・レヴィンさんになります。

テーマはギターとサックスのユニゾン。サックスはマイケル・ブレッカーさん。
サックスの音を少し控えめにして、ギターと同化させるようにミックスダウンしているところがマイク・マイニエリさんの技といったら良いでしょうか。
それでも、しっかりと存在感があるサックスなのはマイケル・ブレッカーさんの技と言うかオーラですね。

サビの部分で少しラテンのテイストになります。ギターのメロディが心地よい風を運んでくれる感じ。CD Time=1:36のメロディ・ブレイク部分のコードと、エレピとベースのリズムが良い感じ。さらにピーター・アースキンさんのトップシンバル・ワークが効いています。

その爽やかな風を、嵐のような風が包み込んでしまうのが次ぎの展開部分。マイナーなコード進行に渡辺香津美さんがダブルノートチョーキングでアクセントを入れます。さらにCD Time=2:22のトニー・レヴィンさんの高速トレモロが効いています。

ファーストソロは渡辺香津美さん。ここでのプレイはロックテイストを封印したジャズ・フュージョンラインで攻めてきます。
渡辺香津美さんのソロの特徴と言うか、ロックテイストのソロの場合は、少し張り切る為か粗さが目立つ部分があるように想います。でも逆に、ロックの場合はロックだぜ!見たいなこだわりを感じてけっこう好きではありますが。ジャズ的なフレーズにこだわらない部分が魅力でもあります。

それでもこのソロのようなジャズ・フュージョンテイストのラインは抜群な上手さと粒の揃ったラインを聴かせてくれます。

CD Time=2:15のスタートからいきなり少しつっかかったようなカッコ良いフレーズ。CD Time=2:31からのピーター・アースキンさんのバスドラが入るのと同時に、フーレズが段々とリズムの乗っていきCD Time=2:36のスタッカートなラインからCD Time=2:41までの速いパッセージは粒揃い。
その後は少し音数を減らしてブルージーに奏でてCD Time=3:03からのラテンフレーバーのバッキングパターンへ。メロディアスに弾き始めますが、CD Time=3:13からのスケールライクな16分音符のラインから6連符まで息つく暇もなく連続します。

その後も所々で速いパッセージなどを挟みながらも、コード進行を捉えたラインで弾き抜けます。

テーマを挟んでマイケル・ブレッカーさんのソロです。前半の静かなバッキングの部分では、少しルーズに引きずったようなフレーズ展開です。
その後のラテンフレーバーのパターンに入ると段々と歯切れの良いライン展開に変わり次第に盛り上がってきます。
CD Time=6:45からはアウトフレーズ。良く聴くと合っていない?ような感じさえする音を選択してちょっと明後日?の方へ行きかけます。すかさずCD Time=6:51で戻り、超スタッカートな上昇フレーズへ。さらにそれをひとつのモチーフにしてCD Time=6:56からリズミカルなラインを奏でます。このあたりの繋がり方と構成は流石の上手さです。
CD Time=7:11はキジが鳴くようなひと吹きフレーズをモチーフにして吹き進めます。この部分でそれに答えるように、フレットレスベースの不安定な音程を利用したやや変態チック?なフレーズをトニー・レヴィンさんが奏でます。そしてマイケル・ブレッカーさんがそれを断ち切るロングトーン。さらに、CD Time=7:26から速いパッセージの連続技に入ります。
CD Time=8:12からフェードアウトまでは、リズムを中心としたラインで渡辺香津美さんのバッキングギターと絡みます。それでもフェードアウト近くでは怒涛の速いパッセージが爆発しています。
全体的にリズム的なアプローチやひとつのモチーフを連続して組立てて展開すると言う部分が多く、セッションと言うかライヴ的なソロに仕上がっている感じがします。怒涛の速いパッセージが少ないような感じもありますが、全体のグルーヴを引き出そうと言うような一歩引いた余裕を感じるソロですね。

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続きのトラックは次回に・・・。

(CD TOTALTIME:46:03/ Walking消費カロリー:185.12kcal)

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2. BLACK CANAL
3. TO CHI KA
4. COKUMO ISLAND
5. UNICORN
6. DON'T BE SILLY
7. SAYONARA
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(*)本文に登場したCD・DVD

Better Days レプリカ・コレクション-4 KYLYN (紙ジャケット仕様)Better Days レプリカ・コレクション-4 KYLYN (紙ジャケット仕様)
渡辺香津美 矢野顕子 坂本龍一

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KYLYN/渡辺香津美  【2】

Better Days レプリカ・コレクション-4 KYLYN (紙ジャケット仕様)

渡辺香津美さんのKYLYNのTrack05から
細かく聴いてみます・・・。

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05:E-DAY-プロジェクト
渡辺香津美さんの歪んだ音のギターが印象的なスタート。雰囲気はとてもライトなフュージョン。少しポピュラーソングの香りもする坂本龍一さんの曲です。
この作品は、前半の曲とは違うテイストにこの曲から入っていきます。

ヴォコーダーでささやく様にメロディが奏でられていきます。個人的には結構好きなメロディラインやコード進行で、無条件に明るい気持ちにさせてくれるような楽曲だと想います。

テーマからサビ、そして再びテーマに戻り、展開されたサビに入ります。
その展開されたサビの部分では、歪んだ音でロングトーンの対旋律を渡辺香津美さんが奏でます。このフレーズは物凄く気持ちいいですね。多分弾いている渡辺香津美さんはかなり気持ち良かったと想います。

ファーストソロは矢野顕子さん。
速いパッセージなどはなく、少し跳ねたリズムで曲調に合った優しいラインを奏でていきます。それでもCD Time=1:59からの、今まで跳ねていたラインを3連符で平坦なラインにしてソロエンドに向かうところはいい感じです。

再びテーマに戻って、静かな部分に入り渡辺香津美さんがコード奏法でのちょっとしたソロを入れてイントロそしてまたテーマへ・・・。
このテーマの部分が何回も出てくると言うアレンジはポップス的なアレンジですね。個人的には『また?』と言う感じもするのですが。

エンディングは先ほどの気持ちの良く展開されたサビに、さらに気持ち良さそうに渡辺香津美さんがソロを重ねていきフェードアウトしていきます。

ここでの渡辺香津美さんのソロは、チョーキングをアクセントにして速いパッセージを間に挟んでいくと言う展開。
CD Time=4:43は、大きなメロディの動きではなくて、ひとつの音をポイントにしてその周りの音を動かして全体的な上昇していくラインを生み出してCD Time=4:46のチョーキングでアクセント。さらにフレーズを続けCD Time=4:50で再びアクセントのチョーキング。CD Time=4:58からなどは少しラリー・カールトンさんを彷彿とさせるものがありますね。

もう少しゆったりとしたフレーズを挟んでも良かったのかなあ、と個人的には想うのですが、それでも見事に歌っているソロラインです。

ラリー・カールトンさんで想い出しましたが、聴いていると少しスティーリー・ダンの楽曲ような感じを受けました。ちなみに、この部分のコード進行はスティーリー・ダン滅びゆく英雄のエンディングの部分と同じ流れを持った進行です。


06:アカサカ・ムーン
3曲目に続いて渡辺香津美さんのアコースティックな世界です。左右にディレイで音を振って幻想的な世界を創り上げていきます。
しばらくすると坂本龍一さんのピアノがクラシカルに入ってきます。そのピアノのラインを包むように渡辺香津美さんのアコギの世界が続きます。

途中曲はテンポを上げて、左右のチャンネルをシンセの煌びやかな音が行き交います。その中で渡辺香津美さんのソロがスタートします。

ギターソロの後はフレットレスベースが静かに登場します。このフレットレスベースは渡辺香津美さんの演奏。この雰囲気と言うかフレットレスベースの入り方などは、この後の作品であるTO CHI KA(*)に収録されているSAYONARAトニー・レヴィンさんを起用したアイデアに結びついている感じでしょうか。


07:KYLYN
渡辺香津美さんのハードなギターソロが少し入ってからリズムはレゲエ風に。そして宙を舞うように奏でられているシンセの音がYMO風?言うならば坂本龍一風レゲエと言ったら良いでしょうか。

テーマはボコーダーで奏でられていきます。この曲に集中していくと、今まで聴いてきた作品とは別の作品を聴いているかのような錯覚を覚えてしまうくらいですね。

それは楽曲やアレンジの部分が大きいのですが、演奏上もドラムが村上秀一さんから5曲目から高橋ユキヒロさんに替わったことも大きいかと想います。

もし全編村上秀一さんが叩いていれば、また違ったサウンドになっていたでしょう。これは、上手い下手と言う意味ではなくてドラマーの個性と言う意味で。

渡辺香津美さんのソロはCD Time=1:47から。
かなり歪んだ音で、さらにトレモロアームを使用した少しスペーシーな展開を聴かせてくれます。途中ブレイクするところでのフレーズが何とも言えない独特の雰囲気ですね。


08:アイル・ビー・ゼア
実はこの曲は個人的に大好きで、このKYLYNの中でもNO.1、2を争います。一番好きな部分は全体のアレンジで、構成が見事にまとまっているところでしょうか。それから、何と言っても矢野顕子さんの歌が抜群に良いですね。

イントロは、コード進行と若干のストリングス、シンセのメロディで流れていきます。そして矢野顕子さんのロングトーンでのコーラスが入ってテーマへ。

テーマは少し和風の感じもあるメロディラインを坂本龍一さんのシンセと渡辺香津美さんがユニゾンで奏でます。

サビに入ると矢野顕子さんの歌で、左右に振られてハモリます。この部分が今までの和風のテイストを一気にお洒落な感じにしてくれますね。

そしてサビの終り部分が歌で終わりでは無くて、シンコペーションのバックの演奏にシンセのラインが絡んでいき、その後で矢野顕子さんのロングトーンでのコーラス。そして渡辺香津美さんのソロがスタート・・・。この部分の流れとアレンジはいつ聴いても肝!です。

渡辺香津美さんのソロはテーマのコード進行で短いのですが、決して盛り上がり過ぎる事がなく、あくまでも歌もののアクセント的なラインが良く曲調に合っています。

ソロの後は再びサビに入り、そしてテーマに戻ります。

その後でもう一度サビに入るのが定番の作曲の流れなんだと想うのですが、確かにサビには入っているのですが、矢野顕子さんの歌の代わりにストリングスがサビのラインを奏でていきます。そしてそれはそのままエンディングの渡辺香津美さんのソロへと入っていきます。このあたりのアレンジが曲を締めていて非常にまとまりを感じます。

それでも唯一、何?って想うところはタイトルの『アイル・ビー・ゼア』とコーラスが入るところでしょうか。雰囲気は解りますが、これは矢野顕子さんを絡めて欲しかったと想います。
また、このバックでは渡辺香津美さんがソロを展開しているのですが、どうもそれが良く聴こえないと言うのもちょっと不満と言えばそう・・・。ここはソロではなく、あくまでも『ソロでのバッキングプレイ』と言う意味合いで聴くとその意図も良く解りますが、結構いいラインを奏でているので、ギター好きにはちょっと残念かと・・・。


09:マザー・テラ
スロウな8ビートの中にもスペーシーで幻想的なムードが漂っている坂本龍一さんの曲です。
テーマらしいテーマがなく、いたってBGM的に曲は進み、渡辺香津美さんのソロに入ってそのままフェードアウトしていきます。

ここでの渡辺香津美さんは、アコギでソロを奏でます。しかし途中でアコギ?って想ってしまう部分もあります。いづれにしても曲調にあった不思議な音の選択ですね。フレーズはいたってジャズ的。後半にはオクターブ奏法なども聴かせてくれます。

不思議なムードの中、この名作は幕を閉じていきます・・・。

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『もともとが、六本木ピットインでの6日間のライヴで、前半3日は自分が仕切ってジャズを、後半3日間は坂本龍一に任せてレゲエっぽいものやポップス、テクノを演奏し、その複合体がこのKYLYNだ』

渡辺香津美さんがこの作品を回顧しています。

私が言うまでもなく、この作品はその3日づつのパフォーマンスのコンセプトがそのまま収録されている形なので、前半はジャズ、フュージョンの世界、そして後半は坂本龍一さんの世界。
CDで聴くと、あの超絶な4曲目とライトな5曲目が連続して再生されるので、個人的には物凄い違和感があり、それがwalkingをして聴き終わったあとの感想である『・・・』と言うことになったわけです。

考えてみれば、LPレコードの時代には、5曲目からB面になったので、レコードを裏返したり、その間にコーヒーを入れなおしたり、また用足しにいったり、とわずかな時間ですが現実に戻ったわけです。カセットテープでも、裏返して巻き戻したり・・・。それが違和感を薄めて、2つのコンセプトを明確にしたのだと想うのです。

ですからCD化が逆に作品全体と言う見方をすると弊害の一部にもなったかと。2つのコンセプトが入っていることは、ジャケットの赤と青がしっかりと分かれているデザインにも表れていますね。

また、渡辺香津美さんはこのようにも言っています。

『バンドアンサンブルを交えて新しいものを創りたかった。その結果がこの作品で坂本龍一のアレンジが不可欠だった。ウェザー・リポートやEW&F、スティーリー・ダンなど革新的なものが生まれた時代なので、こっちもうかうかしてられなかった・・・』

その若いエネルギーと革新の気持ちが炸裂してるのがこのプロジェクトと言うことですね。

とかく私もそうなんですが、KYLYNを語る時に、超絶なバンド、この作品で言うならはA面のコンセプトのことになってしまうことが多いです。
確かに、walkingで聴き終えたときにはその感じがありましたが、1曲づつ細かく聴いていったら、B面の世界もかなり『いけてる』かな、と想いました。YMO自体をあまり聴かなかったので良く解らないのですが、このB面のテイストってあるんですよね。

渡辺香津美さんもYMOのツアーに参加していましたし、そのままメンバーへ・・・と言うのも流れとしては面白かったかも知れません・・・。
もうひとつKYLYNをそのままレギュラー・バンドとして継続・・・と言うもの良かったかも知れません・・・。
つまり、このプロジェクトが2つの大きな音楽の流れを生んだわけで、その意味においても、今まで半分の面しか聴いていなかったことはちょっと反省です。

それでも、実際はこの経験を軸にして名作TO CHI KAが生まれるわけで、その選択はファンにとっては最高の選択だったと言うことでしょうか。

いずれにしても、歴史にいろいろな意味で絡んでいるエポックメイキング的な傑作。
そこには、『何かがしたい!』と言う若いエネルギーが炸裂しています。

しかし、この作品やライヴを聴くことが出来たリスナーはもちろんですが、ここでエネルギーを爆発させたミュージシャンたちのその後の継続した活躍を聴くと、そのミュージシャンたちの『糧』になったのがこのKYLYNプロジェクトの最も歴史的な意味だったとも言えるような気がします。

(CD TOTALTIME:45:34/ Walking消費カロリー:183.18kcal)
【参考・引用/jazzLife別冊:JAZZ GUITAR 2003・2005】

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Better Days レプリカ・コレクション-4 KYLYN (紙ジャケット仕様)Better Days レプリカ・コレクション-4 KYLYN (紙ジャケット仕様)
渡辺香津美 矢野顕子 坂本龍一

曲名リスト
1. 199X
2. SONIC BOOM
3. WATER WAYS FLOW BACKWARD AGAIN
4. MILESTONES
5. E-DAY PROJECT
6. AKASAKA MOON
7. KYLYN
8. I’LL BE THERE
9. MOTHER TERRA

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Better Days レプリカ・コレクション-5 KYLYN LIVE(紙ジャケット仕様)Better Days レプリカ・コレクション-5 KYLYN LIVE(紙ジャケット仕様)
渡辺香津美 G.Vannelli 矢野顕子
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Better Days レプリカ・コレクション-6 TO CHI KA(紙ジャケット仕様)Better Days レプリカ・コレクション-6 TO CHI KA(紙ジャケット仕様)
渡辺香津美
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あとがき
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KYLYN/渡辺香津美  【1】

Better Days レプリカ・コレクション-4 KYLYN (紙ジャケット仕様)

昨日は良い天気でしたが、今日は雨・・・。と言うことで昨日は渡辺香津美さんのKYLYNwalkingをしました・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

この作品は1979年の作品。言わずと知れたJ-フュージョンの名作です。今更レビューも恥ずかしい気もするのですが、先日 milkybar音盤絵巻 さんのブログでその存在を知ったライヴ映像。見てはいけない禁断の世界を見てしまったような罪悪感と興奮があり、流れとしてやはり聴いてみたくなるのが真情・・・。
かなり久しぶりに聴きましたが・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

walkingを終えて聴き終えたときの印象ひと言で言うと『・・・』。

KYLYNにはご存知の通りライヴ作品KYLYN LIVE(*)がリリースされていますが当時、とは言ってもリアルタイムではありませんが、ほとんどライヴばかりを聴いていた記憶があります。
さらに今回は映像を観た後ですので、その雰囲気と強烈なインパクトが先入観になってこの作品に対する過去の記憶が、頭の中で膨張していたのだと想います。
ですから、そのギャップのために『・・・』と言う感想になったのです。

1曲つづ細かく聴いていきます・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

01:199X
2分弱と言う短い曲ながらも、ユニゾンを使用した切れのあるバッキングあり、ブラスの派手めのユニゾンあり、オーケストレーションされた部分がありと、いろいろな展開を持っています。いかにもスペシャルなオープニングに相応しい渡辺香津美さんの曲ですね。

イントロの部分から『ぶっ飛んで』いて、拍が取りにくい構造を持っています。

イントロの最初の4小節は、左チャンネルで白玉を奏でる坂本龍一さん(多分)のエレピと右チャンネルでイントロのメロディリフを奏でる益田幹夫さん(逆?)のエレピ、
そして村上秀一さんのドラム、さらに途中からエレピとユニゾンで渡辺香津美さんが入って来るという構成。

4拍目の終りの8分音符、つまり8分音符食って始まっているように聴こえるのですが、その後の2回目以降のパターンを聴く限りは食っていないと想われます。
しかし、食って聴こえてさらに拍を取りにくくしているのは村上秀一さんのドラムが全て。バスドラとスネアを入れる位置を8分音符分ずれて入れているので、結果として食っているように聴こえてしまうというマジックを使っています。
ですから、村上秀一さんのドラムだけを純粋に聴いていくと、8分音符分少なくパターンが終わっていることが解ります。まあ、実際は譜面を見ないと解らないのですが・・・。
これは、叩く方も難しいのですが、エレピとギターもなかなか合わせるのは難しいかと。

ですから、楽器を演奏したり、バンドをしていたと言う観点で言うと、どのようにカウントを取ってスタートしているのか!拍を取って演奏をしているのか!と言うのを映像で観てみたいですよね。個人的にはこのようなリズムのギミックは無条件に大好きで、特に、2回目に入ったときに感じる『ズレがぴったりと合っていく感覚』がやったり!と言う感じで実にカッコ良い!肝!です。

さらに2回目は、渡辺香津美さんがベースの小原礼さんとユニゾンで対旋律のようなリフを入れます。この展開がまた良いですね。このパターンは渡辺香津美さんのこの後の作品であるTO CHI KA(*)に収録されているユニコーンのアイデアに結びついている感じでしょうか。
また、ペッカーさんのパーカッションがさり気無く入ってくるところがビートに乗りを出しています。

次ぎの3回目、4回目は渡辺香津美さんのややワウをかけたような音でのカッティングが入り全体にスッキリと流れて次ぎのパターンへ入っていきます。4ビート風のパターンに入る前の部分での村上秀一さんのドラムが良いですね。まさにスティーブ・ガッドさんのような・・・と言うのがハマリます。

4ビート風のリズムに乗って渡辺香津美さんが奏でるテーマにブラスが重なってくるところは、かなりの盛り上がり。
でもそれを一度切るようにロングトーンのクラシカルで幻想的な展開に入っていって、次ぎの曲を導くように終わっていきます。


02:ソニック・ブーム
いかにもこの時代のフュージョンサウンドと言えるエッセンスがたくさん詰まった曲です。ただでさえジャンル分けがしにくいフュージョンなんですが、単なるインストと言うことではない、ある意味攻撃的なサウンドであるこの時代のフュージョンサウンド。
その大きな部分を占めるのが、高レベルのインプロヴィゼーション。

ファーストソロは益田幹夫さんのエレピ。
この音もいかにもフュージョンと言える音質です。耳にキンッと来るような高音を使用したフレーズと左手のバッキングを歯切れ良く使用したリズミックなフレーズはエレピソロのお手本のようです。

また、左チャンネルの渡辺香津美さんのバッキングは、単音をややミュートして、さらにフェイザ―かフランジャーをエフェクトした、これまた典型的なこの時代のバッキングパターン。
意外なのは右チャンネルの坂本龍一さんのピアノのバッキング。決してエレピのソロラインを邪魔することが無くそれでも主張をしていて、ジャズ的なバッキングではないのですが、ちょっと耳を想わず傾けてしまう、いい味を出しています。

続くソロは渡辺香津美さん。
当時の愛器、アレンビックのショートスケール・ギターのクリアトーンだと想われます。渡辺香津美さんは、スタンリー・クラークさんのような音をギターで出したいと言うことでアレンビックを使用したと読んだことがあります。
そのおかげかどうか解りませんが、ベースのアレンビックはスタンリー・クラークさんでギターは渡辺香津美さんの代名詞のようになりましたね。
それにしては、少し音質が丸く太いような気がするので、もしかしたら、この作品で使用しているギブソンのレスポールかも知れませんが・・・。どちらにしてもいい音です。

良いのは音だけでは無くてもちろんプレイも見事です。
クリアトーンなんですが、曲の雰囲気とか攻撃的な感じを出すために、あえてジャズ的なスタートでは無く、チョーキングで決めていくところがカッコ良いです。

CD Time=2:58やCD Time=3:00でさり気無く、それでいて粒揃いで切れの良い3連のアクセントはソロラインにスピード感をもたらしています。

CD Time=3:11からのコードを分散したフレーズからスケールチェンジをしてそのまま6度のインターバルにスライドを使用して上昇していくフレーズは、ギターのフレット上を横に移動していくフレーズで、ポジションを正確に押さえるのが難しいのですが、問題なし!と言う感じです。
さらに、この横方向へのアプローチはその後のCD Time=3:23のオクターブを使用したフレーズや、CD Time=3:35の解放弦の音を細かく入れて動いていくフレーズに結びついていきます。

このような一聴派手なフレーズはもちろんアクセントになるのですが、CD Time=3:20のような音の動きは少ないのですが、その選択と運びが見事で抜群にジャージーなフレーズも聴き応えがあります。

ソロのエンド部分が少し尻切れのようにまとまっているのが残念と言うか気になるのですが、それでも、途中何回かミストーンもありますので細かいことより全体的な流れとグルーヴを選んだソロテイクと言うことですね。その意図と選択は全く間違えではなくて、まさに高レベルのインプロヴィゼーションに仕上がっています。

再びテーマに戻ってから、イントロのパターンをバッキングに強力なソロを決めるのが清水靖晃さんのテナーサックス。

スタートでのいきなりのフラジオのロングトーンが既に『ぶっ飛んで』いる感じで良いですね。かなり熱いソロで、トリッキーなフレーズや叫ぶようなフレーズが多いのですが、それでも要所はジャズ的なラインで決めていきます。まさに、マイケル・ブレッカーさんのような・・・と言うのがハマリますね。
清水靖晃さんも真似ているけど物真似ではないのですが、聴いている方は勝手なもので、マイケル・ブレッカーさんだったらここは6連符の速いパッセージで下がるでしょう!などと想ってしまうのです・・・。

このソロで曲はフェードアウトしていきます。渡辺香津美さんのソロでフェードアウトではなくて清水靖晃さんのソロでフェードアウトと言うのは大正解ですね。
それくらい熱く、高レベルのインプロヴィゼーションだと言えます。


03:ウォーター・ウェイズ・フロウ・バックワード・アゲイン
渡辺香津美さんのアコギと坂本龍一さんのエレピ、そして矢野顕子さんのピアノで奏でる和風のテイストがあるアコースティックなナンバーです。この曲はずっと渡辺香津美さんの曲だと想っていましたが、今回お恥ずかしながら矢野顕子さんの曲だと言うことを始めて知りました。

渡辺香津美さんはエレキをメイン、アコギをデザート、つまり『おやつ』として名作おやつ(*)をリリースしたのですが、最近はめっきり『おやつ』がメインになりつつあります。
その世界観をこの曲で垣間聴くことができますね。その意味ではアコギ渡辺香津美さんのルーツ的な意味合いのある曲とも言えますでしょうか。

ここでのアコギはこれまた名器、オベーションのアダマスと言うギター。当時のアダマスも物凄く高い楽器でした。アレンビックと言い、アダマスと言い・・・。当時の名器のオンパレードですね。

渡辺香津美さんのギタープレイはもちろんなんですが、矢野顕子さんのピアノプレイが光っています。

曲は、ジャズ的でフリーな感じの中にもかなり計算をされたアレンジの跡が伺えます。どちらかと言うとクラシカルな側面を持っていてまとまりのある楽曲に仕上がっています。


04:マイルストーン
言わずと知れたマイルス・デイビスさんの名曲。とにかくカッコ良くて、一時期はこの演奏と言うか、KYLYN LIVEでのバージョンばかり聴いていた記憶があります。そう言えばKYLIN LIVEのバージョンはフェードインしていて全て収録されてはいなかったですね。

ギターのグリッサンドをきっかけにアップテンポでお馴染みのテーマがスタートします。小原礼さんのベースラインが歯切れ良くて、いいブルーヴを生み出しています。

テーマからサビのパターンへいくと想いきや、いきなりソロに入っていくアレンジが良いですね。ファーストソロは本多俊之さんのソプラノサックスです。

コードのベース音を使用したリズミカルなフレーズからスタートします。全体的に音の範囲を狭くして、さらに細かいフレーズのリフレインなどを多用して、どちらかと言うとメロディアスなラインで吹き抜けるのではなくて、感情高ぶるフレーズで攻めてきます。

それもそのはずで、バックの村上秀一さんのタイトなリズムと小原礼さんの絶妙なタイミングのおかずが入ったビート、さらに、左右の坂本龍一さんと益田幹夫さんのエレピのバッキングに、センターで歯切れの良い渡辺香津美さんのカッティング・・・。
この怒涛のビートの中で、感情が高ぶらない方かおかしい?とも想えるぐらいの強烈なグルーヴがあります。

続いてはサビの部分のコード進行をハーフテンポ的にして、トロンボーンの向井滋春さんのソロです。トロンボーンの音がまるで像の叫び声に聴こえるようなアフリカンテイストが漂います。
この部分が今までのアップテンポにひと呼吸を置くと言う意味で、物凄い効果的なアレンジになっていると想います。またペッカ―さんのパーカッションも効いていますね。

そして村上秀一さんのドラムのフィルを合図に再びアップテンポになり渡辺香津美さんのソロがスタートします。先ほどのハーフビート的な展開がさらにこの部分のソロのスタートにインパクトを与えていますね。

ここでの渡辺香津美さんの音は、かなり潰れたような音の歪み系です。線の細さも感じますので、ライナーノーツから拾ってみるとカスタムメイドのストラトキャスターではないかと想われますが・・・。

コード進行はワンコードなので、いろいろな仮想コード進行やいろいろなスケールを多用してバラエティに富んだフレーズを展開しています。
基本的にはチョーキングを使用したロック的フーレズとジャズのⅡ-Ⅴなどを想定したジャズラインと機械的に動いていくシーケンスラインを、これまた絶妙に組み合わせてワンコードと言う一歩間違えば陳腐になってしまうコード進行に、飽きのこない見事なソロを構成しています。

例えば、CD Time=4:18からのバップ的なフレーズからCD Time=4:21で機械的に上昇して行くシーケンスラインへ、そしてCD Time=4:25からのペンタトニックスケールを使用したロック的フレーズから、CD Time=4:28で1音半チョーキングを決める・・・見事な流れを持って迫ってきます。

多少荒削りな部分もありますが、それは全体の乗りやビートから考えると、かえって興奮状態が解って、さらにライヴ感があってよかったりします。

そしてその興奮はCD Time=5:15からのトレモロを連続するフレーズから頂点に達していきます。

CD Time=5:18では渡辺香津美さんも雑誌で言っていた『ワンコードの場合に有効な奏法』である、同じフレーズを繰り返すパターンをトレモロで奏でます。この感じはちょっとラリー・コリエルさんの影響が聴けますね。
その後のCD Time=5:26も同じパターンの繰り返しフレーズですが、今度は奇数でのポリリズムのラインを高速で連続します。このあたりはジョン・マクラフリンさんと言った感じでしょうか。
またバックでの村上秀一さんのハイハットとサイドシンバルを巧みに使用したドラミングがさらに興奮を高めていきます。

ソロの最後の部分は、コードが上昇して次ぎのパターンへのブリッジになっていきます。
この部分はスケールもどんどん変わっていく難しい部分なんですが、ここでの渡辺香津美さんのフレーズは、もう言葉にならないくらい見事で、コードの特徴的な音を捉えつつ、なお且つ興奮も持続しているような・・・感動すら覚えてしまうラインでまさに肝!です。

その後、ベースとギターのユニゾンをモチーフにしたパターンに入り再びテーマに戻ります。
そして、CD Time=6:51のテーマのフェイクとも取れる印象的な部分・・・。このアレンジは見事と言うか無条件にカッコ良い!アレンジです。また、曲中で1回しか出てこないのがさらに印象的です。

そしてテーマに戻って今度はサビに入ります。サビもここのみ一回しか出てきません。このアレンジも憎いものがあります。

さらにテーマに戻って、終りの部分ではテーマが8分音符を頭で奏でていくのに対して、バックの演奏をその裏ビートでユニゾンをさせてエンディングになります。

曲の面白さはもちろんなんですが、これだけ凝ったアレンジは実に聴き応えがあります。
それでも曲自体が単純なコード進行なので、勝負は言うまでもなくインプロヴィゼーションにかかっている部分が大きいです。

と言うことで、この勝負・・・もちろん勝ち!ですね。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★


続きのトラックは次回に・・・。


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おやつおやつ
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スパイス・オヴ・ライフ/渡辺香津美

スパイス・オブ・ライフ


今回は渡辺香津美さんの
スパイス・オヴ・ライフでwalkingをしました・・・。

この作品は1996年のリリースです。
渡辺香津美さんは、最近はクラシカルなアコースティックギター作品が活動の中心になっているようですが、その反面、ギタートリオと言うフォーマットも積極的に展開しています。
ギタートリオの場合はあくまでもエレクトリックな色彩が強いものが多く、ハードめなギターを聴かせてくれることが多いです。この作品もかなりハードだった印象がありますが、久しぶりのリスニング、どうでしょうか・・・。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★

01:メランコ
いきなり宗教的な香りのする鐘の音から、神秘的な色彩をもったストリング風の音色。今回のライナーノーツを見る限り、キーボードやプログラミングの明記が無いので額面通りに受け取ると、この作品でのシンセの音は全てギターシンセと言うことになりますね。

その神秘的でスペーシーなイントロダクションに渡辺香津美さんのスチール弦のアコギが裂くように現れます。

この曲は以前ギターコピーしてライヴをしたことがありますが、その時、このフレーズが実に難しかったのを想い出しました。
今回聴いて見て想ったのは、もしかしたらギター3本でオーバーダビングしてる?と言うこと。
試しにバラバラにCDに合わせて弾いて見ると、実にしっくりきました。ミックスダウンの時に、1本のプレイを分離することは可能ですが、特にセンターに定位している低音の音は、それだけ単独で弾いた方がハマリます。まあ、あくまでも推測ですが・・・。

細かいフレーズから考えると6/8拍子と想われるこの曲は、独特のビートを持っています。
それを演出しているのは、ドラムのビル・ブラフォードさんとベースのジェフ・バーリンさん。特にドラムのフレーズが良く聴くと和風。お祭りの太鼓のような香りがしませんか?そう言えばメロディと言うか、アコギのリフもそんな和風テイストがありますね。

さらにそのドラムの派手さに対して、ベースのビートが最初の4拍を引きずった感じで流し、次の2拍でドラムに合わせるビート。このコンビネーションがうねりを生み出していると言うことだと想います。

CD Time=2:02からは、ドラムのスネアが3拍目と次の小節の1拍目、5、6拍目に入ります。一瞬4/4拍子になった?って想わせるリズムトラップが逆に心地よい感じがします。

渡辺香津美さんのソロがCD Time=2:12からスタート。
深めにリバーヴをかけて少し奥に定位しています。これはイントロのスペーシーさをそのままコンセプトにした様な音と言えますね。また、けっこう歪んだ音なんですが、輪郭が割合すっきりしていて耳に残る音になっています。

アーミングなどを効果的に使用していて、かなりロックなフレーズ展開。
渡辺香津美さんの凄いところは、このような自分のルーツを素直にさらけ出せるところだと想います。ジャズを演奏していると、つい『ジャズギタリストのロックはこうだぜ!単純なペンタトニック・スケールなんぞは弾かない!』みたいな感じでジャズラインが頻出することが多いのですが、そうではなくて、『ロックする時は純粋にロックする!』と言うある意味少年のような素直さで、一聴ベタになりそうな単純なスケールやトリッキーな奏法を、いかにも楽しそうに奏でるところが素適だと想います。まあ、もともと凄いので決してベタにはなっていませんが・・・。

渡辺香津美さんのソロの後は、怒涛のエンディングに入ります。
この部分は、ベースラインを聴くと4/4拍子に変わっているようですが、渡辺香津美さんはポリリズム的なラインを奏でていて更に、ビル・ブラフォードさんが、16分喰ったところから付点8分音符での3連をバスドラとスネア2発で叩いているようで(分析はしっかりしていませんが、多分・・・)、まるで『ズレた3/4拍子』のように聴こえます。
3つの異なったリズムの重なる様はまるで雪崩。怒涛の如く押し寄せてきます。リスナーが頼れるのはジェフ・バーリンさんのベースライン・・・。ドラムに耳が行ってしまうと・・・拍を失ってわけが解らなくなりますね。この部分は実に見事!で、まさに肝!


02:ハイパー K
渡辺香津美さんの歯切れの良いクリアなカッティングとジェフ・バーリンさんのベースラインがピッタリ合っている様が、いいノリを生み出しているミディアムテンポのナンバー。
しばらくしてインサートされるギターのアルペジオは指を開いて押さえなければいけない、いわゆるストレッチコード。聴いていると音程が順番に上がっていくので、ギターの低い弦から高い弦へ向かって弾くように想うのですが、実は何も押さえない解放弦を巧みに使用しています。
1回目のアルペジオは1弦の解放弦を使って4弦、3弦、1弦、2弦と弾いています。そして2回目は4弦、1弦、3弦、2弦と言う順番に弾きます。
この解放弦を使用することで、微妙な音程間隔でコード和音を響かせることが出来ます。まさにこれは、ギターの特性。最大限に生かした綺麗で見事なコードワークです。

テーマはショート・ディレイをかけてクリアトーンで渡辺香津美さんが奏でます。
コード奏法なんですが、これも実に微妙で、不協和音の数歩手前のような不安定な響きが逆にいい感じになっています。

続くテーマは急展開の8ビート。一転歪んだトーンで前進、また前進!と言うようなポジティブなメロディを奏でます。
するとまた転じて、今度はベースが綺麗で情緒的なメロディでテーマを引継ぎます。それが終わると、少しベンチャーズ的なノリの8ビートへ再び突入していきます。

渡辺香津美さんのソロも、1曲目とは違って、速いパッセージの中にもメロディアスなラインやコード進行を捉えたフレーズがあって、ジャズ的な香りのする落ち着いたフレーズを展開しています。

目まぐるしく変わる展開の曲なんですが、つながりに無理やりなところがなく、綿密に計算されたアレンジと言う感じがします。


03:シティ
左チャンネルのクリアトーンのギターと右チャンネルの歪んだトーンのギターにベースが絡んだユニゾン。その間を埋めるように響くドラムのスネア・ロールが、嫌でも気分を高めてくれるイントロです。

ビートは16ビート。ベースの印象的なラインから、ギターとのユニゾンに入ります。
そして再び左右のチャンネルに振られたギターの歯切れが良いカッティングに、まるでマシンのような正確さで16分音符のビートを刻むベースラインが重なります。強烈なスタートですね。

テーマの渡辺香津美さんは、やや線が細いながらも良くドライヴの掛った音でメロディを奏でます。それにしても心地よいのはベースライン・・・。

渡辺香津美さんのギターソロは、1曲目と同じように『ロックだぜ!』と言うフレーズ。かなりトリッキーな奏法を連発していきます。
それでもCD Time=2:18からのダウンフレーズから超速弾きラインの流れは、流石の上手さを聴きくことができます。それにしても心地よいのはベースライン・・・。

イントロのパターンで、そのブレイクを埋めるように渡辺香津美さんが怒涛のソロラインを展開し終わると、今まで心地よいラインを刻んでいたジェフ・バーリンさんのソロへと流れていきます。

まずソロの入りが、その前から続いている心地よいラインと見事に繋がっています。これを聴く限り、多分オーバーダビングなしの一発録音のような感じがしますね。
ソロのコード進行はワンコードなんですが、その中に実に巧みにコードを想定しながらラインの組立てをしています。
CD Time=3:19はジャズのⅡ-Ⅴ進行を想定したバップ的なフレーズ。CD Time=3:25のラインも実にコードの動きを感じさせるフレーズですね。エンディングに向かって繰り出される、ギターのようなスラーを多用したフーレズも見事としか言いようが無いラインです。

テーマに戻って、2コーラスめは再び怒涛のベースラインで加速して、ユニゾンフレーズからエンディングへなだれ込みます。

それにしても心地よいのはベースライン・・・。


04:ピリオド
リム・ショットとリズムの複雑なユニゾンでスタートします。
コード進行とベースラインの不安定さを感じさせるラインに、これまた不安定さを感じるギターの音がテーマを奏でます。全体的に不思議なムードを持った曲ですね。

CD Time=2:18からの渡辺香津美さんのソロは、今までのロック的なフーレズから、今度はいかにもフュージョン!と言う感じの展開です。
コード進行はワンコードなんですが、実にいろいろなスケールを操って、吸い込まれるような魔力を持って迫ってきます。

CD Time=3:16のジェフ・バーリンさんの高速トレモロフレーズを合図に、ドラム、ベースともにテンポアップしていきます。それに合わせて渡辺香津美さんも熱いソロで攻め込んできます。


05:UNT
厚いシンセサウンドで雄大な感じのするイントロに続いて、渡辺香津美さんの特徴がよく出ている、ちょっと和風なメロディライン。ここではベースとのユニゾンで聴かせてくれます。

一転サビに入ると、ポップなメロディに変わります。ビートもノリの良いラインで、ウキウキするような楽しさのあるサビですね。

エンディング近くで、サビのパターンで笛の音でのソロがありますが、これは多分ギターシンセだと想います。ちょっとウェザー・リポートでも意識しているのでしょうか?そんな感じもしますね。
ここでもバッキングフレーズが見事なのはジェフ・バーリンさんのベースライン。ノリとメロディの両方を上手くミックスしたラインでグルーヴを演出しています。


06:ナスタロヴィア
中世の香りがするシンセのパフォーマンス。これも多分ギターシンセで奏でられていると想われます。そこにクリアトーンのギターが絡んできて、幻想的なムードがさらに加速します。

その響きの元になっていたギターのリフが一転して、メジャーな響きのリフに奪われて、ドラムとベースがインサートしてきます。今までが闇だとすると、この部分はそこに差し込む光。

それでもベースが主導するテーマ部分から、次第にまたイントロの持っているマイナーで闇の世界に引き込まれていって、渡辺香津美さんのギターソロで再び中世の闇に戻されます・・・。

コード進行や切れのよいバッキングがかなり神秘的な雰囲気を醸し出しています。リッチー・ブラックモアさんが出てきそうな雰囲気?

渡辺香津美さんのソロラインもその雰囲気を十分に匂わせるラインで奏でます。

そのまま、段々とフェードアウトしていき、ギターのフィードバックのロングトーンが『叫び』のような響きで、次第に闇に引きずり込まれて消えていきます・・・。


07:林風
スチール弦のゆったりとしたカッティングから、クリアトーンのエレキでのアルペジオが絡んで来ると一瞬2曲目のハイパーKのリフレイン?と想ってしまいます。

ところが曲は全く違って、もっとまったりとした、ちょっと南国風なムードも漂わせながら進んでいきます。

CD Time=1:19からドラムの2拍4拍のビートが入ってくると、次第に曲は様相を変えていって、ギターがサビのメロディを弾き出すと、世界は一気に和風。CD Time=1:33からのラインは何となく童謡風と言うか、想わず「もういくつ寝ると・・・」と歌ってしまいそうな・・・。

渡辺香津美さんの創る曲の特徴のひとつがこの和風テイスト。特にメロディラインに良く表れています。そのテイストとジャズやロックのテイストが絶妙にブレンドされているのが見事ですね。

その和風テイストを裂くように、CD Time=1:58からファンク色を強めていきます。
この部分では、ベーシックなミュートでの単音カッティングをバックに歯切れの良いカッティングでのソロを聴かせてくれます。


08:J.F.K
オーソドックスなロックンロールの8ビートが刻まれてスタートします。
テーマの部分でハーフビートになると、ちょっとウェザー・リポートバードランドのような雰囲気。テーマを何回か繰り返す間に、段々といろいろな音を重ねていって、CD Time=0:43からの最後の部分では、同じテーマのモチーフでコード展開を変えてきます。このワンポイントが非常に効いていて印象的。

さらに曲は展開して、今度はメジャーなメロディと8ビートでT-スクエアのような雰囲気。そして、再び8ビートへ戻っていきます。

CD Time=1:40からの渡辺香津美さんのソロは、軽快な8ビートにノッてクリアトーンでメロディアスに奏でていきます。そして、バックがハーフビートになると、エフェクトオンで耳あたりの良い歪みサウンドに切り替えて、複雑なコード進行を意識させないメロディアスで技巧的なラインを奏でます。

いろいろな要素が詰まっている曲で、バラエティに富んでいて楽しめる楽曲です。


09:レイジ・イン
幻惑されそうなムードのイントロ。ちょっとプログレ的なムードももちつつSE的な音をエレクトリック・ドラムやギターシンセで重ねていきます。

かなりフリーな感じで曲は進んでいきますが、ここで唯一、ノーマル音で勝負しているジェフ・バーリンさんのラインが実にヒューマンな感じを出しています。フレーズのみで、このエレクトリック軍団に立ち向かう姿は実にいいですね。

この3人の織り成す不思議な世界に段々とハマっていって、最後には・・・やっぱり幻惑させてエンディングです。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★

実にいろいろなマテリアルが入っていて、ギタートリオを言う枠を超えている作品です。
前にも書きましたが、ライナーノーツをそのまま受け取ると、ほとんどの音がギターシンセで奏でて、オーバーダビングをしていると想われます。

実際に、これだけのことをするのであれば、キーボード奏者を入れたフォーマットにしたほうがすっきりする?と想うのは少し安直。

それは、ギターで奏でているシンセフーレズが実にギター的だからです。しかも、ノーマルなギター音を実にうまく絡めているので、その意味ではどう聴いてもギタートリオ作品と言うことがあてはまります。

それはまさに、スタジオ録音と言うことを意識したギタートリオ作品で、先日レビューをしたパット・メセニーさんのギタートリオ作品のライヴを意識したジャズ的アプローチとは異なりますね。

そうすると、今度はこのフォーマットでライヴをする場合に、どの音のマテリアルを取り出して演奏するかと言うことに注目しながら聴けば、楽曲の中でどの音、マテリアルが渡辺香津美さんにとって重要なポイントの部分であるのか!と言うことが解ると言う楽しみがあります。

このトリオでの映像作品スパイス・オヴ・ライフ・イン・コンサート(*)がDVDでリリースされていますが、その検証は後日に改めて・・・と想っています。

また、かなり肝!になっているのは、やはりベースのジェフ・バーリンさんプレイとタイトなドラミングのビル・ブラフォードさんのプレイ。

考えてみれば・・・考えなくても凄いメンバーで、ここにギタートリオに於けるメンバーチョイスの妙を見ることができます。
特にジェフ・バーリンさのプレイは、純粋にノーマル音で、しかもほぼオーバーダビングなしの勝負。このエレクトリックトリオの中でも、純粋なフレーズとノリの勝負になっていて見事です。

渡辺香津美さんらしい和のテイストも盛りだくさんで、聴き所の多い名作です。

(CD TOTALTIME:46:51/ Walking消費カロリー:188.34kcal)

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スパイス・オブ・ライフスパイス・オブ・ライフ
渡辺香津美

曲名リスト
1. メランコ
2. ハイパーK
3. シティ
4. ピリオド
5. アント
6. ナスタロヴィア
7. 林風
8. J.F.K.
9. レイジ・イン

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渡辺香津美 ビル・ブラッフォード ジェフ・バーリン
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ビヨンド・ザ・インフィニット/渡辺香津美

ビヨンド・ザ・インフィニット

今日は比較的穏やかな一日だったのですが、遠くの山を見ると真っ白!雪です。冬ですね・・・いよいよ。と言うわけで今日は、渡辺香津美さんのビヨンド・ザ・インフィニットです・・・。


渡辺香津美さんの2001年の作品です。渡辺香津美さんと言えば、アコースティックな作品と同時にギタートリオを展開していますが、この作品はご本人曰く『自分のあらゆるものを投入したと言う感じ』とのこと。丁度、ソロギター作品ギタールネッサンス(*)の前にリリースされた作品になります。第一印象は、なかなか取っ付き難く、実際にはあまり聴いていない作品なんですが・・・。

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01:MOON [月]
この作品の帯に『21世紀に贈るエスノ・プログレ・ギター組曲』とあります。この1曲目から7曲目までがギター組曲になっていると言う大作です。これはデビュー30周年の2001年にライヴで演奏したものを再度スタジオで録音したと言うことらしいです。

スタートはナイロン弦のクラシックギターとストリングスから厳かに始まります。ストリングとは言ってもオーケストラでは無くて、ヴァイオリン×2、ビオラ、チェロと言う弦楽四重奏をバックにしています。作品全部を通して、この弦楽四重奏に加えて、後はサックスとフルート、そしてドラムとパーカション、ベースと言う編成が基本。渡辺香津美さんのギターにそれらが絡みつつ曲が進んで行くと言う感じです。

ナイロン弦のアルペジオ的なフレーズにヴァイオリンが付かず離れず絡み、そしてインテンポになります。テーマはフルートとのユニゾン。少し跳ねたリズムが心地よい感じですが、途中変拍子を挟んだりして、クラシカルでありながらもプログレ的なサウンドで、繰り返しのフレーズが少なく、曲は目まぐるしく展開していきます。ややエスニックな感じの中にも、少しレトロな感じがする1曲目です。

02:MARS [火星]
ホルストさんの惑星と同じように惑星をタイトルにしているのですが、この火星ホルストさんの惑星の中の火星の様な勇壮な感じでは無くて、もっと優しげな感じがする曲です。ここではスチール弦のアコ―スティックギターです。

スタートからしばらくしてインテンポになると少し様子が変わってきて、やや激しさが出てきます。テーマを奏でるヴァイオリンの感じがTVの情熱大陸と言う感じでしょうか。そのまま、渡辺香津美さんのソロへ突入していきます。

渡辺香津美さんのソロの特徴は、メロディアスな中にも、リズムシーケンス的なフレーズやパーカッシブなフレーズが心地よく絡んでくるところでしょうか。このソロでもその特徴が爆発していて、CD Time=3:00からのクロマティックでメロディアスなフレーズからポリリズム的なフレーズへの展開やCD Time=3:27の流れるようにアップしていく速弾きフレーズから和音を使用したパーカッシブなフレーズへの展開など見事なソロラインを奏でています。

続いて中川昌三さんのフルートソロ。
かなり熱いソロです。CD Time=5:30のいかにもフルートらしい震えを使ったラインがいい感じですね。また、それに絡む渡辺香津美さんのバッキングがこれまたいい感じです。

フルートと今度はエレキのユニゾンでのメロディを挟んでCD Time=6:38からのコード進行。これはちょっとレトロな感じのするいかにもクロスオーバー的な進行。雰囲気はジェフ・ベックさんのスキャッター・ブレインと言う感じでしょうか。

その後曲が重い8ビートに展開していきます。今度はかなりプログレ的な感じになります。ヴァイオリンとサックス、そしてギターのユニゾンでメロディです。ちょっとマハヴィシュヌ・オーケストラの雰囲気と言ったら良いでしょうか。ちなみにサックスは本多俊之さんです。その重い雰囲気から、ストリングスとサックスとギターが良く計算されたアレンジでレガートに絡みながらエンディングです。

03:MERCURY [水星]
再び渡辺香津美さんのナイロン弦ギターの音色とややオドロオドロしい感じのストリングスがイントロ。途中にSE的なフレーズで入る吉野弘志さんのウッドベースが雰囲気を盛り上げます。

曲はギターとベースのフリーテンポでのインタープレイにストリングスがバ