Walking de Music

カテゴリーJAZZ/FUSION-J
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JAZZ/FUSION-J

          

セイリング・ワンダー/増尾好秋 【2】

セイリング・ワンダー

増尾好秋さんのセイリング・ワンダーのTrack05から先日の続きのレビューです・・・。

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05:カーク船長
ファンファーレ的と言うか出航の為のイントロダクション的なシンセから、雨の音のようなSEが左から右に流れると、それを裂くようにT.Mスティーヴンスさんのベースの激しいリフ。続いてギターとのユニゾン・・・。そのまま、増尾好秋さんの短いソロに入っていきます。
フュージョンらしい攻撃的なサウンドのこの曲はテーマらしいテーマが無く、短いユニゾンの部分を介して増尾好秋さんのソロが続いていきます。

ここでの増尾好秋さんは歪んだギターの音でフレーズをドライヴさせています。また、この曲はT.Mスティーヴンスさんのベースが強烈で、やはり曲をグイグイと牽引していきます。


06:クラッカー・ジャック
増尾好秋さんのカウントからゆったりとしたファンクビートで奏でられていく曲です。
とにかくビートがグルービーで抜群の乗りがあります。ドラムのスティーヴ・ガッドさんの重い2拍4拍のアクセントにT.Mスティーヴンスさんの細かいパッセージを挟んだフレーズ。そして、右チャンネルのエリック・ゲイルさんのカッティングに左チャンネルのリチャード・ティーさんのクラビのバッキング。
その強烈なリズムに乗ってクリアトーンでややファニーな中にも、綺麗なサビメロのテーマを増尾好秋さんが奏でていきます。

ギターソロは少し特殊な音。ライナーノーツからギターシンセを使用しているようです。種類等は良く解りませんが、音としてはワウがきつく掛っているような感じの音。細かいフレーズにもクリアに追従していますので、当時としてはかなりクオリティの高いものだった言えるのではないでしょうか。フレーズも丁寧に音を選択していてメロディアスな展開で聴かせてくれます。


07:豪風(ロリンズに捧ぐ)
T.Mスティーヴンスさんの印象的なラテン調のベースラインからスタートする曲。タイトルらしい激しい風のような雰囲気が伝わります。サブタイトルのロリンズは、ご存知ソニー・ロリンズさんのこと。
先日レビューをしたMASUOライヴ(*)でも、エンディング曲として怒涛の演奏がありますが、それよりはいくぶんかスマートな感じのテイクに仕上がっています。

テーマはナチュラルに歪んだ音でこれまた印象的なメロディを奏でていきます。ギター弾きが好みそうなメロディで、想わずコピーをしたくなるラインを持っています。

最初のテーマ部分はセンターにメロディが定位していますが、サビの部分でセンターが休み、左右のギターに変わります。ここでも、一貫した3ポイントのトライアングルギターを聴くことができます。

このサビのメロディですが、5音で出来たフレーズをわずかのブレイクを創りながら連続していく、と言うラインなんですが、良く聴くとそのブレイクの部分にB=「シ」の音がアクセントとして入っています。この音はギターで言う2弦の解放の音で、ワンフレーズごとに解放の音を鳴らしていると言うフレーズです。
簡単そうに聴こえるのですが、ちょっとコピーをしてみたらタイミングが実に難しい。しかもさり気無く解放弦の音を入れるのはさらに難易度を増しています。弾いているとちょっとグッとくるギタリスト好みのフレーズに想わず肝!ですね。

とにかくドラムのアル・マックさんとベースのT.Mスティーヴンスさんのバッキングリズムが強力。その上、両方ともにセンターに定位しているので、モノラル的にごちゃっとしているのですが豪風と言うタイトルに相応しい荒々しさを醸し出しています。

そのリズムに乗って増尾好秋さんはハードに攻めるソロを展開します。それでも、やはりナチュラル。無理なフレーズは無くてシンプルなラインを奏でていきます。

そんな豪風の中、海をテーマにしたこの作品はエンディングをむかえていきます・・・。

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walkingを終えて聴き終えたときの印象はひと言で言うと
『海が見たくなった・・・』

海をひとつのテーマにして全体を構成しているのですが、前半はやや緩やかなリゾート気分で爽やかさが漂うサウンドなのに対して、後半はやや荒波の激しい海の表情を捉えています。
個人的には、最後に激しい豪風でエンディングではなくて4曲目の自然への賛歌あたりで爽やかさを持って終わった方が全体の構成としてはより好みだったと言えます。激しい航海で終わっていて、最後は無事に帰路についたのか?などと言う余計な心配もしたりしてしまいますので・・・。

増尾好秋さんのギタープレイは、超絶な速弾きや凝ったフレーズ展開はあまりなく、いたって解りやすくシンプル。先ほどからそれをナチュラルと言わせていただいていますが、まさにそんな言葉が似合います。

この作品にも参加しているエリック・ゲイルさんのことを良く、『ヘタウマギタリスト』などと言ったりしますが、増尾好秋さんもどちらかと言うとそんな感じでしょうか。
決して技巧派ではないのですが、それでもフレーズの素直さなどはアマチュアも参考にするところが大きいと想います。
まさにそれは心からナチュラルに出た1音の重みとでも言ったら良いでしょうか・・・。

この作品は、聴くと言うよりは、感じると言う作品で、ただ音に身をゆだねていくのが一番いい感じ・・・。
目の前に夏の景色が広がって来たら、気分はリゾート。
やっぱり、海が見たくなった・・・。

(CD TOTALTIME:37:37/ Walking消費カロリー:153.48kcal)

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セイリング・ワンダーセイリング・ワンダー
増尾好秋

曲名リスト
1. セイリング・ワンダー
2. トレジャー・アイランド
3. シューティン・ザ・ブリーズ
4. 自然への讃歌
5. カーク船長
6. クラッカー・ジャック
7. 豪風(ロリンズに捧ぐ)

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(*)本文に登場したCD・DVD

Masuo ライブMasuo ライブ
増尾好秋

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あとがき
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セイリング・ワンダー/増尾好秋 【1】

セイリング・ワンダー

今日は大変暑く、まさにリゾート的な穏やかさの中でwalkingをしました。と言うことで増尾好秋さんのセイリング・ワンダーwalkingをしました・・・。

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この作品は1978年のリリース。増尾好秋さんのリーダー作としては4作目にあたるのですが、フュージョンサウンドを全面に出したものとしては最初の作品になります。
先日もMASUOライヴ(*)のレビューで書きましたが、この作品はあのハードで熱いライヴ盤の後に聴いた作品となります。当時はそのあまりにも大きいギャップに戸惑ったのですが、結局それが、増尾好秋さんの作品が個人的にお蔵に入ってしまった理由にもなっていましたが・・・。

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walkingを終えて聴き終えたときの印象はひと言で言うと
『海が見たくなった・・・』

少々センチメンタルな感傷に浸ってしまうくらい、とにかく爽やかなサウンドです。
この作品はタイトルからもお解かりだと想いますが、海をひとつのコンセプトにして全曲が仕上げられています。聴いていると想わずリゾートに行きたくなります。上手くその雰囲気を出していて、見事な統一感がある作品になっています。

細かく聴いていくと、また違った感覚になるかも知れませんので、1曲つづ細かく聴いていきます・・・。

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01:セイリング・ワンダー
とても涼しそうな波のSEからスタートします。しばらくするとピアノの何とも言えない爽やかなリフがスタートします。このピアノのリフのポイントは左手のベースライン。このラインが既に肝!
ちなみにこの作品では、今をときめくフュージョン界の凄腕ミュージシャンがたくさん参加しています。この曲は、鍵盤だけでも、デイヴ・グルーシンさん、リチャード・ティーさん、そしてマイク・ノックさんの3人が参加しています。ライナーノーツからするとこの心地よいピアノのリフはリチャード・ティーさんのプレイだと想われます。

テーマは増尾好秋さんのクリアトーンで優しく奏でられていきます。
ここで使用しているギターは増尾好秋さんのHP(http://www.ymasuo.com/top.htm)にインタビューがありましたが、ギブソンのレスポールのようです。

ここでのテーマは何故か右チャンネルに定位しています。左チャンネルにはピアノがイントロのパターンを刻んでいます。流れるようなリズムの中でのプイレです。
でも、何故に右チャンネルにてテーマなの?
と想っていると、入ってきました!左チャンネルでも増尾好秋さんのテーマが重なっている部分があります。さらに、その中心、つまりセンターで歯切れの良いカッティングが聴こえます。このプレイはエリック・ゲイルさん。

実はこのギターの定位がこの作品のひとつの特徴になっていて、ギターがセンターでメロディが基本なんですが、左右に振られている部分があります。この3ポイントでのギターを中心にして創られています。ですから物凄くギターがフュ-チャ-されていて、まさにギターサウンドと言うのに相応しい仕上がりになっています。

曲は、サビに入ります。
このサビのメロディが実にいいです。何と爽やか!そして哀愁もほのかに漂っていてまさに肝!
実はこのサビを印象的にしている要因としてサビ前のリフがあります。このリフは明確なメロディはなくて
分数コードの流れで聴かすリフになっています。正確にはベース音をE=「ミ」に固定したペダルトーン。その上に微妙にメジャーコード、マナーコード、そしてデミニッシュコードを重ねています。この少し不安な感じがまさに風で波が少し立ってきた荒めの感じを醸し出しています。その後のサビのメロディは、それを抜けた後の爽やかな海が広がっている大海原と言う感じで一気に世界を広げてくれるのです。さらに、このサビの部分でかすかに聴こえるオルガンの音がまたいいんです。

増尾好秋さんのソロは、緩やかに刻まれていきます。音は右チャンネルのみなんですが、そのすぐ横のセンターでのエリック・ゲイルさんのバッキングが絶妙に絡んでいます。そして展開部分でそのままエリック・ゲイルさんがいぶし銀の短いソロを聴かせてくれます。

再びテーマに戻ってサビのコード進行で増尾好秋さんのソロが、今度はセンターに定位して繰り広げられていきます。

そして、エンディング近くにシャーリーさんとジュディ・アントンさんのコーラスが絡んできます。ちなみにシャーリーさんは増尾好秋さんの奥様でジュディ・アントンさんはシャーリーさんのお姉さんだそうです。さらにジュディ・アントンさんはこの作品の前に日本にいた時に、11PMや天気予報に出たりしていたそうです・・・。

そのまま航海は静かにフェードアウトしていきます。そして再び波の音が広がって周りを包み込みます・・・。


02:トレジャー・アイランド
1曲目の波の音を聞いていると少しレゲエのリズムを持ったこの曲がフェードインしてきます。航海から早くも2曲目でトレジャー・アイランド=宝島についてしまいました。穏やかで楽しいムードでテーマが流れていきます。この曲は歌詞つき。歌うのはシャーリーさんとジュディ・アントンさん。

この曲でのギターも3ポイントでの定位になっています。
右チャンネルはこの曲を特徴付けているレゲエと言うかカリプソと言うか。アルペジオを刻んでいます。そして左チャンネルは歌と一緒にテーマを奏でます。記載が無いので何とも言えないのですが音的にこちらがエリック・ゲイルさんではないかと想いますが・・・。そしてセンターで時々カッティングが入ります。
とにかく左右のギターと女性2人の歌声で進んで行く感じが楽しそうです。

CD Time=1:44のソロ前のちょっとしたブレイクに入るドラムのリフが凄い切れ味。これはスティーヴ・ガッドさんのリフ。ここまでゆったりとしたカリプソ風のリズムを静かに奏でているのですがワンポイントで聴かせるところは流石です。

そして、それに続いてパーカッションとベースがリズムを刻みます。パーカッションはウォーレン・スミスさん。そしてベースはT.M.スティーヴンスさん。シェーカーとアフロ風のベースラインが夏っぽくていい感じです。

しばらくすると、左チャンネルからギターのカッティング、そしてそれに少し遅れてセンターからもギターのカッティングが聴こえてきます。そしてさらに遅れて右チャンネルでアルペジオが重ねて奏でられます。

スティーヴ・ガッドさんのおかずを合図に、全体がリズムインをしてギターソロに入ります。この部分は静かですが、段々と盛り上がっていく音の重なり方がいい感じです。また、先ほどのギターの3ポイントの定位がはっきりわかる部分になっています。

あくまでの爽やかに、そしてリラックスした雰囲気。夏の陽射しが目に眩しい感じとのんびりしたムードが心和む曲です。


03:シューティン・ザ・ブリーズ
のんびりとしたムードから、アップテンポのラテンのリズムの曲です。それでもリゾート風の楽しい雰囲気が漂っています。

テーマはセンター定位で増尾好秋さんがやや固めのコンプレッサーが良く効いたクリアトーンで奏でます。音を良く聴くとオクターバーもかかっていてオクターブ下の音をかすかに重ねています。

印象的で明るいテーマから増尾好秋さんがそのままソロへなだれ込んでいきます。
ここでもセンターにて定位しているのですが、ギターのカッティングが同じくセンターで奏でられています。ど真ん中にギターが寄っている感じが、モノラル的で逆にいい感じに聴こえてくるので不思議とレトロな感じのサウンドになっています。
それにあわせてか、ドラムやベースもかなりセンター寄りのサウンド。かなりノリノリのリズムを刻んでいますが、ベースのT.Mスティーヴンスさんがグイグイ引っぱっていく感じがいいですね。パーカッションのバシリさんとウォーレン・スミスさんもいい味です。

ここでの増尾好秋さんのソロは見事のひと言です。

CD Time=1:06からはひとつの簡単なモチーフを繰り返しながらも、コード進行によってノートを微妙に変えていくというフレーズ。単純なんですが、しっかりとワンコーラスそれだけで奏でていきます。

CD Time=1:44からはメロディアスな高い音でのフレーズ回しから、パーカッシブなリズムアプローチで弾き抜けていきます。

CD Time=2:11からも簡単なモチーフをコード進行にあわせて変えてていくアプローチです。単純なんですがここでも本当に良くギターが歌っています。

速いパッセージやフレーズ、ジャズ的なテンションノートを多用したフレーズやクロマティックなアプローチはありませんが、メロディアスでしっかりと歌っていますし、ジャズ的なテンションが溢れています。
ラインがシンプルで実にナチュラルなフレーズ回しで、ある意味素直で誠実な感じが伝わってきます。これは増尾好秋さんの底力と言うか強烈な個性。このナチュラルと言うキーワードは物凄くギター弾きにとっては参考になるソロでまさに肝!です。

後テーマは、カッティングをしていたギターがそのままテーマを一緒に奏でていきます。ですから最初のテーマから更に音の輪郭が増して、丁度コーラスのエフェクトをかけたような効果が出ていて、より華やかな感じに仕上がっています。


04:自然への賛歌
増尾好秋さんのナイロン弦のアコギのソロからスタートします。
ミディアムテンポに乗ってコード奏法で楽しい中にも美しいメロディを奏でていきます。
この部分はセンター定位の音なんですが、その後で、ベースがインしてくるとギターは一気に右と左に分かれて奏でられていきます。もちろん別々に録音をしているので、ここでも3ポイントのトライアングルギターを味わうことができます。ちなみにこの部分はセンターのギターはお休みです。

さらにドラムがインしてくると、今度は左のギターが休んでセンターと右のギターがメロディを奏でていきます。この部分ではドラムのスネアのロールが絶妙なビートとアクセントを創っています。見事なロールはスティーヴ・ガッドさん。

さらにサビに入ると今度はセンターのギターが休んで右と左のギターがメロディを奏でます。

CD Time=1:51からはギターソロです。
センターのギターのみになって奏でられていきます。単音でのプレイではなくてコードソロになっています。リリカルでリズミカルなソロラインを展開します。

3ポイントで鳴るギターが実に綺麗です。メロディも美しいので聴いていると段々と吸い込まれていくような感覚になります。不思議な魅力を持った楽曲に仕上がっていますね。


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と言うことで
続きのトラックは次回に・・・。

(CD TOTALTIME:37:37/ Walking消費カロリー:153.48kcal)

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セイリング・ワンダーセイリング・ワンダー
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NEW-S/T-スクェア 【2】

NEW-S

T-スクェアNEW-SのTrack06から細かく聴いてみます・・・。

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06:MIDNIGHT CIRCLE
ミディアムシャッフルの和泉宏隆さんの曲。ドラムの則竹裕之さんのバスドラとベースの須藤満さんのラインがここでも絶妙に決まっていて良いビート感が溢れています。

テーマはピアノで奏でられていきます。
このライトな感じはシャカタク的と言うか、少し古いトレンディー・ドラマの挿入曲の感じと言ったら良いでしょうか。

ファーストソロは須藤満さんのベース。
バックの難しいリズムの決めの間を縫うように速いパッセージで駆け抜けていきます。

つづいて本田雅人さんのソロなんですが、この頭の部分がかなり入り難いリズムになっています。T-スクェアの曲には、このような一瞬迷ってしまいそうなリズム的なトリックがけっこうたくさんあります。

本田雅人さんのソロはオーソドックスなフレーズ展開で、曲の持っているトレンディな雰囲気をムーディに奏でていきます。

CD Time=3:44からの展開部分は、今までの感じとは少し違って単調になりやす曲調にいい変化をつけます。ここでは、綺麗なコード進行とそれに乗る本田雅人さんのサックスのメロディが聴き所ではありますが、そのバックでの則竹裕之さんのトップシンバルワークが強烈な細かさと正確さで叩きだされます。ただでさえ細かいトップシンバルワークなのに、さらにCD Time=4:02からはタムが切れ目無く絡んでくるというテクニックを聴かせてくれます。

テーマのパターンに戻ってからは、和泉宏隆さんのソロです。
今までのソロの中では、テーマの持っているスタッカートなメロディを上手く使用しているので、比較的歯切れの良いフレーズを展開しています。そして、則竹裕之さんが絡んできて、クラシカルなコード奏法に入ったところでフェードアウトとなります。


07:THE SUMMER OF '68
鳥の声など幻想的なSEをバックに、シンセ・ストリングとともに安藤まさひろさんがナイロン弦のアコギでメロディを奏でていきます。

このSEはアマゾンか何か森の深いところでの鳥と言うか獣の叫びのようなものなんですが、ナイロン弦のアコギとのイメージがぴったりくるのでしょうか。パット・メセニーさんのファーマーズ・トラストでも同じようなSEでした。

安藤まさひろさんが緩やかなリズムに乗って優しいテーマを奏でていきます。
サビに入ると更に幻想的なムードは増していきます。この部分はちょっとパット・メセニー・グループを想い起こさせる感じです。創ったのは和泉宏隆さん。そう言えばいつかは忘れましたがパット・メセニー・グループのライヴを観に行った時に、前列の方で和泉宏隆さんを見かけたことがありました。


08:NAB THAT CHAP!!
やや長めのラテンパーカッションのパフォーマンスからスタートして、ベースとドラムのユニゾンのフレーズへ。ベースがポリリズム的なフレーズなのでとにかく拍頭が取り難いです。このような難しいリックでは2人の息の合ったところを聴かせてくれます。

テーマは安藤まさひろさんの歪みギターと本田雅人さんのサックスが奏でていきます。
中サビに入ると安藤まさひろさんのギターのみになりますが、この音は良く歪んでいるのですが、ハードロックとかのそれとは違って聴き易く、何と言うか、品のある音と言ったら良いでしょうか。とてもいい音だと想います。

サビは派手派手で元気の出るT-スクェア節でまとめられていきます。イントロからテーマの部分とのイメージギャップがこれまたT-スクェアらしいですね。

このように発展を次第にさせていくのは曲を創っていく中でも比較的簡単なアレンジなんですが、実は展開したところから元に戻るのが難しいんです。極端に変化をさせてしまうと、最初のイメージに戻るアレンジがやや強引になることがあるのですが、この曲の場合は派手派手で盛り上がった決めを介して最初のベースパターンへ戻ります。非常に練られた曲だと想います。

ファーストソロは則竹裕之さん。
戻った拍の取り難いベースラインをバックに短いのですが見事にソロを決めます。

つづいては安藤まさひろさんと本田雅人さんの掛け合いになります。
最初の8小節はお互いにバックの決めの間をソロで駆け抜けていきます。リズムがインしてからCD Time=3:15の安藤まさひろさんのアーミングとライトハンドの連続技は流石の上手さがありますね。

後半はサビのパターンで本田雅人さんのソロ。コード進行がいいのでフレーズも走っています。ライヴだったら長尺で吹きまくると言うような部分ですが、ここでは短めにまとめて、最後にあのベースラインでエンディングになります。

非常にいいアレンジで良くまとまっている楽曲に仕上がっていると想います。


09:ロマンティック・シティ
アップテンポのボサノバのリズムに印象的なメロディでスタートします。このスタート部分はサビ。サビスタートと言うアレンジの方法で構成されていますが、短いセンテンスが集合した部分ですので、イントロと言えばそうともとれる絶妙なメロディで出来ています。

テーマは安藤まさひろさんのナイロン弦のアコギが奏でていきます。
ドラムのスネアワークと細かいベースラインがいい流れを創っていますね。

ファーストソロは本田雅人さんのソプラノサックス。テーマのコード進行でのソロになります。
このコードは基本的にマイナーコードでスケールも一発で行こうと想えば行けないこともないのですが、テーマのメロディの音をどうやってチョイスするかとか、CD Time=0:32の音が下がっていくクリシェの部分とか、CD Time=0:43の1小節入るメジャーの部分をどのように奏でて行くかが聴き所になります。

本田雅人さんはCD Time=1:52のクリシェの部分を音数を減らして、最後の部分にフレーズを重ねます。CD Time=2:03のメジャーの部分もいいフレーズで吹き抜けています。CD Time=2:10ではテーマのメロディをフェイクして奏で2コーラスめにつないでいます。

CD Time=2:19の2回目のクリシェの部分は絶妙なフレーズで下がっていく音をポイントにフレーズを重ねてその感じを上手く出しています。CD Time=2:30の2回目のメジャーの部分では、前半をメジャーフレーズで決めて、そのままつながったマイナーフレーズに以降してつぎのコードに解決していきます。

このソロは肝!で個人的にはベストプレイだと想います。

つづけて同じパターンで和泉宏隆さんのピアノソロです。
クリシェの部分は1回目が流れるようなラインで逆にあまりそれを感じさせないフレーズで弾き抜けます。そして2回目は高い音で引っ掛けるような節回しをして、今度はそれを意識させるような展開をしています。

メジャーになる部分は、1回目はけっこうストレートにフレーズを奏で、2回目はアクセントをつけたフレーズで綺麗にまとめて、瞬間、ひと呼吸おいて次ぎのフレーズにつないでいます。

この和泉宏隆さんのソロも見事な構成と流れでやはりベストプレイで肝!です。

そして続くは安藤まさひろさんのソロ・・・と行くかと想うとテーマに戻ります。安藤まさひろさんのソロはこの曲では無いので、物凄く残念です。

この曲も非常にコンパクトにまとまっていて、なお且つ、ジャズ的なソロまわしがあって非常にいい曲だと想います。セッション向きの楽曲とも言えますね。


10:WHEN I THINK OF YOU
本田雅人さんのアルトサックスが叫ぶ、渾身のバラードです。テーマももちろん綺麗なメロディなんですが、やはりここは本田雅人さんのソロが聴き所。

テーマのコード進行で、静かなフレーズを中心にサックスのタンギングと息使いでブルージーに奏でていきます。

そしてサビを挟んでピアノとのデュオになる部分では、静かながら、これまた絶妙なアーティキュレーションで朗々と歌い上げていきます。それにしてもニュアンスの付けかたが見事です。音がクネっていると言うか、波があると言うか。それが抑揚と言うことで、しっかりとした基本が出来ているからこそのアーティキュレーションと言えますね。

そのまま、静かにこの曲は幕を閉じていきます・・・。

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walkingを終えて聴き終えたときの印象はひと言で言うと
『非常にまとまりがあってバランスがいい』

やはり細かく聴いて見ても同じ印象で、とにかく聴きやすい作品に仕上がっています。
全体を見ると、フューチャーリング本田雅人さんと言う感じもするのですが、これはジャケットを見ても同じで、本田雅人さんが他のメンバーより大きく写っています。

T-スクェアの屋台骨を支えてきた伊東たけしさんが脱退して、ある意味ピンチに登場した本田雅人さん。当時は、そのルックスからジャニーズ系などとも言われていたことを思い出しました。

だから、それだけでは無いと言う実力の部分をやはり全面にプッシュする必要があったと言うことでしょうか。安藤まさひろさんも少し引いていて、ある意味プロデュース的な役割をしているかのようにも想いました。

また、リズム隊の2人もタイトなリズムに徹してして、出すぎず、引きすぎずと言う、いい塩梅のところでのプレイが光っています。

このあたりの部分と、本田雅人さんのジャズ的な部分と、更に楽曲の良さが重なって、少しアダルトで聴きやすい良質な作品に仕上がったのではないかと想うのです。

(CD TOTALTIME:55:32/ Walking消費カロリー:223.24kcal)

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NEW-SNEW-S
T-SQUARE

曲名リスト
1. メガリス
2. ガーティの夢
3. 真夏のためいき
4. リトル・リーグ・スター
5. ユア・レストレス・アイズ
6. ミッドナイト・サークル
7. ザ・サマー・オブ・’68
8. ナブ・ザット・チャップ
9. ロマンティック・シティ
10. ホエン・アイ・シンク・オブ・ユー

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NEW-S/T-スクェア 【1】

NEW-S

梅雨なんですが、あまり雨も降らないのでwalkingは順調・・・ですがアップは久しぶりになります。と言うことで昨日はT-スクェアNEW-Sでwalkingをしました・・・。

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この作品は1991年のリリース。サックスの伊東たけしさんの脱退後、本田雅人さんが加入しての最初の作品になります。
当時は、ポップテイストからかなりジャズ的な側面が押し出されたような印象でしたが、とにかく、1曲目のMEGALITHのインパクトがかなり強くありました。
個人的には丁度、T-スクェアのコピーバンドに加入したか、しないかくらいの時期でその意味でもT-スクェアをしっかりと聴いた最初の作品とも言えます。

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walkingを終えて聴き終えたときの印象はひと言で言うと
『非常にまとまりがあってバランスがいい』

通して聴いた時に、非常にすんなりとスムーズに聴くことができました。

まずは全体的なサウンドが解りやすく音が良いと言うこと。
突飛な音や攻撃的な音はほとんど無くて、全体的な統一感のあるサウンドに仕上がっています。また、音のバランスや定位も綺麗にまとまっているのでヘッドフォンでもかなりの広がりを聴かせてくれます。

そして、楽曲のよさ。
全体的には、もう少し激しい感じのイメージがあったのですが、どちらかと言うと落ち着いていて、1曲目から最後の10曲目までの流れと構成がスムーズで飽きがきません。かといってBGM的かと言うとそうではなくて、1曲ごとのクオリティが高く、バリエーションに富んでいて適度なテンションも感じることができます。

コピーバンドをしていた関係で、通して聴くことはほとんどなく、聴く曲はそれこそ隅々まで聴きましたが、聴かない曲は全く聴かないと言うのが当時。ですから、この全体の完成度には少々驚いたと言うか、こんなに良い作品だったっけ?と言うのが正直な部分です。

さらに、本田雅人さんが当時新加入と言うことで、全面的なフューチャーと言う感じがあるのですが、EWIが意外に少なかったです。もっとたくさん吹いていたような感覚があったのですが。これは『サックス本田雅人』を押していた私としては嬉しい気付きでした。
その分、ギターの安藤まさひろさんのソロ・プレイやリリカルな和泉宏隆さんのピアノ・ソロなどが少ないのがマイナスと言えばマイナスかなと。

細かく聴いていくと、また違った感覚になるかも知れませんので、1曲つづ細かく聴いていきます・・・。

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01:MEGALITH
1小節目のいきなりのホーンセクションから、シンセベースの16分音符のライン。シンセベースが曲中は終止流れていて、それをコアに楽器を重ねていくと言うような楽曲の構成。そのために打ち込み色が強いのですが、とにかく曲がカッコ良い!
実はこの曲は、コピーバンドでも一番演奏したかった曲。しかし、私には曲決めの決定権がなかったのでいつも却下されていた曲なんです。その意味では、T-スクェアの楽曲の中での1、2番を争うくらい好きな曲です。

テーマは安藤まさひろさんのギターと本田雅人さんのサックスがユニゾンで奏でていきます。

ファーストソロはドラムの則竹裕之さん。
シンセベースの16ビートに乗って、スネアとタムまわしを中心に奏でていきます。
そのラインを奪い取るように本田雅人さんのソロがスタートします。
老舗バンド、新加入一発目のソロ!と言うことで聴く方も当時気合いが入ったと想うのですが、もともとが実力者ですので、全く問題なかったと言うソロを展開します。
CD Time=2:27からのポリリズム的なフレーズは音の選択が見事で、その後でドラムの則竹裕之さんが絡んでくるところは、打ち込み色が濃いアレンジなのに、とてもバンド的でヒューマンな感じがします。

再びサビに戻り、CD Time=2:38からはユニゾンに入ります。
このユニゾンの部分ではシンセベースの16分音符での打ち込みがありません。その代わりにベースの須藤満さんが、おしん的な16分音符を刻みます。そのために、この部分が曲にアクセントをつけて、単調な雰囲気から救いつつも今までの流れを継続させていると言う見事なアレンジになっています。
そして、ユニゾンの最後の部分が拍の取り難いシンコペーションになっていて、そのリズムを持った全体のシンコペーション・パターンに入ります。
この部分で絡んでくる本田雅人さんのソロ・ラインと拍頭を混乱させるような則竹裕之さんのおかずがやはり効いています。

エンディングはサビのパターンで、最初はフレーズ間に短いソロを絡めていた本田雅人さんが、CD Time=4:00からさらに強烈なソロを展開します。
スタート部分の超高音でのベンドを使用したフレーズは凄いですね。さらにCD Time=4:17の絶妙なアーティキュレーションのフレーズからCD Time=4:21の高音でのロング・トーン。つづけてCD Time=4:23までのフレーズまわしは肝!です。

再びユニゾンに入るのですが、今度はドラムの則竹裕之さんがタムで暴れていますので、中間の部分にはない華やかさを醸し出しています。

そしてエンディング・・・その後も5秒くらい飛行機のエンジン音が遠のいていくようなエフェクトがなり続け、次第にフェードアウトされていきます。

やはりいい曲だと想います。
曲としては、メロディがそれほど良いと想わないので、いい曲と言うのは少し違う感じもするのですが・・・。単にメロディやコードと言うことでは無くて、アレンジや演奏も含めた全体の創りが見事だと想うのです。
私が個人的にいい曲と想うかどうかには、『メロディやコードが単純に良い曲』と『この演奏、録音だから良い曲』と『単に想い入れがあるので良い曲』と言う3つのパターンがあります。この曲はまさにその真ん中の良い曲と言えます。


02:ガーティーの夢
安藤まさひろさんのアコギが効いているイントロに本田雅人さんの鳥のさえずりを想い起こさせるようなソプラノサックスの綺麗な音が絡みます。
軽いボサノバのリズムに乗ってリリカルにテーマを本田雅人さんが奏でていきます。テーマの最初のメロディの4音目の音が素早くスラーされているのですが、このニュアンスが絶妙ですね。

ファーストソロは和泉宏隆さんのピアノ。
クラシカルにリリカルに奏でられていきます。CD Time=2:17からのフレーズは同系の短いフレーズが段々と低い音へ下がっていくフレーズ。その後やや速めのパッセージでソロを閉めます。特に激しいアクセントやスタッカートなフーレズは無くて、あくまでも流れる様にクラシカルに展開していきます。

CD Time=3:12からイントロのパターンに絡んで本田雅人さんのソロなんですが、テーマの終りの部分からロングトーンを続けてソロにそのまま入ります。そして緩やかな波のようなアーティキュレーションでつないでいきます。この部分のソプラノサックスの音がとても綺麗です。
テンポが戻ってソロはつづきますが、ここではゆったりとしたフレーズを前半は奏でて、後半になってくると速いパッセージやフラジオなどが段々と出てきて盛り上がってくるところで残念ながらフェードアウト。

1曲目がアルトサックスで聴かせて、そして今度はソプラノサックスと当時新加入の本田雅人さんの力を十分に聴かせてくれる構成になっています。多分、伊東たけしさんの脱退で心配をしていたファンにも納得の構成だったのではないかと想います。


03:真夏のため息
重めのビートの中にも少し跳ねたリズムが夏らしさとため息が出るような憂鬱な感じを出しています。
夏らしいライトな感じは、ドラムの則竹裕之さんの軽いスネアとハイハットの8ビート。そしてため息の部分は、5弦ベースの一番低い弦をD=「レ」にチューニングした須藤満さんのラインが醸し出しています。

テーマは安藤まさひろさんのアコギが奏でていきます。
先ほどはナイロン弦でのプレイでしたが今度はスチール弦でのプレイ。ギターの音色の元をしっかりとセンターに定位させつつ、スチール弦のでのプレイによって生まれる金属的なフィンガーノイズをわずかに右側に響かせると言うエフェクト処理をしていて音に広がりをもたらしています。

CD Time=0:56はサビ前のブレイク部分。則竹裕之さんのバスドラがいい響きのゲートリバーヴに乗っていてアクセントになっています。

つづくサビは本田雅人さんのサックスと安藤まさひろさんのギターでのユニゾンでメロディが奏でられていきます。CD Time=1:10のブラスの入り方が絶妙なタイミングですね。

ベースとのユニゾンフレーズを挟んで安藤まさひろさんのソロです。
CD Time=1:58からのフレーズはジャズ的なライン。そのままジャージーに奏で、CD Time=2:12のスケールチェンジへ。実はソロ前のユニゾンの部分を演奏することで、このソロはD♯m7で前半は進みます。このコードは曲のキーの半音上がりと言うことになります。ですから、この部分が際立つと言うことになるわけです。そしてスケールチェンジは半音下がると言う展開。安藤まさひろさんはごく自然にフレーズをつないでいます。

そして本田雅人さんのソロ。
こちらもジャージーに決めます。同じくスケールチェンジはスムーズで余裕のあるまとまったソロを展開しています。

エンディングではイントロのパターンで再び本田雅人さんのソロです。
こちらは先ほどの曲中でのソロとは違ってだいぶ熱いソロを回していきます。そして、タンギングでの短いフレーズの連続に則竹裕之さんが絡んでいく部分はグルーヴが加速していきます。しかし残念ながら程なくしてフェードアウトしていってしまうのです・・・。


04:LITTLE LEAGUE STAR
T-スクェアらしさのある元気の出るロックテイストの8ビートの曲です。ここでテーマを奏でるのが本田雅人さんのEWI。
今やEWIとのイメージも合っているのですが、当時は本田雅人さんはEWIはどのくらい使っていたのでしょうか。どうしても、EWI=伊東たけしさんと言うイメージが強いので、さぞ吹きにくかったと想うのですが。ちなみに個人的にはEWI=マイケル・ブレッカーさんなんです・・・。

この曲は安藤まさひろさんか和泉宏隆さんの曲だと想っていたのですが、今回ライナーノーツを見たら本田雅人さんの作曲なんですね。CD Time=1:32からの中サビの部分のコード進行が結構いい感じでT-スクェアらしさが出ています。

ソロは激しく歪んだ音での安藤まさひろさんと本田雅人さんのEWIの掛け合いになっています。
安藤まさひろさんがアーミングとライトハンド奏法を多用したロック的なフレーズで先行します。それに対して本田雅人さんも似た3連のフレーズを出して応戦します。さらに、お互いに速いパッセージの応酬になって、短いながらも聴き応えのある掛け合いを展開します。

テーマを挟んで須藤満さんのソロ。
スラップではなくてピチカートで劇的でコード進行に乗って速いパッセージを奏でます。


05:YOUR RESTLESS EYES
ミディアム・ビートのバラードです。ここでも須藤満さんが低い音のベースラインで陰鬱なコードの雰囲気を出しています。

テーマは本田雅人さんのソプラノサックス。
サビ前からサビに入ると、曲は一転して親しみ易く解り易いメロディになります。少し情緒的で、悪く言えば歌謡曲の香りがするメロディは安藤まさひろさんのある意味得意技。少々陳腐な香りもするメロディなんですが妙に印象に残るラインに仕上がっています。

ファーストソロは和泉宏隆さん。
ここでもフレーズはいたってレガート。流れる様に綺麗なメロディを奏でていきます。かなりクラシカルな展開が曲調にも合っています。

エンディングは本田雅人さんのソプラノサックスソロ。
全体的に速いパッセージを控えて音数を少なくして、朗々と歌い上げていくと言う感じのフレーズ展開です。ソプラノサックスのロングトーンが非常に綺麗です。そのまま曲はフェードアウトしていきます。

実はこの曲でもうひとつ凄いと想ったのが、須藤満さんのベースラインと則竹裕之さんのバスドラ。少しルーズな感じのラインなんですが、これが乱れなくピッタリとあっています。そのために凄いビート感が出ていますね。しかも、単に譜面上あっていると言うことだけではない、何かもっと奥の深い、凄みを感じてしまいました。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

と言うことで続きのトラックは次回に・・・。

(CD TOTALTIME:55:32/ Walking消費カロリー:223.24kcal)

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曲名リスト
1. メガリス
2. ガーティの夢
3. 真夏のためいき
4. リトル・リーグ・スター
5. ユア・レストレス・アイズ
6. ミッドナイト・サークル
7. ザ・サマー・オブ・’68
8. ナブ・ザット・チャップ
9. ロマンティック・シティ
10. ホエン・アイ・シンク・オブ・ユー

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MASUOライヴ【その2】/増尾好秋

Masuo ライブ

増尾好秋さんのMASUOライヴのTrack05から先回の続きです・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

05:アイ・ウィル・ファインド・ア・プレイス
サンバのリズムに乗って歪んだギターのトーンでカッコ良いメロディを増尾好秋さんが刻んでいく曲。コード進行や途中のリズムのシンコペーションなどが攻撃的でこの曲も時代のフュージョンサウンドと言う感じがします。

ファーストソロは軽快にヴィクター・ブルース・ゴッジーさんがエレピで奏でていきます。
コードが結構変わっていってスケールの選択も難しいのですが、流れるようなフレーズ回しで、バックのビートと合体して想わず体が動きます。

再びテーマを奏でた後のCD Time=2:22から曲はさらに展開していきます。
増尾好秋さんのローコードを使用したロングトーンにヴィクター・ブルース・ゴッジーさんのアフロキューバン的なエレピが重なるブリッジを経て、曲はさらにラテンのフレーバーを加速させていきます。
そのリズムを加速させるのに一役かっているのが増尾好秋さんのフィードバック。
今はエフェクターで簡単にフェードバックをかけることが出来ますが、多分この時代はストレートにアンプを使用していたと想います。綺麗に掛っていますね。

そのまま増尾好秋さんのソロに入っていきます。
前半はロングトーンをひとつのキーとしてその周りにスパニッシュと言うかラテンの小フレーズを展開します。

CD Time=4:44からのフレーズはちょっと理解が難しい音の選択。この合っているようで微妙にアウトしているのが実に心地よいです。

後半になるにしたがって次第に音数が増えて言って速いパッセージが飛び出し始めます。
CD Time=7:00からはクロマティックに下がっていって、アウトしている音での5連符のポリリズムの連続フレーズに入ります。このフレーズはちょっと宙に舞っているような感じがして結構好きです。

ちょっとしたキメのフレーズを挟んでCD Time=7:34からはサンバのリズムに乗せてロビー・ゴンザレスさんのドラムソロです。

細かいスネアワークからスタートして、段々とタムを絡めていき、そしてシンバルとスネアのアクセントでフレーズを広げていきます。再度キメを挟んで、今度は単独のドラムソロに入ります。
CD Time=9:00からのスネアワークが絶妙に上手いです。途中に入るハイハットのオープンがいいアクセントになっていますね。
ソロの後半はドラムの音が左右に行ったり来たりするエフェクトに、フランジャーなどで創り出したジェットマシーンのような効果が加わります。多少時代を感じる演出ではありますが、迫力のある展開になっています。

エンディングで増尾好秋さんのロビー・ゴンザレスさん紹介のMCが入ると、繋がったまま次ぎの曲へ入っていきます。


06:豪風
前のドラムソロから引き続いて、この曲はベースのT.M.スティーヴンスさんのソロフォーマンスからスタートします。ですから正確には5曲目と6曲目はドラムソロとベースソロを挟んでメドレーになっていると言うことになります。ライヴの演出上、なかなか盛り上がる構成です。

スペーシーなエフェクトをバックにしてベースでのロングトーンでのラインがスタートします。
しばらくしてそれを断ち切るようにヴォイスでの叫びが入ります。誰の叫びかの明確なクレジットはありませんがT.M.スティーヴンスさんのでしょうね。流れから・・・。

CD Time=2:40からは和音とハーモニクスを絡めた奏法で静かに奏でます。このあたりのハーモニクスセンスはちょっとジャコ・パストリアスさんを想い起こさせてくれます。

と、それを裂くように超スピードの速弾き6連符のダウンフレーズへ。これには想わずオーディエンスも手拍子を打ちます。

凄いのはこの後のCD Time=3:23のりズミックなフレーズ。
2拍4拍でアクセントを入れて和音でのフレーズを奏でていきます。この感じはエイブラハム・ラボリエルさんが得意としているようなファンキーなフレーズをもっとマイナーにして攻撃的にした感じと言えば良いでしょうか。この様なフレーズを聴いていると、単なる超絶ベーシストではない部分を物凄く感じます。

ドラムも入ったCD Time=3:52からのスラップフレーズは、櫻井哲夫さん的フレーズ。と言ったらT.M.スティーヴンスさんに申し訳ないのですが、櫻井哲夫さんの方が馴染みがありますので・・・。カシオペアサンダーライヴのベースソロの終りに演奏しているフレーズですね。
先ほどのドミノ倒しと言い、この作品をカシオペアのメンバーは良く聴いていたのでしょうか・・・。でも時期的にはほとんど同じ時期になりますね。まあ、スラップでは2人に限らず良く使用されるフレーズではありますが。

トリルからドラムが入ってアップテンポになります。そのバックで速いパッセージを連続して奏でていきます。でも、単に速いだけではなくて、フレーズが結構ギター的。そして途中のブレイクや和音などバリエーションに富んでいて、且つ迫力があって・・・やはりボキャブラリーの広いベーシストだと想います。その極めつけが、CD Time=5:56からの4ビートでのランニングベース。

そしてソロのエンディングでは再び超スピードの速弾き6連符のダウンフレーズ。今度はドラムとのユニゾンで決めます。そして、豪風に入っていくと同時に増尾好秋さんのMCが入ります。この展開も興奮しますね。カッコ良い・・・。

この曲はセイリング・ワンダー(*)に収録されていて括弧書きでフォー・ソニーとあります。ソニーと言うのは、増尾好秋さんが世界的なギタリストになるきっかけとなったバンドのリーダー、かのソニー・ロリンズさんのこと。個人的にはソニー・ロリンズさんとこの曲のイメージってあまり合わないのですが・・・。

この曲はテーマ自体が複雑な音の運びとリズムを持っていて、それでいて何ともラテンフレーバーのメロディアスなラインです。特に個人的には、スウィープピッキング的な奏法で効果を出しているCD Time=7:24のピックアップのフレーズが肝!です。
またテーマの面白さもありますが、何と言ってもベースのおしん的なラテンのリズムをもったパターンにも魅力があります。これをこのテンポで続けるのは結構大変だと想います。
さらにT.M.スイティーヴンスさんは、CD Time=8:15のように先ほどから連発している超スピードの速弾き6連符のダウンフレーズを絡めてアクセントとスピード感を加速させています。これは結構肝!です。

CD Time=8:30から増尾好秋さんのソロがスタートします。
最初はロングトーンのフレーズをバックの細かいビートに乗っかるように優雅に奏でていきます。CD Time=8:15からはポリリズムのフレーズ。音の選択が見事で機械的なフレーズであるにも関わらず歌っているフレーズに仕上がっています。そして微妙なバックとのズレを生み出していてなかなかグッと来るものがあります。

CD Time=9:47からは3連符とロングトーンに高い少し哀愁のあるような音を絡めたフレーズをモチーフに展開していきます。そして速いパッセージに突入します。やはり音の選択とモチーフの展開が見事で、このようなワンスケールでしかもフリーサイズのソロはネタ切れと言うことが起こりうるのですが、かなり効果的な奏法テクニックだと想います。

このままソロのエンディングに向けて、段々と熱くなっていく増尾好秋さんのプレイを聴くことができます。

再びテーマに戻りそして、怒涛のエンディング。オーディエンスの大拍手と大歓声の中、増尾好秋さんのお礼のMCでフェードアウトしていきます・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

walkingを終えて聴き終えたときの印象はひと言で言うと
『やっぱりすげェ・・・これは』
それは細かく聴いた今も全く同じ感想です。

サウンド的に言うと、全体の音がオーバーめでかなり歪んでいます。特にギターの音がハウリングギリギリのような感じの設定で多少聴き難い鋭い音になっています。
また、2曲目では増尾元章さんのソロをパンニングしたり、ドラムにジェットマシーンのような効果をエフェクトしたり、4曲目のドミノ倒しの時のT.M.スティーヴンスさんの音を唐突にセンターから左チャンネルにふったり・・・。

その意図している効果は良く解るのですが、創りが全体的に粗いというのは確かです。もちろん同時に演奏自体も同じで、細かな部分ではかなり荒削りのところがを感じます。あくまでも今聴くと・・・と言うことなんですが。

それでも、そんなものを全て吹っ飛ばすだけのパフォーマンスとテンション。
そして粗さも味のうち!と言えるライヴ感、臨場感。
さらに迫ってくるようなパワーがあるのが実際で、それだけで名盤と言えるだけの凄さのある『すげェ』作品だと想うのです。

トータルで約50分。切れ目無く繰り広げられるパフォーマンスにしっかりと聴き入ってしまいます。

増尾好秋さんのこの作品だけではなくて、この近年にはJ-フュージョンの名作と言えるライヴ作品が生まれています。
1979年の渡辺香津美さんのKYLYN LIVE
1979年のプリズムプリズム・ライヴ
1980年のカシオペアサンダー・ライヴ
そして1980年のこの作品・・・。
全て1~2年の期間ですので、リアルタイムで観た方は、本当にうらやましいと想います。

いずれもパワーに溢れていて、J-フュージョンのエポック的な創成期の名作たち。
これらの作品のパワーはまさにあの時代が創ったエネルギーと言う感じがします。

(CD TOTALTIME:48:34/ Walking消費カロリー:195.24kcal)

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Masuo ライブMasuo ライブ
増尾好秋

曲名リスト
1. ディーリング・ウィズ・ライフ
2. グッド・モーニング
3. ルック・アウェイ・フロム・ミー
4. ア・スリーサム
5. アイ・ウィル・ファインド・ア・プレイス
6. 豪風

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セイリング・ワンダーセイリング・ワンダー
増尾好秋
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MASUOライヴ【その1】/増尾好秋

Masuo ライブ

今年の梅雨は珍事が起こっているようで、関東甲信地方が梅雨に入ったにも関わらず九州などではまだ入っていないらしい?そんな梅雨の晴れ間に昨日は増尾好秋さんのMASUOライヴでwalkingをしました・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

この作品は1980年のリリース。ほぼリアルタイムに近い時に本当に良く聴いた作品です。
増尾好秋さんの作品はこのライヴが実は最初に聴いた作品で、その後でセイリング・ワンダー(*)やグッド・モーニング(*)を聴いたと言う逆の流れを辿っていきました。
その為、このライヴでのハードな面とソフト&メロウな面のギャップに戸惑い、その後ほとんど聴かないままに増尾好秋さんの作品は自分の中である意味お蔵入りとなってしまったわけです。
先日、たまたまこのライヴを含めて3枚ほどのCDを手に入れることが出来ました。どの作品をレビューしようか?と考えた時にやはり当時聴いた順番にと言うことで、今回は、下手をしたら20年ぶりくらいに通して聴くことになるであろうこの作品でwalkingをしました・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

walkingを終えて聴き終えたときの印象はひと言で言うと
『やっぱりすげェ・・・これは』

『すごい』では無くて『すげェ』と言うニュアンスがミソで、とにかくその圧倒的なパワーがまさに『すげェ』と言う感じでした。さらに細部に渡って覚えているんですね。これが。人間の記憶と言うものは、こちらも『すげェ』と想いました。ソロなどはメロディをしっかりと覚えていて一緒にフレーズを歌うことが出来ました。
特に良く覚えていたのはベースのT.M.スティーヴンスさんのプレイ。今聴くと粗さはかなりあるのですが、それでも強烈なパワーとインパクトがやはりありました。

細かく聴いていくと、また違った感覚になるかも知れませんので、1曲つづ細かく聴いていきます・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

01:ディーリング・ウィズ・ライフ
ドラムのロビー・ゴンザレスさんのカウントにオーディエンスの拍手と歓声が重なり、1拍早く増尾好秋さんのフレーズがスタート。
このイントロの部分をカッコよくしているのは、リズムやメロディもありますが、大きな部分としては分数コードを連続しているところ。分数コードと言うのは、文字通り分数で表示されるコードのことで、例えば、F/GとかG/Aとか。
非常にお洒落なコードで、特に現代のポピュラーソングには欠かせないコードと言えます。この時代のフュージョンはこの分数コードを多用することが多くて、それがひとつのサウンドの特徴になっていたりします。

この後のブレイクでのT.M.スティーヴンスさんのベースが無条件にカッコいい!
基本的にはこの曲のベースパターンを刻んでいるのですが、1回目はパターンの後、スラップのかきむしり的な荒々しいフレーズで締め、2回目はパターンの後、ハーモニクスで締めます。
そしてドラムがインして、絶妙にスネアと連動したパターンに変えて、最後は6連符の速いダウンフレーズで締めます。それを受けて、ドラムのロビー・ゴンザレスさんのスネアが同じく6連符で決めて、全体のリズムがインしてきます。
この部分は、本当に肝!で、過去に何回となく聴いたのですが、やはり今回も何回か想わずリピートをしてしまいました。・・・無条件降伏です。

リズムが入ってからも超絶なベースパターンは続いているのですが、耳に飛び込んでくるのは左チャンネルのヴィクター・ブルース・ゴッジーさんのエレピバッキング。これはフェンダーローズの音だと想いますが、歯切れの良いバッキングがいかにもこの時代のサウンド。少し歪んでいるところもまた味ですね。
テーマに入る前のT.M.シティーヴンスさんのベースパターンが8分音符をルーズめに弾いていて、超絶だけではない絶妙な音運びを聴かせてくれます。

それを受けて増尾好秋さんのテーマは良く歪んだギターサウンド。
当時、増尾好秋さんがどのような機材だったのか全く解りませんので何とも言えないのですが、ジャケの裏側を見るとセミアコのようですが、表のピンスポが当たっている、実に渋い写真から判断してサンバーストのヤマハのSGでは無いかと想われます・・・。
かなりブーストしているらしく、フィードバックが掛りそう、と言うか少しハウっているのがライヴな感じでいいですね。

CD Time=1:09からのサビの部分は、少しラテンのリズムが入った3連のポリリズム的なパターン。ここで増尾好秋さんは、今までの少し甘いフロントピックアップからスイッチングで煌びやかなリアピックアップに切り替えをしていると想われます。それはCD Time=1:20でテーマの戻る部分の音色と比べると良く解ります。細かいところなんですが非常に効果的な選択ですね。
また、このサビの部分のバッキングのベースパターンがこれまた超絶なパターン。

そして転調をして再びテーマのモチーフに入ります。ここでは、テーマのメロディの合い間に入るパーカッションが効果的と言うか、少し唐突な感じもしますが、これはこれでいい感じではあります。パーカッションはシャーリーさん。増尾好秋さんの奥様ですね。

CD Time=2:22の増尾好秋さんのピンポイントの低い音でのスライドをジョイントにしてエレピのヴィクター・ブルース・ゴッジーさんのソロに入ります。
リズム隊の強力なビートに乗って軽快にフレーズを重ねていきます。かなりリズム隊に触発されたのか、CD Time=3:00から後はエレピが歪みまくります。かなり力の入ったソロで増尾好秋さんに引継ぎます。

ここでの増尾好秋さんのフレーズはブルース・ロック的なフレーズで単純に速弾きでたたみ込むようなフレーズ回しではありません。一聴、もっと激しいフレーズをとか、上手くないじゃん、見たいに感じるところもあると想いますが実はフレーズのひとつひとつがとても丁寧で且つメロディアス。良く聴いて見るとギターが歌っている感じが物凄くします。

CD Time=3:50からは、チョーキングでのフレーズを決めてからCD Time=3:52のブルージーなフレーズへ。さらに、そのブルージーなフレーズをモチーフにしたラインを決めて再び同じフレーズに戻ります。そしてCD Time=3:58とCD Time=4:01でもそのモチーフを決めます。
短い間に4回同じモチーフを決めて、その間をモチーフの展開で繋いでいくと言う流れになっています。計算されつくされたかの様な見事なフレーズ展開で肝!です。

CD Time=4:40からはロングトーンのチョーキングフレーズを2回決めてCD Time=4:46から3連の細かいプリングを絡めたフレーズから、エンディングをさらにチョーキングフレーズで見事に閉めます。
ソロの終りをきちんと閉めるって結構プロでも難しいと想います。ライヴだとつい力が入り過ぎて、終わりたくないけど終わってしまい唐突だったり尻切れだったりすることがままあるのですが・・・。キッチリ終わっているフレーズはまさに歌っていると言うことと、組立てがしっかりしていると言うことだと想います。
増尾好秋さんの、サウンド全体を見ているプロデューサー的な冷静さが生み出している名演だと想います。
まあ、バッキングが熱いので、逆にこの冷静なソロ回しは効果的ですね。特にT.M.スティーヴンスさんは、ちょっと『あっちの方?』へ行ってしまったかの様な迫力のバッキングです。

再びサビに戻ってテーマに入り、CD Time=5:48からT.M.スティーヴンスさんのソロです。
このソロの弾き方について、当時組んでいたバンドのベーシストが、これはスラップのプルで弾いていると言っていたのですが、当時それが本当か?と言うちょっとした内輪の論争になっていたことを想い出します。
今回聴いてみて、確かにスラップのプルのようでもありますが、多分、T.M.スティーヴンスさんは右手のフィンガリングが物凄く強いのではないかと想います。それこそベースの弦がビビルくらいに強いフィンガリングがプルのような効果をもたらしているのではないかと。普通、スラップとピチカートだと、断然ピチカートの方が弱いので音色やヴォリュームも下がり気味になるのですが・・・。
ですからT.M.スティーヴンスさんの場合は、スラップとピチカートを混ぜて弾いていても違和感なく音色が繋がっているのでは無いかと想うのです。

例えばCD Time=6:12は明らかにプルの音だと想いますが、続くCD Time=6:15からのフレーズはプルではかなり難しい速いパッセージ。その後のCD Time=6:18からのフレーズは間違えなくスラップだと想うのですが、その後の3連のポリリズムフレーズから続くCD Time=6:30でのダウンフレーズはピチカートっぽいし・・・。

と言うことでどなたかお解かりの方がいましたら、教えていただきたいところですが・・・。

とにかく荒々しいのですが、猛烈な迫力で迫ってきてまさに肝!
実はこの作品を想い出すときには必ずこのソロを想い出していました。それぐらい当時もインパクトがあったソロでした。今回も強烈なインパクトでした。やはり・・・。

それにしても強烈な曲です。この力は当時のフュージョンが持っていたパワーと言ったら良いでしょうか。歴史に残る名演だと想います。やはり・・・無条件降伏です。個人的な想い入れもありますが・・・。


02:グッド・モーニング
いかにも爽やかな雰囲気を持った曲で言わずと知れた増尾好秋さんの代表的な曲です。特に印象的なのはサビの部分。コード進行がD/Gと言う分数コードから半音づつ上がっていく感じが非常に朝の陽が昇る時の清々しさがあります。
さらにメロディはコードを分散したアルペジオでメロディが構成されています。ちょっとサビの前半をコピーをして見たら、コードを押さえて少し指を動かすだけでソロギターとしてギター1本でも十分に奏でることができます。ですから、間違いなくこの曲はギターで作曲をしていて、そのメロディとコードを含めてギタリストが創ったギターの為の曲になっていると想います。

ギターソロはレゲエ風のリズムになって、ゆったりとしたメロディを刻んでいきます。このリズムを醸し出しているのは右チャンネルの増尾元章さんのギター。増尾好秋さんの弟さんですね。

CD Time=3:05からのフレーズはA=「ラ」の音を連続的に奏でてその上にスタッカートで高い音を細かく変化させていくと言う面白いフレーズ。連続的に奏でている音に微妙にヴィブラートが掛っていて、その感じが少しファニーな雰囲気を出しています。
ピックを高速でトレモロしながらメロディを奏でる奏法をハミング・バードと言うのですが、ここでの増尾好秋さんのフレーズも、朝の光の中で、さえずっている鳥の声のように聴こえませんか?

エンディングは増尾兄弟のソロの掛け合い。でもここは掛け合いと言うよりは、増尾元章さんのソロに、増尾好秋さんがバッキングメロディを奏でていると言う感じ。
増尾元章さんの音が右、左にパンされると言うエフェクトが掛っています。これはスタジオでのミキシングの時のエフェクト処理だと想いますが、ちょっと聴きにくいと言うかあまり良い効果とは言えない気がしますけど。


03:ルック・アウェイ・フロム・ミー
綺麗なピアノの音色からスタートするソロ演奏の曲です。ライナー・ノーツによると、これはヴィクター・ブルース・ゴッジーさんが即興で演奏したものらしいです。

CD Time=2:00過ぎくらいから、今までの美しい雰囲気から段々激しいフリージャズ的なアバンギャルドな雰囲気になっていって、最後は鍵盤をたたき付けたようなダーティーな響きを残したまま、次ぎの曲のイントロのエレピに入っていきます。

04:ア・スリーサム
タイトル通りにスリー、つまり増尾好秋さんとヴィクター・ブルース・ゴッジーさんとT.M.スティーヴンスさんのソロの掛け合いを聴き所にした攻撃的な、いかにもフュージョンと言うテンションのあるアップテンポのナンバーです。

ソロの掛け合いはCD Time=1:48から。
Fmで8小節。G♯mで8小節。D7で8小節。この3つのパターンを繰り返していきます。なかなか凝っているのは、単純にこれを均等に分けて3人がソロを取っているのではないところ。
最初はFmでエレピ。そしてG♯mでベース。そしてD7でギター。次ぎは、エレピ・・・と行きそうなところをギターがFmとG♯mの部分を続けてソロを取ります。そして次ぎのD7ではエレピ・・・と言う具合に少しずらしてソロを展開しているので、単調にならずに聴き応えのある掛け合いになっています。

極めつけは最後の部分で、2小節づつの掛け合いから、1小節づつ、2拍づつ、と段々減っていき、最後の1拍つづ、8分音符づつはドラムのスネアも入れて4人で掛け合います。これは、まさにカシオペアの『ドミノ倒し』のパターン!
まあ、カシオペアの『ドミノ倒し』の場合は、後期になってくると、ほとんどどうやってあわせているのかすら解らない複雑なリズムになっていましたが・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

と言うことで、続きのトラックは次回に・・・。


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TO CHI KA 【その2】/渡辺香津美

Better Days レプリカ・コレクション-6 TO CHI KA(紙ジャケット仕様)

渡辺香津美さんのKYLYNのTrack05から細かく聴いてみます・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

05:ユニコーン
この曲は言わずと知れた渡辺香津美さんの代表的な曲。CMに使用されていたことは言うまでもありませんね。
テーマはいかにもギターがハマるメロディ。ギター以外では考えることが出来ない!と言うようなギターならではのメロディを持っています。その他にギターでなければ!と言うメロディを持った曲と言えば高中正義さんのブルー・ラグーンなどを想い出します。

頭のキメは4拍目の裏で16分休んで2発入ります。そしてマーカス・ミラーさんのベースとジョー・キャロさんのバッキングギターがユニゾンでバッキング・ラインを2拍分奏でます。その2拍目の最後の音に重なって渡辺香津美さんがスライドで食って、テーマを3拍目に奏でます。そして今度は8分休んで16分音符でのキメを4拍目に・・・。

次ぎの4小節のCD Time=0:10ではジョー・キャロさんが音をオクターヴ上げてユニゾンをします。これが結構効いていますね。

テーマ自体が短いので2コーラス目の頭のキメを渡辺香津美さんがオクターヴ音を上げて奏でたり、テーマの終りCD Time=0:43もオクターブ上げたりしてバリエーションをつけています。

このテーマをスコア譜面に起こすと、見事にそれぞれの楽器が適所に重なりながら流れているのが解ります。この複雑で計算され尽くされたアレンジはまさに肝!

CD Time=0:50から8ビートになって渡辺香津美さんのソロがスタートします。
バックのリズムが少し跳ねた8ビートになっているのを受けて、基本的には、6連符を3つに分けて3連符のフレーズをひとつのモチーフにして全体の構成を組み立てているソロになっています。

CD Time=0:59は右手の指で押さえるライトハンドでフレーズ。そしてCD Time=1:02からはエドワード・ヴァン・ヘイレンさんで市民権を得た?ライトハンド奏法でのフレーズ。その後は3拍ほどブレイクを創って次ぎのフレーズに入ります。
ちょっとライトハンド奏法のフレーズが今一発展途上と言うか、つい入れてしまったと言うか。3拍のブレイクが個人的にはちょっと間が抜けた感じを受けてしまいますが・・・。1曲目のリキッド・フィンガーズでもハーモニクスを使用しているフレーズはエドワード・ヴァン・ヘイレンさんのプレイを見て取り入れたそうです。

続けて、機械的なシーケンスラインで上昇して行くフレーズを奏でて3連符と16分音符を組み合わせた5音のフレーズで今度は下降していき、CD Time=1:13からは3連符をプリングとハンマリングで連続して行くジェフ・ベックさんなどが得意としていた奏法で弾き抜けます。
この部分なんですが、本当はライトハンド奏法で弾きたかったのかなと?そうすると最初のライト・ハンド奏法のフレーズがイントロダクションになって効いてくると想うのですが・・・。このようなフレーズでライトハンド奏法を絡めてくるのはT-スクエア安藤まさひろさんなどは上手いですね。

CD Time=1:26からは、3連符をモチーフにしてトップノートだけを変化させていくフレーズから3連符を絡めた下降フレーズで弾き抜け16分音符の機械的なアウトフレーズから32分音符の速いパッセージへ、そして6連符の連続技に入ります。
最後はオクターブをばらしながら下降していき、32分音符での怒涛で粒揃いの下降フレーズで締めます。

それにしても、このバッキングでのマーカス・ミラーさんとスティーヴ・ジョーダンさんのビートはグイグイきて良いですね。

再びテーマに入り、マイク・マイニエリ