Walking de Music

カテゴリーパット・メセニー
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パット・メセニー

          

TRIO→LIVE【DISK2】/パット・メセニー 
TRIO→LIVE/PAT METHENY

Trio Live


先日からの続きでパット・メセニーさんのTRIO→LIVEの【DISK2】でwalkingをしました・・・。


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01:JAMES
【DISK2】のスタートは、パット・メセニー・グループの言わずと知れた名曲。オリジナルであるオフ・ランプのヴァージョンを聴く限りは、トリオ・フォーマットでの演奏は想いつかないのですが、これを聴くと、実にトリオ向きな楽曲、それ以上にセッション向きな楽曲と言うことが解ります。
それは、メロディが非常に親しみやすく綺麗な旋律と言うことと、コード進行、特にサビの部分での進行が、アドリブをするのに一筋縄では行かない難しさと面白さがある為です。

テーマでは、パット・メセニーさんがフェイクをして『ズレ』を創り、ちょっとルーズな感じを出しています。
特に、サビの部分CD Time=0:21は、最初はジャストのタイミングなのですが、CD Time=0:38から徐々に『ズラして』いって、最後の所では完全にリズムフェイクをリスナーに『しかけ』ます。
またオリジナルのサビ部分は、テーマのリズムが喰ったりしているのに合わせて、コードも喰って進行していきますが、ここでは、コード進行を2拍づつで展開するようにアレンジして、ボサノバのリズムの流れを創っています。
ですから、メロディをパット・メセニーさんがオリジナルに忠実に演奏すると、微妙なコード感の『ズレ』が発生するわけです。それを解消するようなプレイと言うことにもなっていますね。

パット・メセニーさんは心地よいリズムの流れそのままで、まるでメロディの続きを弾くかのように実にスムーズにソロに入っていきます。

ワンコーラスめです。
この曲はいわゆるAメロの部分が10小節と少し半端な小節数になっています。これは、メロディから出来た楽曲と言うことを物語っているのですが、ことソロになると、上手いライン展開をしていかないと少し半端な小節余りみたいに聴こえていまいます。実はパット・メセニーさんも若干そんな風に聴こえます。
それでもクオーター・チョーキングを頭に入れたラインを繰り返しながら展開していて、実にブルージーです。
続く次の10小節は、小節余りの感じがしないラインの流れを創ってサビのパターンへ繋ぎます。

サビのパターンでは、3連のアルペジオをコードチェンジの部分に上手く入れて、抜群なコード感のあるラインで弾き抜けます。

2コーラスめは、スタート部分で、パーカッシブなラインを奏で、CD Time=2:06からは、ひとつのフレーズをオクターブ上げたり、下げたりすると言うフレーズを聴かせてくれます。これはけっこうポジションが飛ぶので、卒なく奏でていますが難しいフレーズです。
その後はクロマティックラインから得意技フレーズへ繋いで、サビのパターンへ入っていきます。

サビのパターンでは、ワンコラースめと基本的には同じようなラインで奏でます。もう少し展開して欲しいところですが、やはりコード進行が曲者ですね。3コーラスめに期待です・・・。

3コーラスめは、ジャズ・セッションなどで得意技としている2音を使用したリズミックなライン。これを合計20小節間、様々なバリエーションをつけながら展開します。
このように同じフレーズを長くリフレインすると、フレーズ終りが決まらないことがままあるのですが、CD Time=3:20からのフレーズ終りの展開が見事で、サビに華麗に繋いでいます。

期待のサビのパターン。ここではコード奏法で難しいコード進行を弾き抜けます。
当たり前ですが、一番コード感が出やすい奏法で、難しいコード進行の曲ではけっこう重宝する奏法。パット・メセニーさんともあろう方が・・・と想うのは安直で、コードヴォイシングとトップノートのメロディラインの動きが見事で、難しいコード進行をより難しいフレーズにしているところが肝!です。
そのままコード奏法で繋いで、ドラムにソロを渡していきます。

ビルスチュアートさんのソロは、バッキングが所々入っていることもあってよりメロディアスと言うか、ドラムが歌っています。

再びテーマ、サビへと戻っていくのですが、そのサビ後のメロディ部分、CD Time=5:24のコードのリハーモナイズが肝!です。物凄く美しいコードとメロディに変化して、一瞬ドキッとするような展開です。


02:UNITY VILLAGE
この曲のオリジナルはブライト・サイズ・ライフ。ライナーノーツでパット・メセニーさんが『少年時代を過ごした村に連れ戻されるようだったなあ・・・』と。
そんな感じが良く出ている演奏で、郷愁を感じさせてくれます。

パット・メセニーさんのソロは、そんな昔を想い出すかのような雰囲気で弾きまくっています。
コード進行を見事にラインに乗せて奏でていて、速いパッセージの中にも抜群のコード感がありますね。CD Time=3:22からの3連を絡めたラインの連続は、その象徴的なフレーズで、コードアルペジオとメロディの見事な融合を聴かせてくれて、呼吸をするのも忘れて想わず聴き入ってしまいます・・・。


03:SOUL COWBOY
このメンバーと言うことを意識して書いたと言う前作TRIO99→00(*)にも収録されていたブルースナンバー。いわゆる4ビートジャズはこの作品でオール・ザ・シングス・ユー・アーに続いて2曲目と言うことになります。

テーマはワンコラースめをパット・メセニーさんが単独で奏でていくのですが、良く聴いて見ると、ブルージーで比較的単純なメロディなんですが、音量も音程さえも定かではない、いわゆるゴーズトノートが実にたくさん入っているのが解ります。
また、そのゴーストノートが実に良いタイミングを創っていて、これが単独でありながらも絶妙なグルーヴ感を出しています。特にCD Time=0:09からのメロディは、良く聴くとかなりたくさんのゴーストノートを聴くことができます。

ここでのパット・メセニーさんのソロはライヴらしく、かなりエキサイティングなプレイをしています。もちろん、バックの2人もそれに答えるように、インタープレイをキメています。


04:NIGHT TURNS INTO DAY
ナイロン弦のアコースティックギターでのソロからスタートするバラードです。
音質がけっこう固めで、一般的に出回っている、いわゆるクラシック・ギターとは明らかに違う響きをもったこのギターはリンダ・マンツァーさんの製作したギターとのこと。少しエレクトリックな香りもするのですが、各弦の音の分離が明確ですので、非常にクリアで聴きやすいと想います。個人的にはもう少し柔らかい方が好みではありますが。

綺麗なコード進行とメロディを持った曲で、非常に情緒的で繊細な曲に仕上がっています。


05:FAITH HEALER
アップテンポの4ビートのリズムを裂くようにパット・メセニーさんの歪み系の音が割り込んできます。この曲はフリージャズ的な曲。メロディらしい部分があるようで無く、ただひたすらノイジーに進んで行きます。
それでも最小限の3人と言うユニットにしてみれば、エレクトリックの力をかなり借りてはいますが、非常にシンフォニックで、幻想的になっています。
これは、パット・メセニーさんのもうひとつの世界と言える部分。好き嫌いがはっきりと分かれるところなんでしょうけど・・・。

メロディやリズム、スケールなど音楽的な規制を取り除くことによって、表現できる世界はまさに音のみ。ある意味もっとも心底から出ている『叫び』と言えるのかも知れません。
特に、ギターの歪み系の音はそれを表現するのにピッタリな音で、エレキを弾いていた方ならば、例えば新しいエフェクターなどを仕入れてそのプリセット音の中にこのような幻想的な歪み系の音があれば、
ひたすらデタラメに弾いて、勝手に盛り上がる!と言うこと・・・ありますよね。
もちろんパット・メセニーさんの場合はデタラメではなく、レベルが全く違いますが・・・。

また、このパフォーマンスはジャンルを超えて、形こそ違いますが、例えば、ジミー・ペイジさんの弓を使った奏法やリッチー・ブラックモアさんのギター破壊時のブーツでの足弾き、ジミ・ヘンドリックスさんの破壊行為など・・・共通するものがあると想うのです。ちなみにこの歪み音は、ギターアンプでの歪みでは無くて、VG-8と言うエフェクターでの歪み音。この音からインスパイアされて、段々と発展していったのだと想います。

しかし、最後までこのノイジーな雰囲気で約17分以上も曲の長さがあると、ステージを観ているオーディエンスは幻惑されて釘づけになるのだろうと想いますが、CDで聴いていると流石に疲れます。

しかし、音楽を聴く時に知らず知らずに規制を求めてしまうと言うリスナーの意識を取り除いて、純粋にこの『ノイジーな叫び』に身を委ねると、何となくトランス状態に・・・そんな気がします。
まあ、これを称して『ノイジー』と言っているようでは、通の方々に『何も解っておらん!』とお叱りを受けそうですが。

また、オーディエンスのカーテンコールが入っているところを聴くと、プログラム上の一番最後の曲だと想像できます。一番最後にこれを持ってくると言うところから察すると、パット・メセニーさんのギタープレイの中に占めるフリーの要素はかなり大きいと言う想像が成り立ちます。
なかなか理解し難い部分だと想うのですが、この良さが解ると更にパット・メセニーさんを理解することが出来るのだろうと想います。


06:COUNTING TEXAS
何とも言えない不安定な音程。そして一聴バンジョー?と想ってしまうこのギターはリンダ・マンツァーさん製作のフレットレス・ナイロン・アコースティックギター。ナイロン弦をフレットレスにしてしまうと言う発想が恐れ入ります。
想像するに相当難しいギターだと想います。これはもう正確な音程と言うよりは、いかに不安定な音程を散りばめてユーモラスに奏でるか、と言うことにポイントを置いているような演奏になっています。逆転の発想ですね。曲もテキサスの暴れ馬的な面白さがあって、結構個人的には肝!な曲なんです。

パット・メセニーさんのソロは、ドラムのビル・スチュアートさんとの一騎打ちになっています。
ここで更に興味を引くのが、パット・メセニーさんの音色。
ノーマルなナイロン弦の音に、オクターバーで下の音を微かに重ねて、さらに少し歪み系のエフェクトをかけているように聴こえます。この音によって更に不思議な空間に支配されますね。

フレーズ的には、メセニー節を連発してるのですが、その音のファニーさから、あまり得意技フレーズに聴こえないところが、このギターの特異性を表しています。
もちろん、パット・メセニーさんもその特異性を生かしたフレーズを所々出していて、CD Time=2:50からのフレーズはこのギターで無ければ出来ないフレーズです。

パット・メセニーさんのソロを受けて、ラリー・グレナディアさんとビル・スチュアートさんが掛け合いをします。

面白いのは、普通ウッド・ベースは音程がやや不安定に聴こえて、それが魅力でもあるのですが、ここでは、前のパット・メセニーさんのソロがそれ以上に不安定でしたので、ウッド・ベースの音が正確な音程に聴こえる所。

テーマ戻りの前で、煌びやかな音が重なってきますが、これは、パット・メセニーさんが、ギターのブリッジとテールピースの間を弾いている音だと想います。ちょっとした遊びですね。

その後テーマに戻ってエンディングです。オーディエンスの大歓声と拍手。そしてカーテンコール・・・。いかに盛り上がったライヴだったかと言うことをドキュメント的に伝える為か、この部分を結構長く収録しています。

長いカーテンコールの後、フェードアウト間際に再び大歓声。
きっとパット・メセニーさんが再び小走りで登場したのでしょう・・・。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★

このライヴ作品を続けて聴いてみると、明らかに前作のTRIO99→00とはコンセプトが違うことが解ります。前作が『ジャズ・ギタリスト・パット・メセニーさん全開!』とするならば、このライヴは『ギタリスト・パット・メセニーさん全開!」。

前作は4ビート・ブルースなども数曲収録されていて、ジャズ・ギタリストの意味合いが強かったと想います。ところが、このライヴはジャズを外したオールマイティなギタリストとしての意味合いが強いと想うのです。
つまり、自らの歴史を自らトリビュートして、『ギタリスト・パット・メセニー
パット・メセニーの歴史を奏でている』と言う感じがするのです。ご本人もライナーノーツで言っているようにまさに集大成の作品であることは私がここで書くまでもありませんね。
変な話ですが、このような集大成的な作品を創るのであれば、また違った形で創ると言うことも可能だったと想うのです。それを、ギター・トリオで、しかも自分の勝負フィールドであるライヴにしたと言うところがまさに肝!

更に、バックがラリー・グレナディアさんとビル・スチュアートさんだからこそ、インスパイアされて、このような集大成をライヴで、しかもリリースしようと想ったのだと・・・。

これが、違うメンバーだったら、このような展開にはならなかっただろうと想うのです。
悪く言えば、2人共けっこう地味め、個性はありますが、悪い癖がないと言うか・・・。非常にギターを弾きやすいバッキングをしてくれると言う部分があると想います。これをパット・メセニーさんは『偶然がもたらした結果・・・』と言っていますが。
言ってみれば、TRIO99→00もギタリスト・パット・メセニーさんが通過してきたひとつの点としてこのライヴのプログラムの中に組み込まれているような感じがするのです。

さらに、このライヴ作品をパット・メセニーさんは『初めてのライヴ作品』と言っています。過去に、パット・メセニー・グループで名作のライヴ作品がありますが、それとは一線を引いていると言うことでしょうか・・・。

つまり、パット・メセニー・グループのライヴ作品の場合は、音源は確かにライヴからのものなんですが、作品の完成度を追求するが故に、かなりのクオリティで仕上がられた作品になっていると想います。

ところが、このライヴには、ラフな部分があったり、よく聴くとギターソロも同じようなフレーズや勢いに任せたようなフレーズもあったり、オーディエンスの生の歓声を入れたりしていて・・・まさに、リアル・パット・メセニーと言う感じがします。
そんなところからも、『ギタリスト・パット・メセニーさん全開!』と言えると想うのです。

聴き方は様々で
例えば、BLIGHT SIZE LIFEQUESTION AND ANSWERで過去のトリオ作品の香りを伺っても良し・・・
GIANT STEPSALL THE THINGS YOU AREでスタンダードの解釈を味わっても良し・・・
JAMESSO MAY IT SECRETLY BEGINパット・メセニー・グループの香りを感じても良し・・・
INTO THE DREAM COUNTING TEXASで特殊なギターを味わうも良し・・・
SOUL COUWBOYTRIO99→00の世界を味わっても良し・・・
もちろん、FAITH HEALERのフリージャズの世界でトランス状態になって聴くのも良し・・・。

でも、ひとつ条件があるとすれば、一度通してじっくりと聴いてみること・・・。
それによってパット・メセニーさんの世界観が見えてくる・・・と想うのです。

いずれにしても集大成作品。
このような作品は時間の重さが創る部分がありますので、いくらパット・メセニーさんと言えども、あと20年以上経たないと出来ないと想います。
そんな意味でも超強力な名盤だと想うのです。


(CD TOTALTIME:57:13 (DISK 2) / Walking消費カロリー:230.01 kcal)

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Trio LiveTrio Live
Pat Metheny Trio

曲名リスト
1. Bright Size Life
2. Question and Answer
3. Giant Steps
4. Into The Dream
5. So May It Secretly Begin
6. The Bat
7. All The Things You Are

1. James
2. Unity Village
3. Soul Cowboy
4. Night Turns Into Day
5. Faith Healer
6. Counting Texas
7. James
8. Unity Village
9. Soul Cowboy
10. Night Turns Into Day
11. Faith Healer
12. Counting Texas

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Pat Metheny Trio

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Trio 99>00Trio 99>00
Pat Metheny

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あとがき
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TRIO→LIVE【DISK1・PART1】/パット・メセニー 
TRIO→LIVE/PAT METHENY

Trio Live


今回はパット・メセニーさんのTRIO→LIVEwalkingです・・・。

この作品は2000年のリリース。先日発売されたパット・メセニー・トリオの新譜デイ・トリップ(*)は強力盤で、かなり評判が良い様子ですね・・・と言うのも、実はまだ未聴。とにかくすぐにでも聴きたいところ!なんですが、この作品を今一度聴いてからと想って、グッと我慢していると言うわけです。まあ別に我慢する必要もないんですが・・・。

この作品は、前作のTRIO99→00(*)と同じく、初めて聴いたときに、かなりの衝撃があったのを覚えています。通して聴くのは久しぶりですが・・・。


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01:Bright Size Life
場内のアナウンスからオーディエンスの大歓声。そしてあのイントロをパット・メセニーさんが奏でると、大歓声は更に大きくなり、その叫びの中に驚きのような、感動のような、そんな声が混ざっているのが解ります。
これは、会場に居なくても、このCDにピックアップが触れた瞬間にパット・メセニーさんのファンであれば、誰もが感じたのではないでしょうか・・・。オープニングにこの曲を持ってくるあたりが実に憎い演出!
パット・メセニーさんソロ名義での世に出た最初のギターメロディ
「ファ♯、ド♯、シ、ファ♯、ミ、シ、ラ、レ・・・」
が、24年の時を経て蘇る・・・これって凄いことだと想います。まさに肝!

テーマ部分は、けっこうスッキリした感じの印象です。これは、パット・メセニーさんの音がクリアで綺麗なこともありますが、その要因の多くはリズム隊。特にベース。

オリジナルではベースがジャコ・パストリアスさんですので、当然エレクトリック・ベースでのプレイでした。また独特のグルーヴと理解不能?な音使いで、複雑で不思議な世界観があったわけです。
比べて、ラリー・グレナディアさんはアコースティック・ベースで、しかも、音の伸びをどちらかと言うと殺し気味で、パーカッシブな切れの良いラインで奏でていきます。
そこに、ドラムのビル・スチュアートさんが落ち着いたフレーズ回しで奏でているので、なおさらスッキリとした印象になっているのだと想います。

ファーストソロはパット・メセニーさん。
最初の8小節は、8分音符のレガートなラインとスタッカートなラインを組みあわせて展開します。続く8小節は、8分音符のフレーズの終りを、16分音符の速いパッセージで締めくくるようなラインを繋げていきます。次のサビのパターンからその後の8小節は、更に音数を減らしてメロディアスに奏でます。

そのメロディアスな伏線が効いてくるのがCD Time=1:47からの2コーラスめ。
最初の8小節は、歯切れの良い8分音符のスタッカートライン。この部分では、ビル・スチュアートさんのドラムがその歯切れの良いラインに良く反応していてグルーヴが加速しています。

そして速いパッセージから、CD Time=1:58でコード奏法に展開していきます。
この部分では、得意技のひとつでもある1弦の解放、E=「ミ」の音をずっと重ねながら奏でます。そしてサビのパターンに入ると、リズム隊の2人がよりパーカッシブなラインで先に『しかけ』ます。パット・メセニーさんは前からの繋がりを意識したコード奏法で応戦します。

CD Time=2:14から、今度は6弦の解放、E=「ミ」を重ねながら少しロック・フレーバーで奏でます。さらに、CD Time=2:20からのコード奏法は3弦の解放、G=「ソ」を重ねてのフレーズです。そして、ソロエンドのCD Time=2:27のモチーフへ。それは1弦の解放弦を使用したカントリー・ブルース・テイストのフレーズ。

解放弦を使用したフレーズが言うまでも無く、このアドリブ全体を構成している大きなモチーフになっています。そしてそれら全ては、ソロエンドのモチーフへ解決する為のフレーズだったと言っても良いのではないかと想います。
実に見事な構成。はっきりとしたイメージを抱いてソロを展開していて、そこからほとんど逸脱することがないラインになっているため、まとまりのあるアドリブになっています。その分、熱さ!と言う点ではもう少し・・・と言うところですね。まあオープニングですから・・・。

続いてはラリー・グレナディアさんのソロへ。
ソロの入りは4分音符でのフレーズ。それを8分音符のレガートなフレーズに繋げて、CD Time=2:40でテーマのモチーフに解決しています。このラインは見事ですね。
サビのパターンの終り部分CD Time=3:01で、再びテーマのモチーフのラインを引用してその後のソロエンドに繋いでいきます。
全体的に丁寧で優しいラインだと想います。それにしても、音の伸びを殺し気味にする音質が特徴なんでしょうか。確かにウッド・ベースですので、もともとサスティーンが短めなんですが、それを顕著にしたラリー・グレナティアさんのプレイは、けっこうクセになりそうな品の良さを感じますね。

再びテーマに戻ってエンディングになります。
長さ的にも短く、本当にオープニングと言う感じの演奏です。これをオリジナルと比較することは意味がないとは想うのですが、あえて、どちらがお好みでしょうか?個人的には、ジャコ・パストリアスさんが好きなので・・・。
でも、この作品の演奏は、余裕みたいなものを強く感じます。それはパット・メセニーさん24年間の蓄積。それに追従している2人のリズム隊も華麗ですね。


02:Question And Answer
4弦の解放、D=「レ」を使用したコードリフがお馴染みのイントロ。言わずと知れたトリオ作品クエスチョン&アンサー(*)のタイトル曲。
1曲目、2曲目ともに過去のトリオ作品のタイトル曲。この流れは、単なるトリオ作品ではなくて、集大成的な意味合いがあります。ライナーノーツでパット・メセニーさんが「この作品はソングブック的な色彩を持っている」と言っていることでも解りますね。

いくぶんオリジナルより静かめにテーマが奏でられていきます。
パット・メセニーさんはオリジナルの通りにレガートに弾いていくのですが、ベースのラリー・グレナディアさんのラインが少し跳ねていて、CD Time=0:25のおかずなどは結構いい感じですね。
テーマを聴いていくと気がつくのが、相変わらずメロディの隙間を埋めるハーモニクスやコード奏法の絶妙なタイミングと音量バランス。
CD Time=0:34のハーモニクスの濁りやミストーンの全くない綺麗な音。そしてCD Time=0:39に微かに入る和音。それに反してCD Time=0:44のメロディに絡める和音から、CD Time=0:45のオクターブ奏法を絡めてのアクセント。CD Time=0:47のまた微かなコード奏法・・・。素晴らし過ぎて、ため息が出ます・・・。

ファーストソロはパット・メセニーさん。
ワンコラースめ。最初の16小節はかなりブルージーにキメます。そして次の16小節も同じようにブルースフィーリングが溢れるラインで非常に解りやすく、聴きやすいアドリブの導入部分で、すんなりとリスナーを導きます。
続くサビのパターンでのCD Time=1:50からその後の16小節も、その雰囲気は継承されていてパット・メセニーさんのフレーズとしては、あまり聴き慣れないCD Time=2:01の少しトリッキーなフレーズを挟みながらも、ブルージーに奏でていきます。

CD Time=2:15からの2コーラスめは、最初こそワンコラースめの雰囲気を引きずっていくのですが、CD Time=2:22からの、速いパッセージへのイントロダクションとして頻出する得意技、ペンタトニックと言うスケールを使用したダウンフレーズと、スタッカートなラインの合わせ技を奏でます。そして期待通りに、クロマティックな速いパッセージに繋いでいきます。
そのまま、次の16小節の頭、Time=2:31の4音ワンパターンの上がり下がりする得意技フレーズへ展開します。その得意技フレーズを解りやすく完結して、コード奏法へ展開していきます。

サビのパターンの部分、CD Time=2:48は前の部分でのコード奏法をイントロダクションにして、そのまま見事なヴォイシングのコード奏法で弾き抜けます。その後の16小節もコード奏法を中心に奏でます。

そして3コーラスめ。高い音を中心にした音数の少ないラインから、CD Time=3:19の息継ぎ?のようなグリッサンドフレーズを合図にCD Time=3:21のパーカッシブな得意技フレーズへ突入します。そして再び同じフレーズがCD Time=3:33で登場して、一貫した流れを創り、速いパッセージへと繋いでいきます。

続くサビのパータンはワンコラースめとも2コーラスめとも違う速い単音ラインで弾き切っていきます。
そして、次の16小節でコード奏法を、またしても見事なヴォイシングで展開してから、オーディエンスの誰かの絶叫と共にベースのラリー・グレナディアさんのソロへ引き継がれていきます。

パット・メセニーさんのソロは、非常に解り易い展開で、速いパッセージもそんなに奏でていないので、例えば、ギターをコピーしようとするのであれば格好の素材になる、まとまったソロだと想います。

続くラリー・グレナディアさんのソロは、2拍をワンパターンとしたモチーフを中心に、切れの良いラインで展開していきます。CD Time=4:35からのラインがその典型で、このモチーフが再び現れるCD Time=4:50では、じっと聴いていたパット・メセニーさんがここぞ!とばかりに、2拍をラリー・グレナディアさんが、そして残りの1拍をパット・メセニーさんがバッキングで埋めると言う形で絡んできます。
この2人の絡みはソロエンドまで続きます。2コーラスのソロなんですが、実に良いですね。

そしてビル・スチュアートさんのソロへ。
インテンポでのソロなんですが、良く聴いているとドラムのスネアやタムが歌っていることに気が付きます。それもそのはずで、この部分はきちんと小節線を弾くことが出来る、テーマに沿った節回しになっています。
途中、想わず拍子を失いそうになるリズムフェイク的なフレーズも多々あるのですが、頑張って3/4拍子をとり続けて聴くと、しっかりとキッチリと3コーラスで終わっています。
さらに頭の中で、テーマを歌いながら聴くと、ドラムのリズムが実にメロディに連動していたり、コード展開に連動していることに気が付きます。
例えば、CD Time=6:30からは丁度サビのパターンの部分になるのですが、フレーズを今までと変えて展開していますね。ビル・スチュアートさんが頭の中で歌いながらフレーズを叩いているのが良く解ります。このソロは実に見事、まさに肝!です。
また凄いのは、かなり複雑なリズム回しをしている部分でも左チャンネルから聴こえるサイドシンバルでのテンポキープがしっかりと行われていること。
そして、もっと凄いのは、アイコンタクトはあるかも知れませんが、きちんとテンポをキープしていて、テーマへの戻りの部分に微塵のためらいも無く、スムーズに入っていくパット・メセニーさんとラリー・グレナディアさん。
試しに、テンポを刻んで聴いてみてください。私のレベルでは手を叩きながら、口で『いち、にい、さん』と叫び続けなければ、すぐ拍を失ってしまいます・・・。

テーマに戻るとギターの音色が変わっています。
これはGRのノーマル音に少しシンセエフェクトをかけたような音です。そして、イントロのパターンに戻ると、そのまま怒涛のギターシンセソロがスタートします。

まずは、この曲調の、しかもこの部分でギターシンセ・ソロを持ってくると言うアイデアが見事。すでに演奏は10分を超えています。トータルでは20分を超えるテイクなので、この後のパフォーマンスが間違いなくハイライトと言えますね。
これについてパット・メセニーさんは、『幽体離脱した感覚を味わったテイク』と言っています。これは、おそらくこの後の約10分間での出来事だろうと想像できます。

では、一体何処の部分でパット・メセニーさんがイってしまったのか・・・。そんな想像をしながら聴くのもまた楽しかったりしますが、このような『気持ちから湧き出るパフォーマンス』は、スケールやコード進行云々などは問題ではなく、じっと音に耳を傾けて一緒にイってしまったものが勝ちです!

ちなみに、演奏をしていて幽体離脱に近い感覚と言うのは、私も今まで練習も含めるとかなりの回数を演奏してきましたが、アマチュアのレベルでも数えるくらいはあります。極わずかではありますが・・・。もちろん、このテイクでの幽体離脱とはレベルが雲泥の差と言うのは承知しています・・・。

私が感じたのは、バックの音。
普通の状態でももちろんバックの音は耳に入ってくるのですが、それはあくまでも従。メインで聴いているのは自分の奏でている音。
しかし、幽体離脱状態になると、バックの音がしっかりと耳に入って自分の音との境界が無くなってくるんです。ですから、自分が何を弾いているのか、意識はしてるのですが勝手にフレーズを繰り出していると言う感じでしょうか・・・。
それは、音に包まれて浮遊している感じと言ったら解り易いでしょうか・・・。
パット・メセニーさんの幽体離脱と同じレベルで書くのも、お叱りを受けそうなくらい恐縮なんですが・・・。

いずれにしても、バックの演奏と言うのが重要で、このテイクでのリズム隊2人の演奏にインプロヴァイズされてこその、パット・メセニーさんの幽体離脱と言うことだと想います。
この演奏が前半のハイライトでありベストテイク。まさに大肝!です。


03:GIANT STEPS
パット・メセニーさんのカッティングからボサノバ調のリズムで奏でられるこの曲は言わずと知れたジョン・コルトレーンさんの超スタンダードナンバー。
前の曲の印象が強烈だった為に、どちらかと言うと箸休め的な、少しのんびりとしたムードに感じられます。

TRIO 99→00でも絶妙だったテーマのフェイク。この演奏でも決まっています。この少しずれた感じのするフェイクが、ボサノバのややルーズなリズムと重なって何とも言えない味になっています。
ワンコラースめのテーマは、基本的に8分音符分メロディを遅らせることでルーズな感を出しています。それが所々で、ジャストのタイミングに戻ったり、逆に16分音符早くしてみたり、と多彩なリズム感覚を聴かせてくれます。

CD Time=1:04からのテーマ2コーラスめ。
CD Time=1:08ではコード奏法で3拍も早くメロディを先行します。その後の、コード奏法でのメロディラインも微妙なタイミングをコントロールしています。

ラリー・グレナディアさんのソロの後、テーマに再び戻りますが、ここでもそのコントロールは見事で、CD Time=6:43のテーマ戻りの最初の1音からいきなり喰って入っています。
CD Time=7:00ではメロディ全体を大きくずらし、その間を埋めるようにアルペジオを奏でています。
CD Time=7:07からのテーマはオーソドックスな展開。今度はずらしは無く、オーソドックスなコード奏法でキメます。
このようなテーマのフェイクは一歩間違うと・・・?となってしまう危険があるのですが、そんな心配は全く必要ない抜群のセンスがありますね。
 
ちなみに、パット・メセニーさんのソロは、緩急を上手く使用したソロで、速くなったりルーズになったり・・・音が波のように押しては引くような感じですね。そして後半はコード奏法で複雑なコード進行をさらに複雑なヴォイシングで奏でていきます。


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と言うことで、続きのトラックと、DISK 2は次回です・・・。

(CD TOTALTIME:62:47 (DISK 1) / Walking消費カロリー:252.39 kcal)

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Pat Metheny Trio

曲名リスト
1. Bright Size Life
2. Question and Answer
3. Giant Steps
4. Into The Dream
5. So May It Secretly Begin
6. The Bat
7. All The Things You Are

1. James
2. Unity Village
3. Soul Cowboy
4. Night Turns Into Day
5. Faith Healer
6. Counting Texas
7. James
8. Unity Village
9. Soul Cowboy
10. Night Turns Into Day
11. Faith Healer
12. Counting Texas

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Day TripDay Trip
Pat Metheny Trio
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トリオ99→00【PART2】/パット・メセニー 
 TRIO 99→00/PAT METHENY

トリオ99>00

前回のブログの続きで、パット・メセニーさんのトリオ99→00のTrack07から総評です。

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07:ウィ・ハド・ア・シスター
これ以上無い!と言うような美しい音色のスチール弦のアコギでのパット・メセニーさんのソロ・パフォーマンスからスタートするバラード。
CD Time=0:43からの一秒ごとのハーモニクス。そして1弦から低い弦に向かって鳴らすストロークにアルペジオを絡めたフレーズからテーマへ。
最初はギター1本のテーマですが、CD Time=1:35からの聴こえるか聴こえないかくらい微細なシンバルロールからドラムとベースがインすると、更にリリカルさを増していきます。

パット・メセニーさんのソロはテーマのコード進行をそのままワンコーラス奏でていきます。まるで事前に創られていたかのようなソロラインで、この上なく美しい展開ですね。
特に、CD Time=3:17からのラインは、コードを頭で入れながら、本当に綺麗なメロディを奏でていきます。
しかし、終りの8小節、CD Time=3:45からは今までとは逆に、メロディを殺して、コードヴォイシングとリズムで語っていきます。
このメリハリが静かな曲の中に映像的なアクセントを生み出してますね。


08:ホワット・ドゥ・ユー・ウォント?
パット・メセニーさんの曲としては珍しく、純粋なスタンダード曲のようなコード進行をもった楽曲です。
特にソロのコード進行はジャズの演奏ではセオリーであるⅡ-Ⅴ進行が連続して表れています。
キーはBですが、それをⅡ-ⅤのCm7→F7で繋ぎます。そしてサビのパターンでは3つのⅡ-Ⅴ進行が連続して元のキーコードBに戻っていくと言う進行。
当然3つのⅡ-Ⅴ進行では3つのスケールを連続させて弾くわけで、それだけでもインプロヴィゼーションとしてはけっこう難曲と言えますね。当然ですが、見事に弾き抜けています。
パット・メセニーさんのオーソドックスなコード進行に対するアプローチを学ぶ格好な素材なんですが・・・いかんせんテンポが速すぎてギターコピーもままならないと言う感じです・・・。

ギター的にはオーソドックスな形なので、聴いた感じも少しレトリックなジャズ的な雰囲気が出ていて、ここではスウィングと言う言葉がピッタリ当てはまる演奏と言えます。


09:ア・ロット・オヴ・リヴィン・トゥ・ドゥ
楽しげなメロディを持っている曲です。これはオリジナルではなくミュージカルバイ・バイ・バーディーの中の曲。(・・・だと想います。)いわゆるスタンダードと言うことになるのでしょうけど、前の曲と同じ流れと雰囲気がありますね。

ですからパット・メセニーさんのプレイもオーソドックスなジャズラインを展開します。
それでも後半になるとやはりメセニー節が連発して、オンリーワンの世界になってしまうところが見事ですね。この曲も聴きやすくスッキリとまとまった演奏になっています。


10:ローン・ジャック
オリジナルはパット・メセニー・グループ想い出のサン・ロレンツォ(*)。
自身のグループのしかもファーストアルバムの楽曲をここで演奏すると言うのがまず凄いことだと・・・。よほど気に入っているのでしょうか。
もともとセッション向きの楽曲ではありますが、見事にギタートリオ作品として仕上がっているのがまた凄いところです。迫り来るようなサンバ調のリズムがグイグイと私たちをけん引してくれます。

お馴染みのキメ・フレーズからパット・メセニーさんのソロです。
テーマのコード進行の流れで2コーラス奏でています。

ワンコラースめのスタートはパーカッシブなラインでリズムにノッていきます。CD Time=1:10からクロマティックを使った速いパッセージを連続してCD Time=1:16の得意技フレーズに解決します。
サビの進行では、メロディ重視のラインでギターが見事に歌っています。CD Time=1:37の高い音の『ひと弾き』が効いていますね。

2コーラスめは得意フレーズの変形パターンからスタートします。
そしてクロマティックラインをはさみながら、和音でのフレーズを少し入れてきます。そのまま和音でのコード奏法へいくと想いきや、CD Time=2:00のトリッキーなラインでかわします。
サビのパターンでは、待っていましたと言う感じのコード奏法で華麗に弾き抜けてキメのパターンへ繋ぎます。

続けてベースのラリー・グレナディアさんのソロ。
前半はメロディラインと言うことを意識しながらも、リズム楽器と言うことを全面に出していく感じの展開をしています。
そして段々とリズムが中心になっていき、サビの部分でリズム的ソロラインで強烈な盛り上がりをもたらします。この部分肝!です。CD Time=3:03からのラインがひとつの伏線になっていてそれが、CD Time=3:08からのラインを効果的に聴かせていると想います。見事な構成です。
パット・メセニーさんのほとんど生音のカッティングも実にいい感じで入ってきていますね。

続くキメのパターンでドラムのビル・スチュアートさんのソロです。
リズムをキープしながらの細かいスネア、タム回しで全体のグルーヴを途切れさせることがなく、テーマへ繋いでいきます。


11:トラヴェルズ
この曲もパット・メセニー・グループの初期の代表作品トラヴェルズ(*)に収録されている名曲です。
オリジナルはエレクトリックでのプレイでしたが、ここではスチール弦のアコギです。また、いくぶんテンポを抑えて奏でます。

もともとカントリーテイストの曲で映像的な曲です。
オリジナルの方は目の前に広大なアメリカの大地が浮かんで来るようなスケール感を感じるのですが、このトリオでの演奏は、そのスケール感がもっと家庭的で、言うならば、暖炉の炎や埃っぽいテーブルの上の食べ残しのパン・・・そんなイメージが個人的には想い浮かぶのです・・・。

これは演奏の形態と言うこともありますが、一番はアコギの音色ですね。
さらにはバックのリズム隊が、実にシンプルにリズムを刻んでいることでしょうか。

パット・メセニーさんのプレイも、同じようにシンプルで、朗々と歌っていきます。

しかしギター的に良く聴いていくと、これは実に難しい演奏ですね。個人的にはエレクトリックの速いパッセージよりも難しいかも知れないと想います。
テーマでは、テーマのメロディを和音で奏でて、次のメロディとの隙間に和音やアルペジオ、ハーモニクスなど多彩なバッキングを絡めています。これが絶妙で、まるで2人ギタリストがいるような錯覚にも陥ります。下手なギタリストが2人で奏でるより遥かに凄いと想います。

当然これがソロに入ると更に驚異的で、インプロヴィゼーションであるにも関わらず美しいメロディ。しかも、その間を埋める絶妙なバッキング・・・。

そうは言っても、やはりこのトラックはそのような技術的なことは抜きにして、ただただ浸りたい・・・そんな演奏になっています。

聴き終わったときに・・・本当にため息が出た演奏で個人的にはこの作品のベストトラックで、大肝!です!

この曲が作品のエンディングと言うのも実にいいですね・・・。


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初めて聴いたときのインパクトはかなりのものがあったのですが、今回久しぶりに通して聴いてみてそのとき以上のインパクトがありました。

ギタートリオと言うのは非常に難しいフォーマットだと想います。
演奏自体ももちろんですが、メンバーの選択のウェイトが大きいと想うからです。もちろんその他のスタイルでも同じことなんですが、シンプルな構成だけによりそこが大切と言えると想うのです。

今までのパット・メセニーさんのギタートリオ作品では、いろいろなミュージシャンが参加していて、それぞれの作品で、それぞれの良い味を出してるのですが、多分、これほど強烈にパット・メセニーさん個人が全面に出た作品はないのではないかと想うのです。

今までのトリオ作品は考えて見れば、ほとんどが大物と言われているミュージシャンとの共演。
それでも互角に渡り合ってきて強烈な個性を出しているのですが、この作品を聴いた後では、やっぱり多少なりとも食われている部分があったのかな、と想うのです。

この作品は当時フレッシュな2人を選びました。年齢的なこともありますが、リーダー的にトリオで演奏した最初の作品。

ですから弾きまくった!と言えるし、その為にジャズ・ギタリスト・パット・メセニーが全面に出たと言うことになったのだと想います。
最後の2曲に自分の個性が良く出ている古いオリジナル曲を持ってきたのも、それに輪をかけていますね。

ちょっと弾き過ぎで、フレーズも同じようなフレーズが多く登場したりしている部分も確かにありますが、パット・メセニーさんのギタースタイルを聴くのには絶好の作品で、パット・メセニー・グループだけでは感じ取ることが出来ない『プラスαのギター魂』を十分に感じ取ることができる名盤です。

(CD TOTALTIME:65:22 / Walking消費カロリー:262.77 kcal)

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トリオ99>00トリオ99>00
パット・メセニー ラリー・グレナディア ビル・スチュワート

曲名リスト
1. (ゴー)ゲット・イット
2. ジャイアント・ステップス
3. ジャスト・ライク・ザ・デイ
4. ソウル・カウボーイ
5. サン・イン・モントリオール
6. カプリコーン
7. ウィ・ハド・ア・シスター
8. ホワット・ドゥ・ユー・ウォント?
9. ア・ロット・オブ・リヴィン・トゥ・ドゥ
10. ローン・ジャック
11. トラヴェルズ

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(*)本文に登場したCD・DVD

Pat Metheny GroupPat Metheny Group
Pat Metheny Group

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トラヴェルズトラヴェルズ
パット・メセニー・グループ パット・メセニー ライル・メイズ

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あとがき
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トリオ99→00【PART1】/パット・メセニー 
 TRIO 99→00/PAT METHENY

トリオ99>00


今日はまた雪が舞っていて寒い一日です。と言うことで先日はパット・メセニーさんのトリオ99→00でwalkingをしました・・・。


この作品は2000年のリリースです。ギタートリオ作品としては、意外に少ない4枚目の作品と言うことになります。初めて聴いた時のインパクトは今でも良く覚えています。久しぶりに聴きますが、どうでしょうか・・・。


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01:(ゴー)ゲット・イット
今回の作品でパット・メセニーさんが選んだのが、ドラムのビル・スチュアートさんとベースのラリー・グレナティアさん。
そのビル・スチュアートさんの軽快なサイド・シンバル・ワークに細かいスネアとバスドラが絡んだリフからスタートします。
この曲は譜面を見ると、テンポ指示が300とかなりアップテンポで、コード進行がセブンスコードを中心とした軽快なパット・メセニー・ブルースナンバーです。

テーマ終りのキメから、曲は4ビートのブルース進行になってパット・メセニーさんのソロに突入します。
前半からオーバードライヴがかかりまくったようなソロ展開で、CD Time=0:48のクロマティックなラインに、引っ掛ける?ようなダウンフレーズを絡めて得意のアップしていくラインになだれ込んでいく・・・得意フーレズが早くも炸裂します。

CD Time=1:38は、テーマ終りのキメのパターンをモチーフにしたライン。
その後、細かいラインで繋いで、CD Time=1:44からオクターブ奏法のラインから再度キメパターンのモチーフを。テーマやキメのパターンをモチーフにすることは、インプロヴィゼーションでは良くあるのですが、見事に決まっています。

続く、CD Time=1:48からは、単純なフレーズをタイミングの妙技で聴かせてくれます。
クロマティックラインでこのコーラスを締めくくると、次の、CD Time=1:57からアウトフレーズを連発します。特にCD Time=2:00のフレーズなどは微妙な浮遊感が迫ってくるようです。

CD Time=2:26のラインは、低音を動かす度に、高いE=「ミ」を弾いてアクセントとしています。音数は少ないフレーズなんですが、少しポリリズム的になっていて、そのニュアンスが実にグルービーで見事です。

キメを挟んで、ベースのラリー・グレナディアさんのソロです。
メロディラインを奏でて聴かせると言うよりは、メロディとベースラインをミックスした様なラインで綴る構成になっています。リズミックな展開で、ビート感の溢れるソロですね。

ベースソロの後は、ワンコーラスづつドラムのビル・スチュアートさんとパット・メセニーさんの掛け合いです。それぞれのソロはもちろん良いですが、CD Time=4:51のギターとドラムの会話が聴き所です。

1曲目からかなり『ぶっ飛んで』いて、まさに肝!です。


02:ジャイアント・ステップス
言わずと知れたジョン・コルトレーンさんの名曲です。ここではミディアムテンポのボサノバ調にアレンジして演奏しています。
パット・メセニーさんの、テーマのフェイクの仕方が絶妙ですね。この『ずれた』感じで弾くのはけっこう難しいと想います。一歩、間違うとただの『ズレ』になってしまいますので・・・。

パット・メセニーさんのソロは、コード進行に的確にノッてメロディアスなラインを奏でいます。速いパッセージや得意技も連発していますが、最大の聴き所は、CD Time=3:42からのコード奏法。この難しいコード進行の難曲を、いとも簡単そうにバリエーション豊富なコードヴォイシングで奏で、しかも、トップノートのメロディラインはしっかり歌っている、と言う見事なコードワーク。これは凄いと想います・・・本当に。

続いて、ラリー・グレナティアさんのソロ。
このソロも、基本的にはメロディアスと言うよりは、1曲目と同じようにリズムを崩さないでフレーズを連続していくライン。ブレイクもポリリズムもなし。一聴平坦で退屈なようにも想いますが、じっくり聴くと良いメロディラインなんです。また、これだけ途切れず連続してフレーズ展開をするのはかなりテクニックが必要だと想います。実際にラリー・グレナディアさんが歌っている声が聴こえますので、このフレーズが単に指癖ではなく、頭で歌っているラインだと言うことが解ります。

ブリッジを挟んで再びテーマに戻りますが、ここでは先ほどの『ずらし』をより顕著にして奏でています。また、CD Time=6:18の遊びの様なフレーズも飛び出してきて、まさに酔っているのは酒ではなくて演奏。そんな感じのするプレイですね。

エンディングの部分で再びパット・メセニーさんのソロが炸裂して段々とデクレッシェンドしていって静かに終わっていきます・・・。

このトラックも実に強力な演奏になっていますね。


03:ジャスト・ライク・ザ・デイ
一転して重々しい感じのする中にも、綺麗なメロディが奏でられる曲。この曲はキーのコードがD=「レ」。通常のギターの一番低い音がE=「ミ」なのでそれより低いD=「レ」に6弦のチューニングをあわせて弾いていると想われます。これによって、より低音重視の重々しさがでる訳ですね。

それでもメロディが綺麗で、また少し中世の響きもある展開なので、不思議なムードに包まれる楽曲に仕上がっています。

ソロ、メロディともに和音を上手く使用していて、また、スチール弦のアコギの煌びやかで、金属的な響きの中にある温かさが良く解るプレイだと想います。


04:ソウル・カウボーイ
パット・メセニー・ブルースナンバーが再び登場です。
この曲は1曲目とは違って、かなりゆったりとしたブルース。当然フレーズも違う展開になるわけで、どちらかと言うと、よりフレーズを聴き取る為には、こちらの方が聴き易いですね。
また1曲目はキーのコードがA=「ラ」でいわゆるAのブルース。それに対してこの曲はCのブルースになっています。このキーコードの違いによるインプロビゼーションの違いも楽しむことができます。

ワンコーラスめはかなりオーソドクスに、しかもブルージーにスケール展開をしていて、これぞジャズブルースと言うようなプレイです。
2コーラスめになると、コード進行から外れたアウトフレーズが最初に飛び出します。CD Time=1:00などは、アウトフレーズにベースのラリー・グレナディアさんも見事に追従していて、一瞬コード進行が違う展開に流れていくように聴こえますね。
3コーラスめは、今度はドラムのビル・スチュアートさんが、ポリリズムで『しかけ』ます。かなり取り難いリズム展開なんですが、見事につられないパット・メセニーさんと、動じないラリー・グレナディアさんが淡々と奏でていきます。このかけ引きが逆に絶妙なグルーヴを生み出している感じですね。
4コーラスめからベースが4ビートを刻んでいきます。この終りの所から4音ワンパターンで上がっていったり、下がっていったりするパット・メセニーさんのお得意なフーレズの、さらに強力盤が始まります。これは5コーラスめの前半まで怒涛の展開を持って続きます。
6コーラスめの聴き所はCD Time=2:25からの浮遊感のあるアウトフレーズ。言葉になりません・・・。
7コーラスめは、比較的オーソドックなラインで決めます。しかしこれは、CD Time=2:59からの8コーラスめの、『音の反射フレーズ』との対比の為の伏線。
一瞬コンピューター音の様にも聴こえる音の飛び散りとその反射。この音の選択はもう理解を超えていきます。かなりスペーシーな雰囲気が漂います。
その流れを、先ほどの得意技フレーズと合体させた展開が続く9コーラスめ。
さらにそれは発展していって、一瞬『踏み切り?』と想ってしまうようなフレーズを中心とした10コーラスめに続いていきます。
11コーラスめの最初の部分、CD Time=3:59はトレモロを使用した少し遊び心を感じるラインで締めくくっています。

このブルースのソロはパット・メセニーさんとしてはけっこう珍しいと想う、ワンコーラス完結型のソロ展開になっています。
それぞれのコラースが前後で上手く絡んでいて、唐突になっていず、切れ切れになっていないところが見事なソロだと想います。


05:サン・イン・モントリオール
パット・メセニーさんのクリアなソロギターからスタートするワルツです。
複雑なコード進行なんですが、メロディがそれを感じさせないほどの綺麗さがあって見事に繋がっていて、しかもメロディアスに流れています。
また、それをコード奏法で見事に弾き抜けているテーマ部分が特に聴き所です。
ソロギターの部分では比較的平坦な感じで弾いているのですが、ここにドラムとベースが少し跳ねたワルツ・リズムで入ってきます。
ここで並のギタリストだったら、あわせて跳ねたリズムで弾いていくところなんですが、パット・メセニーさんはそのままの平坦な感じのリズムで弾き続けます。
これによって、必要以上に跳ねたビートになっていなくて、インプロヴィゼーションの部分での跳ねたリズムとフレーズが物凄く生きてきてグルーヴが加速してくると言う効果を生んでいます。

もちろんインプロヴィゼーションのラインもまとまっていて文句なしですね。さらに曲の構成や長さも丁度良い感じですので、大変聴き易く、ちょっと一息と言う感じの小作品に仕上がっています。


06:カプリコーン
淡々とした4ビートが続いて、しかもノンコード的な流れをもったウェイン・ショーターさんの曲。パット・メセニーさんのソロは、テーマのモチーフを所々に出しながら展開していきます。
かなりフリーな展開になっていますので、テーマのリズムやモチーフに絡めた頭の中のフレーズが湧き出していると言う感じのプレイです。CDと言う制約が無ければ一晩中でも続いていきそうな勢いがありますね。派手な部分やコード展開がないので、聴いている方にも結構根気が必要ではありますが・・・。

続いてソロを取るビル・スチュアートさんのプレイも必要以上に派手でなく、やはり淡々としていて、いいですね。
ラリー・グレナディアさんの4ビートも同じく淡々と辛抱強く奏でていると言う感じで、けっこうクセになりそうなビート感が漂っています。

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と言うことでまたしても長くなりましたので
続きは後日に・・・。


(CD TOTALTIME:65:22 / Walking消費カロリー:262.77 kcal)

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パット・メセニー ラリー・グレナディア ビル・スチュワート

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リジョイシング/パット・メセニー 
REJOICING/PAT METHENY

リジョイシング


昨日は、一昨日降った雪の為全体に雪景色と言う感じでした。それでも例年に比べて少なく、まだ、雪かきと言うハードな作業を今年はしていません。と言うことで昨日はパット・メセニーさんのリジョイシングでwalkingをしました・・・。


多分、今年前半のハイライト的作品は、パット・メセニー・トリオの新作デイ・トリップ(*)。
トリオでのパフォーマンスは現在のパット・メセニーさんの活動の中で、大きな流れになっているのはご承知と想います。
と言うことで、今までトリオ2作品をレビューしましたが、新作を聴く前に、その他のトリオ作品も紐解いて見たいと想ったわけです・・・。


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01:LONELY WOMAN
パット・メセニーさんのスチール弦・アコースティック・ギターがA♯=「ラ♯」の音を奏でるのを合図に厳かにスタートするバラード。ドラムのビリー・ヒギンズさんのブラシワークとベースのチャーリー・ヘイデンさんのややアクセントの強い白玉ロングトーンでのバッキングが創り出している渋い世界が耳元で広がります。その大御所に身を委ねるように、パット・メセニーさんがテーマを奏でていきます。

テーマを良く聴いていくと、ギターの音が2本に聴こえる部分があります。実際にオーバーダビングをしているのか解りませんが、もし1本のギターだとすると、テーマのメロディ間に浮かぶバッキングのコードワークにメリハリがあって本当に見事。
テーマはしっかりと輪郭を持った音で奏でていて、バッキングの和音は聴こえるかどうかと言うくらいの囁きにも似たニュアンス。簡単に聴こえるようで、実は物凄く難しいテクニックです。
ソロに入ると、そのメリハリが更に絶妙で、特に、CD Time=1:40では、メロディをややクレッシェンドで1音鳴らし、すかさずハーモニクスでのアルペジオを静かに奏で、もう一度同じくメロディを鳴らし、今度はハーモニクスでのアルペジオとのわずかな隙間にコードを一度、それこそ聴こえるかどうかくらいに極弱く奏でます。

CD Time=2:15からは、オクターブ奏法を奏でます。特に高い音の方のアクセントを強めに奏でていてオクターブ下の音はあくまでもさり気無く響かせている感じは、ウェス・モンゴメリーさんのオクターブ奏法とはまた違った味わいがあります。CD Time=2:33から、オクターブを段々ハーモニーに変えて行き終止します。
ソロの後半はバックのビートも少し跳ねてきて、それにノッてコード奏法を中心にメロディアスに奏でていきます。

1曲目からこの渋さってなかなか作品の流れとして勇気がいるように想うのですが・・・。曲調としては3曲目くらいの感じでしょうか?それでも、グーッと引き込まれていってしまうのは、演奏の素晴らしさですね。


02:TEARS INSIDE
1曲目の渋さから一転して、軽快なブルースです。オーネット・コールマンさんの創ったちょっと複雑な感じもあるテーマをパット・メセニーさんが奏でます。ビリー・ヒギンズさんのスネアワークが良く歌っています。さらにチャーリー・ヘイデンさんもやや地味なラインながらも、テーマに反応して引っ掛けるようなフレーズを挟みながら、全体のアクセントを生み出しています。

チャーリー・ヘイデンさんのランニング・ラインとビリー・ヒギンズさんのスネアのロールがスイッチになって軽快な4ビートに突入し、パット・メセニーさんのソロがスタートします。

安定したリズムにノッて、余裕のあるフレーズを奏でていきます。
CD Time=2:09からは、今までの余裕のあるフレーズから、駆け足の速いパッセージへと攻めていきます。それに対抗するように、ビリー・ヒギンズさんのスネアが細かいロール的なフレーズで応戦します。その2人の戦いをあおるように、チャーリー・ヘイデンさんが2音つづ繰り返す形を基本に4ビートを刻みます。
その加速装置が上手く行った為か、次のコーラス頭で歓喜の声の様な軽い叫びが聴こえます。この部分、かなり肝!です。


03:HUMPTY DUMPTY
テーマが少し浮遊した様なラインと解り難いコード進行。これもオーネット・コールマンさんの曲です。

パット・メセニーさんのソロに入っても、その解り難い感じからなかなか抜け出すことができません。追い討ちをかけるように、パット・メセニーさんのアウトフレーズが爆発していて音があちらこちらに飛び交います。まさに宙に音がたくさん浮いている感じです。

その感じを引きずったままチャーリー・ヘイデンさんのソロへ繋いでいきます。
決して速いパッセージで攻め立てる感じでもなく、かと言って陳腐なラインを奏でているかと言えばそうではなくて、まさに深い味わい、つまり『コク』のあるソロだと想います。

段々と消えていくようにフレーズを奏で、チャーリー・ヘイデンさんがビリー・ヒギンズさんにソロをバトンタッチします。このソロでも抜群のスネアワークを聴かせてくれます。

テーマに戻っても浮遊感は消えず、気がつくとエンディング。ここではチャーリー・ヘイデンさんがベース音をフェイクして不思議なコード感を醸し出して終わっていきます。


04:BLUES FOR PAT
他の作品でも演奏しているパット・メセニーさんのブルース。作曲はチャーリー・ヘイデンさん。ややスローなブルースが心地良いですね。

ファーストソロはチャーリー・ヘイデンさん。
ここでも抜群の『コク』で、ゆったりとフレーズを決めていきます。時にコード感を全く感じさせないようなフレーズを奏で、ここ!と言う部分でコード感がバリバリの音を選択しています。

続いてパット・メセニーさんのソロです。
テンポを少しルーズに取って、ずれた感じをフレーズに表しています。でも、このルーズな感じが実にいい感じですね。どちらかと言うと、いつものフレーズを連続させていくと言う感じより、細かい流れのフレーズをたくさん繋いでいると言う構成のソロになっています。

2曲目とは違ったブルースの演奏で、3人のブルースプレイにおける違うアプローチを楽しむことが出来るテイクです。


05:REJOICIN
スタートからいきなりのパット・メセニーさんのソロと言う展開で、得意フレーズがそのフレーズになっています。
このフレーズは音数は2~3音と少なく、どちらかと言うとリズムリック的なもの。パット・メセニー・グループでの演奏では、ほとんど聴くことが出来ませんが、ストレートなジャズを演奏する時には頻出するお馴染みのフレーズです。
一聴簡単そうですが、このアーティキュレーションは絶妙で、オンリーワンの世界があります。アマチュアがこれを真似て奏でると、抜けたような感じになってしまってハマらないことが多いのですが、それでも、パット・メセニーさんの音楽を良く知っている人から演奏後に「さっきのソロ、パット入ってたね」って言われます。

前半はビリー・ヒギンズさんのとのデュオでパット・メセニーさんがアップテンポにノったソロを奏でると言う形で展開していきます。
ドラムとのデュオと言うのも好きなスタイルのようで、いろいろな場面で聴くことがあります。和音楽器の呪縛から離れて、フリーに出来る分、ソロラインにコード感を持たせないと、曲の輪郭が解らなくなってしまうと言う、超難しいフォーマットだと想います。頼りになる和音楽器がいませんので、集中を欠くと、どの部分を演奏しているのかも解らなくなってしまうことも良くあります。もちろん、ここはパット・メセニーさんですので、そつなく弾き抜けています。

チャーリー・ヘイデンさんが入ってアップテンポの4ビートの展開になりますが、ここでも、4打ちのラインではなくて、2音づつのラインで4ビートの乗りを創っています。ですから単純なアップテンポの4ビートではなくて、ちょっと変化球的なビート感がけっこう良かったりしますね。

ビリー・ヒギンズさんのソロを挟んで、テーマへ。そのままエンディングに突入していきます。


06:STORY FROM A STRANGER
最初のスチール弦のアコースティック・ギターの和音が、かなり雰囲気の違う展開でちょっと驚きます。これはパット・メセニーさんの曲。コード進行が基本的にはマイナーなんですが、所々でいつものパット・メセニーさんらしい美しさを備えたコード進行に移りそうで、サッと交わされてしまうと言う、不思議な香りを持っています。

それは音にも表れていて、ここではオーバーダビングで2本のギターを重ねていると想われます。さらに、2コーラスめからはもう1本加わり、しかもそのチューニングと音質が微妙に違う感じで、それが、さらに不思議な香りを助長しています。

ソロはギターシンセでのプレイです。
静かな展開の中、情緒的に奏でていきます。ギターシンセの持っている情熱的で熱い雰囲気を出すと言うよりは、その音質から感じる幻想的な雰囲気を出したと言う感じ。

その意味では良く出来ている楽曲だと想うのですが、それが、この作品の6曲目に出てくると言うのはどうでしょうか・・・。今までのジャズ的な流れからすると、結構、違和感が私はありましたが・・・。

でも考えてみれば、この作品がリリースされたのは当時のレコード。レコードの場合はこの曲からB面になるのだと想います。ならば、この展開もありですね。
レコードの場合は、本当に物理的に流れが切れてしまうので、ワンクッションで次の展開と言うのは、逆に良い流れを生むことがあるかもしれません。
そう考えると、レコードのA面B面と言う切り替えを意識して製作された作品のCD化は、その意図が反映されないと言う弊害があるかもしれませんね。


07:THE CALLING
ギターシンセの調子の外れたような音程でのテーマは、名作ファースト・サークル(*)のオープニングを想い出させてくれます。

テーマのあとは、なにやらフリーな展開。譜面をみると『SOLOS ARE OPEN』と指示されています。ですからフリー・ジャズへ突入と言う展開。

この曲が始まると、前の曲で受けた違和感が逆にいい流れ、必然的な流れだったことに気が付きます。これはもうオーネット・コールマンさんの世界。考えてみれば、バックの2人はそのままオーネット・コールマンさんとの演奏が著名。

であれば、前半にオーネット・コールマンさんのナンバーを奏でていて、ここに来てフリーと言う展開は、まさにこれがやりたかったことなのかと。

実は、そんなに語れるほどオーネット・コールマンさんを含むフリージャズには馴染みが無いんです。パット・メセニーさんはたまにこのようなフリージャズの作品を創ったり演奏したりしますが、これはもう好みですね。何とも言えないのですが、個人的には体調が良いとき?には結構聴いていて、のめり込みますが、拒否反応を示し始めたら、想わず次のトラックへ飛ばしてしまいます。

今回はと言うと、それなりに楽しめました。
特にギターシンセからCD Time=4:58でノーマルトーンに変わって、トレモロアームを使用して、カッティングと言うか掻きむしり奏法と言うか・・・この部分は面白かったのですが、もっとめちゃくちゃでも良かったと想います。それこそギターを壊すくらい・・・壊してはいけませんが・・・。

大御所の2人のフリー度合いも、大人の暴れ方と言う感じの冷静さと品位を感じるプレイで結構いいかなと想いました。

でもフリージャズは私にとっては限りなく未知に近いサウンド。ちょっと聴きこんでみたくなる衝動に駆られる演奏ではありますね。


08:WAITING FOR AN ANSWER
シンセストリングスが入っているかのような錯覚をしてしまう幻想的なスタートの曲です。ギターのヴォリューム奏法とベースの弓でのフレーズに強めにリヴァ―ヴをかけることでこれを演出しているようです。

テーマは一応短いものがありますが、ほとんどがSE的な演出で終止します。
幻想的な雰囲気の中、短くこの曲が終わると同時に作品も幕を閉じます・・・。

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この作品を初めて聴いたときに想ったのが、前半の流れと6~8曲目の違和感。
特に後半のフリーな展開はあまり好みでは無く、その為にそんなに聴くことは無く現在に至ったわけです。

そして今回改めて聴いてみて、純粋にひとつの作品として聴いていくと、確かに曲の好き嫌いや流れの良し悪しを感じるところもあると想いますが、これが、オーネット・コールマンさんと言う巨匠を核に考えたリスペクト作品と言うことを踏まえると、この流れはありで、逆に納得の出来る、強いトータルコンセプトを持った作品と言えますね。
ですから、パット・メセニーさんのほかのトリオ作品の流れとは明らかに違うコンセプトの作品で同一に語ることが出来ない感じです。

この後パット・メセニーさんはオーネット・コールマンさんとの作品ソングX(*)をリリースしますが、その作品のライナーによると、パット・メセニーさんは『オーネット・コールマンさんのハーモロディック理論は最後の音楽理論』と言っています。

正直、ハーモロディック理論自体良く解りませんし、知っていて損はないと想いますが、まあ、知らなくても問題はないと想っています。
要は『感じるか』『感じないか』であって、それに理論はあまり関係ないですよね。

その意味でこの作品は、パット・メセニーさんの作品群の中ではポイントとなる存在の作品と言えると想いますが、純リスナーとしては、感じる部分はもちろんあるのですが、パット・メセニーさんの数ある作品の中では、私にはインパクトの薄い作品と言えます。

でも、そのハーモロディック理論を含めて、少し触れてみたい禁断の果実的な魅力を感じたのも事実です。

(CD TOTALTIME:43:54 / Walking消費カロリー:176.48kcal)

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リジョイシングリジョイシング
パット・メセニー チャーリー・ヘイデン ビリー・ヒギンス

曲名リスト
1. ロンリー・ウーマン
2. ティアーズ・インサイド
3. ハンプティ・ダンプティ
4. ブルース・フォー・パット
5. リジョイシング
6. ストーリー・フロム・ア・ストレンジャー
7. ザ・コーリング
8. ウェイティング・フォー・アン・アンサー

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(*)本文に登場したCD・DVD

デイ・トリップデイ・トリップ
パット・メセニー
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First CircleFirst Circle
Pat Metheny Group
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ソングX:20thアニバーサリーソングX:20thアニバーサリー
パット・メセニー&オーネット・コールマン チャーリー・ヘイデン ジャック・ディジョネット
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あとがき
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スティル・ライフ【PART2】/パット・メセニー・グループ
STILL life(talking)/PAT METHENY GROUP

スティル・ライフ

パット・メセニー・グループスティル・ライフのレビューの続きです。Track04から総論です・・・。

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04:トーク
ブラジルテイストの強く出ている曲です。ミディアムファーストのテンポにノッたパーカッションが心地よいです。
テーマはヴォイスとギターのユニゾン。どちらかと言うとヴォイスが中心に進みます。サビに入ると今度はギターと笛の音でのシンセのユニゾンでメロディが奏でられます。こちらはギター中心。いずれにしてもギターはテーマを弾いているのですが、時に従になり、時に主になるアレンジがいいですね。

ファーストソロはライル・メイズさん。
ブレイクも展開も無く、テーマそのままのグルーヴでソロに入っていきます。
最初の16小節は4分音での3連をモチーフにした、ゆったりとしたメロディを奏でていきます。そして次の16小節では4分音での3連を基本にしながらも細かいパッセージをジョイントに使用してフレーズを加速させます。そしてサビの部分に入った最初の8小節では、クラシカルにコード奏法を中心に弾き抜けます。CD Time=3:05からのコード和音の重なりはとても綺麗で適度なテンションがあっていい感じです。さらに次の8小節では、リズム隊が16ビートになりますが、ライル・メイズさんの優雅さは変わらず。そのまま、コード奏法をもっとクラシカルに奏でます。CD Time=3:16からのフレーズは歯切れよさの中にも品があって貴族的。見事なラインですね。その流れと雰囲気を継続しながら、最後の16小節を弾き切ってサビに引継ぎます。

長いソロなんですが、センテンスごとの展開と起承転結の盛り上がりを考えたソロで、この作品中でのライル・メイズさんのソロは多くないのですが、ベストテイクだと想います。

ライル・メイズさんのソロから戻ったサビは、最初のサビとは違って今度はヴォイスが主にメロディを歌っています。そのまま後テーマからヴォイスとギターのユニゾンでこの曲の特徴になっているコード進行、C♯m9→C9を繰り返しながらフェードアウトしていきます。


05:サード・ウィンド
アップテンポのラテンリズムが迫り来るような曲。定番のナンバーです。
曲を聴ききながらテンポを取っていると、最初のテーマの切れ目まで、コードがF7sus4が2小節、D♭maj7/Fが2小節の計4小節のように聴こえるのですが、譜面を今回みたら、この部分は8小節。つまり倍の譜割りになっていて、しかもテンポ指示が=300と言う物凄い速いテンポで作曲されていたことに気が付きました。
当然演奏する場合にはこのテンポを意識して奏でなければいけないわけで、聴いている分には同じことなんですが、ミュージシャンのその意識がこの曲のスピード感を創っている要因と言えます。つまり『かなり速いテンポの曲なんだ』と言うコンポーザーであるパット・メセニーさんとライル・メイズさんの意志が明確に指示されていると言うわけですね。

これは意外に大切なことで、ひとつのフレーズを弾くのにも、実は倍のテンポと言うことになると、そのフレーズの切れ目や流れがだいぶ違ってきます。フレーズはひとつのまとまりの中に始めと終りがあるわけで当然、同じ音符の種類で弾くフレ