Walking de Music

walking de music!
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ラリー・カールトン

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キッド・グローヴス/ラリー・カールトン 
KID GLOVES/LARRY CARLTON

キッド・グローヴス

先日は大荒れの天気。また低気圧が来ているようですのでその合い間を縫ってのwalkingはラリー・カールトンさんの
キッド・グローヴスです・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

1988年の衝撃的だった銃撃事件から復帰作になったのがオン・ソリッド・グラウンド(*)。
その後コレクション(*)と言うベストアルバムをリリースしましたが、その次の1992年の作品がこれです。
オン・ソリッド・グラウンドは事件の前の録音も含まれていると言う話しがありますので、現実的には事件後の録音でのフルアルバムの最初の作品となります・・・。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★

01:キッド・グローヴス
重厚に音を重ねたエレピが印象的なスタート。これから始まる!と言う感じのコード進行はオープニングにピッタリです。

テーマに入ると一転爽やかなスチール弦のアコギがメロディを奏でていきます。
サビに入ると少し今までの作品とは少し違った感じに気が付きます。雰囲気的にはリー・リトナーさんの様な感じと言ったら良いでしょうか。
それもそのはずでレーベルがGRPでエグゼクティブ・プロデューサーがデイヴ・グルーシンさんとラリー・ローゼンさん。ですから全体的なサウンドの色彩がGRP色なんですね。

ラリー・カールトンさんのソロは、超スタッカートなフレーズの連続。曲の持っているビート感と良く合ってはいるのですが、今までの作品でのラリー節では無いのが少し残念と言うか意外と言うか・・・。

CD Time=2:57からサビが転調してよりメロディアスな雰囲気が漂います。ラリー・カールトンさんのテーマの間を埋めるように絡めているメロディが見事な歌い方。その後もテーマを弾きながらソロを絡めていきフェードアウトしていきます。


02:ザ・プリーチャー
一転して16ビートのジャジーな曲。テーマはフルアコースティックギター。多分ジャケットに映っているギブソンのL-5(?)。2声の和音を巧みにメロディに絡めた実にジャージーなテーマを奏でていきます。
このテーマが実はなかなか難しいラインになっています。卒なく弾くにはそれなりの練習が必要な感じですね。

ソロはけっこうストレートなジャズラインを奏でていきます。
速弾きやリズム的なフェイクはほとんど無くて16分音符をひたすら弾き倒します。それでも、スケール練習的になっていなのが見事です。


03:ミッシェルズ・ホイッスル
穏やかなアコギのテーマが響くバラードです。BGM的なサウンドで落ち着きます。ちょっと天気予報のBGM的ではありますが・・・。

それにしても綺麗なアコギの音です。スチール弦の単音での良さを最大に生かしていると想います。このあたりのノウハウは以前にリリースしたアコギでの名盤、ディスカヴァリー(*)とアローン・バット・ネバー・アローン(*)の2枚から。ギターはライナーに記載が無いので判りませんが、おそらくヴァレーアーツのアコギだと想われます。

この曲でのラリー・カールトンさんのソロは、ゆったりとしたテンポに乗って無理なく、自然に歌っていきます。トリッキーなフレーズやアウトするような節回しも無く、ごく自然体です。その分、面白みや緊張感はありませんが、曲調にあった優しいソロに仕上がっています。


04:ウィ・ウィ・シイ
サックスのカーク・ウェイラムさんと歪んだ音のギターでテーマを奏でていくハードなナンバーです。ラリー・カールトンさんのエレクトリックなサウンドが4曲目にして登場です。

まず印象的なのがイントロのベースライン。裏のビートでA=「ラ」の音がずっと鳴っていると言うライン。これは右手の親指を使用してギターのように弾かないとなかなか難しいラインだと想います。ただでさえ難しいのに、抜群のテンポキープとビート感があるこのプレイはエイブラハム・ラボリエルさん。そのベースラインに牽引されて曲はスタートします。

テーマ後のユニゾンの展開からラリー・カールトンさんのソロがスタートします。
ラリー・カールトンさんの音はギブソンのES-335では無く、ソリッド・ギターのような音ですね。ソロラインも基本的には2曲目と同じ様な16分音符を連続していくパッセージが中心。しかも、アウト的なフレーズは少なく、やはり少し今までとは違った感じのライン。歪んだ音なので、絶妙なニュアンスのチョーキングなども期待するのですがほとんどありません。

余談ですが、タイトルのウィ・ウィ・シイは日本語の『初々しい』?・・・ではないですよね・・・多分。


05:ハート・トゥ・ハート
エレピのリリカルなサウンドに引かれて再びアコギでのバラードです。
メロディラインの美しさに加えて、コード進行が綺麗な流れを持っています。もちろん、ラリー・カールトンさんはテーマ、ソロに関係なく綺麗な音とリリカルなフレーズ展開を聴かせてくれます。

聴き所はCD Time=2:32のチョーキングからのフレーズ。
やや長いトーンのチョーキングから、今度はCD Time=2:44で細かいチョーキング・ダウンフレーズで味をつけます。さらにCD Time=2:48のスタッカートなフレーズを、ギターのブリッジ寄りで弾いて煌びやかな変化をつけてグリッサンドでアップ。そしてクロマティックなフレーズにチョーキングを絡めて、CD Time=2:54での絶妙なアーティキュレーションのクオーターチョーキングで決めます。
5曲目にして、やっとラリー・カールトンさんらしいフレーズが飛び出しました。この部分はもちろん肝!です。


06:ジャスト・マイ・イマジネーション
打ち込みのリズムに少しワウをかけた音でラリー・カールトンさんがテーマを奏でていく、レゲエのリズムを持ったナンバー。それでも完全なレゲエと言うことでもなくかなり洗練された、言って見ればラリーズ・レゲエと言う感じ。ちなみにこの曲はテンプテーションズのカバー曲。

ラリー・カールトンさんのソロはその音が面白と言うこともありますが、フレーズ的には1曲目と同じようなスタッカートなフレーズを展開します。さらに音域を非常に狭くして展開していますので聴いた感じがデヴィット・T・ウォーカーさんのような、モコモコとした感じのラインです。それでも楽しく歌っている感じがして、いいソロだと想います。


07:ホエア・ビー・モサダ?
3拍目のスネアとベースラインを聴いていると、スーッと何処かへ流されていってしまうような不思議な雰囲気のあるミディアムテンポのマイナーなナンバーです。ラリー・カールトンさんはナチュラルに歪んだ音でテーマを奏でていきます。

エイブラハム・ラボリエルさんのベースラインが印象的。またそのベースラインがこの曲のメインモチーフのようになっていて、ラリー・カールトンさんもCD Time=4:28やCD Time=4:51などでそのモチーフを使用した歯切れの良いパーカッシブなフレーズを奏でています。
特にエンディングでは、左チャンネルのバッキングギターでベースに絡めるようにモチーフを繰り返します。


08:ファーム・ジャズ
ドラムのループを使用したミディアムシャッフルのナンバー。ループも軽い感じのものなので、ベースがテーマをシンセとユニゾンで奏でギターがバッキングをするというライトなテイストで曲は進みます。

サビに入るとギターがテーマを奏でますが、そのテイストは変わらず。ギターの音もナチュラルに歪んでいますが、あくまでも軽い感じ。


9:テリー・T
ミディアムシャッフルのバラード。再び登場のフル・アコースティックギターでジャージーにラリー・カールトンさんがテーマを奏でていきます。

CD Time=2:09からラリー・カールトンさんのギターソロです。
フル・アコースティックギターのクリアで甘いトーンを抜群のジャズ・フレーズで聴かせてくれます。とは言ってもそこにブルースのエッセンスが入っているのがいかにもラリー節。CD Time=2:37のチョーキングからスライドを使用したフレーズは絶妙なニュアンスです。


10:イフ・アイ・クッド・アイ・ウッド
ギターソロ曲。ギターはソリッドギターのような感じの音なんですが、エフェクト効果で広がりと煌びやかさのある音で静かに奏でていきます。
しかし、ピッキングのニュアンスとかをしっかりと感じとることができてギターを弾いているリアリティを感じる演奏です。卒なく弾いていますが、このように『聴かせる』のは別の意味でのテクニックが必要ですね。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★

作品の雰囲気としては、最近のラリー・カールトンさんのややブルース色のあるものと夜の彷徨などの黄金のフュージョン色との中間的作品かと。さらには、アコギの2作品の流れを強く持っていると言うところでしょうか。

ギター的にも、フルアコースティック、スチール弦のアコギの比重が高くES-335は全く使用していないような感じですね。

非常に静かでゆったりとした時間が流れていくと言う感じのする作品です。
そしてフレーズなどもいたってシンプルな感じを受けました。それは自然体と言うか、無理をしていないと言うか・・・。好き嫌いは別として、一歩進んだ大人の世界に入ったと言う感じがします。

発売当時はどちらかと言うと、夜の彷徨の世界観が好きでしたので、銃撃事件後の作品と言うことでの期待もあったのですが、この作品の持っているゆったりとした、悟ったような感じはあまり好みではなかったように想い出します。実際にこの作品以降、少しラリー・カールトンさんの作品から離れました。

先に大人になった彼についていくことが出来なかったと言う感じでしょうか・・・。

今回、久しぶりに聴いてみると、その雰囲気とゆったりとした感じ、そして自然な感じが実にフィットしました。それだけ年を重ねたと言うことですね。嬉しいやら、悲しいやら・・・。

(CD TOTALTIME:49:24/ Walking消費カロリー:198.59kcal)

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キッド・グローヴスキッド・グローヴス
ラリー・カールトン カーク・ウェイラム マット・ローリングス

曲名リスト
1. キッド・グローヴス
2. ザ・プリーチャー
3. ミッシェルズ・ホイッスル
4. ウィ・ウィ・シィ
5. ハート・トゥ・ハート
6. ジャスト・マイ・イマジネーション
7. ホエア・ビー・モサダ?
8. ファーム・ジャズ
9. テリー・T.
10. イフ・アイ・クッド・アイ・ウッド

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(*)本文に登場したCD・DVD

ラリー・カールトン・コレクションラリー・カールトン・コレクション
ラリー・カールトン
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On Solid GroundOn Solid Ground
Larry Carlton
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ディスカヴァリーディスカヴァリー
ラリー・カールトン
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アローン・バッド・ネヴァー・アローンアローン・バッド・ネヴァー・アローン
ラリー・カールトン テリー・トロッター リック・マロッタ
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あとがき
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オン・ソリッド・グラウンド/ラリー・カールトン 
ON SOLID GROUND/LARRY CARLLTON

On Solid Ground

昨日はちょっとしたイベントがあって18kmくらいのwalkingをしました。さぞたくさんの作品を聴くことが出来た!かと想いきや、ひとりではなかったので・・・。少々お疲れなんですが、ここはたたみ掛ける様に連続でwalkingをするとより効果的!かどうか解りませんが、今日もwalkingをしました。
ラリー・カールトンさんのオン・ソリッド・グラウンドwalkingです・・・。


ラリー・カールトンさんが暴漢の凶弾に倒れたのが1988年。頚部の損傷で一時は命危険も、また命は助かっても再起不能とも言われました。その時の私のショックは相当なものでした。それからの復帰第1作がこの作品です。実際は事件の前に録音されていたものも含まれていると言うことを読んだことがあるのですが、今回いろいろ調べてみましたけど真偽は良く解りませんでした。
どちらにしても復活したことが嬉しくて、出来、不出来に関わらず非常に好きな作品なんです・・・。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★


01:ジョシー
これは超有名なスティーリー・ダン彩(エイジャ)(*)に収録されている名曲ですね。この作品での邦題は“ジョシー”と書いてあるのですが、での邦題は”ジョージー”となっています。歌の発音を聞いても”ジー”に聴こえるのですが・・・英語は難しいですね。

ハイハットの4つ叩きのリズムに少し陰鬱なギターライン。左右で奏でられるギターリフに加えて、さらにセンターでミュートで軽く入るギター。ドラムがインするとオリジナルよりいくぶん速いテンポで進む、打ち込みの16ビートが軽快な感じのジョシーです。CD Time=0:24に入るスライドダウンからのフレーズがいかにもラリー節!当時はこの一発のフレーズで完全復帰に喚起したことを想い出します。

メロディは当然ラリー・カールトンさんの少し歪んだトーンで奏でられていきます。ほぼオリジナルに忠実なメロディラインですが、そこは歌うギター・ラリー節ですので、全体的に見事に歌っています。また所々で上手さが際立つラインも聴かせてくれます。CD Time=0:52のロングトーン後のヴィブラートの何とも言えないニュアンスやサビ部分CD Time=1:07の和音の使い方などは鳥肌ものです。

2コーラス目もオリジナルに忠実にテーマを奏でますが、ただ繰り返すのでは歌詞がある場合と違って少しし退屈になります。そこで2コーラス目はギターのオーバーダビングでのユニゾンでハモります。さらにサビではカーク・ウェイラムさんのファンキーなサックスでメロディを取り、それに応えるようにギターを絡めていきます。この流れは、リスナーを飽きさせない良いアレンジですね。

ちょっとしたブレイクメロディを挟んでギターソロです。
最初の6小節は、あえてこの曲の持っているビートを消して、ややラテン風のパーカッシブなリズムに乗って、フレーズ頭にチョーキングを入れるパターンをモチーフにしたロックフレーバーのラインを奏でます。7~8小節目の様なコードの切り替わり部分のみにシンセが入るのですが、その部分でも基本的には、ワンスケールのラインで奏でています。そしてCD Time=3:03からのサビのパータンへ入る前のコード進行からサビへ入るところは、流れるようなラインで弾き抜けていきます。そしてサビではサックスがメロディを刻むバックでソロを続けていきます。
CD Time=3:13のアップラインからクロマティックに下がってきてCD Time=3:17でB=シが高音で飛ぶように入るラインは、まさに肝!です。

スティーリー・ダンのオリジナルとほとんど同じ流れのアレンジです。このオリジナルでラリー・カールトンさんはソロは弾いていなくて、バッキングのみでした。実は弾きたかったのでしょうか?そんな想いも少し感じる熱い演奏です。

02:オール・イン・グッド・タイム
名作夜の彷徨(*)の中の名曲ナイト・クロウラーに似た雰囲気を感じる曲。ミディアムなテンポに乗ってよく歌うメロディラインです。

ギターソロの出だしはチョーキングの絶妙なアーティキュレーションから優しいフレーズへ。このスタートの展開はかなりカッコ良いです。また、ラリー・カールトンさんのギターソロを受けてのサックスソロも良い味です。クレジットが何故か?ないのですが多分1曲目と同じカーク・ウェイラムさんだと想います。
また、渋いベースラインのネーサン・イーストさんやリズムギターのディーン・パークスさんのツボを心得たカッティングなど地味な曲ですが聴き所は多い曲です。

03:フィロソファー
ゆったりとした打ち込みに乗って優しいメロディが流れます。同時に時間もゆったりと流れていくような感じがして、何とも言えない魅力のある曲に仕上がっています。ソロなども派手さは無いのですが、時々ラインに紛れ込んでいる高音が煌びやかな感じを際立たせています。

04:いとしのレイラ
何故にレイラなのか?と想いましたが、これがけっこう良いテイクになっています。もちろんご存知エリック・クラプトンさんの名曲ですね。

イントロからテーマへ入るところは、ほぼエリック・クラプトンさんのオリジナルと同じ感じです。オリジナルのテーマはメロディラインがそんなにはっきりしていず、さらに少し演歌調にも聴こえるラインなんですが、エリック・クラプトンさんのハスキーな声と語るような歌とアーティキュレーションで実に味のある曲になっています。並のギタリストだったらとんでもなく陳腐な感じになってしまうと想いますが、これが実に良いんです。ラリー・カールトンさんだから出来た技ですね。やっぱり歌っているんです・・・ギターが。サビの「レイラ♪」のコード進行のバックで流れるようなソロを聴かせてくれます。

05:オン・ソリッド・グラウンド
スローバラードです。テーマが非常に綺麗ですが、あまりにもバラードにはまっているテーマの為に、“いかにもバラード”と言うようなメロディになっています。しかし、前の曲のいとしのレイラと同じで、ラリー・カールトンさんだから“いかにも”になっていないところが凄いと想います。その証拠と言ってはなんですが、途中サックスでメロディを吹く部分が少しあるのですが、そこはいかにもバラードって言う感じが個人的にはするのです・・・。

06:ワッファー
ミディアムテンポのマイナーな曲。クリアトーンでラリー・カールトンさんがメロディを奏でていきます。
ソロではクリアトーンを生かしたやや速いパッセージなどでブルージーに展開していきます。CD Time=3:05からのスライドダウンからのフレーズを繰り返しつつ変化をつけていく展開は、なかなかグッと来るものがあります。

07:バブル・シャッフル
少し跳ねたリズムにミュートギターのカッティングがバブルの雰囲気を出しています。このカッティングはディーン・パークスさん。
テーマはクリアトーンで奏でていますがソロはギターを歪ませています。CD Time=2:30からの流れるようなラインやCD Time=2:45のアウトフレーズなどはまさにカールトン節です。

08:チャプターⅡ
ストリングとエレピの綺麗な進行からスタートする綺麗なバラードです。テーマの出だし部分のスライドの使い方などが絶妙で綺麗なメロディをよりリリカルに奏でます。
ラリー・カールトンさんのソロらしいソロはない曲なんですが、メロディのフェイクやその合い間に聴かせてくれるフレーズでも十分堪能できる演奏です。コンポーザーとしてのラリー・カールトンさんの力量を聴くことが出来ます。

09:ハニー・サンバ
やや軽い感じのサンバ調の曲です。夜の彷徨の名曲リオのサンバとはだいぶ違う感じで、もっとボサノバに近いですね。
この曲ではナチュラルに歪んだギター音でテーマ、ソロを奏でているのですが、この音がかなり良い音だと想います。適度に歪んでいて、所々ギターのピッキングニュアンスに反応してクリアトーンが聴こえる感じが、実にアコースティックでいいんです。ギターのスペックが解らないのでメーカーは解りませんが・・・。もちろんラリー・カールトンさんの絶妙なピッキングが成せる技であることは言うまでもありませんね。

10:シー・スペース
プログラミングでオーケストレーション的なサウンドが入っていて、かなり映像的と言うか壮大な感じのする楽曲です。今までの9曲とはかなり違う雰囲気を漂わせています。それでもギターのテーマが聴こえると、やはりラリー・カールトンさんですね。
劇的なムードのままフェードアウトしていきます。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

当時この作品を聴いて、“完全復帰”と言う方や“やはり今一か”と言う方などいろいろありました。でも、私は完全復帰だったと想います。正確には当時そう想ったかどうかは良く覚えていませんが、今聴くとかなり良いフレーズやラインを奏でていますし、楽曲も完成度が高く、何よりテーマの絶妙なアーティキュレーションにため息がでます。

特にジョシーいとしのレイラなどは歌ものであるために、そのメロディラインをそのままギターで弾けば、いかにもBGM的で陳腐になってしまいます。
ところが、歌っているんです。ギターが。
簡単にギターが歌うって良く言いますが、ラリー・カールトンさんの場合は、本当にシンガーのように聴こえるから不思議です。

この背景にはラリー・カールトンさん自身が自分の作品で歌っていると言うこと、つまり歌うのが好きだと言うことが大きいのですが、それだけでは無く、スタジオミュージシャンとしてのシンガーのバックでの演奏キャリアがそうさせている部分も大きいと想います。

その中でもスティーリー・ダンでの役割は、ギターとしてだけではなくて、全体の橋渡し的なポジションにいたと言う経験が大きく、そのためにヴォーカルを生かすバック演奏と言う技術を身に付けたのだと想うのです。私は個人的にこれを歌ものラリーと言っていますが・・・。そのヴォーカルをこの作品では自分のギターに置き換えることによって見事なインストとして完成させたと言うことだと想うのです。
もちろんギターテクニックとして歌うと言うことが出来るのが大前提ではあるのですが・・・。

この作品は、やはり復帰作ですので、個人的には今でも想い入れが大きい作品です。
そこには演奏や楽曲などの出来や、怪我の前に録音したトラックがあるとか、そのようなことは超えている部分があって、その想い入れは、多分大変であったろうリハビリをこなして復帰したラリー・カールトンさんへの賛辞以外なにものでもありません。

私のwalkingしている公園でよく、体を悪くしてリハビリの為に歩いている方に会います。杖をついて歩いていたり、止まるくらいにゆっくりと歩いたり・・・。
そこには一生懸命な姿があります。
今日もそんな方とすれ違うたびに、ヘッドフォンをはずして
「これ聴いてください!ラリーも頑張って見事に復帰したんだ!」
って想わず声をかけたくなりました・・・。

(CD TOTALTIME:54:04 / Walking消費カロリー:217.35kcal
 walkingには・・・1曲目のジョシーは少しオリジナルよりテンポアップしているので実に良くwalkingに合いました。)

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On Solid Groundオン・ソリッド・グラウンド
ラリー・カールトン

曲名リスト
1. ジョシー
2. オール・イン・グッド・タイム
3. フィロソファー
4. いとしのレイラ
5. オン・ソリッド・グラウンド
6. ワッファー
7. バブル・シャッフル
8. チャプター2
9. ハニー・サンバ
10. シー・スペース

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(*)本文に登場したCD・DVD

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Steely Dan
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夜の彷徨(さまよい)夜の彷徨(さまよい)
ラリー・カールトン
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夜の彷徨/ラリー・カールトン PART2
LARRY CARLTON/LARRY CARLTON

夜の彷徨(さまよい)

昨日はあまりにも長くなってしまったので
続きを本日アップします。まさに懐かしいレコードで言うところのA面、B面と言う感じですね。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

5曲目はリオのサンバ
イントロのグレッグ・マティソンさんのエレピのフレーズが印象的な曲です。このイントロの部分ではラリー・カールトンさんのフェードアウトするかのように音量をコントロールしたバッキングの妙技を聴くことができます。
テーマは今までの曲とは少し違った感じの音色です。今まではテーマ部分とソロ部分の音質が明らかに違うと言う演出をしていますが、どちらかと言うとそのソロの音色に近い音色でのテーマです。実際にその後のソロも繋がって弾いているような感じですので、もしかしたら一発録り?とも想えるライヴ感を感じます。さらに今まであまり目立っていなかったのですが、ポウリ―ニョ・ダ・コスタさんのパーカッションプレイが更にそれを感じさせてくれます。
ソロは前半はラテンフレーバーを感じさせてくれるリズムやフレーズで展開して行きます。途中でコードが展開するところのフレーズの繋ぎ方が見事ですね。
そしてCD Time=2:24からのサビのコード進行に入るとアウトな音を使ったフレーズに耳が固まります。CD Time=2:30での音使いはグッ!とくるものがあります。さらにそれを受けてすぐさまエイブラハム・ラボリエルさんのおかずが、たった3音なんですが実に効果的でまさに肝!です。
ソロのエンディング部分ではロックの代表的なチョーキングフレーズが飛び出しますが、そのフレーズのまとめ方がジャズ的で次ぎのグレッグ・マティソンさんのソロへ繋げています。
またソロに耳が集中するのですが、このソロでのギターのバッキングは左がオーソドックスなバッキングで右が単音を使ったミュート奏法。よく聴いていると実に細かくまたそれ自体がメロディアスだったりしていて感動します。
ゲレッグ・マティソンさんのソロの後はエイブラハム・ラボリエルさんのスラップと言うかギターのように掻き鳴らし、叩きまくるお得意のソロを聴くことが出来ます。このノリはエイブラハム・ラボリエルさんならではですね。
テーマへ戻ってからエンディングは静かにイントロのテーマを繰り返して行きます。ここで左右のギターのロングトーンがあります。しかも極静かに、消えるか消えないかのような音で・・・。これは音に揺れを創るビブラートと言うテクニックを繰り返しています。コツを掴むとある程度はずっと音を出していることが出来るのですが、この様な小技を使うところは心にくいテクニックです。

6曲目は恋のあやまち
この曲もラリー・カールトンさんのヴォーカルもの。かなりハードな展開を予想させる前半に対してサビ部分の綺麗で優しい感じの対比が面白い曲です。
ギターは所々でロック・ブルース調のやや激しいプレイを聴かせてくれます。エンディング部分でのギターソロはチョーキングオンパレード!です。特にCD Time=3:40のフレーズはトレモロアームを使用しているような感じのアーティキュレーションの絶妙さがあります。
そう言えば、ジャケットのスペシャル・サンクスの部分に一時ラリー・カールトンさんがメインにしていたバレー・アーツギターのクレジットがあります。もしかしたらこの曲はES-335ではなくてトレモロ・アームの付いたヴァレー・アーツのギターでの演奏でしょうか?そう言えば音が違うような違わないような・・・。

7曲目は希望の光
ライヴで御馴染みのシャッフル・ナンバーです。コード進行がそのままブルース進行ですのでまさにラリー・カールトンさんは水を得た魚のようにイキイキとフレーズを奏でます。続くグレッグ・マティソンさんのオルガンのソロもファンキーで良いですね。このソロに左チャンネルでしかも極小さな音でラリー・カールトンさんがフレーズを絡めてソロを弾いている所はちょっと可愛い感じがします。後半もノリノリの展開でそのままエンディングになだれ込みます。そしてギター3本が残るところはカッコ良い演出ですね。

8曲目は昨日の夢
優しいけど切ない感じのエレピのイントロからスタート。テーマはクリアなトーン。リリカルに奏でます。でもクリアなトーンとは言っても実はナチュラルに歪んだ音。それを絶妙なピッキングテクニックなどでコントロールをしているわけです。また、これはエフェクト的な歪みでは出来ないギターアンプ、しかも真空管アンプのなせる技でもあります。真空管アンプは小さい音だとクリアな音で大きくすると強烈に歪ませることが出来ます。
バラードでのラリー・カールトンさんのプレイは本当に歌っていると言う感じがします。実にリリカルで身悶えしそうな絶妙なニュアンスが本当に肝!です。もうこうなってくると多くは語れません。ただ黙って聴くのみ・・・と言う心境になってきます。
そして静かな中で名盤がエンディングを向かえます・・・。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

久しぶりに聴き終えた感想はやっぱりいい!
やや興奮気味に書き綴りましたので少々あちらこちらに話が飛んでいたりしますのでお許しください。
またこれ以上の細かいレビューはやはり今更ですね。この作品の時代における重要性は、私が言うまでもありませんし・・・。

jazzLife別冊のJAZZ GUITAR 2003の中にラリー・カールトンさんのインタビューがあります。その中でこの作品に関する記事を少しご紹介させて頂きます。実に興味深い、いろいろな出来事が重なっているんです。

ひとつはルーム335が当初ミシェル・コロンビエさんのミシェル・コロンビエ・フューチャーリング・ジャコ・パストリアス(*)と言うアルバムの為の書き下ろしだったと言うこと。
さらにその作品がラリー・カールトンさんとのデュエット作品(共同名義)の予定だったこと。
でもそのレコーディング中にワーナーとソロ契約をして急遽、共同名義を取りやめてギタリストとして参加することにして、ついでにルーム335もその作品には提供しないで引き上げたこと。

そしてクルセイダーズを脱退したのがギターを弾くことに疲れてプロデューサーとして音楽活動をしたかった理由だと言うこと。
さらにそのギター浪人時代にあくまでも遊びで、ジェフ・ポーカロさん、ジョー・サンプルさん、ロバート”ポップス”ポップウェルさん、グレッグ・マティソンさんなどとクラブで演奏をしていた時にCBSの人が聴きに来てソロ作品の製作を持ち出されたこと。
さらにさらに、CBSが、プロデューサーになりたくてセッションギタリストをやめたラリー・カールトンさんにセルフプロデュースをさせなかったために契約が白紙になったこと。
そしてラリー・カールトンさんが自らワーナーにデモテープを持って行ってセルフプロデュースのOKとともに契約してリリースに至ったこと・・・。

もしそのままミシェル・コロンビエさんの作品に入っていたら、セルフプロデュースではないので全く違う楽曲になっていたかも知れませんね。
さらに名演は生まれたかも知れませんが
名盤は生まれなかったかも知れません。

いくつもの出来事とタイミングが重なって生まれた名盤。
もしフュージョンの神様が居るとすれば実に劇的で憎い演出!
でもその演出に感謝!感謝!です。

(CD TOTALTIME:41:37 / Walking消費カロリー:167.3kcal)

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夜の彷徨(さまよい)夜の彷徨(さまよい)
ラリー・カールトン グレッグ・マティソン ポーリニョ・ダ・コスタ

曲名リスト
1. ルーム335
2. 彼女はミステリー
3. ナイト・クロウラー
4. ポイント・イット・アップ
5. リオのサンバ
6. 恋のあやまち
7. 希望の光
8. 昨日の夢

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(*)本文に登場したCD・DVD

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ミシェル・コロンビエ・フューチューリング・ジャコ・パストリアス
ミシェル・コロンビエ・フューチューリング・ジャコ・パストリアス
ミシェル・コロンビエ・フィーチャリング・ジャコ・パストリアス ミシェル・コロンビエ ジャコ・パストリアス

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あとがき
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